【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(第1発明)は、
点火部(11)と導電ピン(12)を有する点火器本体(10)と、点火器本体(10)の周囲を包囲する樹脂部(20)と、樹脂部(20)の周囲に配置され、樹脂部(20)と一体にされた金属カラーと、少なくとも点火部(11)を包囲する、内部にガス発生剤または伝火薬が充填されているカップ形状の点火器ハウジング(50)を有している点火器組立体(1)であって、
前記金属カラーが、筒状カラー(30)と環状カラー(40)の組み合わせからなるものであり、
筒状カラー(30)が、
点火部(11)側に位置する第1端部(31)側の第1内壁面(31a)の内径が導電ピン(12)側に位置する第2端部(32)側の第2内壁面(32a)の内径よりも大きく、第1内壁面(31a)と第2内壁面(32a)の間に内側環状段差面(33)を有しており、第2内壁面(32a)が樹脂部(20)の外表面(21)に当接されているものであり、
環状カラー(40)が、
第1環状面(41)と、第1環状面(41)とは厚さ方向に反対側の第2環状面(42)と、内周面(43)と、外周面(44)を有しており、内周面(43)を含む第1環状面(41)と第2環状面(42)の一部と中心穴が樹脂部(20)に埋設され、外周面(44)を含む残部の第1環状面(41)と第2環状面(42)が樹脂部(20)の半径方向外側に突き出されているものであり、
筒状カラー(30)の第1内壁面(31a)に環状カラー(40)の外周面(44)が当接され、筒状カラー(30)の内側環状段差面(33)に環状カラー(40)の外周面(44)側の第2環状面(42)が当接されているものであり、
カップ形状の点火器ハウジング(50)が、底部(51)側の小径周壁部(53)、開口部(52)側の小径周壁部(53)より大きい大径周壁部(54)、および小径周壁部(53)と大径周壁部(54)の間の環状段差部(55)を有しているものであり、
カップ形状の点火器ハウジング(50)が、開口部(52)の環状端面(52a)が環状カラー(40)の第1環状面(41)に当接され、大径周壁部(54)の外側面が筒状カラー(30)の第1内壁面(31a)に当接され、環状段差部(55)の外側面(55a)とそれに接する小径周壁部(53)の外側面が、筒状カラー(30)の第1端部(31)側が縮径された部分(34)と当接されることで外側から固定されている、点火器組立体(1)を提供する。
【0008】
第1発明の点火器組立体は、金属カラーとして筒状カラーと環状カラーの組み合わせからなるものを使用している。
筒状カラーは、一部面(第2内壁面)が樹脂部の外表面に当接されている。
環状カラーは、中心穴を含む一部面が樹脂部に埋設され、樹脂部と一体になっている。
筒状カラーと環状カラーは、互いに部分的に当接されている。
カップ形状の点火器ハウジングは、金属からなるものであり、底面側の小径周壁部、開口部側の大径周壁部および前記小径周壁部と前記大径周壁部の間の環状段差面を有している。
カップ形状の点火器ハウジングは、開口部の環状端面が環状カラーの第1環状面に当接され、大径周壁部の外側面が筒状カラーの第1内壁面に当接され、環状段差部の外側面とそれに接する前記小径周壁部の外側面が、前記筒状カラーの第2端部側が縮径された部分と当接されている。
【0009】
このように第1発明の点火器組立体は、点火器ハウジング、筒状カラーおよび環状カラーの3つの部品の取り付け位置および形状が相互に関係付けられることで、点火器ハウジングが外側から固定されているため、点火器ハウジングの金属カラーに対する固定強度が大きくなっている。
このため、点火器が作動したときでも、点火器ハウジングが金属カラー(筒状カラーおよび環状カラー)からずれたり、外れたりすることがない。
【0010】
また本発明(第2発明)は、
点火部(111)と導電ピン(112)を有する点火器本体(110)と、点火器本体(110)の周囲を包囲する樹脂部(120)と、樹脂部(120)の周囲に配置され、樹脂部(120)と一体にされた金属カラーと、少なくとも点火部(111)を包囲する、内部にガス発生剤または伝火薬が充填されているカップ形状の点火器ハウジング(150)を有している点火器組立体(100)であって、
金属カラーが、筒状カラー(130)と環状カラー(140)の組み合わせからなるものであり、
筒状カラー(130)が、
点火部(111)側に位置する第1端部側(131)の第1内壁面(131a)の内径が大きく、導電ピン(112)側に位置する第2端部側(132)の第2内壁面(132a)の内径が小さく、それらの間に内側環状段差面(133)を有しており、第2内壁面が(132a)が樹脂部(120)の外表面(121)に当接されているものであり、
環状カラー(140)が、
第1環状面(141)と、第1環状面(141)とは厚さ方向に反対側の第2環状面(142)と、内周面(143)と、外周面(144)を有しており、内周面(143)を含む第1環状面(141)と第2環状面(142)の一部と中心穴が樹脂部(120)に埋設され、外周面(144)を含む残部の第1環状面(141)と第2環状面(142)が樹脂部(120)の半径方向外側に突き出されているものであり、
筒状カラー(130)の第1内壁面(131a)に環状カラー(140)の外周面(144)が当接され、筒状カラー(130)の内側環状段差面(133)に環状カラー(140)の外周面(144)側の第2環状面(142)が当接されているものであり、
カップ形状の点火器ハウジング(150)が、周壁部(153)に複数の貫通孔を有し、開口部(152)にフランジ部(154)を有しているものであり、
フランジ部(154)が、開口部(152)側の下側環状面(155)と、下側環状面(155)の軸方向反対側の上側環状面(156)と、下側環状面(155)と上側環状面(156)の間の開口部(152)の環状端面(152a)からなるものであり、
カップ形状の点火器ハウジング(150)が、下側環状面(155)が環状カラー(140)の第1環状面(141)に当接され、環状端面(152a)が筒状カラー(130)の第1内壁面(131a)に当接され、上側環状面(156)が筒状カラー(130)の内側への折曲部(159)と当接されることで外側から固定されている、点火器組立体(100)を提供する。
【0011】
第2発明の点火器組立体は、金属カラーとして筒状カラーと環状カラーの組み合わせからなるものを使用している。
筒状カラーは、一部面(第2内壁面)が樹脂部の外表面に当接されている。
環状カラーは、中心穴を含む一部面が樹脂部に埋設され、樹脂部と一体になっている。
筒状カラーと環状カラーは、互いに部分的に当接されている。
カップ形状の点火器ハウジングは、金属からなるものであり、周壁面に複数の貫通孔を有し、開口部にフランジ部を有している。
カップ形状の点火器ハウジングは、カップ形状の点火器ハウジングのフランジ部が、筒状カラーと環状カラーの両方に当接され、さらに筒状カラーが内側に折り曲げられた部分と当接されている。
【0012】
このように第2発明の点火器組立体は、点火器ハウジング、筒状カラーおよび環状カラーの3つの部品の取り付け位置および形状が相互に関係付けられることで、点火器ハウジングが外側から固定されているため、点火器ハウジングの金属カラーに対する固定強度が大きくなっている。
このため、点火器が作動したときでも、点火器ハウジングが金属カラー(筒状カラーおよび環状カラー)からずれたり、外れたりすることがない。
【0013】
第1発明と第2発明の点火器組立体は、前記筒状カラーの内側環状段差面と前記環状カラーの外周面側の第2環状面が当接された部分において、前記内側環状段差面と前記第2環状面の一方または両方にまたがって環状溝が形成されており、前記環状溝にOリングが嵌め込まれているものが好ましい。
このように環状溝を形成し、そこにOリングを嵌め込むことで、筒状カラーと樹脂部の隙間から点火器ハウジング内に湿気が侵入することが防止できる。
【0014】
第1発明と第2発明の点火器組立体は、前記カップ形状の点火器ハウジングが、筒部と、前記筒部の一方の開口部を塞ぐ蓋部からなるものであるものが好ましい。
点火器ハウジングはカップ形状のものであるが、最初からカップ形状のものを使用することができるほか、組み立て後にカップ形状になるものも使用することができる。
カップ形状の点火器ハウジングとして筒部と蓋部からなるものを使用するとき、最初に筒部を金属カラー(筒状カラーおよび環状カラー)に対して固定した後、開口部から伝火薬またはガス発生剤を充填し、その後、前記開口部を蓋部で閉塞する。
このようにカップ形状の点火器ハウジングとして筒部と蓋部からなるものを使用すると、組み立て作業が容易になるので好ましい。
【0015】
本発明のガス発生器は、上記した第1発明または第2発明の点火器組立体を有するものである。
また本発明のガス発生器は、独立して作動することができる2つの点火器組立体を有するガス発生器であって、前記2つの点火器組立体のうち、最初に作動することができる点火器組立体が、上記した第1発明または第2発明の点火器組立体であるものが好ましい。
【0016】
独立して作動することができる2つの点火器組立体を有するガス発生器の場合には、
一方の点火器が最初に作動して、遅れて他方の点火器が作動する第1の作動形態、
両方の点火器が同時に作動する第2の作動形態、
一方の点火器のみが作動する第3の作動形態がある。
第1の作動形態の場合において、最初に作動する点火器(点火器組立体)の点火器ハウジングが金属カラーから外れた場合のように、最初に作動する点火器(点火器組立体)の作動に異常が生じたとき、遅れて作動する点火器(点火器組立体)の作動にも悪影響を及ぼし、ガス発生器として正常に動作できなくなるおそれもある。
本発明のガス発生器で使用している第1発明または第2発明の点火器組立体は、金属カラーから点火器ハウジングが外れることが防止されているため、ガス発生器の正常な動作も確保されている。