(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光通信や光計測の高速化に伴って10ps以下の光パルスの測定の要求が高まっているが、機械式可動式ミラーを用いた光相関計の応答速度は高々10〜100Hzであり、スローライト効果を用いた場合であっても、熱光学効果を用いた場合の応答速度は1〜10kHzであり、キャリアプラズマ効果を用いた場合であっても応答速度は0.1〜1GHzに過ぎない。
【0009】
そのため、従来の光相関計によれば10ps以下の光パルスの計測は可能であるが、単発パルスで計測するに十分な動作速度を得ることはできないため、可変遅延線を用いて光パルスを繰り返すことで測定動作を複数行う必要がある。
【0010】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、光相関計測の動作速度を高め、光パルスの単発パルスでの波形計測を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、光パルスの被測定光を空間領域に入射し、両方の光が重なる重なり領域を形成して自己相関又は相互相関による光相関を行わせ、この重なり領域を複数の光検出器で検出し、光強度に応じた光電流を出力する。得られた光電流の空間分布は被測定光の相関波形と対応しており、被測定光の波形を求めることができる。
【0012】
光相関で形成される光の重なり領域に対応して、複数の光検出器を配置すると、各光検出器から同時点で検出される光電流の空間的な分布は、各光相関で形成された光の重なり領域での分布を表し、また、各光検出器から順次に検出される光電流は、重なり領域の各位置における光相関の状態変化を表している。重なり領域の各位置において光相関で得られる光電流を累積して得られる光の重なり領域での光電流の分布は、被測定光の光相関波形に対応する。これによって、各光検出器から同時に検出される光電流の空間的な分布の累積によって被測定光の光相関波形を求めることによって、光相関波形から被測定光の波形を求めることができる。
【0013】
光相関で形成される光の重なり領域での分布は単一の光パルスを入射することで形成することができ、この光の重なり領域での分布を複数の光検出器で検出することができるため、従来構成のように可変遅延線を用いて被測定光を繰り返して入射することなく、一つの光パルスで波形検出が可能となる。したがって、光パルスの被測定光の波形計測を、単発パルスで行うことができる。
【0014】
本願発明の光相関器は、被測定光と重ね合わせ光とを入射し、被測定光と重ね合わせ光とを光学的に重ね合わせてなる重なり領域と、重なり領域の複数位置において、各位置における光強度に基づいて得られる光電流を出力する複数個の光検出器を重なり領域に沿ってアレイ状に配置してなる光検出部と、光電流から被測定光の波形を測定する波形測定部とを備える。
【0015】
光検出器は、二光子吸収特性(非線形吸収特性)を有するフォトデテクタを用いることができる。光パルスの強度が高く、フォトデテクタのバンドギャップの半分よりも光子エネルギーが大きい時には二光子吸収(非線形吸収)が発生し、光強度の二乗に比例した光電流が発生する。
【0016】
重なり領域において、被測定光と重ね合わせ光とが光学的に重なる場合には、被測定光又は重ね合わせ光が単独である場合よりも光強度が増し、さらに二光子吸収によって増大された光強度の二乗に比例した光電流が発生するため、相関波形が現れる。
【0017】
光導波路に対して2つの光信号を同時に入射したとき、これら2つの光信号が異なる速度を有している場合には、光導波路内において一方の光が他方の光を追い越す現象、又はすれ違う現象が生じ、特定の位置において両方の光が重なる。二光子吸収による光電流は光強度の二乗に比例するため、重なり位置での光検出器の光電流は大きく、重なり位置から離れるに従って光検出器の光電流は徐々に小さくなる。光電流の空間的な分布は2つの光信号の波形を反映するため、光電流の空間的分布から光信号の波形を求めることができる。
【0018】
波形測定部は、光検出部の複数個の光検出器の配置位置に基づいて光電流の重なり領域における空間分布を取得し、光電流の空間分布に基づいて被測定光と重ね合わせ光との光相関で得られる相関波形に基づいて被測定光の波形を形成する。
【0019】
波形測定部は、光検出部の複数個の光検出器の配置位置と各光検出器の光電流とから、重なり領域における空間分布を取得する空間分布取得部と、光電流の空間分布に基づいて被測定光と重ね合わせ光との相関波形を求め、相関波形から被測定光の波形を形成する波形形成部を備える構成としてもよい。
【0020】
重なり領域は、被測定光と重ね合わせ光とを光学的に重ね合わせて光相関による光を形成する領域であり、重ね合わせ光は、被測定光を分岐して得られる分岐光、又は被測定光よりも十分に波形幅が狭いパルス光を用いることができる。
【0021】
被測定光を分岐して得られる分岐光を重ね合わせ光とした場合には、被測定光同士を重ね合わせることになるため、自己相関による光相関となる。パルス光を重ね合わせ光とした場合には、被測定光に対してパルス光をゲート光として重ね合わせることになるため、相互相関による光相関となる。
【0022】
本願発明の光相関器は、被測定光の光相関を形成する重なり領域として、光導波路とする態様、又は空間領域とする態様とすることができる。
【0023】
[重なり領域を光導波路とする態様]
被測定光の光相関を形成する重なり領域として光導波路を用いる態様では、光導波路の両端から被測定光と重ね合わせ光を互いに伝搬方向を逆方向にして対向させて入射して光相関を行う形態、及び光導波路の同一の一端から被測定光と重ね合わせ光とを伝搬方向を同方向にして入射させ、光導波路の伝搬中に重ね合わせ光と被測定光の何れかが他方を追い越すことによって光相関を行う形態とすることができる。上記した両形態は、共に光導波路を伝搬する2つの光信号の速度を変えることによって、光導波路の伝搬中において光を重ね合わせて光相関を行わせるものである。
【0024】
(光導波路の両端から入射する形態)
光導波路の両端から入射する形態では、光相関器は、被測定光を分岐する分岐器と、分岐器で分岐した光を両端から入射する光導波路とを備える。
【0025】
重なり領域は光導波路上に形成される。光導波路において、分岐器で分岐した一方の分岐光を被測定光として一方の端部から入射し、他方の分岐光を重ね合わせ光として他方の端部から入射する。光導波路内において両端から入射した被測定光及び重ね合わせ光は逆の光伝搬方向に重ね合わされて光相関が行われる。
【0026】
光検出部は、光導波路の内部又は光導波路に隣接する位置において、光伝搬方向に沿って複数の光検出器を配置し、重なり領域の複数位置において光を検出する。
【0027】
(高精細な波形検出)
光導波路の両端から入射する形態において、重なり領域内の検出点を増加させ、光電流の検出個数を増やすことによって被測定光について高精細な波形を検出することができる。この高精細な波形検出は、重ね合わせ光として被測定光を用いることによって自己相関波形を形成する形態、及び重ね合わせ光としてパルス光を用いることによって相互相関波形を形成する形態の各形態で構成することができる。
【0028】
自己相関波形を形成する形態では、重ね合わせ光を形成する構成において、可変遅延器を用いて形成する構成、及び分散器を用いて形成する構成とすることができる。
【0029】
可変遅延器を用いて重ね合わせ光を形成する構成では、分岐器と光導波路の一方の端部との間に可変遅延器を備える。可変遅延器は遅延時間を異にする重ね合わせ光を形成し、重なり領域において、被測定光と重ね合わせ光との重ね合わせのタイミングを異ならせて複数の自己相関波形を形成する。この構成によれば、重なり領域において光電流の取得点の点数を増加することができる。
【0030】
分散器を用いて重ね合わせ光を形成する構成では、分岐器の入射側に分散器を備える。分散器は被測定光及び重ね合わせ光の時間幅を広げ、重なり領域において、被測定光と重ね合わせ光が光学的に重ね合わさる時間幅を広げて自己相関波形を形成する。この構成によれば、重なり領域において光電流の取得点の点数を増加することができる。
【0031】
相互相関波形を形成する形態では、重ね合わせるパルス光を形成する構成として、分岐器と光導波路の一方の端部との間に光増幅器及び非線形光導波路を備え、分岐器と光導波路の他方の端部との間に遅延補償用光導波路を備える。光増幅器及び非線形光導波路は、被測定光よりも時間幅の狭いパルス光を形成する。他方、遅延補償用光導波路は、光増幅器及び非線形光導波路によって生じるパルス光の遅延に合わせて被測定光を遅延させ、光導波路への入射のタイミングを合わせ、これによって重なり領域において、パルス光を重ね合わせ光として被測定光と光学的に重ね合わせ相互相関波形を形成する。
【0032】
(光導波路の一端から入射する形態)
光導波路の一端から入射する形態として第1の形態、及び第2の形態とすることができる。
【0033】
光導波路の一端から入射する第1の形態では、光相関器は、被測定光を分岐する分岐器と、分岐器で分岐した一方の被測定光を波長変換又は偏波変換する変換器と、分岐器で分岐した一方の被測定光と、変換器の光を重ね合わせ光として合波する合波器と、合波器で合波した被測定光及び重ね合わせ光を入射する光導波路を備える。
【0034】
重なり領域は光導波路上に形成される。光導波路としては、異なる波長、異なる偏光などに対して光の伝搬速度が異なるものを用いる。これにより、光導波路内において、重ね合わせ光が被測定光を追い越すことで重ね合わせを行い自己相関波形を形成する。光検出部は、複数の光検出器を光導波路の内部、又は光導波路に隣接する位置に光伝搬方向に沿って配置し、重なり領域の複数位置において光を検出する。
【0035】
光導波路の一端から入射する第2の形態は、光相関器は、被測定光を分岐する分岐器と、分岐器で分岐した一方の被測定光をパルス圧縮するパルス圧縮器と、分岐器で分岐した一方の被測定光と、パルス圧縮器の光を重ね合わせ光として合波する合波器と、合波器で合波した被測定光及び前記重ね合わせ光を入射する光導波路を備える。
【0036】
重なり領域は光導波路上に形成される。光導波路内において、重ね合わせ光が被測定光を追い越すことで重ね合わせを行って相互相関波形を形成する。光検出部は、複数の光検出器を光導波路の内部、又は光導波路に隣接する位置に光伝搬方向に沿って配置し、重なり領域の複数位置において光を検出する。
【0037】
(光導波路で重ね合わせを行う他の態様)
光導波路で重ね合わせを行う他の態様は、複数の光検出器を重なり領域に沿ってアレイ状に配置する構成に代えて、複数個の重なり領域を構成し、各重なり領域に光検出器を配置する構成である。
【0038】
この態様の光相関器は、被測定光を2分する第1の分岐器と、第1の分岐器で分岐した一方の被測定光を複数に分岐する第2の分岐器と、第1の分岐器で分岐した他方の被測定光を複数に分岐する第3の分岐器とを備え、第2の分岐器で分岐した光と第3の分岐器で分岐した光を両端から入射する複数の分岐光導波路とを備える。
【0039】
複数の各分岐光導波路はそれぞれ光検出部を備える。各分岐光導波路において、分岐光導波路の内部、又は分岐光導波路に隣接する位置であって、分岐光導波路の中央からの距離が順に異なる位置に光検出器を配置し、各分岐光導波路の重なり領域の複数位置において光を検出する。
【0040】
(フォトデテクターの出力補償)
重なり領域を光導波路で形成する構成において、一般に光導波路の入射端側に配置された光検出器の光電流は入射端から離れた位置に配置された光検出器の光電流よりも強度が大きくなるため、配置位置による光電流の強度差を補償するために、光導波路において入射端から離れた位置に配置する光検出器の伝搬方向の幅を入射端側に配置する光検出器の伝搬方向の幅よりも幅広とする。
【0041】
光導波路の両端から光を入射する場合には、光導波路の中央部側に配置する光検出器の伝搬方向の幅を光導波路の両端側に配置する光検出器の伝搬方向の幅よりも幅広とする。また、光導波路の一方の端部から2つの光を入射する場合には、光導波路の入射端から離れた位置に配置する光検出器の伝搬方向の幅を光導波路の入射端側に配置する光検出器の伝搬方向の幅よりも幅広とする。
【0042】
[空間領域で重ね合わせを行う態様]
被測定光の光相関を形成する重なり領域として空間領域を用いる態様では、平行ビームの被測定光及び重ね合わせ光を空間伝搬させ、入射面に対して所定の入射角度で重ね合わせる空間領域を重なり領域とする。
【0043】
重なり領域において、被測定光及び重ね合わせ光を時間差を有して重ね合わせることで光相関を行わせる。光検出部は、複数の光検出器を重なり領域において光が順に重ね合わさる方向に沿って配置し、重なり領域の複数位置の光を検出する。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、本願発明の光相関器によれば、光相関計測の動作速度を高め、光パルスの単発パルスでの波形計測が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本願発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。以下、
図1を用いて本願発明の光相関器の概略構成例を説明し、
図2〜
図15を用いて光を重ね合わせる重なり領域を光導波路とする構成を説明し、
図16を用いて光を重ね合わせる重なり領域を空間領域とする構成を説明する。
図2〜
図15において、
図2〜
図13は本願発明の光相関器において光導波路の両端部から光を入射する構成例を示し、
図14,15は本願発明の光相関器において光導波路の片方の端部から光を入射する構成例を示している。
図17は二光子吸収フォトダイオードにより検出される光電流値の計算例を示している。
【0047】
[光相関器の概略構成例]
図1は本願発明の光相関器の概略構成を説明するための図である。光相関器1は、波形の測定を行う被測定光Aと、被測定光Aとの光学的な重ね合わせによる光相関で得られる重畳光を複数個の光検出器3aで検出し、得られた光電流によって被測定光の波形を求める。ここで、被測定光との重ね合わせによって光相関を得るための他方の光を「重ね合わせ光」とし、図では被測定光Aに対して重ね合わせ光Bで表記する。重ね合わせ光は、被測定光の分岐光、あるいは被測定光よりも波形幅が狭いパルス光とすることができ、被測定光の分岐光を用いた場合の光相関は自己相関であり、パルス光を用いた場合の光相関は相互相関となる。
【0048】
図1において、被測定光Aと重ね合わせ光Bを同方向から入射した際に両光の速度が異なる場合には、一方の光が他方の光を追い越す現象が発生し、又、被測定光Aと重ね合わせ光Bとを互いに逆方向から入射した場合には、両方の光が互いにすれ違う現象が発生し、重なり領域2において空間的に両方の光が重なる。重なり領域2では、被測定光Aと重ね合わせ光Bとの光相関によって光強度が空間的に分布し、この光強度の空間的分布は光の移動と共に変化する。
【0049】
光相関器1は、光検出部3と、光検出部3で得られる光電流から被測定光Aの波形を形成する波形測定部4とを備える。
【0050】
光検出部3は、重なり領域2の複数位置において、複数個の光検出器3aを重なり領域に沿ってアレイ状に配置して構成され、各光検出器3aは各配置位置における光強度に基づいて光電流(P1〜P9)を出力する。なお、
図1では、光検出器3aを9個配置した例を示しているが、一例であって配置個数は任意に定めることができる。
【0051】
波形測定部4は、光検出部3の複数個の光検出器3aの配置位置に基づいて光電流の重なり領域2における空間分布を取得し、光電流の空間分布に基づいて被測定光Aと重ね合わせ光Bとの光相関で得られる相関波形に基づいて被測定光Aの波形を形成する。
【0052】
なお、波形測定部4は、光検出部3の複数個の光検出器3aの配置位置と各光検出器3aの光電流とから、重なり領域2における光電流の空間分布20を取得する空間分布取得部4aと、光電流の空間分布20に基づいて被測定光Aと重ね合わせ光Bとの相関波形21を求め、相関波形21から被測定光Aの波形22を形成する波形形成部4bを備える構成としてもよい。波形形成部4bは、光電流の空間分布20の点データから補間処理によって連続データを取得する補間処理部を備える構成とすることができる。
【0053】
[重なり領域を光導波路とする構成]
以下、
図2〜
図15を用いて、光相関器において、被測定光の光相関を形成する重なり領域を光導波路とする態様について説明する。
【0054】
被測定光の光相関を形成する重なり領域として光導波路を用いる態様では、光導波路を伝搬する2つの光信号の速度を変える形態として、光導波路の両端から被測定光と重ね合わせ光を互いに伝搬方向を逆方向にして対向させて入射して光相関を行う形態、及び光導波路の同一の一端から被測定光と重ね合わせ光を伝搬方向を同方向にして入射させ、光導波路の伝搬中に重ね合わせ光と被測定光の何れかが他方を追い越すことによって光相関を行う形態とすることができる。
【0055】
(光導波路の両端から入射する形態)
以下、重なり領域を光導波路とする光相関器1Aについて、
図2〜
図13を用いて光導波路の両端から被測定光及び重ね合わせ光を入射する形態について説明し、
図2〜
図6を用いて概略構成を説明し、
図7〜
図11を用いて波形測定を高精度に行う第1の構成例〜第4の構成例を説明し、
図12,13を用いて更に別の構成例を説明する。
【0056】
図2は光導波路の両端から光を入射する形態の概略構成を説明するための図である。
図2は光検出部3の概略構成を示している。光検出部3は、SOI基板3bに形成した光導波路3cの伝搬方向に沿って、光導波路3c上あるいは光導波路3cに隣接させて複数の光検出器3a(3a1〜3an)をアレイ状に配置する。
【0057】
光検出器3aは、nドープ領域3nとpドープ領域3pとを、両ドープ領域の隣接部が光導波路3c上となるように形成し、nドープ領域3n側に直流電源を接続し、pドープ領域3p側に電流検出器を接続する。
【0058】
光導波路3cの両端にはスポットサイズ変換器3dが設けられる。スポットサイズ変換器3dは、レンズ3eを通して入射された光を光導波路3cの光路幅に変換した後、光導波路3cに入射する。
【0059】
図3は光導波路の両端から光を入射した場合の光相関を説明するための図である。ここでは、光パルスAと光パルスBを光導波路3cの両端から入射させた場合において、光相関の時間変化を模式的に示し、実線は光パルスAを示し、破線は光パルスBを示し、両光パルスが重なる部分を地模様で示している。
【0060】
光導波路3c中の濃淡表示は、各光パルスA,B及び両光パルスの光相関を光検出して得られる光電流の大きさを表し、濃い部分は淡い部分よりも光電流が大きいことを表している。
【0061】
図3(a)〜
図3(h)は、左方から入射し右方向に伝搬する光パルスAと右方から入射し左方向に伝搬する光パルスBが光導波路3cの中央側で重なり、その後、離れて互いに反対側の端部方向に向かって伝搬する状態を示している。
図3(e)は光パルスAと光パルスBとが重なった状態を示している。
図3(i)は、各時点の光電流を光導波路の伝搬方向について累積して得られる電流分布を示しており、この電流分布は光パルスの波形を表している。
【0062】
図3は、光導波路3cの全領域について連続的に光電流を求めた際に得られる状態を示している。
【0063】
本願発明の光相関器は、
図2に示す様に光導波路3cの伝搬方向に沿って複数の光検出器3aをアレイ状に離散的に配置した構成であるため、
図3の様に連続的に光電流を検出することはできない。
【0064】
図4は、複数の光検出器3aをアレイ状に離散的に配置した構成について示している。
図4(a)、(b)は光導波路に対する光の入射について概略構成及び詳細構成を示している。
【0065】
図4(a)において、光入力を第1の分岐器6で分岐して二つの分岐光とし、一方の分岐光を光路7aを介して光導波路3cの一方の端部に入射し、他方の分岐光を光路7bを介して光導波路3cの他方の端部に入射する。
【0066】
図4(b)において、第1の分岐器6、光路7a,7b、光導波路3c、及び光検出器3aをSOI基板上に形成する。第1の分岐器6はシリコンフォトニクスの細線導波路によって構成し、導波路3cはフォトニック結晶スローライト導波路で構成し、光検出部3(3A)はフォトニック結晶スローライト導波路に複数個のpnダイオードを集積して分布型二光子吸収フォトダイオードを構成して光検出器3aを形成することができる。
【0067】
図5は、
図3と同様に、光導波路の両端から光を入射した場合の光相関を説明するための図であり、複数の光検出器3aは光導波路3cの伝搬方向に沿ってアレイ状に配置される。
図5(a)〜(h)は、
図3(a)〜(h)の光パルス及び光電流の状態と対応している。
【0068】
図5の光導波路3c内の斜線を施した矩形形状は光検出器3aを模式的に示している。複数の光検出器3aは、光パルスA、光パルスB、及び両光パルスの重なりの光を検出し、各配置位置における光の光強度に応じた光電流を出力する。光検出器3aは、二光子吸収特性によって、光強度の二乗に比例した光電流を出力する。
【0069】
図5(i)の×印は、各時点の光電流を光導波路の伝搬方向について、各光検出器3aの光電流を累積して得られる電流分布を示している。
図5(i)中の×印で示す電流分布は、光検出器3aの配置に対応した離散値な分布である。これらの離散値を補間処理することによって連続的な電流分布とし、これによって被測定光の波形を求めることができる。
図5(i)中の曲線は、離散的な電流値分布から求められる連続的な電流分布を示している。
【0070】
(光検出器(フォトデテクター)の出力補償)
光検出器(フォトデテクター)のバンドギャップよりも短波長の光パルスを光導波路に入射すると、入射端近くから徐々に吸収され光電流が発生する。
【0071】
このような短波長に対しては大きな光吸収が発生するため、光は導波路内部には到達せずに消滅する。また、アレイ状の光検出器に生ずる光電流の分布も、光パルス形状を反映したものとはならない。一方、バンドギャップよりも長波長光パルスを光導波路に入射すると、上記したような光吸収が起こらないため、光電流も発生しない。しかし、光パルスの強度が高い場合に、非線形吸収である二光子吸収が起こり、これによる光電流が発生する。このような吸収は一般には強くないので、光パルスは二光子吸収を受けながらも光導波路を伝搬し、光強度の二乗に比例する光電流を発生させる。この場合、二つの光パルスの追い越しや、すれ違いによって、部分的に光パルスが重なると、大きな光電流が発生する。これが結果的に、アレイ状の光検出器に生じる光電流の分布が、光パルスの相関波形に対応する原理となる。ただし、このような光吸収の場合も、光は徐々に吸収されるので、一般に光導波路の入射端側に配置された光検出器の光電流は、入射端から離れた位置に配置された光検出器の光電流よりも大きくなる。
【0072】
図6は光導波路に配置した光検出器の光電流の出力特性を示している。
図6(a)〜(d)は光導波路の両端から同波形の光パルスを入射した場合であり、
図6(e)〜(h)は光導波路の一方の端部から同波形の光パルスを入射した場合であり、それぞれ光導波路に配置した光検出器の配置、及び光電流の出力特性を示している。
【0073】
図6(a)は光検出器3aの伝搬方向の幅を同一とした構成(3α)を示し、
図6(b)は構成(3α)の両端から入射して得られる光電流の分布特性を示している。また、
図6(e)は光検出器3aの伝搬方向の幅を同一とした構成(3α)を示し、
図6(f)は構成(3α)の一方の端部から2つの光を入射して得られる光電流の分布特性を示している。
【0074】
光検出器3aの伝搬方向の幅を同一とした構成(3α)では、
図6(b)及び
図6(f)の光電流の分布特性が示す様に、光導波路に配置した光検出器で得られる光電流は入射端から遠ざかる程光電流が小さくなるため、得られる光電流の分布特性は入射端部側の電流値が大きくなり、電流分布に誤差が生じる。
【0075】
光導波路における光検出器の光電流の強度差を補償するために、入射端から遠くに配置する光検出器の伝搬方向の幅を入射端側に配置する光検出器の伝搬方向の幅よりも幅広とする。
【0076】
図6(c)は光検出器3aの伝搬方向の幅を両端側よりも中央部側を幅広とする構成(3β)を示し、
図6(d)は構成(3β)の両端から入射して得られる光電流の分布特性を示している。また、
図6(g)は光検出器3aの伝搬方向の幅を入射端側よりも出射端側を幅広とする構成(3γ)を示し、
図6(f)は構成(3γ)の一方の端部から2つの光を入射して得られる光電流の分布特性を示している。
【0077】
入射端から遠くに配置する光検出器3aの伝搬方向の幅を入射端側に配置する光検出器3aの伝搬方向の幅よりも幅広とする構成(3β、3γ)とすることによって、
図6(d)及び
図6(h)の光電流の分布特性が示す様に、入射端から離れて配置された光検出器が検出する光電流の強度の低下を抑制して電流分布の誤差を補償する。
【0078】
なお、光検出器の伝搬方向の幅を幅広とする構成において、入射端からの距離に応じて直線的に広げる構成に限られるものではなく、光検出器の出力特定に基づいて広げる構成としてもよい。
【0079】
以下、被測定光の波形を高精細に求める第1の構成〜第3の構成について
図7〜
図9を用いて説明する。
【0080】
(第1の高精細構成)
図7を用いて被測定光の波形を高精細に求める第1の構成について説明する。
図7(a)は第1の構成の概略を説明するための図である。
図7(a)において、光入力を第1の分岐器6で分岐して二つの分岐光とし、一方の分岐光を光路7aを介して光導波路3cの一方の端部に入射し、他方の分岐光を光路7b及び光路7bに設けた可変遅延器8を介して光導波路3cの他方の端部に入射する。
【0081】
可変遅延器8は、光路7bを介して光導波路3cの端部に入射する光のタイミングを、光路7aを介して光導波路3cの他方の端部に入射する光よりもΔt分だけ遅くする。一方の端部から入射する光のタイミングをΔtだけ遅らせることによって、光導波路3c内で2つの光が重なりあう位置をずらせることができる。
【0082】
図7(b)はΔt=0として遅延がない場合を示し、
図7(c),(d)はそれぞれ遅延分ΔtがΔt1及びΔt2である場合を示し、光導波路3c内において2つの光が重なり合う位置がずれていることを示している。
【0083】
図7(e),(f),(g)は、
図7(b),(c),(d)の光の重なり状態で検出される光電流の空間分布を示している。
図7(h)は、
図7(e),(f),(g)の各光電流の空間分布を重ね合わせて状態を示している。位置ずれした複数の光の重なりから得られる光電流の電流値は、
図7(e)の光電流の電流値を空間的に補間するものとなり、被測定光の波形を高精細に求めることができる。
【0084】
(第2の高精細構成)
図8を用いて被測定光の波形を高精細に求める第2の構成について説明する。
図8(a)は第2の構成の概略を説明するための図である。
図8(a)において、分散器9を通した光入力を第1の分岐器6で分岐して二つの分岐光とし、一方の分岐光を光路7aを介して光導波路3cの一方の端部に入射し、他方の分岐光を光路7bを介して光導波路3cの他方の端部に入射する。
【0085】
分散器9は光入力の信号幅を既知の割合だけ広げる。入射する光入力の信号幅を広げることによって、光導波路3c内で2つの光が重なりあう範囲を伝搬方向に広げ、光検出を行う光検出器の個数を増加させる。
【0086】
図8(b),(c)は分散器を通すこと無く、光入力をそのまま光導波路3cに入射したときの光の重なり状態を示し、
図8(d),(e)は分散器を通して信号幅を広げた光入力を光導波路3cに入射したときの光の重なり状態を示している。
【0087】
図8(f),(g)は、
図8(c),(e)の光の重なり状態で検出される光電流の空間分布を示している。
図8(g)の光電流の検出点の点数は、
図8(f)の光電流の検出点の点数よりも増大しているため、
図8(f)の光電流の電流値を空間的に補間するものとなり、被測定光の波形を高精細に求めることができる。
【0088】
(第3の高精細構成)
図9を用いて被測定光の波形を高精細に求める第3の構成について説明する。
図9(a)は第3の構成の概略を説明するための図である。
図9(a)において、二つの光検出部3A,3Bを並設し、両光検出部3A,3Bの光導波路の一端に第1の分岐器6で分岐した分岐光の一方を入射し、両光検出部3A,3Bの光導波路の他端に第1の分岐器6で分岐した分岐光の他方を入射する。また、光検出部3A,3Bは、光導波路3cの伝搬方向に沿って配置する複数の光検出器の配置位置をずらしておく。
【0089】
両光検出部3A,3Bの光導波路に入射する分岐光のタイミングを合わせることによって、両方の光導波路の光の重なり状態は同じ分布となる。また、光検出部3A,3Bの光検出器の配置位置をずらすことによって、光の重なり状態を検出する検出点を増加させることができる。
【0090】
図9(b),(c)は二つの光検出部3A,3Bの光の重なり状態で検出される光電流の空間分布を示している。同じ光電流の空間分布について、
図9(b)に示す光電流の検出点の検出位置と、
図9(c)に示す光電流の検出点の検出位置は重なること無く、互いに補間する関係になり、被測定光の波形を高精細に求めることができる。(
図9(d))
【0091】
(相互相関による構成例)
上記した各構成例は、本願発明の光相関器において自己相関による光相関を行う例を示している。次に、本願発明の光相関器において相互相関による光相関を行う例について
図10,11を用いて説明する。
【0092】
図10は相互相関による光相関による構成を説明するための図である。
図10において、光入力を第1の分岐器6で分岐して二つの分岐光とし、一方の分岐光を光路7a及び光路7aに設けた遅延補償用ファイバ12を介して光導波路3cの一方の端部に入射し、他方の分岐光を光路7b及び光路7bに設けた光増幅器10、非線形ファイバ11を介して光導波路3cの他方の端部に入射する。
【0093】
光増幅器10及び非線形ファイバ11は、スペクトルを広げてパルス圧縮を行う構成であり、遅延補償用ファイバ12は光増幅器10及び非線形ファイバ11によって生じるパルス光の遅延に合わせて被測定光を遅延させ、光導波路3cへの入射のタイミングを合わせ、これによって重なり領域において、パルス光を重ね合わせ光として被測定光と光学的に重ね合わせ相互相関波形を形成する。
【0094】
図11(a)において、一方の端部から被測定光Aを入射し、他方の端部から光パルスCを入射する。
【0095】
図11(b)〜
図11(f)は、光の重なり状態を示している。光パルスCは被測定光Aに対してゲート光として重ね合わさるため、相互相関による光相関が得られる。
図11(g)は光の重なり状態で検出される光電流の空間分布を示している。
図11(g)において、c,d,e,fは、それぞれ
図11(b)〜(f)における光電流の値を示している。
【0096】
(他の構成例)
次に、本願発明の光相関器のその他の構成例について
図12,13を用いて説明する。
図12は概略構成を示し、
図13は光の重なり状態、及び各光検出器の検出状態を示している。
【0097】
光導波路で重ね合わせを行う他の構成として、前記した複数の光検出器を重なり領域に沿ってアレイ状に配置する構成に代えて、複数の分岐光導波路のそれぞれに重なり領域を構成し、各分岐光導波路において中央からの距離を異ならせた位置に光検出器を配置し、これら各光検出器によって相関波形を得る構成とすることもできる。
【0098】
図12において、光相関器1Bは、被測定光を2分する第1の分岐器6と、第1の分岐器6で分岐した一方の被測定光を複数の分岐光に分岐する第2の分岐器13と、第1の分岐器6で分岐した他方の被測定光を複数の分岐光に分岐する第3の分岐器14とを備え、第2の分岐器13で分岐した分岐光と第3の分岐器14で分岐した分岐光を両端から入射する複数の分岐光導波路15a〜15nとを備える。
【0099】
複数の分岐光導波路15a〜15nは第2の分岐器13及び第3の分岐器14に接続され、それぞれの中に重なり領域が形成される。各分岐光導波路は長さが同一でも、異なっていてもよい。光検出部3は、各分岐光導波路15a〜15nにおいて、分岐光導波路の内部、又は分岐光導波路に隣接する位置であって、分岐光導波路のそれぞれの中央からの距離が順に異なる位置に光検出器3a1〜3anを配置し、各分岐光導波路の重なり領域の複数位置において光を検出する。1つの分岐光導波路15aには、その導波路の中央の位置に1つの光検出器3a1が配置される。その他の分岐光導波路15bには2つの光検出器3a2が配置される。光検出器3a2は、その導波路の中央の位置から等距離の位置に配置される。分岐光導波路15c(図示していない)は、その中央から等距離の位置に2つの光検出器3a3(図示していない)〜3anが配置される。光検出器3a2〜3anは、各分岐光導波路15b〜15n間において、各導波路の中央からの距離が異なる。また、各分岐光導波路15b〜15nにおいては、それぞれの光検出器3aは各導波路の中央から等距離に配置される。
【0100】
なお、
図12に示す構成では、光路長が最も短い分岐光導波路15aに1つの光検出器3a1を配置する構成例を示しているが、2つの光検出器3a1を中央から等距離に配置する構成としてもよい。
【0101】
図13において、(a)〜(h)は複数の分岐光導波路における光の重なり状態の時間変化を時間経過順に示している。(i)は光の重なり領域を光検出器が検出して得られる光電流分布を示している。ここでは、4つの分岐光導波路について示し、一方の入射端(図の左方側)からの入射光を実線で示し、他方の入射端(図の右方側)からの入射光を破線で示し、縦の細い破線は各光検出器の位置を示している。(i)は(a)〜(h)の光の重なり領域について各光検出器の出力を累積した光電流の分布を示している。なお、(i)は、図示していない光検出器の光電流についても示している。光相関器1Bの構成によれば、被測定光の波形を求めることができる。ここでは各分岐導波路の長さが異なる場合を示しているが、必ずしもその必要はなく、一部、または全ての導波路の長さが等しくてもよい。
【0102】
(光導波路の片端から光を入射する構成)
以下、重なり領域を光導波路とする光相関器1Aについて、
図14、15を用いて光導波路の片端から被測定光及び重ね合わせ光を入射する形態について説明する。
【0103】
図14(a)は光導波路の片端から被測定光及び重ね合わせ光を入射する構成の概略を説明するための図である。
図14(a)において、光入力を第1の分岐器6で分岐して二つの分岐光とし、一方の分岐光を光路7cを介して合波器16に入射し、他方の分岐光を光路7dに設けた波長変換器17又は偏波変換器18の変換器、あるいはパルス圧縮器19を介して合波器16に入射する。
【0104】
光導波路が備える波長依存性や偏波依存性によって、波長変換、偏波変換、パルス圧縮によって光導波路内での群速度が異なる場合には、同じ一端から入射した被測定光と重ね合わせ光とは伝搬中に重ね合わせが生じ、光相関が得られる。波長変換器17又は偏波変換器18の変換器、あるいはパルス圧縮器19は、光導波路内3cでの群速度を異ならせる。
図14(b)は波長変換の例を示し、例えば、被測定光の波長λ1を波長λ2に波長変換する。
図14(c)は偏波変換の例を示し、
図14(d)は波長を変換しながらパルス圧縮する例を示している。
図15(a)は異なる波長を用いた光相関の例を示し、
図15(b)は異なる波長に変換されパルス圧縮されたパルス光を用いて光相関の例を示している。
【0105】
[光の重ね合わせを空間領域で行う構成]
次に、光相関器において、被測定光の光相関を形成する重なり領域を空間領域とする態様について説明する。
【0106】
被測定光の光相関を形成する重なり領域として空間領域を用いる態様では、平行ビームの被測定光及び重ね合わせ光を空間で伝搬させ、互いに入射面に対して所定の入射角度で空間内で重ね合わせる。これにより重なり領域は空間領域となる。
【0107】
図16は、光の重ね合わせを空間領域で行う構成を説明するための図である。
図16(a)において、平行ビームの被測定光A及び重ね合わせ光Bを空間内を伝搬させ、重なり領域2に対して所定の入射角度で入射させる。重なり領域2に対して射角を有して入射した光は、重なり領域2の一方の端部から他方の端部に沿って光ビームが到達する時間にずれが生じる。
【0108】
被測定光A及び重ね合わせ光Bは重なり領域2に対して所定の入射角度で入射するため、被測定光及び重ね合わせ光は重なり領域内において時間差を有して重ね合わさる。この時間差を有した重ね合わせによって光相関が行われる。光検出部3は、重なり領域2に沿って複数の光検出器3aを重なり領域において光が順に重ね合わさる方向に沿って配置し、重なり領域2の複数位置での光を検出する。
【0109】
図16(b)〜(f)は、被測定光Aと重ね合わせ光Bの重なり状態の時間変化を示している。互いに対向する方向に入射した被測定光Aと重ね合わせ光Bは、重なり領域2の中央付近で重なりが生じ、光相関による波形を前記した光導波路を用いた構成と同様に得ることができる。
【0110】
図17は、同形状の二つの光パルスを長さ200ミクロン、群屈折率20の光導波路の両端から同時に入射したときに得られる二光子吸収フォトダイオードの光電流値の計算例を示している。
【0111】
図17では、パルスの半値全幅がそれぞれ1ps、2ps、5ps、及び10psの光パルスについて得られる光電流値の空間分布例を、光導波路の位置(μm)を横軸にとり、規格化電流を縦軸にとって示している。なお、光電流は背景電流を含んでいるため、0値となっていない。
【0112】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨に基づいて種々変形することが可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。