(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作制御装置は、前記ハンド装置で前記ワークのピッキングをするピッキング位置を含む前後区間における前記ハンド装置の移動速度を前記速度センサで計測した前記搬送ラインの移動速度に従って制御する請求項1記載のロボットシステム。
前記動作制御装置は、前記他のワークのピッキング位置から前記他のワークの第2リリース位置まで前記ハンド部が移動する軌道を前記速度センサで計測した前記搬送ラインの移動速度に基づいて複数の軌道から選択する請求項1記載のロボットシステム。
前記複数の軌道には、前記他のワークのピッキング位置から前記他のワークの第2リリース位置までを結ぶ軌道と、前記他のワークのピッキング位置から前記他のワークの第2リリース位置まで前記他のワークのピッキング位置より下流の経由点を経由して結ぶ軌道と、前記他のワークのピッキング位置から前記他のワークの第2リリース位置まで前記他のワークのピッキング位置より高い経由点を経由して結ぶ軌道とが含まれる請求項3記載のロボットシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係るロボットシステムを説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0010】
図1は、本実施形態に係るロボットシステムの外観斜視図である。
図2は、
図1のロボットシステムの平面図である。
図3は、
図1のロボットシステムの正面図である。本実施形態に係るロボットシステムはコンベア装置5と速度センサ6と通過検知センサ7と光電センサ92とロボット装置1とを有する。
【0011】
コンベア装置5は、複数の第1、第2ワーク80、90を連続的に搬送する機能を有する。例えば、コンベア装置5は、直線に沿って、形状、寸法、重量、素材、さらに柔軟性等の属性の異なる第1、第2ワーク90を搬送するための直線状に配設された搬送ライン51を有する。搬送ライン51は、搬送ライン51上に載置された第1、第2ワーク80、90を、予めユーザ等により設定された速度で搬送する。搬送ライン51の脇には、ロボット装置1が配置されている。搬送ライン51の搬送方向に関して、ロボット装置1の作業エリアが予め設定されている。搬送ライン51を挟んでロボット装置1の反対側には、搬送ライン51の上流から順に搬出シュータ8と搬入シュータ9とが取り付けられている。搬送方向に関して、ロボット装置1は、シュータ8とシュータ9との間に配置されている。シュータ8は、搬送ライン51と同等の高さから下方に向かって傾斜して設けられる。シュータ8は、ロボット装置1でピッキングされ、搬送ライン51の外にリリースされた第1ワーク80を搬送ライン51から下方の所定位置まで搬送する機能を有する。シュータ9は、搬送ライン51と同等の高さから上方に向かって傾斜して設けられる。シュータ9は、シュータ9に載置された第1ワーク80とは種類の異なる第2ワーク90を搬入位置に搬入する機能を有する。シュータ9の搬入位置に対応する部分には矩形状の開口91が設けられている。開口91の直下には、光電センサ92が設けられている。光電センサ92は、その光軸が開口91の中心を通るように設けられている。搬送ライン51の幅の中心線(以下、ライン中心線)よりロボット装置1側の搬送ライン51上には、第2ワーク90が載置され、ライン中心線を挟んでロボット装置1の反対側にの搬送ライン51上には、第1ワーク80が載置される。以下、搬送ライン51上の第1ワーク80が載置される目標位置を通り、ライン中心線に平行な直線を第1ワーク搬送基準線、搬送ライン51上の第2ワーク90が載置される目標位置を通り、ライン中心線に平行な直線を第2ワーク搬送基準線という。
【0012】
速度センサ6は、搬送ライン51の搬送速度(搬送速度)を計測する。速度センサ6には、例えば、ロータリー/リニアエンコーダ等の任意のセンサが適用される。
【0013】
通過検知センサ7は、搬送ライン51の所定位置の第1ワーク80の通過を検知する。例えば、通過検知センサ7は、ライン中心線を挟んでロボット装置1の反対側に設けられ、第1ワーク80の第1ワーク搬送基準線上の所定位置の通過を検知する。通過検知センサ7は、搬送ライン51上を搬送されるワークを検知でき、搬送ライン51の外側の干渉物を検知しないための感度距離を有する。例えば、通過検知センサ7は、搬送ライン51の全幅に等価な最大感度距離を有する。なお、本実施形態のように、搬送ライン51上に第1、第2ワーク搬送基準線が設けられ、第1ワーク搬送基準線上を搬送される第1ワーク80のみを検知したいとき、通過検知センサ7は、第1ワーク搬送基準線上を搬送される第1ワーク80を検知でき、第2ワーク搬送基準線上を搬送される第2ワーク90を検知しないための感度距離を有する。例えば、通過検知センサ7は、搬送ライン51の全幅の1/2を最大感度距離となるように設定される。例えば、通過検知センサ7には、投光部と、投光部から投光されワークで反射された光を受光する受光部とが一体となった光電センサが適用される。
【0014】
ロボット装置1は、多関節アーム機構200を有する。本実施形態に係るロボットシステムのロボット装置1の多関節アーム機構200において、複数の関節のうち、一が直動伸縮関節で構成されている。
【0015】
図4は、
図1のロボット装置1の外観斜視図である。ロボット装置1は、略円筒形状の基部1と基部1に接続するアーム部2とを有する。アーム部2の先端には手首部4が取り付けられている。手首部4には図示しないアダプタが設けられている。アダプタは、後述する第6回転軸RA6の回転部に設けられる。手首部4のアダプタを介してハンド装置3が取り付けられる。
【0016】
ロボット装置1は、複数、ここでは6つの関節部J1,J2,J3,J4,J5,J6を有する。複数の関節部J1,J2,J3,J4,J5,J6は基部1から順番に配設される。一般的に、第1、第2、第3関節部J1,J2,J3は根元3軸と呼ばれ、第4、第5、第6関節部J4,J5,J6はハンド装置3の姿勢を変化させる手首3軸と呼ばれる。手首部4は第4、第5、第6関節部J4,J5,J6を有する。根元3軸を構成する関節部J1,J2,J3の少なくとも一つは直動関節である。ここでは第3関節部J3が直動伸縮関節、特に伸縮距離の比較的長い関節部として構成される。アーム部2は第3関節部J3を構成する主要な構成要素である。
【0017】
第1関節部J1は基台面に対して例えば垂直に支持される第1回転軸RA1を中心としたねじり関節である。第2関節部J2は第1回転軸RA1に対して垂直に配置される第2回転軸RA2を中心とした曲げ関節である。第3関節部J3は、第2回転軸RA2に対して垂直に配置される第3軸(移動軸)RA3を中心として直線的にアーム部2が伸縮する関節である。
【0018】
第4関節部J4は、第3移動軸RA3に一致する第4回転軸RA4を中心としたねじり関節であり、第5関節部J5は第4回転軸RA4に対して直交する第5回転軸RA5を中心とした曲げ関節である。第6関節部J6は第4回転軸RA4に対して直交し、第5回転軸RA5に対して垂直に配置される第6回転軸RA6を中心とした曲げ関節である。
【0019】
基部1を成すアーム支持体(第1支持体)11aは、第1関節部J1の第1回転軸RA1を中心に形成される円筒形状の中空構造を有する。第1関節部J1は図示しない固定台に取り付けられる。第1関節部J1が回転するとき、第1支持体11aはアーム部2の旋回とともに軸回転する。なお、第1支持体11aが接地面に固定されていてもよい。その場合、第1支持体11aとは独立してアーム部2が旋回する構造に設けられる。第1支持体11aの上部には第2支持部11bが接続される。
【0020】
第2支持部11bは第1支持部11aに連続する中空構造を有する。第2支持部11bの一端は第1関節部J1の回転部に取り付けられる。第2支持部11bの他端は開放され、第3支持部11cが第2関節部J2の第2回転軸RA2において回動自在に嵌め込まれる。第3支持部11cは第1支持部11a及び第2支持部に連通する鱗状の外装からなる中空構造を有する。第3支持部11cは、第2関節部J2の曲げ回転に伴ってその後部が第2支持部11bに収容され、また送出される。ロボット装置1の直動関節部J3(第3関節部J3)を構成するアーム部2の後部はその収縮により第1支持部11aと第2支持部11bの連続する中空構造の内部に収納される。
【0021】
第3支持部11cはその後端下部において第2支持部11bの開放端下部に対して第2回転軸RA2を中心として回動自在に嵌め込まれる。それにより第2回転軸RA2を中心とした曲げ関節部としての第2関節部J2が構成される。第2関節部J2が回動すると、アーム部2は、手首部4及びハンド装置3とともに第2関節部J2の第2回転軸RA2を中心に垂直方向に回動、つまり起伏動作をする。
【0022】
第4関節部J4は、アーム部2の伸縮方向に沿ったアーム中心軸、つまり第3関節部J3の第3移動軸RA3に典型的には一致する第4回転軸RA4を有するねじり関節である。第4関節部J4が回転すると、第4関節部J4から先端にかけてハンド装置3とともに第4回転軸RA4を中心に回転する。第5関節部J5は、第4関節部J4の第4回転軸RA4に対して直交する第5回転軸RA5を有する曲げ関節部である。第5関節部J5が回転すると、第5関節部J5から先端にかけてハンド装置3とともに上下に回動する。第6関節部J6は、第4関節部J4の第4回転軸RA4に直交し、第5関節部J5の第5回転軸RA5に垂直な第6回転軸RA6を有する曲げ関節である。第6関節部J6が回転するとハンド装置3が左右に旋回する。
【0023】
上記の通り手首部4のアダプタに取り付けられたハンド装置3は、第1、第2、第3関節部J1.J2.J3により任意位置に移動され、第4、第5、第6関節部J4、J5、J6により任意姿勢に配置される。特に第3関節部J3の直動伸縮距離の長さは、基部1の近接位置から遠隔位置までの広範囲の対象にハンド装置3を到達させることを可能にする。第3関節部J3はそれを構成する直動伸縮機構により実現される直動伸縮距離の長さが特徴的である。
【0024】
直動伸縮機構はアーム部2を有する。アーム部2は第1連結コマ列21と第2連結コマ列22とを有する。第1連結コマ列21は複数の第1連結コマ23からなる。第1連結コマ23は略平板に構成される。前後の第1連結コマ23は、互いの端部箇所においてピンにより屈曲自在に列状に連結される。これにより第1連結コマ列21は内側と外側とに屈曲可能な性質を備える。第2連結コマ列22は複数の第2連結コマ24からなる。第2連結コマ24は断面コ字形状の短溝状体に構成される。前後の第2連結コマ24は、互いの底面端部箇所においてピンにより屈曲自在に列状に連結される。第2連結コマ24の断面形状及びピンによる連結位置により第2連結コマ列22は内側に屈曲可能であるが、外側に屈曲不可な性質を備える。なお、第1連結コマ23及び第2連結コマ24の第2回転軸RA2に向いた面を内面、その反対側の面を外面というものとする。
【0025】
第1連結コマ列21のうち先頭の第1連結コマ23と、第2連結コマ列22のうち先頭の第2連結コマ24とは結合コマ27により結合される。例えば、結合コマ27は第1連結コマ23と第2連結コマ24とを合成した形状を有している。
アーム部2が伸長するときには、結合コマ27が始端となって、第1、第2連結コマ列21,22が第3支持部11cの開口から外に向かって送り出される。第1、第2連結コマ列21、22は、第3支持体11cの開口付近で互いに接合される。第1、第2連結コマ列21、22の後部が第3支持体11cの内部で堅持されることにより、第1、第2連結コマ列21,22の接合状態が保持される。第1、第2連結コマ列21、22の接合状態が保持されたとき、第1連結コマ列21と第2連結コマ列22の屈曲は拘束される。接合し、それぞれの屈曲が拘束された第1、第2連結コマ列21、22により一定の剛性を備えた柱状体が構成される。柱状体とは、第2連結コマ列22に第1連結コマ列21が接合されてなる柱状の棒体を言う。
【0026】
アーム部2が収縮するときには、第3支持体11cの開口に第1、第2連結コマ列21,22が引き戻される。柱状体を構成する第1、第2連結コマ列21,22は、第3支持体11cの内部で互いに離反される。離反された第1、第2連結コマ列21,22はそれぞれ屈曲可能な状態に復帰し、それぞれ同方向の内側に屈曲され、第1支持体11aの内部に略平行に格納される。
【0027】
ハンド装置3は、把持機構と吸着機構とを有する。把持機構は、一対の把持面が一軸上に対向配置され、一対の把持面が互いに逆方向に往復移動するように構成されている。例えば、把持機構は、一対の把持フレーム34と、一対の把持フレーム34により、第1ワーク80を把持するための対向配置される一対の把持部35と、一対の把持部35に取り付けられる一対の蛇腹接触部36と、一対の把持部35を互いに接近・離反する方向に移動する移動機構とを有する。吸着機構は、一対の吸着面が同一平面上であって、その吸着方向が互いに平行になるように構成されている。例えば、吸着機構は、一対の吸着フレーム39と、一対の吸着フレーム39により、一対の蛇腹接触部36とは異なる向きで取り付けられる一対の吸着部38とを有する。
【0028】
以下、ハンド装置3の一例について
図5を参照して説明する。
図5は、
図1のハンド装置3の外観斜視図である。説明の便宜上、
図5に示すように手先座標系Σhを規定する。手先座標系Σhの直交3軸のうち、Yh軸に一致する直線を把持基準線とする。把持機構は、把持基準線上に一対の蛇腹接触部36の接触面の中心位置が配置され、把持基準線に沿って一対の蛇腹接触部36が往復移動できるように構成される。手先座標系Σhの原点は、一対の蛇腹接触部36の接触面の間の中点に規定される。Zh軸は第6回転軸RA6と平行な軸である。Xh軸は、Yh軸とZh軸とに直交する軸である。
【0029】
ハンド装置3はハンド本体31を有する。ハンド本体31は角柱形状を有し、その上方端面に取り付け部30が設けられる。ハンド装置3は手首部4に装備されたアダプタにハンド本体31の取り付け部30を介してロボット装置1に装着される。ハンド本体31の下方にエアチャック部32が取り付けられる。エアチャック部32は図示しないエアシリンダをアクチュエータとして備える。エアシリンダは一対のピストンを備える。エアシリンダは、一対のピストンの移動軸が把持基準線(図中、Yh軸)と平行になるように配置される。一対のピストンには連結部材を介して把持機構と吸着機構とが取り付けられる。
【0030】
把持機構は、一対の把持フレーム34と一対の把持部35と一対の蛇腹接触部36とを有する。把持フレーム34は、金属、樹脂等で成型された略L字形状を有する平板である。把持部35は、金属、樹脂等で成型された略円柱体である。蛇腹接触部36は、シリコンゴム等で成型された蛇腹形状、好適には1.5段の蛇腹形状を有する。把持フレーム34の一端はピストンに取り付けられ、他端は把持部35を保持する。把持部35は、その先端に蛇腹接触部36を保持する。これにより把持フレーム34と把持部35と蛇腹接触部36とが連結された機構は、外観が略コ字形状に構成される。一対の把持フレーム34は、互いの屈曲部分が外側に向くように一対のピストンに取り付けられる。これにより、一対の蛇腹接触部36の接触面(把持面)が互いに対向配置される。エアシリンダとしてはピストンを挟んで両側の2室が用意され、それら2室には2本のエアチューブ33がそれぞれ接続されエアチューブ33に介在された2つの電磁弁の交互操作により2室が交互に加圧状態に移行される。これにより、一対の蛇腹接触部36は、一対のピストンの往復移動とともに互いに接近、離反する方向に往復移動される。なお、そのための加圧ポンプは、そのピストンの往復運動(把持/リリース動作)と、蛇腹接触部36及び吸着部38の真空吸着排気動作とで兼用される。一対の蛇腹接触部36が接近するように移動されたとき、一対の蛇腹接触部36によりワークは挟持(把持)され、一対の蛇腹接触部36が離反するとき、一対の蛇腹接触部36によるワークの把持状態は解除される。
【0031】
蛇腹接触部36は、真空吸着排気機能を備える。蛇腹接触部36は、エアチューブ40を介して既出の加圧ポンプに接続されている。蛇腹接触部36と加圧ポンプとの間には水平吸着用電磁弁が設けられている。蛇腹接触部36の接触面が第1ワーク80に密着した状態で水平吸着用電磁弁が開放されると、第1ワーク80の表面と蛇腹接触部36とで規定される空間の空気がエジェクタ構造を介して吸引され、第1ワーク80に対して負圧が働く。これにより、蛇腹接触部36は、第1ワーク80を吸着することができる。そして、水平吸着用電磁弁が閉塞されると、蛇腹接触部36による第1ワーク80の吸着動作が解除される。
【0032】
吸着機構は、吸着フレーム39と吸着部38とを有する。吸着フレーム39は、金属、樹脂等で成型された一段の段差を有する階段形状の平板である。吸着部38は、シリコンゴム等で成型された蛇腹形状、好適には1.5段の蛇腹形状を有する。吸着フレーム39の一端はピストンに取り付けられ、他端は吸着部38を保持する。一対の吸着フレーム39は、把持基準線に沿って、互いの階段部分が外側に向くように一対のピストンに取り付けられる。吸着部38は、吸着フレーム39の他端の背面に、その軸が第6回転軸RA6と平行になるように取り付けられる。これにより、一対の吸着機構は、互いの吸着面が同一平面上であって、その吸着方向が互いに平行になる。なお、吸着フレーム39はピストンではなく、例えば、エアチャック部32及びハンド本体31等に固定されてもよい。これにより、ピストンにかかる重量負荷を小さくすることができる。吸着部38はエアチューブ40を介して既出の加圧ポンプに接続されている。吸着部38と加圧ポンプとの間には垂直吸着用電磁弁が設けられている。吸着部38の吸着面が第2ワーク90に密着した状態で垂直吸着用電磁弁が開放されると、第2ワーク90と吸着部38とで規定される空間の空気がエジェクタ構造を介して吸引され、その閉空間の負圧により、吸着部38は第2ワーク90を吸着することができる。そして、垂直吸着用電磁弁が閉塞されると、吸着部38による第2ワーク90の吸着動作が解除される。
【0033】
次に、ハンド装置3の把持動作について説明する。
図6は、
図5のハンド装置3の把持姿勢を示す図である。ハンド装置3は、一対のピストンの往復移動により、一対の蛇腹接触部36が互いに接近することで、第1ワーク80を把持(挟持)する。第1ワーク80は、高い柔軟性、弾力性、復元性等を有する容器、例えば、化粧品や歯磨き粉等の樹脂製のチューブ容器等である。
【0034】
一対の蛇腹接触部36が互いに接近するように移動され、蛇腹接触部36の接触面が第1ワーク80の表面に接触し始めると、蛇腹接触部36は、接触面が第1ワーク80の表面に押圧され、その蛇腹構造により、第1ワーク80の表面形状に合わせて変形する。これにより、一対の蛇腹接触部36の接触面は、第1ワーク80の表面に密着しながら、その両側から押圧する。これにより、一対の蛇腹接触部36の接触面と第1ワーク80の表面との間に摩擦力が発生し、第1ワーク80を保持することができる。また、一対の蛇腹接触部36の接触面が第1ワーク80の表面と密着した状態で、加圧ポンプが駆動し、垂直吸着用電磁弁が開放されると、第1ワーク80の表面と蛇腹接触部36とで規定される空間の空気がエジェクタ構造を介して吸引され、第1ワーク80に対して負圧が働く。このように、一対の蛇腹接触部36は、蛇腹構造により変形しながら第1ワーク80の表面に密着することで摩擦力により第1ワーク80を保持し、その摩擦力を、蛇腹接触部36による吸着動作により大きくすることができる。このようなハンド装置3の把持動作により、
図6(a)のように、予定(規定)された向きに載置されたチューブ容器だけではなく、
図6(b)のように、予定(規定)された向きからズレて載置されたチューブ容器、規定された向きに対して搬送ライン51の幅方向に位置がズレて載置されたチューブ容器を把持によりピッキングすることができる。
【0035】
次に、ハンド装置3の吸着による第2ワーク90のピッキングについて
図7を参照して説明する。
図7は、
図5のハンド装置3の吸着姿勢を示す図である。ハンド装置3の吸着機構は、主に箱形状を有する第2ワーク90を吸着によりピッキングする。第2ワーク90は、チューブ容器、例えば、化粧品や歯磨き粉等の樹脂製のチューブ容器(第1ワーク80)を収容する箱等である。
【0036】
一対の吸着部38は、アームの移動により、その吸着面が第2ワーク90の表面に密着される。吸着部38の吸着面が第2ワーク90の表面に接触し始めると、吸着部38は、その接触面が第2ワーク90の表面に押圧され、その蛇腹構造により、第2ワーク90の表面形状に合わせて変形する。これにより、一対の吸着部38の吸着面は、第2ワーク90の表面に密着する。一対の吸着部38の吸着面が第2ワーク90の表面に密着した状態で、加圧ポンプが駆動し、垂直吸着用電磁弁が開放されると、第2ワーク90の表面と吸着部38とで規定される空間の空気がエジェクタ構造を介して吸引され、第2ワーク90に対して負圧が働く。これにより、
図7に示すように、第2ワーク90を吸着によりピッキングすることができる。なお、吸着部38の吸着面の間の距離は、一対のピストンの往復移動により変動させることができる。これにより、吸着機構は、大きさ(幅または長さ)の異なる複数種類のワークを吸着によりピッキングすることができる。
【0037】
なお、ここでは、蛇腹接触部36および吸着部38の蛇腹構造は、1.5段としたが、例えば、2.5段の蛇腹構造であってもよいし、または平形構造であってもよい。このように、蛇腹接触部36および吸着部38の形状や構造は、表面形状及び可撓性の異なるワークに応じて適宜変更することができる。
【0038】
図8は、
図1のロボットシステムのブロック構成図である。
ロボットアーム機構200の関節部J1,J2,J3,J4,J5、J6には、アクチュエータとして、例えばステッピングモータが設けられている。これらステッピングモータには、モータドライバ201、203,205、207,209、211がそれぞれ電気的に接続されている。また、これらステッピングモータ201、203,205、207,209、211のドライブシャフトには、一定の回転角ごとに出力されるパルスをカウンタで加減算して角位置を測定するためのロータリーエンコーダ202,204,206,208,210,212がそれぞれ接続されている。
【0039】
ハンド装置3は、把持動作用電磁弁301と水平吸着用電磁弁302と垂直吸着用電磁弁303とを有する。これら電磁弁は、ドライバ制御部106の制御に従って、開放/閉塞される。ドライバ制御部106は、把持動作用電磁弁301の開放/閉鎖により、一対の蛇腹接触部36を互いに接近・離反する方向に移動させる。ドライバ制御部106は、水平吸着用電磁弁302の開放/閉塞により、一対の蛇腹接触部36による吸着動作を制御する。ドライバ制御部106は、垂直吸着用電磁弁303の開放/閉塞により、一対の吸着部38による吸着動作を制御する。
【0040】
動作制御装置100は、ロボットアーム機構200とハンド装置3との動作を制御する。動作制御装置100は、関節部J1−J6の動作を制御することにより手先等の注目点の移動を制御する。動作制御装置100は、ハンド装置3の各電磁弁を制御することにより、ハンド装置3の把持動作と吸着動作とを制御する。動作制御装置100は、システム制御部101と、速度センサインターフェース(I/F)102と、通過検知センサインターフェース(I/F)103と、光電センサインターフェース(I/F)104と、記憶部105と、ドライバ制御部106と、軌道決定部107とを有する。
動作制御装置100には、速度センサインターフェース102を介して速度センサ6が接続されている。速度センサ6は、搬送ライン51の速度を逐次計測し、計測した速度データを所定の間隔又はシステム制御部101の制御に呼応して動作制御装置100に対して出力する。動作制御装置100には、通過検知センサインターフェース103を介して通過検知センサ7が接続されている。通過検知センサ7は、第1ワーク搬送基準線上の所定位置を第1ワーク80が通過したとき、動作制御装置100に対して、通過検知信号を出力する。動作制御装置100には、光電センサインターフェース104を介して光電センサ92が接続されている。光電センサ92は、光を投光する投光部と光を受ける受光部から構成される。光電センサ92は、受光部に到達する光量に応じた電気信号を出力する。
【0041】
システム制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と半導体メモリ等を有し、動作制御装置100を統括して制御する。システム制御部101には、制御/データバス109を介して各部が接続されている。システム制御部101は、速度センサ6で計測した搬送ライン51の搬送速度、通過検知センサ7で検知した第1ワーク80の通過タイミング、及び光電センサ92から出力された電気信号とに従って、多関節アーム機構及びハンド装置3の動作を制御する。例えば、ロボット装置1は、システム制御部101の制御に従って、第1ワーク搬送基準線上に一列に並べられ、通過検知センサ7により検知された複数の第1ワーク80のうち、予め設定された数個置きの第1ワーク80を対象にピッキングを行う。例えば、連続する2個の第1ワーク80をスルーし、次の第1ワーク80をピッキングし、その作業が繰り返される。
【0042】
ドライバ制御部106は、モータドライバ201、203,205、207,209、211を統括して制御する。ドライバ制御部106は、システム制御部101により読み出された、または軌道決定部107により修正(決定)された指令値に応じた制御信号をモータドライバ201、203,205、207,209、211、把持動作用電磁弁301、水平吸着用電磁弁302、垂直吸着用電磁弁303対して送信する。モータドライバ201、203,205、207,209、211は、受信した指令値に応じたパルスをステッピングモータに供給する。
【0043】
記憶部105は、ロボット装置1の動作制御手順に関するタスクシーケンスデータを記憶する。タスクシーケンスデータは、ハンド装置3の把持による第1ワーク80のピッキング、ピッキングした第1ワーク80のリリース、ハンド装置3の吸着による第2ワーク90のピッキング、ピッキングした第2ワーク90のリリース、および各動作の間の手先の変位(移動)及び姿勢の、各動作に対応する各モータドライバへの指令値(関節角、伸縮長、移動時間等)に関するデータである。
【0044】
軌道決定部107は、搬送ライン51の搬送速度に基づいて移動軌道を決定する。軌道決定部107の詳細は後述する。
【0045】
次に、ハンド装置3の移動軌道について説明する。
図9は、
図4のハンド装置3の基準作業位置を順序とともに示す図である。
図9では、基準作業位置が搬送ライン51、シュータ8、シュータ9および通過検知センサ7の位置とともに示されている。タスクシーケンスデータにおいて、ハンド装置3の複数の基準作業位置がロボット座標系で規定されている。ここでは、ハンド装置3の待機位置を待機位置P
wait、第1ワーク80に対するハンド装置3の把持動作が行われる区間(以下、把持区間という。)の開始位置を把持開始位置P
p1s、把持区間の終了位置を把持終了位置P
p1e、ピッキングした第1ワーク80をリリースする位置をリリース位置P
r1、第2ワーク90が搬入位置にあるか否かを判定を開始する位置を降下位置P
down、第2ワーク90を吸着によりピッキングする位置を吸着位置P
p2、ピッキングした第2ワーク90をリリースする位置をリリース位置P
r2とする。例えば、複数の作業位置は以下のように設定されている。
【0046】
待機位置P
waitは、ライン中心線に沿った位置に関して通過検知位置より所定距離だけ下流であり、搬送ライン51の幅方向の位置に関してはライン中心線と第1ワーク搬送基準線との間に設定される。また待機位置P
waitは、その高さ(例えば搬送ライン51の表面からの鉛直距離)に関して、把持開始位置P
p1sの高さよりも高い位置に設定されている。把持開始位置P
p1sと把持終了位置P
p1sとはともに第1ワーク搬送基準線上に設定される。把持開始位置P
p1sと把持終了位置P
p1sとはともに同じ高さに設定され、搬送ライン51に載置された例えばチューブ形状の第1ワーク80の上方部分を把持するために必要な高さに調整されている。リリース位置P
r1は、搬送ライン51の外側に設置されたシュータ8上であって、把持終了位置P
p1sよりも高い位置に設定されている。
【0047】
降下位置P
downは、シュータ9の上方に設定されている。降下位置P
downの真下に吸着位置P
p2が設定されている。ハンド部3は降下位置P
downから吸着位置P
p2に鉛直に降下する。吸着位置P
p2は、搬入位置の第2ワーク90を吸着可能な位置に設定されている。ハンド装置3が降下位置P
downから吸着位置P
p2にかけて降下しているとき、システム制御部101は、光電センサ92の出力に基づいて、搬入位置に第2ワーク90が搬入されているか否かを判定する。搬入位置に第2ワーク90がないと判定されたとき、ハンド装置3は、システム制御部101の制御に従って、待機位置P
waitに戻される。一方、搬入位置に第2ワークがあると判定されたとき、ハンド装置3は、システム制御部101の制御に従って、動作が継続される。リリース位置P
r2は、吸着位置P
p2よりも下流であって、第2ワーク搬送基準線上の、搬送ライン51にピッキングした第2ワーク90が接触しないための高さに設定されている。搬送方向に関して、把持終了位置P
p1eの下流の所定位置に設定されているが、搬送ライン51の搬送速度に基づいて修正される。
【0048】
ハンド装置3は、システム制御部101の制御に従って、待機位置P
wait、把持開始位置P
p1s、把持終了位置P
p1e、リリース位置P
r1、降下位置P
down、吸着位置P
p2、リリース位置P
r2の順に、予め設定されたタクトタイムで移動され、再び待機位置P
waitに戻される。タクトタイムは、ユーザ指示に従って適宜変更が可能である。
【0049】
以下、説明の便宜上、
図9に示すように、例えば、通過検知センサ7で第1ワーク80の通過が検知された時刻を基準時刻t0として、そのt0からの経過時間としての時刻t1に把持開始位置P
p1s、時刻t2に把持終了位置P
p1e、時刻t3にリリース位置P
r1、時刻t4に降下位置P
down、時刻t5に第2ワーク90の吸着位置P
p2、時刻t6にリリース位置P
r2が既定されている。ハンド部3はこれら位置を順番に移動される。複数の作業位置のうち、待機位置P
wait、リリース位置P
r1、降下位置P
down、吸着位置P
p2、リリース位置P
r2はロボット座標系の固定位置である。一方、把持開始位置P
p1aと把持終了位置P
p1eとは搬送ライン51の搬送速度に応じて軌道決定部107により決定される。
【0050】
図10は、
図8の軌道決定部107の処理を説明するための説明図である。
図10(a)は、時刻t0におけるハンド装置3を示している。
図10(b)は、時刻t1におけるハンド装置3を示している。
図10(c)は、時刻t2におけるハンド装置3を示している。軌道決定部107は、搬送ライン51の搬送速度V
lineに基づいて、把持開始位置P
p1sと把持終了位置P
p1eとを計算する。例えば、軌道決定部107は、通過検知センサ7から第2ワーク90の通過が検出されたときの搬送ライン51の搬送速度V
lineと、待機位置P
waitから把持開始位置P
p1sまでのタクトタイム(時刻t0と時刻t1との間の時間差)とに基づいて、把持開始位置P
p1sを計算する。また、軌道決定部107は、把持開始位置P
p1sにハンド装置3が移動されたときの搬送ライン51の搬送速度V
lineと、把持開始位置P
p1sから把持終了位置P
p1eまでのタクトタイム(時刻t1と時刻t2との間の時間差)とに基づいて、把持終了位置P
p1eを計算する。
【0051】
システム制御部101は、ハンド装置3が待機位置P
waitから把持終了位置P
p1eに移動する際の移動速度の搬送方向成分V
1が搬送ライン51の搬送速度V
lineと等価になるように、ハンド装置3の移動速度V
1を修正する。ハンド装置3は、システム制御部101の制御に従って、把持開始位置P
p1sで把持動作を開始し、把持終了位置P
p1eで把持動作を終了する。これにより、把持終了位置P
p1eにおいて、第1ワーク80は、ハンド装置3に把持によりピッキングされる。
【0052】
第1ワーク80をピッキングした把持終了位置P
p1eに対応する搬送ライン51上の位置P
dは、搬送速度に従って、第1ワーク80のピッキング時刻から第2ワーク90のピッキング時刻までの間に、
図11(a)に示す位置から
図11(b)に示す位置まで移動する。この第2ワーク90のピッキング時刻t5における搬送ライン51上の位置P
dに応じて、軌道決定部107は、吸着位置P
p2からリリース位置P
r2までの移動軌道を決定する。
図11(b)に示すように、ロボット座標系において、搬送方向に関して複数、ここでは3つの到達エリアA
r1,A
r2,A
r3が上流から順に設定されている。例えば、第2到達エリアA
r2は、吸着位置P
p2から所定距離下流の位置の範囲に設定されている。第1到達エリアA
r1は、第2到達エリアA
r2の上流であって、具体的には把持終了位置P
p1eから吸着位置P
p2までの範囲に設定されている。第3到達エリアA
r3は、第2到達エリアA
r2の下流に設定されている。軌道決定部107は、時刻t2から時刻t5までの経過時間と、その間の搬送ライン51の搬送速度に基づいて、時刻t5において位置P
dが3つの到達エリアA
r1,A
r2,A
r3のうち、どのエリアに到達しているかを計算する。軌道決定部107は、計算した位置P
dが第1到達エリアA
r1または第3到達エリアA
r3に到達しているとき、搬送ライン51を搬送される第1ワーク80を跨ぐための移動軌道を設定する。軌道決定部107は、計算した位置P
dが第2到達エリアA
r2に到達しているとき、把持終了位置P
p1eでピッキングされた第1ワーク80により空いた第1ワーク80の列の間隙を横切るための、つまり、ハンド装置3が位置P
dを通過する移動軌道を設定する。
【0053】
図12は、時刻t5の時点における位置P
dが到達エリアA
r2の範囲内であるときに軌道決定部107で決定されるハンド装置3の吸着位置P
p2からリリース位置P
r2までの2種類の移動軌道を示している。2種類の移動軌道はともに、把持終了位置P
p1eでピッキングされた第1ワーク80により空いた第1ワーク80の列の間隙を横切って第2ワーク90を吸着位置P
p2からリリース位置P
r2まで搬送する軌道で、ハンド装置3が移動制御される。搬送ライン51の搬送速度が比較的遅いとき、
図12(a)に示すようにハンド装置3は、吸着位置P
p2からライン中心線と平行に少し下流の経由位置P
v1まで移動し、そこから第1ワーク80の列の間隙を横切って次の経由位置P
v2までライン中心線に対して斜めに移動し、経由位置P
v2からリリース位置P
r2まで移動する。経由位置P
v2は最終的なリリース位置P
r2よりも上流に位置する。経由位置P
v1から次の経由位置P
v2までの移動速度は、その移動速度のライン中心線と平行な速度成分が搬送ライン51の搬送速度に等価になるよう制御される。それによりピッキングした第2ワーク90を第1ワーク80の列の間隙を第1ワーク80を倒すことなく良好に横切ることができる。
【0054】
図12(b)に示すように、搬送ライン51の搬送速度が比較的速いとき、ハンド装置3は、吸着位置P
p2からライン中心線と平行に少し下流の経由位置P
v1まで移動し、そこから第1ワーク80の列の間隙を横切って次の経由位置P
v2までライン中心線に対して斜めに移動し、経由位置P
v2からリリース位置P
r2まで移動する。経由位置P
v2は最終的なリリース位置P
r2よりも下流に位置する。経由位置P
v1から次の経由位置P
v2までの移動速度は、その移動速度のライン中心線と平行な速度成分が搬送ライン51の搬送速度に等価になるよう制御される。それによりピッキングした第2ワーク90を第1ワーク80の列の間隙を第1ワーク80を倒すことなく良好に横切ることができる。
【0055】
図13は、時刻t5の時点における位置P
dが最も上流の到達エリアA
r1の範囲内であるときに軌道決定部107で決定されるハンド装置3の吸着位置P
p2からリリース位置P
r2までの移動軌道を示している。軌道決定部107は、吸着位置P
p2とリリース位置P
r2とを結んだ直線上であって、高さ方向に関して搬送ライン51に載置された第1ワーク80の高さよりも高い位置に経由位置P
vを設定する。例えば、軌道決定部107は、吸着位置P
p2とリリース位置P
r2とを結んだ直線と第1ワーク搬送基準線との交点であって、高さ方向に関して搬送ライン51に載置された第1ワーク80の高さよりも高い位置に経由位置P
vを設定する。ハンド装置3は、システム制御部101の制御に従って、吸着位置P
p2から経由位置P
vに向かって上昇しながら直線的に移動され、経由位置P
vからリリース位置P
r2に向かって下降しながら直線的に移動される。これにより、ハンド装置3は、搬送ライン51を搬送される第1ワーク80を跨いで移動される。
【0056】
図14は、時刻t5の時点における位置P
dが最も下流の到達エリアA
r3の範囲内であるときに軌道決定部107で決定されるハンド装置3の吸着位置P
p2からリリース位置P
r2までの移動軌道を示している。計算した位置P
dが到達エリアA
r3内のとき、軌道決定部107は、吸着位置P
p2とリリース位置P
r2とを結んだ直線上であって、高さ方向に関して搬送ライン51に載置された第1ワーク80の高さよりも高い位置に経由位置P
vを設定する。例えば、軌道決定部107は、吸着位置P
p2とリリース位置P
r2とを結んだ直線と第1ワーク搬送基準線との交点であって、高さ方向に関して搬送ライン51に載置された第1ワーク80の高さよりも高い位置に経由位置P
vを設定する。ハンド装置3は、システム制御部101の制御に従って、吸着位置P
p2から経由位置P
vに向かって上昇しながら直線的に移動され、経由位置P
vからリリース位置P
r2に向かって下降しながら直線的に移動される。これにより、ハンド装置3は、搬送ライン51を搬送される第1ワーク80を跨いで移動される。
【0057】
本実施形態に係るロボットシステムは、搬送ライン51を挟んで両側にロボット装置1と作業者が配置され、作業者がロボット装置1と共に協同して作業する際に用いられることを想定している。例えば、搬送ライン51上の第1ワーク80は、ロボット装置1によってピッキングされ、搬送ライン51外にリリースされ、シュータ8を介して作業者に届けられる。作業者は、シュータ8から搬出された第1ワーク80に対して作業(箱詰め)し、作業(箱詰め)した第1ワーク80(つまり第2ワーク90)をシュータ9に戻す。ロボット装置1は、シュータ9上の搬入位置に搬入された第2ワーク90をピッキングし、搬送ライン51に戻す。
【0058】
本実施形態のロボットシステムにおいて、ロボット装置1は、ロボットビジョンを用いず、速度センサ6と通過検知センサ7との出力に基づいて制御される。そのため、ロボット装置1と協同して作業を行う作業者の視覚負担を解消することができる。
【0059】
ロボットビジョンを用いないため、第1ワーク搬送基準線からズレて載置されたり、規定された向きからズレて載置された第1ワーク80に応じて姿勢を変化することはできない。そのため、ハンド装置3は、搬送ライン51にズレて載置された第1ワーク80をピッキングできない可能性がある。しかしながら、本実施形態に係るロボットシステムのハンド装置3は、蛇腹形状を有する一対の蛇腹接触部36を第1ワーク80の接触に用いることで、第1ワーク80の表面形状に合わせて接触面を第1ワーク80表面に密着させることができる。また、接触面を第1ワーク80表面に接触させるとともに、吸着動作を同時に行うことで、ハンド装置3が第1ワーク80を把持する力(摩擦力)を大きくすることができる。これにより、ハンド装置3は、
図6(b)に示すように、規定された位置または方向からズレて載置された第1ワーク80であっても、確実にピッキングすることができる。したがって、本実施形態に係るロボットシステムは、ロボットビジョンによらず高い柔軟性、弾力性、復元性を備えた第1ワーク80の把持性能を向上することができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。