(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
煙幕発生剤が収容された煙幕発生剤収容室が、半径方向に配置された環状仕切り板により軸方向に複数室に分割されており、前記環状仕切り板が厚さ方向に貫通孔を有しているものである、請求項1記載の煙幕発生器。
【背景技術】
【0002】
店舗や部屋などに不法侵入してきた侵入者に対して、逃走経路を視覚的に遮断して精神的に混乱を生じさせ、捕捉までの時間を確保する目的で、部屋の天井や壁などに煙幕発生器を取り付ける場合がある。
【0003】
特許文献1は煙幕生成装置の発明である。
図1〜
図5に示されているとおり、外形がディスク状の煙幕生成装置であり、作動時には放射状方向に煙幕を排出するものである。
図1の装置では、点火装置2が作動すると、着火薬ケース4内の着火薬5が着火燃焼されて火炎などを発生させる。その後、前記火炎などが燃焼室10に流入して発煙剤6を着火燃焼させて発煙を生じさせる。
しかし、
図1の装置では、燃焼室10内の発煙剤は、着火薬ケース4に近い位置にあるものから遠い位置にあるものまで順に燃焼して行くことから、発煙剤6全体の燃焼に時間がかかるため、装置から室内への発煙の噴出速度も遅くなり、発煙の拡散速度も遅くなる。
【0004】
特許文献2は発煙器の発明である。
図1、
図3に示されているとおり、特許文献1と同様に外形がディスク状の煙幕生成装置であり、作動時には放射状に煙幕を排出するものである。
特許文献2の発煙器では、発煙剤全体の燃焼速度が改善されているため、室内への発煙の噴出速度と拡散速度も高められている。
【0005】
特許文献1、2の発明の装置は、いずれも外形がディスク状であり、発煙を放射状に噴出させ拡散させるものであるため、発煙の噴出方向に指向性を付与することはできない。
発煙の噴出方向に指向性を付与するためには、外形が筒状の発煙装置を使用することが考えられるが、このような外形が筒状の装置を使用した場合には、発煙剤全体の着火燃焼速度を高め、さらに室内への発煙の噴出速度と拡散速度も高めることが難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、筒状容器を使用しているが、煙幕発生剤全体の着火燃焼速度が高められ、さらに室内への発煙の噴出速度と拡散速度も高められている煙幕発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筒状ハウジング内に点火器と煙幕発生剤が収容されている煙幕発生器であって、
前記筒状ハウジングの第1端開口部が点火器を含む第1クロージャで閉塞されており、
前記筒状ハウジングの前記第1端開口部と軸方向反対側の第2端開口部が煙幕源排出口を有する第2クロージャで閉塞されており、
前記第1クロージャが、前記点火器が作動したときに発生する点火生成物を放出するための放出孔を有しており、
前記第1クロージャの前記点火生成物の放出孔を含まない面と前記第2クロージャの煙幕源排出口の間に多孔筒状体が配置されており、
前記筒状ハウジングと前記多孔筒状体の間の空間が、煙幕発生剤が収容された煙幕発生剤収容室であり、前記煙幕発生剤収容室に前記点火生成物の放出孔が面しているものであり、
前記点火器が作動したとき、前記煙幕発生剤収容室内の煙幕発生剤が着火燃焼されて煙幕源が発生し、前記煙幕源が前記多孔筒状体内を通って移動して煙幕源の排出口を通った後で外部に煙幕源が排出されて煙幕を発生させる、煙幕発生器を提供する。
【0009】
筒状ハウジングは、鉄、ステンレスなどの金属からなるものであり、第1端開口部と第2端開口部を有している。
【0010】
第1クロージャは、筒状ハウジングの第1端開口部を閉塞できる形状および大きさのものである。
第1クロージャは、筒状ハウジングの第1端開口部に対してねじ込まれて取り付けられたり、圧入されて取り付けられたり、溶接により取り付けられたりしている。
点火器と第1クロージャは一体になっていてもよいし、第1クロージャに点火器が取り付けられたものでもよい。
点火器は、公知のエアバッグ装置で使用しているガス発生器用の点火器を使用することができる。
【0011】
第2クロージャは、筒状ハウジングの第2端開口部を閉塞できる形状および大きさのものである。
第2クロージャは、筒状ハウジングの第2端開口部に対してねじ込まれて取り付けられたり、圧入されて取り付けられたり、溶接により取り付けられたりしている。
第2クロージャは、一つの部材からなるものでもよいし、二つの部材の組み合わせからなるものでもよい。
第2クロージャが二つの部材の組み合わせからなるものであるときは、それぞれはねじ込み、圧入または溶接などで一体化されている。
【0012】
多孔筒部材は、周面に多数の孔を有している金属製の筒部材であればよく、網が筒状に成形されたもの、筒の周面に多数の孔が形成されたものなどを使用することができるが、網が筒状に成形されたものが好ましい。
多孔筒部材が有している孔(網目の大きさ)は、煙幕発生剤収容室に収容されている煙幕発生剤が入り込まない大きさのものが好ましい。
また煙幕発生剤収容室に収容されている煙幕発生剤として、多孔筒部材の孔(網目の大きさ)よりも小さいものを使用する場合は、多孔筒部材と煙幕発生剤の間に紙などの可燃性部材を介在させて、煙幕発生剤が煙幕源の排出経路に入り込まないようにすることができる。
多孔筒状体は、作動前は、煙幕発生剤収容室内に収容された煙幕発生剤を半径方向外側に押すように作用することから、煙幕発生剤収容室内に隙間が生じないようにも機能し、作動時には、煙幕発生剤の燃焼により生じた煙幕源の排出経路として機能する。
【0013】
煙幕発生剤は、公知のものであり、円柱状などに成形されているものが好ましいが、粉状のものでもよい。煙幕発生剤は、例えば、特開2015−42603号公報に記載の発煙剤とガス発生剤を含む発煙剤組成物、特開2015−43143号公報に記載の発煙剤とガス発生剤の組み合わせなどを使用することができる。
【0014】
点火器は第1クロージャと共に第1端開口部側に位置しているため、点火器が作動したとき、煙幕発生剤収容室内の煙幕発生剤は第1クロージャ側から着火燃焼された後、第2クロージャ側に向かって燃焼が進行して行くことになる。
しかし、本発明の煙幕発生器では、煙幕発生剤収容室の中心部分であって、第1クロージャから第2クロージャの範囲に多孔筒状体が配置されているため、煙幕発生剤が第1クロージャ側から着火燃焼されたとき、燃焼により生じた高温ガスは多孔筒状体に入って軸方向に移動しながら、多孔筒状体と接触している煙幕発生剤を着火燃焼して行く。
このため、第1クロージャ側から第2クロージャ側に向かってのみ煙幕発生剤の燃焼が進行する場合と比べると、全体の燃焼がより速やかに進行されることになり、煙幕の噴出および拡散も促進される。
【0015】
本発明の煙幕発生器は、煙幕発生剤が収容された煙幕発生剤収容室が、半径方向に配置された環状仕切り板により軸方向に複数室に分割されており、前記環状仕切り板が厚さ方向に貫通孔を有しているものにすることができる。
【0016】
環状仕切板は金属からなるもので、内径が多孔筒状体の外周面に当接される大きさで、外径が筒状ハウジングの内周面に当接される大きさのものである。
環状仕切り板は、厚さ方向に貫通孔を有しているものであるが、前記貫通孔は、環状仕切り板の環状面部分に均等間隔をおいて多数形成されていることが好ましい。
環状仕切り板は、筒状ハウジング内に配置し易くすることと、煙幕発生剤を収容し易くするため、環状壁の内部が環状仕切り板で仕切られている形態のものを1または2以上組み合わせることができる。
【0017】
環状仕切り板は、1枚または2枚以上を使用することができる。
環状仕切り板を1枚使用するときは、煙幕発生剤収容室は軸方向に2つに分割されることになり、環状仕切り板を2枚使用するときは、煙幕発生剤収容室は軸方向に3つに分割されることになる。
このように環状仕切り板を使用して煙幕発生剤収容室を軸方向に分割した場合には、煙幕発生剤の燃焼速度を制御でき、より高い煙幕効果となるため好ましい。
【0018】
煙幕発生剤収容室が第1環状仕切り板と第2環状仕切り板によって、第1端開口部側から軸方向に第1室、第2室、第3室に分割されている場合について説明する。
上記したとおり、煙幕発生剤収容室(第1室〜第3室)では、作動時には多孔筒状体の作用により半径方向内側から外側に燃焼が進行する。
このとき、先に燃焼を開始する第1室内で発生した燃焼ガスは、第1室と第2室の間の第1環状仕切り板が有する貫通孔からも第2室に侵入するため、第2室内の煙幕発生剤は、半径方向内側から外側に燃焼が進行すると共に、第1環状仕切り板から軸方向にも燃焼が進行するため、煙幕発生剤の燃焼が制御できる。
その後、同様にして第3室でも、半径方向内側から外側に燃焼が進行すると共に、第2環状仕切り板から軸方向にも燃焼が進行するため、煙幕発生剤の燃焼が制御できる。
【0019】
本発明の煙幕発生器は、前記第1クロージャが、前記第1クロージャの中心部であり、前記点火生成物の放出孔を含まない面に凸部を有しており、
前記第2クロージャが、前記第1クロージャの凸部と軸方向に対向する位置にある第2クロージャの煙幕源排出口の開口部に形成された環状段差面を有しており、
前記多孔筒状体が、一端側の開口部が前記第1クロージャの凸部の外側に嵌め込まれ、他端側の開口部が前記環状段差面に当接されることで固定されているものが好ましい。
【0020】
このように、第1クロージャの凸部と第2クロージャの環状段差面(凹部)との間に嵌め込んで固定することで、取り付けが容易になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の煙幕発生器は、煙幕発生剤の着火燃焼速度が速く、煙幕の拡散速度も速いため、防犯装置として適している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<
図1の煙幕発生器>
煙幕発生器1は、筒状ハウジング10内に煙幕発生剤56および各部品が配置されている。
【0024】
筒状ハウジング10の第1端10a側の周壁部11の内周面は第1環状段差面12を有しており、第1環状段差面12から第1端10aまでは厚さの薄い第1先端周壁部13になっている。第1先端周壁部13の内周面13aはねじ部を有している。
筒状ハウジング10の第2端10b側の周壁部11の内周面は第2環状段差面14を有しており、第2環状段差面14から第2端10bまでは厚さの薄い第2先端周壁部15になっている。第2先端周壁部15の外周面15aはねじ部を有している。
【0025】
筒状ハウジング10の第1端10a側は、第1クロージャ20で閉塞されている。
第1クロージャ20は略カップ形状のものであり、底面部21と周壁部22を有している。
底面部21は中心部に凸部23を有しており、凸部23の周囲には、底面部21を貫通して形成された複数の点火生成物の放出孔24を有している。複数の点火生成物の放出孔24は、周方向に均等間隔で2〜8個程度形成されている。
また底面部21は放出孔24との間には必要に応じてシールテープを設け、煙幕発生剤のこぼれ防止や、湿度対策をとることもできる。
周壁部22は、第1先端周壁部13の内周面13aのねじ部に対してねじ込むことができるねじ部22aを有している。
【0026】
第1クロージャ20の内部空間25には、点火器カラー6を有する点火器5が取り付けられている。
点火器5は、第1クロージャ20の内周壁面25aに対して点火器カラー6がねじ込まれることで取り付けられている。
点火器5の着火部5aは、内部空間25内に位置している。
【0027】
筒状ハウジング10の第2端10b側は、第2クロージャ30で閉塞されている。
第2クロージャ30は、第1部材31と第2部材40の組み合わせからなるものであるが、一つの部材からなるものにすることもできる。
図1、
図2に示すように、第1部材31は、外径の大きな環状基板32、環状基板32上に形成された、環状基板32よりも外径の小さな環状凸部33、環状基板の内周壁部34a、環状基板の外周壁部34b、環状底面部35を有している。
環状凸部33は、環状基板32との外径の差から、軸X方向に面した、環状基板の内周壁部34a側の環状内側段差面36aと、軸X方向に面した、環状基板の外周壁部34b側の環状外側段差面36bを有している。
環状凸部33は、環状基板32との外径の差から、半径方向(軸X方向に直交する方向)内側に面した環状内側周壁面37aと、半径方向外側に面した環状外側周壁面37bを有している。
第1部材31の中心部であり、環状内側段差面36aの内側には、煙幕源排出口38が形成されている。
第1部材31は、環状外側周壁面37bが筒状ハウジング10の内壁面10cに当接され、環状外側段差面36bが第2環状段差面14に当接され、環状基板の外側周壁部34bが第2先端周壁部15に当接された状態で、筒状ハウジング10の第2端開口部10bに嵌め込まれている。
【0028】
第2部材40は、略カップ形状のものであり、周壁部41と中心部に貫通孔43が形成された底面部42を有しており、周壁部41は内周面にねじ部44を有している。
貫通孔43の内径は、煙幕源排出口38の内径よりも大きく、環状底面部35の外径よりも小さくなっている。
第2部材40は、ねじ部44が第2先端周壁部15の外周面15aに対してねじ込まれることで固定されている。
第2部材40の底面部42は、第1部材31の環状底面部35を軸X方向(第1端開口部10a方向)に押さえつけているため、第1部材31は、第2部材40と第2環状段差面14の間において挟み付けられることで固定されている。
【0029】
筒状ハウジング10内には、網が筒状に成形された多孔筒状体50が配置されている。
多孔筒状体50は、第1開口部50a側が第1クロージャ20の凸部23に外側から嵌め込まれ、第2開口部50b側が第2クロージャの第1部材31の環状内側段差面36aと環状内側周壁面37aに当接されている。
多孔筒状体50は、軸X方向の両側から固定されているため、作動前および作動時においても動くことがない。
【0030】
筒状ハウジング10の内周面10cと多孔筒状体50の間の筒状空間が、煙幕発生剤56が収容された煙幕発生剤収容室55である。
煙幕発生剤56は公知のものであり、上記した特開2015−42603号公報に記載の発煙剤とガス発生剤を含む発煙剤組成物、特開2015−43143号公報に記載の発煙剤とガス発生剤の組み合わせなどを使用することができる。
煙幕発生剤56は、円柱、ディスク形状、粉状、顆粒のような所望形状の剤型にすることができる。
煙幕発生剤収容室55の第1端開口部10a側には、第1クロージャ20の底面部21に形成された複数の点火生成物の放出孔24が面しており、第2端開口部10b側は第2クロージャ30の第1部材31に面している。
【0031】
点火器5、多孔筒状体50、煙幕源排出口38および第2部材40の貫通孔43は、それらの中心軸と筒状ハウジング10の軸Xが同軸になるように配置されている。
【0032】
図1に示すガス発生器1の組み立て方法の一実施形態を説明するが、これに限定されるものではない。
筒状ハウジング10の第2端開口部10b側に第1部材31を配置した状態で、外側から第2部材40を筒状ハウジング10に対してねじ込んで固定することで、第2端開口部10b側を閉塞する。
次に、多孔筒状体50の第2開口部50b側を第1部材31の環状内側段差面36a内に嵌め込んだ状態で、煙幕発生剤収容室55内に所要量の煙幕発生剤56を充填する。
次に、第1クロージャ20を筒状ハウジング10の先端周壁部13内にねじ込みながら、凸部23を多孔筒状体50aの第1開口部50a内に嵌め込む。
次に、第1クロージャ20に点火器5をねじ込んで固定する。
【0033】
次に
図1により煙幕発生器1の動作を説明する。
点火器5が作動して内部空間25内に火炎などの点火生成物が放出されると、前記点火生成物は、点火生成物の放出孔24から煙幕発生剤収容室55内に放出され、煙幕発生剤56を着火燃焼する。
煙幕発生剤56の燃焼により発生した高温の煙幕源は、多孔筒状体50を通って、第1クロージャ20から第2クロージャ30方向に移動する。
煙幕発生剤56の燃焼は、第1クロージャ20から第2クロージャ30方向に進行すると共に、多孔筒状体50内を通る高温の煙幕源と煙幕発生剤56が接触することでも着火燃焼が進行するため、半径方向内側から外側方向へも燃焼が進行する。
このようにして異なる方向から煙幕発生剤56の燃焼が進行するため、
図1に示すように細長い形状の筒状ハウジング10(煙幕発生剤収容室55)を使用した場合であっても、煙幕発生剤56の燃焼の進行速度が速くなる。
【0034】
多孔筒状体50を通って移動した煙幕源は、第1部材31の煙幕源排出口38を通った後、さらに第2部材40の貫通孔43から室内に排出されることで冷却されて、煙幕を生じさせる。
【0035】
<
図3の煙幕発生器>
図3の煙幕発生器1Aは、
図4に示す第1環状仕切り板60と第2環状仕切り板62の2枚を使用していることを除いては、
図1に示す煙幕発生器1と同じものである。
【0036】
第1環状仕切り板60は、第1内筒部材70の第2開口部70bと第2内筒部材71の第1開口部71aとの間に挟み付けられた状態で配置されている。第1環状仕切り部材60は、多孔筒状体50を通すための貫通孔61aと作動時に煙幕源を通すための第1煙幕源通過孔61bを有している。
第2環状仕切り板62は、第2内筒部材71の第2開口部71bと第3内筒部材72の第1開口部72aとの間に挟み付けられた状態で配置されている。第2環状仕切り部材62は、多孔筒状体50を通すための貫通孔62aと作動時に煙幕源を通すための第2煙幕源通過孔62bを有している。
第1煙幕源通過孔61bと第2煙幕源通過孔63bの大きさは、煙幕発生剤56よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
第1煙幕源通過孔61bと第2煙幕源通過孔63bの数は特に制限されないが、第1環状仕切り板60と第2環状仕切り板62に均等間隔をおいて4〜20個程度を分散して形成することができる。
【0037】
煙幕発生剤収容室55は、第1環状仕切り板60と第2環状仕切り板62により第1クロージャ20側から第2クロージャ30に向かって順に第1室55a、第2室55b、第3室55cに分割されている。
第1内筒部材70、第2内筒部材71および第3内筒部材72の外径は、筒状ハウジング10内に挿入でき、かつ内周面10cに当接できる大きさに調整されている。
図3では、筒状ハウジング10の周壁部11の厚さを調整することで、第3内筒部材72の第2開口部72b側が第2クロージャ30側の環状段差面11aに当接され、第1内筒部材70の第1開口部70a側が第1クロージャ20に当接されることで、軸X方向に固定されている。
【0038】
図3に示すガス発生器1Aの組み立て方法の一実施形態を説明するが、これに限定されるものではない。
筒状ハウジング10の第2端開口部10b側に第1部材31を配置した状態で、外側から第2部材40を筒状ハウジング10に対してねじ込んで固定することで、第2端開口部10b側を閉塞する。
次に、多孔筒状体50の第2開口部50b側を第1部材31の環状内側段差面36a内に嵌め込んで取り付ける。
次に、第3筒部材72を挿入して配置した後、第3室55cに所要量(全量の約1/3量)の煙幕発生剤56を充填した後、第2環状仕切り部材62を挿入する。
次に、第2室55b内に所要量(全量の約1/3量)の煙幕発生剤56を充填した後、第1環状仕切り部材60を挿入する。
次に、第1室55a内に所要量(全量の約1/3量)の煙幕発生剤56を充填する。
次に、第1クロージャ20を筒状ハウジング10の先端周壁部13内にねじ込みながら、凸部23を多孔筒状体50aの第1開口部50a内に嵌め込む。
次に、第1クロージャ20に点火器5をねじ込んで固定する。
【0039】
次に
図3により煙幕発生器1Aの動作を説明する。
点火器5が作動して内部空間25内に火炎などの点火生成物が放出されると、前記点火生成物は、点火生成物の放出孔24から煙幕発生剤収容室55(第1室55a)内に放出され、煙幕発生剤56を着火燃焼させる。
第1室55a内の煙幕発生剤56の燃焼により発生した高温の煙幕源は、第1環状仕切り板60側に進行して、第1環状仕切り板60の第1煙幕源通過孔61bを通過して第2室55b内に入り、煙幕発生剤56を着火燃焼させる。
これと並行して、第1室55a内で発生した高温の煙幕源は、多孔筒状体50を通って第1室55aから第2室55bの方向に移動する過程で、第2室55bの煙幕発生剤56と接触して着火燃焼させる。
【0040】
第2室55b内の煙幕発生剤56の燃焼により発生した高温の煙幕源は、第2環状仕切り板62側に進行して、第2環状仕切り板60の第2煙幕源通過孔63bを通過して第3室55c内に入り、煙幕発生剤56を着火燃焼させる。
これと並行して、第2室55b内で発生した高温の煙幕源は、多孔筒状体50を通って第2室55bから第3室55cの方向に移動する過程で、第3室55cの煙幕発生剤56と接触して着火燃焼させる。
【0041】
第3室55cの煙幕発生剤56の燃焼により発生した高温の煙幕源は、第1室55aおよび第2室55bで発生した高温の煙幕源と共に多孔筒状体50内を移動する。
このようにして、軸X方向と半径方向内側から外側方向の異なる方向から煙幕発生剤56の燃焼が進行するため、
図3に示すように細長い形状の筒状ハウジング10(煙幕発生剤収容室55)を使用した場合であっても、煙幕発生剤56の燃焼の進行速度が速くなる。
【0042】
多孔筒状体50を通って移動した煙幕源は、第1部材31の煙幕源排出口38を通った後、さらに第2部材40の貫通孔43から室内に排出されることで冷却されて、煙幕を生じさせる。
【実施例】
【0043】
<透光率測定器>
(投光側の機器)
機器名:可視光レーザー405nm,635nm,785nm((株)キコー技研)
型番(635nm):MLXA-D12-635-5(CN4)
型番(785nm):MLXA-D12-785-70(CN4)
(受光側の機器)
機器名:光センサ(日置電機(株))
型番:9742-10
(増幅器)
機器名:光パワーメータ(日置電機(株))
型番:3664
(計測器)
機器名:データ収集システム((株)キーエンス)
型番:NR-2000
(音響測定器)
機器名:普通騒音計((株)小野測器)
型番:LA-1440
【0044】
実施例1、比較例1
実施例1は、
図1に示す煙幕発生器に煙幕発生剤(下記組成1)を充填した。
また比較例1として、
図1の煙幕発生器から点火器をとり除き蓋をし、ノズル側にニクロム線を配置して着火できるようにした上で、容器内からはインナーメッシュを取り除き、空洞をつくらず、全て煙幕発生剤(下記組成1)を充填したものを用意した。
煙幕発生剤の組成1:スクロース/硝酸カリウム/パラフィンワックス
=33/52/15(質量%)
【0045】
(煙幕拡散速度)
30m
3(縦6m、横2.5m、高さ2m)の試験室内の床面の中心に煙幕発生器を置いた。
長辺と短辺の角部の長辺側の壁面に沿って透過率測定器の受光側の機器をセットし、受光側の機器から長辺方向に50cm離れた位置に投光側の機器をセットした。
投光側の機器から635nmの光を照射して、受光側の光センサで検出し、増幅器を介して計測器につなぎ透過率を測定した。透過率が50%に達するまでの時間を測定し、煙幕拡散速度とした。
【0046】
(作動音圧)
30m
3(縦6m、横2.5m、高さ2m)のコンテナ内の床面の中心に煙幕発生器を置き、1m離れた位置の音圧を音圧計で測定した。
【0047】
煙幕拡散速度は、実施例1は7秒、比較例は225秒であった。実施例1では煙が拡散するまでの時間が十分に早くなり、煙幕効果が早く得られるようになった。
作動音圧は、実施例1は133db、比較例1は101dbであった。実施例1は、比較例1に比べ、作動音が大きくなり、侵入者に対し威嚇効果が発揮できる音量となった。
【0048】
実施例2、3
実施例2は、
図1に示す煙幕発生器に煙幕発生剤(下記組成2)を充填した。実施例3は、
図3に示す煙幕発生器に煙幕発生剤(下記組成2)を充填した。
煙幕発生剤の組成2:スクロース/硝酸カリウム=39/61(質量%)
【0049】
実施例1と同様にして煙幕拡散速度を試験した。但し、投光側の機器からは785nmの光を照射した。また、点火器への着火から、15分後の透過率を測定した。透過率が小さいほど煙幕が濃いことを示している。
その結果、実施例2の透過率は55%、実施例3の透過率は29%であった。実施例2の煙幕測定器(
図1の煙幕発生器)も十分に実用できるが、実施例3(
図3の煙幕発生器)のほうがより高い煙幕効果が得られた。
また実施例1の結果と合わせて、異なる波長であっても、高い煙幕効果が発揮できることも確認できた。