(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585495
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20190919BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
H04M9/00 F
A61G12/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-245841(P2015-245841)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-112506(P2017-112506A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
(72)【発明者】
【氏名】水野 智則
(72)【発明者】
【氏名】飯島 裕一
【審査官】
山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−021029(JP,A)
【文献】
特開2014−097109(JP,A)
【文献】
特開2010−005061(JP,A)
【文献】
特開2005−072870(JP,A)
【文献】
特開2010−051544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 9/00−15/12
99/00
H04M 1/00− 1/82
9/00− 9/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すための第一のナースコール子機と、
前記第一のナースコール子機が接続され、病室内のベッド近傍の壁面に設置される第一のプレート子機と、
前記第一のプレート子機に接続され、前記病室近傍の廊下に設置される廊下灯と、
ナースステーションに設置されて看護師が患者からの呼出に応対するためのナースコール親機と、
前記廊下灯および前記ナースコール親機に接続され、前記廊下灯や前記ナースコール親機を制御する制御装置と、
を備えたナースコールシステムであって、
前記廊下灯には、前記ベッド近傍以外の場所からの汎用呼出が可能な第二のナースコール子機が、第二のプレート子機を介して、さらに接続され、
前記廊下灯は、前記第一のナースコール子機および前記第二のナースコール子機からの呼出に対して患者情報や汎用呼出情報を表示するためのモニタと、当該モニタを制御するための表示制御部とを有し、
前記モニタは、患者情報表示領域と汎用呼出情報表示領域とを有し、
前記表示制御部は、前記汎用呼出が可能な前記第二のナースコール子機からの呼出が発生すると、前記汎用呼出情報表示領域内に呼出元を特定するための表示欄を生成するとともに、前記汎用呼出が重複した場合には前記患者情報表示領域を表示させたままの状態で前記汎用呼出の数に応じた数の表示欄を前記汎用呼出情報表示領域内に表示させる制御を行う、ナースコールシステム。
【請求項2】
前記ベッド近傍以外の場所からの汎用呼出は、前記病室内のトイレまたは浴室からの呼出である、請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
前記汎用呼出情報表示領域に表示される表示欄は、重複した呼出の数に応じて大きさを変化させる、請求項1または請求項2に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
前記廊下灯に接続される全ての第一のナースコール子機および第二のナースコール子機からの呼出に対して優先度が設定されており、
前記呼出が重複した場合には、前記表示制御部は、前記優先度に応じて前記患者情報表示領域および前記汎用呼出情報表示領域の大きさを変更する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記第二のナースコール子機からの汎用呼出が前記第一のナースコール子機からの呼出よりも優先度が高いと判断した場合には、前記汎用呼出情報表示領域および当該領域に表示される表示欄が初期設定時のサイズである標準サイズよりも大きくなるように変更する、請求項4に記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院で用いられるナースコールシステムにおいて、特に廊下灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のように、従来、患者からの呼出を病室の入り口付近に配置された液晶廊下灯で報知するにあたって、患者からの呼出に応じて液晶廊下灯を点滅させるとともに、呼出を行った患者の患者情報を液晶廊下灯の表示部に表示させる構成としていた。これにより、看護師は、患者情報を確認してから処置を行うことができ、また、呼出を行った患者の患者情報のみを表示しているため、患者のプライバシーの保護も図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−021029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、例えば、病室内にトイレや浴室などが設置され、そこにナースコール子機が設置される場合に、ベッド(病床)からの呼出ではないトイレや浴室から呼出操作については患者情報を表示する廊下灯とは別の廊下灯を設置しなければ、これらトイレや浴室からの呼出を報知することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、ベッドからの呼出とベッド以外からの呼出を単一の廊下灯で報知することが可能なナースコールシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のナースコールシステムは、
患者が看護師を呼び出すための第一のナースコール子機と、
前記第一のナースコール子機が接続され、病室内のベッド近傍の壁面に設置される第一のプレート子機と、
前記第一のプレート子機に接続され、前記病室近傍の廊下に設置される廊下灯と、
ナースステーションに設置されて看護師が患者からの呼出に応対するためのナースコール親機と、
前記廊下灯および前記ナースコール親機に接続され、前記廊下灯や前記ナースコール親機を制御する制御装置と、
を備えたナースコールシステムであって、
前記廊下灯には、前記ベッド近傍以外の場所からの汎用呼出が可能な第二のナースコール子機が、第二のプレート子機を介して、さらに接続され、
前記廊下灯は、前記第一のナースコール子機および前記第二のナースコール子機からの呼出に対して患者情報や汎用呼出情報を表示するためのモニタと、当該モニタを制御するための表示制御部とを有し、
前記モニタは、患者情報表示領域と汎用呼出情報表示領域とを有し、
前記表示制御部は、前記汎用呼出が可能な前記第二のナースコール子機からの呼出が発生すると、前記汎用呼出情報表示領域内に呼出元を特定するための表示欄を生成するとともに、前記汎用呼出が重複した場合にはその数に応じた表示欄をさらに表示させる制御を行うことを特徴とする。
【0007】
このようなナースコールシステムによれば、従来のように、廊下灯と別途に廊下灯を設けることなく、一つの廊下灯で全ての呼出情報を表示できる。表示される情報に応じて表示領域を分けているため、どの(あるいは、どこからの)呼出なのかが看護師にとってわかりやすい構成となっている。また、汎用呼出については、当該汎用呼出があったときにだけ表示枠が表示されるため、より見やすい構成となっている。
【0008】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記ベッド近傍以外の場所からの汎用呼出は、前記病室内のトイレまたは浴室からの呼出であることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、病室にトイレや浴室が設置されている場合でもベッドに設置されたナースコール子機からの呼出時と同じ廊下灯にて呼出報知することができる。
【0010】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記汎用呼出情報表示領域に表示される表示欄は、重複した呼出の数に応じて大きさを変化させることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、複数の呼出が重複しても限られた大きさのモニタ内でこれら複数の呼出を表示可能となっている。
【0012】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記廊下灯に接続される全ての第一のナースコール子機および第二のナースコール子機からの呼出に対して優先度が設定されており、
前記呼出が重複した場合には、前記表示制御部は、前記優先度に応じて前記患者情報表示領域および前記汎用呼出情報表示領域の大きさを変更することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、呼出が重複した場合であっても、優先度の高い呼出は何であるかを容易に把握することができる。
【0014】
また、本発明のナースコールシステムにおいて、
前記表示制御部は、前記第二のナースコール子機からの汎用呼出が前記第一のナースコール子機からの呼出よりも優先度が高いと判断した場合には、前記汎用呼出表示領域および当該領域に表示される表示欄が初期設定時のサイズである標準サイズよりも大きくなるように変更することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、優先度の高い汎用呼出を容易に把握でき、その後の処置がしやすい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のナースコールシステムによれば、ベッドからの呼出とベッド以外からの呼出を単一の廊下灯で呼出報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
【
図3】(a)および(b)は、液晶廊下灯に表示される画像の一例を示す図である。
【
図4】液晶廊下灯に表示される画像の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るナースコールシステムの構成図である。
図1に示すように、ナースコールシステム100は、患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機10(第一のナースコール子機の一例)と、ナースコール子機10が接続され病室内のベッド近傍の壁面に設置されるプレート子機15と、病室近傍の廊下壁面に設置される液晶廊下灯30(廊下灯の一例)と、液晶廊下灯30および後述するナースコール親機50に接続され、ナースコール子機10や液晶廊下灯30、ナースコール親機50等の各機器を制御する制御装置40と、ナースステーションに設置され看護師が患者からの呼出に応対するためのナースコール親機50と、を備えている。ナースコールシステム100は、さらに、制御装置40に接続され、看護師が携行する携帯端末60の通話接続を制御するためのIP交換機(IP PBX)70と、携帯端末60とIP交換機70との間で無線通信を行う基地局71とを備えている。
【0020】
また、病室内にベッドとは別にトイレや浴室が設置されている場合には、トイレ/バス呼出用のナースコール子機20(第二のナースコール子機の一例)がプレート子機25を介して液晶廊下灯30に接続されている。
【0021】
図2は、液晶廊下灯の機能ブロック図である。
図2に示すように、液晶廊下灯30は、ナースコール子機10,20からの呼出に対して患者情報やトイレ/バス(浴室)からの呼出情報を表示するためのモニタ31と、モニタ31を制御するための表示制御部32と、を備えている。液晶廊下灯30は、さらに、呼出操作に応じて点滅あるいは点灯する(呼出)表示灯33と、各種情報の表示/非表示を行うための操作ボタン34と、スタッフコール等の呼出に対して復旧操作するための復旧ボタン35と、モニタ31に表示する情報を記憶する記憶部36とを備えている。表示制御部32、表示灯33、操作ボタン34、復旧ボタン35および記憶部36は、廊下灯CPU37によって制御されている。表示制御部32および廊下灯CPU37は、通信インタフェース38およびHUBを介して、制御装置40と通信可能となっている。
【0022】
このような構成のナースコールシステム100において、以下、動作を説明する。
なお、患者が看護師を呼び出すためにナースコール子機10を操作することにより行われる液晶廊下灯30での報知、ナースコール親機50や携帯端末60での報知および通話等については従来と同様であるため、詳細は省略するものとし、以下の動作は液晶廊下灯30の動作を中心に説明する。
【0023】
図3(a),(b)は、液晶廊下灯に表示される画像の一例を示す図である。
本例では、病室は3人部屋とする。待ち受け状態では、液晶廊下灯30のモニタ31は消灯した状態である。
患者がベッド近傍のプレート子機15に接続されたナースコール子機10で呼出操作を行うと、液晶廊下灯30の表示灯33が点滅するとともに、モニタ31には呼出を行った患者に対応した患者情報(患者情報表示欄A1)のみが表示される。なお、モニタ31において他の患者の患者情報表示欄A2,A3にはマスクがかけられており表示されることはない。これにより、患者のプライバシーの保護を図ることができる。
【0024】
この状態において、病室に設置されたトイレのナースコール子機20から呼出操作を行うと、その呼出信号が廊下灯CPU37で検出される。
廊下灯CPU37は、当該呼出がベッド近傍のプレート子機15を介した呼出があるか否か、および、他の汎用呼出(例えばバスからの呼出)があるか否かを検出する。当該呼出がベッド近傍のプレート子機15を介した呼出ではないこと、および、他の汎用呼出がないことを検出した場合、廊下灯CPU37は表示制御部32を制御して、モニタ31の下部に一つの表示欄B1を生成し、「トイレ呼出」と表示を行わせる(
図3(a))。なお、この場合、表示灯33については重複呼出であることがわかるように点滅パターンを変更したり、点滅色を変更したりすることが好ましい。
ナースコールシステム100(の液晶廊下灯30)をこのような構成とすることで、従来のように廊下灯と別途に廊下灯を設けることなく、一つの液晶廊下灯30で患者情報や汎用呼出情報といった全ての呼出情報を表示できる。また、表示される情報に応じて表示領域を分けているため、どの(あるいは、どこからの)呼出なのかが看護師にとってわかりやすい構成となっている。さらに、汎用呼出については、当該汎用呼出があったときにだけ表示枠が表示されるため、より見やすい構成となっている。
【0025】
また、トイレからの呼出の他にバスからの呼出がさらに重複したときには、廊下灯CPU37は、ベッド近傍のプレート子機15を介した呼出ではないこと、他の呼出(トイレからの呼出)があることを検出し、表示制御部32を制御してモニタ31の下部の表示欄を2つに変更する制御を行い、「トイレ呼出」(汎用呼出表示欄B1)に加えて「バス呼出」(汎用呼出表示欄B2)との表示を行わせる(
図3(b))。この場合も上記と同様に、表示灯33の点灯/点滅パターンをさらに変更してもよい。なお、本例においては、「トイレ呼出」表示欄B1と「バス呼出」表示欄B2とを左右に並列して表示しているが、モニタ31の形状に応じて、例えば上下に縦列させるなど、表示欄の配置は適宜変更することができる。
【0026】
トイレ/バス等からの汎用呼出がさらに重複した場合(重複呼出が増えた場合)には、モニタ31の下部の表示欄の枠数もさらに変更される。枠数の変更に際し、モニタ31の大きさにあわせて表示欄(表示枠)の大きさも以下のように変化するものとする。
呼出数1>呼出数2(重複)>呼出数3(重複)・・・
汎用呼出情報表示欄B1,B2,…がこのように変化することで、液晶廊下灯30が小さい画面であっても十分に対応することができる。
【0027】
トイレ/バス等からの汎用呼出情報は、患者情報が表示される位置ではなく、モニタ31の下部に表示され、また呼出の重複度合いにより表示欄数を自動的に変更している。そのため、患者情報と汎用呼出との双方表示が可能であり、看護師の対応ミスを防ぐことができる。また、ナースコールシステム100の機器構成も少なくて済むため、低コスト化につながる。
【0028】
図4は、液晶廊下灯に表示される画像の別の例を示す図である。
本例においては、液晶廊下灯30に属する全てのナースコール子機10,20の優先度から報知方法を変更する。すなわち、モニタ31において優先度の高い呼出が一目でわかるような表示とする。通常、ベッド近傍のナースコール子機10からの呼出時にモニタ31に患者情報を表示するため、患者情報表示欄として大きな表示領域を確保しているが、トイレやバスからの呼出は緊急度が高い。そのため、トイレやバスから汎用呼出があった場合には、表示制御部32は、重複した呼出の優先度を判断する。そして、
図4に示すように、表示制御部32は、ナースコール子機20によるトイレやバスからの呼出をナースコール子機10によるベッド近傍からの呼出より優先度が高いものと判断し、モニタ31の表示領域の大きさを変更して、患者情報表示欄A1〜A3を表示する表示領域Aを
図3(a),(b)に示す標準サイズ(初期設定時のサイズ)よりも小さくするとともに、汎用呼出情報表示欄B1,B2を表示する表示領域Bを
図3(a),(b)に示す標準サイズよりも大きくする。これにより、緊急度が高い「トイレ呼出」欄B1を大きく表示することができる。なお、スタッフコールのような緊急呼出については、汎用呼出よりもさらに優先度が高いものとして当該スタッフコールを最も大きく表示することが好ましい。このように、トイレやバスからの汎用呼出が他の呼出と重複した場合には、優先度が高い呼出への処置を優先するために優先度に応じて表示領域(および表示欄)の大きさを適宜変更することで、看護師に対してよりわかりやすい表示を行うことができる。
【0029】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0030】
10:ナースコール子機(第一のナースコール子機の一例)、15:プレート子機、20:ナースコール子機(第二のナースコール子機の一例)、25:プレート子機、30:液晶廊下灯(廊下灯の一例)、31:モニタ、32:表示制御部、33:(呼出)表示灯、34:操作ボタン、35:復旧ボタン、36:記憶部、37:廊下灯CPU、38:通信インタフェース、40:制御装置、50:ナースコール親機、60:携帯端末、70:IP交換機(IP PBX)、71:基地局、100:ナースコールシステム