(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自走可能な下部走行体と、前記下部走行体に旋回可能に搭載された上部旋回体と、前記上部旋回体の前側に左右方向に揺動可能に支持されたスイングポストと、前記スイングポストに俯仰動可能に支持され掘削用のバケットを有する作業フロントとを備えてなる小型の油圧ショベルにおいて、
前記上部旋回体は、前記作業フロントとの重量バランスをとるカウンタウエイトの後面が前記上部旋回体の旋回中心を中心とする仮想円内に収まる円弧状に形成された後方小旋回仕様であり、
前記上部旋回体の左右の側面のうち少なくとも一方の側面に配置され前記上部旋回体の周囲に存在する障害物までの距離を検知する障害物センサと、
前記障害物センサにより前記障害物が前記上部旋回体の周囲に存在するか否かを判定する車体コントローラとを備え、
前記障害物センサは、前記上部旋回体の旋回中心を通って左右方向に延びる仮想線よりも前側に配置されており、
前記車体コントローラは、前記スイングポストを左右方向の一側に最も揺動させると共に前記作業フロントが前記下部走行体の走行方向と平行になるまで前記上部旋回体を左右方向の他側に旋回させた状態で、前記バケットの左右方向の他側の端部と前記障害物センサの位置との間の左右方向の距離に基づいて設定された基準距離を閾値として前記上部旋回体の周囲に前記障害物が存在するか否かを判定し、前記障害物が前記上部旋回体の周囲に存在すると判定したときに前記上部旋回体の旋回動作を制限させることを特徴とする小型の油圧ショベル。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る小型の油圧ショベルについて、
図1ないし
図9を参照しつつ詳細に説明する。
【0016】
図1ないし
図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、ミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベル1は、市街地等の狭い場所での掘削作業に用いられるもので、例えば機械重量が1〜8トン程度までに抑えられている。油圧ショベル1は、左右のクローラ(履帯)2Aを有する自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。上部旋回体4の前側には、後述するスイング式の作業フロント12が設けられ、この作業フロント12を用いて土砂の掘削作業等を行うものである。また、下部走行体2の前側には、掘削した土砂等を排土する排土板2Bが設けられている。
【0017】
上部旋回体4は、ベースとなる旋回フレーム5と、旋回フレーム5の後側に設けられたカウンタウエイト6と、カウンタウエイト6の前側に配置された運転席7と、運転席7の上側に配置されたキャノピ8と、運転席7を取囲むように旋回フレーム5上に設けられた外装カバー9とを含んで構成されている。
【0018】
ここで、上部旋回体4は、
図2に示すように、下部走行体2の車幅(左,右のクローラ2Aの間隔)とほぼ等しいか僅かに小さい左右方向の幅寸法を有し、かつ、旋回中心Oからカウンタウエイト6の後面6Aまでの距離によって規定される旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回動作を行ったときに、カウンタウエイト6の後面6Aがほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回仕様の油圧ショベルとして構成されている。
【0019】
旋回フレーム5は、底板5Aと、底板5A上に立設された左右の縦板5Bとを有し、各縦板5Bの前端側には、上下方向に延びる円筒状の支持ブラケット5Cが設けられている。旋回フレーム5の前側に位置する支持ブラケット5Cには、後述するスイングポスト10が取付けられている。ここで、上部旋回体4は、旋回中心Oを中心とした仮想円C内にほぼ収まるように形成されているが、上部旋回体4の左前角部4Aは、仮想円Cの外側にはみ出す構成となっている。
【0020】
カウンタウエイト6は、旋回フレーム5の後側から上方に延びるように設けられ、作業フロント12との重量バランスをとるものである。ここで、カウンタウエイト6の後面6Aは、上部旋回体4の旋回中心Oを中心とした仮想円C内に収まるように円弧状に湾曲しつつ左右方向に延在している。そして、カウンタウエイト6は、外装カバー9とほぼ同一面を形成し、外装カバー9と共にエンジン等の搭載機器を後方から覆っている。
【0021】
運転席7は、上部旋回体4の左側に配置され、油圧ショベル1を操縦するオペレータが着席するものである。運転席7の前側には、下部走行体2の走行を制御するための左右の走行レバー・ペダル7Aが設けられ、運転席7の左右両側には、作業フロント12および上部旋回体4の旋回動作等を制御するための左右の操作レバー7B(左側のみ図示)が設けられている。キャノピ8は、旋回フレーム5上に立設された複数本の支柱8Aと、各支柱8Aの上端に設けられ運転席7を上方から覆う屋根8Bとにより構成されている。
【0022】
外装カバー9は、カウンタウエイト6の左端部から旋回フレーム5の前側へと延びる左外装カバー9Aと、カウンタウエイト6の右端部から旋回フレーム5の前側へと延びる右外装カバー9Bとを含んで構成されている。そして、外装カバー9の内部には、旋回フレーム5に搭載されたエンジン、油圧ポンプ、熱交換器等の搭載機器(いずれも図示せず)が収容されている。
【0023】
スイングポスト10は、旋回フレーム5の前側に設けられた支持ブラケット5Cに、左右方向に揺動可能に支持されている。スイングポスト10にはブラケット10Aが設けられ、ブラケット10Aと旋回フレーム5との間には、スイングシリンダ11が設けられている。従って、スイングシリンダ11を伸縮させることにより、スイングポスト10は、旋回フレーム5の支持ブラケット5Cに対し、左,右方向に揺動(スイング)する構成となっている。
【0024】
作業フロント12は、スイングポスト10に俯仰動可能に支持されている。作業フロント12は、ブーム12Aと、ブーム12Aの先端側に取付けられたアーム12Bと、アーム12Bの先端側に取付けられたバケット12Cを含んで構成されている。また、スイングポスト10とブーム12Aとの間にはブームシリンダ12Dが設けられ、ブーム12Aとアーム12Bとの間にはアームシリンダ12Eが設けられ、アーム12Bとバケット12Cとの間にはバケットシリンダ12Fが設けられている。
【0025】
ここで、
図3に示すように、スイングポスト10を右方向に揺動させると共に上部旋回体4を左方向に旋回させることにより、作業フロント12を、下部走行体2の走行方向(前後方向)に対して平行な姿勢に保持したまま、左側に平行移動することができる。一方、
図4に示すように、スイングポスト10を左方向に揺動させると共に上部旋回体4を右方向に旋回させることにより、作業フロント12を、下部走行体2の走行方向に対して平行な姿勢に保持したまま、右側に平行移動させることができる。このように、油圧ショベル1は、スイングポスト10を左右方向の一側に揺動させると共に、上部旋回体4を左右方向の他側に旋回させることにより、作業フロント12を左右方向に平行移動させることができる。このため、下部走行体2を走行させながら、この走行方向と平行な姿勢に保持された作業フロント12のバケット12Cを用いて掘削作業を繰返すことにより、道路に沿って延びる側溝を掘削することができる。
【0026】
左障害物センサ13は、上部旋回体4を構成する外装カバー9の左側面9A1に設けられている。左障害物センサ13は、例えばミリ波レーダにより構成され、上部旋回体4の左側に存在する障害物までの距離を検出するものである。この場合、左障害物センサ13は、
図2に示すように、上部旋回体4の旋回中心Oを通って左,右方向に延びる仮想線L−Lよりも前側に配置されている。
【0027】
ここで、第1の実施の形態では、左障害物センサ13によって上部旋回体4の左側方に障害物が存在することが検出された場合に、この障害物までの距離が予め設定された閾値以下であるときには、上部旋回体4の左方向への旋回動作を制限する構成となっている。そこで、この閾値について
図3を参照して説明する。
【0028】
スイング式の油圧ショベル1は、市街地等の道路脇に側溝を掘削するのに好適に用いられるため、例えば道路の左側に立設された障害物である左側壁101Lに沿って側溝掘りを行うことが考えられる。この場合には、スイングポスト10を右方向に最も揺動させると共に、作業フロント12が下部走行体2の走行方向と平行になるまで上部旋回体4を左方向に旋回させる。これにより、作業フロント12を最も左側に平行移動させ、左側壁101Lに最接近させることができる。
【0029】
この状態で、バケット12Cの左端部12C1と左障害物センサ13との間の左右方向の距離XLに、安全代である一定距離αを加えた基準距離(XL+α)が、左方向への旋回動作を制限するか否かを判定するための閾値YLとして予め設定されている。従って、左障害物センサ13によって検出された左側壁101Lまでの検出距離が、閾値YLより大きい場合には、上部旋回体4の左旋回動作を自由に行うことができ、閾値YL以下である場合には、上部旋回体4の左旋回動作が制限される構成となっている。
【0030】
右障害物センサ14は、上部旋回体4を構成する外装カバー9の右側面9B1に設けられている。右障害物センサ14も、左障害物センサ13と同様なミリ波レーダにより構成され、上部旋回体4の右側方に存在する障害物までの距離を検出するものである。この場合、右障害物センサ14は、上部旋回体4の旋回中心Oを通って左,右方向に延びる仮想線L−Lよりも前側に配置されている。
【0031】
ここで、第1の実施の形態では、右障害物センサ14によって上部旋回体4の右側方に障害物が存在することが検出された場合に、この障害物までの距離が予め設定された閾値以下であるときには、上部旋回体4の右方向への旋回動作を制限する構成となっている。そこで、この閾値について
図4を参照して説明する。
【0032】
スイング式の油圧ショベル1は、例えば道路の右側に立設された障害物である右側壁101Rに沿って側溝掘りを行うことが考えられる。この場合には、スイングポスト10を左方向に最も揺動させると共に、作業フロント12が下部走行体2の走行方向と平行になるまで上部旋回体4を右方向に旋回させる。これにより、作業フロント12を最も右側に平行移動させ、右側壁101Rに最接近させることができる。
【0033】
この状態で、バケット12Cの右端部12C2と右障害物センサ14との間の左右方向の距離XRに、安全代である一定距離αを加えた基準距離(XR+α)が、右方向への旋回動作を制限するか否かを判定するための閾値YRとして予め設定されている。従って、右障害物センサ14によって検出された右側壁101Rまでの検出距離が、閾値YRより大きい場合には、上部旋回体4の右旋回動作を自由に行うことができ、閾値YR以下である場合には、上部旋回体4の右旋回動作が制限される構成となっている。
【0034】
ここで、上部旋回体4は、左右方向の幅寸法が下部走行体2の車幅とほぼ等しく設定され、かつ旋回中心Oを中心とする仮想円C内に収まるようにほぼ円形状に形成されている。このため、上部旋回体4が旋回動作を行ったときに、上部旋回体4のうち旋回中心Oを通って左右方向に延びる仮想線L−Lよりも後側(カウンタウエイト6側)は、下部走行体2の車幅内で旋回することができる。従って、下部走行体2のクローラ2Aが左側壁101Lまたは右側壁101Rから離れている場合には、上部旋回体4のうち仮想線L−Lよりも後側が左側壁101Lまたは右側壁101Rに接触することはない。このため、左,右の障害物センサ13,14による障害物の検出範囲は、左,右の障害物センサ13,14を中心として前後方向に広がる扇状の領域となるが、この扇状の領域のうち上部旋回体4の後側に対応する後半分の領域においては障害物を検出する必要がない。このため、本実施の形態では、左,右の障害物センサ13,14による障害物の検出範囲を、それぞれ扇状の領域のうちハッチングを付した前半分の領域に限定している。
【0035】
次に、上部旋回体4の旋回動作を制御する油圧系統について、
図6を参照して説明する。
【0036】
主油圧ポンプ15は、タンク16と共に油圧源を構成し、パイロットポンプ17は、タンク16と共にパイロット油圧源を構成している。主油圧ポンプ15とパイロットポンプ17は、原動機としてのエンジン18によって駆動される。ここで、主油圧ポンプ15は、例えば斜板等からなる容量可変部15Aを有し、この容量可変部15Aが後述のレギュレータ30によって駆動されることにより、主油圧ポンプ15の吐出容量が変化する。
【0037】
旋回油圧モータ19は、旋回装置3を構成するもので、主油圧ポンプ15およびタンク16からなる油圧源に、主管路20,21を介して接続されている。主管路20,21の途中には、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式の方向制御弁22が設けられている。方向制御弁22は油圧パイロット部22A,22Bを有し、各油圧パイロット部22A,22Bにパイロット圧が供給されないときには、方向制御弁22は中立位置(a)を保持し、主油圧ポンプ15から吐出した圧油をタンク16に排出する。
【0038】
油圧パイロット部22Aにパイロット圧が供給されたときには、方向制御弁22は切換位置(b)に切換えられ、主油圧ポンプ15からの圧油が主管路20を介して旋回油圧モータ19に供給されると共に、旋回油圧モータ19からの戻り油が主管路21を介してタンク16に排出される。これにより、旋回油圧モータ19は、例えば左方向に回転し、上部旋回体4は左方向への旋回動作を行う。一方、油圧パイロット部22Bにパイロット圧が供給されたときには、方向制御弁22は切換位置(c)に切換えられ、主油圧ポンプ15からの圧油が主管路21を介して旋回油圧モータ19に供給されると共に、旋回油圧モータ19からの戻り油が主管路20を介してタンク16に排出される。これにより、旋回油圧モータ19は、例えば右方向に回転し、上部旋回体4は右方向への旋回動作を行う。
【0039】
パイロット弁23は、運転席7の側方に配置された操作レバー7Bの操作に応じて、パイロットポンプ17からのパイロット圧を方向制御弁22の油圧パイロット部22A,22Bに選択的に供給するものである。パイロットポンプ17とパイロット弁23との間は、パイロット管路24を介して接続されている。パイロット弁23と方向制御弁22の油圧パイロット部22Aとの間は、分岐パイロット管路24Aを介して接続され、パイロット弁23と方向制御弁22の油圧パイロット部22Bとの間は、分岐パイロット管路24Bを介して接続されている。
【0040】
減圧制御弁25は、分岐パイロット管路24Aの途中に設けられている。減圧制御弁25は、電磁パイロット部25Aを有し、この電磁パイロット部25Aには、後述の車体コントローラ27から制御信号が供給される。そして、減圧制御弁25は、車体コントローラ27からの制御信号に応じて方向制御弁22の油圧パイロット部22Aに供給されるパイロット圧を減圧制御する。これにより、方向制御弁22を介して旋回油圧モータ19に供給される圧油が制限され、上部旋回体4が左方向に旋回するときの動作速度が制限される。
【0041】
減圧制御弁26は、分岐パイロット管路24Bの途中に設けられている。減圧制御弁26は、電磁パイロット部26Aを有し、この電磁パイロット部26Aには、車体コントローラ27から制御信号が供給される。そして、減圧制御弁26は、車体コントローラ27からの制御信号に応じて方向制御弁22の油圧パイロット部22Bに供給されるパイロット圧を減圧制御する。これにより、方向制御弁22を介して旋回油圧モータ19に供給される圧油が制限され、上部旋回体4が右方向に旋回するときの動作速度が制限される。即ち、減圧制御弁25,26と車体コントローラ27から減圧制御弁25,26に供給される制御信号とにより、旋回動作制限手段が構成されている。
【0042】
次に、主油圧ポンプ15、旋回油圧モータ19等の動作を制御する車体コントローラ27について、
図6を参照して説明する。
【0043】
障害物判定手段としての車体コントローラ27は、油圧ショベル1に搭載され、左,右の障害物センサ13,14からの検出信号等に基づいて旋回油圧モータ19等の動作を制御するものである。車体コントローラ27の入力側には、左障害物センサ13、右障害物センサ14、エンジンコントローラ28、旋回動作制限スイッチ29等が接続されている。一方、車体コントローラ27の出力側には、主油圧ポンプ15の容量可変部15Aを駆動するレギュレータ30、減圧制御弁25,26の電磁パイロット部25A,26A、車体モニタ31が接続されている。
【0044】
エンジンコントローラ28は、例えばメインコントローラ(図示せず)から入力される指令信号に基づいてエンジン18の回転数等を制御するものである。エンジンコントローラ28は、車体コントローラ27に対し、例えばエンジン18の回転数に応じた信号を出力する。車体コントローラ27は、エンジンコントローラ28からの信号に基づいて、レギュレータ30に駆動信号を出力する。これにより、レギュレータ30は、主油圧ポンプ15の容量可変部15Aを駆動し、主油圧ポンプ15の吐出容量は、エンジン18の回転数に応じて制御される。
【0045】
旋回動作制限スイッチ29は、例えば運転席7の近傍に配置され、上部旋回体4の旋回動作を制限するか否かを、オペレータが手動操作によって選択するものである。例えば旋回動作制限スイッチ29がON操作された場合には、車体コントローラ27は、左,右の障害物センサ13,14によって検出された障害物までの距離が上述した閾値YLまたはYR以下であったときに、上部旋回体4の旋回動作を制限する制御を行う。一方、旋回動作制限スイッチ29がON操作されなかった(OFF操作された)場合には、車体コントローラ27は、左,右の障害物センサ13,14による検出結果に拘わらず、操作レバー7Bの操作に応じた上部旋回体4の旋回動作を許す制御を行う。
【0046】
車体モニタ31は、例えば運転席7の近傍に配置され、左,右の障害物センサ13,14によって検出された障害物までの距離が上述した閾値YLまたはYR以下であったときに、オペレータに向けて警告(警告表示、警告音等)を発するものである。
【0047】
第1の実施の形態によるスイング式の油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、以下、市街地等において側壁の近傍で掘削作業を行う場合について説明する。
【0048】
まず、運転席7に着席したオペレータは、エンジン18を始動させ、走行レバー・ペダル7Aを操作することにより、油圧ショベル1を走行させる。また、オペレータは、旋回動作制限スイッチ29をON状態とする。
【0049】
これにより、
図5に示すように、油圧ショベル1は、下部走行体2により左側壁101Lの近傍の作業現場まで自走する。このとき、左,右の障害物センサ13,14は、それぞれ上部旋回体4の周囲に存在する障害物までの距離を検出し、この検出距離に応じた信号を車体コントローラ27に出力する。
【0050】
この場合、
図5に示すように、左障害物センサ13は、障害物である左側壁101Lまでの距離Zを検出し、この検出距離Zに応じた信号を車体コントローラ27に出力する。車体コントローラ27は、検出距離Zが上述の閾値YL以下であるか否かを判定し、検出距離Zが閾値YL以下である場合には、方向制御弁22の油圧パイロット部22Aに供給されるパイロット圧に対し、減圧制御弁25による減圧制御を行う。
【0051】
これにより、方向制御弁22の油圧パイロット部22Aに供給されるパイロット圧が減圧され、旋回油圧モータ19に供給される圧油の流量が制限される。この結果、左側壁101Lの近傍位置で油圧ショベル1が掘削作業を行う場合には、上部旋回体4が左方向に旋回するときの動作速度が制限され、作業フロント12が左側壁101Lに接触するのを未然に回避することができ、作業フロント12、左側壁101Lを保護することができる。
【0052】
一方、右障害物センサ14によって検出された障害物までの距離が、上部旋回体4から大きく離れている場合には、車体コントローラ27は、右障害物センサ14による検出距離が上述の閾値YRよりも大きいと判定し、減圧制御弁26によるパイロット圧の減圧制御を行わない。これにより、方向制御弁22の油圧パイロット部22Bに対し、操作レバー7Bの操作に応じたパイロット圧が供給される。この結果、上部旋回体4が右方向に旋回動作を行うときの動作速度が制限されることがなく、
図5中に二点鎖線で示すように、上部旋回体4の右旋回動作を自由に行うことができる。
【0053】
次に、
図3に示すように、左側壁101Lに沿って側溝掘りを行う場合には、油圧ショベル1は、下部走行体2により左側壁101Lの近傍まで自走し、例えば下部走行体2の走行方向と左側壁101Lとが平行となる状態で停止する。この状態で、油圧ショベル1は、スイングポスト10を右方向に揺動させると共に、作業フロント12が下部走行体2の走行方向と平行になるまで、上部旋回体4を左方向に旋回させる。これにより、作業フロント12は左側に平行移動し、左側壁101Lに対して平行な姿勢を保持する。
【0054】
このとき、左障害物センサ13は、障害物である左側壁101Lまでの距離ZLを検出し、この検出距離ZLに応じた信号を車体コントローラ27に出力する。車体コントローラ27は、検出距離ZLが上述の閾値YL以下であるか否かを判定し、検出距離ZLが閾値YLよりも大きい場合には、減圧制御弁25によるパイロット圧の減圧制御を停止する(行わない)。
【0055】
従って、油圧ショベル1が左側壁101Lの近傍で作業を行う状態であっても、作業フロント12を左側に平行移動させて側溝掘り作業を行う場合には、上部旋回体4の左旋回動作が制限されることがない。この結果、左側壁101Lに沿って側溝を掘削するときには、操作レバー7Bの操作に応じて上部旋回体4を旋回させることができ、側溝掘り作業の作業性を高めることができる。
【0056】
一方、
図4に示すように、道路の右側に立設された右側壁101Rに沿って側溝掘りを行う場合には、油圧ショベル1は、下部走行体2の走行方向と右側壁101Rとが平行となった状態で、スイングポスト10を左方向に揺動させると共に、作業フロント12が下部走行体2の走行方向と平行になるまで、上部旋回体4を右方向に旋回させる。これにより、作業フロント12は右側に平行移動し、右側壁101Rに対して平行な姿勢を保持する。
【0057】
このとき、右障害物センサ14は、障害物である右側壁101Rまでの距離ZRを検出し、この検出距離ZRに応じた信号を車体コントローラ27に出力する。車体コントローラ27は、検出距離ZRが上述の閾値YR以下であるか否かを判定し、検出距離ZRが閾値YRよりも大きい場合には、減圧制御弁26によるパイロット圧の減圧制御を停止する(行わない)。
【0058】
従って、油圧ショベル1が右側壁101Rの近傍で作業を行う状態であっても、作業フロント12を右側に平行移動させて側溝掘り作業を行う場合には、上部旋回体4の右旋回動作が制限されることがない。この結果、右側壁101Rに沿って側溝を掘削するときには、操作レバー7Bの操作に応じて上部旋回体4を旋回させることができ、側溝掘り作業の作業性を高めることができる。
【0059】
なお、オペレータが、旋回動作制限スイッチ29をOFF状態とした場合には、車体コントローラ27は、左,右の障害物センサ13,14によって検出された障害物までの距離に拘わらず、上部旋回体4の左,右方向への旋回動作を許す。これにより、上部旋回体4の近くに障害物が存在する場合でも、オペレータが障害物を認識しつつ操作レバー7Bを操作することにより、操作レバー7Bの操作に応じて上部旋回体4を左右方向に旋回させることができる。
【0060】
このように、車体コントローラ27は、左,右の障害物センサ13,14からの検出信号に基づいて上部旋回体4の旋回動作を制御しており、以下、車体コントローラ27が実行する制御処理について、
図7を参照して説明する。
【0061】
車体コントローラ27による制御処理は、例えばエンジン18が始動することによりスタートする。そして、ステップ1において、旋回動作制限スイッチ29がON状態か否かを判定する。ステップ1で「NO」と判定された場合には、上部旋回体4の旋回動作を制限しない場合であるからステップ2に進み、減圧制御弁25,26によるパイロット圧の減圧制御を停止すると共に、車体モニタ31による警告を停止する。
【0062】
ステップ2が実行された後には、ステップ3に進み、エンジン18が停止されたか否かを判定する。ステップ3で「YES」と判定された場合には制御処理を終了し、ステップ3で「NO」と判定された場合にはステップ1に戻る。
【0063】
次に、ステップ1で「YES」と判定された場合には、ステップ4において、左障害物センサ13によって検出された障害物までの検出距離と、右障害物センサ14によって検出された障害物までの検出距離を読込んだ後、ステップ5に進む。ステップ5では、左障害物センサ13による検出距離が、閾値YL以下であるか否かを判定する。
【0064】
ステップ5で「YES」と判定された場合には、上部旋回体4の左側近傍に障害物が存在している場合であるから、ステップ6に進んで車体モニタ31による警告(警告表示、警告音)を行う。これにより、オペレータに対し、上部旋回体4の左側近傍に障害物が存在することを警告し、注意を喚起することができる。
【0065】
ステップ6が実行された後にはステップ7に進み、左旋回用のパイロット圧を減圧制御する。具体的には、車体コントローラ27は、減圧制御弁25の電磁パイロット部25Aに制御信号を出力し、方向制御弁22の油圧パイロット部22Aに供給されるパイロット圧を減圧する。これにより、主管路20を通じて旋回油圧モータ19に供給される圧油の流量が制限され、上部旋回体4が左方向に旋回するときの動作速度が制限される。
【0066】
このようにして、左旋回用のパイロット圧が減圧制御された後にはステップ8に進み、左障害物センサ13によって検出された障害物までの検出距離を読込む。そして、ステップ9に進み、左障害物センサ13による検出距離が、閾値YLよりも大きいか否かを判定する。
【0067】
ステップ9で「NO」と判定された場合は、上部旋回体4の左側近傍に障害物が存在する状態が継続しているからステップ7に戻り、ステップ9で「YES」と判定された場合には、上部旋回体4が障害物から離れた状態であるからステップ2に進み、減圧制御弁25によるパイロット圧の減圧制御を停止すると共に、車体モニタ31による警告を停止する。
【0068】
一方、ステップ5で「NO」と判定された場合には、ステップ10に進み、右障害物センサ14による検出距離が、閾値YR以下であるか否かを判定する。ステップ10で「NO」と判定された場合にはステップ4に戻る。ステップ10で「YES」と判定された場合には、上部旋回体4の右側近傍に障害物が存在している場合であるから、ステップ11に進んで車体モニタ31による警告(警告表示、警告音)を行う。これにより、オペレータに対し、上部旋回体4の右側近傍に障害物が存在することを警告し、注意を喚起することができる。
【0069】
ステップ11が実行された後にはステップ12に進み、右旋回用のパイロット圧を減圧制御する。具体的には、車体コントローラ27は、減圧制御弁26の電磁パイロット部26Aに制御信号を出力し、方向制御弁22の油圧パイロット部22Bに供給されるパイロット圧を減圧する。これにより、主管路21を通じて旋回油圧モータ19に供給される圧油の流量が制限され、上部旋回体4が右方向に旋回するときの動作速度が制限される。
【0070】
このようにして、右旋回用のパイロット圧が減圧制御された後にはステップ13に進み、右障害物センサ14によって検出された障害物までの検出距離を読込んだ後、ステップ14に進む。ステップ14では、右障害物センサ14による検出距離が、閾値YRよりも大きいか否かを判定する。
【0071】
ステップ14で「NO」と判定した場合は、上部旋回体4の右側近傍に障害物が存在する状態が継続しているからステップ12に戻り、ステップ14で「YES」と判定した場合には、上部旋回体4が障害物から離れた状態であるからステップ2に進み、減圧制御弁26によるパイロット圧の減圧制御を停止すると共に、車体モニタ31による警告を停止する。
【0072】
かくして、第1の実施の形態によれば、上部旋回体4を構成する左外装カバー9Aの左側面9A1に左障害物センサ13を設け、右外装カバー9Bの右側面9B1に右障害物センサ14を設け、これら左,右の障害物センサ13,14によって検出された障害物までの距離に基づいて、車体コントローラ27が、上部旋回体4の周囲に障害物が存在するか否かを判定する。
【0073】
この場合、車体コントローラ27は、作業フロント12を最も左側に平行移動させたときには、バケット12Cの左端部12C1と左障害物センサ13との間の左方向の距離XLに一定距離αを加えた基準距離(XL+α)を閾値YLとして上部旋回体4の周囲に障害物が存在するか否かを判定し、作業フロント12を最も右側に平行移動させたときには、バケット12Cの右端部12D1と右障害物センサ14との間の右方向の距離XRに一定距離αを加えた基準距離(XR+α)を閾値YRとして上部旋回体4の周囲に障害物が存在するか否かを判定する。
【0074】
これにより、油圧ショベル1が掘削作業を行うときに、左障害物センサ13によって検出された障害物までの距離が側溝掘り作業を行うときの閾値YLよりも小さい場合には、上部旋回体4の左旋回動作を制限することができる。また、右障害物センサ14によって検出された障害物までの距離が側溝掘り作業を行うときの閾値YRよりも小さい場合には、上部旋回体4の右旋回動作を制限することができる。従って、上部旋回4が旋回動作を行うときに、作業フロント12が左側壁101Lまたは右側壁101Rに接触するのを未然に回避することができ、作業フロント12等を保護することができる。
【0075】
一方、例えば市街地に立設された左側壁101Lの近傍において、油圧ショベル1の作業フロント12を左側(左側壁101L側)に平行移動させて側溝掘り作業を行うときに、左障害物センサ13によって検出された障害物までの距離が閾値YLよりも大きい場合には、上部旋回体4の左旋回動作が制限されることがない。同様に、市街地に立設された右側壁101Rの近傍において、油圧ショベル1の作業フロント12を右側(右側壁101R側)に平行移動させて側溝掘り作業を行うときに、右障害物センサ14によって検出された障害物までの距離が閾値YRよりも大きい場合には、上部旋回体4の右旋回動作が制限されることがない。従って、左側壁101Lまたは右側壁101Rに沿って側溝掘り作業を行うときには、操作レバー7Bの操作に応じて上部旋回体4を旋回させることができ、側溝掘り作業の作業性を高めることができる。
【0076】
この結果、第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体4の周囲に障害物が存在する場合には、上部旋回体4の旋回動作を制限することにより、作業フロント12が障害物に接触するのを未然に回避することができ、かつ、障害物の近傍で側溝掘り作業を行う場合には、上部旋回体4の旋回動作が制限されるのを抑え、側溝掘り作業の作業性を良好に保つことができる。
【0077】
また、本実施の形態によれば、上部旋回体4は、左,右のカウンタウエイト6の後面6Aが旋回中心Oを中心とする仮想円C内に収まる円弧状に形成された後方小旋回仕様であり、左,右の障害物センサ13,14は、上部旋回体4の旋回中心Oを通って左右方向に延びる仮想線L−Lよりも前側に配置されている。
【0078】
このため、上部旋回体4の左右方向の幅寸法が、下部走行体2の車幅とほぼ等しく設定されている場合には、上部旋回体4が旋回動作を行ったときに、上部旋回体4のうち仮想線L−Lよりも後側(カウンタウエイト6側)は、下部走行体2の車幅内で旋回することができる。従って、下部走行体2のクローラ2Aが左,右の側壁101L,101Rから離れている場合には、上部旋回体4が旋回動作を行うときに、カウンタウエイト6の後面6Aが、左,右の側壁101L,101Rに接触することがなく、旋回動作の安全性を確保することができる。
【0079】
一方、上部旋回体4のうち旋回中心Oを通る仮想線L−Lよりも前側となる部位、例えば左前角部4Aが、旋回中心Oを中心とする仮想円Cから外側に突出している場合でも、この左前角部4Aの近傍に左障害物センサ13が配置されることにより、左前角部4Aが左側壁101Lに接触するのを回避することができる。
【0080】
さらに、本実施の形態では、車体コントローラ27により障害物が上部旋回体4の周囲に存在すると判定されたときに、上部旋回体4の旋回動作を制限する減圧制御弁25,26を設け、減圧制御弁25は、上部旋回体4の左側に障害物が存在すると判定したときには、上部旋回体4が左方向へ旋回するのを制限し、減圧制御弁26は、上部旋回体4の右側に障害物が存在すると判定したときには、上部旋回体4が右方向へ旋回するのを制限する構成としている。これにより、上部旋回体4の旋回動作によって作業フロント12が周囲の障害物に衝突するのを回避することができ、作業フロント12等を保護することができる。
【0081】
次に、
図8および
図9は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、上部旋回体の左右の側面のうちスイングポストを挟んで運転席とは反対側の側面に障害物センサを設けたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0082】
第2の実施の形態による油圧ショベル41は、第1の実施の形態による油圧ショベル1と同様に、下部走行体2、上部旋回体42、スイングポスト10および作業フロント12を含んで構成されている。ここで、上部旋回体42は、第1の実施の形態による上部旋回体4と同様に、旋回フレーム5と、カウンタウエイト6と、運転席7と、キャノピ8と、外装カバー9とを含んで構成されている。
【0083】
上部旋回体42は、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左右方向の幅寸法を有し、かつ、旋回中心Oを中心とする仮想円C内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル41は、上部旋回体42が下部走行体2上で旋回動作を行ったときに、カウンタウエイト6の後面6Aがほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回仕様の油圧ショベルとして構成されている。
【0084】
しかし、上部旋回体42は、外装カバー9を構成する左外装カバー9Aと右外装カバー9Bのうち右外装カバー9Bの右側面9B1のみに、1個の右障害物センサ14が設けられている。即ち、上部旋回体42は、スイングポスト10を挟んで運転席7とは反対側に位置する右外装カバー9Bの右側面9B1に、1個の右障害物センサ14が設けられている点で、第1の実施の形態による上部旋回体4とは異なるものである。
【0085】
ここで、油圧ショベル41を用いて道路の右側に立設された右側壁101Rに沿って側溝掘りを行う場合には、
図8に示すように、油圧ショベル41は、下部走行体2の走行方向と右側壁101Rとが平行となった状態で、スイングポスト10を右側壁101Rと反対側(矢示A1方向)に最も揺動させると共に、作業フロント12が下部走行体2の走行方向と平行になるまで、上部旋回体42を右側壁101R側(矢示B1方向)に旋回させる。これにより、作業フロント12は右側壁101Rに向けて平行移動し、右側壁101Rに対して平行な姿勢を保持する。
【0086】
この状態で、バケット12Cの右端部12C2と右障害物センサ14との間の左右方向の距離XRに、安全代である一定距離αを加えた基準距離(XR+α)が、上部旋回体42の右側壁101R側(矢示B1方向)への旋回動作を制限するか否かを判定するための閾値YRとして設定されている。そして、右障害物センサ14によって検出された右側壁101Rまでの検出距離が、閾値YRより大きい場合には、上部旋回体42の右側壁101R側(矢示B1方向)への旋回動作を自由に行うことができ、閾値YR以下である場合には、上部旋回体42の右側壁101R側(矢示B1方向)への旋回動作が制限される構成となっている。
【0087】
一方、道路の左側に立設された左側壁101Lに沿って側溝掘りを行う場合には、
図9に示すように、油圧ショベル41は、上部旋回体42を180度旋回させる。これにより、下部走行体2の前側(排土板2B側)に、上部旋回体42の後側(カウンタウエイト6側)が対応し、右障害物センサ14によって左側壁101Lが検出できる状態となる。
【0088】
この状態で、スイングポスト10を左側壁101Lと反対側(矢示A2方向)に最も揺動させると共に、作業フロント12が下部走行体2の走行方向と平行になるまで、上部旋回体42を左側壁101L側(矢示B2方向)に旋回させる。これにより、作業フロント12を、左側壁101Lに近づく方向に最も平行移動させ、左側壁101Lに最接近させることができる。
【0089】
この状態で、バケット12Cの右端部12C2と右障害物センサ14との間の左右方向の距離XLに、安全代である一定距離αを加えた基準距離(XL+α)が、上部旋回体42の左側壁101L側(矢示B2方向)への旋回動作を制限するか否かを判定するための閾値YLとして設定されている。そして、右障害物センサ14によって検出された左側壁101Lまでの検出距離が、閾値YLより大きい場合には、上部旋回体42の左側壁101L側(矢示B2方向)への旋回動作を自由に行うことができ、閾値YL以下である場合には、上部旋回体42の左側壁101L側(矢示B2方向)への旋回動作が制限される構成となっている。
【0090】
第2の実施の形態による油圧ショベル41は上述の如き構成を有するもので、その基本的な作用については、第1の実施の形態による油圧ショベル1と格別差異はない。
【0091】
然るに、第2の実施の形態による油圧ショベル41は、上部旋回体42の左右の側面のうち、スイングポスト10を挟んで運転席7とは反対側の側面となる右外装カバー9Bの右側面9B1に、1個の右障害物センサ14のみを設ける構成としている。そして、上部旋回体42を下部走行体2に対して180度旋回させることにより、1個の右障害物センサ14を用いて左側壁101Lと右側壁101Rを検出する構成としている。
【0092】
これにより、第1の実施の形態のように、左障害物センサ13と右障害物センサ14との2個の障害物センサを設ける必要がなく、高価な障害物センサの個数を削減することにより、油圧ショベル41の製造コストを低減することができる。
【0093】
この場合、運転席7に着席したオペレータにとって、スイングポスト10を挟んで運転席7とは反対側の視認性は低下する。これに対し、第2の実施の形態では、上部旋回体42の右側面(右外装カバー9Bの右側面9B1)に右障害物センサ14を設けている。この結果、運転席7に着席したオペレータが目視し難い領域の障害物を、右障害物センサ14によって確実に検出することができる。
【0094】
なお、実施の形態では、左,右の左障害物センサ13,14としてミリ波レーダを用いた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば超音波センサ、レーザレーダ等を用いて障害物センサを構成してもよい。
【0095】
また、実施の形態では、運転席7を上方から覆うキャノピ8を備えた油圧ショベル1(41)を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば運転席7を取囲むキャブを備えた油圧ショベルにも適用することができる。