【文献】
中島 浩貴,高松琴平電気鉄道(株)向けICカードシステム,東芝レビュー 第60巻 第5号,日本,株式会社東芝,2005年 5月 1日,第60巻 第5号,46〜49,ISSN 0372-0462
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ICカード等を用いた決済には、遊戯場のゲーム料の支払い、コピー機の使用料の支払い、自動販売機の支払い、または、セルフ式ガソリンスタンドでの支払いなど、レシートの印字が行われない状況、或いは、店舗の係員が近くにいない状況で、決済処理が行われる場合がある。
このような場合に決済処理の未了が発生すると、店舗の係員は未了の発生を知得することが難しい。また、決済処理の未了があったときにICカード等に電子マネーの引き出しの記録がされたか否か、店舗の係員が事後的に確認することも難しい。また、利用者が決済処理の未了を申告しても、未了時にICカード等に電子マネーの引き出しがあったか、店舗の係員が確認することが難しい。
【0006】
本発明は、レシートの印字が行われない状況、或いは、店舗の係員が近くにいない状況でICカード等の決済が行われる場合でも、決済処理の未了に適切に対処することのできる決済システムおよびその情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の決済システムは、上記目的を達成するために、
電子マネーの情報が格納されたICチップのデータの読み書きを非接触通信で行うリーダライタと、
前記リーダライタを介して前記ICチップに電子マネーを引き出した情報を書込む処理を含む決済処理の未了を判断する未了判断部と、
前記決済処理が未了と判断された場合に、未了を通知する電子的なメッセージを送信する通知部と、
前記ICチップの情報を読み出す機能、前記電子的なメッセージを受信する機能、および、画像を出力する表示部を有する携帯型端末と、
を備え、
前記通知部は、未了を通知する前記電子的なメッセージを前記携帯型端末へ送信し、
前記携帯型端末は、前記ICチップから電子マネーの情報を読み出して前記表示部に出力する情報出力処理部を備えている構成とした。
この構成においては、携帯型端末を店舗の係員に携帯させておく。これにより、レシート印字が行われない状況、或いは、店舗の係員が近くにいない状況でICカード等の決済が行われても、決済処理が未了となったときに、係員は電子的なメッセージにより決済処理の未了を知得できる。さらに、店舗の係員は、携帯型端末を用いて、ICカード等から決済処理を照会する情報を読み出して、決済処理の未了に対処することができる。
【0008】
好ましくは、前記電子的なメッセージには、未了と判断された決済処理の決済金額と決済前残高とが含まれ、
前記情報出力処理部は、前記ICチップの現在の残高情報を出力するとよい。
この構成によれば、決済処理が未了となったとき、携帯型端末を所持した係員は、電子的なメッセージから、未了となった決済処理の決済金額と決済前残高とを知得できる。さらに、係員は携帯型端末を用いてICカード等から残高情報を読み出すことができる。そして、これらから、未了となった決済処理において電子マネーの引き出しの有無を確認することができる。
【0009】
また好ましくは、前記ICチップから読み出された決済履歴の中から、前記決済処理が未了と判断された決済と一致する可能性のある決済の情報を抽出する抽出部と、
前記抽出部により抽出された情報を出力する情報出力部と、
をさらに備え
、
前記決済履歴には、各決済で前記ICチップに書き込みを行ったリーダライタを識別する識別情報が含まれ、
前記抽出部は、前記リーダライタのうち前記抽出部と同一の店舗に設置されたリーダライタに登録されている識別情報を記憶するリスト記憶部を備え、かつ、前記リスト記憶部の情報と前記決済履歴の前記識別情報とに基づいて、前記ICチップの決済履歴の情報から、他店舗の決済情報を除外して決済の情報を抽出し、
前記情報出力部は、他店舗の決済情報を出力しない構成とするとよい。
さらに、決済の情報には決済の発生日時が含まれ、
前記抽出部は、更に日時情報に基づいて、同一店舗の決済の情報の中から、前記決済処理が未了と判断された決済と一致する可能性のある決済の情報を推定及び抽出し、
前記情報出力部は、表示する決済の情報として、前記推定された決済の情報のみを出力する構成としてもよい。
この構成によれば、決済処理が未了となった後、同じICカード等で別の決済処理が行われてしまった場合に、未了となった決済処理における電子マネーの引き出しの有無を確認することができる。また、抽出部による情報の抽出により、関係のない決済の情報が出力されることを回避できる。
【0010】
さらに好ましくは、前記決済履歴には、各決済で前記ICチップに書き込みを行ったリーダライタを識別する識別情報が含まれ、
前記抽出部は、
前記識別情報に基づいて、前記ICチップの決済履歴の情報から、前記決済処理が未了と判断された前記リーダライタにより書き込まれた決済の情報または同一店舗で書き込まれた決済の情報を抽出するとよい。
この構成によれば、抽出部による情報の抽出により、未了となった決済処理の可能性のある情報を容易に抽出できる。さらに、抽出部による情報の抽出により、決済処理の未了が発生した店舗以外の決済情報の出力が抑止されるので、個人情報であるICカード等の決済履歴の中から、店舗の係員に他店舗の決済情報が開示されることを回避できる。
さらに好ましくは、前記電子的なメッセージは電子メールであるとよい。
この構成によれば、汎用的な機能を用いて、安価に、決済処理の未了を通知する電子的なメッセージを携帯型端末に送信することができる。
【0011】
また、本発明に係る情報処理装置は、
電子マネーの情報が格納されるICチップのデータの読み書きを非接触通信で行うリーダライタを用いて電子マネーを引き出した情報を前記ICチップに書込む処理を含む決済処理の未了を判断する未了判断部と、
前記ICチップの情報を読み出して表示部に出力する情報出力処理部を有する携帯型端末へ、前記決済処理が未了と判断された場合に未了を通知する電子的なメッセージを送信する通知部と、
を備える構成とした。
この構成によれば、決済処理が未了となった場合に、決済処理の未了に対処できる携帯型端末を携帯した店舗の係員に、未了を通知する電子的なメッセージを送信することができる。よって、レシート印字が行われない状況、或いは、店舗の係員が近くにいない状況でICカード等の決済処理が未了となった場合でも、係員は未了を知得でき、決済処理の未了に対処することができる。
好ましくは、前記通知部は、前記情報出力処理部が前記ICチップの現在の残高情報を出力する前記携帯型端末へ、未了と判断された決済処理の決済金額と決済前残高とが含まれる前記電子的なメッセージを送信するとよい。
この構成によれば、携帯型端末を所持した店舗の係員は、電子的なメッセージに含まれる決済金額および決済前残高と、携帯型端末を用いてICカード等から読み出した現在の残高情報とから、未了の決済処理における電子マネーの引き出しの有無を確認できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レシートの印字が行われない状況、或いは、店舗の係員が近くにいない状況でICカード等の決済が行われる場合でも、決済処理の未了に適切に対処することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る決済システムを遊戯場に適用した例を示すシステム構成図である。
本実施の形態に係る決済システムは、遊戯場のゲーム料金の支払いに、ICカード等の決済を利用可能にしたシステムである。遊戯場には、ゲーム機110が設けられている。
本実施の形態に係る決済システムは、情報処理装置10と、情報端末20と、リーダライタ35と、携帯型端末40と、を備えている。この決済システムは、インターネットなどの外部ネットワーク150を介してICカード等の管理センタ100に接続されている。ICカード等は、電子マネーの情報が格納されたICチップを有するカードや携帯電話(例えば、スマートフォン)などである。
【0015】
リーダライタ35は、ICカード等に搭載されたICチップと、例えばNFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信により、非接触通信を行ってICチップのデータの読み出しと書き込みとを行う。リーダライタ35は、ゲーム機110の決済手段として設置されている。
情報処理装置10は、管理センタ100との通信と、リーダライタ35を介したICチップのデータの読み書きとを行って、ICチップの決済処理を行う。さらに、情報処理装置10は、ICチップの決済処理に連動させてゲーム機110を開始可能にする制御を行う。情報処理装置10は、汎用のPC(Personal Computer)やタブレット端末等であってよい。
【0016】
管理センタ100は、各地の決済装置で処理されたICチップの決済情報を統括的に管理するサーバである。電子マネー決済の処理は管理センタ100で集中的に行い、ユーザーが使用する決済装置(リーダライタ35)は必要最小限の処理のみを行うことで、シンクライアント (Thin client)な決済システムを構成している。管理センタ100が店舗ごとの決済情報を集計することで、集計に基づき店舗に実際の料金が支払われる。
情報端末20は、非携帯型のコンピュータであり、独自にリーダライタ23(
図4を参照)を有し、店舗の係員が操作して、ICカード等から情報を読み出して表示したり、管理センタ100との通信を行って決済処理を行う。情報端末20は、例えば、POSレジスタなどの物品販売情報端末であってよい。
携帯型端末40は、所謂スマートフォンなどの表示部45(
図3を参照)を有する携帯型の通信端末であり、電子メールを受信する機能を有しており、店舗の係員が所持する。さらに、携帯型端末40は、非接触通信リーダ44(
図3を参照)が搭載され、NFCなどの非接触通信により、ICチップから情報を読み出す機能を有している。
【0017】
続いて、システムの各構成について詳細を説明する。
図2は、情報処理装置の内部構成を示すブロック図である。
情報処理装置10は、ネットワーク通信部11を備えている。ネットワーク通信部11は、外部ネットワーク150を介して管理センタ100と通信を行う。
情報処理装置10は、さらに、記憶部12と、制御部13と、通知部14とを備えている。記憶部12は、ゲーム機110のプログラムや各種データを格納するメモリである。制御部13は、リーダライタ35を介したICチップのデータの読み書きと、管理センタ100との通信とを行って、ICチップの決済処理を行う。また、制御部13は、ICチップの決済処理に応じて、ゲーム機110の開始可否の制御と、通知部14の制御とを行う。また、制御部13は、未了判断部としての機能を有し、決済処理が開始された後、管理センタ100から決済完了の通知が来ないままタイムアウトとなった場合に、決済処理の未了と判断する。
通知部14は、制御部13の要求に応じて、予め登録されている受信者へ、ネットワーク通信部11を介して、所定の電子メールを送信する。この電子メールは、本発明に係る電子的なメッセージの一例に相当する。
【0018】
これらによって、例えば、リーダライタ35を介してICチップの決済要求が生じたら、制御部13は、ゲーム機の料金を示す決済情報をネットワーク通信部11を介して管理センタ100に送信し、管理センタ100は決済情報の決済処理(電子マネーの引き去り等の処理)を行う。また、管理センタ100からネットワーク通信部11を介して決済処理の結果を受信したら、制御部13は、決済に対応するゲーム機の開始を許可し、記憶部12に格納されたプログラムを実行する。また、決済処理が未了となった場合には、詳細は後述するが、制御部13は、通知部14へ決済未了通知の電子メールを送信するよう指示する。
I/Oポート33には、リーダライタ35が接続される。接続されるリーダライタ35は、単数であっても複数であってもよい。制御部13は、ICチップのデータの読み書きを行うため、I/Oポート33を介して指定のリーダライタ35との間でデータおよびコマンドを入出力する。
【0019】
I/Oポート123には、ゲーム機110が接続される。接続されるゲーム機は、単数であっても複数であってもよい。複数のゲーム機が接続された場合、各ゲーム機に1対1に対応する形で複数のリーダライタ35をI/Oポート33に接続してもよく、I/Oポート33に1台のリーダライタ35だけを接続して各ゲーム機の決済を当該1台だけで行うようにしてもよい。制御部13は、I/Oポート123を介して指定のゲーム機110との間で、ゲームの開始を許可するコマンドおよびゲーム機110の状態を知らせるデータなどを入出力する。
なお、
図2の各ブロックは、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPU(中央演算処理ユニット)が制御プログラムを実行することで実現されるソフトウェア、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。
図3は、携帯型端末の内部構成を示すブロック図である。
携帯型端末40は、制御部41、無線通信部42、報知部43、非接触通信リーダ44、画像表示を行う表示部45、ボタンまたはタッチパネルなどの操作部46、および、情報出力処理部47を備えている。
【0020】
無線通信部42は、例えばセルラー通信を行い、外部ネットワーク150に接続することができる。無線通信部42は、例えばWiFi(Wireless Fidelity)通信などローカルエリアネットワークに接続する無線通信を行って情報処理装置10と通信可能に構成されてもよい。報知部43は、例えば通知音の出力、バイブレータの駆動、その他の手段により、所持者に報知を行う。非接触通信リーダ44は、ICカード等から電子マネーの情報をNFCなどの非接触通信で読み出し可能な構成である。制御部41は、無線通信部42を介して受信された電子メールを入力し、電子メールに対応した制御処理を行う。また、制御部41は、報知部43の作動制御と、操作部46の操作に応じた情報出力処理部47の制御を行う。情報出力処理部47は、非接触通信リーダ44を介してICカード等の残高を読み出して表示部45に出力する処理を行う。
図4は、情報端末の機能構成を示すブロック図である。
情報端末20は、制御部21、通信部22、リーダライタ23、表示または印字などの情報出力を行う情報出力部24、キーボードまたはマウスなどの操作部25、および、抽出部26aを有する情報出力処理部26を備えている。
【0021】
通信部22は、外部ネットワーク150または情報処理装置10のローカルネットワークに接続されて、管理センタ100と情報処理装置10と通信を行う。リーダライタ23は、ICカード等から電子マネーの情報の読み書きを行う。制御部21は、通信部22を介した通信と、操作部25の操作に応じた情報出力処理部26の起動制御と、リーダライタ23を介した決済処理等の制御を行う。情報出力処理部26は、ICカード等の決済履歴の情報を読み込み、抽出部26aに決済情報を抽出させ、これを情報出力部24から出力させる。ICカード等に保存された全決済情報を抽出させることも可能であるが、利用者の個人情報に配慮して、ICカード等の決済履歴から同一店舗内で行われた決済情報のみを抽出することが好ましい。抽出部26aは、予め、店舗内に設置されているリーダライタ35に登録されている識別情報(以下、R/W_IDと記す。)のリスト(
図9を参照)を記憶しており、これに基づいて、決済情報の抽出を行う。R/W_IDは、各地の決済装置に設けられた全てのリーダライタの中で、各リーダライタを一意に識別できる情報である。
図3および
図4の各ブロックは、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPUが制御プログラムを実行することで実現されるソフトウェア、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0022】
<動作説明>
次に、上記構成の決済システムにおいて決済処理の未了が発生したときの動作を説明する。
図5は、決済処理の未了時の処理の流れの第1例を示すシーケンス図である。
図6は、決済未了通知の内容を示すデータチャートである。
先ず、利用者がゲーム機110を指定する操作を行うことで、この操作情報が情報処理装置10およびリーダライタ35へ伝達され、情報処理装置10が決済金額を決定するなど、決済が開始される(ステップS1)。
決済が開始されると、リーダライタ35から情報処理装置10を介して決済要求が送信され、管理センタ100がこれを受信する(ステップS2)。
【0023】
決済要求を受信すると管理センタ100は、リーダライタ35へ決済開始要求を送信し、リーダライタ35はICカード等と通信が可能な決済モードとなる。ここで、リーダライタ35にICカード等が近接(タッチ)すると、管理センタ100が所定のアルゴリズムに従って情報処理装置10およびリーダライタ35を介してICカード等と通信を行って、決済処理を実行する(ステップS3)。
決済処理の終了近くになると、管理センタ100はICカード等に決済金額の引き出しデータを書き込むための書き込み要求を行う(ステップS4)。
ここで、正常に処理されれば、ICカード等に決済金額の引き出しデータが書き込まれ、ICカード等から書き込み完了の応答が管理センタ100へ送られる。その後、管理センサ100から情報処理装置10へ決済完了の通知が行われて決済処理が完了する。
【0024】
一方、
図5のフローでは、書き込みの途中のタイミングで、利用者がリーダライタ35からICカード等を離した例を示している。この場合、管理センタ100は、ICカード等から書き込み完了の応答が得られないまま、ICカード等との通信が切断される。この場合、管理センタ100は、再タッチ要求をリーダライタ35に送信する(ステップS5)。
再タッチ要求がなされると、リーダライタ35は、ICカード等の再タッチを要求および待機する動作モードとなる(ステップS6)。
ここで、ICカード等の再タッチもなく、所定時間が経過すると、管理センタ100は応答なしのため決済処理の未了と判断する(ステップS7)。また、情報処理装置10は、管理センタ100から決済完了が通知されないまま、ステップS1の決済開始から所定時間が経過すると、応答なしのため決済処理の未了と判断する(ステップS7)。
情報処理装置10の制御部13は、決済処理の未了と判断すると、通知部14に決済未了通知の電子メールを送信するよう制御する。これにより、通知部14が、予め登録されている携帯型端末40へ、所定の電子メールを送信する(ステップS8)。
【0025】
図6に示すように、決済未了通知には、管理センタ100から付与された決済IDと、決済処理の発生日時と、決済処理に使われたICカード等を一意に識別するカードIDと、決済処理の決済金額と、ICカード等の決済前残高と、決済処理に使われたリーダライタ35のR/W_IDと、が含まれる。電子メールには、これらが示される。
携帯型端末40の制御部41は、決済未了通知の電子メールを自動受信すると(ステップS9)、報知部43により所持者へ報知を行い(例えばバイブレータの作動)、また、電子メールの内容を表示部45に出力する(ステップS10)。
店舗の係員は、電子メールを見ると、決済処理の未了があったことが知得できる。また、リーダライタ35が複数ある場合でも、どのリーダライタ35で決済処理の未了があったのかを知得できる。決済処理の未了が発生すると、サービスの利用(例えば、ゲーム)が開始されない。係員は、現場へ駆けつけて、利用者に未了の説明を行い、電子マネーの引き出しがされていないか確認する旨の説明を行うことができる。
【0026】
店舗の係員は、携帯型端末40を操作して情報出力処理部47の機能を起動し、ICカード等を携帯型端末40にかざしてもらう。これにより、情報出力処理部47は、非接触通信リーダ44を介してICカード等の現在の残高を読み出し(ステップS11)、表示部45に表示する(ステップS12)。
店舗の係員は、電子メールに記載の決済前残高と、現在の残高とを比較して、電子メールに記載の決済残高の引き出しの有無を確認することができる。例えば、ICカード等の残高から引き出しがなければ、係員は利用者にその旨を説明し、改めてICカード等で決済させてゲームを開始してもらうことができる。ICカード等の残高から引き出しがあれば、係員は利用者にその旨を説明し、現金等で返金のうえ、改めてICカード等で決済させてゲームを開始してもらうことができる。
【0027】
次に、決済通知未了の電子メールの受信から店舗の係員が利用者のところへ駆けつけるまでの間に、利用者が別の決済処理を行っている場合の処理の流れを説明する。
図7は、決済処理の未了時の処理の流れの第2例を示すシーケンス図である。
図8は、ICカード等の決済履歴の一例を示すデータチャートである。
図9は、情報端末が決済履歴の情報を抽出する際に利用する店舗内R/W_IDリストを示すデータチャートである。
図5で説明したように、携帯型端末40が決済未了通知の電子メールを受信して(ステップS9)、報知および電子メールの表示(ステップS10)が行われたとする。さらに、その後、店舗の係員が利用者のところへ駆けつけて、利用者に決済処理の未了を説明したところ、決済処理の未了後にICカード等で別の決済が行われていることを確認したとする。別の決済が行われたかは、
図5のステップS11のICカード等の残高照会により、残高が合わないことにより確認してもよい。または、未了となった決済処理の日時とICカード等の最終決済の日時との照合により確認してもよい。或いは、利用者にその後に決済を行ったか尋ねて確認してもよい。
【0028】
この場合、店舗の係員は、利用者へ説明し、利用者を情報端末20のところまで案内する。そして、係員は、情報端末20を操作して情報出力処理部26を起動する。
これにより、情報端末20の情報出力処理部26は、ICカード等から決済履歴を読み出し(ステップS21)、抽出部26aが、予め登録されている店舗内のリーダライタのR/W_IDのリストに基づき、決済履歴から店舗内で行われた決済情報を抽出する(ステップS22)。
具体的には、
図8に示すように、ICカード等から読み出した決済履歴には、過去の複数の決済情報が記録されている。各決済情報には、決済ID、決済前残高、決済金額、発生日時、決済処理に使用されたリーダライタのR/W_IDなどが含まれている。抽出部26aは、
図9に示す店舗内R/W_IDリストにより、決済履歴の中から、店舗のリーダライタ35により決済処理されたものを抽出することができる。
情報端末20の抽出部26aが決済情報を抽出したら、情報出力部24により抽出された決済情報が出力される(ステップS23)。
【0029】
店舗の係員は、出力された決済情報と、決済未了通知の電子メールの情報とから、同一日時で同一R/W_IDの決済情報があるかを探し、未了の決済処理で引き出しの有無を確認することができる。そして、サービス(例えば、ゲーム)の利用がないのに残高の引き出しがあれば、現金等で返金手続きを行うなど、適切に対処することができる。
以上のように、本実施の形態の決済システムによれば、情報処理装置10が、決済処理の未了と判断した場合に、携帯型端末40へ決済未了通知の電子メールを送信する。よって、携帯型端末40を所持した店舗の係員は、決済場所の近くにいなくても、決済処理の未了があった場合に、それを知得することができる。
また、決済未了通知の電子メールには、未了の決済処理の決済額と、決済前残高の情報が含まれ、さらに、携帯型端末40によりICカード等の残高照会を行うことができる。よって、ICカード等から少ない情報を読み出して、未了の決済処理によるICカード等からの電子マネーの引き出しの有無を確認することができる。
【0030】
また、ICカード等の残高照会だけでは、未了の決済処理の照合ができない場合に、情報端末20を使用することで、ICカード等から店舗内の決済履歴を抽出して出力することができる。よって、利用者の個人情報である他店舗の決済履歴が開示されることなく、店舗の係員は、未了の決済処理の照合を行うことができる。そして、係員は、未了の決済処理に適切に対処することができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られるものではない。例えば、決済システムには、店舗の複数の係員がそれぞれ所持できるように複数の携帯型端末があってもよい。また、実施の形態では、決済処理の未了を判断する制御部13(未了判断部)と、未了の電子メールを送信する通知部14とが、1つの情報処理装置10に備わっている例を示したが、別の情報処理装置に分散して配置されてもよい。また、未了の電子メールを送信する構成は、管理センタ100にあってもよい。
【0031】
また、実施の形態では、決済履歴から店舗の決済情報を抽出して出力する例を示したが、未了の決済処理が行われたリーダライタ35で行われた決済情報のみを、決済履歴から抽出して出力してもよい。その他、時刻情報から、未了の決済処理と推定される決済情報を抽出して出力してもよい。また、このような情報の抽出を、携帯型端末で行って、抽出された情報を表示出力してもよい。
また、実施の形態では、本発明に係る電子的なメッセージとして、電子メールを示したが、例えば、宛先を指定してリアルタイムに文字情報等を送ることのできるコミュニケーション用のアプリケーションの電子的なメッセージを適用してもよい。その他、実施の形態で具体的に示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0032】
また、実施の形態では、未了判断部として、情報処理装置10の制御部13が、決済処理が開始された後、管理センタから決済完了の通知が来ないままタイムアウトとなった場合に、決済処理の未了と判断する構成を示したが、未了の判断方法は、これに限られない。例えば、決済処理の未了時に管理センタから情報処理装置に決済未了の通知を行わせる構成とした場合、この通知により未了の判断を行ってもよい。また、決済処理のうち大部分の情報処理をリーダライタが行うシステムの場合には、決済完了の通知、または、決済未了の通知は、管理センタの代わりにリーダライタが行ってもよい。
さらに、前記実施形態においては、本発明の決済システムを、遊戯場に利用した場合について説明したが、本発明の決済システムは、例えば、コピー機の使用料の支払い、自動販売機の支払い、または、セルフ式ガソリンスタンドでの支払いなど、レシートの印字が行われない状況、或いは、店舗の係員が近くにいない状況で決済が行われる設備において有効に利用することができる。