特許第6585499号(P6585499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社熊谷組の特許一覧

<>
  • 特許6585499-樹木回転装置 図000002
  • 特許6585499-樹木回転装置 図000003
  • 特許6585499-樹木回転装置 図000004
  • 特許6585499-樹木回転装置 図000005
  • 特許6585499-樹木回転装置 図000006
  • 特許6585499-樹木回転装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585499
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】樹木回転装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/00 20060101AFI20190919BHJP
   A01G 17/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   A01G23/00 551Z
   A01G17/04
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-254487(P2015-254487)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-112959(P2017-112959A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】鰐渕 憲昭
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−165155(JP,U)
【文献】 特開平07−087855(JP,A)
【文献】 特開平03−219806(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0221364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 23/00
A01G 17/00
A01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土及び樹木の根を出し入れ可能な上部開口を有した収容容器と、当該収容容器に収容された土と、当該土中に根が埋め込まれて植え込まれた樹木とを備えて構成された回転体と、
地面下に設置されて回転体の収容容器を収容する収容部と、収容容器に植え込まれた樹木の高さ方向に沿って延長する回転中心軸を回転中心として回転体を回転可能に支持する回転支持機構とを備えて構成された回転体支持装置と
回転体支持装置の収容部の上部開口と回転体の収容容器の上部開口との間の環状開口を塞ぐ塞部材とを備え、
回転体の収容容器は、回転体の収容容器の外周面と回転体支持装置の収容部の内周面との間、及び、回転体の収容容器の外底面と回転体支持装置の収容部の内底面との間に、回転体の回転抵抗を低減させるための隙間が設けられた状態となるように回転体支持装置の収容部に収容されて回転可能に構成されたことを特徴とする樹木回転装置。
【請求項2】
土及び樹木の根を出し入れ可能な上部開口を有した収容容器と、当該収容容器に収容された土と、当該土中に根が埋め込まれて植え込まれた樹木とを備えて構成された回転体と、
地面下に設置されて回転体の収容容器を収容する収容部と、収容容器に植え込まれた樹木の高さ方向に沿って延長する回転中心軸を回転中心として回転体を回転可能に支持する回転支持機構とを備えて構成された回転体支持装置とを備え、
回転体の収容容器は、回転体の収容容器の外周面と回転体支持装置の収容部の内周面との間、及び、回転体の収容容器の外底面と回転体支持装置の収容部の内底面との間に、回転体の回転抵抗を低減させるための隙間が設けられた状態となるように回転体支持装置の収容部に収容されて回転可能に構成され、
回転体の収容容器、及び、回転体支持装置の収容部が錐台状の容器により構成されたことを特徴とする樹木回転装置。
【請求項3】
回転体支持装置の錐台状の収容部の周壁が、周方向に複数個に分割された複数の分割体により形成され、
収容部は、複数の分割体の各下端縁と収容部の底体の周縁とが着脱可能に連結されて構成されたことを特徴とする請求項2に記載の樹木回転装置。
【請求項4】
回転体支持装置の錐台状の収容部の周壁が、周方向に複数個に分割された複数の分割体により形成され、
収容部は、複数の分割体が収容部の中心線から離れる方向及び収容部の中心線に近付く方向に移動可能なように、複数の分割体の各下端縁と収容部の底体の周縁とが連結されて構成されたことを特徴とする請求項2に記載の樹木回転装置。
【請求項5】
木の幹の周りを囲むリング体とリング体を回転体の収容容器に固定する固定手段とを有した樹木転倒防止手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の樹木回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に植え込まれた樹木を回転させることが可能な樹木回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
庭、公園等の公共施設、歩道、建物屋上等の緑化のため、樹木を植樹することが一般に行われている。樹木は、一旦地盤に植え込まれてしまえば、通常は、その後、植え替えられることは少ない(例えば、特許文献1;2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−231385号公報
【特許文献2】特開2003−274771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定の場所から見た場合の、樹木の見え方を変えることができれば、景観に変化を与えることができる。例えば、季節の変化に応じて、景観に変化を与えたい場合等が考えられる。
しかしながら、樹木の見え方を変えるためには、樹木を植え替えて樹木の向きを変える必要があり、作業コスト、作業手間等の面から考えて現実的ではない。
本発明は、樹木を植え替えることなく、樹木を回転させることで、樹木の見え方を簡単に変更できて景観を変えることができるようにした樹木回転装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る樹木回転装置は、土及び樹木の根を出し入れ可能な上部開口を有した収容容器と、当該収容容器に収容された土と、当該土中に根が埋め込まれて植え込まれた樹木とを備えて構成された回転体と、地面下に設置されて回転体の収容容器を収容する収容部と、収容容器に植え込まれた樹木の高さ方向に沿って延長する回転中心軸を回転中心として回転体を回転可能に支持する回転支持機構とを備えて構成された回転体支持装置と、回転体支持装置の収容部の上部開口と回転体の収容容器の上部開口との間の環状開口を塞ぐ塞部材とを備え、回転体の収容容器は、回転体の収容容器の外周面と回転体支持装置の収容部の内周面との間、及び、回転体の収容容器の外底面と回転体支持装置の収容部の内底面との間に、回転体の回転抵抗を低減させるための隙間が設けられた状態となるように回転体支持装置の収容部に収容されて回転可能に構成されたので、樹木を回転させることが可能となり、所定の場所からの樹木の見え方を簡単に変更できて景観を変えることができるようなるとともに、回転体の回転抵抗を低減させるための隙間内への異物混入を防止できるため、樹木回転装置の回転体の回転機能を維持させることが可能となる
また、本発明に係る樹木回転装置は、土及び樹木の根を出し入れ可能な上部開口を有した収容容器と、当該収容容器に収容された土と、当該土中に根が埋め込まれて植え込まれた樹木とを備えて構成された回転体と、地面下に設置されて回転体の収容容器を収容する収容部と、収容容器に植え込まれた樹木の高さ方向に沿って延長する回転中心軸を回転中心として回転体を回転可能に支持する回転支持機構とを備えて構成された回転体支持装置とを備え、回転体の収容容器は、回転体の収容容器の外周面と回転体支持装置の収容部の内周面との間、及び、回転体の収容容器の外底面と回転体支持装置の収容部の内底面との間に、回転体の回転抵抗を低減させるための隙間が設けられた状態となるように回転体支持装置の収容部に収容されて回転可能に構成され、回転体の収容容器、及び、回転体支持装置の収容部が錐台状(円錐台状又は角錐台状)の容器により構成されたので、収容部の外周面上に土が被さる構成となるため、樹木の引き抜け力や転倒に対する抵抗力を発揮できる構成となり、樹木の引き抜けや転倒防止効果の高い装置となる。
また、回転体支持装置の錐台状の収容部の周壁が、周方向に複数個に分割された複数の分割体により形成され、収容部は、複数の分割体の各下端縁と収容部の底体の周縁とが着脱可能に連結されて構成されたので、分割体を取り外すことが可能となるので、地面下に設置された回転体支持装置の収容部から回転体の収容容器を出し入れする作業が容易となり、樹木の植え替え作業が容易となる。
また、回転体支持装置の錐台状の収容部の周壁が、周方向に複数個に分割された複数の分割体により形成され、収容部は、複数の分割体が収容部の中心線から離れる方向及び収容部の中心線に近付く方向に移動可能なように、複数の分割体の各下端縁と収容部の底体の周縁とが連結されて構成されたので、複数の分割体を外側に開くことが可能になるため、地面下に設置された回転体支持装置の収容部から回転体の収容容器を出し入れする作業が容易となり、樹木の植え替え作業が容易となる。
また、樹木の幹の周りを囲むリング体とリング体を回転体の収容容器に固定する固定手段とを有した樹木転倒防止手段を備えたので、回転体の収容容器内に植え込まれた樹木の根が収容容器内から引き抜けるなどして樹木が転倒してしまうことを防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】樹木回転装置の断面図(実施形態1)。
図2】樹木回転装置を分解して示す分解斜視図(実施形態1)。
図3】樹木回転装置の断面図(実施形態3)。
図4】樹木回転装置の断面図(実施形態3)。
図5】樹木回転装置の断面図(実施形態4)。
図6】収容部を示す動作説明図(実施形態5)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
実施形態1による樹木回転装置は、図1図2に示すように、回転体1と、回転体支持装置2と、蓋6と、樹木転倒防止手段7とを備えて構成される。
【0008】
回転体1は、土3及び樹木4の根5を出し入れ可能な開口12を有した収容容器11と、当該収容容器11に収容された土3と、当該土3中に根5が埋め込まれて植え込まれた樹木4とを備えて構成される。
収容容器11は、樹木4の根5及び当該根5を埋め込むための土3を収容するための上部開口12の円錐台状の容器に形成される。この収容容器11の上部開口縁部13は、例えば収容容器11の円錐台の中心線に沿った方向に延長する円筒状に形成される。この収容容器11の上部開口12を介して収容容器11内に、樹木4の根5及び当該根5を埋め込むための土3を入れて当該土3中に樹木4の根5が埋め込まれて樹木4が植え込まれることによって、収容容器11と当該収容容器11に収容された土3と当該土3中に根5が埋め込まれて植え込まれた樹木4とが一体となって回転可能な回転体1が構成される。
収容容器11は、収容容器11の底面を形成する円形底体14の下面より下方に突出するように設けられた回転中心軸部15を備える。この回転中心軸部15は、収容容器11を形成する円錐台の中心線と同一の中心線を有した円柱状に形成され、例えば後述する軸受22の内輪22cの内側に嵌め込まれて、当該中心線を回転中心として回転するように構成される。
【0009】
回転体支持装置2は、地面10下に設置されて回転体1の収容容器11を収容する収容部21と、収容容器11に植え込まれた樹木4の高さ方向に沿って延長する回転中心軸を回転中心として回転体1を回転可能に支持する回転支持機構としての軸受22とを備えて構成される。
収容部21は、回転体1の収容容器11よりも一回り大きい上部開口23の円錐台状の容器に形成される。
収容部21は、回転体1の収容容器11の円錐台の側面(外周面)17との間に隙間36を形成する円錐台状筒体24と、回転体1の収容容器11の外底面16との間に隙間36を形成する円形底体25とを備え、円錐台状筒体24の下端外周縁と円形底体25の円周縁とが、溶接、接着剤、ブラケット等の図外の連結手段で連結されて構成される。この円錐台状筒体24の上部開口縁部26は、例えば円錐台状筒体24の円錐台の中心線に沿った方向に延長する円筒状に形成される。
軸受(ベアリング)22は、ころがり軸受(スラスト軸受、ラジアル軸受)、又は、すべり軸受のいずれを使用しても良く、回転体1の重量や大きさに応じて、回転体1を回転可能に支持できるように、種類、設置数、設置方法等を適切に選定すればよい。
例えば、図1に示すように、円形底体25の中央側に軸受固定孔22Aを形成しておいて、軸受22の外輪22bの外周面を当該軸受固定孔22Aの内周面に嵌め込むように固定するとともに、回転中心軸部15の外周面を軸受22の内輪22cの内周面に嵌め込むように固定して、回転体1の回転中心軸15と内輪22cとが一緒に回転可能となるように構成すればよい。
軸受22の一例としては、例えば図1に示すような、転動体22aとしてのたる形の凸面ころを斜めに配列して構成されたスラスト自動調心ころ軸受を用いればよい。
【0010】
樹木回転装置の構築方法について説明する。
まず、回転体支持装置2の収容部21の円形底体25に固定された軸受22の内輪22cの内周面に回転体1の回転中心軸部15の外周面を嵌め込むことで、回転体1の回転中心軸部15と軸受22とを組み付ける。これにより、回転体1の円形底体14の外底面16と収容部21の円形底体25との間に隙間が形成されるとともに、回転中心軸部15の下端面15aと収容部21の円形底体25との間に隙間が形成された状態となり、回転体1が回転中心軸部15の中心線を回転中心として回転可能に構成される。
その後、収容部21の円錐台状筒体24を回転体1の収容容器11の上方側から被せるようにして円錐台状筒体24の内周面30と回転体1の収容容器11の外周面17との間に隙間36を維持した状態で円錐台状筒体24の下端外周縁と円形底体25の円周縁とを図外の連結手段で連結することにより、回転体1の回転機能が維持される樹木回転装置が構成される。
即ち、回転体1の収容容器11が、回転体1の収容容器11の外周面17と回転体支持装置2の収容部21の内周面30との間、及び、回転体1の収容容器11の外底面16と回転体支持装置2の収容部21の内底面27との間に、回転体1の回転抵抗を低減させるための隙間36が設けられた状態となるように回転体支持装置2の収容部21に収容されて回転可能に構成されることで、回転体1の回転機能が維持された樹木回転装置が構成される。
【0011】
樹木回転装置を用いた樹木植え込み方法について説明する。
まず、植樹対象の地盤に、回転体支持装置2の収容部21の円形底体25の面積よりも大きい底面積の設置穴を形成し、この設置穴の底面に収容部21の円形底体25の外底面31を設置して、円形底体25の内底面27に設置された軸受22に回転体1の収容容器11の回転中心軸部15を嵌め込む。そして、円錐台状筒体24を円形底体25に連結して収容部21を形成した後、収容部21の上方に土を被せて設置穴を埋めるとともに、回転体1の収容容器11内に樹木4の根5(根鉢)を挿入し、根5の周りに土3を充填して回転体1の収容容器11内に樹木4を植え込む。
尚、収容容器11と当該収容容器11に収容された土3と当該土3中に根5が埋め込まれて植え込まれた樹木4とが一体となった回転体1を、植樹対象の地面6下に設置された回転体支持装置2の円形底体25上に設置した後に、円錐台状筒体24を円形底体25に連結して収容部21を形成し、その後、収容部21の上方に土を被せて設置穴を埋めるようにしてもよい。
また、樹木回転装置を地上で組み立てた後に、当該樹木回転装置を設置穴内に設置して、その後、収容部21の上方に土を被せて設置穴を埋めるようにしてもよい。
以上のようにして、樹木4が植え込まれた樹木回転装置を所望の場所の地盤に植樹できる。即ち、地盤に植え込まれた樹木を回転させることが可能となる。
【0012】
そして、回転体1の収容容器11の上端開口12と回転体支持装置2の収容部21の上端開口23との間の円環状開口35を介して隙間36内に雨水や異物が侵入しないように当該円環状開口35を塞ぐ塞部材としての円環状の蓋6が設けられる。
当該蓋6は、円環状開口35を塞ぐ板状円環体61と、板状円環体61の外環縁部より延長して板状円環体の板面と直交するように設けられた外側筒部62と、板状円環体61の内環縁部より外側筒部62と同方向に延長して板状円環体61の板面と直交するように設けられた内側筒部63とを備えた構成である。
そして、円筒状に形成された回転体1の収容容器11の上部開口縁部13の内周面と蓋6の内側筒部63の外周面とが対向するとともに、円筒状に形成された回転体支持装置2の円錐台状筒体24の上部開口縁部26の外周面と蓋6の外側筒部62の内周面とが対向して、蓋6の板状円環体61が円環状開口35を塞ぐように蓋6が設置されることにより、回転体1が回転可能となるとともに円環状開口35が塞がれた構成となる。
即ち、回転体支持装置2の収容部21の上部開口23と回転体1の収容容器11の上部開口12との間の環状開口35を塞ぐ蓋6を備えたことにより、回転体1の収容容器11の外周面17と回転体支持装置2の収容部21の内周面30との間、及び、回転体1の収容容器11の外底面16と回転体支持装置2の収容部21の内底面27との間に形成された回転体1の回転抵抗を低減させるための隙間36内への異物混入を防止できるため、樹木回転装置の回転体1の回転機能を維持させることが可能となる。
尚、円環状開口35を介して隙間36内に土砂が入らないように、設置穴内に設置された収容部21の上方に土を被せて設置穴を埋める作業、及び、設置穴内に設置された収容容器11内に土3を充填する作業を行う前に、当該蓋6で円環状開口35を塞ぐことが好ましい。
【0013】
また、回転体1の収容容器11内に植え込まれた樹木4の根5が収容容器11内から引き抜けるなどして樹木4が転倒してしまうことを防止するための樹木転倒防止手段7が設けられる。
樹木転倒防止手段7は、樹木4の幹41の周りを囲むリング体71と、リング体71を回転体1に固定する固定手段としての棒状又は紐状等の連結体72とを備え、リング体71の孔に樹木4の幹41を通し、一端がリング体71に連結されてリング体71の外側に延長するように設けられた複数の連結体72の他端を、円筒状に形成された回転体1の収容容器11の上部開口縁部13の内周面に設けられたブラケット73等の固定部に連結することにより構成される。
尚、リング体71は、例えば図2に示すように半円弧状の2個の半体同士を、ブラケット及び連結ねじ等で形成された連結手段74で連結して構成されたリング体や、直線状のものを幹の周りに一周以上巻き回して構成されたリング体を用いることによって、樹木4の根5を回転体1の収容容器11内の土3に植え込んだ後であっても、樹木転倒防止手段7を設置できるようになる。
当該樹木転倒防止手段7を設けたことにより、回転体1の収容容器11内に植え込まれた樹木4の根5が収容容器11内から引き抜けるなどして樹木4が転倒してしまうことを防止できるようになる。
【0014】
また、回転体1の収容容器11内の水分を地盤に排出させるために、回転体1の収容容器11の円形底体14及び収容部21の円形底体25に、水分を通過させるための図外の微細な穴が形成されている。
尚、回転体1の収容容器11、回転体支持装置2の収容部21、蓋6、樹木転倒防止手段7は、例えば、金属、合成樹脂等により形成される。
【0015】
実施形態1の樹木回転装置を用いて植樹を行えば、樹木4に回転力を加えることで、樹木4を植え替えることなく、樹木4を回転させることが可能となり、所定の場所からの樹木4の見え方を簡単に変更できて景観を変えることができるようなる。
また、台風などの強風時において、樹木4が風を受けて風向方向に作用する風力が最小となる向きに回転しやすくなって、樹木4に過大な力が作用してしまうことを抑制でき、樹木4の枝や幹の折れや損傷、倒木等の被害を受け難くなるという効果も得られる。
【0016】
また、回転体1の収容容器11及び回転体支持装置2の収容部21が円錐台形状に形成されている。つまり、回転体1の収容容器11の外周面が円錐台状に形成されたとともに、回転体支持装置2の収容部21の周壁が回転体1の収容容器11の外周面と平行な円錐台状に形成されているので、回転体1の回転抵抗を低減させるための隙間36を均等にできて、回転体1をスムーズに回転させることが可能となり、かつ、収容部21の外周面上に土が被さる構成となるため、樹木4の引き抜け力や転倒に対する抵抗力を発揮できる構成となり、樹木4の引き抜けや転倒防止効果の高い装置となる。
【0017】
実施形態2
実施形態1では、回転支持機構として軸受22を用いた例を示したが、回転支持機構としては、回転体1の収容容器11の外周面17と回転体支持装置2の収容部21の内周面30との間、及び、回転体1の収容容器11の外底面16と回転体支持装置2の収容部21の内底面27との間に、回転体1の回転抵抗を低減させるための隙間36が設けられた状態となるように回転体支持装置2の収容部21内に収容された回転体1を、回転体支持装置2の収容部21の中心線を回転中心線として回転させる回転支持機構であればよい。例えば、回転体1の外底面16と回転体支持装置2の内底面27とに対応して設けられた図外の円形レール及び当該円形レール上を走行する車輪により、回転体1が回転体支持装置2の収容部21の中心線を回転中心線として回転するように構成された回転支持機構、あるいは、回転体1の外底面16が回転体支持装置2の内底面27上に設けられた図外の複数の球体上を滑ることにより回転体1が回転体支持装置2の収容部21の中心線を回転中心線として回転するように構成された回転支持機構等であってもよい。
【0018】
実施形態3
回転体1の収容容器11及び回転体支持装置2の収容部21は、図3に示すような円筒形状の壁部を備えた構成であってもよいし、あるいは、図4に示すような上側部分の径が小径に形成された段差付き円筒形状の壁部を備えた構成であってもよい。段差付き円筒形状の壁部を備えた構成とすれば、収容部21の壁部の段差面上に土が被さる構成となるため、上述したように樹木4の引き抜けや転倒防止効果の高い装置となる。
【0019】
実施形態4
また、図5に示すように、回転体1の収容容器11及び回転体支持装置2の収容部21として、上端部の周壁が円錐台形状に形成されて下端部の周壁が逆円錐台形状に形成されたもの用いれば、収容部21の外周面上に土が被さる構成となるため、樹木4の引き抜け力や転倒に対する抵抗力を発揮できる構成となり、樹木4の引き抜けや転倒防止効果の高い装置となるとともに、回転体1の収容容器11の収容体積を大きくできるため、大型の樹木4を植え込むのに適した収容容器11の形状を実現できるようになる。
【0020】
実施形態5
回転体支持装置2の収容部21が、収容部21の周壁を形成する円錐台状筒体24と、収容部21の底を形成する円形底体25とを備えた構成において、図6に示すように、円錐台状筒体24が、当該円錐台状筒体24を周方向に複数個に分割してなる複数の分割体24A;24A…により形成され、収容部21は、複数の分割体24A;24A…が円錐台状筒体24の中心線から離れる方向及び円錐台状筒体24の中心線に近付く方向に移動可能なように、複数の分割体24A;24A…の各下端縁と円形底体25の円周縁とが、ヒンジ24B等の連結手段で可動可能に連結されて構成されたものであってもよい。
当該構成によれば、例えば、図6(a)に示すように4個の分割体24A;24A…が円錐台状筒体24の中心線に近付く方向に移動されていて収容部21を形成する状態から、図6(b)に示すように4個の分割体24A;24A…が円錐台状筒体24の中心線から離れる方向に移動されて、4個の分割体24A;24A…が外側に開くことが可能になるので、地面10下に設置された回転体支持装置2の収容部21から回転体1の収容容器11を出し入れする作業が容易となり、樹木4の植え替え作業が容易となる。
【0021】
実施形態6
回転体支持装置2の収容部21が、収容部21の周壁を形成する円錐台状筒体24と、収容部21の底を形成する円形底体25とを備えた構成において、複数の分割体24A;24A…の各下端縁と収容部21の円形底体25の周縁とが着脱可能に連結された構成の収容部21を用いるようにしてもよい。
即ち、回転体支持装置2の円錐台状の収容部21の周壁が、周方向に複数個に分割された複数の分割体24A;24A…により形成され、収容部21は、複数の分割体24A;24A…の各下端縁と収容部21の円形底体25の周縁とが着脱可能に連結されて構成されたものを用いてもよい。
当該構成によれば、分割体24A;24A…を取り外すことが可能となるので、実施形態5と同様に、地面10下に設置された回転体支持装置2の収容部21から回転体1の収容容器11を出し入れする作業が容易となり、樹木4の植え替え作業が容易となる。
【0022】
実施形態7
回転体1の回転を防止する図外のストッパーを設け、樹木4の景観を変えたいとき、あるいは、台風等において倒木の可能性が高くなるとき等、樹木4を回転させたいときにストッパーを解除して回転体1が回転可能となるような構成としてもよい。このようにすれば、樹木4を回転させたいときにのみ樹木4を回転させることが可能となり、通常時にはストッパーを作動させることで、むやみに樹木4が回転しないようにできる。
【0023】
実施形態8
回転体1を回転させるためのモータ―などの回転動力源を設けて、回転動力源で回転体1を回転させて樹木4を回転させるようにしてもよい。
【0024】
実施形態9
また、回転体1の収容容器11の周面や回転体支持装置2の収容部21の周面は、必ずしも、円形でなくてもよい。
例えば、回転体1の収容容器11として、外周面が三角形状、四角形状、多角形形状、不定形状等に形成された構成のもの、例えば、角錐台筒状の収容空間、角筒状の収容空間有した容器を用いた場合は、回転体支持装置2の収容部21としては、回転体1を回転可能に収容できて内周面が円形に形成されたものを用いればよい。この場合、回転体1の収容容器11の上端開口と回転体支持装置2の収容部21の円形状の上端開口23との間の開口35を塞ぐ蓋6は、外周縁が収容部21の円形状の上端開口23に対応した円形状に形成されて収容部21と連結されないとともに内周側が回転体1の収容容器11の上端開口縁部に連結されて回転体1と一緒に回転可能に設けられた環状の蓋6を用いればよい。
また、回転体支持装置2の収容部21として、内周面が三角形状、四角形状、多角形形状、不定形状等に形成された構成のもの、例えば、角錐台筒状の収容空間、角筒状の収容空間有した容器を用いた場合は、回転体1の収容容器11としては、収容部21の内側に回転可能に収容されて外周面が円形に形成されたものを用いればよい。この場合、回転体1の収容容器11の上端開口と回転体支持装置2の収容部21の上端開口との間の開口35を塞ぐ蓋6は、外周側が収容部21の上端開口縁に連結されるとともに内周縁が収容容器11の円形状の上端開口に対応した円形状に形成されて収容容器11と連結されずに回転体1が単独で回転できるように構成された環状の蓋6を用いればよい。
以上のように構成することで、回転体1の収容容器11の外周面や回転体支持装置2の収容部21の外周面が必ずしも円形でなくても、回転体1の収容容器11の上端開口と回転体支持装置2の収容部21の上端開口との間の開口35を蓋6で塞いで、回転体1と回転体支持装置2との間の隙間36内に雨水や異物が侵入しない構成とできる。
【0025】
実施形態10
蓋6を設けることなく、収容容器11の上端開口側、あるいは、収容部21の上端開口側に、収容容器11の上端開口と収容部21の上端開口との間の環状開口を塞ぐ環状塞ぎ片等の塞部材を設けるようにしてもよい。
【0026】
尚、収容容器11内に、1本だけでなく、複数本の樹木4を植え込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 回転体、2 回転体支持装置、3 土、4 樹木、5 樹木の根、
6 蓋(塞部材)、7 樹木転倒防止手段、10 地面、11 収容容器、
12 収容容器の上部開口、16 収容容器の外底面、17 収容容器の外周面、
21 収容部、22 軸受(回転支持機構)、23 収容部の上部開口、
24 円錐台状筒体、24A 分割体、25 円形底体、27 収容部の内底面、
30 収容部の内周面、35 環状開口、36 隙間、41 樹木の幹、
71 リング体、72 連結体(固定手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6