(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボウルの底部は、前記車椅子に乗車したままの利用者の両膝の間を通り人体直近まで挿入可能な狭状絞り部とされていることを特徴とする請求項1に記載のオストメイト対応便器。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、各図においてそれぞれ、車椅子に乗ったオストメイト(以下、本発明では単に「患者」あるいは「利用者」とも称する)がオストメイト対応便器と接近または遠ざかる方向をX方向とし、鉛直方向である高さ方向をZ方向とし、これらX方向とZ方向と直交する方向をY方向として設定するが、これら方向に関する定義付けは特許請求の範囲を限定的に解釈するために用いられるものではない。
【0016】
≪第1実施形態≫
図1は、本発明の第1実施形態に係るオストメイト対応便器1を含む汚物処理システム100の外観を示す図である。
すなわち、
図1に示すとおり、本実施形態の汚物処理システム100は、オストメイト対応便器1と、このオストメイト対向便器1を少なくとも車椅子の利用者Oに対して進退させる駆動機構2と、この駆動機構2を制御する制御装置3と、を含んで構成されている。
【0017】
ここで汚物処理システム100が従来構造の便器と大きく異なっている点の1つは、オストメイト対応便器1が駆動機構2によって少なくとも車椅子の利用者Oに対して進退可能に構成されていることである。
すなわち、
図2に示すとおり、本実施形態では、駆動機構2によってオストメイト対応便器1は高さ方向であるZ方向(第1方向とも称する)に関して移動可能に構成されている。
従って、車椅子の利用者がオストメイト対応便器1を使用する際には、車椅子に座る利用者(ストーマパウチが装着されている)の膝上までオストメイト対応便器1が下降し、オストメイト対応便器1が利用者の膝上で静止した状態でストーマパウチを用いた排便又は排尿が実行される。
【0018】
次に、
図3を用いて本実施形態のオストメイト対応便器1の詳細構造を説明する。
同図に示されるように、オストメイト対応便器1は、パウチ載置部11と、ボウル12と、を少なくとも含み、車椅子に乗車したままの状態で利用者はストーマパウチ内の便物を排出できることに特徴がある。また、このボウル12の底部は利用者の膝の間に挿入可能な狭状絞り部12aとされていることが好ましい。なお、本実施形態でいう「ボウル12の底部」とは、パウチ載置部11よりも下方に位置する部位をいう。
【0019】
パウチ載置部11は、車椅子に乗車している利用者がストーマパウチを載置するための部材である。典型的には、このパウチ載置部11は、後述するボウル12の一部を構成しているとともに、例えば
図3(a)〜(c)のオーバーハング部位OHが示すように、少なくとも一部がボウル12の端部からオーバーハングするよう突出した薄板のごとき構造となっている。しかしながら上記の例に限られず、例えばパウチ載置部11をボウル12とは別体で構成し、ボウル12にパウチ載置部11を着脱可能に取り付けてもよい。
図3(a)〜(c)から明らかなとおり、このパウチ載置部11は、ストーマパウチが載置される載置面11a(上記薄板の上面に相当)を少なくとも有している。この載置面11aは、後述する排出口12bに向けて傾斜されていることが好ましい。より具体的には、
図3(b)に示すとおり、載置面11aは、後述する対向縁11bから排出口12bに近づくにつれて高さが低くなるように、載置面11aのうち排出口12bに近い側の端部の高さが低く設定されている。
【0020】
さらにパウチ載置部11は、上記した利用者の腹部に対向し、この対応する面が利用者の腹部に沿うように湾曲状となっている対向縁11bと、後述する棚部12jとの境界であって対向縁11bから遠ざかるにつれて幅が狭くなるように構成された狭状縁11cとを含んでいることが好ましい。
なお、パウチ載置部11は典型的には薄板構造となっておりZ方向の厚みは比較的薄いが、
図3(b)に示すとおり対向縁11bが高さ方向に所定の長さを有して利用者の腹部と対向する面となっていてもよい。
また、
図4に示すとおり、載置面11aは、Y方向に関して、中央部が窪む(中央部が両端部よりもZ方向に関して低い位置となる)ように湾曲していてもよい。
【0021】
また、
図3(d)に示すとおり、利用者は、車椅子に乗車したままで両脚付け根(股関節近く)又は腹部最下部近くにパウチ載置部11を位置付けることができる。なお、このときストーマパウチの人体装着部よりもパウチ載置部11の方が低い位置にある。次いでストーマパウチを装着する利用者は、パウチ載置部11の載置面11aに載置されたストーマパウチに対し、例えば排便の際には載置面11a上でストーマパウチをしごくなどして便をストーマパウチの先端(便が排出できる開口が形成)より排出する。
このように本実施形態では、車椅子に乗車している利用者がストーマパウチを装着したまま、当該ストーマパウチがパウチ載置部11(薄板)の載置面11aに載置されて当該ストーマパウチの先端から便物が排出されることにも特徴がある。
なお、説明の便宜上、
図3(d)では車椅子に乗車した試験者がオストメイト対応便器1を使用する図となっている。
【0022】
ボウル12は、載置面11aを含むパウチ載置部11と接続され、ストーマパウチ内の便物が流れるお椀状の容器である。
より具体的には、本実施形態のボウル12は、少なくとも狭状絞り部12a、排出口12b、及び傾斜面12cを含んでおり、本実施形態では更に貯留底12e、壁部12f、流体吐出口12g、棚部12h、および操作パネル12iを有して構成されている。
【0023】
狭状絞り部12aは、ボウル12のうち底部の少なくとも一部を構成する部位であり、車椅子に乗車したままの利用者の両膝の間を通り人体直近まで挿入可能な形状とされている。
より具体的には、
図4に示すとおり、本実施形態の狭状絞り部12aは、いわゆるV型やラウンドボトムタイプの船底のごとく、下端である先端に向けて絞られる(幅が狭くなっていく)形状となっている。より具体的には、本実施形態の狭状絞り部12aは、Y方向における幅に関して、下端に向けて狭くなる(先細りする)ように形成されている。また、本実施形態の狭状絞り部12aは、X方向における幅に関して、下端に向けて狭くなる(先細りする)ように形成されている。また、本実施形態の狭状絞り部12aは、Z方向における断面積に関して、貯留底12eから上方に向けて断面積が増加するように形成されている。
なお、狭状絞り部12aは、少なくともY方向またはZ方向に関して上記のごとき形状となっていればよく、X方向に関しては上記以外の形状など任意の形状であってもよい。
また、狭状絞り部12aは、例えばY方向における形状について下端まで一様に狭くなる態様に限らない。すなわち、少なくとも上端の部位と下端の部位で見た場合に、下端の部位が上端の部位より狭くなっていればよく、途中で一部広くなる部位があってもよい。
【0024】
ここで、車椅子に乗車する利用者が両膝を開こうと意図した場合は、車椅子の肘掛けが干渉することで両膝を大きく開くことは困難である。そこで、本実施形態では、ボウル12の底部が狭状絞り部12aとなっていることで、両膝を大きく開かずとも狭状絞り部12aを両膝の間に挿入することができる。
したがって、利用者は車椅子に乗車したままでボウル12を腹部近くまで接近させることができ、パウチ載置部11の載置面11aにストーマパウチを容易に載置することが可能となる。
【0025】
排出口12bは、ストーマパウチを介して利用者から排出された便物などをオストメイト対応便器1外へ排出するための開口である。この排出口12bは、後述する排出管13や不図示の負圧源などを介して、公知の外部排出系(下水道や排泄物タンクなど)と接続されている。
また、本実施形態では、排出口12bは、底面である貯留底12eの一部に設けられておらず、ボウル12のうちX方向に関してパウチ載置部11と反対側の対向面12jに設けられている。したがって
図3(a)や(b)から明らかなとおり、排出口12bの開口は、Z方向を向いておらず、X方向を向くように配置されている。
【0026】
傾斜面12cは、排出口12bとパウチ載置部11とをつなぐ面である。したがって利用者がストーマパウチを載置面11aに載置して便物をしごいた場合、
図3(b)に示すとおり、まずこの傾斜面12cを便物が流れて排出口12bへと向かうことになる。
本実施形態の傾斜面12cは、多段の構成となっており、より具体的には第1傾斜面12c
1と第2傾斜面12c
2とを含んで構成されている。
第1傾斜面12c
1は、パウチ載置部11の載置面11aとつながっており、パウチ載置部11から便物がまず流れることになる。なお、載置面11aと第1傾斜面12c
1は必ずしも連続している必要はなく、例えば後述する壁部12fが介在していてもよい。
【0027】
第2傾斜面12c
2は、第1傾斜面12c
1と貯留底12eとの間に位置する。第2傾斜面12c
2は、第1傾斜面12c
1と傾斜の度合い(傾斜角)が異なっており、本実施形態では第2傾斜面12c
2の方が垂直度は高い(すなわち、第1傾斜面12c
1よりも、X軸とのなす角度が大きい)。
このように、垂直度の高い第2傾斜面12c
2と貯留底12eとによって、第2傾斜面12c
2と排出口12bの間には、便物を一時的に貯留する貯留部12dが形成されている。
したがって、ストーマパウチから排出された便物はこの貯留部12dでいったん留まるため、利用者は貯留部12dに溜まる便物を観察することが可能となっている。
なお、本実施形態では、貯留部12dは常時水没しているわけではなく、便物の排出時に水などの液体が流れる仕様となっているが、これに限らず所定量の液体が常時貯留されていてもよい。
【0028】
貯留底12eは、ボウル12のうち便物が流れる範囲で最も下端(−Z方向の端部)に位置している。この貯留底12eは、後述する棚部12hに挟まれるように位置しており、上記した貯留部12dを形成している。
なお本実施形態の貯留底12eは、Z方向の上方から見た場合に矩形をしていてもよいし、円形をしていてもよい。
【0029】
壁部12fは、傾斜面12cの端部もしくは途中で傾斜面12cを囲むように設けられる。本実施形態において、壁部12fは、パウチ載置部11の載置面11aと第1傾斜面12c
1の間に設けられている。したがって、壁部12fは、本実施形態では第1傾斜面の一部として設けられているとも言える。
また、壁部12fには、後述する流体吐出口12gが1または複数だけ設けられている。
本実施形態では、例えば貯留部12dに溜まる便物を排出口12bから排出する時や、傾斜面12cを含むボウル12の洗浄時、または利用者が後述の操作パネル12iを操作した時などに、流体吐出口12gから流体が排出口12bへ向けて流れるように構成されている。
【0030】
なお、ボウル12に傾きを検出するセンサー(ジャイロセンサーなど)を設けるとともに、後述する制御装置3がボウル12の傾きの検出結果に基づいて流体吐出口12gから流体を排出口12bへ向けて流すようにしてもよい。これにより、例えばボウル12が過度に傾いた場合に便物が逆流するのを抑制することなどが可能となる。
また、制御装置3は、オストメイト対応便器1の可動を検出した際(すなわち使用の初期)に、まず流体吐出口12gから流体を排出口12bへ向けて流すようにしてもよい。
【0031】
流体吐出口12gは、不図示の流体源と接続されており、貯留部12dを囲むように、壁部12fに複数設けられている。
なお、
図1や
図3などでは説明の簡略化のため、上記した流体源と流体吐出口12gとをつなぐ配管は省略したが、公知の種々の配管が適用できる。
また流体吐出口12gから吐出される流体に特に制限はなく、例えば空気などの気体や、水や薬品入り洗浄液などの液体が挙げられる。
本実施形態では、流体源としては公知の上水道を採用し、流体吐出口12gからは水が吐出されるように構成されている。
【0032】
棚部12hは、
図3(a)〜(d)に示すとおり、パウチ載置部11と傾斜面12cの両側に配置される。本実施形態の棚部12hは、パウチ載置部11から対向面12jへ向けて徐々に高さが高くなるように構成されている。
そしてこの棚部12hには、後述する操作パネル12iが設けられており、利用者は手を伸ばすだけで操作パネル12iを容易に操作できるように構成されている。換言すれば、操作パネル12iは、ボウル12のうちパウチ載置部11の側方に設置されているとも言える。
なお、棚部12hには、利用者がストーマパウチから便物を排出する際に利用する拭き紙や洗浄液ポットなどが設置されていてもよい。
【0033】
操作パネル12iは、本実施形態では後述する入出力IF(インターフェース)3fの一部を構成しており、利用者はこの操作パネル12iを介して所望の操作を実行することができる。本実施形態では、操作パネル12iは静電容量タイプのタッチパネル型液晶が用いられているが、ボタン入力タイプなど公知の他の形態を採用してもよい。
そして利用者は、操作パネル12iを介して、例えば流体吐出口12gから流体(エアーなどの気体、または水や洗浄液などの液体)を排出口12bへ向けて流す操作を行うことができる。また、利用者は、操作パネル12iを介して、壁部12fに設置された不図示の照明装置を点灯する操作を行うことができる。また、利用者は、操作パネル12iを介して、後述する駆動機構2を可動させてオストメイト対応便器1の位置を調整する操作を行うことができる。
【0034】
排出管13は、
図1や
図3(a)に示すとおり、排出口12bと接続されるとともに、負圧源を介して上記した外部排出系に接続されている。
この排出管13の材質には特に制限はなく、耐水性の樹脂など公知の種々の部材を適用できる。
上述したとおり本実施形態では排出口12bの開口がX方向を向いているため、この排出口12bに接続される排出管13も水平方向(X方向)に向けて引き出された形態となっている。これにより、本実施形態の排出管13は、車椅子に乗車する利用者の膝と干渉しないように排出口12bからパウチ載置部11と反対方向に引き出されることが可能となっている。
なお、本実施形態ではオストメイト対応便器1はZ方向に可動するため、排出管13は、オストメイト対応便器1のZ方向への移動を許容できる程度の可撓性(蛇腹構造など)を有しているか、上記移動を許容できるだけ余剰の長さを有している。
【0035】
次に、
図1と
図2を用いて本実施形態の駆動機構2について説明する。
駆動機構2は、後述する制御装置3の制御の下で、オストメイト対応便器1をZ方向(第1方向)に移動させる機能を有している。
より具体的には駆動機構2は、オストメイト対応便器1を保持するアームと、このアームをZ方向(第1方向)に昇降させる昇降機とを含んで構成されている。
【0036】
この駆動機構2の昇降機としては公知の種々の機構が適用できるが、本実施形態では空圧シリンダー構造が用いられている。
なお、駆動機構2の昇降機は、空圧シリンダー構造に限られず、例えばラック&ピニオン機構や他の歯車構造を用いてもよい。
また、駆動機構2は、オストメイト対応便器1をZ方向へ移動させることに加え、アームをZ軸周りに旋回させる機構を具備していてもよい。
【0037】
次に、
図5を用いて制御装置3について説明する。
同図に示すとおり、本実施形態の制御装置3は、全体制御部3a、ROM/RAM3b、圧空制御部3c、吸引制御部3d、角度検出部3e、入出力IF3f、通信制御部3gを含んで構成されている。なお、制御装置3の上記した各構成要素は、バスBを介して電気的に接続されている。
なお、制御装置3が通信制御部3gを備える場合には、圧空制御部3c、吸引制御部3dおよび角度検出部3eは汚物処理システム以外の外部機器が備えていてもよい。
また、制御装置3は、上記した全体制御部3aの一部の機能や入出力IF3fの一部の機能などを担うコントローラーCを含んでいてもよい。
また、このコントローラーCは、汚物処理システム利用時に車椅子が停車する傍らに設置されることが好ましいが、オストメイト対応便器1に着脱可能に設置されていてもよい。
【0038】
全体制御部3aは、駆動機構2を介したオストメイト対応便器1の可動や流体吐出口12gを介した流体の吐出を制御する機能などを備えている。本実施形態では、全体制御部3aは例えば演算機能を備えた公知のCPU(中央演算ユニット)が適用可能である。
なお全体制御部3aは、入出力IF3f(操作パネル12iやコントローラーC)を介して、上記したその他の部材(上記照明装置など)を制御することができる。
【0039】
ROM/RAM3bは、駆動機構2の動作プログラムや流体の吐出プログラム、あるいは照明装置の制御プログラムなどが格納されている。よって、全体制御部3aは、このROM/RAM3bから必要なプログラムを適宜読み出して各種の動作を実行することが可能となっている。
圧空制御部3cは、全体制御部3aの下で不図示のポンプなどを制御し、流体吐出口12gを介して空気(気体)を吐出する制御を行う。
【0040】
吸引制御部3dは、全体制御部3aの下で上記した負圧源などを制御し、排出口12bを介して貯留部12dに溜まる便物などを吸引する制御を行う。
角度検出部3eは、全体制御部3aの下でオストメイト対応便器1の姿勢やアームの角度などを検出し、その検出結果を全体制御部3aに通知する制御を行う。
入出力IF3fは、本実施形態では例えば操作パネル12iやコントローラーCが例示され、利用者はこの入出力IF3fを通じて上記した所望の操作を実行することが可能となっている。
【0041】
なお、操作パネル12fとコントローラーCは双方を同時に備えている必要は必ずしもなく、少なくとも一方を備えていればよい。
通信制御部3gは、全体制御部3aの下で外部機器との間でデータの授受を行う機能を備えている。例えば通信制御部3gは、遠隔地に配置されたPCとネットワークを介して通信を行うことで、遠隔地のPCによって制御装置3を遠隔操作することができる。
また、通信制御部3gは、ネットワークを介して外部サーバと通信を行うことで、この外部サーバに保存されたプログラムなどを適宜ダウンロードしてROM/RAM3bに保存することができる。
【0042】
以上説明した第1実施形態では、利用者は両膝の間に狭状絞り部12aを挿入することができるので、車椅子に乗車したままでオストメイト対応便器1を体の近くまで移動させることが可能となっている。
また、本実施形態のオストメイト対応便器1は、制御装置3の制御の下で駆動機構2によって利用者に対して進退可能とされているので、車椅子に乗車したままでオストメイト対応便器1を体の近くまで移動させることが可能となっている。
【0043】
なお本実施形態のボウル12の底部のうち利用者の両膝と対向する面には、スポンジなどのクッション材(弾性部材)が設置されていてもよい。これにより、車椅子に乗車する利用者の膝上にオストメイト対応便器1が位置した場合、利用者の両膝にオストメイト対応便器1が接触してもその衝撃が緩和される。
また、ボウル12の底部のうち利用者の両膝と対向する面に、温調装置(送風器や公知のヒーターなど)が備わっていてもよい。これにより、例えば冬場など低温時に利用者が暖を取ることができる。
【0044】
また、上記したオストメイト対応便器1のうち利用者と対向する面に距離計測センサーを設置して利用者との距離を計測可能としてもよい。
そして制御装置3は、この距離計測センターの計測結果に基づいて、駆動機構2を制御してオストメイト対応便器1の位置を調整してもよい。
これにより、オストメイト対応便器1を、車椅子に乗車する利用者にとって最適な位置に位置付けることが可能となる。
【0045】
≪第2実施形態≫
次に本発明の第2実施形態について、
図6を参照して説明する。
第1実施形態において駆動機構2はオストメイト対応便器1をZ方向の1軸だけ移動可能としていたが、本実施形態では斜め方向にオストメイト対応便器1を移動可能としている点に主として特徴がある。
よって以下では第1実施形態との相違点について主として説明し、第1実施形態と同じ構成あるいは機能を有する要素については同一番号を付したりしてその説明を適宜省略する。
【0046】
すなわち
図6に示されるとおり、本実施形態の汚物処理システム200は、オストメイト対応便器1を斜め方向に移動させる駆動機構2bを有している。
より具体的にこの駆動機構2bは、オストメイト対応便器1を、+X方向に移動させるのと並行して−Z方向に移動させることが可能となっている。この駆動機構2bは、オストメイト対応便器1を、−X方向に移動させるのと並行して+Z方向に移動させることが可能となっている。
【0047】
したがって、車椅子に乗車する利用者がオストメイト対応便器1を利用する際には、利用者に近づくようにオストメイト対応便器1が膝上まで下降するとともに利用者に近づくように移動することになる。
よって、本第2実施形態によっても、利用者は車椅子で所定の待機位置まで移動すれば、それより後はコントローラーCなどを用いてオストメイト対応便器1を膝上まで移動させることが可能となっている。
本実施形態によっても、患者が便器に対して姿勢を調整するパッシブな形態ではなく便器がアクティブに患者の望む姿勢に合わせることが可能なオストメイト対応便器および汚物処理システムを実現できる。
【0048】
≪第3実施形態≫
次に本発明の第3実施形態について、
図7を参照して説明する。
第1実施形態及び第2実施形態においては駆動機構2がオストメイト対応便器1を1軸だけ移動可能としていたが、本実施形態ではオストメイト対応便器1を2軸以上で移動可能としている点に主として特徴がある。
よって以下では上記各実施形態との相違点について主として説明し、既述の実施形態と同じ構成あるいは機能を有する要素については同一番号を付したりしてその説明を適宜省略する。
【0049】
すなわち
図7に示されるとおり、本実施形態の汚物処理システム300は、オストメイト対応便器1を少なくとも2軸方向に移動させる駆動機構2cを有している。
より具体的にこの駆動機構2cは、オストメイト対応便器1を高さ方向であるZ方向(第1方向)に移動させる第1駆動機構2c
1と、この第1駆動機構2c
1に搭載されてオストメイト対応便器1をZ方向と交差するX方向(第2方向)に移動させる第2駆動機構2c
2と、を含んでなる。
なお、駆動機構2cは、更にオストメイト対応便器1をY方向(第1方向及び第2方向と交差する方向)に移動させる第3駆動機構を備えていてもよい。
また、駆動機構2cは、各軸の軸周りにオストメイト対応便器1を回転させる機構を更に具備していてもよい。
【0050】
したがって、車椅子に乗車する利用者がオストメイト対応便器1を利用する際には、例えば利用者に近づくようにまずオストメイト対応便器1がX方向に沿って移動し、次いでZ方向に沿ってオストメイト対応便器1が膝上まで下降するように移動することになる。
よって、本第3実施形態によっても、コントローラーCなどを用いてオストメイト対応便器1を膝上まで移動させることが可能となっており、さらに第2実施形態に比してオストメイト対応便器1の位置を微調整することが可能となっている。
本実施形態によっても、患者が便器に対して姿勢を調整するパッシブな形態ではなく便器がアクティブに患者の望む姿勢に合わせることが可能なオストメイト対応便器および汚物処理システムを実現できる。
【0051】
≪第4実施形態≫
次に本発明の第4実施形態について、
図8を参照して説明する。
上記各実施形態では駆動機構2がオストメイト対応便器1を直線的に移動可能としていたが、本実施形態ではオストメイト対応便器1を回転移動可能としている点に主として特徴がある。
よって以下では上記各実施形態との相違点について主として説明し、既述の実施形態と同じ構成あるいは機能を有する要素については同一番号を付したりしてその説明を適宜省略する。
【0052】
すなわち
図8に示されるとおり、本実施形態の汚物処理システム400は、オストメイト対応便器1を回転移動させる駆動機構2dを含んで構成されている。
より具体的にこの駆動機構2dは、オストメイト対応便器1を吊り下げ保持する保持部2d
1と、この保持部2d
1を先端に設置するとともに基端が回転可能に接地された回転アーム2d
2とを含んで構成されている。
【0053】
したがって、車椅子に乗車する利用者がオストメイト対応便器1を利用する際には、例えば利用者に近づくように旋回して膝上まで下降するように移動することになる。
よって、本第4実施形態によっても、コントローラーCなどを用いてオストメイト対応便器1を膝上まで移動させることが可能となっている。
本実施形態によっても、患者が便器に対して姿勢を調整するパッシブな形態ではなく便器がアクティブに患者の望む姿勢に合わせることが可能なオストメイト対応便器および汚物処理システムを実現できる。
【0054】
≪第5実施形態≫
次に本発明の第5実施形態について、
図9を参照して説明する。
上記第4実施形態では保持部2d
1がオストメイト対応便器1を吊り下げ支持していたが、本実施形態ではオストメイト対応便器1の姿勢を調整可能に保持可能な点に主として特徴がある。
よって以下では上記第5実施形態との相違点について主として説明し、既述の実施形態と同じ構成あるいは機能を有する要素については同一番号を付したりしてその説明を適宜省略する。
【0055】
すなわち
図9に示されるとおり、本実施形態の汚物処理システム500は、オストメイト対応便器1を回転移動させる駆動機構2eを含んで構成されている。
より具体的にこの駆動機構2eは、オストメイト対応便器1を保持するとともにその姿勢を調整可能な保持部2e
1と、この保持部2e
1を先端に設置するとともに基端が回転可能に接地された回転アーム2e
2と、この回転アーム2e
2の角度を調整するアーム角調整手段2e
3と、オストメイト対応便器1の姿勢(角度)を調整する角度調整手段2e
4を含んで構成されている。
なお、制御装置3は、回転アーム2e
2の旋回時にオストメイト対応便器1の姿勢を定期的に(例えば常時)検出することで、例えば上記旋回中にオストメイト対応便器1の姿勢を水平に維持することができる。
【0056】
したがって、車椅子に乗車する利用者がオストメイト対応便器1を利用する際には、例えば利用者に近づくように旋回して膝上まで下降するように移動することになる。
よって、本第4実施形態によっても、コントローラーCなどを用いてオストメイト対応便器1を膝上まで移動させることが可能となっており、更に第4実施形態に比してオストメイト対応便器1の姿勢を微調整することが可能となっている。
本実施形態によっても、患者が便器に対して姿勢を調整するパッシブな形態ではなく便器がアクティブに患者の望む姿勢に合わせることが可能なオストメイト対応便器および汚物処理システムを実現できる。
【0057】
上記した各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、各実施形態に適宜適用が可能な変形例について説明する。なお、以下の変形例においても、既述の構成と同じ機能・作用を奏するものは同じ参照番号を付し、その説明は適宜省略する。
≪変形例≫
上記したパウチ載置部11は例えば板状の部材として説明したが、例えば複数枚の板状部材を重ねて一方を他方に対してスライド可能に接続してもよい。これにより、その一方の板状部材を利用者に対して進退させることができ、載置面11aの範囲を拡大することが可能となる。
【0058】
また、
図1に示す車椅子の待機位置DPに重量センサーを設置し、制御装置3はこの重量センサーの検出結果に基づいて汚物処理システムの稼働を制御してもよい。
例えば、制御装置3は、重量センサーで所定の閾値以上の重量が検出されない限り、駆動機構2によるオストメイト対応便器1の移動を行わないように制御してもよい。
あるいは、待機位置DPのうち車椅子の車輪が位置する4箇所にそれぞれ重量センサーを設置してもよい。そして、制御装置3は、この4箇所の重量センサーで所定値以上の重量値が検出された際に、駆動機構2によるオストメイト対応便器1の移動を行えるように制御してもよい。
【0059】
以上説明した各実施形態および変形例の要素につき、上述した以外の組み合わせで適宜組み合わることでオストメイト対応便器および汚物処理システムを構成してもよい。