【文献】
Protein Engineering, Design & Selection, 2010, 23(8), p.667-677
【文献】
J. Biol. Chem., 2010, 285(25), p.19637-19646
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配列番号1のアミノ酸86〜111を含むスクレロスチンの領域に結合する抗体であって、前記抗体は、スクレロスチン結合部分を含む第1の重鎖および第1の軽鎖、ならびにDKK1結合部分を含む第2の重鎖および第2の軽鎖を含み、
前記第1の重鎖は、EU位置 S183E、E356K、およびD399Kのアミノ酸置換を含み、前記第2の重鎖は、EU位置 S183K、K392D、およびK409Dのアミノ酸置換を含み、前記第1の軽鎖は、EU位置 S176Kのアミノ酸置換を含み、前記第2の軽鎖は、EU位置 S176Eのアミノ酸置換を含み、
前記抗体の前記スクレロスチン結合部分は、a)配列番号78のCDR−L1、配列番号79のCDR−L2、および配列番号80のCDR−L3、ならびに配列番号245のCDR−H1、配列番号246のCDR−H2、および配列番号247のCDR−H3、またはb)配列番号239のCDR−L1、配列番号240のCDR−L2、および配列番号241のCDR−L3、ならびに配列番号269のCDR−H1、配列番号270のCDR−H2、および配列番号271のCDR−H3、から選択される、6つ1セットのCDRを含み、
前記DKK1結合部分は、a)配列番号980のCDR−L1、配列番号981のCDR−L2、および配列番号982のCDR−L3、ならびに配列番号983のCDR−H1、配列番号984のCDR−H2、および配列番号985のCDR−H3、またはb)配列番号1004のCDR−L1、配列番号1005のCDR−L2、および配列番号1006のCDR−L3、ならびに配列番号1007のCDR−H1、配列番号1008のCDR−H2、および配列番号1009のCDR−H3、から選択される、6つ1セットのCDRを含む、
前記抗体。
前記スクレロスチン結合部分は、配列番号269のCDR−H1、配列番号270のCDR−H2、配列番号271のCDR−H3を含む重鎖、ならびに配列番号239のCDR−L1、配列番号240のCDR−L2、および配列番号241のCDR−L3を含む軽鎖を含む、請求項1に記載の抗体。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本出願は、ヘテロ二量体IgGが、2つの異なる抗体の重鎖および軽鎖を、それらが他の混入種を伴うことなく排他的に会合してヘテロ二量体抗体となり得るような様式で、操作することによって産生され得るという発見に基づく。一態様において、ヘテロ二量体の対合は、2つの重鎖のCH3領域を、排他的に二量体を形成することができるように、操作することによって達成される。さらに、軽鎖(LC)と重鎖(HC)との間の接合残基を操作することによって達成される静電的操行は、2つの異なる重鎖および軽鎖の対が会合して所望される4本鎖のヘテロ二量体抗体を形成するときに、軽鎖が同種でない重鎖と誤って対合することを防止する。本明細書に記載されるように、例示的な戦略は、1つ以上の負に荷電した残基(例えば、AspまたはGlu)を第1の軽鎖(LC1)に導入し、1つ以上の正に荷電した残基(例えば、Lys、His、またはArg)をLC1/HC1接合部のもう一方の重鎖(HC1)に導入し、同時に、1つ以上の正に荷電した残基(例えば、Lys、His、またはArg)を第2の軽鎖(LC2)に導入し、1つ以上の負に荷電した残基(例えば、AspまたはGlu)をLC2/HC2接合部のもう一方の重鎖(HC2)に導入することを含む。静電的な操行効果は、LC1がHC1と対合し、LC2がHC2と対合することを導き、これは、接合部で逆に荷電した残基(極性)が引き合い、接合部で同じ種類の荷電残基(極性)が反発を引き起こし、望ましくないHC/LC対合の抑制をもたらすためである。
【0045】
操作のために選択されたLC/HC接合残基は、VL/VHおよびCL/CH1の接合部内に埋め込まれ、空間的に近接している。標的残基は、異なる抗体ファミリー間で、良好に保存されている。軽鎖および重鎖を操作して、特異的ヘテロ二量体を形成する他の手段には、VL/VH接合部の1対の荷電残基をシステイン残基対で置き換えて、ジスルフィド結合を形成してFab領域を安定化すること、VL/VH接合部の1つ以上の親水性残基(例えば、グリシン)を疎水性残基(例えば、グルタミン)と置き換えること、または突起と穴(knob−into−hole)の効果を発揮するようにVL/VH接合部の大/小残基対を操作して、正しいLC/HC対合をもたらすことが挙げられる。本明細書に記載される戦略を使用して、人工的なリンカーを用いることなく2つの既存の抗体から全長ヘテロ二量体抗体を効率的に産生することができる。結果として得られるヘテロ二量体抗体は、安定しており、過剰な凝集または収率損失がなく、商業的製造に適している。ヘテロ二量体のこの新しい型は、2つの異なる抗原または同じ抗原上の2つの異なるエピトープを同時に標的とし得るため、多数の疾患を独自に治療する大きな可能性を有し得る。
【0046】
本明細書に使用される「接合部」という用語は、第1の抗体ドメイン内の1つ以上のアミノ酸と第2の抗体ドメイン内の1つ以上のアミノ酸との相互作用によりもたらされる、結合面を指す。例示的な接合部には、CH1/CL、VH/VL、およびCH3/CH3が挙げられる。いくつかの実施形態において、接合面には、例えば、水素結合、静電的相互作用、または接合面を形成するアミノ酸の間の塩架橋が挙げられる。
【0047】
一態様において、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントであって、次のドメイン:第1のCH
3ドメイン、第2のCH
3ドメイン、CH
1ドメイン、C
Lドメイン、V
Hドメイン、およびV
Lドメインのそれぞれに1つ以上の置換を含み、この1つ以上の置換は、ホモ二量体形成には静電的に有利でなく、ヘテロ二量体形成には静電的に有利である、荷電アミノ酸を導入する、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントが、本明細書に記載される。
【0048】
本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、任意の定常領域を含み得る。軽鎖定常領域は、例えば、κまたはλ型軽鎖定常領域、例えば、ヒトκまたはλ型軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、α、δ、ε、γ、またはμ型重鎖定常領域、例えば、ヒトα、δ、ε、γ、またはμ型重鎖定常領域であり得る。一実施形態において、軽鎖または重鎖の定常領域は、天然に存在する定常領域のフラグメント、誘導体、変異体、または変異タンパク質であり得る。
【0049】
いくつかの変化形において、第1のCH3ドメインまたは第2のCH3ドメインは、野生型ヒトIgGアミノ酸配列内の1つ以上の正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン、ヒスチジン、およびアルギニン)が、CH3ドメイン内の対応する位置(複数可)の1つ以上の負に荷電したアミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)と置き換えられるように、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。あるいは、第1のCH3ドメインまたは第2のCH3ドメインは、野生型ヒトIgGアミノ酸配列内の1つ以上の負に荷電したアミノ酸が、CH3ドメイン内の対応する位置(複数可)の1つ以上の正に荷電したアミノ酸と置き換えられるように、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。
【0050】
いくつかの変化形において、CH1ドメインまたはCLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列内の1つ以上の正に荷電したアミノ酸が、1つ以上の負に荷電したアミノ酸と置き換えられるように、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。あるいは、CH1ドメインまたはCLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列内の1つ以上の負に荷電したアミノ酸が、1つ以上の正に荷電したアミノ酸と置き換えられるように、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。
【0051】
本明細書に記載さえるヘテロ二量体抗体のVHドメインまたはVLドメインは、いくつかの変化形において、野生型IgGアミノ酸配列内の1つ以上の正に荷電したアミノ酸が、1つ以上の負に荷電したアミノ酸と置き換えられるように、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。あるいは、VHドメインまたはVLドメインは、野生型IgGアミノ酸配列内の1つ以上の負に荷電したアミノ酸が、1つ以上の正に荷電したアミノ酸と置き換えられるように、野生型IgGアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。
【0052】
別の態様において、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントであって、(a)AHo42〜50位からなる群から選択されるAHo位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第1のアミノ酸置換を含み、(b)126〜213位(EU番号付け)からなる群から選択される位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第2のアミノ酸置換を含み、(c)352〜360位(EU番号付け)からなる群から選択される位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第3のアミノ酸置換を含み、(d)395〜403位(EU番号付け)からなる群から選択される位置に、荷電アミノ酸を導入する第4のアミノ酸置換を含む、重鎖を含み、(a)の荷電アミノ酸は、(b)の荷電アミノ酸と同じ電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、(a)および(b)の荷電アミノ酸とは逆の電荷を有する、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントが、本明細書に記載される。
【0053】
本明細書において、可変ドメイン(以下に記載される)のフレームワーク領域内の特定のアミノ酸の位置は、AHo番号付けシステムを使用して記載される。抗体のCDRアミノ酸配列長は、抗体によって多様であるため、線形配列に基づいて残基を(第1の残基を1位として)番号付けすることにより、フレームワーク残基は抗体間で異なる位置番号を有することになる。KabatまたはEUの番号付けスキームを使用することにより、この不一致を回避することができ、抗体間でのフレームワーク位置の比較を可能にすることができる。しかしながら、構造的に同等な位置は、異なるKabatまたはEU番号を有し得る。同様に、同じKabat番号を有する残基は、構造上、2つの異なる位置に存在し得る。Annemarie HoneggerおよびAndreas Pluckthunは、構造に基づく番号付けスキーム(AHo)を開発し、これは、CDR領域にギャップを導入して、アライメントされるドメインの平均構造からの偏差を最小限にする。(Honegger,A.,and Pluckthun,A.(2001).J.Mol.Biol.309,657−670)これは、2つの異なる抗体を比較する際に、構造的に同等の位置が同じ残基番号を有することをもたらす。これは、抗体間で、可変ドメインフレームワーク領域における置換の効果の比較を可能にする。
図5〜7は、それぞれ、ヒト重鎖、κ、およびλ可変ドメイン領域のAHo番号付けを提供する。
【0054】
本明細書に使用される際、「フレームワーク」または「フレームワーク配列」という用語は、可変領域からCDRを除いた領域または配列を指す。CDR配列の正確な定義は、様々なシステムによって決定されるため、フレームワーク配列の意味は、それに応じて様々な解釈を有する。6つのCDR(軽鎖のCDR−L1、−L2、および−L3、ならびに重鎖のCDR−H1、−H2、および−H3)はまた、軽鎖および重鎖上のフレームワーク領域を各鎖の4つの副領域(FR1、FR2、FR3、およびFR4)に分割し、ここで、CDR1はFR1とFR2との間に位置し、CDR2はFR2とFR3との間に位置し、CDR3はFR3とFR4との間に位置する。副領域をFR1、FR2、FR3、またはFR4と指定しない場合、フレームワーク領域は、一本鎖の天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内の合わせたFRを表す。本明細書に使用される際、FR(1つ)は、4つの副領域のうちの1つを表し、FR(複数)は、フレームワーク領域を構築する4つの副領域のうちの2つ以上を表す。
【0055】
アミノ酸を「置換する」またはその「置換」とは、元のアミノ酸残基を、1つ以上の他のアミノ酸残基(複数可)と置換することを指す。
【0057】
特定の重鎖とその同種の軽鎖との結合効率を最大化するために、重鎖および軽鎖の両方が、称賛的(complimentary)アミノ酸置換を含有する。「称賛的アミノ酸置換」とは、重鎖における正に荷電したアミノ酸との置換が、重鎖の残基と結合する軽鎖のアミノ酸に対する負に荷電したアミノ酸の置換と対になっていることを意味する。同様に、重鎖における負に荷電したアミノ酸との置換は、重鎖の残基と結合する軽鎖のアミノ酸に対する正に荷電したアミノ酸の置換と対になっている。
【0058】
いくつかの実施形態において、抗体重鎖可変領域は、遺伝子操作される。
図5は、ヒト重鎖可変ドメインVおよびJ領域の生殖細胞系のアライメントである。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、ヒト生殖細胞系重鎖可変領域に少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、重鎖可変領域を含む。
【0059】
VHドメイン内のV領域接合残基(すなわち、VHおよびVLドメインの会合を媒介するアミノ酸残基)には、AHo1位(Kabat1位)、3位(Kabat3位)、42位(Kabat35位)、44位(Kabat37位)、46位(Kabat39位)、50位(Kabat43位)、51位(Kabat44位)、52位(Kabat45位)、53位(Kabat46位)、54位(Kabat47位)、57位(Kabat50位)、70(Kabat59位)、103位(Kabat89位)、105位(Kabat91位)、および107位(Kabat93位)が挙げられる。内のJ領域接合残基は、AHo139位(Kabat103位)、140位(Kabat104位)、141位(Kabat105位)、および142位(Kabat106位)が挙げられる。いくつかの実施形態において、1つ以上の接合残基は、荷電(正または負に荷電した)アミノ酸で置換される。
【0060】
いくつかの実施形態において、VHドメインのAHo46位(Kabat39位)のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置き換えられる。代替的な実施形態において、VHドメインのAHo46位(Kabat39位)のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸と置き換えられる。
【0061】
いくつかの実施形態において、VHドメインのAHo51位(Kabat44位)および/またはAHo141位(Kabat105位)のアミノ酸は、荷電アミノ酸と置き換えられる。いくつかの実施形態において、AHo51位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンと置換される。代替的な実施形態において、AHo51位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。いくつかの実施形態において、AHo141位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンと置換される。代替的な実施形態において、AHo141位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。いくつかの実施形態において、AHo51位およびAHo141位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジン、または負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。このような実施形態は、AHo46位に、正または負に荷電したアミノ酸との置換をさらに含み得る。
【0062】
重鎖のCH1領域もまた、軽鎖と複合体を形成し、この領域は、特定の重鎖と、その同種の軽鎖との対合効率を増加させるように操作することができる。会合は、システイン残基を、接合部またはその付近において重鎖および軽鎖に導入して、ジスルフィド結合の形成をもたらし、突起と穴の効果を作出するようにアミノ酸を改変させ、可変領域に関して本明細書に記載されるものに類似の電気的操作を行うことによって、促進され得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、ヒト生殖細胞系重鎖CH1領域に少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、重鎖CH1領域を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、F126、P127、L128、A141、L145、K147、D148、H168、F170、P171、V173、Q175、S176、S183、V185、およびK213からなる群から選択されるEU位置にある、ヘテロ二量体抗体のCH1ドメイン内の1つ以上のアミノ酸が、荷電アミノ酸と置き換えられる。この点に関して、負または正に荷電したアミノ酸との置換に特に好ましい残基は、S183(EU番号付けシステム)である。いくつかの実施形態において、S183は、正に荷電したアミノ酸で置換される。代替的な実施形態において、S183は、負に荷電したアミノ酸で置換される。
【0065】
本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、任意で、2つのCH3ドメインをさらに含み、そのうちの少なくとも1つは、非天然の荷電アミノ酸をドメインに導入する1つ以上の置換を含有する。いくつかの実施形態において、各CH3ドメインは、ホモ二量体化に不利となり、より好ましくは、対応するCH3ドメインとのヘテロ二量体化に有利となる、1つ以上のアミノ酸置換をCH3ドメインに含む。国際公開第WO 2009/089004号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、2つのCH3ドメイン含有分子間のホモ二量体化を減少させ、ヘテロ二量体化を増加させるように、CH3ドメイン接合部を操作するための組成物および方法について記載している。いくつかの実施形態において、CH3ドメインの位置399、356、および357(EU番号付けシステム)からなる群から選択される1つ以上の位置にあるアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸と置き換えられる。いくつかの実施形態において、370、392、および409(EU番号付けシステム)からなる群から選択される1つ以上の位置にあるアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置き換えられる。代替的な実施形態において、CH3ドメインの399、356、および357(EU番号付けシステム)からなる群から選択される1つ以上の位置にあるアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置き換えられる。さらなる実施形態において、群370、392、および409(EU番号付けシステム)から選択される1つ以上の位置にあるアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸と置き換えられる。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、399位および356位(例えば、D399KおよびE356K)に正に荷電したアミノ酸を含む第1の重鎖と、392位および409位(例えば、K392DおよびK409D)に負に荷電したアミノ酸を含む第2の重鎖と、を含む。
【0066】
一態様において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、(a)AHo42〜50位からなる群から選択されるAHo位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第1のアミノ酸置換を含み、(b)EU126〜213位からなる群から選択されるEU位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第2のアミノ酸置換を含み、(c)EU352〜360位からなる群から選択されるEU位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第3のアミノ酸置換を含み、(d)EU395〜403位からなる群から選択されるEU位置に、荷電アミノ酸を導入する第4のアミノ酸置換を含み、(a)の荷電アミノ酸は、(b)の荷電アミノ酸と同じ電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、(a)および(b)の荷電アミノ酸と逆の電荷を有する。例えば、いくつかの実施形態において、(a)および(b)の荷電アミノ酸は、正の電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、負の電荷を有する。代替的な実施形態において、(a)および(b)の荷電アミノ酸は、負の電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、正の電荷を有する。いくつかの実施形態において、第1のアミノ酸置換はAHo46位にあり、第2のアミノ酸置換はEU183位にあり、第3のアミノ酸置換はEU356位にあり、第4のアミノ酸置換はEU399位にある。
【0067】
別の態様において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、(a)AHo42〜50位からなる群から選択されるAHo位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第1のアミノ酸置換を含み、(b)EU126〜213位からなる群から選択されるEU位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第2のアミノ酸置換を含み、(c)EU388〜397位からなる群から選択されるEU位置に、当該位置に荷電アミノ酸を導入する第3のアミノ酸置換を含み、(d)EU404〜413位からなる群から選択されるEU位置に、荷電アミノ酸を導入する第4のアミノ酸置換を含む、重鎖を含み、(a)の荷電アミノ酸は、(b)の荷電アミノ酸と同じ電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、(a)および(b)の荷電アミノ酸と逆の電荷を有する。例えば、いくつかの実施形態において、(a)および(b)の荷電アミノ酸は、正の電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、負の電荷を有する。代替的な実施形態において、(a)および(b)の荷電アミノ酸は、負の電荷を有し、(c)および(d)の荷電アミノ酸は、正の電荷を有する。いくつかの実施形態において、第1のアミノ酸置換はAHo46位にあり、第2のアミノ酸置換はEU183位にあり、第3のアミノ酸置換はEU392位にあり、第4のアミノ酸置換はEU409位にある。
【0068】
第1の重鎖および第2の重鎖ならびに第1の軽鎖および第2の軽鎖を含むヘテロ二量体抗体であって、第1の重鎖は、46位(AHo、Kabat39位)、183位(EU)、356位(EU)、および399位(EU)にアミノ酸置換を含み、第2の重鎖は、46位(AHo)、183位(EU)、392位(EU)、および409位(EU)にアミノ酸置換を含み、第1および第2の軽鎖は、46位(AHo、Kabat38位)および176位(EU)にアミノ酸置換を含み、アミノ酸置換は、当該位置に荷電アミノ酸を導入する、ヘテロ二量体抗体もまた、本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、第1の重鎖のAHo46位(Kabat39位)のグルタミンはグルタミン酸と置き換えられる、第2の重鎖のAHo46位(Kabat39位)のグルタミンはリジンと置き換えられる、第1の軽鎖のAHo46位(Kabat38位)のグルタミンはリジンと置き換えられる、第2の軽鎖AHo46位(Kabat38位)のグルタミンはグルタミン酸と置き換えられる、第1の重鎖の183位(EU)のセリンはグルタミン酸と置き換えられる、第1の重鎖の356位(EU)のグルタミン酸はリジンと置き換えられる、第1の重鎖の399位(EU)のグルタミン酸はリジンと置き換えられる、第2の重鎖の183位(EU)のセリンはリジンと置き換えられる、第2の重鎖の392位(EU)のリジンはアスパラギン酸と置き換えられる、および/または第2の重鎖の409位(EU)のリジンはアスパラギン酸と置き換えられる。
【0069】
別の態様において、配列番号1のアミノ酸86〜111を含むスクレロスチンの領域に結合する抗体であって、この抗体は、1つ以上のアミノ酸置換を含むCH3ドメインを有する重鎖を含み、1つ以上の置換は、ホモ二量体形成には静電的に有利でなく、ヘテロ二量体形成には静電的に有利である、荷電アミノ酸を導入する、抗体が、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、CH3ドメイン内の負に荷電したアミノ酸(例えば、EU D399位、E356位、またはE357位)は、正に荷電したアミノ酸で置換される。いくつかの実施形態において、EU D399位、E356位、およびE357位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸(例えば、リジン)で置換される。国際公開第WO 2009/089004号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、2つのCH3ドメイン含有分子間のホモ二量体化を減少させ、ヘテロ二量体化を増加させるように、CH3ドメイン接合部を操作するための組成物および方法について記載している。
【0071】
上述のように、特定の重鎖とその同種の軽鎖との結合を最大化するために、重鎖および軽鎖の両方が、好ましくは、鎖の会合を静電的に操行するための称賛的アミノ酸置換を含有する。したがって、種々の実施形態において、軽鎖は、上述の重鎖置換を称賛する1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、軽鎖は、κ軽鎖である。
図6は、ヒトκ軽鎖可変ドメインVおよびJ領域の生殖細胞系のアライメントである。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、ヒト生殖細胞系κ鎖可変領域に少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、κ鎖可変領域を含む。
【0073】
VLドメイン内のV領域接合残基(すなわち、VHおよびVLドメインの会合を媒介するアミノ酸残基)には、AHo40位(Kabat32位)、42位(Kabat34位)、43位(Kabat35位)、44位(Kabat36位)、46位(Kabat38位)、49位(Kabat41位)、50位(Kabat42位)、51位(Kabat43位)、52位(Kabat44位)、53位(Kabat45位)、54位(Kabat46位)、56位(Kabat48位)、57位(Kabat49位)、58位(Kabat50位)、67位(Kabat51位)、69位(Kabat53位)、70位(Kabat54位)、71位(Kabat55位)、72位(Kabat56位)、73位(Kabat57位)、74位(Kabat58位)、103位(Kabat85位)、105位(Kabat87位)、107位(Kabat89位)、108位(Kabat90位)、および109位(Kabat91位)が挙げられる。J領域残基には、AHo116位、117位、および118位が挙げられる。いくつかの実施形態において、VLドメイン内の1つ以上の接合残基は、荷電アミノ酸、好ましくは、同種の重鎖可変ドメイン(すなわち、VHドメイン)に導入するものとは逆の電荷を有するもので置換される。いくつかの実施形態において、VLドメインのAHo46位(Kabat38位)のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置き換えられる。VHドメインのAHo46位(Kabat39位)のアミノ酸が正に荷電したアミノ酸で置き換えられる場合等、いくつかの実施形態において、VLドメインのAHo46位(Kabat38位)のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸と置き換えられる。
【0074】
いくつかの実施形態において、AHo51位(Kabat43位)および/またはAHo141位(Kabat100位)のアミノ酸は、正または負に荷電したアミノ酸と置換される。このような実施形態は、AHo46位のアミノ酸が正または負に荷電したアミノ酸と置換されることをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、AHo51位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンと置換される。代替的な実施形態において、AHo51位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。いくつかの実施形態において、AHo141位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンと置換される。代替的な実施形態において、AHo141位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。いくつかの実施形態において、AHo51位およびAHo141位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジン、または負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。このような実施形態は、AHo46位(Kabat38位)における正または負に荷電したアミノ酸への置換をさらに含み得る。
【0075】
軽鎖の定常領域(すなわち、CLドメイン)もまた、重鎖と複合体を形成し、この領域は、特定の軽鎖と、その同種の重鎖との対合効率を増加させるように操作することができる。会合は、システイン残基を、接合部またはその付近において重鎖および軽鎖に導入して、ジスルフィド結合の形成をもたらし、突起と穴の効果を作出するようにアミノ酸を改変させ、可変領域に関して本明細書に記載されるものに類似の静電的操作を行うことによって、促進され得る。
【0076】
軽鎖がκ軽鎖である実施形態において、ヘテロ二量体抗体のCLドメイン内のF116、F118、S121、D122、E123、Q124、S131、V133、L135、N137、N138、Q160、S162、T164、S174、およびS176からなる群から選択される位置(κ軽鎖におけるEUおよびKabatの番号付け)にある1つ以上のアミノ酸は、荷電アミノ酸と置き換えられる。いくつかの実施形態において、負または正に荷電したアミノ酸との置換のための例示的な残基は、CLドメインの176位(EUおよびKabatの番号付けシステム)のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、CLドメイン176位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置き換えられる。代替的な実施形態において、CLドメインの176位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置き換えられる。
【0077】
いくつかの実施形態において、軽鎖は、λ軽鎖である。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体のCLドメイン内のT116、F118、S121、E123、E124、K129、T131、V133、L135、S137、E160、T162、S165、Q167、A174、S176、およびY178からなる群から選択される位置(λ鎖におけるKabat番号付け)にある1つ以上のアミノ酸は、荷電アミノ酸と置き換えられる。いくつかの実施形態において、負または正に荷電したアミノ酸との置換のための例示的な残基は、CLドメインの176位(EUおよびKabatの番号付けシステム)のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、CLドメイン176位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置き換えられる。代替的な実施形態において、CLドメインの176位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置き換えられる。
【0078】
図7は、ヒトλ軽鎖可変ドメインVおよびJ領域の生殖細胞系アライメントである。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質または抗体は、ヒト生殖細胞系λ鎖可変領域に少なくとも約70%、少なくとも約71%、少なくとも約72%、少なくとも約73%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約78%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、軽鎖可変領域を含む。
【0079】
CLドメイン内のヒト生殖細胞系λ鎖可変領域のV領域接合残基には、AHo40位(Kabat32位)、42位(Kabat34位)、43位(Kabat35位)、44位(Kabat36位)、46位(Kabat38位)、49位(Kabat41位)、50位(Kabat42位)、51位(Kabat43位)、52位(Kabat44位)、53位(Kabat45位)、54位(Kabat46位)、56位(Kabat48位)、57位(Kabat49位)、58位(Kabat50位)、67位(Kabat51位)、69位(Kabat53位)、70位(Kabat54位)、71位(Kabat55位)、72位(Kabat56位)、73位(Kabat57位)、74位(Kabat58位)、103位(Kabat85位)、105位(Kabat87位)、107位(Kabat89位)、108位(Kabat90位)、および109位(Kabat91位)が挙げられる。J領域残基には、AHo139位および140位が挙げられる。これらの位置にあるアミノ酸のうちの1つ以上を、荷電アミノ酸と置換することが、企図される。好ましい実施形態において、1つ以上のアミノ酸は、同種の重鎖可変ドメインに導入するものとは逆の電荷の正または負に荷電したアミノ酸と置換される。
【0080】
いくつかの実施形態において、λ可変領域のAHo51位(Kabat43位)および/またはAHo141位(Kabat100位)のアミノ酸は、正または負に荷電したアミノ酸と置換される。このような実施形態は、AHo46位のアミノ酸が正または負に荷電したアミノ酸と置換されることをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、AHo51位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンと置換される。代替的な実施形態において、AHo51位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。いくつかの実施形態において、AHo141位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジンと置換される。代替的な実施形態において、AHo141位のアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。いくつかの実施形態において、AHo51位およびAHo141位のアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸、例えば、リジン、または負に荷電したアミノ酸、例えば、アスパラギン酸と置換される。このような実施形態は、AHo46位に、正または負に荷電したアミノ酸との置換をさらに含み得る。
【0082】
本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体の重鎖は、重鎖を含有する抗体と1つ以上のFc受容体との結合に影響を及ぼす1つ以上の変異をさらに含み得る。抗体のFc部分の機能のうちの1つは、抗体がその標的に結合するときに、免疫系に情報を伝達することである。これは、一般に「エフェクター機能」と称される。情報伝達は、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)をもたらす。ADCCおよびADCPは、Fcと免疫系細胞表面上のFc受容体との結合を通じて媒介される。CDCは、Fcと補体系のタンパク質、例えばC1qとの結合を通じて媒介される。
【0083】
加えて、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、半減期もしくはクリアランス、ADCC、および/またはCDC活性を含む、抗体のエフェクター機能を変化させるために、定常領域にアミノ酸修飾を有し得る。このような修飾は、例えば、抗体の薬物動態を強化し得るか、またはその治療有効性を強化し得る。Shields et al.,J.Biol.Chem.,276(9):6591−6604(2001)を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0084】
IgGサブクラスは、エフェクター機能を媒介するそれらの能力が多様である。例えば、IgG1は、ADCCおよびCDCの媒介に関して、IgG2およびIgG4よりも優れている。抗体のエフェクター機能は、Fcに1つ以上の変異を導入することにより、増加または減少させることができる。本発明の実施形態は、エフェクター機能を増加するように操作されたFcを有するヘテロ二量体抗体を含む(米国特許7,317,091号およびStrohl,Curr.Opin.Biotech.,20:685−691,2009、いずれも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。増加したエフェクター機能を有する例示的なIgG1 Fc分子は、以下の置換のうちの1つ以上を有するものである[番号付けはEU番号付けスキームに基づく]:
S239D/I332E
S239D/A330S/I332E
S239D/A330L/I332E
S298A/D333A/K334A
P247I/A339D
P247I/A339Q
D280H/K290S
D280H/K290S/S298D
D280H/K290S/S298V
F243L/R292P/Y300L
F243L/R292P/Y300L/P396L
F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L
G236A/S239D/I332E
K326A/E333A
K326W/E333S
K290E/S298G/T299A
K290N/S298G/T299A
K290E/S298G/T299A/K326E
K290N/S298G/T299A/K326E
K334V
L235S+S239D+K334V
Q311M+K334V
S239D+K334V
F243V+K334V
E294L+K334V
S298T+K334V
E233L+Q311M+K334V
L234I+Q311M+K334V
S298T+K334V
A330M+K334V
A330F+K334V
Q311M+A330M+K334V
Q311M+A330F+K334V
S298T+A330M+K334V
S298T+A330F+K334V
S239D+A330M+K334V
S239D+S298T+K334V
L234Y+K290Y+Y296W
L234Y+F243V+Y296W
L234Y+E294L+Y296W
L234Y+Y296W
K290Y+Y296W
【0085】
本発明のさらなる実施形態は、エフェクター機能を減少させるように操作されたFcを有するヘテロ二量体抗体を含む。減少したエフェクター機能を有する例示的なFc分子は、以下の置換のうちの1つ以上を有するものである[番号付けはEU番号付けスキームに基づく]:
N297A(IgG1)
L234A/L235A(IgG1)
V234A/G237A(IgG2)
L235A/G237A/E318A(IgG4)
H268Q/V309L/A330S/A331S(IgG2)
C220S/C226S/C229S/P238S(IgG1)
C226S/C229S/E233P/L234V/L235A(IgG1)
L234F/L235E/P331S(IgG1)
S267E/L328F(IgG1)
【0086】
IgG Fc含有タンパク質のエフェクター機能を増加させる別の方法は、Fcのフコシル化を低減させることによるものである。Fcに付着した二分岐複合型オリゴ糖から中核のフコースを除去することは、抗原結合またはCDCエフェクター機能を変化させることなく、ADCCエフェクター機能を大幅に増加させた。Fc含有分子、例えば、抗体のフコシル化を低減または消失させるためのいくつかの方法が既知である。これらには、FUT8ノックアウト細胞系、変異CHO系Lec13、ラットハイブリドーマ細胞系YB2/0、FUT8遺伝子に特異的に対抗する低分子緩衝RNAを含む細胞系、ならびにβ−1,4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIIIおよびゴルジβ−マンノシダーゼIIを共発現する細胞系を含む、ある特定の哺乳動物細胞系における組み換え発現が挙げられる。あるいは、Fc含有分子は、植物細胞、酵母、または原核生物細胞、例えば、大腸菌といった、非哺乳動物細胞において発現させることもできる。したがって、ある特定の実施形態において、組成物は、低減されたフコシル化を有するか、またはフコシル化が全くない抗体を含む。
【0087】
本質的にいずれの抗体可変ドメインも、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体形式に組み込むことができることが企図される。例示的な抗体可変ドメイン(およびそれらが特異的に結合する抗原)には、米国特許第7947809号および米国特許出願公開第20090041784号(グルカゴン受容体)、米国特許第7939070号、米国特許第7833527号、米国特許第7767206号、および米国特許第7786284号(IL−17受容体A)、米国特許第7872106号および米国特許第7592429号(スクレロスチン)、米国特許第7871611号、米国特許第7815907号、米国特許第7037498号、米国特許第7700742号、および米国特許出願公開第20100255538号(IGF−1受容体)、米国特許第7868140号(B7RP1)、米国特許第7807159号および米国特許出願公開第20110091455号(ミオスタチン)、米国特許第7736644号、米国特許第7628986号、米国特許第7524496号、および米国特許出願公開第20100111979号(上皮成長因子受容体の欠失変異体)、米国特許第7728110号(SARSコロナウイルス)、米国特許第7718776号および米国特許出願公開第20100209435号(OPGL)、米国特許第7658924号および米国特許第7521053号(アンジオポエチン−2)、米国特許第7601818号、米国特許第7795413号、米国特許出願公開第20090155274号、米国特許出願公開第20110040076号(NGF)、米国特許第7579186号(TGF−β II型受容体)、米国特許第7541438号(結合組織成長因子)、米国特許第7438910号(IL1−R1)、米国特許第7423128号(プロパージン)、米国特許第7411057号、米国特許第7824679号、米国特許第7109003号、米国特許第6682736号、米国特許第7132281号、および米国特許第7807797号(CTLA−4)、米国特許第7084257号、米国特許第7790859号、米国特許第7335743号、米国特許第7084257号、および米国特許出願公開第20110045537号(インターフェロン−γ)、米国特許第7932372号(MAdCAM)、米国特許第7906625号、米国特許出願公開第20080292639号、および米国特許出願公開第20110044986号(アミロイド)、米国特許第7815907号および米国特許第7700742号(インスリン様成長因子I)、米国特許第7566772号および米国特許第7964193号(インターロイキン−1β)、米国特許第7563442号、米国特許第7288251号、米国特許第7338660号、米国特許第7626012号、米国特許第7618633号、および米国特許出願公開第20100098694号(CD40)、米国特許第7498420号(c−Met)、米国特許第7326414号、米国特許第7592430号、および米国特許第7728113号(M−CSF)、米国特許第6924360号、米国特許第7067131号、および米国特許第7090844号(MUC18)、米国特許第6235883号、米国特許第7807798号、および米国特許出願公開第20100305307号(上皮成長因子受容体)、米国特許第6716587号、米国特許第7872113号、米国特許第7465450号、米国特許第7186809号、米国特許第7317090号、および米国特許第7638606号(インターロイキン−4受容体)、米国特許出願公開第20110135657号(BETA−KLOTHO)、米国特許第7887799号、および米国特許第7879323号(線維芽細胞成長因子様ポリペプチド)、米国特許第7867494号(IgE)号、米国特許出願公開第20100254975号(ALPHA−4 BETA−7)、米国特許出願公開第20100197005号および米国特許第7537762号(アクチビン受容体様キナーゼ−1)、米国特許第7585500号および米国特許出願公開第20100047253号(IL−13)、米国特許出願公開第20090263383号および米国特許第7449555号(CD148)、米国特許出願公開第20090234106号(アクチビンA)、米国特許出願公開第20090226447号(アンジオポエチン−1およびアンジオポエチン−2)、米国特許出願公開第20090191212号(アンジオポエチン−2)、米国特許出願公開第20090155164号(C−FMS)、米国特許第7537762号(アクチビン受容体様キナーゼ−1)、米国特許第7371381号(ガラニン)、米国特許出願公開第20070196376号(インスリン様成長因子)、米国特許第7267960号および米国特許第7741115号(LDCAM)、米国特許第7265212号(CD45RB)、米国特許第7709611号、米国特許出願公開第20060127393号、および米国特許出願公開第20100040619号(DKK1)、米国特許第7807795号、米国特許出願公開第20030103978号、および米国特許第7923008号(オステオプロテゲリン)、米国特許出願公開第20090208489号(OV064)、米国特許出願公開第20080286284号(PSMA)、米国特許第7888482号、米国特許出願公開第20110165171号、および米国特許出願公開第20110059063号(PAR2)、米国特許出願公開第20110150888号(HEPCIDIN)、米国特許第7939640号(B7L−1)、米国特許第7915391号(c−キット)、米国特許第7807796号、米国特許第7193058号、および米国特許第7427669号(ULBP)、米国特許第7786271号、米国特許第7304144号、および米国特許出願公開第20090238823号(TSLP)、米国特許第7767793号(SIGIRR)、米国特許第7705130号(HER−3)、米国特許第7704501号(アタキシン−1様ポリペプチド)、米国特許第7695948号および米国特許第7199224号(TNF−α変換酵素)、米国特許出願公開第20090234106号(アクチビンA)、米国特許出願公開第20090214559号および米国特許第7438910号(IL1−R1)、米国特許第7579186号(TGF−β II型受容体)、米国特許第7569387号(TNF受容体様分子)、米国特許第7541438号(結合組織成長因子)、米国特許第7521048号(TRAIL受容体−2)、米国特許第6319499号、米国特許第7081523号、および米国特許出願公開第20080182976号(エリスロポエチン受容体)、米国特許出願公開第20080166352号および米国特許第7435796号(B7RP1)、米国特許第7423128号(プロパージン)、米国特許第7422742号および米国特許第7141653号(インターロイキン−5)、米国特許第6740522号および米国特許第7411050号(RANKL)、米国特許第7378091号(炭酸脱水酵素IX(CA IX)腫瘍抗原)、米国特許第7318925号および米国特許第7288253号(副甲状腺ホルモン)、米国特許第7285269号(TNF)、米国特許第6692740号および米国特許第7270817号(ACPL)、米国特許第7202343号(単球走化性タンパク質−1)、米国特許第7144731号(SCF)、米国特許第6355779号および米国特許第7138500号(4−1BB)、米国特許第7135174号(PDGFD)、米国特許第6630143号および米国特許第7045128号(Flt−3リガンド)、米国特許第6849450号(メタロプロテイナーゼ阻害剤)、米国特許第6596852号(LERK−5)、米国特許第6232447号(LERK−6)、米国特許第6500429号(脳由来神経栄養因子)、米国特許第6184359号(上皮由来T細胞因子)、米国特許第6143874号(神経栄養因子NNT−1)、米国特許出願公開第20110027287号(プロタンパク質変換酵素スブチリシンケキシン9型(PCSK9))、米国特許出願公開第20110014201号(IL−18受容体)、ならびに米国特許出願公開第20090155164号(C−FMS)に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されない。上述の特許および公開特許出願は、それらの可変ドメインポリペプチド、可変ドメインをコードする核酸、宿主細胞、ベクター、当該可変ドメインをコードするポリペプチドを作成する方法、薬学的組成物、ならびに可変ドメイン含有抗原結合タンパク質または抗体のそれぞれの標的と関連する疾患を治療する方法の開示の目的で、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0089】
本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される抗スクレロスチンおよび抗DKK1抗体ならびにそれらのフラグメント(例えば、スクレロスチンへの結合を媒介する重鎖および軽鎖、ならびにDKK1への結合を媒介する重鎖および軽鎖を含む、ヘテロ二量体抗体)を含む。「抗体」という用語は、インタクトな抗体、またはその結合フラグメントを指す。抗体は、完全な抗体(免疫グロブリン)分子(全長重鎖および/または軽鎖を有する、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、および/またはヒト化型を含む)を含み得るか、または抗原に結合するそのフラグメントを含み得る。抗体フラグメントは、F(ab’)
2、Fab、Fab’、Fv、Fc、およびFdフラグメントを含み、単一ドメイン抗体(例えば、ナノボディ)、一本鎖抗体、マキシボディ、ミニボディ、細胞内抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NAR、およびビス−scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger and Hudson,Nature Biotechnology,23(9):1126−1136(2005)を参照されたい)。フィブロネクチンポリペプチドモノボディを含む、抗体ポリペプチドもまた、米国特許第6,703,199号に開示される。他の抗体ポリペプチドは、米国特許公開第20050238646号に開示される。
【0090】
抗体フラグメントは、合成または遺伝子操作されたタンパク質であり得る。例えば、抗体フラグメントには、軽鎖可変領域からなる単離フラグメント、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」フラグメント、ならびに軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによって接続された組み換え一本鎖ポリペプチド分子(scFvタンパク質)が含まれる。
【0091】
抗体フラグメントの別の形態は、抗体の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含むペプチドである。本明細書に使用される際、「CDR」という用語は、抗体の可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域のそれぞれに、3つのCDRがあり、これらは、可変領域のそれぞれがCDR1、CDR2、およびCDR3と示される。本明細書に使用される「CDRセット」という用語は、抗原に結合することができる単一の可変領域に生じる3つ1群のCDRを指す。これらのCDRの正確な境界は、様々なシステムによって様々に定義されている。Kabatによって記載されるシステム(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)and(1991))は、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基番号付けシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを定義す正確な残基の境界もまた提供する。これらのCDRは、KabatのCDRと称され得る。Chothiaおよび同僚ら(Chothia&Lesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987)およびChothia et al.,Nature 342:877−883(1989))は、KabatのCDR内のある特定のサブ部分が、アミノ酸配列のレベルに著しい多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格構成をとることを発見した。これらのサブ部分は、L1、L2、およびL3、またはH1、H2、およびH3と指定されており、ここで、「L」および「H」は、それぞれ、軽鎖および重鎖の領域を指す。これらの領域は、ChothiaのCDRと称され得、KabatのCDRと重複する境界を有する。KabatのCDRと重複する、CDRを定義する他の境界は、Padlan(FASEB J.9:133−139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):73245(1996))によって記載されている。さらに他のCDR境界の定義は、厳密には上述のシステムのうちの1つに従わなくてもよいが、それでもなおKabatのCDRと重複するが、それらは、特定の残基もしくは残基の群、または全CDRすら、抗原結合に有意な影響を及ぼさないという予測または実験的所見を踏まえて、短縮または延長され得る。本明細書に使用される方法は、これらのシステムのうちのいずれかに従って定義されるCDRを用いるが、好ましい実施形態は、KabatまたはChothia定義のCDRを使用する。
【0092】
CDR(「最小認識単位」または「超可変領域」とも称される)は、例えば、目的のCDRをコードするポリヌクレオチドを構築することによって得られる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、抗体産生細胞を鋳型として使用して、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて可変領域を合成することによって、調製される(例えば、Larrick et al.,Methods:A Companion to Methods in Enzymology,2:106(1991)、Courtenay−Luck,”Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies,” in Monoclonal Antibodies Production,Engineering and Clinical Application,Ritter et al.(eds.),page 166,Cambridge University Press(1995)、およびWard et al.,” Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,” in Monoclonal Antibodies:Principles and Applications,Birch et al.,(eds.),page 137,Wiley−Liss,Inc.(1995)を参照されたい)。
【0093】
本明細書に記載される方法および抗体は、ヘテロ二量体抗体の生成に有用である。本明細書に使用される「特異的に結合する」とは、抗原結合タンパク質が、他のタンパク質よりも優先的に、抗原に結合することを意味する。いくつかの実施形態において、「特異的に結合する」とは、抗原結合タンパク質が、他のタンパク質よりも、抗原に対して高い親和性を有することを意味する。抗原に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、抗原に対する1×10
−7M以下、2×10
−7M以下、3×10
−7M以下、4×10
−7M以下、5×10
−7M以下、6×10
−7M以下、7×10
−7M以下、8×10
−7M以下、9×10
−7M以下、1×10
−8M以下、2×10
−8M以下、3×10
−8M以下、4×10
−8M以下、5×10
−8M以下、6×10
−8M以下、7×10
−8M以下、8×10
−8M以下、9×10
−8M以下、1×10
−9M以下、2×10
−9M以下、3×10
−9M以下、4×10
−9M以下、5×10
−9M以下、6×10
−9M以下、7×10
−9M以下、8×10
−9M以下、9×10
−9M以下、1×10
−10M以下、2×10
−10M以下、3×10
−10M以下、4×10
−10M以下、5×10
−10M以下、6×10
−10M以下、7×10
−10M以下、8×10
−10M以下、9×10
−10M以下、1×10
−11M以下、2×10
−11M以下、3×10
−11M以下、4×10
−11M以下、5×10
−11M以下、6×10
−11M以下、7×10
−11M以下、8×10
−11M以下、9×10
−11M以下、1×10
−12M以下、2×10
−12M以下、3×10
−12M以下、4×10
−12M以下、5×10
−12M以下、6×10
−12M以下、7×10
−12M以下、8×10
−12M以下、または9×10
−12M以下の結合親和性を有し得る。
【0095】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、抗スクレロスチン抗体を含む、スクレロスチン結合部分を含む。「抗スクレロスチン抗体」は、スクレロスチンまたはその部分に結合して、ヒトスクレロスチンと1つ以上のリガンドとの結合を遮断または妨害する。SOST遺伝子の産物であるスクレロスチンは、骨の過剰成長および強力な高密度の骨を特徴とする骨疾患である、硬結性骨化症には存在しない。J.Hum.Genet.,68:577−589(2001)、Balemans et al.,Hum.Mol.Genet.,10:537−543(2001))。ヒトスクレロスチンのアミノ酸配列は、Brunkowらによって報告され、米国特許公開第20070110747号に、配列番号1として開示される(この特許公開は、スクレロスチン結合剤および配列表の記述に関して参照によりその全体が組み込まれる)。組み換えヒトスクレロスチン/SOSTは、R&D Systems(Minneapolis,Minn.,USA;2006カタログ#1406−ST−025)から市販入手可能である。さらに、組み換えマウススクレロスチン/SOSTは、R&D Systems(Minneapolis,Minn.,USA;2006カタログ#1589−ST−025)から市販入手可能である。研究グレードのスクレロスチン結合モノクローナル抗体は、R&D Systems(Minneapolis,Minn.,USA;マウスモノクローナル:2006カタログ#MAB1406;ラットモノクローナル:2006カタログ#MAB1589)から市販入手可能である。米国特許第6,395,511号および同第6,803,453号、ならびに米国特許公開第2004/0009535号および同第2005/0106683号は、抗スクレロスチン抗体に広く言及する。本発明の文脈における使用に好適なスクレロスチン結合剤の例はまた、米国特許公開第2007/0110747号および同第2007/0072797号に記載され、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。スクレロスチン結合剤を生成するための材料および方法に関するさらなる情報は、米国特許公開第20040158045号(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0096】
抗スクレロスチン抗体またはそのフラグメントは、配列番号1のスクレロスチン、またはその天然に存在する変異体に、1×10
−7M以下、1×10
−8M以下、1×10
−9M以下、1×10
−10M以下、1×10
−11M以下、または1×10
−12M以下の親和性(Kd)で結合し得る。親和性は、種々の技法を使用して判定され、その一例は、親和性ELISAアッセイである。種々の実施形態において、親和性は、BIAcoreアッセイによって判定される。種々の実施形態において、親和性は、動力学的方法によって判定される。種々の実施形態において、親和性は、平衡/溶液法によって判定される。米国特許公開第2007/0110747号は、スクレロスチンに対する抗体の親和性(Kd)を判定するのに好適な親和性アッセイのさらなる記述を含む。
【0097】
いくつかの、またはいずれかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体または抗体フラグメントは、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むスクレロスチンポリペプチドに結合し、配列番号6(CGPARLLPNAIGRGKWWRPSGPDFRC、配列番号1のアミノ酸に対応する)の配列を含むスクレロスチンの領域に結合する。この領域はまた、本明細書においてスクレロスチンの「ループ2」領域と称される。ループ2領域の外側のスクレロスチンの領域は、本明細書において「非ループ2領域」と称される。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1のアミノ酸57〜146を含むスクレロスチンポリペプチドに結合する。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1のアミノ酸89〜103および/または配列番号1のアミノ酸137〜151を含む、スクレロスチンポリペプチドに結合する。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含むスクレロスチンポリペプチドに結合し、配列番号1内の配列番号2(DVSEYSCRELHFTR、配列番号1のアミノ酸51〜64に対応する)、配列番号3(SAKPVTELVCSGQCGPAR、配列番号1のアミノ酸73〜90に対応する)、配列番号4(WWRPSGPDFRCIPDRYR、配列番号1のアミノ酸101〜117に対応する)、配列番号5(LVASCKCKRLTR、配列番号1のアミノ酸138〜149に対応する)、配列番号70(SAKPVTELVCSGQC、配列番号1のアミノ酸73〜86に対応する)、配列番号71(LVASCKC、配列番号1のアミノ酸138〜144に対応する)、配列番号72(C1RELHFTR、配列番号1のアミノ酸57〜64に対応する)、または配列番号73(CIPDRYR、配列番号1のアミノ酸111〜117に対応する)のうちの少なくとも1つの配列に結合する。例えば、一態様において、抗スクレロスチン抗体は、場合によってはその天然の三次元構造で、配列番号2〜5(および/または配列番号70〜73)を含む、配列番号1のスクレロスチンのサブ領域に結合する。任意で、抗スクレロスチン抗体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73のうちの1つ以上からなるペプチド(例えば、配列番号2、配列番号3、配列番号4、および配列番号5からなるペプチド、または配列番号70、配列番号71、配列番号72、および配列番号73からなるペプチド)に結合する。
【0098】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1のアミノ酸89〜103および137〜151を含むスクレロスチンポリペプチドに結合する。
【0099】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、および配列番号5のアミノ酸配列を有するスクレロスチンポリペプチドに結合し、ここで、配列番号2および4は、配列番号1を参照してアミノ酸位置57位および111位でジスルフィド結合によって連結され、配列番号3および5は、(a)配列番号1を参照してアミノ酸位置82位および142位におけるジスルフィド結合、ならびに(b)配列番号1を参照してアミノ酸位置86位および144位におけるジスルフィド結合のうちの少なくとも1つによって連結され、このポリペプチドは、配列番号1のヒトスクレロスチンの対応するポリペプチド領域の三次構造を保持し得る。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70、配列番号71、配列番号72、および配列番号73のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合し、ここで、配列番号72および73は、配列番号1を参照してアミノ酸位置57位および4111位でジスルフィド結合によって連結され、配列番号70および71は、(a)配列番号1を参照してアミノ酸位置82位および142位におけるジスルフィド結合、ならびに(b)配列番号1を参照してアミノ酸位置86位および144位におけるジスルフィド結合のうちの少なくとも1つによって連結される。
【0100】
任意で、抗スクレロスチン抗体は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、および配列番号5のアミノ酸配列から本質的になるペプチドに結合し、ここで、配列番号2および4は、配列番号1を参照してアミノ酸位置57位および111位でジスルフィド結合によって連結され、配列番号3および5は、(a)配列番号1を参照してアミノ酸位置82位および142位におけるジスルフィド結合、ならびに(b)配列番号1を参照してアミノ酸位置86位および144位におけるジスルフィド結合のうちの少なくとも1つによって連結される。
【0101】
任意で、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1の多重切断されたヒトスクレロスチンタンパク質から本質的になるポリペプチドに結合し、ここで、(a)配列番号1のアミノ酸1〜50、65〜72、91〜100、118〜137、および150〜190は、当該ポリペプチドに存在しないか、または(b)配列番号1のアミノ酸1〜56、65〜72、87〜110、118〜137、および145〜190は、当該ポリペプチドに存在しない。
【0102】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70、配列番号71、配列番号72、および配列番号73のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合し、ここで、配列番号72および73は、配列番号1を参照してアミノ酸57位および111位でジスルフィド結合によって連結され、配列番号70および71は、(a)配列番号1を参照してアミノ酸82位および142位におけるジスルフィド結合、ならびに(b)配列番号1を参照してアミノ酸86位および144位におけるジスルフィド結合のうちの少なくとも1つによって連結される。
【0103】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、スクレロスチンポリペプチドは、配列番号lのヒトスクレロスチンの対応するポリペプチド領域の三次構造を保持する。
【0104】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、(i)配列番号1のアミノ酸51〜64、73〜90、101〜117、および138〜149を含むヒトスクレロスチンの部分(ここで、当該部分は、(a)アミノ酸57と111との間のジスルフィド結合、(b)アミノ酸82と142との間のジスルフィド結合、および(c)アミノ酸86と144との間のジスルフィド結合のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてを有する)、または(ii)配列番号1のアミノ酸57〜64、73〜86、111〜117、および138〜144を含むヒトスクレロスチンの部分(ここで、当該部分は、(a)アミノ酸57と111との間のジスルフィド結合、(b)アミノ酸82と142との間のジスルフィド結合、および(c)アミノ酸86と144との間のジスルフィド結合のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つすべてを有する)に結合する。
【0105】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体はまた、配列番号6のエピトープに結合する。
【0106】
本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体を生成するのに使用するための抗スクレロスチン抗体は、好ましくは、米国特許公開第2007/0110747号に記載される細胞に基づくアッセイおよび/もしくは米国特許公開第20070110747号に記載されるインビボアッセイにおいて、スクレロスチン機能を調節する、ならびに/または米国特許公開第2007/0110747号に記載されるエピトープのうちの1つ以上に結合する、ならびに/または米国特許公開第2007/0110747号に記載される抗体のうちの1つの結合を交差遮断する、ならびに/または米国特許公開第2007/0110747号に記載される抗体のうちの1つによりスクレロスチンへの結合が交差遮断される(参照により、その全体および抗スクレロスチン抗体を特徴付けるためのアッセイに関するその記述が本明細書に組み込まれる)。
【0107】
種々の態様において、抗スクレロスチン抗体はまた、MC3T3細胞に基づくミネラル化アッセイにおいて、1ウェル当たりのスクレロスチンのモル数と比較して、1ウェル当たりのスクレロスチン結合部位のモルが6倍を下回って過剰である場合、ヒトスクレロスチンを中和することができる。初代細胞または細胞系のいずれも、培養中の骨芽細胞系列細胞によるミネラル化は、骨形成のインビトロモデルとして使用される。例示的な細胞に基づくミネラル化アッセイは、米国特許公開第20070110747号の例えば実施例8(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される。MC3T3−E1細胞(Sudo et al.,J.Cell Biol.,96:191−198(1983))および元の細胞系のサブクローンは、分化誘導剤の存在下で成長させると培養物中にミネラルを形成し得る。このようなサブクローンにはMC3T3−E1−BFが挙げられる(Smith et al.,J.Biol.Chem.,275:19992−20001(2000))。MC3T3−E1−BFサブクローンならびに元のMC3T3−E1細胞のいずれについても、スクレロスチンは、ミネラル堆積に至り、かつそれを含む、一連の事象のうちの1つ以上を阻害し得る(すなわち、スクレロスチンはミネラル化を阻害する)。スクレロスチンの阻害活性を中和することができる抗スクレロスチン抗体は、例えば、リン酸カルシウム(カルシウムとして測定される)の堆積に、スクレロスチンのみ(すなわち、抗体なし)の処置群において測定されるカルシウムの量と比較して、統計的に有意な増加がある程度に、スクレロスチンの存在下で培養物をミネラル化させる。
【0108】
特定の抗スクレロスチン抗体(または他のスクレロスチン阻害剤)がスクレロスチンを中和し得るかどうかを判定することを目的としたアッセイを行う際、このアッセイに使用されるスクレロスチンの量は、スクレロスチンのみの群において、リン酸カルシウム(カルシウムとして測定される)の堆積に、スクレロスチンなしの群で測定されるカルシウムの量と比較して、少なくとも70%の統計的に有意な低減を引き起こす、最小限のスクレロスチンの量である。抗スクレロスチン中和抗体は、リン酸カルシウム(カルシウムとして測定される)の堆積に、スクレロスチンのみ(すなわち、抗体なし)の処置群において測定されるカルシウムの量と比較して、統計的に有意な増加を引き起こすものとして定義される。抗スクレロスチン抗体が中和するかどうかを判定するために、アッセイに使用される抗スクレロスチン抗体の量は、1ウェル当たりのスクレロスチンのモル数と比較して、1ウェル当たりのスクレロスチン結合部位のモルが過剰となるようなものである必要がある。抗体の効力に応じて、必要とされ得る過剰倍率は、24、18、12、6、3、または1.5倍であり得、当業者は、1つを上回る濃度の結合剤(抗体)を試験する日常的な実務に精通している。例えば、非常に効力の高い抗スクレロスチン中和抗体は、1ウェル当たりのスクレロスチンのモル数と比較して、1ウェル当たりのスクレロスチン結合部位のモルが6倍を下回って過剰であるとき、スクレロスチンを中和するであろう。より効力の低い抗スクレロスチン中和抗体は、12、18、または24倍の過剰でのみ、スクレロスチンを中和するであろう。
【0109】
抗スクレロスチン抗体は、任意で、骨特異的アルカリホスファターゼアッセイ、例えば、国際特許公開第WO 2008/115732号および米国特許第号7,744,874号(参照によりその全体ならびに細胞に基づくアッセイおよび抗スクレロスチン抗体に関するその記述が本明細書に組み込まれる)に記載される骨特異的アルカリホスファターゼアッセイといった、細胞に基づくアッセイにおけるスクレロスチンの中和について、100nM以下、または75nM以下、または50nM以下、または25nM以下のIC50を有する。骨特異的アルカリホスファターゼアッセイは、多分化能マウス細胞系C2C12においてBMP−4およびWnt3a刺激アルカリホスファターゼレベルを減少させるスクレロスチンの能力を前提とする。WO 2008/115732号によると、中和抗スクレロスチン抗体は、このアッセイにおいて、アルカリホスファターゼ活性の用量依存的増加を媒介する。
【0110】
代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、国際特許公開第WO 2009/047356号(参照により抗スクレロスチン抗体および細胞に基づくアッセイに関するその考察が組み込まれる)に記載されるSTFレポーター遺伝子のWnt1媒介性誘導を伴うWntアッセイといった、HEK293細胞系での細胞に基づくWntシグナル伝達アッセイにおけるヒトスクレロスチンの中和について、100nM以下(例えば、75nM以下、または50nM以下)のIC50を有する。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、例えば、国際特許公開第WO 2009/047356号に記載されるミネラル化アッセイといった、MC3T3でのBMP2誘導性ミネラル化アッセイにおけるヒトスクレロスチンの中和について、500nM以下(例えば、250nM以下、150nM以下、100nM以下、または50nM以下)のIC50を有する。
【0111】
本発明の文脈における使用に好適な抗スクレロスチン抗体の例は、米国特許公開第2007/0110747号および同第2007/0072797号に記載され、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、抗体Ab−A、Ab−B、Ab−C、Ab−D、Ab−1、Ab−2、Ab−3、Ab−4、Ab−5、Ab−6、Ab−7、Ab−8、Ab−9、Ab−10、Ab−11、Ab−12、Ab−13、Ab−14、Ab−15、Ab−16、Ab−17、Ab−18、Ab−19、Ab−20、Ab−21、Ab−22、Ab−23、およびAb−24(これらのすべては、米国特許公開第20070110747号に記載されている)のうちの少なくとも1つと、スクレロスチンとの結合を交差遮断する。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、抗体Ab−A、Ab−B、Ab−C、Ab−D、Ab−1、Ab−2、Ab−3、Ab−4、Ab−5、Ab−6、Ab−7、Ab−8、Ab−9、Ab−10、Ab−11、Ab−12、Ab−13、Ab−14、Ab−15、Ab−16、Ab−17、Ab−18、Ab−19、Ab−20、Ab−21、Ab−22、Ab−23、およびAb−24(これらのすべては、米国特許公開第20070110747号に記載されている)のうちの少なくとも1つによって、スクレロスチンとの結合が交差遮断される。「交差遮断」、「交差遮断される」、および「交差遮断する」という用語は、抗体が他の抗体とスクレロスチンとの結合を妨害する能力を意味して、本明細書に互換的に使用される。抗体が別の抗体とスクレロスチンとの結合を妨害することができる程度、およびしたがってそれが交差遮断すると称され得るかどうかは、競合結合アッセイを使用して判定され得る。本発明のいくつかの態様において、交差遮断抗体またはそのフラグメントは、参照抗体のスクレロスチン結合を、約40%〜約100%、例えば、約60%〜約100%、具体的には70%〜100%、およびより具体的には80%〜100%低減させる。交差遮断を検出するのに特に好適な定量的アッセイは、表面プラズモン共鳴技術を用いて相互作用の程度を測定する、Biacore機器を使用する。別の好適な定量的交差遮断アッセイは、スクレロスチンへの結合に関して抗体間の競合を測定する、ELISAに基づくアプローチを使用する。
【0112】
いくつかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンと配列番号1のスクレロスチンとの結合を交差遮断する、ならびに/または全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンによって、配列番号1のスクレロスチンとの結合が交差遮断され、ここで、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンは、本明細書に開示されるCDR配列、例えば、次の3つのCDR配列セットのうちの1つを含む:a)配列番号284のCDR−L1、配列番号285のCDR−L2、配列番号286のCDR−L3、配列番号296のCDR−H1、配列番号297のCDR−H2、および配列番号298のCDR−H3、b)配列番号48のCDR−L1、配列番号49のCDR−L2、配列番号50のCDR−L3、配列番号45のCDR−H1、配列番号46のCDR−H2、および配列番号47のCDR−H3、またはc)配列番号42のCDR−L1、配列番号43のCDR−L2、配列番号44のCDR−L3、配列番号39のCDR−H1、配列番号40のCDR−H2、および配列番号41のCDR−H3。代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンと配列番号1のスクレロスチンとの結合を交差遮断する、ならびに/または全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンによって配列番号1のスクレロスチンとの結合が交差遮断され、ここで、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンは、次のCDRを含む:配列番号245のCDR−H1、配列番号246のCDR−H2、配列番号247のCDR−H3、配列番号78のCDR−L1、配列番号79のCDR−L2、および配列番号80のCDR−L3。
【0113】
代替または追加として、抗スクレロスチン抗体は、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンと配列番号1のスクレロスチンとの結合を交差遮断する、ならびに/または全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンによって配列番号1のスクレロスチンとの結合が交差遮断され、ここで、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンは、次のCDRを含む:配列番号269のCDR−H1、配列番号270のCDR−H2、配列番号271のCDR−H3、配列番号239のCDR−L1、配列番号240のCDR−L2、および配列番号241のCDR−L3。
【0114】
好適な抗スクレロスチン抗体およびそのフラグメントの例には、特に本明細書に開示され、米国特許公開第2007/0110747号に開示される、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3のうちの1つ以上を有する抗体および抗体フラグメントが挙げられる。CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3の領域のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得るが、但し、抗体が非置換CDRの結合特異性を保持することを条件とする。例示的な抗スクレロスチン抗体には、米国特許公開第2007/0110747号のAb−A、Ab−B、Ab−C、Ab−D、Ab−1、Ab−2、Ab−3、Ab−4、Ab−5、Ab−6、Ab−7、Ab−8、Ab−9、Ab−10、Ab−11、Ab−12、Ab−13、Ab−14、Ab−15、Ab−16、Ab−17、Ab−18、Ab−19、Ab−20、Ab−21、Ab−22、Ab−23、およびAb−24が挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的な抗スクレロスチン抗体には、27H6、19D11、および20C3が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
加えて、抗スクレロスチン抗体は、配列表に提供され、米国特許公開第20070110747号に開示される、配列番号39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、78、79、80、81、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、351、352、353、358、359、および360から選択されるCDRに少なくとも75%の同一性(例えば、100%の同一性)を有する少なくとも1つのCDR配列を含み得る。加えて、抗スクレロスチン抗体は、配列表に提供される配列番号417〜422、425〜430、および433〜438から選択されるCDRに少なくとも75%の同一性(例えば、100%の同一性)を有する少なくとも1つのCDR配列を含み得る。好ましくは、抗スクレロスチン抗体は、配列番号245、246、247、78、79、80、269、270、271、239、240、および241から選択されるCDRに少なくとも75%の同一性を有する少なくとも1つのCDR配列を含み、これらのすべては、配列表に提供され、米国特許公開第20070110747号に記載される。米国特許公開第2007/0110747号に記載されるように、抗スクレロスチン抗体は、a)配列番号54、55、および56のCDR配列、ならびに配列番号51、52、および53のCDR配列、b)配列番号60、61、および62のCDR配列、ならびに配列番号57、58、および59のCDR配列、c)配列番号48、49、および50のCDR配列、ならびに配列番号45、46、および47のCDR配列、d)配列番号42、43、および44のCDR配列、ならびに配列番号39、40、および41のCDR配列、e)配列番号275、276、および277のCDR配列、ならびに配列番号287、288、および289のCDR配列、f)配列番号278、279、および280のCDR配列、ならびに配列番号290、291、および292のCDR配列、g)配列番号78、79、および80のCDR配列、ならびに配列番号245、246、および247のCDR配列、h)配列番号81、99、および100のCDR配列、ならびに配列番号248、249、および250のCDR配列、i)配列番号101、102、および103のCDR配列、ならびに配列番号251、252、および253のCDR配列、j)配列番号104、105、および106のCDR配列、ならびに配列番号254、255、および256のCDR配列、k)配列番号107、108、および109のCDR配列、ならびに配列番号257、258、および259のCDR配列、l)配列番号110、111、および112のCDR配列、ならびに配列番号260、261、および262のCDR配列、m)配列番号281、282、および283のCDR配列、ならびに配列番号293、294、および295のCDR配列、n)配列番号113、114、および115のCDR配列、ならびに配列番号263、264、および265のCDR配列、o)配列番号284、285、および286のCDR配列、ならびに配列番号296、297、および298のCDR配列、p)配列番号116、237、および238のCDR配列、ならびに配列番号266、267、および268のCDR配列、q)配列番号239、240、および241のCDR配列、ならびに配列番号269、270、および271のCDR配列、)配列番号242、243、および244のCDR配列、ならびに配列番号272、273、および274のCDR配列、またはs)配列番号351、352、および353のCDR配列、ならびに配列番号358、359、および360を含み得る。
【0116】
抗スクレロスチン抗体は、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3から選択されるCDRに少なくとも75%の同一性(例えば、100%同一)を有する少なくとも1つのCDR配列を含み得、ここで、CDR−H1は配列番号245に提供される配列を有し、CDR−H2は配列番号246に提供される配列を有し、CDR−H3は配列番号247に提供される配列を有し、CDR−L1は配列番号78に提供される配列を有し、CDR−L2は配列番号79に提供される配列を有し、CDR−L3は配列番号80に提供される配列を有し、これらのすべては、配列表に提供され、米国特許公開第20070110747号に記載される。抗スクレロスチン抗体は、種々の態様において、CDRのうちの2つ、またはCDRのうちの6つを含む。任意で、抗スクレロスチン抗体は、配列番号378を含む重鎖(例えば、2つの重鎖)のすべてまたは一部と、配列番号376を含む軽鎖(例えば、2つの軽鎖)のすべてまたは一部と、を含む。
【0117】
抗スクレロスチン抗体は、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3から選択されるCDRに少なくとも75%の同一性を有する(例えば、100%同一である)少なくとも1つのCDR配列を含み得、ここで、CDR−H1は配列番号269に提供される配列を有し、CDR−H2は配列番号270に提供される配列を有し、CDR−H3は配列番号271に提供される配列を有し、CDR−L1は配列番号239に提供される配列を有し、CDR−L2は配列番号240に提供される配列を有し、CDR−L3は配列番号241に提供される配列を有し、これらのすべては、配列表二提供され、米国特許公開第20070110747号に記載される。抗スクレロスチン抗体は、種々の態様において、CDRのうちの少なくとも2つ、またはCDRのうちの6つを含む。任意で、抗スクレロスチン抗体は、配列番号366を含む重鎖(例えば、2つの重鎖)のすべてまたは一部と、配列番号364を含む軽鎖(例えば、2つの軽鎖)のすべてまたは一部とを含む。
【0118】
あるいは、抗スクレロスチン抗体は、CDRのH1、H2、およびH3を含み、配列番号137、145、もしくは392に提供される配列を有するポリペプチド、またはCDRが、それぞれ、配列番号245、246、および247に少なくとも75%同一である(例えば、100%同一である)その変異体を含む、重鎖と、CDRのL1、L2、およびL3を含み、配列番号133もしくは141に提供される配列を有するポリペプチド、またはCDRが、それぞれ、配列番号78、79、および80に少なくとも75%同一である(例えば、100%同一である)その変異体を含む、軽鎖と、を有し得る。(米国特許公開第2007/0110747号に記載される)。
【0119】
抗スクレロスチン抗体は、CDRのH1、H2、およびH3を含み、配列番号335、331、345、もしくは396に提供される配列を有するポリペプチド、またはCDRが、それぞれ、配列番号269、270、および271に少なくとも75%同一である(例えば、100%同一である)前述のもののうちのいずれかの変異体を含む、重鎖と、CDRのL1、L2、およびL3を含み、配列番号334もしくは341に提供される配列を有するポリペプチド、またはCDRが、それぞれ、配列番号239、240、および241に少なくとも75%同一である(例えば、100%同一である)前述のもののうちのいずれかの変異体を含む、軽鎖と、を有し得る(米国特許公開第20070110747号に記載される)。重鎖および軽鎖配列のあらゆる組み合わせが企図される(例えば、配列番号335を含む重鎖と配列番号334を含む軽鎖、配列番号331を含む重鎖と配列番号334もしくは341を含む軽鎖、および配列番号345もしくは396を含む重鎖と配列番号341を含む軽鎖)。
【0120】
あるいは、抗スクレロスチン抗体は、配列番号137に提供される配列を有するポリペプチドを含む重鎖および配列番号133に提供される配列を有するポリペプチドを含む軽鎖;配列番号145もしくは392に提供される配列を有するポリペプチドを含む重鎖および配列番号141に提供される配列を有するポリペプチドを含む軽鎖;配列番号335に提供される配列を有するポリペプチドを含む重鎖および配列番号334に提供される配列を有するポリペプチドを含む軽鎖;配列番号331に提供される配列を有するポリペプチドを含む重鎖および配列番号341に提供される配列を有するポリペプチドを含む軽鎖;または配列番号345もしくは396に提供される配列を有するポリペプチドを含むおよび配列番号341に提供される配列を有するポリペプチドを含む軽鎖を有する(米国特許公開第2007/0110747号に記載される)。あるいは、抗スクレロスチン抗体は、前述の抗体のいずれかとスクレロスチンとの結合を交差遮断する(またはそれによって交差遮断される)。
【0121】
いくつかの実施形態において、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1038、配列番号1046、配列番号1040、および配列番号1048からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、任意で、配列番号1039、配列番号1047、配列番号1041、および配列番号1049からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列をさらに含む。
【0122】
抗スクレロスチン抗体の例にはまた、国際特許公開第WO 2008/092894号、同第WO 2008/115732号、同第WO 2009/056634号、同第WO 2009/047356号、同第WO 2010/100200号、同第WO 2010/100179号、同第WO 2010/115932号、および同第WO 2010/130830号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される抗スクレロスチン抗体、例えば、国際特許公開第WO 2008/115732号の配列番号20〜25(本明細書においては配列番号416〜421)のCDRを含む抗スクレロスチン抗体、国際特許公開第WO 2008/115732号の配列番号26〜31(本明細書においては配列番号422〜427)のCDRを含む抗スクレロスチン抗体、国際特許公開第WO 2008/115732号の配列番号32〜37(本明細書においては配列番号428〜433)のCDRを含む抗スクレロスチン抗体、国際特許公開第WO 2009/047356号の配列番号4、15、26、37、48、および59(本明細書においてはそれぞれ配列番号443、454、465、476、487、および498)のCDRを含む抗スクレロスチン抗体、または国際特許公開第WO 2010/130830号の配列番号135〜143、153〜161、もしくは171〜179(本明細書においてはそれぞれ配列番号745〜753、763〜771、781〜789)のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含む抗スクレロスチン抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、抗DKK1抗体を含むDKK1結合部分を含む。「抗DKK1抗体」は、DKK1またはその部分に結合して、ヒトDKK1と1つ以上のリガンドとの結合を遮断または妨害する。ヒトDKK1ポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号810および811に記載される。マウスおよびラットDKK1のポリヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、配列番号812および813(マウス)ならびに配列番号814および815(ラット)に記載される。本発明の文脈における使用に好適な抗DKK1抗体は、国際公開第WO 2012/118903号に記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、抗DKK1抗体は、抗体11H10Hu、11H10Rat、2.4.1、2.20.1、2.37.1、2.40.1、2.41.1、2.47.1、5.17.1、5.23.1、5.25.1、5.31.1、5.32.1、5.40.1、5.65.1、5.76.1、5.77.1、5.78.1、5.80.1、5.85.1、6.37.5、6.116.6、6.139.5、および6.147.4(これらのすべては、国際公開第WO 2012/118903号に開示される)のうちの少なくとも1つとDKK1との結合を交差遮断するか、またはそれと競合する。代替または追加として、抗DKK1抗体は、抗体11H10Hu、11H10Rat、2.4.1、2.20.1、2.37.1、2.40.1、2.41.1、2.47.1、5.17.1、5.23.1、5.25.1、5.31.1、5.32.1、5.40.1、5.65.1、5.76.1、5.77.1、5.78.1、5.80.1、5.85.1、6.37.5、6.116.6、6.139.5、および6.147.4のうちの少なくとも1つによって、DKK1との結合が交差遮断される。「交差遮断」、「交差遮断される」、および「交差遮断する」という用語は、抗体が他の抗体とDKK1との結合を妨害する能力を意味して、本明細書に互換的に使用される。抗体が別の抗体とDKK1との結合を妨害することができる程度、およびしたがってそれが交差遮断すると称され得るかどうかは、競合結合アッセイを使用して判定され得る。本発明のいくつかの態様において、交差遮断抗体またはそのフラグメントは、参照抗体のDKK1結合を、約40%〜約100%、例えば、約60%〜約100%、または70%〜100%、または80%〜100%低減させる。交差遮断を検出するのに特に好適な定量的アッセイは、表面プラズモン共鳴技術を用いて相互作用の程度を測定する、Biacore機器を使用する。別の好適な定量的交差遮断アッセイは、DKK1への結合に関して抗体間の競合を測定する、ELISAに基づくアプローチを使用する。
【0125】
いくつかの実施形態において、抗DKK1抗体は、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンと配列番号811のDKK1との結合を交差遮断する、および/または全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンによって、配列番号811のDKK1との結合が交差遮断され、ここで、全長重鎖および軽鎖を含む免疫グロブリンは、本明細書に開示されるCDR配列、例えば、次の3つセットのCDR配列のうちの1つを含む:配列番号820〜822、828〜830、836〜838、844〜846、852〜854、860〜862、868〜869、876〜878、884〜886、892〜894、900〜902、908〜910、916〜918、924〜926、932〜934、940〜942、948〜950、956〜958、964〜966、972〜974、980〜982、988〜990、996〜998、1004〜1006、823〜825、831〜833、839〜841、847〜849、855〜857、863〜865、871〜873、879〜881、887〜889、897〜897、903〜905、911〜913、919〜921、927〜929、935〜937、943〜945、951〜953、959〜961、967〜969、975〜977、983〜985、991〜993、999〜1001、および1007〜1009。
【0126】
好適な抗DKK1抗体およびそのフラグメントの例には、特に本明細書に開示され、国際公開第WO 2012/118903号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3のうちの1つ以上を有する抗体および抗体フラグメントが挙げられる。いくつかの実施形態において、CDR−H1、CDR−H2、CDR−H3、CDR−L1、CDR−L2、およびCDR−L3の領域のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのアミノ酸置換を有し得るが、但し、抗体が非置換CDRの結合特異性を保持することを条件とする。例示的な抗DKK1抗体には、抗体11H10Hu、11H10Rat、2.4.1、2.20.1、2.37.1、2.40.1、2.41.1、2.47.1、5.17.1、5.23.1、5.25.1、5.31.1、5.32.1、5.40.1、5.65.1、5.76.1、5.77.1、5.78.1、5.80.1、5.85.1、6.37.5、6.116.6、6.139.5、および6.147.4(これらのすべては、国際公開第WO 2012/118903号に記載される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
いくつかの実施形態において、抗DKK1抗体は、820〜822(Ab11H10HuのCDRL1〜L3)、828〜830(Ab11H10RatのCDRL1〜CDRL3)、836〜838(Ab2.4.1のCDRL1〜CDRL3)、844〜846(Ab2.20.1のCDRL1〜CDRL3)、852〜854(Ab2.37.1のCDRL1〜CDRL3)、860〜862(Ab2.40.1のCDRL1〜CDRL3)、868〜869(Ab2.41.1のCDRL1〜CDRL3)、876〜878(Ab2.47.1のCDRL1〜CDRL3)、884〜886(Ab5.17.1のCDRL1〜CDRL3)、892〜894(Ab5.23.1のCDRL1〜CDRL3)、900〜902(Ab5.25.1のCDRL1〜CDRL3)、908〜910(Ab5.31.1のCDRL1〜CDRL3)、916〜918(Ab5.32.1のCDRL1〜CDRL3)、925〜927(Ab5.40.1のCDRL1〜CDRL3)、932〜934(Ab5.65.1のCDRL1〜CDRL3)、940〜942(Ab5.76.1のCDRL1〜CDRL3)、948〜950(Ab5.77.1のCDRL1〜CDRL3)、956〜958(Ab5.78.1のCDRL1〜CDRL3)、964〜966(Ab5.80.1のCDRL1〜CDRL3)、972〜974(Ab5.85.1のCDRL1〜CDRL3)、980〜982(Ab6.37.5のCDRL1〜CDRL3)、988〜990(Ab6.116.6のCDRL1〜CDRL3)、996〜998(Ab6.139.5のCDRL1〜CDRL3)、1004〜1006(Ab6.147.4のCDRL1〜CDRL3)、823〜825(Ab11H10HuのCDRH1〜CDRH3)、831〜833(Ab11H10RatのCDRH1〜CDRH3)、839〜841(Ab2.4.1のCDRH1〜CDRH3)、847〜849(Ab2.20.1のCDRH1〜CDRH3)、855〜857(Ab2.37.1のCDRH1〜CDRH3)、863〜865(Ab2.40.1のCDRH1〜CDRH3)、871〜873(Ab2.41.1のCDRH1〜CDRH3)、879〜881(Ab2.47.1のCDRH1〜CDRH3)、887〜889(Ab5.17.1のCDRH1〜CDRH3)、895〜897(Ab5.23.1のCDRH1〜CDRH3)、903〜905(Ab5.25.1のCDRH1〜CDRH3)、911〜913(Ab531.1のCDRH1〜CDRH3)、919〜921(Ab5.32.1のCDRH1〜CDRH3)、927〜929(Ab5.40.1のCDRH1〜CDRH3)、935〜937(Ab5.65.1のCDRH1〜CDRH3)、943〜945(Ab5.76.1のCDRH1〜CDRH3)、951〜953(Ab5.77.1のCDRH1〜CDRH3)、959〜961(Ab5.78.1のCDRH1〜CDRH3)、967〜969(Ab5.80.1のCDRH1〜CDRH3)、975〜977(Ab5.85.1のCDRH1〜CDRH3)、983〜985(Ab6.37.5のCDRH1〜CDRH3)、991〜993(Ab6.116.6のCDRH1〜CDRH3)、999〜1001(Ab6.139.5のCDRH1〜CDRH3)、および1007〜1009(Ab6.147.4のCDRH1〜CDRH3)からなる群から選択されるCDRに、少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも100%の同一性)を有する少なくとも1つのCDRを含む。
【0128】
抗DKK1抗体は、いくつかの実施形態において、配列番号819、827、835、843、851、859、867、875、883、891、899、907、915、923、931、939、947、955、963、971、979、987、995、および1003からなる群から選択される抗DKK1重鎖可変ドメインアミノ酸配列に少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも100%の同一性)を有する重鎖可変ドメインアミノ酸配列を有することを含む。いくつかの実施形態において、配列番号818、826、834、842、850、866、874、882、890、898、906、814、822、830、938、946、954、962、970、978、988、994、および1002からなる群から選択される抗DKK1軽鎖可変ドメインアミノ酸配列に少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、または少なくとも85%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも100%の同一性)を有する軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む抗DKK1抗体。
【0129】
ヘテロ二量体抗体のDKK1結合要素(複数可)は、いくつかの実施形態において、820〜822(Ab11H10HuのCDRL1〜L3)、828〜830(Ab11H10RatのCDRL1〜CDRL3)、836〜838(Ab2.4.1のCDRL1〜CDRL3)、844〜846(Ab2.20.1のCDRL1〜CDRL3)、852〜854(Ab2.37.1のCDRL1〜CDRL3)、860〜862(Ab2.40.1のCDRL1〜CDRL3)、868〜869(Ab2.41.1のCDRL1〜CDRL3)、876〜878(Ab2.47.1のCDRL1〜CDRL3)、884〜886(Ab5.17.1のCDRL1〜CDRL3)、892〜894(Ab5.23.1のCDRL1〜CDRL3)、900〜902(Ab5.25.1のCDRL1〜CDRL3)、908〜910(Ab5.31.1のCDRL1〜CDRL3)、916〜918(Ab5.32.1のCDRL1〜CDRL3)、925〜927(Ab5.40.1のCDRL1〜CDRL3)、932〜934(Ab5.65.1のCDRL1〜CDRL3)、940〜942(Ab5.76.1のCDRL1〜CDRL3)、948〜950(Ab5.77.1のCDRL1〜CDRL3)、956〜958(Ab5.78.1のCDRL1〜CDRL3)、964〜966(Ab5.80.1のCDRL1〜CDRL3)、972〜974(Ab5.85.1のCDRL1〜CDRL3)、980〜982(Ab6.37.5のCDRL1〜CDRL3)、988〜990(Ab6.116.6のCDRL1〜CDRL3)、996〜998(Ab6.139.5のCDRL1〜CDRL3)、1004〜1006(Ab6.147.4のCDRL1〜CDRL3)、823〜825(Ab11H10HuのCDRH1〜CDRH3)、831〜833(Ab11H10RatのCDRH1〜CDRH3)、839〜841(Ab2.4.1のCDRH1〜CDRH3)、847〜849(Ab2.20.1のCDRH1〜CDRH3)、855〜857(Ab2.37.1のCDRH1〜CDRH3)、863〜865(Ab2.40.1のCDRH1〜CDRH3)、871〜873(Ab2.41.1のCDRH1〜CDRH3)、879〜881(Ab2.47.1のCDRH1〜CDRH3)、887〜889(Ab5.17.1のCDRH1〜CDRH3)、895〜897(Ab5.23.1のCDRH1〜CDRH3)、903〜905(Ab5.25.1のCDRH1〜CDRH3)、911〜913(Ab531.1のCDRH1〜CDRH3)、919〜921(Ab5.32.1のCDRH1〜CDRH3)、927〜929(Ab5.40.1のCDRH1〜CDRH3)、935〜937(Ab5.65.1のCDRH1〜CDRH3)、943〜945(Ab5.76.1のCDRH1〜CDRH3)、951〜953(Ab5.77.1のCDRH1〜CDRH3)、959〜961(Ab5.78.1のCDRH1〜CDRH3)、967〜969(Ab5.80.1のCDRH1〜CDRH3)、975〜977(Ab5.85.1のCDRH1〜CDRH3)、983〜985(Ab6.37.5のCDRH1〜CDRH3)、991〜993(Ab6.116.6のCDRH1〜CDRH3)、999〜1001(Ab6.139.5のCDRH1〜CDRH3)、および1007〜1009(Ab6.147.4のCDRH1〜CDRH3)の配列番号に記載されるCDRのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つを含む。ヘテロ二量体抗体が、単一の抗体由来の2つ以上のCDR、または本明細書に記載されるDKK1抗体の任意の組み合わせに由来する2つ以上のCDRを含み得ることが、企図される。いくつかのDKK1結合要素は、軽鎖CDR3および重鎖CDR3の両方を含む。ある特定のDKK1結合要素は、CDRのうちの1つ以上(すなわち、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)が、それぞれ、配列番号820〜822、828〜830、836〜838、844〜846、852〜854、860〜862、868〜869、876〜878、884〜886、892〜894、900〜902、908〜910、916〜918、925〜927、932〜934、940〜942、948〜950、956〜958、964〜966、972〜974、980〜982、988〜990、996〜998、1004〜1006、823〜825、831〜833、839〜841、847〜849、855〜857、863〜865、871〜873、879〜881、887〜889、897〜897、903〜905、911〜913、919〜921、927〜929、935〜937、943〜945、951〜953、959〜961、967〜969、975〜977、983〜985、991〜993、999〜1001、および1007〜1009に記載されるCDR配列に少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する、配列番号820〜822、828〜830、836〜838、844〜846、852〜854、860〜862、868〜869、876〜878、884〜886、892〜894、900〜902、908〜910、916〜918、925〜927、932〜934、940〜942、948〜950、956〜958、964〜966、972〜974、980〜982、988〜990、996〜998、1004〜1006、823〜825、831〜833、839〜841、847〜849、855〜857、863〜865、871〜873、879〜881、887〜889、897〜897、903〜905、911〜913、919〜921、927〜929、935〜937、943〜945、951〜953、959〜961、967〜969、975〜977、983〜985、991〜993、999〜1001、および1007〜1009に記載されるCDRの変異体形態を有する。例えば、ヘテロ二量体抗体のDKK1結合要素は、それぞれが、配列番号822、830、838、846、854、862、870、878、886、894、902、910、918、926、934、942、950、958、966、974、982、990、998、および1006からなる群から選択される軽鎖CDR3配列に少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有し、825、833、841、849、857、865、873、881、889、897、905、913、921、929、937、945、953、961、969、977、985、993、1001、および1009からなる群から選択される重鎖CDR3配列に少なくとも80%、85%、90%、または95%の配列同一性を有する、軽鎖CDR3および重鎖CDR3の両方を含み得る。
【0130】
提供されるDKK1結合要素のうちの一部のもののCDR配列はまた、任意の所与のCDRのアミノ酸配列が、1、2、3、4、または5つ以下のアミノ酸残基だけ異なるように、配列番号820〜822、828〜830、836〜838、844〜846、852〜854、860〜862、868〜869、876〜878、884〜886、892〜894、900〜902、908〜910、916〜918、925〜927、932〜934、940〜942、948〜950、956〜958、964〜966、972〜974、980〜982、988〜990、996〜998、1004〜1006、823〜825、831〜833、839〜841、847〜849、855〜857、863〜865、871〜873、879〜881、887〜889、897〜897、903〜905、911〜913、919〜921、927〜929、935〜937、943〜945、951〜953、959〜961、967〜969、975〜977、983〜985、991〜993、999〜1001、および1007〜1009に記載されるCDR配列と異なってもよい。列挙される配列との差は、典型的には保存的置換であるが、これに限定されない。
【0131】
いくつかの実施形態において、抗DKK1抗体は、配列番号1034、配列番号1042、配列番号1036、および配列番号1044からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、任意で、配列番号1035、配列番号1043、配列番号1037、および配列番号1045からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列をさらに含む。
【0132】
他の実施形態において、DKK1に結合するヘテロ二量体分子の部分は、米国特許第号7,709,611号、米国特許公開第2008/0193449号、米国特許第号7,642,238号、米国特許第号7,700,101号、およびWO 2007/084344号に開示されるDKK1結合分子から選択され、これらのすべての開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
組み換え重鎖および軽鎖をコードするポリヌクレオチド
【0134】
本明細書に記載される重鎖および/または軽鎖の定常および/または可変ドメインをコードする核酸が、本明細書に包含される。本発明の核酸分子には、一本鎖および二本鎖の両方の形態のDNAおよびRNA、ならびに対応する相補的配列が含まれる。DNAには、例えば、cDNA、ゲノムDNA、化学合成されたDNA、PCRにより増幅されたDNA、およびこれらの組み合わせが含まれる。本発明の核酸分子には、全長遺伝子またはcDNA分子、ならびにそれらのフラグメントの組み合わせが含まれる。本発明の核酸は、優先的にはヒト源に由来するが、本発明は、非ヒト種に由来するものも同様に含む。
【0135】
「単離核酸」は、天然に存在する源から単離された核酸の場合には、核酸が単離された生物のゲノムに存在する隣接する遺伝子配列から分離されている、核酸である。例えば、鋳型から酵素的または化学的に合成された核酸、例えばPCR産物、cDNA分子、またはオリゴヌクレオチドの場合には、このようなプロセスから得られた核酸は、単離核酸であることが理解される。単離核酸分子は、別個のフラグメントの形態にあるか、またはより大きな核酸構築物の構成要素としての、核酸分子を指す。1つの好ましい実施形態において、核酸は、外因性混入物質を実質的に含まない。核酸分子は、好ましくは、標準的な生化学的方法(Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(1989)に概説されるもの等)によって、実質的に純粋な形態かつその構成要素のヌクレオチド配列の特定、操作、および回収を可能にする量または濃度で、少なくとも1回単離されたDNAまたはRNAから導出されたものである。このような配列は、好ましくは、典型的には真核生物遺伝子に存在する内部非翻訳配列またはイントロンによって中断されないオープンリーディングフレームの形態で提供および/または構築される。翻訳されないDNAの配列が、それがコード領域の操作または発現を妨害することのない、オープンリーディングフレームから5’または3’に存在し得る。
【0136】
本発明はまた、中等度にストリンジェントな条件下で、およびより好ましくは高度にストリンジェントな条件下で、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸にハイブリダイズする核酸を含む。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本的なパラメータおよび好適な条件を考案するための案内は、Sambrook,,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11、およびCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3−6.4)に記載され、例えば、DNAの長さおよび/または基本組成に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。中等度にストリンジェントな条件を達成する1つの手段は、5×SSC、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する予備洗浄溶液、約50%ホルムアミド、6×SSC、約55℃のハイブリダイゼーション温度のハイブリダイゼーション緩衝液(または他の類似のハイブリダイゼーション溶液、例えば、約50%ホルムアミドを含有し、約42℃のハイブリダイゼーション温度)、ならびに約60℃、0.5×SSC、0.1%SDSでの洗浄条件の使用を伴う。一般に、高度にストリンジェントな条件は、上述のハイブリダイゼーション条件として定義されるが、おおよそ68℃、0.2×SSC、0.1%SDSでの洗浄を伴う。SSPE(1×SSPEは、0.15M NaCl、10mM/NaH.sub.2 PO.sub.4、および1.25mM EDTA、pH7.4)は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄緩衝液中、SSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mMクエン酸ナトリウム)と置換され得、洗浄は、ハイブリダイゼーションが完了した後に15分間行われる。洗浄温度および洗浄塩濃度は、当業者に既知であり、以下にさらに記載されるように、ハイブリダイゼーション反応および二重鎖の安定性を左右する基本原理を適用することによって、所望される程度のストリンジェンシーを達成するように必要に応じて調節することができることを理解されたい(例えば、Sambrook et al.,1989を参照されたい)。ある核酸を、配列が未知の標的核酸にハイブリダイズする場合、ハイブリッドの長さは、ハイブリダイズする核酸のものとなることが想定される。配列が既知の核酸をハイブリダイズする場合、ハイブリッドの長さは、核酸の配列をアライメントし、最適な配列相補性の領域(複数可)を決定することによって決定される。長さが50塩基対未満となることが予想されるハイブリッドのハイブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの溶融温度(Tm)よりも5〜10℃低く、ここで、Tmは、以下の等式に従って決定される。長さが18塩基対未満のハイブリッドについては、Tm(℃)=2(A+T塩基の数)+4(G+C塩基の数)。長さが18塩基対を上回るハイブリッドについては、Tm(℃)=81.5+16.6(log10[Na+])+0.41(%G+C)−(600/N)であり、ここで、Nは、ハイブリッド中の塩基の数であり、[Na+]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナトリウムイオンの濃度である(1×SSCの[Na+]=0.165M)。好ましくは、それぞれのこのようなハイブリダイズ核酸は、少なくとも15ヌクレオチド(または好ましくは少なくとも18ヌクレオチド、もしくは少なくとも20ヌクレオチド、もしくは少なくとも25ヌクレオチド、もしくは少なくとも30ヌクレオチド、もしくは少なくとも40ヌクレオチド、または最も好ましくは少なくとも50ヌクレオチド)、またはそれがハイブリダイズする本発明の核酸の長さの少なくとも25%(より好ましくは少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、および最も好ましくは少なくとも80%)の長さを有し、それがハイブリダイズする本発明の核酸に少なくとも60%(より好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%、および最も好ましくは少なくとも99.5%)の配列同一性を有し、ここで、配列同一性は、上により詳細に説明されるように、重複および同一性を最大化し、配列ギャップを最小化するようにアライメントしたとき、ハイブリダイズする核酸の配列を比較することによって判定される。
【0137】
変異体は、通常、カセットもしくはPCR変異生成または当業者に周知の他の技法を使用して、ポリペプチドをコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異生成を行って、その変異体をコードするDNAを生成した後、本明細書に概説される細胞培養物中で組み換えDNAを発現させることによって、調製される。しかしながら、最大で約100〜150個の残基を有する変異体CDRを含む抗体または抗体フラグメントは、確立された技法を使用してインビトロ合成によって調製されてもよい。変異体は、典型的に、天然に存在する類似体と同じ定性的生物学的活性、例えば、抗原への結合を呈するが、本明細書により詳細に概説されるように、修正された特徴を有する変異体もまた選択され得る。
【0138】
当業者には理解されるように、遺伝コードの縮重に起因して、極めて多数の核酸が作製され得、それらのすべては、本発明のCDR(および本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体の重鎖および軽鎖または他の構成要素)をコードする。したがって、特定のアミノ酸配列を特定した後、当業者であれば、コードされるタンパク質のアミノ酸配列を変化させない様式で1つ以上のコドンの配列を単純に修飾することによって、任意の数の異なる核酸を作製することができる。
【0139】
本発明はまた、少なくとも1つの上述のポリヌクレオチドを含む、プラスミド、発現ベクター、転写または発現カセットの形態で、発現系および構築物を提供する。加えて、本発明は、このような発現系または構築物を含む宿主細胞を提供する。
【0140】
典型的に、宿主細胞において使用される発現ベクターは、プラスミド維持のため、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含有するであろう。このような配列は、集合的に「フランキング配列」と称され、ある特定の実施形態では、典型的に、次のヌクレオチド配列のうちの1つ以上を含む:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライシング部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能なマーカー要素を含むであろう。これらの配列のそれぞれは、以下に考察される。
【0141】
任意で、ベクターは、「タグ」コード配列、すなわち、ポリペプチドコード配列の5’または3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有し得、オリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(ヘキサHis)、またはFLAG、HA(赤血球凝集素インフルエンザウイルス)、またはmyc(これらには市販入手可能な抗体が存在する)といった別の「タグ」をコードする。このタグは、典型的に、ポリペプチドの発現時にそのポリペプチドに融合され、宿主細胞からのポリペプチドの親和性精製または検出のための手段として機能し得る。親和性精製は、例えば、そのタグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用してカラムクロマトグラフィーによって達成することができる。任意で、そのタグは、続いて、開裂にある特定のペプチダーゼを使用する等、種々の手段によって精製されたポリペプチドから除去され得る。
【0142】
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/または株に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞の種もしくは株以外の種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、1つを上回る源に由来するフランキング配列の組み合わせ)、合成、または天然であり得る。このように、フランキング配列の源は、任意の原核生物もしくは真核生物、任意の脊椎動物もしくは無脊椎動物、または任意の植物であり得るが、但し、フランキング配列が、宿主細胞機構において機能性であり、それによって活性化され得ることを条件とする。
【0143】
本発明のベクターに有用なフランキング配列は、当該技術分野で周知のいくつかの方法のうちのいずれかによって得ることができる。典型的には、本明細書において有用なフランキング配列は、マッピングおよび/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって既に特定されているものであり、したがって、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して適正な組織から単離され得る。いくつかの場合において、フランキング配列の全ヌクレオチド配列が既知である。ここでは、フランキング配列は、核酸合成またはクローニングに関して本明細書に記載される方法を使用して、合成することができる。
【0144】
すべてまたは一部分にかかわらずフランキング配列がわかっている場合、それは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、ならびに/または同じかもしくは別の種に由来するオリゴヌクレオチドおよび/もしくはフランキング配列フラグメントといった好適なプローブを用いてゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、得ることができる。フランキング配列がわかっていない場合、フランキング配列を含有するDNAのフラグメントは、例えば、コード配列または別の遺伝子(複数可)さえも含有し得るDNAのより大きな断片から単離することができる。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化により適切なDNAフラグメントを産生した後、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に記載の他の方法を使用して単離することによって、達成され得る。この目的を達成するための好適な酵素の選択は、当業者には容易に明らかであろう。
【0145】
複製起点は、典型的に、市販購入される原核生物発現ベクターの一部であり、この起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を助ける。選択したベクターが複製起点部位を含有しない場合は、既知の配列に基づいて化学合成され、ベクターにライゲーションされ得る。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に好適であり、種々のウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitus virus)(VSV)、またはHPVもしくはBPV等のパピローマウイルス)が、哺乳動物細胞におけるベクターのクローニングに有用である。一般に、複製起点要素は、哺乳動物発現ベクターには必要ない(例えば、SV40起点は、ウイルス初期プロモーターも含有するという理由でのみ使用されることが多い)。
【0146】
転写終結配列は、典型的に、ポリペプチドコード領域の末端に対して3’に位置し、転写を終結させるように機能する。通常、原核生物細胞における転写終結配列は、G−Cリッチフラグメントの後にポリT配列が続く。この配列は、ライブラリーから容易にクローニングされ、さらにはベクターの一部として市販購入されるが、本明細書に記載されるもの等、核酸合成のための方法を使用して容易に合成することもできる。
【0147】
選択可能なマーカー遺伝子は、選択培養培地において成長する宿主細胞の生存および成長に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシンに対する耐性を原核生物宿主細胞に付与する、(b)細胞の栄養要求不足を補完する、または(c)複合培地もしくは限定培地からは利用可能でない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。具体的な選択可能なマーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。有利なことに、ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物および真核生物両方の宿主細胞における選択に使用することができる。
【0148】
他の選択可能なマーカーを使用して、発現される遺伝子を増幅させてもよい。増幅は、成長または細胞生存に重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が組み換え細胞の後継代の染色体内でタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に好適な選択可能なマーカーの例には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびプロモーターを持たないチミジン(thyrnidine)キナーゼ遺伝子が含まれる。哺乳動物細胞形質転換体は、選択圧下に置かれ、ここで、ベクターに存在する選択可能な遺伝子のために、形質転換体のみが生存するように独自に適合される。選択圧は、形質転換した細胞を、培地中の選択剤の濃度が継続的に増加する条件下で培養することによって課され、それによって、選択可能な遺伝子と、抗体の軽鎖または重鎖等、別の遺伝子コードするDNAの両方の増幅がもたらされる。結果として、増加した量のポリペプチドが、増幅したDNAから合成される。
【0149】
リボソーム結合部位は、通常、rnRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガーノ配列(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。この要素は、典型的に、プロモーターに対して3’に位置し、発現されるポリペプチドのコード配列に対して5’に位置する。ある特定の実施形態において、1つ以上のコード領域が、内部リボソーム結合部位(IRES)に動作可能に連結され得、単一のRNA転写産物から2つのオープンリーディングフレームの翻訳を可能にする。
【0150】
グリコシル化が真核生物の宿主細胞発現系において望ましい場合等、いくつかの場合において、種々のプレまたはプロ配列を操作して、グリコシル化または収率を改善することができる。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ開裂部位を改変するか、またはプロ配列を付加することができ、これらもまたグリコシル化に影響を及ぼし得る。最終的なタンパク質産物は、発現に付随する1つ以上の追加のアミノ酸を−1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)に有し得、これは、完全に除去されていない場合がある。例えば、最終的なタンパク質産物は、アミノ末端に付加される、ペプチダーゼ開裂部位に見出される1または2つのアミノ酸残基を有し得る。あるいは、いくつかの酵素開裂部位の使用は、酵素が、成熟ポリペプチド内のこのような領域で切断する場合、所望されるポリペプチドのわずかに切断された形態をもたらし得る。
【0151】
本発明の発現およびクローニングベクターは、典型的に、宿主生物によって認識され、ポリペプチドをコードする分子に動作可能に連結される、プロモーターを含有する。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般に約100〜1000bp内)の開始コドンに対して上流(すなわち、5’)に位置する非翻訳配列である。プロモーターは、従来的には、誘導性プロモーターおよび構成性プロモーターという2つのクラスのうちの1つに分類される。誘導性プロモーターは、栄養物の存在または不在といった培養条件における何らかの変化、または温度の変化に応答して、それらの制御下で、DNAからの増加したレベルの転写を開始する。構成性プロモーターは、一方で、それらが動作可能に連結される遺伝子を一様に転写する、すなわち、遺伝子発現に対する制御をほとんど有さないか、または有さない。種々の可能性のある宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが、周知である。好適なプロモーターは、制限酵素消化によって源DNAからプロモーターを除去し、所望されるプロモーター配列をベクターに挿入することによって、例えば、重鎖または軽鎖をコードするDNAに動作可能に連結される。
【0152】
酵母宿主での使用に好適なプロモーターもまた、当該技術分野で周知である。酵母エンハンサーが、酵母プロモーターとともに有利に使用される。哺乳動物細胞での使用に好適なプロモーターが周知であり、これらには、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)といったウイルスのゲノムから得られるものが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な哺乳動物プロモーターには、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーターが含まれる。
【0153】
目的とされ得るさらなるプロモーターには、SV40初期プロモーター(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304−310)、CMVプロモーター(Thornsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.U.S.A.USA 81:659−663)、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto,et al.,1980,Cell 22:787−797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−1445)、メタロチオニン遺伝子に由来するプロモーターおよび制御性配列Prinster et al.,1982,Nature 296:39−42)、ならびにβ−ラクタマーゼプロモーター等の原核生物プロモーター(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731)、またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25)が挙げられるが、これらに限定されない。組織特異性を示し、トランスジェニック動物に用いられている、以下の動物転写制御領域もまた興味深い:膵腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell38:639−646、Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409、MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515)、膵β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−122)、リンパ系細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647−658、Adames et al.,1985,Nature 318:533−538、Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.7:1436−1444)、精巣、乳房、リンパ系、および肥満細胞において活性なマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485−495)、肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−276)、肝臓において活性なα−フェト−タンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.5:1639−1648、Hammer et al.,1987,Science 253:53−58)、肝臓において活性なα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−171)、骨髄腫細胞において活性なβグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338−340、Kollias et al.,1986,Cell 46:89−94)、脳内の乏突起膠細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703−712)、骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−286)、ならびに視床下部において活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372−1378)。
【0154】
より高度な真核生物による本発明の軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加させるために、エンハンサー配列がベクターに挿入され得る。エンハンサーは、通常約10〜300bpであり、転写を増加させるようにプロモーターに作用する、DNAのシス作用要素である。エンハンサーは、比較的配向および位置に依存せず、転写単位に対して5’および3’の両方の位置に見出されている。哺乳動物遺伝子から得ることができるいくつかのエンハンサー配列が、既知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェト−タンパク質、およびインスリン)。典型的には、しかしながら、ウイルス由来のエンハンサーが使用される。当該技術分野で既知であるSV40エンハンサー、サイトメガロウイスル初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化のための例示的な増強要素である。エンハンサーは、コード配列に対して5’または3’のいずれかのベクターに位置し得るが、典型的には、プロモーターから5’の部位に位置する。適切な天然または異種シグナル配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)をコードする配列が、抗体の細胞外分泌を促進するために、発現ベクターに組み込まれ得る。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が産生される宿主細胞の種類に依存し、異種シグナル配列は、天然のシグナル配列に置き換えることができる。哺乳動物宿主細胞において機能性であるシグナルペプチドの例には、次のものが含まれる:米国特許第4,965,195号に記載されるインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列;Cosman et al.,1984,Nature 312:768に記載されるインターロイキン−2受容体のシグナル配列;欧州特許第0367 566号に記載されるインターロイキン−4受容体シグナル配列;米国特許第号4,968,607号に記載されるI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;欧州特許第0 460 846号に記載されるII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド。
【0155】
ベクターは、ベクターが宿主細胞ゲノムに組み込まれると発現を促進する、1つ以上の要素を含有し得る。例には、EASE要素(Aldrich et al.2003 Biotechnol Prog.19:1433−38)およびマトリックス付着領域(MAR)が挙げられる。MARは、クロマチンの構造的組織化を媒介し、組み込まれたベクターを「位置」効果から防御し得る。したがって、MARは、ベクターを使用して安定なトランスフェクタントを作製する際に特に有用である。多数の天然および合成のMAR含有核酸が、当該技術分野、例えば、米国特許第6,239,328号、同第7,326,567号、同第6,177,612号、同第6,388,066号、同第6,245,974号、同第7,259,010号、同第6,037,525号、同第7,422,874号、および同第7,129,062において既知である。
【0156】
本発明の発現ベクターは、市販入手可能なベクター等の開始ベクターから構築され得る。このようなベクターは、所望されるフランキング配列のすべてを含有し得るか、または含有しない場合もある。本明細書に記載されるフランキング配列のうちの1つ以上が、ベクター内に既に存在しない場合、それらを個別に得てベクターにライゲーションさせてもよい。フランキング配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に周知である。
【0157】
ベクターが構築され、軽鎖、重鎖、または軽鎖および重鎖の配列をコードする核酸分子が、ベクターの適切な部位に挿入された後、完成したベクターを、増幅および/またはポリペプチド発現のために好適な宿主細胞に挿入することができる。選択した宿主細胞への発現ベクターの形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈降、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、または他の既知の技法を含む、周知の方法によって達成され得る。選択される方法は、部分的に、使用される宿主細胞の種類の機能であろう。これらの方法および他の好適な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrook et al.,2001(上記)に記載される。
【0158】
宿主細胞は、適切な条件下で培養されると、ヘテロ二量体抗体を合成し、これは、続いて培養培地から(宿主細胞がそれを培地中に分泌する場合)、またはそれを産生する宿主細胞から直接に(分泌されない場合)、回収することができる。適切な宿主細胞の選択は、所望される発現レベル、活性(グリコシル化またはリン酸化等)に望ましいかまたは必要であるポリペプチド修飾、ならびに生物学的に活性な分子への折り畳みの容易さといった、種々の要因に依存することになる。宿主細胞は、真核生物または原核生物のものであり得る。
【0159】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株および本発明の組み換えポリペプチドを作製するのに使用することができる等が技術分野で既知の発現系に使用される任意の細胞系が含まれるが、これらに限定されない。一般には、宿主細胞を、所望されるヘテロ二量体抗体をコードするDNAを含む組み換え発現ベクターを用いて形質転換する。用いられ得る宿主細胞の中には、原核生物、酵母、またはより高度な真核生物の細胞がある。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌またはバチルス属が含まれる。より高度な真核生物細胞には、昆虫細胞および哺乳動物起源の樹立細胞株が含まれる。好適な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはVeggie CHOおよび血清不含培地で成長させた関連細胞といったそれらの誘導体(Rasmussen et al.,1998,Cytotechnology 28:31)、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、ならびにMcMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821に記載されるアフリカミドリザル腎臓細胞株CVIに由来するCVI/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)、293、293 EBNA、もしくはMSR 293等のヒト胎児腎臓細胞、ヒト表皮A431細胞、ヒトColo205細胞、他の形質転換された霊長類細胞株、正常2倍体細胞、一次組織のインビトロ培養から導出される細胞株、一次外植片、HL−60、U937、HaK、またはJurkat細胞が挙げられる。任意で、HepG2/3B、KB、NIH 3T3、またはS49等の哺乳動物細胞株は、例えば、種々のシグナル伝達またはレポーターアッセイにおいてポリペプチドを使用することが望ましい場合、ポリペプチドの発現に使用されてもよい。あるいは、ポリペプチドを、より下等な真核生物、例えば酵母、または原核生物、例えば細菌において使用することもが可能である。好適な酵母には、サッカロマイセス・セレビシエ、シゾサッカロマイセス・ポンベ、クリベロマイセス株、カンジダ、または異種ポリペプチドを発現することができる任意の酵母株が挙げられる、好適な細菌株には、大腸菌、バチルス・スブチリス、サルモネラ・チフィムリウム、または異種ポリペプチドを発現することができる任意の細菌株が挙げられる。
【0160】
抗体またはフラグメントが酵母または細菌中で作製される場合、機能的産物を得るために、例えば、適切な部位のリン酸化またはグリコシル化によって、そこで産生される産物を修飾することが望ましい場合がある。このような共有結合は、既知の化学的または酵素的方法を使用して達成することができる。ポリペプチドはまた、1つ以上の昆虫発現ベクターにおいて、本発明の単離核酸と好適な制御配列とを動作可能に連結させ、昆虫発現系を用いることによって、産生され得る。バキュロウイルス/昆虫細胞の発現系のための材料および方法は、例えば、Invitrogen,San Diego,Calif.,U.S.A.(MaxBacキット)からキットの形態で市販入手可能であり、このような方法は、Summers and Smith,Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No.1555(1987)およびLuckow and Summers,Bio/Technology 6:47(1988)に記載されるように、当該技術分野で周知である。細胞不含翻訳系もまた、本明細書に開示される核酸に由来するRNAを使用して、抗体またはフラグメント等のポリペプチドを産生するために利用することができる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞の宿主とともに使用するのに適切なクローニングおよび発現ベクターは、Pouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,1985)によって記載されている。好ましくは、少なくとも1つの発現制御配列に動作可能に連結される、本発明の単離核酸を含む宿主細胞は、「組み換え宿主細胞」である。
【0161】
ある特定の実施形態において、細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、所望される結合特性を有する抗原結合タンパク質を構成的に産生するかを判定することを通じて、選択され得る。別の実施形態において、それ自体の抗体を作製しないが、異種抗体を作製および分泌する能力のある、B細胞系統に由来する細胞株細胞が、選択され得る。
【0163】
本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、骨関連障害、例えば、異常な骨芽細胞または破骨細胞活性と関連する骨関連障害の治療または防止に有用である。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、軟骨形成不全、鎖骨頭蓋骨形成不全、内軟骨腫症、線維性骨異形成、ゴーシェ病、低リン酸血症性くる病、マルファン症候群、遺伝性多発性外骨腫(multiple hereditary exotoses)、神経線維腫症、骨形成不全症、大理石骨病、骨斑紋症、硬化性病変、偽関節、化膿性骨髄炎、歯周病、抗癲癇薬誘導型骨喪失、原発性および続発性副甲状腺機能亢進症、家族性副甲状腺機能亢進症、無重力状態誘発型骨喪失、男性の骨粗鬆症、閉経後骨喪失、骨関節炎、腎性骨ジストロフィー、骨の浸潤性障害、口腔骨喪失、顎の骨壊死、若年性ページェット病、メロレオストーシス、代謝性骨疾患、肥満細胞症、鎌状赤血球貧血/疾患、器官移植関連の骨喪失、腎臓移植関連の骨喪失、全身性エリテマトーデス、強直性脊椎炎、癲癇、若年性関節炎、サラセミア、ムコ多糖症、ファブリー病、ターナー症候群、ダウン症候群、クラインフェルター症候群、癩病、ペルテス病、青年期特発性側弯症、幼児期発症型多系統炎症性疾患、ウインチェスター症候群、メンケス病、ウィルソン病、虚血性骨疾患(レッグ・カルベ・ペルテス病および局所性移動性骨粗鬆症等)、貧血状態、ステロイドによって引き起こされる状態、グルココルチコイド誘導性骨喪失、ヘパリン誘導性骨喪失、骨髄障害、壊血病、栄養失調、カルシウム欠乏症、骨粗鬆症、骨減少症、アルコール中毒、慢性肝疾患、閉経後状態、慢性炎症性状態、リウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、炎症性大腸炎、クローン病、希発月経、無月経、妊娠関連骨喪失、真性糖尿病、甲状腺機能亢進症、甲状腺障害、副甲状腺障害、クッシング病、先端巨大症、性腺機能低下症、不動化または活動停止、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、局所性骨粗鬆症、骨軟化症、関節置換術関連の骨喪失、HIV関連の骨喪失、成長ホルモンの喪失と関連する骨喪失、嚢胞性線維症と関連する骨喪失、化学療法関連の骨喪失、腫瘍誘導性骨喪失、癌関連の骨喪失、ホルモン除去性骨喪失、多発性骨髄腫、薬物誘導性骨喪失、神経性食欲不振症、疾患関連の顔面骨喪失、疾患関連の頭蓋骨喪失(disease−associated cranial bone loss)、疾患関連の顎骨喪失、疾患関連の頭蓋の骨喪失(disease−associated bone loss of the skull)、加齢関連の骨喪失、加齢関連の顔面骨喪失、加齢関連の頭蓋骨喪失(cranial bone loss associated with aging)、加齢関連の顎骨喪失、加齢関連の頭蓋の骨喪失(skull bone loss associated with aging)、ならびに宇宙旅行と関連する骨喪失からなる群から選択される骨関連障害を患う対象に投与される。
【0164】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、整形外科処置、歯科処置、関節置換術、骨グラフト、骨美容外科術、ならびに骨修復、例えば骨折治癒、偽関節治癒、偽関節治癒の遅延、および顔面再構築における成果を改善するのに有用である。1つ以上のヘテロ二量体抗体またはフラグメントを含む組成物は、処置、置換、グラフト、手術、または修復の前、最中、および/または後に投与され得る。
【0165】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体は、骨の2つの分節間に間隙(例えば、骨の2つの分節間に少なくとも1mmの間隙)を含む、任意の骨折の治療に有用である。いくつかまたはいずれかの実施形態において、間隙は、少なくとも約2mm、少なくとも約3mm、少なくとも約4mm、少なくとも約5mm、少なくとも約6mm、少なくとも約7mm、少なくとも約8mm、少なくとも約9mm、または少なくとも約1cm以上である。いくつかまたはいずれかの実施形態において、間隙は、約5mm〜1cm、または最大1cmである。「骨間隙異常」および「分節性骨格異常」という用語は、本明細書において同義に使用され、骨の2つの分節間の間隙(例えば、少なくとも1mmの間隙)を指す。
【0166】
例示的な骨間隙異常には、粉砕骨折、分節性骨格異常、外科手術に起因する骨欠損、外科手術により治療された骨欠損、および骨への外傷性傷害または疾患に起因する骨欠損(関節炎、腫瘍除去(切除)、または感染除去を含むがこれらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかまたはいずれかの実施形態において、骨間隙異常は、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、および脊索腫を含むがこれらに限定されない、骨癌に起因する骨の感染部分の除去または骨からの癌の除去によって生じる。いくつかまたはいずれかの実施形態において、骨間隙異常は、例えば、遺伝子異常に起因する発育性奇形である。
【0167】
いくつかまたはいずれかの実施形態において、骨間隙異常は、良性腫瘍を含有する骨の分節の除去によって生じる。例示的な良性腫瘍には、骨腫、類骨骨腫、骨芽細胞腫、内軟骨腫、軟骨粘液線維腫(chonrdomyxoid fibroma)、動脈瘤様骨嚢胞、単房性骨嚢胞、骨の線維性骨異型性、および骨の巨細胞腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
ヘテロ二量体抗体の投与は、骨間隙異常の治癒を強化または加速させ、それによって、骨間隙異常を「治療する」。骨治癒を「強化する」とは、スクレロスチン阻害剤を投与されていない(例えば、ヒト等の哺乳動物)対象(すなわち、対照対象)において経験されるレベルの骨治癒を超える(すなわち、それを上回る)レベルの骨治癒を媒介することを意味する。骨治癒は、例えば、骨橋形成状況、骨量の改善、骨折間隙内の骨ミネラル含量および密度の改善(すなわち、架橋骨の形成)、成熟骨カルス、骨強度の改善(場合によっては、医学的に許容されるレベルの骨堅強度を伴う)、または患者による罹患部位の使用の改善により示される。「改善」とは、測定されたパラメータの(所望される)増加または減少を意味する。増加は、全体的または部分的に、測定されたパラメータが、ベースラインレベル(例えば、骨間隙異常の前のレベル)、等が技術分野で使用される規範的データベースに提供される値、または反対側の機能レベルに戻ること(例えば、全体的または部分的に、例えば対側肢の機能的能力に戻ること)であり得る。いくつかの場合において、増加は、ベースラインを超える改善であり得る。所望される場合、1つ以上の用量のヘテロ二量体抗体を投与した患者において測定されたパラメータを、ヘテロ二量体抗体を投与していない骨折患者(場合によっては、年齢および性別が一致する)における同じパラメータと比較して、本明細書に記載される方法の有効性をさらに分析してもよい。
【0169】
骨欠損の部位における架橋骨の形成、骨ミネラル含量および骨密度、ならびに/または成熟骨カルスは、放射線撮影法(例えば、放射線撮影吸光光度法(radiographic absorptometry))、単一および/または二重エネルギーX線吸光光度法、定量的コンピュータ断層撮影法(QCT)、超音波検査法、放射線撮影法(例えば、放射線撮影吸光光度法)、ならびに磁気共鳴画像法を使用して測定され得る。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、欠損部位における架橋骨形成、骨カルスの形成、または骨密度(もしくは量)を、少なくとも約5%(約6%、約7%、約8%、または約9%)増加させるのに有効な用量および期間で投与され得る。いくつかの実施形態において、欠損部位における架橋骨形成、骨カルスの形成、または骨密度は、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約15%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、または少なくとも約22%)増加される。他の実施形態において、欠損部位における架橋骨形成、骨カルスの形成、または骨密度は、スクレロスチン阻害剤によって、少なくとも約25%(例えば、少なくとも約26%または少なくとも約28%)増加される。さらに他の実施形態において、欠損部位における架橋骨形成、骨カルスの形成、または骨密度は、少なくとも約30%(例えば、少なくとも約32%、少なくとも約35%、少なくとも約38%、もしくは少なくとも約40%)、または少なくとも約50%(例えば、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは約100%)増加される。架橋骨形成の増加または再構築は、ヘテロ二量体抗体の初回投与の1週間後、2週間後、3週間後、または4週間後に判定され得る。あるいは、骨密度レベルは、治療期間が終わった後(例えば、治療期間が終わった1週間後、2週間後、3週間後、または4週間後)に判定されてもよい。一態様において、本方法は、ヘテロ二量体抗体を受容しない年齢および性別が一致する患者と比較して、所望されるレベルの骨形成、骨量、骨カルス、または骨密度の構築(例えば、本明細書に記載される骨形成、骨ミネラル密度、骨カルス、または骨量における任意の割合の増加)に必要とされる期間を低減させ、それによって、対象の回復期間を低減させる。例えば、一実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、欠損部位における骨密度または量の増加に必要とされる期間を、少なくとも約10%(例えば、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、または少なくとも約50%)低減させる。
【0170】
ヘテロ二量体抗体は、有益な生物学的応答を達成するために、障害を有する患者を治癒するか、または骨関連障害の発症を完全に防ぐ必要はない。ヘテロ二量体抗体は、骨関連障害またはその症状を、全体的または部分的に防ぐという意味で、予防的に使用され得る。ヘテロ二量体抗体はまた、骨関連障害もしくはその症状を、全体的もしくは部分的に緩和するか、または骨関連障害もしくはその症状のさらなる進行を、全体的もしくは部分的に防ぐために、治療的に使用されてもよい。実際には、本発明の材料および方法は、骨ミネラル密度を増加させ、増加した骨ミネラル密度を長期間にわたり維持するのに特に有用である。
【0171】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体の1回以上の投与は、例えば、約1週間〜約18カ月(例えば、約1カ月〜約12カ月、約1カ月〜約9カ月、または約1カ月〜約6カ月、または約1カ月〜約3カ月)の治療期間にわたり実行される。いくつかの実施形態において、対象に、例えば、約1カ月〜約12カ月(52週間)(例えば、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、または約11カ月)の治療期間にわたり、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体の1回以上の用量が投与される。いくつかの実施形態において、対象に、骨ミネラル密度を維持するためにヘテロ二量体抗体の1回以上の用量が投与される。本明細書に使用される「骨ミネラル密度を維持する」という用語は、ヘテロ二量体抗体の初回投与により得られた増加した骨ミネラル密度が、約6カ月、約9カ月、約1年、約18カ月、約2年、またはそれ患者の生涯にわたって)、約1%〜約5%を上回って低下することがないことを意味する。患者は、骨密度を増加させるためおよび骨密度を維持するための、交互の治療期間を必要とし得ることが理解されるであろう。
【0172】
加えて、具体的な対象のために選択された治療レジメンに応じて、複数回用量のヘテロ二量体抗体を投与するか、または用量投与の間隔を開けることが有利である場合がある。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントは、1年(12カ月、52週)またはそれ未満(例えば、9カ月未満、6カ月未満、もしくは3カ月未満)の期間にわたって、周期的に投与される。この点に関して、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントは、約3日、または約7日、または2週間、または3週間、または4週間、または5週間、または6週間、または7週間、または8週間、または9週間、または10週間、または11週間、または12週間、または13週間、または14週間、または15週間、または16週間、または17週間、または18週間、または19週間、または20週間、または21週間、または22週間、または23週間、または6カ月、または12カ月に1回、ヒトに投与される。
【0173】
いくつかの実施形態において、治療期間は、骨間隙異常が検出された直後、例えば、異常の30分以内、1時間以内、2時間以内、6時間以内、12時間以内、または24時間以内に開始する。他の実施形態において、本阻害剤は、骨欠損の1日以内、骨欠損の3日以内、骨欠損の5日以内、骨欠損の7日以内、または骨欠損の2週間以内に投与され、ここで、スクレロスチン結合剤は、骨欠損後少なくとも11週間(例えば、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、17週間、18週間 19週間、20週間、21週間、22週間、23週間、24週間、25週間、26週間、27週間 28週間、29週間、30週間、31週間以上(例えば、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、18ヶ月以上))の期間にわたり、投与される。
【0174】
いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントの1回以上の用量は、骨ミネラル密度の減少と関連する骨障害を治療するのに有効な量および時間で投与される。種々の実施形態において、約50ミリグラム〜約1,000ミリグラムのヘテロ二量体抗体を含む1回以上の用量が、1週間毎に対象(例えば、ヒト対象)にと投与される。例えば、ヘテロ二量体抗体の用量は、少なくとも約5mg、15mg、25mg、50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約120mg、約150mg、約200mg、約240mg、約250mg、約280mg、約300mg、約350mg、約400mg、約420mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、または最大約1,000mgのヘテロ二量体抗体を含み得る。これらの終端点中のありとあらゆる範囲、例えば、約50mg〜約80mg、約70mg〜約140mg、約70mg〜約270mg、約75mg〜約100mg、約100mg〜約150mg、約140mg〜約210mg、または約150mg〜約200mg、または約180mg〜約270mg、または約280〜約410mgも企図される。用量は、1週間に複数回(例えば、1週間に2回もしくは3回)、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、または4週間に1回といった、任意の間隔で投与される。いくつかまたはいずれかの実施形態において、約120mg〜約210mgの範囲の用量のヘテロ二量体抗体が、1週間に2回投与される。いくつかまたはいずれかの実施形態において、約140mgの用量のヘテロ二量体抗体が、1週間に2回投与される。
【0175】
いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体の1回以上の用量は、体重1kg当たり約0.1〜約50ミリグラム(例えば、約5〜約50ミリグラム)、または約1〜約100ミリグラム(mg/kg)のヘテロ二量体抗体を含み得る。例えば、ヘテロ二量体抗体の用量は、少なくとも約0.1mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約26mg/kg、約27mg/kg、約28mg/kg、約29mg/kg、約30mg/kg、約31mg/kg、約32mg/kg、約33mg/kg、約34mg/kg、約35mg/kg、約36mg/kg、約37mg/kg、約38mg/kg、約39mg/kg、約40mg/kg、約41mg/kg、約42mg/kg、約43mg/kg、約44mg/kg、約45mg/kg、約46mg/kg、約47mg/kg、約48mg/kg、または約49mg/kg、または約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kg、または最大約100mg/kgを含み得る。これらの終端点中のありとあらゆる範囲、例えば、約1mg/kg〜約3mg/kg、約1mg/kg〜約5mg/kg、約1mg/kg〜約8mg/kb、約3mg/kg〜約8mg.kg、約1mg/kg〜約10mg/kg、約1mg/kg〜約20mg/kg、約1mg/kg〜約40mg/kg、約5mg/kg〜約30mg/kg、または約5mg/kg〜約20mg/kgもまた、企図される。
【0177】
骨ミネラル含量または骨密度におけるヘテロ二量体抗体媒介性増加は、単一または二重X線吸光光度法、超音波、コンピュータ断層撮像法、放射線撮影法、および自機共鳴画像法を使用して、測定され得る。骨質量は、体重から計算されるか、または他の方法を用いて計算され得る(Guinness−Hey,Metab.Bone Dis.Relat.Res.,5:177−181(1984)を参照されたい)。例えば、骨粗鬆症および骨減少症といったヒト疾患の症状を模倣する骨喪失、骨再吸収、骨形成、骨強度、または骨ミネラル化のパラメータに対する、薬学的組成物および方法の効果を試験するために、動物モデルが当該技術分野において使用される。このようなモデルの例には、卵巣切除ラットモデルが挙げられる(Kalu,Bone and Mineral,15:175−192(1991)、Frost and Jee,Bone and Mineral,18:227−236(1992)、およびJee and Yao,J.Musculoskel.Neuron.Interact.,1:193−207(2001))。本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体活性を測定するための方法もまた、他のスクレロスチン阻害剤の有効性を判定するために使用され得る。
【0178】
ヒトにおいては、骨ミネラル密度は、例えば、臀部および脊椎の二重x線吸光光度法(DXA)を用いて臨床的に判定され得る。他の技法には、定量的コンピュータ断層撮影法(QCT)、超音波検査法、単一エネルギーx線吸光光度法(SXA)、および放射線吸光光度法が挙げられる。測定に一般的な中心骨格部位には、脊椎および臀部が挙げられ、末梢部位には、前腕、指、手首、および足首が挙げられる。超音波検査法を除いて、American Medical Associationは、BMD技法が、典型的に、x線の使用を伴い、放射線の減衰が、放射線経路にある組織の厚さおよび組成に依存するという原理に基づくことを記す。すべての技法は、結果を規範的データベースと比較することを伴う。
【0179】
あるいは、1つ以上のスクレロスチン結合剤に対する生理学的応答は、骨マーカーレベルを監視することによって計測され得る。骨マーカーは骨再構築プロセス中に作出される生成物であり、骨、骨芽細胞、および/または破骨細胞により放出される。骨再吸収および/または骨形成「マーカー」レベルにおける変動は、骨再構築/構築における変化を意味する。International Osteoporosis Foundation(IOF)は、骨密度治療を監視するために骨マーカーを使用することを推奨する(例えば、Delmas et al.,Osteoporos Int.,Suppl.6:S2−17(2000)を参照されたく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。骨再吸収(または破骨細胞活性)を示すマーカーには、例えば、C−テロペプチド(例えば、1型コラーゲンのC末端テロペプチド(CTX)または血清架橋型C−テロペプチド)、N−テロペプチド(1型コラーゲンのN末端テロペプチド(NTX))、デオキシピリジノリン(DPD)、ピリジノリン、尿ヒドロキシプロリン、ガラクトシルヒドロキシリジン、および酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼ(例えば、血清酒石酸塩耐性酸性ホスファターゼアイソフォーム5b)が挙げられる。骨形成/ミネラル化マーカーには、骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)、I型プロコラーゲンのNおよびC末端伸長部分から放出されるペプチド(P1NP、PICP)、ならびにオステオカルシン(OstCa)が挙げられるが、これらに限定されない。尿及び血液といった臨床試料中のマーカーを検出および定量するためのいくつかのキットが市販入手可能である。
【0181】
同じ病原体または生化学経路または生物学的プロセスを標的とする2つ以上の薬剤を組み合わせることによる病理学処置は、しばしば、各薬剤の治療関連用量を単独で使用することと比較して、より優れた有効性および副作用の減少をもたらす。いくつかの場合において、薬物の組み合わせの有効性は、相加的である(その組み合わせの有効性は、各薬物単独の効果の合計にほぼ等しい)が、他の場合においては、その効果は相乗的である(その組み合わせの有効性は、単独で与えられる各薬物の効果の合計を上回る)。本明細書に使用される際、「組み合わせ療法」という用語は、2つ以上の薬剤が、同時の様式で、例えば、同時に投与されるか、または薬剤のうちの1つが先に投与された後に、第2の薬剤が逐次的に投与されることを意味する。
【0182】
いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、減少した骨ミネラル密度の治療のための標準的な治療薬とともに投与される(すなわち、ヘテロ二量体抗体および標準治療薬が、同じ治療計画の一部である)。本明細書に使用される際、「標準治療」という用語は、ある種類の疾病であると診断されたある特定の種類の患者のための、臨床医によって一般に許容される治療を指す。いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体は、骨ミネラル密度の減少または骨損傷の治療に有用な第2の骨強化剤とともに投与される。いくつかの実施形態において、骨強化剤は、骨吸収抑制剤、骨形成剤(すなわち、同化剤)、エストロゲン受容体調節剤(ラロキシフェン、バゼドキシフェン、およびラソフォキシフェンを含むがこれらに限定されない)、ならびに破骨細胞に対して阻害効果を有する薬物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2の骨強化剤は、ビスホスホネート(アレンドロン酸ナトリウム(FOSAMAX(登録商標))、リセドロン酸、イバンドロン酸ナトリウム(BONIVA(登録商標))、およびゾレドロン酸(RECLAST(登録商標))を含むがこれらに限定されない);エストロゲンまたはエストロゲン類似体;抗RANKリガンド(RANKL)阻害剤、例えば、抗RANKL抗体(例えば、PROLIA(登録商標));ビタミンD、またはビタミンD誘導体もしくはその模倣体;カルシウム源、カテプシン−K(cat−K)阻害剤(例えば、オダナカチブ)、チボロン、カルシトニン、またはカルチトリオール;ならびにホルモン置換薬からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、第2の骨強化剤には、副甲状腺ホルモン(PTH)またはそのペプチドフラグメント、PTH関連タンパク質(PTHrp)、骨形成タンパク質、オステオゲニン(osteogenin)、NaF、PGE2アゴニスト、スタチン、ラネリック酸ストロンチウム、スクレロスチン阻害剤(例えば、例として米国特許第7,592,429号または同第7,872,106号に記載される抗スクレロスチン抗体)、ならびに抗DKK1抗体もしくは阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、第2の骨強化剤は、Forteo(登録商標)(テリパラチド)、Preotact(登録商標)、またはProtelos(登録商標)である。いくつかの実施形態において、第2の骨強化剤は、骨形成タンパク質(例えば、BMP−1、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−13、BMP−14、および/またはBMP−15)を含む。
【0183】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体を用いる組み合わせ療法は、数分から数週間、さらには数ヶ月の範囲に及ぶ間隔で、追加の治療薬(複数可)(例えば、第2の骨強化剤)の投与に先行するか、またはそれの後に行われ得る。例えば、別個の治療法が、互いの約24時間以内、例えば、互いの約6〜12時間以内、または互いの約1〜2時間以内、または互いの約10〜30分以内に、施され得る。いくつかの状況において、治療期間を著しく延長することが望ましい場合があり、それぞれの異なる治療法の施術の間に、数日間(2、3、4、5、6、または7日間)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が経過する。一方または両方の薬剤/療法による治療を繰り返すことが、明確に企図される。
【0185】
第2の骨強化剤および/または本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体を、例えば、骨ミネラル密度の喪失を防止または遅延させるための維持レジメンにおいて使用することもまた、企図される。この点に関して、本明細書に記載される方法または使用は、場合によっては、ヘテロ二量体抗体での治療期間が終了した後、約1週間〜約5年間の維持期間にわたり、骨ミネラル密度を維持するために有効な1つ以上の量の第2の骨強化剤を投与することを含む。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法または使用は、約少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、3カ月、13週間、14週間、15週間、16週間、4カ月、17週間、18週間、19週間、20週間、5カ月、21週間、22週間、23週間、24週間、6カ月、25週間、26週間、27週間、28週間、7カ月、29週間、30週間、31週間、またはそれ以上(例えば、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、1年間、15カ月、18カ月、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上(例えば、対象の生涯にわたる)の維持期間にわたって、対象に第2の骨強化剤を投与することを含む。いくつかの実施形態において、維持期間は、約6〜12週間である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約4〜12週間、または約1〜3カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約12〜20週間、または約3〜5カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約20〜32週間、または約5〜8カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約24〜36週間、または約6〜9カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、またはそれ以上である。骨ミネラル密度を「維持すること」は、ヘテロ二量体抗体を受容した対象において経験される類似のレベルの骨ミネラル密度パラメータを維持することを含む。
【0186】
同様に、本明細書に記載される方法または使用は、場合によっては、治療期間が終了した後に、少なくとも約少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、3カ月、13週間、14週間、15週間、16週間、4カ月、17週間、18週間、19週間、20週間、5カ月、21週間、22週間、23週間、24週間、6カ月、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、またはそれ以上(例えば、対象の生涯にわたる)維持期間の間、骨ミネラル密度を維持するのに有効な1つ以上の量のヘテロ二量体抗体を続いて投与することを含む。いくつかの実施形態において、維持期間は、約6〜12週間である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約4〜12週間、または約1〜3カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約12〜20週間、または約3〜5カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約20〜32週間、または約5〜8カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約24〜36週間、または約6〜9カ月である。いくつかの実施形態において、維持期間は、約1年間、約2年間、約3年間、約4年間、約5年間、またはそれ以上である。
【0188】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質のうちの1つまたは複数の治療有効量を、薬学的に有効な希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントとともに含む、薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、液体、凍結、および凍結乾燥組成物を含むが、これらに限定されない。
【0189】
好ましくは、製剤材料は、用いられる投薬量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。特定の実施形態において、ヘテロ二量体抗体またはフラグメントの治療有効量を含む薬学的組成物が提供される。
【0190】
いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張性、臭い、滅菌性、分解もしくは放出速度、吸収、または浸透を修正、維持、または保存するための製剤材料を含有し得る。このような実施形態において、好適な製剤材料には、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、プロリン、もしくはリジン等);抗菌剤;酸化防止剤(アスコルビン酸、硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、もしくは他の有機酸等);増量剤(マンニトールもしくはグリシン等);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリン等);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等);着色剤、香味剤、および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン等);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウム等);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、もしくは過酸化水素等);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコール等);糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトール等);懸濁化剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20等のポリソルベート、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル(tyloxapal)等);安定性強化剤(スクロースもしくはソルビトール等);等張性強化剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトール ソルビトール等);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18” Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
【0191】
いくつかの実施形態において、最適な薬学的組成は、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望される投薬量に応じて、当業者によって決定されるであろう。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上記)を参照されたい。ある特定の実施形態において、このような組成は、ヘテロ二量体抗体またはフラグメントの物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランス速度に影響を及ぼし得る。ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の主要なビヒクルまたは担体は、水溶性または非水溶性のいずれかの性質であり得る。例えば、好適なビヒクルまたは担体は、非経口投与用組成物に一般的な他の材料が補充されている可能性のある、注射用水、生理食塩水、または人工脳脊髄液であり得る。中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。特定の実施形態において、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、ソルビトールまたはその好適な代替物をさらに含み得る。本発明のある特定の実施形態において、組成物は、所望される程度の純度を有する選択された組成物と、任意選択の製剤化剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上記))を混合することによって、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で、保管用に調整され得る。さらに、いくつかの実施形態において、ヘテロ二量体抗体またはフラグメントは、スクロース等の適切な賦形剤を使用して凍結乾燥物として製剤化され得る。
【0192】
本発明の薬学的組成物は、非経口送達に選択され得る。あるいは、組成物は、吸入、または経口等の消化管を通じた送達に選択され得る。このような薬学的に許容される組成物の調製は、当業者の技能の範囲内である。製剤成分は、好ましくは投与の部位に許容される濃度で存在する。ある特定の実施形態において、生理学的pHまたはわずかに低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に組成物を維持するために、緩衝液が使用される。
【0193】
非経口投与が企図される場合、本発明に使用される治療的組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に所望のヘテロ二量体抗体またはフラグメントを含む、発熱物質不含の非経口に許容される水溶液の形態で提供される。非経口注射に特に好適なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、ヘテロ二量体抗体またはフラグメントが、適切に保存される滅菌の等張溶液としてその中に製剤化される。ある特定の実施形態において、調製は、デポー注射によって送達され得る製品の制御または持続放出を提供し得る薬剤、例えば、注射可能ミクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸等)、ビーズ、またはリポソームを用いた、所望される分子の製剤化を伴う。ある特定の実施形態において、循環時の持続期間を増加させる効果を有するヒアルロン酸もまた使用され得る。ある特定の実施形態において、埋め込み可能な薬物送達デバイスを使用して、所望のヘテロ二量体抗体またはフラグメントを導入してもよい。
【0194】
本発明の薬学的組成物は、吸入用に製剤化され得る。これらの実施形態において、ヘテロ二量体抗体またはフラグメントは、有利なことに、乾燥した吸入可能粉末として製剤化される。特定の実施形態において、ヘテロ二量体抗体またはフラグメント吸入溶液はまた、エアロゾル送達のために推進剤とともに製剤化され得る。ある特定の実施形態において、溶液は、噴霧され得る。肺内投与およびそのための製剤化方法は、国際特許出願第PCT/US94/001875号にさらに記載されており、これは、参照により組み込まれ、化学修飾タンパク質の肺内投与について説明している。
【0195】
製剤が経口投与され得ることもまた企図される。この様式で投与されるヘテロ二量体抗体またはフラグメントは、錠剤およびカプセルといった固形剤形の調合に慣習的に使用される担体ありまたはなしで製剤化され得る。ある特定の実施形態において、カプセルは、バイオアベイラビリティが最大化され全身循環前の分解が最小化される胃腸管内の時点で、製剤の活性な部分が放出されるように設計され得る。ヘテロ二量体抗体またはフラグメントの吸収を促進するために追加の薬剤が含まれてもよい。希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた用いられ得る。
【0196】
持続または制御送達製剤中の抗原結合タンパク質を含む製剤を含む、さらなる薬学的組成物が、当業者には明らかであろう。リポソーム担体、生体内分解性微小粒子もしくは多孔質ビーズ、およびデポー注射といった、種々の他の持続または制御送達手段を製剤化するための技法もまた、当業者に既知である。例えば、国際特許出願第PCT/US93/00829号を参照されたく、これは、参照により組み込まれ、薬学的組成物の送達のための多孔質ポリマー微小粒子の制御放出について説明している。持続放出調製物は、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態にある半透過性ポリマーマトリックスを含み得る。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3773919号および欧州特許出願公開第EP058481号に開示され、これらのそれぞれは、参照により組み込まれる)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers 2:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,1981(上記))、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第EP133988号)が含まれ得る。持続放出組成物はまた、当該技術分野で既知のいくつかの方法のうちのいずれかによって調製され得るリポソームが含まれ得る。例えば、Eppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3688−3692、欧州特許出願公開第EP036676号、同第EP088046号、および同第EP143949号を参照されたく、これらは参照により組み込まれる。
【0197】
インビボ投与に使用される薬学的組成物は、典型的に、滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜を通す濾過によって達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかに行われ得る。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態または溶液の状態で保管され得る。非経口組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、静注用バッグまたは皮下注射針で穿刺可能なストッパーを有するバイアルに入れられる。
【0198】
本発明の態様は、薬学的組成物として使用可能な自己緩衝ヘテロ二量体抗体またはフラグメント製剤を含み得、これは、国際特許公開第WO 2006/138181A2号(PCT/US2006/022599)に記載され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0199】
上述のように、ある特定の実施形態は、ヘテロ二量体抗体またはフラグメントに加えて、この節および本明細書の他の箇所に例示的に記載されるものといった1つ以上の賦形剤を含む、ヘテロ二量体抗体またはフラグメント組成物、特に薬学的ヘテロ二量体抗体またはフラグメント組成物を提供する。賦形剤は、製剤の物理的、化学的、もしくは生物学的特性の調節、例えば粘度の調節、ならびに/またはこのような製剤の有効性を改善するおよび/もしくは安定化させるためのプロセス、ならびに例えば、製造、輸送、保管、使用前調製、投与の際、およびその後に生じる応力に起因する分解および損傷に対するプロセスといった、広範な目的で、この点に関して本発明で使用され得る。
【0200】
タンパク質の安定化ならびにこの点において有用な製剤材料および方法に関して、Arakawa et al.,”Solvent interactions in pharmaceutical formulations,”Pharm Res.8(3):285−91(1991)、Kendrick et al.,”Physical stabilization of Proteins in aqueous solution,” in:RATIONAL DESIGN OF STABLE PROTEIN FORMULATIONS:THEORY AND PRACTICE,Carpenter and Manning,eds.Pharmaceutical Biotechnology.13:61−84(2002)、およびRandolph et al.,”Surfactant−protein interactions,” Pharm Biotechnol.13:159−75(2002)といった、種々の解説が利用可能であり、これらのそれぞれは、参照によりその全体、特に、本発明による自己緩衝タンパク質製剤についてのその賦形剤およびプロセス、特に獣医学および/またはヒト医療用途のタンパク質薬学的生成物およびプロセスに関する部分が、本明細書に組み込まれる。
【0201】
例えば、製剤のイオン強度および/もしくは等張性の調節、ならびに/または本発明による組成物のタンパク質もしくは他の成分の可溶性および/もしくは安定性の改善のために、塩が、本発明のある特定の実施形態に従って使用されてもよい。
【0202】
周知のように、イオンは、タンパク質の表面上の荷電残基に結合し、タンパク質の荷電および極性基を遮蔽し、それらの静電相互作用、引力相互作用、および反発相互作用の強度を低減させることによって、タンパク質の天然の状態を安定化させ得る。イオンはまた、特に、タンパク質の変性ペプチド結合(−−CONH)に結合することによって、タンパク質の変性状態を安定化させ得る。さらに、タンパク質の荷電および極性基とのイオン相互作用はまた、分子間静電相互作用を低減させ、それによって、タンパク質の凝集および不溶性を防止または低減させ得る。
【0203】
イオン種は、タンパク質への作用が著しく異なる。本発明に従って薬学的組成物を製剤化する際に使用することができるイオンおよびそれらのタンパク質に対する作用に関するいくつかの分類別ランク付けが開発されている。一例は、ホフマイスターシリーズであり、これは、イオンおよび極性非イオン溶質を、溶液中のタンパク質の構造的安定性に対するそれらの作用によってランク付けする。安定化する溶質は、「コスモトロピック」と称される。不安定化する溶質は、「カオトロピック」と称される。コスモトロープは、一般に、高濃度(例えば、1モルを超える硫酸アンモニウム)で使用され、タンパク質を溶液から沈殿させる(「塩析」)。カオトロープは、一般に、タンパク質を変性および/または可溶化させるために使用される(「塩溶」)。「塩溶」および「塩析」に対するイオンの相対的有効性が、それらのホフマイスターシリーズでの位置付けを定義する。
【0204】
遊離アミノ酸は、本発明の種々の実施形態によるヘテロ二量体抗体またはフラグメントの製剤化において、増量剤、安定化剤、および酸化防止剤、ならびに他の標準的な用途として使用され得る。リジン、プロリン、セリン、およびアラニンは、製剤中のタンパク質を安定化するために使用され得る。グリシンは、正しいケーキ構造および特性を確実にするための凍結乾燥において有用である。アルギニンは、液体および凍結乾燥製剤の両方において、タンパク質凝集を阻害するのに有用であり得る。メチオニンは、酸化防止剤として有用である。
【0205】
ポリオールには、糖、例えば、マンニトール、スクロース、およびソルビトール、ならびに多価アルコール、例えば、グリセロールおよびプロピレングリコール等、ならびに本明細書における考察の目的で、ポリエチレングリコール(PEG)および関連物質が含まれる。ポリオールは、コスモトロピックである。それらは、液体および凍結乾燥製剤の両方において、タンパク質を物理的および化学的分解プロセスから保護するために有用な安定化剤である。ポリオールは、製剤の等張性を調節するのに有用である。
【0206】
本発明の選択的な実施形態において有用なポリオールの中には、マンニトールがあり、これは、凍結乾燥製剤においてケーキの構造的安定性を確実にするために広く使用される。それは、ケーキの構造的安定性を確実にする。それは、一般に、凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)、例えば、スクロースとともに使用される。ソルビトールおよびスクロースは、等張性を調節するため、ならびに製造プロセス中のバルクの輸送または調製中に凍結−解凍の応力に対して保護するための安定剤として、好ましい薬剤に含まれる。グルコースおよびラクトース等の還元糖(アルデヒドまたはケトン基を含有しない)は、表面リジンおよびアルギニン残基を糖化させ得る。したがって、それらは、一般に、本発明による使用に好ましいポリオールには含まれない。加えて、このような反応種を形成する糖、例えば、スクロース(酸性条件下でフルクトースおよびグルコースに加水分解され、結果として糖化をもたらす)もまた、この点に関して、本発明の好ましいポリオールには含まれない。PEGは、タンパク質を安定化させるため、および凍結保護剤として、有用であり、この点に関して本発明において使用され得る。
【0207】
ヘテロ二量体抗体またはフラグメント製剤の実施形態は、さらに、界面活性剤を含む。タンパク質分子は、表面上の吸収、ならびに変性およびその結果、気体−液体、固体−液体、および液体−液体の界面での凝集を受けやすい可能性がある。これらの作用は、一般に、タンパク質濃度と反比例する。これらの有害な相互作用は、一般に、タンパク質濃度に反比例し、典型的に、生成物の輸送および取り扱いの際に発生する物理的振動によって悪化する。
【0208】
界面活性剤は、表面吸収を防止、最小化、または低減させるために日常的に使用される。この点に関して本発明において有用な界面活性剤には、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ソルビタンポリエトキシレートの他の脂肪酸エステル、およびポリオキサマー188が挙げられる。
【0209】
界面活性剤はまた、タンパク質の構造的安定性を制御するために広く使用される。この点に関して界面活性剤の使用は、任意の所与の界面活性剤が、典型的には、一部のタンパク質を安定化させ、その他のものを不安定化させるため、タンパク質特異的である。
【0210】
ポリソルベートは、酸化分解を受けやすく、タンパク質残基側鎖、特にメチオニンの酸化を引き起こすのに十分な量の過酸化物を含有して供給されることが多い。その結果、ポリソルベートは、注意深く使用する必要があり、使用する際、それらの最低有効濃度で用いなければならない。この点に関して、ポリソルベートは、賦形剤がそれらの最低有効濃度で使用されるべきであるという一般規則を例示する。
【0211】
ヘテロ二量体抗体またはフラグメント製剤の実施形態は、1つ以上の酸化防止剤をさらに含む。ある程度、タンパク質の有害な酸化は、適正なレベルの周囲酸素および温度を維持すること、ならびに光への曝露を回避することによって、薬学的製剤において防止することができる。酸化防止賦形剤も同様に、タンパク質の酸化分解を防止するために使用することができる。この点で有用な酸化防止剤の中には、還元剤、酸素/フリーラジカルスカベンジャー、およびキレート剤がある。本発明による治療的タンパク質製剤で使用するための酸化防止剤は、好ましくは、水溶性であり、生成物の保管期間を通じてそれらの活性を維持する。EDTAは、この点において、本発明による好ましい酸化防止剤である。
【0212】
本発明による製剤は、タンパク質補助因子であり、タンパク質配位化合物を形成するために必要な金属イオン、例えば、ある特定のインスリン懸濁液を形成するために必要な亜鉛を含み得る。金属イオンはまた、タンパク質を分解する一部のプロセスを阻害し得る。しかしながら、金属イオンはまた、タンパク質を分解する物理的および化学的プロセスを触媒する。
【0213】
マグネシウムイオン(10〜120mM)は、アスパラギン酸からイソアスパラギン酸への異性化を阻害するために使用され得る。Ca
+2イオン(最大100mM)は、ヒトデオキシリボヌクレアーゼの安定性を増加させ得る。Mg
+2、Mn
+2、およびZn
+2は、しかしながら、rhDNaseを不安定化させ得る。同様に、Ca
+2およびSr
+2は、第VIII因子を安定化させ得、これは、Mg
+2、Mn
+2、およびZn
+2によって不安定化され得、Cu
+2およびFe
+2、ならびにその凝集体は、Al+3イオンによって増加され得る。
【0214】
ヘテロ二量体抗体またはフラグメント製剤の実施形態は、1つ以上の保存剤をさらに含む。保存剤は、同じ容器からの1つを上回る抽出物を伴う、複数用量の非経口製剤を開発する際に必要である。それらの主要な機能は、微生物の成長を阻害し、薬物製品の保管期間または試用期間を通じて製品の滅菌性を確保することである。広く使用される保存剤には、ベンジルアルコール、フェノール、およびm−クレゾールが挙げられる。保存剤は、小分子非経口剤では長い使用歴があるが、保存剤を含むタンパク質製剤は、困難であり得る。保存剤は、ほぼ必ず、タンパク質に対して不安定化作用(凝集化)を有し、これが、複数用量のタンパク質製剤でのそれらの使用を制限する主要な要因となっている。現在までに、ほとんどのタンパク質薬が、単回使用のみで製剤化されている。しかしながら、複数用量の製剤が可能となれば、患者の利便性を可能にすること、および市場性の増加というさらなる利点を有する。よい例は、ヒト成長ホルモン(hGH)のものであり、保存製剤の開発が、より便利な複数回使用の注射ペンの提示をもたらした。hGHの保存製剤を含有する少なくとも4つのこのようなペン型デバイスが、現在、市場で利用可能である。ノルディトロピン(液体、Novo Nordisk)、ニュートロピンAQ(液体、Genentech)、およびジェノトロピン(凍結乾燥、二重チャンバカートリッジ、Pharmacia&Upjohn)は、フェノールを含有し、ソマトロープ(Eli Lilly)は、m−クレゾールとともに製剤化されている。
【0215】
複数の側面が、保存投薬形態の製剤化および開発の際に考慮される必要がある。薬物性剤中の有効な保存剤濃度は、最適化されなければならない。これは、タンパク質の安定性を低下させることなく抗菌の有効性を与える濃度範囲で、投薬形態中の所与の保存剤を試験することを必要とする。
【0216】
予測され得るように、保存剤を含有する液体製剤の開発は、凍結乾燥製剤よりもさらに困難である。凍結乾燥製品は、保存剤なしで凍結乾燥され、使用時に希釈剤を含有する保存剤で再構成され得る。これは、保存剤がタンパク質と接触する時間を短縮し、関連する安定性の危険性を大幅に最小化させる。液体製剤では、保存剤の有効性および安定性は、製品の全保管期間(約18〜24カ月)にわたって維持される必要がある。注記すべき重要な点としては、保存剤の有効性が、活性な薬物およびすべての賦形剤成分を含有する最終製剤で提示される必要があることである。
【0217】
ヘテロ二量体抗体またはフラグメント製剤は、一般に、とりわけ、種々の範囲のバイオアベイラビリティおよび持続性で、特定の投与経路および方法、特定の投薬量および投与頻度、特定の疾患の特定の治療のために設計されることになる。製剤は、したがって、経口、経耳、経眼、経直腸、および経膣、ならびに静脈内および動脈内注射、筋肉内注射、および皮下注射を含む非経口経路を含むがこれらに限定されない、任意の好適な経路による送達のために、本発明に従って設計され得る。
【0218】
薬学的組成物が製剤化された後、それは、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、結晶として、または緩衝もしくは凍結乾燥粉末として、滅菌バイアル中に保管され得る。このような製剤は、すぐに使用可能な形態、または投与前に再構成される形態(例えば凍結乾燥)のいずれかで保管され得る。本発明はまた、単一用量の投与単位をもたらすためのキットを提供する。本発明のキットは、それぞれ、乾燥タンパク質を有する第1の容器および水性製剤を有する第2の容器の両方を含み得る。本発明のある特定の実施形態において、単一チャンバまたは複数チャンバの事前充填シリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe)を含むキットが、提供される。
【0219】
用いられる薬学的組成物を含有する抗原結合タンパク質の治療有効量は、例えば、治療内容および目的に依存するであろう。当業者であれば、治療に適切な用量レベルが、部分的に、送達される分子、抗原結合タンパク質が使用される適応症(複数可)、投与の経路、ならびに患者の大きさ(体重、体表面、もしくは器官寸法)および/または状態(年齢および一般健康状態)に応じて多様であろうことを理解するであろう。ある特定の実施形態において、臨床医は、用量を滴定し、最適な治療効果を得るように投与経路を修正することができる。
【0221】
ヘテロ二量体抗体(またはその抗原結合フラグメント)を含む組成物の文脈で本明細書に使用される「安定性」および「安定な」という用語は、組成物中のヘテロ二量体抗体(またはその抗原結合フラグメント)の、所与の製造、調製、輸送、および保管条件下での凝集、分解、または分裂に対する耐性を指す。高度の安定性を有する抗体製剤は、信頼性および安全性の強化を示し、そのため、臨床使用に有利である。
【0222】
組成物中の抗体の安定性は、任意で、組成物中の抗体の所望のパラメータ(重鎖および/または軽鎖の凝集、分解、化学修飾等)を経時的に試験することによって、評価される。この点に関して、パラメータは、典型的に、場合によっては抗体またはそのフラグメントを多数の環境条件のうちのいくつかに曝露している間に、初期時点(T0)および評価時点(T1)で試験され、比較される。初期時点は、例えば、抗体またはそのフラグメントが最初に組成物中に製剤化されるか、または最初に品質に関して試験される(すなわち、抗体組成物が凝集または分解に関して規制基準または製造基準を満たすかどうかを判定するために試験される)時点であり得る。初期時点はまた、抗体または抗体フラグメントが、組成物中に再構築される(例えば、初期調製物と比較してより高いかまたは低い濃度で再構築される)時点であり得る。評価時点は、種々の実施形態において、初期時点の後、約1週間(または約2週間、または約3週間、または約4週間、または約5週間、または約6週間、または約7週間、または約8週間、または約10週間、または約3カ月、または約6カ月、または約1年)である。組成物中の抗体またはフラグメントの所望されるパラメーター(例えば、凝集または分解)は、−30℃、4℃、20℃、または40℃、振盪、pH、異なる容器材料(例えば、ガラスバイアル、事前充填シリンジ等)での保管等といった、種々の保管条件下で評価され得る。
【0223】
凝集の程度、ならびに/またはヘテロ二量体抗体を含む組成物中に存在する凝集体の種類および/もしくは寸法を判定するための例示的な方法には、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、高速サイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)、静的光散乱(SLS)、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、円二色性法(CD)、尿素誘導タンパク質アンフォールディング技法、本質的トリプトファン蛍光、示差走査熱量測定、および1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸(ANS)タンパク質結合技法が挙げられるが、これらに限定されない。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、分子を適切な樹脂を充填したカラム上を通過させることによって、分子をそれらの寸法に基づいて分離するために行われ得、より大きな分子(例えば、凝集体)が、より小さな分子(例えば、モノマー)よりも前に溶出する。分子は、一般に、280nmでのUV吸光によって検出され、さらなる特徴付けのために収集され得る。高圧液体クロマトグラフィーカラムは、SEC分析(HP−SEC)に用いられることが多い。あるいは、分析超遠心法(AUC)が用いられ得る。AUCは、液体試料中の巨大分子の沈降係数(スベドベリSで報告される)を判定する直交技法である。SECと同様に、AUCは、抗体フラグメント/凝集体を、モノマーから分離および検出することができ、さらに、分子質量に関する情報を提供することができる。組成物中の抗体または抗体フラグメントの凝集はまた、コールターカウンターを用いた粒子カウンター分析または濁度計を使用した濁度の測定によって、特徴付けられ得る。濁度は、溶液中の粒子が光を散乱させる量の尺度であり、したがって、タンパク質凝集の一般的な指標として使用され得る。加えて、非還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)またはキャピラリーゲル電気泳動(CGE)を使用して、組成物中の抗体または抗体フラグメントの凝集および/または分裂の状態を特徴付けることができる。
【0224】
抗体の分解を判定するための例示的な方法には、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)およびSDSによるキャピラリー電気泳動(CE−SDS)、ならびに直列MS検出を伴う逆相HPLCが挙げられるが、これらに限定されない。
【0225】
種々の実施形態において、組成物中、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体または抗体フラグメントの5%未満が、目的の条件下において凝集体形態である。例えば、組成物中、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントの4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満が、−30℃、4℃、20℃、または40℃で約1週間(または約2週間、または約3週間、または約4週間、または約5週間、または約6週間、または約7週間、または約8週間、または約10週間、または約3カ月、または約6カ月、または約1年)の期間保管した後に、凝集体形態である。いくつかの実施形態において、組成物中、本明細書に記載される抗体フラグメントのヘテロ二量体抗体の5%未満(または4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満)が、約4℃で2週間の保管の後、凝集体形態である。
【0226】
例えば、組成物中、抗体またはそのフラグメントの少なくとも85%(または少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)が、任意で、−30℃、4℃、20℃、または40℃で、約1週間(または約2週間、または約3週間、または約4週間、または約5週間、または約6週間、または約7週間、または約8週間、または約10週間、または約3カ月、または約6カ月、または約1年)の期間の保管後に、非凝集体(すなわち、モノマー)形態で存在する。いくつかの実施形態において、抗体またはそのフラグメントの少なくとも85%(または少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、またはそれ以上)が、約4℃で2週間の保管後に、非凝集体形態で組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、抗体の少なくとも99%が、2週間約4℃で2週間保管した後に、非凝集体形態で組成物中に存在する、および/または存在する抗体の少なくとも95%が、組成物中にあり、40℃で2週間の保管の後、非凝集体形態である。
【0227】
種々の実施形態において、組成物中、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体または抗体フラグメントの5%未満が、分解される。例えば、組成物中、ヘテロ二量体抗体またはそのフラグメントの4%未満、または3%未満、または2%未満、または1%未満が、目的の条件下で分解される。例えば、任意で、抗体またはフラグメントの少なくとも85%(または少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%)が、約−30℃、約4℃、約20℃、または約40℃で約1週間(または約2週間、または約3週間、または約4週間、または約5週間、または約6週間、または約7週間、または約8週間、または約10週間、または約3カ月、または約6カ月、または約1年)の期間保管した組成物中で、インタクトである(すなわち、分解されていない)。いくつかの態様において、抗体またはそのフラグメントの少なくとも85%(または少なくとも90%、または少なくとも91%、または少なくとも92%、または少なくとも93%、または少なくとも94%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、またはそれ以上)が、約4℃で2週間、組成物中で保管した後、インタクトである(すなわち、分解されていない)。いくつかの実施形態において、抗体またはフラグメントの少なくとも99%は、組成物中で、約4℃で2週間保管した際、インタクトなままである、および/または少なくとも95%が、組成物中で、約40℃で2週間保管した際、インタクトなままである。
【0228】
組成物中のヘテロ二量体抗体(またはその抗原結合フラグメント)の機能的または活性安定性もまた、本明細書に企図される。例えば、標的への抗体の結合、スクレロスチン中和、およびDKK−1中和を検出および/または定量化するためのアッセイが、当該技術分野で既知であり、本明細書において実施例4〜6に記載される。任意で、抗体またはそのフラグメントは、目的の条件下で、初期時点での抗体またはそのフラグメントの活性と比較して、約50〜100%の活性を示す。例えば、抗体またはそのフラグメントは、初期時点での活性と比較して、約60〜90%または70〜80%のレベルの活性を保持する。したがって、抗体またはそのフラグメントの機能的安定性は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の活性の保持を含み、初期時点での活性と比較して、100%を超える、例えば、105%、110%、115%、120%、125%、または150%以上である加瀬市測定値を含み得る。
【0230】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体のうちの1つ以上を含む組成物の粘度が、判定される。本明細書に使用される「粘度」という用語は、「絶対粘度」を指す。絶対粘度は、しばしば、動的または単純粘度と呼ばれ、動粘度および流体密度の積である(絶対密度=動粘度×密度)。動粘度の大きさは、L
2/Tであり、式中、Lは長さであり、Tは時間である。一般に、動粘度は、センチストーク(cSt)で表される。動粘度のSI単位は、mm
2/sであり、これは、1cStである。絶対粘度は、センチポアズ(cP)単位で表される。絶対粘度のSI単位は、ミリパスカル−秒(mPa−s)であり、1cP=1mPa−sである。
【0231】
組成物の粘度は、抗体を組成物に添加した数時間後(例えば、1〜23時間後)、数日後(例えば、1〜10日後)、数週間後(例えば、1〜5週間後)、数ヶ月後(例えば、1〜12カ月後)、または数年後(例えば、1〜2年後、1〜3年後)に測定され得る。粘度測定は、例えば、2〜8℃または25℃(室温)の保管または投与温度で行われ得る。いくつかの実施形態において、保管および/または投与温度での液体または再構成した液体組成物の絶対粘度は、15cP以下、または14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、もしくは4cP以下である。いくつかの実施形態において、液体または再構成した液体組成物の絶対粘度は、6cP以下である。
【0232】
いくつかの実施形態において、抗体組成物の粘度は、ヘテロ二量体抗体の添加の前および後に測定される。粘度を測定する方法は、当該技術分野で周知であり、例えば、毛細管粘度計、または円錐平板レオメーターの使用が含まれる。試験および参照製剤を比較するために使用される前提で、任意の方法が使用され得る。
【0234】
本明細書に記載される1つ以上のヘテロ二量体抗体を含む薬学的組成物は、このような薬学的組成物の使用に関する説明を提供するパッケージ材料とともに、容器(例えば、バイアルまたはシリンジ)内に入れられ得る。一般に、このような説明は、ヘテロ二量体抗体の濃度、ならびにある特定の実施形態では、薬学的組成物を再構成するのに必要とされ得る賦形剤成分または希釈剤(例えば、水、食塩水、またはPBS)の相対量を説明する具体的な表現を含むであろう。
【0236】
以下の番号付けされた項に提供される以下の実施形態もまた、企図される。
【0237】
1.AHo51位または141位のフレームワーク領域内にアミノ酸置換を含む、単離抗体重鎖可変領域であって、この置換は、前記位置で、重鎖可変領域フレームワークに正または負に荷電したアミノ酸を導入する、単離抗体重鎖可変領域。
【0238】
2.AHo51位またはAHo141位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第1項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0239】
3.AHo46位に正に荷電したアミノ酸との置換をさらに含む、第2項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0240】
4.AHo51位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第2項または第3項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0241】
5.AHo141位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第1、2、または3項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0242】
6.AHo46位およびAHo141位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第3項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0243】
7.正に荷電したアミノ酸は、リジンである、第2〜6項に記載の単離抗体重鎖。
【0244】
8.AHo51位またはAHo141位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第1項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0245】
9.AHo46位に負に荷電したアミノ酸との置換をさらに含む、第8項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0246】
10.AHo51位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第8項または第9項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0247】
11.AHo141位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第8、9、または10項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0248】
12.AHo46位およびAHo141位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第9項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0249】
13.負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸である、第8〜12項のいずれかに記載の単離抗体重鎖。
【0250】
14.重鎖CH1領域をさらに含む、第1〜13項のいずれかに記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0251】
15.CH1領域は、1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含む、第14項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0252】
16.アミノ酸は、正または負の荷電アミノ酸をCH1領域に導入するために置換される、第15項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0253】
17.正または負に荷電したアミノ酸が、EU S183位に導入される、第16項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0254】
18.EU S183位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第17項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0255】
19.置換は、S183Kである、第18項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0256】
20.EU S183位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第17項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0257】
21.置換は、S183Dである、第20項に記載の単離抗体重鎖可変領域。
【0258】
22.第1〜21項のいずれかに記載の単離抗体重鎖可変領域を含む、抗体重鎖。
【0259】
23.重鎖は、ホモ二量体化に不利な1つ以上のアミノ酸置換を含むCH3領域を含む、第22項に記載の抗体重鎖。
【0260】
24.CH3領域内の負に荷電したアミノ酸は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第23項に記載の抗体重鎖。
【0261】
25.負に荷電したアミノ酸は、EU D399位、E356位、またはE357位である、第24項に記載の抗体重鎖。
【0262】
26.正に荷電したアミノ酸は、リジンである、第25項に記載の抗体重鎖。
【0263】
27.CH3領域は、D399KおよびE356Kの置換を含む、第26項に記載の抗体重鎖。
【0264】
28.CH3領域中の正に荷電したアミノ酸は、負に荷電したアミノ酸で置換される、第23項に記載の抗体重鎖。
【0265】
29.正に荷電したアミノ酸は、EU K370位、K392位、またはK409位である、第28項に記載の抗体重鎖。
【0266】
30.負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸である、第29項に記載の抗体重鎖。
【0267】
31.CH3領域は、K392DおよびK409Dの置換を含む、第30項に記載の抗体重鎖。
【0268】
32.第24〜27項のいずれかに記載の抗体重鎖および第28〜31項のいずれかに記載の抗体重鎖を含む、抗体。
【0269】
33.重鎖は、Fcエフェクター機能を改変する1つ以上のアミノ酸置換を含むCH2領域を含む、第22〜31項のいずれかに記載の抗体重鎖。
【0270】
34.AHo51位または141位のフレームワーク領域内にアミノ酸置換を含む抗体κ軽鎖可変領域であって、この置換は、前記位置のκ軽鎖可変領域フレームワークに正または負に荷電したアミノ酸を導入する、抗体κ軽鎖可変領域。
【0271】
35.AHo51位またはAHo141位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第34項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0272】
36.AHo位46に正に荷電したアミノ酸との置換をさらに含む、第35項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0273】
37.AHo51位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第35または36項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0274】
38.AHo141位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第35、36、または37項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0275】
39.正に荷電したアミノ酸は、リジンである、第35〜38項のいずれかに記載の抗体軽鎖。
【0276】
40.AHo51位またはAHo141位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第34項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0277】
41.AHo46位に負に荷電したアミノ酸との置換をさらに含む、第40項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0278】
42.AHo51位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第40または41項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0279】
43.AHo141位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第40、41、または42項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0280】
44.正に荷電したアミノ酸は、リジンである、第40〜43項のいずれかに記載の抗体軽鎖。
【0281】
45.κ軽鎖定常領域をさらに含む、第34〜44項のいずれかに記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0282】
46.κ軽鎖定常領域は、1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含む、第45項に記載の抗体κ軽鎖可変領域。
【0283】
47.アミノ酸は、正または負に荷電したアミノ酸をκ軽鎖定常領域に導入するために置換される、第46項に記載の単離抗体κ鎖可変領域。
【0284】
48.正または負に荷電したアミノ酸は、Eu S176位に導入される、第47項に記載の単離抗体κ鎖可変領域。
【0285】
49.Eu S176位は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第48項に記載の単離抗体κ鎖可変領域。
【0286】
50.置換は、S176Kである、第49項に記載の単離抗体κ鎖可変領域。
【0287】
51.Eu S176位は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第48項に記載の単離抗体κ鎖可変領域。
【0288】
52.置換は、S176Dである、第51項に記載の単離抗体κ鎖可変領域。
【0289】
53.AHo51位または141位のフレームワーク領域内にアミノ酸置換を含む、抗体λ軽鎖可変領域であって、この置換は、前記位置でλ軽鎖可変領域フレームワークに正または負に荷電したアミノ酸を導入する、抗体λ軽鎖可変領域。
【0290】
54.λ軽鎖定常領域をさらに含む、第53項に記載の抗体λ軽鎖可変領域。
【0291】
55.λ軽鎖定常領域は、1つ以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含む、第54項に記載の抗体λ軽鎖可変領域。
【0292】
56.アミノ酸は、λ軽鎖定常領域に正または負に荷電したアミノ酸を導入するために置換される、第55項に記載の単離抗体λ鎖可変領域。
【0293】
57.正または負に荷電したアミノ酸は、Kabat S176位に導入される、第56項に記載の単離抗体λ鎖可変領域。
【0294】
58.S176は、正に荷電したアミノ酸と置換される、第57項に記載の単離抗体λ鎖可変領域。
【0295】
59.置換は、S176Kである、第58項に記載の単離抗体λ鎖可変領域。
【0296】
60.S176は、負に荷電したアミノ酸と置換される、第57項に記載の単離抗体λ鎖可変領域。
【0297】
61.置換は、S176DまたはS176Eである、第60項に記載の単離抗体λ鎖可変領域。
【0298】
62.第1〜21項のうちのいずれかに記載の抗体重鎖可変領域、第22〜31項のいずれかに記載の抗体重鎖、第34〜52項のいずれかに記載の抗体κ軽鎖可変領域、または第53〜61項のいずれかに記載の抗体軽鎖可変領域をコードする、単離核酸。
【0299】
63.プロモーターに動作可能に連結される、第62項に記載の単離核酸を含む、発現ベクター。
【0300】
64.第62項に記載の単離核酸を含む組み換え宿主細胞。
【0301】
65.第63項に記載の発現ベクターを含む組み換え宿主細胞。
【0302】
66.第1〜21項のいずれかに記載の単離重鎖可変領域および第22〜31項または第34〜52項のいずれかに記載の単離軽鎖可変領域を含む、抗原結合タンパク質。
【0303】
67.抗原結合タンパク質は、2つの重鎖と2つの軽鎖とを含む抗体である、第66項に記載の抗原結合タンパク質。
【0304】
68.抗体は、二特異性抗体である、第67項に記載の抗原結合タンパク質。
【0305】
69.第66〜68項のいずれかに記載の抗原結合タンパク質を含む、薬学的組成物。
【実施例】
【0306】
実施例1−DKK1発現は、スクレロスチン抗体処置によって誘導される
異なる動物モデルの骨におけるDKK1の発現に対する抗スクレロスチン抗体処置の効果を評価した。予想外なことに、動物モデルのすべてにおいて、DKK1発現の有意な増加が、抗スクレロスチン抗体で処置した動物の全骨抽出物に検出された。この増加した発現は、正常動物、閉経後骨粗鬆症の動物モデル、および骨折治癒の動物モデルから抽出した骨に観察された。抗スクレロスチン抗体処置後の観察されたDKK1発現の増加は、試験した3つすべての種(マウス、ラット、および霊長類)で発生した。
【0307】
例示的な研究の詳細は、次の通りである:13歳の正常な雄性カニクイザルを、4.5または22.5mg/kgのAb−5(抗スクレロスチン抗体(SAB))で2週間に1回、合計で8週間処置した。研究の最後に、動物を人道的に安楽死させ、骨を含む組織を摘出した。RNAを骨から単離し、DKK1 RNA発現を、製造業者の説明書に従ってQuantiGene分枝DNA(bDNA)アッセイ(Affymetrix)、ならびにカニクイザルDKK1 mRNAおよびハウスキーピング遺伝子に特異的なプローブセット使用して判定した。
図8に図示されるデータは、低用量(4.5mg/kg)での上腕中央幹骨におけるDKK1の発現の増加、および最も高い用量(22.5mg/kg)でのDKK1 mRNAの有意な誘導を示す。増加したDKK1発現はまた、腰椎でも観察された。データは、ハウスキーピング(HKG)遺伝子HPRTと比較した、正規化された発現として提示する(+/−標準偏差)。
図8のグラフの上の括弧は、p<0.05(ANOVA)を表す。
【0308】
本明細書に提示されるデータは、抗スクレロスチン抗体処置が、疾患の発生から独立して、DKK1発現を誘導し、ヒトを含むすべての種に適用できる可能性が高いことを示す。DKK1の誘導は、抗スクレロスチン抗体の活性を制限し得、スクレロスチンおよびDKK1の両方を阻害する治療薬が、より良好な活性を示すことを示唆する。さらに、DKK1発現の増加は、スクレロスチン抗体処置のバイオマーカーとして機能し得る。
【0309】
実施例2−リンカーボディの生成
以下の実施例は、(a)抗スクレロスチン抗体および(b)抗DKK1抗体の軽鎖および重鎖が、G4Sリンカーによって連結されて、スクレロスチンに結合する一本のポリペプチド鎖およびDKK1に結合する一本のポリペプチド鎖(「リンカーボディ」)を形成する、ヘテロ二量体抗体(IgG1骨格を有する)の生成について記載する。DKK1およびスクレロスチン標的に対するポリペプチド鎖または半分の抗体を、次いで、CH3ドメインにおける荷電対置換を通じて二特異性抗体として構築する(すなわち、一方の重鎖がK392DおよびK409D置換を含有し、他方がE356KおよびD399K置換を含有した)。荷電対置換は、本明細書に記載される静電的操行機序を利用し、それによって、ヘテロ二量体形成(DKK1 Ab−スクレロスチンAb)が、CH3領域の負に荷電した残基と正に荷電した残基とが引き合うことによって促進され、ホモ二量体(2つのDKK1 Abアームまたは2つのアクレロスチン(aclerostin)Abアーム)は、CH3−CH3接合部の対応する領域において同じ電荷を有するアミノ酸間の反発により阻止される。荷電対置換を、凝集のレベルを低減させるためにCH1−CLドメイン接合部にも導入した(重鎖ではS183K/Eおよび軽鎖ではS176E/K)。さらに、リンカーボディのいくつかはまた、重鎖−軽鎖接合部のさらなる安定化のために、VL−VH接合部に組み換えドメイン間ジスルフィド結合を有した。これは、重鎖内のG44(Kabat)および軽鎖内のG100(Kabat)を、システイン残基に置換することによって達成した。
【0310】
上述の方法は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって判定される高レベルの凝集をもたらした。凝集のレベルを低減させるために、G4Sリンカーを、重鎖および軽鎖定常領域(CH1−CL1)内の荷電対置換を有する軽鎖と重鎖との間に付加するか、または置き換えるかのいずれかを行った。凝集レベルが、荷電対置換をリンカーボディ構築物に付加した結果として低減されるであろうことが企図された。
【0311】
CH1−CL接合部における荷電対置換と組み合わせたリンカーボディ設計は、依然として、いくつかの構築物において望まれない凝集問題をもたらした。
【0312】
実施例3−リンカーを有さないヘテロ二量体抗体の生成
以下の実施例は、リンカーを有さないが、代わりに、親抗体のCH/CL接合部およびCH3/CH3接合部の両方に荷電対置換を含む、ヘテロ二量体抗体の生成について記載する。結果として得られるCH/CLおよびCH3/CH3接合部に荷電置換を含むヘテロ二量体抗体は、本明細書において、ヘテロ二量体抗体バージョン1またはヘテロIg−v1と称される。
【0313】
簡単には、次の置換を、DKK1抗体6.37.5に導入した:CH3ドメインにおけるK392D(EU)およびK409D(EU)置換、CH1ドメインにおけるS183K(EU)置換、ならびにCLドメインにおけるS176E(EU)置換。次の置換を、スクレロスチン抗体27H6に導入した:CH3ドメインにおけるE356K(EU)およびD399K(EU)置換、CH1ドメインにおけるS183E(EU)置換、ならびにCLドメインにおけるS176K(EU)置換。IgG1足場を、ヘテロ二量体バージョン1設計に使用した。
【0314】
2つの異なる抗体に対して種々の入力DNA比を使用して、IgG産生を最大化し、凝集レベルを最小化した(高分子量種)。両方の抗体に等量のDNAを使用することにより、最低限の凝集レベルをもたらした。
【0315】
ヘテロIg二特異性抗体形成を評価するために、材料を精製し、質量分析に供した。NR質量分析により、抗体生成物が、2つの異なる軽鎖および2つの異なる重鎖を有したことが確認された。特定の軽鎖−重鎖結合を確認するために、Fabフラグメントを、タンパク質分解(Pierce Fab Micro Preparation Kit)により生成した。質量分析は、一方がDKK1抗体重鎖および軽鎖の対合に対応し、他方がスクレロスチン抗体のものに対応する、2つの種のみを示した。質量分析により、スクレロスチン/DKK1ヘテロ二量体抗体の両方のアームにおいて、正しい対合の軽鎖および重鎖を有するヘテロ二量体抗体の存在を確認した。
【0316】
質量分析は、精製された試料中に単一種の抗体の存在を示し、観察された質量は、計算されたヘテロ二量体抗体の質量と一致した。結果として得られたヘテロ二量体抗体は、2つの軽鎖および2つの重鎖を有し、このヘテロ二量体抗体の抗スクレロスチン部分の重鎖が、CH1ドメインにS183E(EU)置換を有し、抗スクレロスチン部分の軽鎖が、CLドメインにS176K(EU)置換を有した。ヘテロ二量体抗体の抗DKK1部分の重鎖は、CH1ドメインにS183K(EU)置換を有し、DKK1部分の軽鎖はCLドメインにS176E(EU)置換を有した。ヘテロ二量体抗体の抗スクレロスチン部分のCH3ドメインは、E356K(EU)およびD399K(EU)置換を有し、抗DKK1部分のCH3ドメインは、K392D(EU)およびK409D(EU)に置換を有した。
【0317】
生成されたヘテロ二量体抗体がスクレロスチンおよび/またはDKK1の存在下で正準的Wntシグナル伝達を活性化する能力を、細胞が分化して自己分泌様式でWntシグナル伝達を活性化する因子を分泌するように誘導される、独立した骨芽細胞Wnt活性化アッセイにおいて評価した。このアッセイにおいて、MC3T3−E1細胞に、Super−TOPFlashレポーター構築物をトランスフェクトし、安定な細胞株を選択し、評価した。MC3T3E1/TetONWnt1/ルシフェラーゼは、レンチウイルス形質導入を使用して、T細胞因子応答ルシフェラーゼ構築物、Tetリプレッサー構築物、およびドキシサイクリン誘導性Wnt−1構築物で組み換え操作を行ったマウス骨芽細胞株である。ドキシサイクリンの存在下で、MC3T3E1/TetONWnt1/Luc細胞は、Wnt−1を発現し、Wnt−1と細胞表面LRP5/6およびFrizzled受容体との結合を介してシグナル伝達を誘導し、ルシフェラーゼの発現をもたらす。MC3T3E1/TetONWnt1/Luc#5細胞を、スクレロスチンおよび/またはDKK1の存在下でインキュベートすると、Wntシグナル伝達は、Lrp5/6βプロペラ1モチーフを介してこれらのタンパク質によって阻害される。バイオアッセイは、固定濃度のスクレロスチンおよび/またはDKK1で処置したヘテロ二量体抗体のおよび親抗体の細胞に基づくレポーターアッセイにおいて、用量依存性の刺激性効果を測定する。
【0318】
クローンC10は、精製したスクレロスチンまたはDKK1タンパク質のいずれかとともにインキュベートした後、Wnt経路活性化の阻害に起因して、レポーター活性の減少を示した。細胞を、増殖培地(10%FBS、1×Pen−Strep−Glu、および1.0ug/mlのピューロマイシンを含有するα−MEM培地)において培養した。細胞が80%コンフルエンスに達したときに、培地を、4日間、分化培地「DM」(増殖培地、50ug/mlアスコルビン酸および10mM β−グリセロリン酸)に切り替えた。分化の後に、この細胞株は、自己分泌様式で正準的Wnt活性化を引き起こす内在性タンパク質(複数可)を産生した。培地を吸引し、種々の濃度の一特異性抗体またはヘテロ二量体抗体(37℃で45〜60分間DKK1および/またはスクレロスチンで4時間事前インキュベートした)を含有する100μlの新たなDMを、24時間、ウェルに添加した。ルシフェラーゼ活性を、製造業者の指示書(Promega’s Luciferase Assay System、カタログ番号:E4530)に従って測定した。試験した種々のラットおよびヒト二特異性抗体は、スクレロスチンおよびDKK1の両方の存在下で、骨芽細胞の正準的Wnt経路を用量依存的に活性化することができ、さらに、抗体は、両方のか要請タンパク質のWnt阻害性機能を同時に中和することができることを示した。
【0319】
結果は、この実施例に記載される方法に従って産生されたヘテロ二量体抗体およびリンカーボディ(これは、陽性対照として使用した)の両方が、非常に類似する活性を有したことを示し、さらに、軽鎖および重鎖の正しい対合が確認された。
【0320】
実施例4−CH3ドメイン(複数可)、CH/CLドメイン(複数可)、およびVH/VLドメイン(複数可)に置換を有するヘテロ二量体抗体の生成。
以下の実施例は、CH3、CH/CL、およびVH/VLドメインのそれぞれに、軽鎖および重鎖の正しい対合にさらに有利となる1つ以上の置換を有する、ヘテロ二量体抗体の生成について記載する。ヘテロ二量体抗体は、スクレロスチン部分についてはAb−5およびAb−23、ならびにDKK1部分については抗体6.147および6.37.5のいずれかに基づく。ADCCを防止し、エフェクター機能を阻止するために、IgG2クラスの定常ドメインが、本明細書に使用される。結果として得られるVH/VL、CH/CL、およびCH3/CH3の接合部に荷電置換を含むヘテロ二量体抗体は、本明細書において、ヘテロ二量体抗体バージョン2またはヘテロIg−v2と称される。
【0321】
1つの細胞内で2つの異なる抗体を共発現させる場合、4つの異なる鎖(HC1、LC1、HC2、LC2)が、転写され、翻訳される。HCは、ホモ二量体(HC1−HC1)またはヘテロ二量体(HC1−HC2)のいずれかを形成し得、LCは、無作為に2つの異なるHCと会合し得る。すべての場合において、10個の異なる組み合わせが生じ得る[Paul Carter J Immunological Methods 248(2001)7−15]。所望されない重鎖ホモ二量体は、C
H3領域を、ヘテロ二量体のみを形成するように遺伝子操作することによって最小化され得る。この実施例は、所望されないLC/HC対合が、LC/HCの接合部を、LCとそれらの同種HCとの正しい対合を強化するように操作することによって排除され得ることを示す。静電的操行機序を適用して、LC/HCの対合および会合を指示した;逆の極性は所望される複合体サブユニットを引き寄せ、一方で同じ極性のホモ二量体サブユニットは反発する。
【0322】
逆の極性を有する荷電残基、例えばAspまたはLysによる置き換えのための重鎖および軽鎖の接合部の残基対を選択する際に、LCとその同種HCの正しい対合を制御するために、いくつかの規準を適用した:1)すべての位置が、VL/VHおよびCL/C
H1接合部と近接近して位置付けられる、2)すべての位置が、包埋され、異なる抗体ファミリーのすべてでなくともほとんどの間で、良好に保存される、3)すべての位置が、発現および抗原結合に最小限の影響を有する、ならびに4)荷電残基の導入が、抗体の折り畳みおよび構築のプロセス中、シャペロンBiPとC
H1領域との結合を妨害しない。
【0323】
組み換え操作に選択されたVL/VHおよびCκ/C
H1接合部の残基を、表2に列挙する。可変領域において、VHにおける優勢なAHo46位(Kabat Q39位)、AHo51位(Kabat G44位)、およびAHo141位(Kabat Q105位)は、それぞれ、VLにおけるAHo46位(Kabat Q38位)、AHo141位(Kabat Q100位)、およびAHo51位(Kabat A43位)と近接近している。定常領域では、C
H1領域におけるA141(EU)、P171(EU)、およびS183(EU)は、それぞれ、Ckにおいて残基F116(EU)、S162(EU)、およびS176(EU)と接触するが、C
H1のK147(EU)は、Ck領域のQ124(EU)、S131(EU)、またはT180(EU)のいずれかと相互作用し得る。
【0324】
表2:VH/VLおよびCH1/Cκ接合部に位置するアミノ酸残基を、荷電対残基の導入に選択した。VHおよびVLの生殖細胞系残基を、異なる番号付けシステムによって番号付けし、太字の残基が、優勢なものである。抗体の大半のVH/VLにおける接触残基は、同じ行に配置する。Cκ領域の残基と接触するヒトIgG1 CH1ドメインの残基もまた、同じ行太字で示し、同じ行に配置する。FW:フレームワーク。
【0325】
Wnt1駆動型によるヘテロ二量体抗体の骨芽細胞レポーター分析は、DKK1およびスクレロスチンの両方の存在下で、正準的Wntシグナル伝達の強力な活性化を示したが、一方で対照DKK1抗体(6.37.5、6.147)および対照スクレロスチン抗体(Ab−23)は、部分的に阻害を逆転させただけであった。
【0326】
遺伝子操作されたヘテロ二量体抗体は、独立した細胞に基づくアッセイにおいて見られるように、DKK1を中和し、組み換えWnt3aに誘導されるTCF/LEFルシフェラーゼ活性を遮断することができた。このアッセイにおいて、Wntシグナル伝達を、4℃で30分間、100ng/mlの組み換えWnt3aタンパク質(R&D Systems)を用いて、MC3T3 E1/STF−ルシフェラーゼ安定細胞株において誘導した。細胞を、次いで、対照PBSまたは426.7nMで開始するヘテロ二量体抗体の2倍連続希釈物と事前混合した、0.15ug/mlのヒトDKK1タンパク質で処置した。ルシフェラーゼシグナルを、24時間後に上述のように判定し、データを、PRISMソフトウェアを使用してプロットした。結果は、スクレロスチンのループ2領域(すなわち、配列番号1のアミノ酸86〜111)およびDKK1の両方を標的とする可変領域を有するヘテロ二量体抗体が、スクレロスチンおよびDKK1を中和すること、ならびにWnt3aによって駆動されるレポーター活性の増加が可能であったことを示した。
【0327】
実施例5−親抗体およびヘテロ二量体抗体の機能的分析
スクレロスチンのループ2領域(Ab23、Ab5、20C3)および非ループ2エピトープ(27H6、Ab13、Ab−D、Ab−3)を対照とする抗スクレロスチン親抗体の機能的分析は、各抗体群に固有の作用機序を明らかにした。競合的αスクリーニング結合アッセイを行って、親スクレロスチン抗体の濃度を増加させることが、his標的化LRP6とビオチン標識ヒトスクレロスチンとの間の相互作用に与える影響を測定した。この分析は、スクレロスチンのループ2領域に結合した抗スクレロスチン抗体が、スクレロスチンとLRP6との間の相互作用を強力に阻害した場合、スクレロスチンの非ループ2領域を対象とした抗体が、これらのタンパク質間の相互作用を増加させたことを明らかにした。さらに、遺伝子操作したヘテロ二量体抗体は、非ループ2スクレロスチンエピトープ(すなわち、27H6−6.37.5、6.147−27H6)を対象とするヘテロ二量体抗体が、スクレロスチンのループ2領域を対象とするヘテロ二量体抗体とは異なり、LRP6とスクレロスチンの結合の増加を促進したという類似の現象を示した。すべてのヘテロ二量体抗体は、LRP6への結合に関してヒトDKK1と競合することがわかった。
【0328】
正準的Wnt経路活性化に対するこの現象の影響を理解するために、親抗体およびヘテロ二量体抗体を、骨芽細胞および293細胞を使用して、TCF−レポーター細胞に基づくアッセイにおいて研究した。細胞を、LRP6βプロペラ1モチーフに結合するWnt1またはLRP6βプロペラ3モチーフに結合するWnt3aのいずれかで刺激した。正準的Wnt経路活性化を、ルシフェラーゼ活性の増加によって測定した。このアッセイにおいて、スクレロスチンおよび/またはDKK1を添加して、レポーター活性を阻害し、異なる抗スクレロスチンまたは抗DKK1抗体の中和活性を研究した。スクレロスチンは、TCFレポーターのWnt3a駆動型活性化を阻害したが、抗スクレロスチン非ループ2領域結合抗体(27H6)はWnt3aシグナル伝達を増強させたが、ループ2結合抗体(Ab5およびAb23)は増強しなかった。類似のWnt3a増強の結果が、スクレロスチンの非ループ2領域に対する抗スクレロスチン可変領域を含有するヘテロ二量体抗体で得られた。対照的に、Wnt1活性は、ルシフェラーゼ活性の増加(未処置対照のものを上回らなかった)によって示される、いずれかの抗体によるスクレロスチン阻害によって回復した。これらの効果は、ヘテスクレロスチンの不在下において、スクレロスチンの非ループ2領域を対象とするヘテロ二量体抗体では増強が観察されなかったため、スクレロスチンの存在に依存しなかった。他のヘテロ二量体抗体の類似の分析は、スクレロスチンのループ2に結合した抗スクレロスチン部分を含むヘテロ二量体抗体はWnt3aを増強できなかったが、一方でスクレロスチンの非ループ2領域に結合した可変領域を含有するヘテロ二量体抗体が、Wnt3aシグナル伝達を増強させたことを示した。加えて、スクレロスチンの非ループ2領域に結合した可変領域を含むヘテロ二量体抗体は、DKK1の存在下で、Wnt3aシグナル伝達を増強させたが、一方で一特異的非ループ2ヘテロ二量体抗体の増強は、DKK1の存在下で阻害される。DKK1のC末端領域がLRP6のβプロペラ3モチーフに結合し、Wnt3aクラスタンパク質とこの領域との相互作用を遮断することを示す最近の報告と一致して、すべての正準的Wnt活性化がDKK1単独の存在下で阻害された(Cheng et al,Nature Structural Mol Biol,2011、Anh Dev Cell 2011)。これらのデータは、スクレロスチンを介してβプロペラドメイン1に結合した抗体−リガンド複合体が、Wnt3a/βプロペラ3活性を増加させるような様式で、受容体の構成に影響を及ぼし得ることを示唆する。抗LRP6βプロペラ1結合抗体による類似のWnt3a依存性増強現象が、以前に報告されており、これらの抗体は、癌細胞株における分裂促進性および腫瘍異種移植片の成長を増加させた(Ettenberg et al,PNAS 2010)。
【0329】
非ループ2結合抗スクレロスチン抗体によるWnt3a増強もまた、非骨芽細胞系細胞において観察された。この結果は、Wnt3クラスタンパク質またはβプロペラ3結合タンパク質が存在し、DKK1が不在であることを前提として、スクレロスチン/非ループ2結合抗体複合体が、LRP6を発現する任意の細胞型においてWntシグナル伝達を活性化し得る可能性を向上させた。ヘテロ二量体抗体の場合、増強は、DKK1の存在下で生じ得る。これらの観察に基づき、かつ非骨芽細胞系細胞における分裂促進性の危険性を軽減させるために、Wnt1−骨芽細胞TCFレポーターアッセイにおいてレポーター活性を強力に増加させることが示された、ループ2領域を対象とする抗スクレロスチン可変領域を有する新規なヘテロ二量体抗体を、設計した。
【0330】
加えて、スクレロスチンの非ループ2領域に結合する親抗スクレロスチン抗体は、スクレロスチンと、その同種LRP受容体との相互作用を破壊せず、LRP6相互作用またはLRP4相互作用のいずれかを保持した。スクレロスチンのループ2領域に対する親スクレロスチン抗体およびヘテロ二量体抗体が、LRP6とスクレロスチンとの間の相互作用を阻害したが、それらは、共免疫沈降実験において、スクレロスチンとLRP4との間の相互作用は阻害できなかった。対照的に、抗非ループ2可変ドメインを含有する親抗体またはヘテロ二量体抗体は、すべてが、LRP4とスクレロスチンとの間の結合を減少させた(19D11、27H6、L8、およびN22)。新規なヘテロ二量体抗体を、IgG2骨格で設計した。
【0331】
実施例6−ヘテロ二量体抗体は、インビボで活性を示した。
以下の実施例は、実施例3および4に記載される方法に従って生成されたヘテロ二量体抗体が、低骨ミネラル密度の動物モデルにおいて、骨ミネラル密度を増加させたことを示す。
【0332】
雄性の10週齢のB6D2F1マウスを、この研究に使用した。研究の開始時に、動物を、インビボDXAによって、体重および大腿骨−脛骨領域における骨ミネラル密度(BMD)の両方でバランスがとれた5つの群(n=9/群)に分けた。マウスに、ビヒクル(プロリン)もしくはスクレロスチンAb(Scl−Ab)、またはDKK1−AbもしくはScl−AbとDKK1−Abとの組み合わせ(組み合わせ)、またはヘテロ二量体抗体(ヘテロIg)のいずれかを、1週間に2回、3週間注射した。抗体は、12.5mg/mlで投与した。動物を、週1回インビボDXAによってスキャニングして、腰椎および大腿骨−脛骨領域における薬物処置の骨同化活性を監視した。マウスは、次いで、研究の最後に安楽死させた。大腿骨を、μCTおよび骨強度分析によるエキソビボ密度測定のために採取した。
【0333】
図1は、次のヘテロ二量体抗体のインビボ研究デザインを図示する:(1)Ab23−Ab6.147 v2、(2)Ab5−Ab6.37.5 v1、および(3)Ab5−Ab6.147 v1。この研究において、Ab−5を単剤療法対照として使用し、DVD Ig 6.147−Ab23(国際公開第WO 2012/118903号に記載される)を二特異性抗体対照として使用する。DVD Igは、単剤療法対照およびヘテロ二量体抗体よりも高い分子量のため、わずかに高く(17mg/kg)投薬した。ヘテロ二量体抗体の形式は、各標的に対して一価であるが、一方でDVDは、各標的に対して二価であることに留意しなければならない。したがって、容量モル濃度に関しては、投薬レベルは、DVDとヘテロ二量体抗体(ヘテロIg)で同等であるが、結合部位(パラトープ)の数に関しては異なる。
【0334】
図2は、上述の一特異性Ig(Ab5)、二特異性DVD(6.147−Ab23)、ならびにヘテロ二量体抗体1、2、および3の間で、3週目のマウスにおける腰椎および脚における骨量密度(BMD)増加の割合を比較する。
【0335】
図2に示されるデータは、ヘテロ二量体抗体Ab5−6.37.5 v1(ヘテロ二量体抗体2−「ヘテロIg2」)および785−6.147 v1(ヘテロ二量体抗体3−「ヘテロIg3」)が、骨量密度を増加させたことをはっきりと示す。しかしながら、可変ドメイン接合部(VH/VL)に過剰な荷電対置換を有するヘテロ二量体抗体Ab23−6.147 v2(ヘテロ二量体抗体1−「ヘテロIg1」)は、BMDを増加させなかった。可変ドメインに追加の荷電対置換を付加することが、軽鎖および重鎖の特異的な対合(例えば、Ab5軽鎖とAb5重鎖との対合)を達成することを助けるであろうことが予測された。しかしながら、この場合、可変ドメインにおける追加の荷電対置換が、ヘテロ二量体抗体の安定性の低下をもたらしたと見られる。このPD研究の後のPK研究は、実際に、ヘテロ二量体抗体Ab23−6.147のDKK1アームが、低いインビボ安定性を有することを示した。
【0336】
実施例7−薬物動態データ
血清試料中のヘテロ二量体抗体を捕捉および検出するために、4つの異なる薬物動態アッセイ(すなわち、スクレロスチン/DKK1アッセイ、スクレロスチン/Fcアッセイ、DKK1/スクレロスチンアッセイ、およびFC/FC架橋ELISAアッセイ)を行った。
【0337】
スクレロスチン/DKK1アッセイ:簡単には、ハーフエリアプレートを、1×PBS中1μg/mlのヒトスクレロスチンでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、少なくとも1時間、I−Block緩衝液でブロッキングした。標準物(Std)および品質対照試料(QC)を、ラット血清試料中に調製した。標準物、QC、および血清試料を、緩衝液(1×PBS、1M NaCl、0.5%tween 20、および10mg/ml BSA)中、1:30に希釈した。希釈したStd、QC、および試料を、次いで、ELISAプレートに充填し、90分間インキュベートした。次いで、ELISAプレートを洗浄し、緩衝液中200ng/mlのビオチニル化ヒトDKK1を添加し、90分間インキュベートした。プレートを洗浄し、200ng/mlのストレプトアビジン−HRP共役体を添加し、30分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、TMB基質を添加した。15分後に、1Mの硫酸を添加することにより反応を停止させた。プレートを、次いで、SpectraMaxプレートリーダーによって読み取った。
【0338】
スクレロスチン/FCアッセイ:ハーフエリアプレートを、1×PBS中1μg/mlのヒトスクレロスチンでコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、少なくとも1時間、I−Block緩衝液でブロッキングした。標準物(Std)および品質対照試料(QC)を、ラット血清試料中に調製した。標準物、QC、および血清試料を、緩衝液(1×PBS、1M NaCl、0.5%tween 20、および10mg/ml BSA)中、1:30に希釈した。希釈したStd、QC、および試料を、次いで、ELISAプレートに充填し、90分間インキュベートした。次いで、ELISAプレートを洗浄し、HRPを共役した抗ヒトFc抗体、Mab 1.35.1を10ng/ml添加し、90分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、TMB基質を添加した。15分後に、1Mの硫酸を添加することにより反応を停止させた。プレートを、次いで、SpectraMaxプレートリーダーによって読み取った。
【0339】
DKK1/FCアッセイ:ハーフエリアプレートを、1×PBS中1μg/mlのヒトDKK1でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、少なくとも1時間、I−Block緩衝液でブロッキングした。標準物(Std)および品質対照試料(QC)を、ラット血清試料中に調製した。標準物、QC、および血清試料を、緩衝液(1×PBS、1M NaCl、0.5%tween 20、および10mg/ml BSA)中、1:30に希釈した。希釈したStd、QC、および試料を、次いで、ELISAプレートに充填し、90分間インキュベートした。次いで、ELISAプレートを洗浄し、HRPを共役した抗hu Fc抗体、Mab 1.35.1を10ng/ml添加し、90分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、TMB基質を添加した。15分後に、1Mの硫酸を添加することにより反応を停止させた。プレートを、次いで、SpectraMaxプレートリーダーによって読み取った。
【0340】
FC/FC架橋ELISAアッセイ:簡単には、ハーフエリアプレートを、1×PBS中0.2μg/mlの抗ヒトFc抗体、Mab 1.35.1でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。プレートを、少なくとも1時間、I−Block緩衝液でブロッキングした。標準物(Std)および品質対照試料(QC)を、ラット血清試料中に調製した。標準物、QC、および血清試料を、緩衝液(1×PBS、1M NaCl、0.5%tween 20、および10mg/ml BSA)中、1:30に希釈した。次いで、希釈したStd、QC、および試料を、ELISAプレートに充填し、90分間インキュベートした。次いで、ELISAプレートを洗浄し、HRPを共役した抗ヒトFc抗体、Mab 1.35.1を50ng/ml添加し、30分間インキュベートした。プレートを洗浄した後、TMB基質を添加した。10分後に、1Mの硫酸を添加することにより反応を停止させた。プレートを、次いで、SpectraMaxプレートリーダーによって読み取った。
【0341】
図3は、試験した4つのスクレロスチン−DKK1ヘテロ二量体抗体(すなわち、Ab23−6.37.5 v1、Ab5−6.37.5 v1、Ab5−6.147 v2、およびAb23−6.147 v2)の薬物動態(PK)プロファイルを示す。結果は、スクレロスチン/DKK1およびDKK1/Fcアッセイに基づくPKプロファイルがスクレロスチン/FcおよびFc/Fcアッセイのものから外れたため、VH/VLドメインに荷電アミノ酸置換を含むヘテロ二量体抗体が安定性に悪影響を及ぼしたことを示した。
【0342】
実施例8:ヘテロ二量体抗体の産生の際、軽鎖とその同種重鎖との正しい対合を静電的操行機序により制御する
1つの細胞内で2つの異なる抗体を共発現させる場合、4つの異なる鎖(HC1、LC、HC2、LC2)が、転写され、翻訳される。HCは、ホモ二量体またはヘテロ二量体のいずれかを形成し得、LCは、無作為に2つの異なるHCと結合し得る。10個の異なる組み合わせが生じ得る[Paul Carter J Immunological Methods 248(2001)7−15]。重鎖ホモ二量体に由来する所望されない側鎖生成物は、CH3領域を、ヘテロ二量体のみを形成するように遺伝子操作することによって最小化され得る。この実施例は、所望されないLC/HC対合が、LC/HCの接合部を、LCとそれらの同種HCとの正しい対合を強化するように操作することによって排除され得ることを示す。逆の極性が引き合い、一方で同じ極性は反発するため、静電的奏効機序を適用して、LC/HCの対合および構築を指示した。
【0343】
逆の極性を有する荷電残基、例えばAspまたはLysによって置き換えられた重鎖および軽鎖の接合部の残基対を選択する際に、LCとその同種HCとの正しい対合を制御するために、いくつかの規準を適用した:1)すべての位置が、VL/VHおよびCL/CH1接合部と近接近して位置付けられる、2)すべての位置が、包埋され、異なる抗体ファミリーのすべてでなくともほとんどの間で、良好に保存される、3)すべての位置が、発現および抗原結合に最小限の影響を有する、ならびに4)荷電残基の導入が、抗体の折り畳みおよび構築のプロセス中、シャペロンBiPとCH1領域との結合を妨害しない。
【0344】
Her2/EGFRヘテロ二量体抗体を遺伝子操作するために選択されたVL/VHおよびCκ/CH1接合部の残基を、表2に列挙する。可変領域において、VH内のQ39(Kabat番号付け、AHo46位)、G44(AHo51位)、およびQ105(AHo141位)は、それぞれ、VL内のQ38(Kabat番号付け、AHo46位)、Q100(AHo141位)、およびA43(AHo51位)に近接近である。定常領域では、CH1領域のA141(Eu番号付け)、P171、およびS183は、それぞれ、Ckの残基F116(Eu番号付け)、S162、およびS176と接触するが、CH1のK147(Eu番号付け)は、Ck領域のQ124、S131、またはT180(Eu番号付け)のいずれかと相互作用し得る。
【0345】
概念実証のヘテロ二量体IgGを、抗EGFR抗体および抗HER2抗体由来のv遺伝子を使用して構築した。
図4は、ヘテロ二量体抗体変異体を作製するための異なる構造を示す。1つのFc鎖は、CH2ドメインにADCC強化置換S298T+A330M+K334Vを有し、CH3ドメインにヘテロ二量体化置換K392D+K409Dを有するが、一方で他のFc鎖は、CH3ドメイン内のヘテロ二量体化置換E356K+D399Kとともに、より低いヒンジ領域およびCH2ドメインにADCC強化置換L234Y+K290Y+Y296Wを有する。抗体は、それらのFab領域を有する腫瘍細胞に特異的に結合する場合に、強力なADCC殺滅を誘導するヘテロ二量体を形成しやすい。
【0346】
表2:VH/VLおよびCH1/Cκ接合部に位置するアミノ酸残基を、荷電対残基の導入に選択した。VHおよびVLの生殖細胞系残基を、異なる番号付けシステムによって番号付けし、太字の残基が、優勢なものである。抗体の大半のVH/VLにおける接触残基は、同じ行に配置する。Cκ領域の残基と接触するヒトIgG1 CH1ドメインの残基もまた、同じ行太字で示し、同じ行に配置する。FW:フレームワーク。
【0347】
【0348】
概念実証研究では、Fn3タグ(12KDa)を、抗EGFr Ab2 HCのN末端に挿入し、Fn3−Flag−His6タグ(14KDa)を、抗EGFr Ab2 LCのC末端にインフレームで融合させたため、LC/HCの4つの異なる組み合わせを、異なる寸法によりSDS−PAGEゲルで区別することができる:望ましいLC1/HC1::LC2−Fn3−FH/Fn3−HC2または望ましくないLC2−Fn3−FH/HC1::LC1/Fn3−HC2は176KDa、望ましくないLC1/HC1::LC1/Fn3−HC2は162KDa、および望ましくないLC2−Fn3−FH/HC1::LC2−Fn3−FH/Fn3−HC2は190KDa。176KDaの生成物の組成物を、続いて、部分的還元を伴う質量分析によって判定した。二重抗原結合プレートELISAを利用して、好ましいLC/HC対合を有する望ましい変異体をスクリーニングした。
【0349】
異なる変異体(表3)を調べて、最も高い二重抗原結合および正しいLC/HC対合を有する最良の組み合わせを発見した。いずれの結合シグナルも生成しなかった一特異的抗Her2 Ab1(C01)または抗EGFr Ab2(C07)、および無作為なLC/HC対合で4つの通常の鎖から作製された内部対照C11と比較すると、変異体1C02、1C04、2A05、2B04、2B05、および5D03は、用量依存様式で二重抗原(Her2およびEGFr細胞外ドメイン)への改善された結合を示した。変異体2B05および5D03は、曲線が最も左にシフトしたため、もっとも強い結合を有した。これらの変異体はまた、SDS−PAGEゲル中、全長ヘテロ二量体IgG1の優勢な形成を有した。発現試験は、調節因子XBP1の添加は、ヘテロ二量体抗体変異体の発現レベルをわずかに上昇させたが、一方で別の調節因子ERP23は、発現をほとんど上昇させなかった。
【0350】
表3:静電的操行機序により作製された変異体。Ab1のHCが、CH2ドメインにS298T+A330M+K334Vを有し、CH3ドメインにK392D+K409Dを有し、Ab2のHCが、より低いヒンジおよびCH2ドメインにL234Y+K209Y+Y296Wを有し、CH3ドメインにE356K+D399Kを有する、ヘテロ二量体抗体IgG1としての抗Her2 Ab1および抗EGFr Ab2のVH/VLおよびCH1/CL接合部におけるアミノ酸変化。Fn3タグを、抗EGFr Ab2 HCのN末端に挿入し、Fn3−Flag−His6タグを、抗EGFr Ab2 LCのC末端にインフレームで融合させた。可変領域(VHまたはVL)内の残基は、Kabat番号付けシステムによって番号付けし、一方で定常領域(CH1またはCL)の残基は、Eu番号付けシステムにより番号付けする。
【0351】
HEK 2936E細胞に一過性トランスフェクションを行うことによって変異体1C02、1C04、2A05、2B05、および5D03を作製し、タンパク質Aカラムを用いて精製し、次いで、Superdex 200サイズ排除カラムを用いて研磨した。900mLの上清、分析SECにより約100%の純度を有する1.2〜6.8mgの最終生成物が、得られた。非還元SDA−PAGEゲル(
図4、左)において、すべての変異体は、Fn3タグが抗EGFr Ab2 HCのN末端に挿入され、Fn3−Flag−His6タグが抗EGFr Ab2 LCのC末端にインフレームで融合された、非常に優勢な全長IgG1を有する。変異体2B05および5D03が、極めて低いレベルの小さなバンドを有し、最も純粋である。還元条件下では、4つの異なる鎖が、それらの異なる寸法のため分離した(61KDaでFn3−HC2、50KDaでHC1、36KDaでLC2−Fn3−Flag−His6、23KDaでLC1)。4つの異なる鎖は、構築された全長IgG1抗体中、1:1:1:1の比率であることが示された。構成要素および正しいLC/HC対合が、質量分析によって確認された。
【0352】
実施例9−Her2/EGFRヘテロ二量体抗体は、親抗体の遮断機能を維持した
この実施例は、実施例7に記載されるヘテロ二量体抗体が、それらが作製された個々の抗体の遮断機能を維持することを示す。さらに、ヘテロ二量体抗体は、標的発現細胞に対するADCCを媒介することができた。
【0353】
二重抗原結合に加えて、変異体2B05および5D03を、細胞に基づくアッセイによってそれらの機能性を試験するために選択した。CHO細胞株に、ヒトEGFrを安定にトランスフェクトした。リガンドEGFを、培養培地に添加し、CHO細胞表面上の受容体EGFrを活性化およびリン酸化させ、MAPK、ERK1/2、PI3K、JAK/STAT、およびPKCといった下流シグナル経路を作動させた。2B05および5D03が由来する抗EGFr抗体は、IC50=2.7nMで、リガンドEGFと受容体EGFrとの結合を遮断し、受容体EGFrのリン酸化を阻害した。抗EGFr抗体および抗Her2抗体の組み合わせは、IC50=3.2nMで同様に機能した。抗EGFr×Her2ヘテロ二量体抗体変異体2B05および5D03はいずれも、それぞれ、IC50=4.2nMおよびIC50=4.6nMで、受容体EGFrのリン酸化が同程度であり、ヘテロ二量体抗体変異体2B05および5D03の抗EGFr Fabアームが、野生型抗EGFr抗体と同程度に機能していたことを示す。
【0354】
BT474は、ヒト乳房腫瘍細胞株である。BT474細胞は、その表面上にHer2(Erb2)およびHer3(Erb3)を発現する。抗Her2抗体は、Her2のドメインIVに結合し、受容体の内在化および分解を引き起こし得る[Wehrman TS,et al.(2006)PNAS 103(50):19063−19068およびBuschenfelde CM et al(2002)Cancer Res 62(8):2244−2247]。この抗体は、したがって、Raf/MEK 1および2/ERK 1および2、ならびにPI3K/Akt経路等、下流シグナル伝達経路を遮断する[Yakes FM,et al.(2002)Cancer Res 62(14):4132−4141およびScotti ML et al(2008)Breast Cancer Res Treat 111(2):241−50]。抗Her2抗体は、BT474細胞において、Her2リン酸化を減少させないが、基底Her3リン酸化を阻害する。リガンドをBT474細胞の培養培地に添加しない場合、Her2抗体は、単独で、IC50=2.8nMでHer3のリン酸化を遮断した。抗EGFr抗体および抗Her2抗体の組み合わせは、IC50=5.2nMで同様に機能した。抗EGFr×Her2ヘテロ二量体抗体変異体2B05および5D03はいずれも、それぞれ、IC50=3.0nMおよびIC50=3.6nMで受容体Her3の基底レベルのリン酸化を阻害し、抗Her2アームが機能していたことを示す。
【0355】
上述の2つの異なる細胞に基づくアッセイからの合わせたデータは、抗EGFr×Her2ヘテロ二量体抗体変異体2B05および5D03のいずれの鎖も、EGFrおよびHer2の活性化の阻害に適正に機能することを示唆した。
【0356】
実施例10−Her2/EGFRヘテロ二量体抗体は、腫瘍細胞のADCC殺滅を媒介することができる
N87は、高いレベルのHer2および中程度のレベルのEGFrを発現する、ヒト胃腫瘍細胞株である。無関係なヒトIgG1を対照として使用した。抗EGFr×Her2ヘテロ二量体抗体変異体2B05および5D03は、それらのFc領域に、ADCC強化置換およびヘテロ二量体化置換が組み込まれている。ADCCアッセイを行って、ヘテロ二量体抗体変異体が、それらの特異的抗原に結合し、N87細胞の殺滅を誘導するかどうかを試験した。1μg/mLで、無関係なヒトIgG1対照抗体は、30%のバックグラウンド溶解を有し、滴定により漸減させたときに、用量依存性の応答を示さなかった。変異体2B05および5D03のいずれも、1μg/mL濃度でいっそう高い特異的溶解を有し、それぞれ、0.10pMおよび0.19pMのEC50で容量依存性の応答を示した。データは、ヘテロ二量体抗体変異体2B05および5D03が、標的EGFrおよびHer2に結合し、NK細胞に結合することによって、N87細胞の強力な殺滅を誘導し得ることを示す。
【0357】
実施例11−代替的な変異体もまた、正しいLC/HC対合を導き得る
静電的操行は、他の操行技法と組み合わせることができる。例えば、VH/VL接合部の1つの荷電残基対と、システイン残基対との置き換えを検討した。システイン残基対は、ジスルフィド結合を形成するために近接近(4〜5.6Å)にあり、したがって、正しく対合したLC/HCを固定させる。変異体2B05(表4)に基づく荷電対およびCys−Cys対の7つの異なる組み合わせを、哺乳動物2936E細胞に一過性トランスフェクションを行うことによって作製した。上清を、SDS−PAGEゲルによって分離させた。内部対照C11は、148〜250KDaで4つの異なる帯域を示した一方で、変異体2C04および2C06は、主に全長IgG1を産生した;別個のFabアームのQ105C−A43CおよびG44C−G100Cに異なるジスルフィド結合を有する変異体2D04が、結合して全長IgG1抗体となり、荷電対残基およびシステイン対残基の組み合わせが、正しく対合し、折り畳まれたヘテロ二量体抗体を作製するように協働的に機能し得ることを示す。
【0358】
表4:可変領域における荷電対残基およびシステイン対残基の組み合わせにより作製された変異体。可変領域(VHまたはVL)内の残基は、Kabat番号付けシステムによって番号付けし、一方で定常領域(CH1またはCL)の残基は、Eu番号付けシステムにより番号付けする。Fn3タグを抗EGFr Ab2 HCのN末端に挿入し、Fn3−Flag−His6タグを抗EGFr Ab2 LCのC末端にインフレームで融合させる。
【0359】
VH/VL接合部の荷電残基対と、大/小残基対との置き換え[Zamyatnin AA(1972)Prog.Biophos.Mol.Biol.24:107−123、Chothia C(1975)J.Mol.Biol.105:1−14]もまた、試験した。大/小残基対は、突起と穴(knob−into−hole)の効果を発揮し、静電的操行機序との組み合わせで、正しいLC/HC対合を導くことができた。大きな残基、例えば、トリプトファン(W)は、227.8Å3の体積、および255Å2の露出面積を有し、チロシン(Y)は、193.6Å3の体積および230Å2の露出面積を有する。小さな残基であるアラニン(A)は、わずか88.6Å3の体積および115Å2の露出面積を有し、一方でセリン(S)も同様に、89Å3の体積および115Å2の露出面積を有する。ヘテロ二量体抗体変異体2B05を基準として一連の64個の変異体(表5)を作製し、ウエスタンブロットにより試験した。変異体3A01、3A02、3A03、3A04、3A05、3A06、3B01、3B02、3B03、3B04、8A03、および8A04だけが、SDS−PAGEゲルによる分離の後、単一の帯域を示し、4つの異なる差が結合して全長ヘテロ二量体抗体となり得ることを示す。他の変異体は、SDS−PAGEゲルによる分離の後、複数の帯域を有し、これらのLCが、それらの同種HCとの対合に関して、何らかの問題を有し得ることを示唆する。
【0360】
表5.可変領域における荷電対残基および大/小対残基の組み合わせにより作製された変異体。大きな残基は、本明細書において、トリプトファン(W)またはチロシン(Y)を表し、一方で小さな残基は、アラニン(A)またはセリン(S)を表す。可変領域(VHまたはVL)内の残基は、Kabat番号付けシステムによって番号付けし、一方で定常領域(CH1またはCL)の残基は、Eu番号付けシステムにより番号付けする。Fn3タグを抗EGFr Ab2 HCのN末端に挿入し、Fn3−Flag−His6タグを抗EGFr Ab2 LCのC末端にインフレームで融合させる。
【0361】
実施例12−タグの不在下でのヘテロ二量体抗体の最適化
抗EGFr×Her2変異体2B05および5D03のタグを除去し、哺乳動物2936E細胞に4つのDNAをトランスフェクトして全長抗体を作製するか、または2つだけのDNAをトランスフェクトするかのいずれかによって試験して、不適正なLC/HC対合の耐容性について評価した。すべての4つの異なる鎖が存在していた場合、いずれの変異体も、有意な量の半分の抗体とともに、全長抗体を産生した。適正なLC1+HC1またはLC2+HC2をコードする2つのプラスミドのトランスフェクションもまた、有意な量の半分の抗体とともに、全長ホモ二量体抗体を産生した。LC2が、それらの非同種HC1と不適正に対合した場合(LC2+HC1)、少量の産物がゲル中に示されるが、一方でLC1がその非同種HC2と不適正に対合した場合(LC1+HC2)、産物は全く形成されなかった。発現試験は、抗EGFr抗体のLC2が抗Her2抗体のHC1に耐容されるが、抗Her2抗体のLC1は、抗EGFr抗体のHC2に耐容されないことを示す。静電的操行効果を最大化するために、荷電対残基を、同じ位置にであるが、別の極性で導入することによって、一連の新しい変異体(表6)を調べた。LC/HC接合部は、互いに相反性であり、同じ極性の残基が接近すると反発するか、逆の極性の残基が近接すると引き合うかのいずれかである。
【0362】
変異体V15およびV20は、主として、4つの異なる鎖が転写され、翻訳された後に、インタクトな抗体として発現した。適正なHC/LC(すなわち、LC1+HC1またはLC2+HC2)の存在下で、半分の抗体およびホモ二量体全長抗体が産生された。不適正なHC/LC(例えば、LC2+HC1)が共発現された場合、産物は観察されず、LC2が、HC1と適合性でなかったことを示唆した。しかしながら、LC1は、HC2に耐容性であり、半分の抗体またはホモ二量体抗体を形成し、V15およびV20のLC1が、非同種HC2と対合して構築された後に分泌され得ることを示す。対照的に、変異体V21、V23、およびV25は、主として、4つの異なる鎖が転写され、翻訳された後に、インタクトな抗体として発現された。適正な2つの鎖(すなわち、LC1+HC1またはLC2+HC2)の存在下で、完全IgG抗体が産生され、LCが、それらの同種HCと適合性であることを示唆した。不適正なLC2+HC1またはLC1+HC2の存在下では、産物は形成されず、LCが、非同種HCに耐容性でなかったことを示唆した。変異体V22は、不適正なLCが非同種HCとの対合を強制された場合に少量の産物が観察されたため、V21、V23、およびV25ほど有効ではなかった。質量分析による分析は、変異体V12、V21、V23、およびV25は、4つの異なる鎖(LC1+HC1+LC2+HC2)および正しいLC/HC対合(LC1+HC1およびLC2+HC2)の存在を有することを示した。
【0363】
表6.相互反発/引き合い機序によりヘテロ二量体IgG1としての抗Her2 Ab1および抗EGFr Ab2のVH/VLおよびCH1/CL接合部におけるアミノ酸変化。抗Her2 Ab1のHCは、CH2ドメインにS298T+A330M+K334Vを有し、CH3ドメインにK392D+K409Dを有し、抗EGFr Ab2のHCは、より低いヒンジ/CH2ドメインにL234Y+K209Y+Y296Wを有し、CH3ドメインにE356K+D399Kを有する。可変領域(VHまたはVL)内の残基は、Kabat番号付けシステムによって番号付けし、一方で定常領域(CH1またはCL)の残基は、Eu番号付けシステムにより番号付けする。
【0364】
実施例13−最適化されたEGFR/Her2ヘテロ二量体抗体変異体は、熱安定性を示した
同じ溶媒条件下で、温度に誘導される、抗EGFr IgG2、抗Her2 IgG1、抗Her2脱フコシル化IgG1、および4つの抗EGFr×Her2ヘテロ二量体抗体変異体のアンフォールディングを、示差走査熱量測定(DSC)によって評価した。各タンパク質のサーモグラムは、2または3つの遷移からなった。野生型抗Her2抗体は、82℃にFab/CH3のTm、72℃にCH2のTmを示した;抗Her2抗体を非フコシル化したものは、別個のドメインのTmを変化させなかったが、エンタルピーをわずかに減少させた。抗EGFr抗体は、類似の温度に誘導されるアンフォールディングプロファイルを有した。すべての4つの抗EGFr×Her2ヘテロ二量体抗体変異体は、すべてがCH2ドメインにADCC強化置換を有し、CH3ドメインにヘテロ二量体化置換を有したため、わずかに減少した68℃にCH2/CH3のTmを有した。FabドメインのTmに関しては、変異体V12およびV24は、82℃から72℃への最も有意な減少を有し、変異体V25は、72℃および78℃に2つの別個のピークを有し、一方で変異体V23は、78℃に単一のピークを有した。全体として、4つのヘテロ二量体抗体変異体は、良好な熱安定性を示した。データは、荷電対残基をFab領域に導入するために選択される位置が、68℃を上回る別個のドメインのTmで、インタクトなヘテロ二量体抗体の安定性にある程度影響を及ぼすことを示唆した。
【0365】
実施例14−同じ抗原の2つの異なるエピトープを標的とするヘテロ二量体抗体
同じヘテロ二量体抗体作製アプローチが異なる抗体に適用できることを示すために、ヘテロ二量体IgGを、2つの異なる抗Her2抗体から生成した。一方の抗体は、Her2のドメインIVに結合するが、他方は、Her2のドメインIIに結合する。VH/VLに2つの荷電残基対およびCH1/CLに1つの荷電残基対が相反に導入された変異体V23(表6)を、4つのDNAをトランスフェクトして全長抗体を作製するか、2つだけのDNAをトランスフェクトするかのいずれかによって試験して、不適正なLC/HC対合の耐容性について評価した。抗EGFr×Herヘテロ二量体抗体変異体V23と同様に、抗Her2×Her2ヘテロ二量体抗体V23は、主として、4つの異なる鎖が翻訳され、構築された後に、インタクトな抗体として発現された。2つの適正な鎖(すなわち、LC1+HC1またはLC2+HC2)の存在下で、半分の抗体およびホモ二量体抗体が産生され、LCが、それらの同種HCと適合性であることを示唆した。不適正な鎖であるLC2+HC1またはLC1+HC2の存在下では、産物は全く形成されず、LCが、非同種HCに耐容性でなかったことを示唆した。
【0366】
実施例15−異なる組み合わせの荷電残基が、ヘテロ二量体抗体発現およびLC/HC対合に影響を及ぼす
異なる組み合わせの荷電残基が、異なる発現レベルをもたらすか、またはLC/HC対合に影響を及ぼすかを調べるために、同じ位置に異なる組み合わせで荷電対残基を導入することによって、複数の抗Her2×Her2ヘテロ二量体抗体変異体を作製した(表7)。V23Bは、V23Aのように正しいLC/HC対合を有したが、発現レベルは、インタクトな抗体または半分の抗体のいずれかの形態で、低下した。しかしながら、V23CおよびV23Dは、LC/HCの不適正な対合に耐容した。まとめると、この一連のデータは、静電的操行が、正しいLC/HC対合を導く唯一の要因ではなく、形状相補性(shape complimentarity)等の他の機序が、このプロセスにおいて役割を果たし得ることを示唆した。
【0367】
表7.VH/VLおよびCH1/CL接合部の同じ位置における異なる荷電対の組み合わせの比較。可変領域(VHまたはVL)内の残基は、Kabat番号付けシステムによって番号付けし、一方で定常領域(CH1またはCL)の残基は、Eu番号付けシステムにより番号付けする。抗Her2 Ab1のHCは、CH2ドメインにADCC強化置換S298T+A330M+K334Vを有し、CH3ドメインにヘテロ二量体化変化K392D+K409Dを有し、抗Her2 Ab2のHCは、より低いヒンジ/CH2ドメインにADCC強化置換L234Y+K209Y+Y296Wを有し、CH3ドメインにヘテロ二量体化変化E356K+D399Kを有する。
【0368】
実施例16−安定性および粘度研究
本明細書に記載される代表的なヘテロ二量体抗体を含む組成物に関して安定性研究を行い、抗体組成物の特性を、同等のDVD(二重可変ドメイン)抗体組成物と比較した。抗体試料を、A52Su製剤(すなわち、10mM酢酸、9%スクロース、pH5.2)中、4℃または40℃で、2週間または2カ月の期間、保管した。抗体凝集を、例えば、SE−HPLC、CEX−HPLC、HIAC(肉眼では見えない粒子)、および目視検査を用いて、安定性の代替として測定した。結果を、表8に、モノマーピークの割合(すなわち、100%は、凝集が観察されなかったことを示す)としてまとめる。
【0369】
【0370】
表8に記載される結果によって示されるように、A52Su中のヘテロIg抗体の5%未満が、40℃で2週間保管した際に、試験したDVD抗体(A52Su中のDVD抗体の11%〜85%が、同様の条件下で保管した際に凝集体を形成した)と比較して凝集した。4℃で2週間保管したとき、試験したヘテロIg抗体のうちの1%未満が、凝集体を形成した。
【0371】
別個の研究を行って、粘度と、A52Su製剤中のDVDおよびヘテロ二量体抗体の濃度を変化させること(70mg/mLまたは150mg/mL)との間の関係を調べた。粘度は、円錐/平板形状のレオメーター(RV III+モデル、Brookfield Engineering Labs,Inc.,Middleboro,Mass.)を使用して測定した。試料温度は、水浴を使用した測定の間、25℃に維持した。主軸速度は、10rpmの増分で、15〜125rpmの範囲であった。データ収集は、Rheocalc(商標)ソフトウェア、バージョン2.7を用いて行った。A52Su製剤中の試験した種々の抗体の粘度測定値を、以下の表9に提供する。
【0372】
【0373】
表9に示されるように、試験したヘテロ二量体抗体またはDVD抗体(70mg/mL)のうちの1つを含む組成物のそれぞれの粘度は、6cP未満であった。ヘテロ二量体抗体が、150mg/mLの濃度で組成物中に存在する場合、組成物のうちの3つが、17cP未満の粘度を有した。ヘテロ二量体抗体製剤とは対照的に、DVD抗体が150mg/mLの濃度で存在する場合、1つのDVD抗体製剤だけが、16cP未満の粘度を有した。
【0374】
前述の実施例は、本明細書に記載されるヘテロ二量体抗体が、試験した二特異性DVD抗体よりも安定である(すなわち、組成物中、抗体の1%未満が、4℃で2週間保管した場合に、凝集体を形成する)ことを示す。このようなヘテロ二量体抗体を含む製剤は、好ましい粘度要件を満たし、したがって、大規模な製造に特に好適である。
【0375】
実施例17−スクレロスチンおよびDKK1を標的とするヘテロ二量体抗体は、霊長類において骨同化作用を促進する。
スクレロスチンおよびDKK1を標的とするヘテロ二量体抗体は、霊長類において骨同化作用を促進することを実証するために、9週間のPK/PD研究を、年齢が4〜6歳の40匹のナイーブな雌性カニクイザル行った動物を、それぞれの群が異なるヘテロ二量体抗体を投与される、3つの群に分けた。
【0376】
合計3回の用量を、各群の動物に2週間毎に投与した(25mg/kgの静脈内用量を、1日目および15日目に投与した後、1回の25mg/kgの皮下用量を43日目に投与した)。血液を、研究過程にわたり数回採取した。血清を、遠心沈殿させ、アリコートに分け、後続の分析のために凍結させた。対照には、未処置動物、ならびに単一抗スクレロスチン抗体(Ab−5)、またはスクレロスチンおよびDKK1を対象とする中和ヘテロ二量体抗体(バージョン1)、またはスクレロスチンおよびDKK1を対象とする二重可変ドメイン(DVD抗体)(6.147−AbL−Ab23)のいずれかで処置した動物が含まれた。すべての動物は、血清骨形成マーカー測定値(CICP、BSAP、およびオステオカルシン)ならびに体重を使用して、ベースラインで無作為化した。
【0377】
最初の40匹の動物の血清試料を、骨代謝回転マーカー(BTM)評価の予備スクリーニングのために採取した。23匹の動物を、バランスのとれたバイオマーカープロファイルおよび体重に基づいて選択し、治療群に割り当てた。ベースライン(BL)の予備スクリーニング時点で、群間ですべてのBTM濃度に有意な差はなかった(表10)。
【0378】
絶対血清酒石酸塩耐性酸ホスファターゼ5b(TRACP 5b)データを、表11に示す。TRACPは、骨を吸収する破骨細胞によって多量に発現される酵素である。TRACP 5bは、破骨細胞数および骨吸収のマーカーとして有用である。Halleen et al.,Clin.Lab.,52:499−509,2006を参照されたく、この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。投薬前と比べたTRACP 5bの変化パーセントの分析(表11および
図9)は、DVD抗体6.147−AbL−Ab23およびヘテロ二量体抗体Ab−23−6.37.5)の処置が、5日目および7日目に、TRACP 5bの有意な減少(Ab−5処置動物と比較して)をもたらしたことを明らかにした。
【0379】
ヘテロ二量体抗体Ab−5−6.147の血清オステオカルシン(OC)濃度(表12および
図10)は、研究の36、43、および57日目で、Ab−5処置動物と比較して有意に高かった。投薬前と比べた血清OCの変化の分析(表10および
図9)は、ヘテロ二量体抗体Ab−23−6.37.5処置が、21日目〜45日目の試験時点に、この検体の有意な上昇をもたらしたことを明らかにした。ヘテロ二量体抗体Ab−5−6.147での処置は、21日目〜43日目ならびに50日目および57日目に、Ab−5−6.147処置動物と比較して、OCの有意な増加をもたらした。
【0380】
投薬前に対する血清骨アルカリホスファターゼ(BAP)の変化パーセントを分析し、結果を、表13および
図11に示す。結果は、BAPが、5日目に、ヘテロ二量体抗体Ab−23−6.37.5処置動物において有意に上昇した(Ab−5群と対比)ことを示した。
【0381】
血清C1CPデータを、表14に提示する。DVD抗体6.147−AbL−Ab23処置群は、14日目に、Ab−5処置動物と比較して有意に低い投薬前に対するC1CPの変化パーセント(表14および
図12)を有した。
【0382】
絶対血清DKK1濃度ならびに投与前と比べた変化パーセント(表17)は、測定したすべての時点にわたり、対照とAb−5処置動物との間で有意な差はなかった。
【0383】
要約すると、DVD抗体6.147−AbL−Ab23処置は、5日目(p<0.01)および7日目(p<0.05)に、Ab−5処置と比較して、血清TRACP 5bを一過的に低下させた(投薬前と比べた変化パーセントで)。DVD抗体6.147−AbL−Ab23処置群におけるC1CP(投薬前と比べた変化パーセントで)は、14日目(p<0.05)に、Ab−5処置動物と比較して有意に低減した。血清OCおよびBAP濃度は、DVD抗体6.147−AbL−Ab23処置によって影響を受けなかった。
【0384】
ヘテロ二量体抗体Ab−23−6.37.5処置もまた、5日目および7日目(p<0.05)に、Ab−5処置単独と比較して、血清TRACP 5b(投薬前と比べた変化パーセントで)を有意に減少させた。ヘテロ二量体抗体Ab−23−6.37.5で処置した動物は、5日目(p<0.05)に、Ab−5処置群と比較して、有意に高いBAP(投薬前と比べた変化パーセント)を示したが、OCおよびC1CPのレベルに有意な差は見られなかった。
【0385】
評価したいずれの時点においても、Ab−5処置単独と比較して、ヘテロ二量体抗体Ab−5−6.37.5での処置に、血清TRAP5b、BAP、またはCICPに対する効果はなかった。しかしながら、ヘテロ二量体抗体Ab−5−6.37.5処置群におけるOC(投薬前と比べた変化パーセントで)は、21日目(p<0.05)、28日目(p<0.05)、36日目(p<0.01)、43日目(p<0.001)、および45日目(p<0.05)に、Ab−5処置群と比較して有意に増加した。
【0386】
同様に、TRAPCP 5b、BAP、およびC1CPの濃度は、Ab−5処置単独と対比して、ヘテロ二量体抗体Ab−5−6.147処置によって影響を受けなかった。この群の血清OC濃度は、36日目(p<0.05)、43日目(p<0.05)、および57日目(p<0.01)に、Ab−5処置群と比較して有意に上昇した。Ab−5−6.147処置群における投薬前と比べた変化パーセントでの血清OCは、21日目、28日目、36日目(それぞれp<0.05)、43日目(p<0.001)、50日目、および57日目(それぞれp<0.01)に、Ab−5処置群と比較して有意に増加した。
【0387】
DKK1濃度は、評価したすべての時点にわたり、対照とAb−5処置群との間で有意な差はなかった。
【0388】
この実施例で提供されたこれらのデータは、DKK1およびスクレロスチンを対象とするヘテロ二量体抗体が、親抗体であるAb、Ab−5に類似するIgG様の薬物動態特性を有し、カニクイザルにおける投与後に特異的な骨形成マーカーの優れた増加をもたらしたことを示す。非ヒト霊長類および齧歯類において観察されたDKK1およびスクレロスチン阻害は、骨障害の治療に対するヘテロ二量体抗体の治療有効性を強調する。
【0389】
実施例18−ヘテロ二量体抗体の薬物動態特性
3つのヘテロ二量体抗体(Ab23−6.37.5 v.1、Ab−5−6.37.5 v.1、およびAb−5−6.147 v.1)の薬物動態(PK)プロファイルを、この研究で特徴付けた。
【0390】
カニクイザルを、1日目および15日目に静脈内投与ならびに43日目に皮下投与によって、25mg/kgのAb−5(群1)、34.4mg/kgのDVD抗体6.147−AbL−Ab23(群2)、またはそれぞれ25mg/kgのAb−23−6.37.5.v.1(群3)、Ab−5−6.37.5.v.1(群4)、もしくはAb−5−6.147.v.1(群5)を受容する5つの治療群に分けた。662個の血清試料(64日にわたる)研究の1日目に開始するPK分析のために採取し、試料は、研究の15日目および43日目にも採取した。
【0391】
血清試料を、実施例7で上述されるように、4つの異なる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(スクレロスチン/DKK1アッセイ、スクレロスチン/Fcアッセイ、DKK1/スクレロスチアッセイ、およびFC/FC架橋ELISAアッセイ)を用いて分析した。インタクトなAb−5濃度に関して、群1からの血清試料を、Ab−5に対する抗イディオタイプ抗体対を用いてELISAにより分析した。群2からの血清試料を、2つの異なるELISAを用いて分析した:インタクトな抗DKK1 Mabを測定するもの、および総Mab濃度を測定するもの。群3、4、および5の血清試料を、3つの異なるELISAを用いて分析した:インタクトな抗DKK1 Mabを測定するもの、インタクトな抗スクレロスチン(SOST)Mabを測定するもの、および総Mab濃度を測定するもの。インタクトな(DKK1)血清Mab濃度を、ELISAによって判定し、ここで、組み換えヒトDKK1および抗ヒトFcが、それぞれ、捕捉および検出試薬として使用される。インタクトな(SOST)血清Mab濃度を、ELISAによって判定し、ここで、組み換えヒトSOSTおよび抗ヒトFcが、それぞれ、捕捉および検出試薬として使用される。さらに、総血清Mab濃度を、ELISAによって、ここで、抗ヒトIgG Fc抗体対が、捕捉および検出試薬として使用される。
【0392】
3つのヘテロ二量体抗体および陽性対照のPKプロファイルを、
図13に示し、最初の静脈内投薬データから導出したPKパラメータを、以下の表18に要約する。
【0393】
この研究では5匹のサルが、抗薬物抗体(ADA)と異なるMabとの結合を生じて薬物曝露を減少させ、これらの対象は、したがって、分析から除外した。ヘテロ二量体抗体Ab−5−6.37.5 v.1、Ab−5−6.147 v.1、およびAb23−6.37.5 v.1の最終半減期(T
1/2)は、それぞれ、5.5、3.5、および3.2日間であると推定した。Ab−5−6.37.5 v.1の曝露は、Ab−5と同程度であった(AUC 0−Infが、18.0日
*μMと比較して18.4日
*μM)が、他の2つのヘテロIgは、Ab−5と比較して25〜30%低い曝露を有した。3つのヘテロIgのバイオアベイラビリティ(F)は、78〜83%の範囲で同程度であった。
【0394】
実施例19−追加のインビボ実験
3週間の研究を、10週齢のインタクトなマウスに行って、親抗体であるDKK1 Ab6.37.5およびAb−5のそれぞれ、ならびに2つの親抗体の組み合わせ(IgG)に対して、ヘテロ二量体抗体(Ab−5−6.37.5.v.1)の骨同化活性を比較した(1群当たりn=6)。ヘテロ二量体抗体が、スクレロスチンおよびDKK1の一価阻害剤であると想定して、2つの用量のヘテロ二量体抗体(すなわち、25mg/kgおよび12.5mg/kg)を、対照として使用した二価分子と比べて生体活性に対する価数の影響を測定するために評価した。
【0395】
単剤治療(Ab−5およびDKK1 Ab6.37.5を別個に投与する)およびヘテロ二量体抗体治療を、それぞれ、12.5mg/kgで1週間に2回皮下で施し、DKK1 Ab(6.37.5、12.5mg/kg)に加えて抗スクレロスチンAb(Ab−5、12.5mg/kg)を、対照コホートに同様に投与した。加えて、ヘテロ二量体抗体を、この研究で使用される二価対照に対して価数を補正するために、25mg/kgで投薬した。骨ミネラル密度を、1週間に1回DXAによって測定した。
【0396】
図14に図示される結果は、ヘテロ二量体抗体によって媒介される腰椎骨量の増加が、いずれの単剤治療よりも有意に優れていたことを示す。骨同化活性は、より低用量のヘテロ二量体抗体が、組み合わせ治療により処置したマウスで測定されたものに対して有意な差がなかったことを示す。より高用量のヘテロ二量体抗体は、組み合わせ治療よりもわずかに優れていたが、この差は有意ではなかった。類似の骨量増加が、大腿骨にも観察された(データは示されない)。
【0397】
齧歯類において観察された同時の二重DKK1およびスクレロスチン阻害は、抗アクレロスチン(aclerostin)抗体またはDKK1抗体単独での処置と比較して、骨障害の治療に対するヘテロ二量体抗体の治療有効性を強調する。