特許第6585419号(P6585419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585419
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】出力軸、減速機および減速機付モータ
(51)【国際特許分類】
   F16D 1/06 20060101AFI20190919BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20190919BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20190919BHJP
   F16H 55/17 20060101ALI20190919BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   F16D1/06 210
   F16H1/16 Z
   F16H1/06
   F16H55/17 A
   F16D1/06 200
   H02K7/116
【請求項の数】14
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-158272(P2015-158272)
(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-36797(P2017-36797A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113791
【氏名又は名称】マブチモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】佐谷 務
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−339906(JP,A)
【文献】 特開2012−225430(JP,A)
【文献】 実開昭51−17655(JP,U)
【文献】 特開2012−229724(JP,A)
【文献】 特開2010−121738(JP,A)
【文献】 特開2013−43521(JP,A)
【文献】 特開2008−57629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 1/00− 9/10
F16H 1/00− 1/26
F16H 51/00− 55/30
H02K 7/00− 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速機に用いられる出力軸であって、
軸部材と、該軸部材に固定される出力部材と、を備え、
前記軸部材は、
周方向に交互に並ぶとともに軸方向に延びている山部と谷部とからなるセレーション部と、
軸方向と交差する環状の第1端面に間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部または複数の第1凹部と、
第1部分と該第1部分に連続している第2部分と、を有し、
前記出力部材は、
前記セレーション部と係合するように軸方向に延びている複数の溝と、
前記第1端面と対向する第2端面に間隔を置いて環状に形成され、前記複数の第1凸部または前記複数の第1凹部と係合するように形成された複数の第2凹部または複数の第2凸部と、を有し、
前記第1部分に固定されており、
前記セレーション部は、前記第1部分の外周部に形成されており、
前記第1端面は、前記第1部分と前記第2部分との間の段差であり、
前記出力部材は、
該出力部材の中心に形成された、前記第1部分が進入する孔と、
外周部に形成された複数の歯と、
前記孔の内周に形成された前記複数の溝と、を有することを特徴とする出力軸。
【請求項2】
前記出力部材は、前記孔の中心と前記歯との間に前記溝が形成されていることを特徴とする請求項に記載の出力軸。
【請求項3】
前記軸部材は、前記複数の第1凸部を有し、
前記出力部材は、前記複数の第2凹部を有し、
前記出力部材は、前記孔の中心と前記歯との間に前記第2凹部が形成されていることを特徴とする請求項またはに記載の出力軸。
【請求項4】
前記軸部材は、前記第1部分の軸中心と前記第1凸部との間に前記セレーション部の前記山部が形成されていることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の出力軸。
【請求項5】
前記出力部材は、前記孔の中心と、前記歯と前記歯との間の歯底と、の間に前記第2凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の出力軸。
【請求項6】
前記第1部分は、前記出力部材の前記孔から突出した先端部が変形した係止部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の出力軸。
【請求項7】
減速機に用いられる出力軸であって、
軸部材と、該軸部材に固定される出力部材と、を備え、
前記軸部材は、
周方向に交互に並ぶとともに軸方向に延びている山部と谷部とからなるセレーション部と、
軸方向と交差する環状の第1端面に間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部または複数の第1凹部と、
第1部分と該第1部分に連続している第2部分と、を有し、
前記出力部材は、
前記セレーション部と係合するように軸方向に延びている複数の溝と、
前記第1端面と対向する第2端面に間隔を置いて環状に形成され、前記複数の第1凸部または前記複数の第1凹部と係合するように形成された複数の第2凹部または複数の第2凸部と、を有し、
前記セレーション部は、前記第1部分の内周部に形成されており、
前記第1端面は、前記第1部分の前記出力部材と接する面であり、
前記出力部材は、
該出力部材の中心に形成された、前記第1部分に進入する進入部と、
前記進入部の外周に形成された前記複数の溝と、を有することを特徴とする出力軸。
【請求項8】
前記軸部材および前記出力部材は、焼結金属からなることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の出力軸。
【請求項9】
前記出力部材は、浸炭焼き入れされたものであることを特徴とする請求項に記載の出力軸。
【請求項10】
前記セレーション部は、前記山部の数が、前記歯の数の整数倍であることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の出力軸。
【請求項11】
減速機に用いられる出力軸であって、
第1部分と該第1部分に連続している第2部分とを有する軸部材と、
前記軸部材の前記第1部分に固定されている出力部材と、を備え、
前記出力部材は、
該出力部材の中心に形成された、前記第1部分が進入し該第1部分の先端が突出する孔を有し、
前記軸部材は、
前記第1部分の前記先端が前記出力部材の前記孔から突出した状態で、前記先端が前記出力部材に固定されるとともに、前記第1部分と前記第2部分との境界近傍の領域が前記出力部材と固定されており、
前記出力部材と固定された状態で、前記第1部分のうち前記先端と前記境界近傍の領域との間において前記出力部材とクリアランスが形成されるように構成されていることを特徴とする出力軸。
【請求項12】
前記軸部材は、前記第1部分と前記第2部分との間の段差である環状の第1端面に間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部または複数の第1凹部を有し、
前記出力部材は、前記第1端面と対向する第2端面に間隔を置いて環状に形成され、前記複数の第1凸部または前記複数の第1凹部と係合するように形成された複数の第2凹部または複数の第2凸部を有し、
前記複数の第1凸部または前記複数の第1凹部と、前記複数の第2凹部または前記複数の第2凸部とが圧入されていることを特徴とする請求項11に記載の出力軸。
【請求項13】
モータの回転が伝達されるウォームと、
前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、
被駆動部材と噛み合って該被駆動部材を駆動する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の出力軸と、
前記ウォームホイールの回転を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
前記ウォームホイールを収容する筐体と、
を備えたことを特徴とする減速機。
【請求項14】
モータと、
前記モータのシャフトと連結されている請求項13に記載の減速機と、
を備えることを特徴とする減速機付モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機に用いられる出力軸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両のパワーウィンドウ装置に用いられる減速機付モータが知られている。このような減速機付モータとしては、例えば、回転軸を回転駆動するモータ本体と、回転軸の回転を減速するウォームギヤを有した回転伝達装置としての減速部とを備えるものが知られている。そして、このような減速部としては、ウォームホイールが緩衝機構を介して出力軸に連結されたものがある(特許文献1参照)。
【0003】
また、出力軸としては、その軸部の一端にギヤ部が形成されているものが考案されている。そして、出力軸のギヤ部がレギュレータのギヤ部に噛み合わされ、レギュレータを介して車両ウインドウに連結されることになる(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5662131号公報
【特許文献2】特許第5134985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の出力軸としては、軸部とギヤ部とを一体的に成形、加工したものや、軸部とギヤ部とが別部品でありそれらを組み立てたものが考えられる。
【0006】
しかしながら、出力軸の形状が複雑だと、軸部とギヤ部とを一体的に成形、加工することが難しく、工程が複雑となるため、製造コストの増大を招くことになる。一方、軸部とギヤ部とが別部品でありそれらを組み立てて出力軸を作製した場合、ギヤ部に過大な力がかかると、ギヤ部と軸部との嵌合部が変形等することがあり、改善の余地がある。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、所望の強度を実現する新規な出力軸を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の出力軸は、減速機に用いられる出力軸であって、軸部材と、該軸部材に固定される出力部材と、を備える。軸部材は、周方向に交互に並ぶとともに軸方向に延びている山部と谷部とからなるセレーション部と、軸方向と交差する環状の第1端面に間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部または複数の第1凹部と、を有する。出力部材は、セレーション部と係合するように軸方向に延びている複数の溝と、第1端面と対向する第2端面に間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部または複数の第1凹部と係合するように形成された複数の第2凹部または複数の第2凸部と、を有する。
【0009】
この態様によると、軸部材のセレーション部と出力部材の溝との係合だけでなく、軸部材の第1端面に環状に形成された複数の第1凸部または複数の第1凹部と、出力部材の第2端面に環状に形成された複数の第2凹部または複数の第2凸部と、が係合するため、出力部材と軸部材とが一体となった出力軸のねじり強度が向上する。
【0010】
軸部材は、第1部分と該第1部分に連続している第2部分とを有してもよい。出力部材は、第1部分に固定されており、セレーション部は、第1部分の外周部に形成されており、第1端面は、第1部分と第2部分との間の段差であり、出力部材は、該出力部材の中心に形成された、第1部分が進入する孔と、外周部に形成された複数の歯と、孔の内周に形成された複数の溝と、を有してもよい。
【0011】
あるいは、軸部材は、第1部分と該第1部分に連続している第2部分とを有してもよい。出力部材は、第1部分に固定されており、セレーション部は、第1部分の内周部に形成されており、第1端面は、第1部分の出力部材と接する面であり、出力部材は、該出力部材の中心に形成された、第1部分に進入する進入部と、進入部の外周に形成された複数の溝と、を有してもよい。
【0012】
出力部材は、孔の中心と歯との間に溝が形成されていてもよい。これにより、溝が形成されることによる出力部材の径方向の肉厚の変化を低減できる。
【0013】
軸部材は、複数の第1凸部を有してもよい。出力部材は、複数の第2凹部を有してもよい。出力部材は、孔の中心と歯との間に第2凹部が形成されていてもよい。これにより、ギヤ部材の肉が多い領域に第2凹部を形成できるため、凹部形成による強度低下を低減できる。
【0014】
軸部材は、第1部分の軸中心と第1凸部との間にセレーション部の山部が形成されていてもよい。
【0015】
出力部材は、孔の中心と、歯と歯との間の歯底と、の間に第2凸部が形成されていてもよい。これにより、出力部材の肉の少ない領域に第2凸部を形成できるため、歯底近辺の強度を向上できる。
【0016】
第1部分は、出力部材の孔から突出した先端部が変形した係止部を有してもよい。これにより、軸部材が出力部材から脱落しないようにできる。
【0017】
軸部材および出力部材は、焼結金属からなってもよい。これにより、強度の高い出力軸を型により製造できる。また、軸部材および出力部材のそれぞれに適したグレードの焼結金属を用いることで製造の自由度が増し、コストの低減が可能となる。
【0018】
出力部材は、浸炭焼き入れされたものであってもよい。これにより、大きな力がかかる歯の強度を更に向上できる。
【0019】
セレーション部は、山部の数が、歯の数の整数倍であってもよい。これにより、出力軸を構成する出力部材に働く応力を緩和できる。
【0020】
本発明の別の態様もまた、出力軸である。この出力軸は、減速機に用いられる出力軸であって、第1部分と該第1部分に連続している第2部分とを有する軸部材と、軸部材の第1部分に固定されている出力部材と、を備える。出力部材は、該出力部材の中心に形成された、第1部分が進入し該第1部分の先端が突出する孔を有する。軸部材は、第1部分の先端が出力部材の孔から突出した状態で、先端が出力部材に固定されるとともに、第1部分と第2部分との境界近傍の領域が出力部材と固定されている。
【0021】
この態様によると、軸部材の第1部分が出力部材の孔の全体に渡り圧入されていなくても、軸部材と出力部材とが少なくとも2箇所で互いに固定されていることで、軸部材が出力部材から脱落できないようにできる。
【0022】
軸部材は、出力部材と固定された状態で、第1部分のうち先端と境界近傍の領域との間において出力部材とクリアランスが形成されるように構成されていてもよい。これにより、軸部材と出力部材とを組み立てる際に必要な力を抑えることができ、部品の変形や割れを抑制できるとともに、生産性を向上できる。
【0023】
軸部材は、第1部分と第2部分との間の段差である環状の第1端面に間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部または複数の第1凹部を有してもよい。出力部材は、第1端面と対向する第2端面に間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部または複数の第1凹部と係合するように形成された複数の第2凹部または複数の第2凸部を有してもよい。複数の第1凸部または複数の第1凹部と、複数の第2凹部または複数の第2凸部とが圧入されていてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、減速機である。この減速機は、モータの回転が伝達されるウォームと、ウォームと噛み合うウォームホイールと、被駆動部材と噛み合って該被駆動部材を駆動する出力軸と、ウォームホイールの回転を出力軸に伝達する伝達機構と、ウォームホイールを収容する筐体と、を備える。
【0025】
この態様によると、出力軸の強度が高い減速機を提供できる。
【0026】
本発明のさらに別の態様は、減速機付モータである。この減速機付モータは、モータと、モータのシャフトと連結されている減速機と、を備える。
【0027】
この態様による、出力軸の強度が高い減速機付モータを提供できる。
【0028】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、所望の強度を実現する新規な出力軸を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施の形態に係る減速機付モータの出力ギヤ側の正面図である。
図2】第1の実施の形態に係るパワーウィンドウシステムの概略構成を示す図である。
図3】第1の実施の形態に係る出力軸と被駆動部材との係合状態を示す要部拡大図である。
図4図4(a)は、第1の実施の形態に係る出力軸の斜視図、図4(b)は、図4(a)と異なる方向から見た第1の実施の形態に係る出力軸の斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係る出力軸を構成する軸部材の正面図である。
図6図5に示す軸部材をX1方向から見た底面図である。
図7図6に示す軸部材のA−A’破断面図である。
図8図5に示す軸部材をX2方向から見た上面図である。
図9図8に示す軸部材のB−B断面の要部拡大図である。
図10】第1の実施の形態に係る出力軸を構成するギヤ部材の正面図である。
図11図10に示すギヤ部材のA−O−B断面図である。
図12】第1の実施の形態に係る出力軸を構成するギヤ部材の背面図である。
図13図12に示すギヤ部材のC−C断面の要部拡大図である。
図14】第1の実施の形態に係る出力軸の上面図である。
図15図14に示す出力軸のA−A断面図である。
図16】軸部材の第1凸部とギヤ部材の第2凹部との係合を説明するための模式図である。
図17】変形例に係る第1凸部と第2凹部との係合を説明するための模式図である。
図18】第2の実施の形態に係るギヤ部材の正面図である。
図19】ギヤ部材の孔近傍の拡大斜視図である。
図20】第3の実施の形態に係る出力軸の分解斜視図である。
図21図20と異なる方向から見た第3の実施の形態に係る出力軸の分解斜視図である。
図22】第3の実施の形態に係る出力軸を構成する出力プレートの正面図である。
図23図22に示す出力プレートのD−D断面図である。
図24】第3の実施の形態に係る出力軸を構成する出力プレートの背面図である。
図25図24に示す出力プレートのE−E断面の要部拡大図である。
図26図26(a)は、第4の実施の形態に係る出力軸の模式図、図26(b)は、第4の実施の形態の変形例に係る出力軸の模式図である。
図27】第5の実施の形態に係る出力軸の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0032】
[第1の実施の形態]
(減速機付モータ)
第1の実施の形態に係る減速機付モータは、例えば、車両のパワーウィンドウシステムに好適なものである。図1は、第1の実施の形態に係る減速機付モータの出力ギヤ側の正面図である。減速機付モータ100は、モータ部10と、モータ部10のシャフトに連結されている減速機12とを備える。
【0033】
減速機12は、モータの回転が伝達されるウォーム(不図示)と、ウォームと噛み合うウォームホイール(不図示)と、被駆動部材と噛み合って該被駆動部材を駆動する出力軸13と、ウォームホイールの回転を出力軸に伝達する伝達機構(不図示)と、ウォームホイールを収容する筐体としてのギヤボックス14と、を備える。
【0034】
(パワーウィンドウシステム)
図2は、第1の実施の形態に係るパワーウィンドウシステムの概略構成を示す図である。図3は、第1の実施の形態に係る出力軸と被駆動部材との係合状態を示す要部拡大図である。図2に示すように、車両用パワーウィンドウシステム200は、減速機付モータ100と、Xアーム式のレギュレータ110とを備えている。
【0035】
レギュレータ110は、ドア18のインナパネル20に固定されている金属製の支持ベース22と、支持ベース22に支軸24を介して回動可能に連結されるリフトアーム26と、リフトアーム26に一体的に結合されたセクタギヤ28と、リフトアーム26に回動可能に連結されたイコライザアーム30と、イコライザアーム30の下端部の移動を案内するイコライザブラケット32と、リフトアーム26の上端部及びイコライザアーム30の上端部の移動を案内するリフトアームブラケット34とからなる。なお、リフトアームブラケット34には、開閉体としてのウィンドウガラス36が取り付けられている。
【0036】
図1に示すように、ギヤボックス14には複数の円筒形状の取付部38が一体形成されており、ギヤボックス14は、支持ベース22を貫通する複数のスクリューねじ(不図示)がこれら取付部38に締め付けられることで支持ベース22に固定されている。つまり、減速機付モータ100は、減速機12においてレギュレータ110に固定されており、モータ部10側がレギュレータ110から離間している。
【0037】
図4(a)は、第1の実施の形態に係る出力軸の斜視図、図4(b)は、図4(a)と異なる方向から見た第1の実施の形態に係る出力軸の斜視図である。
【0038】
出力軸13は、減速機12に用いられるものであり、複数の部材を組み合わせたものである。具体的には、出力軸13は、軸部材40と、軸部材40の端部に固定されている出力部材としてのギヤ部材42とを有する。そして、図3に示すように、ギヤ部材42とセクタギヤ28とが噛み合うように減速機付モータ100およびレギュレータ110が配置されている。
【0039】
したがって、モータ部10の駆動により回転軸が回転すると、ウォーム軸及びウォームホイールを介して出力軸13に駆動力が伝達されて出力軸13(ギヤ部材42)が回転する。そして、ギヤ部材42の回転がセクタギヤ28に伝達されてリフトアーム26が支軸24を中心に回動すると、リフトアームブラケット34が上下動するようにレギュレータ110が作動し、ウィンドウガラス36が開閉される。
【0040】
(軸部材)
次に、出力軸のうち軸部材の構成の詳細について説明する。図5は、第1の実施の形態に係る出力軸を構成する軸部材の正面図である。図6は、図5に示す軸部材40をX1方向から見た底面図である。図7は、図6に示す軸部材40のA−A’破断面図である。図8は、図5に示す軸部材40をX2方向から見た上面図である。図9は、図8に示す軸部材40のB−B断面の要部拡大図である。
【0041】
第1の実施の形態に係る軸部材40は、第1部分である円筒状の小径部40aと、第2部分である円筒状の大径部40bとを有する。小径部40aと大径部40bとは段差を介して連続している。なお、小径部40aや大径部40bの形状は角柱状やその他の形状であってもよい。軸部材40は、小径部40aの外周部に形成された、周方向に交互に並ぶとともに軸方向に延びている山部41aと谷部41bとからなるセレーション部41と、小径部40aと大径部40bとの間の段差(フランジ部)である環状の第1端面40cに間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部40dと、を有する。また、大径部40bの小径部40aとは反対側の端部近傍には、他の部材と軸部材40とを連結した状態で固定するC型止め輪用の溝40eが形成されている。
【0042】
第1の実施の形態に係るセレーション部41は、軸方向に延びる8つの山部41aおよび8つの谷部41bを有する。また、第1凸部40dは、第1端面40cの周方向に等間隔(45°間隔)で8つ設けられている。そして、第1の実施の形態に係る軸部材40は、小径部40aの軸中心Oと第1凸部40dとの間にセレーション部41の山部41aが形成されている。これにより、形状の対称性が高まり、外力に対する軸部材全体の強度が増す。
【0043】
第1の実施の形態に係る軸部材40は、強度の観点から、例えば、銅やニッケルを含有するFe系の焼結合金が好適である。このような焼結合金は、金型を用いて粉末成形体を高温高圧で成形することで得られる。なお、軸部材40に求められる材料的特性は、完成部品が所望の強度を得られることに加え、前述のC型止め輪用の溝40eを形成するといった切削加工に適したものがよい。当然、金型による複雑な形状の成形に適している方が好ましい。
【0044】
(ギヤ部材)
次に、出力軸のうちギヤ部材の構成の詳細について説明する。図10は、第1の実施の形態に係る出力軸を構成するギヤ部材の正面図である。図11は、図10に示すギヤ部材42のA−O−B断面図である。図12は、第1の実施の形態に係る出力軸を構成するギヤ部材の背面図である。図13は、図12に示すギヤ部材42のC−C断面の要部拡大図である。
【0045】
第1の実施の形態に係るギヤ部材42は、ギヤ部材の中心に形成された、軸部材40の小径部40aが進入する孔42aと、外周部42bに形成された複数の歯42cと、孔42aの内周に形成された、軸部材40のセレーション部41と係合するように軸方向に延びている複数の溝42dと、軸部材40の第1端面40cと対向する第2端面42eに間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部40dと係合するように形成された複数の第2凹部42fと、を有する。
【0046】
そして、ギヤ部材42は、中央の孔42aに軸部材40の小径部40aが挿入され、小径部40aに対して固定される。ギヤ部材42は、孔42aの中心Oと歯42cとの間に、軸方向に延びる溝42dが形成されている。8つの溝42dは、軸部材40のセレーション部41の山部41aの形状に応じた形状であり、孔42aの内周の周方向に等間隔(45°間隔)に設けられている。これにより、溝42dが形成されることによるギヤ部材42の径方向の肉厚の変化を低減できる。
【0047】
第1の実施の形態に係るギヤ部材42は、8つの第2凹部42fを有している。そして、ギヤ部材42は、孔42aの中心と歯42cとの間に第2凹部42fが形成されている。これにより、ギヤ部材42の肉が多い領域、つまり、歯42cの基部に第2凹部42fを形成できるため、凹部形成による強度低下を低減できる。
【0048】
なお、ギヤ部材42は、第2凹部の代わりに複数の第2凸部42h(図12参照)を第2端面42eに形成してもよい。この場合、第2凸部42hを、孔42aの中心Oと、歯42cと歯42cとの間の歯底42jと、の間に形成するとよい。これにより、ギヤ部材42の肉の少ない歯底近辺の領域に第2凸部42hを形成できるため、歯底近辺の強度を向上できる。
【0049】
なお、ギヤ部材42の第2端面42eに複数の第2凸部42hを設けた場合、対応する軸部材40の第1端面40cには、複数の第1凸部40dの代わりに複数の第1凹部を設けるとよい。
【0050】
第1の実施の形態に係るギヤ部材42は、強度の観点から、例えば、銅やニッケルを含有するFe系の焼結合金が好適である。また、ギヤ部材42は、歯42cに大きな力がかかるため、更に強度を増すために浸炭焼き入れを行ったものが好ましい。なお、焼き入れは、部品の用途や形状によって必要だったり不要だったりする。例えば、軸部材40およびギヤ部材42のいずれか一方、または両方に対して焼き入れを行ってもよく、軸部材40およびギヤ部材42のいずれも焼き入れを行わなくてもよい。
【0051】
このように、軸部材40およびギヤ部材42は、焼結金属からなっており、強度の高い出力軸を型により製造できる。また、軸部材40およびギヤ部材42を別部材とすることで、それぞれに適したグレードの焼結金属を用いることで製造の自由度が増し、コストの低減が可能となる。
【0052】
(出力軸)
次に、軸部材40およびギヤ部材42を組み付けた出力軸13の構成の詳細について説明する。図14は、第1の実施の形態に係る出力軸13の上面図である。図15は、図14に示す出力軸13のA−A断面図である。
【0053】
出力軸13は、ギヤ部材42の孔42aに軸部材40の小径部40aが挿入された状態で互いに固定されている。第1の実施の形態では、小径部40aは、ギヤ部材42の孔42aから突出した先端部が変形した係止部40fを有してもよい。これにより、軸部材40がギヤ部材42から脱落しないようにできる。なお、先端部の変形は、外から力や熱を加えることで行えばよい。
【0054】
なお、第1の実施の形態に係る出力軸においては、セレーション部41の山部41aの数、第1凸部40dの数、ギヤ部材42の溝42dの数、第2凹部42fの数はいずれも8個である。なお、セレーション部41の山部41aの数、第1凸部40dの数、ギヤ部材42の溝42dの数および第2凹部42fの数は、各構成の数が、他の構成の数のN倍(Nは整数)あるいは1/N倍(Nは整数)であるとよい。例えば、セレーション部41の山部41aの数は、ギヤ部材42の歯42cの数の整数倍であってもよい。また、セレーション部41の山部41a、第1凸部40d、ギヤ部材42の溝42dおよび第2凹部42fは、径方向に直線状に配置されている。または、放射状に配置されていてもよい。
【0055】
このように、軸部材40のセレーション部41や第1凸部40d、ギヤ部材42の歯42cや第2凹部42fを対称性の高い形状や配置とすることで、出力軸13自体の強度の向上や、出力軸13を構成するギヤ部材42に働く応力を緩和できる。
【0056】
また、出力軸13は、軸部材40のセレーション部41の山部41aとギヤ部材42の溝42dとの係合だけでなく、軸部材40の第1端面40cに環状に形成された複数の第1凸部40dと、ギヤ部材42の第2端面42eに環状に形成された複数の第2凹部42fと、が係合するため、ギヤ部材42と軸部材40とが一体となった出力軸13のねじり強度が向上する。
【0057】
つまり、複数の部材同士の係合が、一次元的に1箇所しかない場合と比較して、二次元あるいは三次元的に複数箇所で行われることで、出力軸13に大きな入力がある場合に、部材間に働く力が一つの係合部に集中的に加わりにくくなり、係合部の変形等が抑制できる。したがって、このような出力軸を用いることで、出力軸の強度が高い減速機や減速機付モータを提供できる。
【0058】
(凸部と凹部の係合状態)
図16は、軸部材40の第1凸部40dとギヤ部材42の第2凹部42fとの係合を説明するための模式図である。図16は、環状に配置された第1凸部40dおよび第2凹部42fを直線状に展開したものである。図16に示す状態から、第1端面40cと第2端面42eとを接近若しくは接触させることで、第1凸部40dと第2凹部42fとが係合する。
【0059】
図17は、変形例に係る第1凸部と第2凹部との係合を説明するための模式図である。変形例に係る第1凸部40gは、頂上の中央部に更に突起部40hを有する。軸部材40およびギヤ部材42を組み立てる際に、第2端面42eおよび第1端面40cを接近させると、突起部40hが第2凹部42fの底部で確実に潰されて変形することで、第1凸部40gが幅方向(第1端面40cの周方向)に広がる。これにより、係合時の第1凸部40gと第2凹部42fとの隙間が減少し、より確実な圧入状態が維持できる。そのため、出力軸13が正転と逆転を繰り返しても、ガタに起因する異音や振動が抑制される。
【0060】
[第2の実施の形態]
図18は、第2の実施の形態に係るギヤ部材44の正面図である。図19は、ギヤ部材44の孔近傍の拡大斜視図である。第1の実施の形態に係るギヤ部材42において、第2端面42eと反対側の第3端面42kに環状の連続した凹部42mが形成されている(図10図11参照)。これに対して、第2の実施の形態に係るギヤ部材44は、環状の連続した凹部42mの底部に更に複数の放射状の凹部42nが形成されている。凹部42nは、孔42aの内周から径方向外周側に向けて形成されている。また、凹部42nは、孔42aの中心Oから一定の距離まで形成されている。なお、孔42aの内周には複数の溝42dが形成されており、孔42aの半径が一定でないため、凹部42nの長さは様々である。
【0061】
このように、複数の凹部42nは、第3端面42kに間隔を置いて環状に形成されている。これにより、前述の軸部材40の小径部40aの先端部をギヤ部材44の孔42aから突出させ、その状態で先端部に外力を加えて変形させると、先端部の一部が複数の凹部42nに入り込む。その結果、軸部材40とギヤ部材44との固定がより強固に行われ、軸部材40のギヤ部材44に対する回転方向のガタや抜け方向(軸方向)のガタの発生を更に抑制できる。
【0062】
[第3の実施の形態]
第1の実施の形態に係る車両用パワーウィンドウシステムは、Xアーム式のレギュレータであるが、本願発明はワイヤー式のレギュレータにも適用できる。以下では、ワイヤー式のレギュレータに適用する出力軸について説明する。
【0063】
図20は、第3の実施の形態に係る出力軸の分解斜視図である。図21は、図20と異なる方向から見た第3の実施の形態に係る出力軸の分解斜視図である。
【0064】
出力軸46は、減速機12に用いられるものであり、複数の部材を組み合わせたものである。具体的には、出力軸46は、軸部材40と、軸部材40の端部に固定されている出力部材としての出力プレート48とを有する。なお、軸部材40についてはセレーション部の溝の数や第2凹部の数が異なる以外は、第1の実施の形態と実質的に同様の構成であるため説明を適宜省略する。
【0065】
図22は、第3の実施の形態に係る出力軸を構成する出力プレート48の正面図である。図23は、図22に示す出力プレート48のD−D断面図である。図24は、第3の実施の形態に係る出力軸を構成する出力プレート48の背面図である。図25は、図24に示す出力プレート48のE−E断面の要部拡大図である。
【0066】
第3の実施の形態に係る出力プレート48は、円板状の部材の中心に形成された、軸部材40の小径部40aが進入する孔48aと、円板状の一方の端面48bに形成された3つの係合部48cと、孔48aの内周に形成された、軸部材40のセレーション部41と係合するように軸方向に延びている複数の溝48dと、軸部材40の第1端面40cと対向する他方の端面48eに間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部40dと係合するように形成された複数の第2凹部48fと、を有する。
【0067】
そして、出力プレート48は、中央の孔48aに軸部材40の小径部40aが挿入され、小径部40aに対して固定される。9つの溝48dは、軸部材40のセレーション部41の山部41aの形状に応じた形状であり、孔48aの内周の周方向に等間隔(40°間隔)に設けられている。
【0068】
第3の実施の形態に係る出力プレート48は、9つの第2凹部48fを有している。なお、出力プレート48は、第2凹部の代わりに複数の第2凸部を他方の端面48eに形成してもよい。出力プレート48の他方の端面48eに複数の第2凸部を設けた場合、対応する軸部材40の第1端面40cには、複数の第1凸部40dの代わりに複数の第1凹部を設けるとよい。
【0069】
[第4の実施の形態]
図26(a)は、第4の実施の形態に係る出力軸の模式図、図26(b)は、第4の実施の形態の変形例に係る出力軸の模式図である。
【0070】
図26(a)に示す出力軸50は、円筒状の軸部材52と、軸部材52に固定される円板状の出力部材54と、を備える。軸部材52は、中央に凹状の孔52aが形成されている。孔52aの内周面には、周方向に交互に並ぶとともに軸方向に延びている山部と谷部とからなるセレーション部52bと、軸方向Axと交差する環状の第1端面52cに間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部52d(または複数の第1凹部)と、を有する。
【0071】
出力部材54は、前述のギヤ部材や出力プレート等である。そして、出力部材54は、セレーション部52bと係合するように軸方向に延びている複数の溝54aと、第1端面52cと対向する第2端面54bに間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部52d(または複数の第1凹部)と係合するように形成された複数の第2凹部54c(または複数の第2凸部)と、を有する。
【0072】
これにより、軸部材52のセレーション部52bと出力部材54の溝54aとの係合だけでなく、軸部材52の第1端面52cに環状に形成された複数の第1凸部52d(または複数の第1凹部)と、出力部材54の第2端面54bに環状に形成された複数の第2凹部54c(または複数の第2凸部)と、が係合するため、出力部材と軸部材とが一体となった出力軸50のねじり強度が向上する。
【0073】
上述の出力軸50を換言すると以下のように表現できる。軸部材52は、第1部分52eと第1部分52eに連続している第2部分52fとを有している。そして、出力部材54は、第1部分52eに固定されており、セレーション部52bは、第1部分52eの孔52aの内周部に形成されており、第1端面52cは、第1部分52eの出力部材54と接する面である。また、出力部材54は、出力部材の中心に形成された、第1部分52eに進入する円柱状の進入部54dと、進入部54dの外周に形成された複数の溝54aと、を有している。
【0074】
図26(b)に示す出力軸56は、円筒状の軸部材58と、軸部材58に固定される円板状の出力部材60と、を備える。軸部材58は、中央に貫通孔58aが形成されている。貫通孔58aの内周面には、周方向に交互に並ぶとともに軸方向に延びている山部と谷部とからなるセレーション部58bと、軸方向Axと交差する環状の第1端面58cに間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部58d(または複数の第1凹部)と、を有する。
【0075】
出力部材60は、前述のギヤ部材や出力プレート等である。そして、出力部材60は、セレーション部58bと係合するように軸方向に延びている複数の溝60aと、第1端面58cと対向する第2端面60bに間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部58d(または複数の第1凹部)と係合するように形成された複数の第2凹部60c(または複数の第2凸部)と、を有する。
【0076】
これにより、出力軸50と同様に、出力部材と軸部材とが一体となった出力軸56のねじり強度が向上する。
【0077】
上述の出力軸56を換言すると以下のように表現できる。軸部材58は、第1部分58eと第2部分58fとが区別なく連続している。そして、出力部材60は、第1部分58eに固定されており、セレーション部58bは、第1部分58eの貫通孔58aの内周部に形成されており、第1端面58cは、第1部分58eの出力部材60と接する面である。また、出力部材60は、出力部材の中心に形成された、第1部分58eに進入する円柱状の進入部60dと、進入部60dの外周に形成された複数の溝60aと、を有している。また、進入部60dの先端は、外力を受けることで変形させられ、係止部として機能する。これにより、軸部材58から出力部材60がより抜けにくくなる。
【0078】
[第5の実施の形態]
図27は、第5の実施の形態に係る出力軸の模式図である。図27に示す出力軸62は、第1の実施の形態に係る出力軸13と類似の構成であるが、軸部材64が出力部材66に対してセレーション部を介して締結(圧入)されていない点が異なる。
【0079】
出力軸62は、円柱状の小径部としての第1部分64aと第1部分64aに連続している円柱状の大径部としての第2部分64bとを有する軸部材64と、軸部材64の第1部分64aに固定されている出力部材66と、を備える。出力部材66は、出力部材の中心に形成された、第1部分64aが進入し該第1部分の先端が突出する貫通孔66aを有する。軸部材64は、第1部分64aの先端が出力部材66の貫通孔66aから突出した状態で、先端が変形させられることで出力部材66に固定される(領域R1)とともに、第1部分64aと第2部分64bとの境界近傍の領域R2が出力部材66と固定されている。
【0080】
これにより、軸部材64の第1部分64aが出力部材66の貫通孔66aの全体に渡り圧入されていなくても、軸部材64と出力部材66とが少なくとも2箇所(領域R1および領域R2)で互いに固定されていることで、軸部材64が出力部材66から脱落できないようにできる。
【0081】
軸部材64は、出力部材66と固定された状態で、第1部分64aのうち先端(領域R1)と境界近傍の領域R2との間(領域R3)において出力部材66とクリアランスが形成されるように構成されている。これにより、軸部材64と出力部材66とを組み立てる際に必要な力を抑えることができ、部品の変形や割れを抑制できるとともに、生産性を向上できる。
【0082】
軸部材64は、第1部分64aと第2部分64bとの間の段差である環状の第1端面64cに間隔を置いて環状に形成された複数の第1凸部64d(または複数の第1凹部)を有している。出力部材66は、第1端面64cと対向する第2端面66bに間隔を置いて環状に形成され、複数の第1凸部64d(または複数の第1凹部)と係合するように形成された複数の第2凹部66c(または複数の第2凸部)を有している。複数の第1凸部64d(または複数の第1凹部)と、複数の第2凹部66c(または複数の第2凸部)とが圧入されている。
【0083】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0084】
10 モータ部、 12 減速機、 13 出力軸、 14 ギヤボックス、 40 軸部材、 40a 小径部、 40b 大径部、 40c 第1端面、 40d 第1凸部、 40e 溝、 40f 係止部、 40g 第1凸部、 40h 突起部、 41 セレーション部、 41a 山部、 41b 谷部、 42 ギヤ部材、 42a 孔、 42b 外周部、 42c 歯、 42d 溝、 42e 第2端面、 42f 第2凹部、 42h 第2凸部、 42j 歯底、 100 減速機付モータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
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図21
図22
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図26
図27