特許第6585575号(P6585575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コヴィディエン リミテッド パートナーシップの特許一覧

特許6585575電気外科超音波脈管密封および解剖システム
<>
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000028
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000029
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000030
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000031
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000032
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000033
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000034
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000035
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000036
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000037
  • 特許6585575-電気外科超音波脈管密封および解剖システム 図000038
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585575
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電気外科超音波脈管密封および解剖システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20190919BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   A61B17/00 700
   H02M3/155 Z
【請求項の数】24
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-196119(P2016-196119)
(22)【出願日】2016年10月4日
(62)【分割の表示】特願2015-146694(P2015-146694)の分割
【原出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-47224(P2017-47224A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年7月24日
(31)【優先権主張番号】62/028,916
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/797,301
(32)【優先日】2015年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】シャオセン リウ
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン アイ. コリ−メンチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エー. ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル エー. フリードリヒス
(72)【発明者】
【氏名】キース ダブリュー. マラング
(72)【発明者】
【氏名】エドガー サンチェス−シネンシオ
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特表昭63−500850(JP,A)
【文献】 特開平08−117687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
A61N 7/00 − 7/02
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波運動発生器であって、該超音波運動発生器は、
直流を第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換するように構成されている非共振インバーターと、
該非共振インバーターから該ACを受け取るように構成されている運動感知回路と、
該運動感知回路と電気的に結合されている超音波変換器であって、該超音波変換器は、該ACに基づいて超音波運動を発生させるように構成され、該運動感知回路は、該超音波変換器を通過する運動電流を感知するようにさらに構成され、該運動感知回路は、抵抗値R1を有する抵抗器と直列である、キャパシタンス値Cを有するキャパシタを含み、該キャパシタおよび抵抗器は、抵抗値R2およびR3をそれぞれ有する2つの抵抗器と並列である、超音波変換器と、
コンパレーターであって、該コンパレーターは、該運動電流に基づいて、該超音波変換器の共振周波数からの該第1の周波数の偏差を検出するように構成され、該非共振インバーターを駆動するために、該偏差に基づいて出力信号を発生させるように構成されている、コンパレーターと
を含む、超音波運動発生器。
【請求項2】
前記超音波運動の長手方向変位は、前記超音波運動発生器に動作可能に接続されている負荷に基づいている、請求項1に記載の超音波運動発生器。
【請求項3】
R1は、前記超音波変換器の寄生キャパシタンス、R2、およびCに依存する、請求項に記載の超音波運動発生器。
【請求項4】
前記超音波変換器は、直列で接続されている抵抗器と、キャパシタと、インダクターとを含むバンドパスフィルターとして作られている、請求項1に記載の超音波運動発生器。
【請求項5】
前記超音波変換器の前記共振周波数は、
【数1】
によって規定され、式中、Lは、前記インダクターのインダクタンスであり、Cは、前記キャパシタのキャパシタンスである、請求項に記載の超音波運動発生器。
【請求項6】
周波数領域において、前記コンパレーターの利得と前記バンドパスフィルターの利得との積の大きさは、1に等しい、請求項に記載の超音波運動発生器。
【請求項7】
前記周波数領域において、前記コンパレーターの前記利得と前記バンドパスフィルターの前記利得との前記積の位相は、2Piラジアンの整数倍に等しい、請求項に記載の超音波運動発生器。
【請求項8】
前記コンパレーターは、高い開ループ利得を有する、請求項1に記載の超音波運動発生器。
【請求項9】
前記非共振インバーターおよび前記超音波変換器と電気的に結合されている変圧器をさらに含み、該変圧器は、該非共振インバーターによって逆変換される前記ACの振幅を制御するように構成されている、請求項1に記載の超音波運動発生器。
【請求項10】
前記超音波運動の長手方向変位は、前記非共振インバーターによって逆変換される前記ACの振幅に基づいている、請求項1に記載の超音波運動発生器。
【請求項11】
前記非共振インバーターは、前記コンパレーターの前記出力信号に基づいて、ディジタル共振信号によって制御されている、請求項1に記載の超音波運動発生器。
【請求項12】
組織を処置するための超音波外科手術装置であって、該超音波外科手術装置は、
直流(DC)を出力するように構成されている電源と、
該電源と電気的に結合されている超音波運動発生器であって、該超音波運動発生器は、
直流を第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換するように構成されている非共振インバーターと、
該非共振インバーターと電気的に結合されている運動感知回路と、
該運動感知回路と電気的に結合されている超音波変換器であって、該超音波変換器は、該ACに基づいて超音波運動を発生させるように構成され、該運動感知回路は、該超音波変換器を通過する運動電流を感知するようにさらに構成され、該運動感知回路は、抵抗値R1を有する抵抗器と直列である、キャパシタンス値Cを有するキャパシタを含み、該キャパシタおよび抵抗器は、抵抗値R2およびR3をそれぞれ有する2つの抵抗器と並列である、超音波変換器と、
コンパレーターであって、該コンパレーターは、該運動電流に基づいて、該超音波変換器の共振周波数から該第1の周波数の偏差を検出するように構成され、該非共振インバーターを駆動するために、該偏差に基づいて出力信号を発生させるように構成されている、コンパレーターと
を含む、超音波運動発生器と、
該電源から該超音波運動発生器へ通過する該DCを感知するように構成されているセンサーと、
該センサーおよび該コンパレーターと結合されているコントローラーと
を含み、該コントローラーは、該DCの振幅を制御するように構成されている、超音波外科手術装置。
【請求項13】
前記超音波運動の長手方向変位は、前記超音波運動発生器に動作可能に接続されている負荷に基づいている、請求項12に記載の超音波外科手術装置。
【請求項14】
前記超音波変換器は、直列で接続されている抵抗器と、キャパシタと、インダクターとを含むバンドパスフィルターとして構成されている、請求項12に記載の超音波外科手術装置。
【請求項15】
前記超音波変換器の前記共振周波数は、
【数2】
によって規定され、式中、Lは、前記インダクターのインダクタンスであり、Cは、前記キャパシタのキャパシタンスである、請求項14に記載の超音波外科手術装置。
【請求項16】
周波数領域において、前記コンパレーターの利得と前記バンドパスフィルターの利得との積の大きさは、1に等しい、請求項14に記載の超音波外科手術装置。
【請求項17】
前記周波数領域において、前記コンパレーターの前記利得と前記バンドパスフィルターの前記利得との前記積の位相は、2Piラジアンの整数倍に等しい、請求項16に記載の超音波外科手術装置。
【請求項18】
前記コンパレーターは、高い開ループ利得を有する、請求項12に記載の超音波外科手術装置。
【請求項19】
前記コントローラーは、前記非共振インバーターを駆動るために、前記出力信号に基づいてディジタルパルス幅変調信号を発生させるようにさらに構成されている、請求項12に記載の超音波外科手術装置。
【請求項20】
前記超音波運動発生器は、前記非共振インバーターおよび前記超音波変換器と電気的に結合されている変圧器をさらに含み、該変圧器は、該非共振インバーターによって逆変換される前記ACの振幅を制御するように構成されている、請求項12に記載の超音波外科手術装置。
【請求項21】
前記電源は、
前記DC電力を発生させるように構成されている電力供給源と、
該DC電力を変調するように構成されているコンバーターと
を含む、請求項12に記載の超音波外科手術装置。
【請求項22】
前記コントローラーは、前記コンバーターを駆動るために、前記感知されたDCに基づいてディジタルパルス幅変調信号を発生させるようにさらに構成されている、請求項21に記載の超音波外科手術装置。
【請求項23】
前記超音波運動の長手方向変位は、前記コンバーターによって変換される前記DCの振幅に基づいている、請求項21に記載の超音波外科手術装置。
【請求項24】
組織を処置するための超音波システムであって、該超音波システムは、
超音波外科手術装置であって、該超音波外科手術装置は、
直流(DC)を提供するように構成されている電源と、
電源と電気的に結合されている超音波運動発生器であって、該超音波運動発生器は、
該直流を第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換するように構成されている非共振インバーターと、
該非共振インバーターと電気的に結合されている運動感知回路と、
該運動感知回路と電気的に結合されている超音波変換器であって、該超音波変換器は、該ACに基づいて超音波運動を発生させるように構成され、該運動感知回路は、該超音波変換器を通過する運動電流を感知するようにさらに構成され、該運動感知回路は、抵抗値R1を有する抵抗器と直列である、キャパシタンス値Cを有するキャパシタを含み、該キャパシタおよび抵抗器は、抵抗値R2およびR3をそれぞれ有する2つの抵抗器と並列である、超音波変換器と、
コンパレーターであって、該コンパレーターは、該運動電流に基づいて、該超音波変換器の共振周波数からの該第1の周波数の偏差を検出するように構成され、該非共振インバーターを駆動するために、該偏差に基づいて出力信号を発生させるように構成されている、コンパレーターと
を含む、超音波運動発生器と、
該電源から該超音波運動発生器へ通過する該DCを感知するように構成されているセンサーと、
該センサーおよび該コンパレーターに結合されているコントローラーであって、該コントローラーは、該DCの振幅を制御するように構成されている、コントローラーと
を含む、超音波外科手術装置と、
組織を密封または解剖するために、該発生させられた超音波運動を該組織に適用するように構成されているエンドエフェクターと
を含む、超音波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
本開示は、組織を処置するための超音波外科手術システムに関する。より詳しくは、本開示は、超音波外科手術システムの超音波変換器の共振周波数を自動的にトラッキングする超音波外科手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の背景
超音波外科手術デバイスは、最小限の側方熱損傷および少ない煙の発生を伴って、優れた止血および組織の効率的な解剖を提供することが実証されている。患者を通って流れる電流を必要とする電気外科デバイスと違って、超音波外科手術デバイスは、機械的共振周波数において駆動される超音波変換器の機械的作用を適用することによって動作する。
【0003】
位相ロックループ(PLL)技術は、信号が不安定になることを防止されるように、確実な範囲にある位相をロックすることによって、共振周波数を有する超音波機械的運動を発生させるために使用されてきた。しかし、PLL技術は、複雑である傾向があり、大きな過渡負荷状態下で安定することが難しい傾向がある。さらに、PLL技術は、電源と超音波変換器の出力との間の位相を正確にロックするために、より高い計算能力を必要とし、従って、必然的に、患者に害を及ぼし得るタイムラグを含む。結果として、組織を処置するための、より単純で、より計算上複雑ではない超音波外科手術システムが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示は、超音波外科手術システムおよび超音波運動発生器を特徴づけ、これらは、超音波変換器を含み、超音波変換器の共振周波数を自動的にトラッキングする。
【0005】
実施形態において、超音波運動発生器は、非共振インバーターと、超音波変換器と、コンパレーターとを含む。非共振インバーターは、直流(DC)を第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換する。超音波変換器は、非共振インバーターと電気的に結合され、逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させる。コンパレーターは、超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、超音波変換器の共振周波数からの第1の周波数の偏差を自動的に検出し、非共振インバーターを駆動するために、偏差に基づいて出力信号を発生させる。
【0006】
局面において、超音波運動の長手方向変位は、超音波運動発生器に動作可能に接続されている負荷に基づいている。
【0007】
局面において、超音波変換器は、直列で接続されている抵抗器と、キャパシタと、インダクターとを含むバンドパスフィルターとして作られている。超音波変換器の共振周波数は、
【数1】
によって規定され、式中、Lは、インダクターのインダクタンスであり、Cは、キャパシタのキャパシタンスである。周波数領域において、コンパレーターの利得とバンドパスフィルターの利得との積の大きさは、実質的に1と等しい。さらに、周波数領域において、コンパレーターの利得とバンドパスフィルターの利得との積の位相は、2Piラジアンの整数倍と実質的に等しい。
【0008】
局面において、コンパレーターは、高い開ループ利得を有する。
【0009】
別の局面において、超音波運動発生器は、非共振インバーターおよび超音波変換器と電気的に結合されている変圧器をさらに含み、変圧器は、非共振インバーターによって逆変換されるACの振幅を制御するように構成されている。
【0010】
別の局面において、非共振インバーターは、コンパレーターの出力信号に基づいて、ディジタル共振信号によって制御されている。
【0011】
別の実施形態において、組織を処置するための超音波装置は、直流を出力するように構成されている電源と、超音波運動発生器と、センサーと、コントローラーとを含む。超音波運動発生器は、非共振インバーターと、超音波変換器と、コンパレーターとを含む。非共振インバーターは、DCを第1の周波数を有するACに逆変換する。超音波変換器は、非共振インバーターと電気的に結合され、逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させる。コンパレーターは、超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、超音波変換器の共振周波数からの第1の周波数の偏差を自動的に検出し、非共振インバーターを駆動するために、偏差に基づいて出力信号を発生させる。センサーは、電源から超音波運動発生器へ通過するDCを感知する。コントローラーは、センサーおよびコンパレーターと結合され、DCの振幅を制御する。
【0012】
局面において、超音波運動の長手方向変位は、超音波運動発生器に動作可能に接続されている負荷に基づいている。
【0013】
局面において、超音波変換器は、直列で接続されている抵抗器と、キャパシタと、インダクターとを含むバンドパスフィルターとして作られている。超音波変換器の共振周波数は、
【数2】
によって規定され、式中、Lは、インダクターのインダクタンスであり、Cは、キャパシタのキャパシタンスである。周波数領域において、コンパレーターの利得とバンドパスフィルターの利得との積の大きさは、実質的に1と等しい。さらに、周波数領域において、コンパレーターの利得とバンドパスフィルターの利得との積の位相は、2Piラジアンの整数倍と実質的に等しい。
【0014】
局面において、コンパレーターは、高い開ループ利得を有する。
【0015】
別の局面において、電源は、DC電力を発生させるように構成されている電力供給源と、DC電力を変調するように構成されているコンバーターとを含む。
【0016】
別の局面において、コントローラーは、コンバーターを駆動させるために、感知されたDCに基づいてディジタルパルス幅変調信号を発生させる。
【0017】
さらに別の局面において、コントローラーは、非共振インバーターを駆動させるために、出力信号に基づいてディジタル共振信号をさらに発生させる。
【0018】
別の局面において、超音波運動発生器は、非共振インバーターおよび超音波変換器と電気的に結合されている変圧器をさらに含み、変圧器は、非共振インバーターによって逆変換されるACの振幅を制御する。
【0019】
さらに別の局面において、超音波運動の長手方向変位は、コンバーターによって変換されるDCの振幅に基づいている。
【0020】
さらに別の実施形態において、組織を処置するための超音波システムは、超音波外科手術装置とエンドエフェクターとを含む。超音波外科手術装置は、直流を出力するように構成されている電源と、超音波運動発生器と、センサーと、コントローラーとを含む。超音波運動発生器は、非共振インバーターと、超音波変換器と、コンパレーターとを含む。非共振インバーターは、DCを第1の周波数を有するACに逆変換する。超音波変換器は、非共振インバーターと電気的に結合され、逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させる。コンパレーターは、超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、超音波変換器の共振周波数からの第1の周波数の偏差を自動的に検出し、非共振インバーターを駆動するために、偏差に基づいて出力信号を発生させる。センサーは、電源から超音波運動発生器へ通過するDCを感知する。コントローラーは、センサーおよびコンパレーターと結合され、DCの振幅を制御する。エンドエフェクターは、組織を密封または解剖するために、発生させられた超音波運動を組織に適用する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
超音波運動発生器であって、該超音波運動発生器は、
直流(DC)を第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換するように構成されている非共振インバーターと、
該非共振インバーターと電気的に結合されている超音波変換器であって、該超音波変換器は、該逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させるように構成されている、超音波変換器と、
コンパレーターであって、該コンパレーターは、該超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、該超音波変換器の共振周波数からの該第1の周波数の偏差を自動的に検出するように構成され、該非共振インバーターを駆動するために、該偏差に基づいて出力信号を発生させるように構成されている、コンパレーターと
を含む、超音波運動発生器。
(項目2)
上記超音波運動の長手方向変位は、上記超音波運動発生器に動作可能に接続されている負荷に基づいている、上記項目に記載の超音波運動発生器。
(項目3)
上記超音波変換器は、直列で接続されている抵抗器と、キャパシタと、インダクターとを含むバンドパスフィルターとして作られている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目4)
上記超音波変換器の上記共振周波数は、
【化1】
によって規定され、式中、Lは、上記インダクターのインダクタンスであり、Cは、上記キャパシタのキャパシタンスである、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目5)
周波数領域において、上記コンパレーターの利得と上記バンドパスフィルターの利得との積の大きさは、実質的に1と等しい、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目6)
上記周波数領域において、上記コンパレーターの上記利得と上記バンドパスフィルターの上記利得との上記積の位相は、2Piラジアンの整数倍と実質的に等しい、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目7)
上記コンパレーターは、高い開ループ利得を有する、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目8)
上記非共振インバーターおよび上記超音波変換器と電気的に結合されている変圧器をさらに含み、該変圧器は、該非共振インバーターによって逆変換される上記ACの振幅を制御するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目9)
上記超音波運動の長手方向変位は、上記非共振インバーターによって逆変換される上記ACの振幅に基づいている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目10)
上記非共振インバーターは、上記コンパレーターの上記出力信号に基づいて、ディジタル共振信号によって制御されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波運動発生器。
(項目11)
組織を処置するための超音波装置であって、該超音波装置は、
直流(DC)を出力するように構成されている電源と、
該電源と電気的に結合されている超音波運動発生器であって、該超音波運動発生器は、
該DCを第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換するように構成されている非共振インバーターと、
該非共振インバーターと電気的に結合されている超音波変換器であって、該超音波変換器は、該逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させるように構成されている、超音波変換器と、
コンパレーターであって、該コンパレーターは、該超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、該超音波変換器の共振周波数から該第1の周波数の偏差を自動的に検出するように構成され、該非共振インバーターを駆動するために、該偏差に基づいて出力信号を発生させるように構成されている、コンパレーターと
を含む、超音波運動発生器と、
該電源から該超音波運動発生器へ通過する該DCを感知するように構成されているセンサーと、
該センサーおよび該コンパレーターと結合されているコントローラーと
を含み、該コントローラーは、該DCの振幅を制御するように構成されている、超音波装置。
(項目12)
上記超音波運動の長手方向変位は、上記超音波運動発生器に動作可能に接続されている負荷に基づいている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目13)
上記超音波変換器は、直列で接続されている抵抗器と、キャパシタと、インダクターとを含むバンドパスフィルターとして作られている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目14)
上記超音波変換器の上記共振周波数は、
【化2】
によって規定され、式中、Lは、上記インダクターのインダクタンスであり、Cは、上記キャパシタのキャパシタンスである、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目15)
周波数領域において、上記コンパレーターの利得と上記バンドパスフィルターの利得との積の大きさは、実質的に1と等しい、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目16)
上記周波数領域において、上記コンパレーターの上記利得と上記バンドパスフィルターの上記利得との上記積の位相は、2Piラジアンの整数倍と実質的に等しい、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目17)
上記コンパレーターは、高い開ループ利得を有する、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目18)
上記電源は、
上記DC電力を発生させるように構成されている電力供給源と、
該DC電力を変調するように構成されているコンバーターと
を含む、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目19)
上記コントローラーは、上記コンバーターを駆動させるために、上記感知されたDCに基づいてディジタルパルス幅変調信号を発生させるようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目20)
上記コントローラーは、上記非共振インバーターを駆動させるために、上記出力信号に基づいてディジタルパルス幅変調信号を発生させるようにさらに構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目21)
上記超音波運動発生器は、上記非共振インバーターおよび上記超音波変換器と電気的に結合されている変圧器をさらに含み、該変圧器は、該非共振インバーターによって逆変換される上記ACの振幅を制御するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目22)
上記超音波運動の長手方向変位は、上記コンバーターによって変換される上記DCの振幅に基づいている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の超音波装置。
(項目23)
組織を処置するための超音波システムであって、該超音波システムは、
超音波外科手術装置を含み、該超音波外科手術装置は、
直流(DC)を提供するように構成されている電源と、
該電源と電気的に結合されている超音波運動発生器であって、該超音波運動発生器は、
該DCを第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換するように構成されている非共振インバーターと、
該非共振インバーターと電気的に結合されている超音波変換器であって、該超音波変換器は、該逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させるように構成されている、超音波変換器と、
コンパレーターであって、該コンパレーターは、該超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、該超音波変換器の共振周波数からの該第1の周波数の偏差を自動的に検出するように構成され、該非共振インバーターを駆動するために、該偏差に基づいて出力信号を発生させるように構成されている、コンパレーターと
を含む、超音波運動発生器と、
該電源から該超音波運動発生器へ通過する該DCを感知するように構成されているセンサーと、
該センサーおよび該コンパレーターに結合されているコントローラーであって、該コントローラーは、該DCの振幅を制御するように構成されている、コントローラーと
を含む、超音波外科手術装置と、
組織を密封または解剖するために、該発生させられた超音波運動を該組織に適用するように構成されているエンドエフェクターと
を含む、超音波システム。
(摘要)
超音波運動発生器は、非共振インバーターと、超音波変換器と、コンパレーターとを含む。非共振インバーターは、直流(DC)を第1の周波数を有する交流(AC)に逆変換する。超音波変換器は、非共振インバーターと電気的に結合され、逆変換されたACに基づいて超音波運動を発生させる。コンパレーターは、超音波変換器を通過する運動電流に基づいて、超音波変換器の共振周波数からの第1の周波数の偏差を自動的に検出し、非共振インバーターを駆動するために、偏差に基づいて出力信号を発生させる。
【0021】
本開示は、後の詳細な説明とともに考えられる場合、添付の図面への参照によって理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A図1Aは、本開示の実施形態に従う超音波外科手術システムの側面立面図である。
【0023】
図1B図1Bは、本開示の実施形態に従う図1Aの超音波外科手術システムのハンドルおよび超音波変換器の斜視切欠き図である。
【0024】
図2図2は、本開示の実施形態に従う超音波外科手術ペンシステムの側面立面図である。
【0025】
図3図3は、本開示の実施形態に従う超音波外科手術システムのブロック線図である。
【0026】
図4図4は、本開示の実施形態に従う図3の超音波外科手術システムの振幅制御回路を例示している回路図である。
【0027】
図5A図5Aは、図4の振幅制御回路のボードプロットのグラフの例示である。
【0028】
図5B図5Bは、図4の振幅制御回路によって制御される電流振幅のプロットのグラフの例示である。
【0029】
図6A図6Aおよび図6Bは、本開示の実施形態に従う図3の超音波変換器の電気回路モデルを例示している電気回路図である。
図6B図6Aおよび図6Bは、本開示の実施形態に従う図3の超音波変換器の電気回路モデルを例示している電気回路図である。
【0030】
図7図7は、本開示の実施形態に従う図3の超音波変換器のコンパレーターの回路図である。
【0031】
図8図8は、本開示の実施形態に従う図3の超音波変換器の閉ループ制御モデルを例示しているブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
概して、本開示は、組織を処置(例えば、密封および解剖)するための超音波外科手術システムを提供する。超音波外科手術システムは、共振周波数を自動的にトラッキングするために、電気回路モデルに従う超音波機械的運動発生器を利用する。特に、超音波外科手術システムは、プロセッサーによって実施されるべき任意のコンピューターによる演算を必要とすることなく、その共振周波数を自動的にトラッキングする。超音波外科手術システムは、超音波変換器を含み、この超音波変換器は、バンドパスフィルター発振器アーキテクチャーに基づいている。組織処置は、コンパレーターによって適切な機械的共振周波数で駆動される超音波変換器の機械的作用によって達成される。
【0033】
パルス幅変調(PWM)振幅制御が、エンドエフェクターの機械的運動を調節するために、および組織を処置するための異なるレベルの電力を提供するために用いられる。さらに、比例−積分(PI)コントローラーが、負荷における変化に対する迅速な過渡的応答を得るために、および安定した外科手術を維持するために含まれる。
【0034】
超音波外科手術システムは、超音波変換器の機械的超音波運動を制御するために、2つの制御ループを含む。第1のループは、平均電力を制御するための振幅制御ループであり、平均電力は、長手方向モード変位を調節するために超音波変換器に送達され、第1のループは、閉ループフィードバック制御を含む。DC電力の振幅は、超音波変換器の長手方向モード変位の量に比例している。第2のループは、DC入力からAC信号を発生させ、バンドパスフィルター発振器に基づく超音波変換器の共振周波数を自動的にトラッキングする。第1および第2の制御ループを使用することによって、超音波外科手術システムは、本開示の実施形態に従って組織を処置するために十分な共振周波数において、調節された機械的超音波運動を提供する。
【0035】
次に、図面を参照すると、本開示の超音波外科手術システムが、最初に図1A図1Bから始まって、詳細に記載され、図1A図1Bは、組織を処置するための超音波外科手術システム100を例示している。超音波外科手術システム100は、電源110と、ハウジング130と、超音波変換器150と、エンドエフェクター190とを含む。電源110は、DC電力を超音波変換器150に提供する。局面において、電源110は、DC電力を直接提供する電池であり得る。さらなる局面において、電源110は、超音波外科手術システム100が、任意のケーブルに妨害されることなく、携帯して運ばれ得るように、ハウジング130の中に挿入可能であり得るか、またはハウジング130の中に組み込まれ得る。さらに別の局面において、電源110は、電源110が特定の量の時間にわたり、再使用可能であり得るように、充電可能であり得る。
【0036】
別の局面において、電源110は、交流(AC)電源に接続され得、AC電力をDC電力に逆変換し得る。AC電源は、比較的低い周波数(例えば、60ヘルツ(Hz))のものであり得、一方で、超音波外科手術システム100は、より高い周波数の電力(例えば、55.5キロヘルツ(kHz))を必要とする。従って、電源110は、超音波変換器150が機械的超音波運動を発生させることをもたらすために適した周波数を有するAC電力にDC電力が逆変換され得るように、低周波数AC電力をDC電力に変換し得る。
【0037】
図1Aおよび図1Bを引き続き参照すると、ハウジング130は、ハンドル部分131とカバー133とを含む。ハンドル部分131は、電源110が挿入される場合に電源110を収容する区画132と、電源ドア134とを含み、この電源ドア134は、開放される場合に、電源110が区画132の中に挿入されることを可能にする。局面において、電源ドア134は、区画132の内部と外部との間に防水密封を作り出し得る。ハンドル部分131は、トリガー136をさらに含む。電源110は、トリガー136が絞られる場合、超音波変換器150に電気的に接続され、その結果、超音波変換器150は、電力を供給されて、機械的超音波運動を発生させる。トリガー136が解放される場合、電源は、超音波変換器150と電気的に接続解除される。
【0038】
カバー133は、超音波変換器150を覆うことによって、保護を提供する。超音波変換器150は、発生器アセンブリ152と変換器アセンブリ154とを含む。発生器アセンブリ152は、1対の接点158を介して変換器アセンブリ154と電気的に接続されている。発生器アセンブリ152は、電源110からDC電力を受け取り、超音波周波数を有するAC信号を発生させる。発生器152アセンブリは、外科手術に基づいて、異なる周波数を有する信号を発生させることが可能であり得る。例えば、発生器アセンブリ152は、約40kHz〜約60kHzの周波数を有するAC信号を発生させる。
【0039】
変換器アセンブリ154は、変換器本体156と変換器取り付けポート160とを含む。変換器本体156は、発生器アセンブリ152によって発生させられるAC信号を受け取り、発生させられたAC信号の振幅および周波数に基づいて機械的超音波運動を発生させる。変換器本体156は、発生させられたAC信号を機械的超音波運動に変換する圧電性材料を含む。変換器本体156は、インダクターとキャパシタとを有する電気発振器モデルに基づき得、それは、充電と放電との間で振動する。変換器本体156についてのこの発振器モデルは、さらに詳細に下に記載される。
【0040】
カバー133は、スピンドル170も含み、このスピンドル170は、ユーザーがスピンドル170を容易に回転させ得るように、刻み目を有して形成されている。スピンドル170が時計回りに回転させられる場合、エンドエフェクター190は、ハウジングに取り付けられ、変換器取り付けポート160を介して超音波変換器150に機械的に接続され、その結果、エンドエフェクター190は、組織を処置するために、機械的超音波運動を伝える。局面において、スピンドル170は、エンドエフェクター190が任意の適切な角度で組織を密封および/または解剖することを提供し得るように、エンドエフェクター190を回転させ得る。
【0041】
エンドエフェクター190は、導波管192および194と、顎部材196とを含む。エンドエフェクター190は、変換器取り付けポート160を介して変換器本体156と機械的に接続されている。トリガー136が作動させられる(例えば、それが絞られるか、または引かれる)場合、1対の接点158は、発生器アセンブリ152と変換器本体156との間を電気的に接続し、その結果、発生器アセンブリ152によって発生させられる信号は、変換器本体156が長手方向に物理的に振動することをもたらし、それにより、機械的超音波運動を発生させる。局面において、変換器取り付けポート160は、係止部分を有し得、エンドエフェクター190は、この係止部分の周りで回転することにより、変換器本体156と物理的に結合する。この物理的結合を通して、エンドエフェクター190は、導波管192および194を介して変換器本体156から組織に機械的超音波運動を伝える。
【0042】
顎部材196はまた、旋回アームを有し、この旋回アームは、顎部材196と導波管194との間の組織を把持するように働くか、または締め付けるように働く。顎部材196および導波管194が組織を把持し、導波管194のみが機械的超音波運動を伝える場合、導波管194と顎部材196との間の把持されている組織の温度は、機械的運動に起因して増大する。機械的運動の振幅および周波数に従って、把持されている組織は、解剖され得るか、または密封され得る。
【0043】
図1Bは、図1Aのハウジング130のハンドル部分131から分離している超音波変換器150を例示している。1対のコネクター158は、超音波変換器150の回転移動が超音波変換器150と発生器アセンブリ152との間の接続を崩壊させないように、超音波変換器150の丸い溝に接続されている。従って、超音波変換器150は、ハウジング130内で自由に回転することができる。超音波変換器150は、外側結合部162をさらに含み、この外側結合部162は、エンドエフェクター190を超音波変換器150に対して物理的および/または機械的に係止する。
【0044】
超音波変換器150は、第1のコネクター164を含み、ハウジング130のハンドル部分131は、第2のコネクター142を含む。第1のコネクター164は、超音波変換器150から選択的に取り外し可能であり得、第2のコネクター142は、ハンドル部分131から選択的に取り外し可能であり得る。
【0045】
図2は、超音波外科手術ペンデバイス200を示し、この超音波外科手術ペンデバイス200は、図1Aの超音波外科手術システム100の別の例示的な実施形態である。超音波外科手術ペンデバイス200は、電源210と、ハウジング230と、超音波変換器250と、エンドエフェクター290とを含む。電源210、ハウジング230、超音波変換器250、エンドエフェクター290についての記載は、図1Aの電源110、ハウジング130、超音波変換器150、およびエンドエフェクター190のための記載と同様であり、従って、省略される。
【0046】
図3は、バンドパスフィルター(BPF)発振器アーキテクチャーを用いる超音波外科手術システム300(例えば、図1Aおよび図2の超音波外科手術システム100または200)を例示しており、この超音波外科手術システム300は、プロセス変動および環境的干渉に関わらず、BPFの共振周波数を自動的にトラッキングする。パルス幅変調(PWM)信号は、さらに詳細に下に記載されるように、機械的超音波運動を調節するために使用される。
【0047】
超音波外科手術システムのための超音波外科手術システム300は、電源310と、振幅コントローラー320と、自動共振トラッキングコントローラー360とを含む。振幅コントローラー320は、コンバーター330と、センサー340と、コントローラー350とを含む。自動共振トラッキングコントローラー360は、非共振インバーター370と、超音波変換器380と、コンパレーター390とを含む。
【0048】
電源310は、DC電力をコンバーター330に提供し、このコンバーター330は、DC電力の振幅を変調する。コンバーター330は、バックコンバーターまたはステップダウンコンバーターであり得る。センサー340は、次に、自動共振トラッキングコントローラー360へ通過する電流を感知する。コントローラー350は、感知された結果をセンサー340から受け取り、コンバーター330のデューティサイクルを制御するために、PWM制御信号を発生させる。
【0049】
図4は、図3の振幅コントローラー320を例示している回路図を示している。振幅コントローラー320は、コンバーター330の出力の振幅を制御し、その結果、超音波外科手術システム300は、組織を処置するために適した機械的超音波運動を発生させる。振幅コントローラー320は、ドライバー410と、コンバーター420と、センサー430と、アナログ−ディジタルコンバーター(ADC)450と、加算器460と、リファレンスプロバイダー470と、コントローラー480と、PWM発生器490とを含む。自動共振トラッキングコントローラー360は、並列でのキャパシタおよび負荷として示されており、それは、対象の共振周波数における電気モデルである。
【0050】
ドライバー410は、規則正しい間隔での可変長のパルスを有するPWM信号を用いて、コンバーター420の2つの電界効果トランジスター(FET)を駆動する。パルスの幅は、コンバーター420のFETをオンにしオフにする。コンバーター420は、電源から電力を受け取り、変調された電力をFETを通して出力する。出力電力は、DCの形態でセンサー430を通して流れる。センサー430は、感知抵抗器を含み、この感知抵抗器は、センサー抵抗器の周りの電圧を低下させる。感知抵抗器の抵抗値は、約0.02オーム(Ω)であり得る。感知抵抗器を通過するDCは、インダクター440も通過するので、インダクター440を通過するインダクター電流Iは、感知抵抗器を通過するDCを測定することによって決定され得る。
【0051】
センサー430によって感知された電流は、次に、ADC450によってサンプリングされる。ADC450のディジタルサンプルのビットのサイズは、センサー430の測定の正確さのレベルを決定する。実施形態において、ADC450が、14ビットで、感知されたデータをサンプリングする場合、測定された値の最大範囲は、最大16,384の部分範囲に分割され得る。
【0052】
概して、グリッチまたはノイズは、グリッチおよびノイズに関連する周波数がADC450のサンプリング周波数よりも高いので、ADC450のサンプルに本来的に含まれる。平均化フィルターが、グリッチおよびノイズを低減するために使用され得る。局面において、ADC450は、ゼロ次サンプルホールド(ZOH)を含み得る。
【0053】
局面において、ADC450は、調整器と補償器とを含み得る。ADC450は、その大きさが所定の最大(例えば、1ボルト)以下のデータのみをサンプリングすることができるので、コンバーター430の出力データが所定の最大よりも大きい場合、コンバーター430の出力データ(例えば、電流または電圧)は、調整され得る。従って、調整器は、出力データの大きさを調整する。ADC450が、調整された出力をサンプリングした後、補償器は、出力を調整し、その結果、補償された出力は、オリジナルデータと同じ大きさを有する。
【0054】
加算器460は、サンプリングされたデータ(すなわち、DCの測定された値)をリファレンスプロバイダー470によって提供される基準値から減算する。加算器460は、基準値がサンプリングされたデータよりも大きい場合には正の値を出力し、基準値が測定された値よりも小さい場合には負の値を出力し、基準値が測定された値と等しい場合にはゼロを出力する。
【0055】
局面において、リファレンスプロバイダー470は、異なる基準値を提供し得る。例えば、リファレンスプロバイダー470は、小さい負荷(例えば、50Ω)を有する基準値を提供し得、この基準値は、より大きい負荷(例えば、500Ω)を有する基準値よりも小さい。この手法において、振幅コントローラー320は、負荷に従って、DCの振幅を適切に制御し得る。
【0056】
コントローラー480は、加算器460からの出力を受け取り、PWM信号のデューティサイクルを制御する。実施形態において、加算器460からの出力が正である場合、コントローラー480は、増大したデューティサイクルを有するPWM信号を発生させるようにPWM発生器490を制御し、加算器460からの出力が負である場合、コントローラー480は、減少したデューティサイクルを有するPWM信号を発生させるようにPWM発生器490を制御する。PWM信号のデューティサイクルは、出力がゼロである場合、変更されることを必要としない。局面において、加算器460は、測定された値から基準値を減算し得る。この局面において、加算器460の出力の符号は、上の状況から逆にされ、デューティサイクルの増大および減少も逆にされる。
【0057】
PWM発生器490は、コントローラー480の制御に従って、適切なデューティサイクルを有するPWM信号を発生させる。発生させられたPWM信号は、ドライバー410によってコンバーター420を駆動するために使用される。この手法において、コンバーター420の振幅は、リファレンスプロバイダー470から出力される基準値と整合するように制御される。
【0058】
実施形態において、コントローラー480は、ディジタル領域において実現され得、比例−積分(PI)コントローラーを使用し得る。高DC利得が達成されるように、比例利得Kおよび積分利得Kが選択され得、静的誤差が、測定された値と基準値との間で低減される。PIコントローラーのループ利得G(s)は、周波数領域において以下の通り表され得る。
【数3】
周波数領域における利得中の積分利得部分に起因して、PIコントローラーは、極を補償するためにゼロを導入し、電力供給源からの変動を減衰させるために、安定性およびDC利得を保証する。
【0059】
2つの負荷についてのPIコントローラーに関するグラフ線図が、図5Aおよび図5Bに例示されている。図5Aは、周波数領域におけるボードプロットを示している。実施形態において、十分な位相マージンを確実にし、100kHzに設定されているスイッチング周波数に起因する高周波数極を避けるために、比例定数Kは、16に設定され得、積分利得Kは、100,000に設定され得る。左側におけるボードプロットは、最小50Ωの負荷についてのものであり、右側におけるボードプロットは、最大500Ωの負荷についてのものである。上部の2つのグラフは、ボード利得プロットであり、底部の2つのグラフは、ボード位相プロットである。両方のボードプロットについての水平軸は、対数目盛で周波数を表している。ボード利得プロットについての垂直軸は、デシベル(dB)目盛で大きさを表し、ボード位相プロットについての垂直軸は、位相を表している。
【0060】
図5Aに示されるように、負荷が50Ωである場合、かつ利得が1であるか、または利得のdBがゼロである場合、利得帯域幅積(GBW)は、4.6kHzであり、これは、スイッチング周波数の20分の1(5kHzである)よりも低いが、300Hzよりも高く、修正時間が、18ミリセカンド(ms)未満であることを確実にする。負荷が500Ωである場合、かつ利得のdBがゼロである場合、利得帯域幅積(GBW)は、5kHzと300Hzとの範囲内である4kHzであり、また、修正時間が、18ms未満であることを確実にする。さらに、最小負荷および最大負荷に関する両方の場合において、システムは、PIコントローラーで安定している。
【0061】
図5Bは、負荷における変化に従う電流の振幅における変化を示している。図5Bの3つ全てのグラフについての水平軸は、時間である。底部のグラフは、50Ωが、開始時に負荷され、負荷が、5msにおいて50Ωから500Ωに変化し、10msにおいて500Ωから50Ωに戻るように変化することを示している。中間のグラフは、インダクターを通過する電流の振幅における変化を示しており、このインダクターは、図4のインダクター440であり得る。図3の振幅コントローラー320は、反応し、インダクター電流が基準値に戻るように強制する。従って、インダクター440を通過する電流の振幅における変化は、負荷が負荷されて、変化させられる場合に起きる。上部のグラフは、超音波変換器380を通過する電流の振幅における変化を示している。振幅は、より高い負荷が負荷される場合に低下する。これは、たとえ超音波外科手術システム300が超音波変換器380に対してより大きい出力電圧を強制したとしても、寄生キャパシタが、運動電流出力においてオフセットを作り出すからである。この欠点は、リファレンスプロバイダー470によって提供される基準値を調整することによって補正され得る。実施形態において、ADC450が14ビットサンプルデータを使用し、リファレンスプロバイダー470が、50Ωの負荷で、基準値として5,000を提供する場合、リファレンスプロバイダー470は、自動共振トラッキングコントローラー360を通過する電流における振幅の低下を補償するために、500Ωの負荷で、基準値として7,000を加算器460に提供し得る。
【0062】
図6Aは、自動共振トラッキングコントローラー360を例示しているBPF発振器モデル600を示している。BPF発振器モデル600は、BPF回路610と運動感知回路650とを含む。超音波変換器380についての電気モデルを表しているBPF回路610は、キャパシタンス値Cを有する運動キャパシタと、抵抗値Rを有する運動抵抗器と、インダクタンス値Lを有する運動インダクターと、キャパシタンス値Cを有する寄生キャパシタとを含む。運動キャパシタおよび運動インダクターは、超音波変換器380の機械的運動を表している。すなわち、機械的超音波運動は、BPF回路610において、エネルギーを蓄えて放つものとして作られている。BPF回路610の共振周波数において、運動抵抗器は、超音波外科手術システム100のエンドエフェクター190、または機械的負荷を表している。抵抗値Rは、50Ω〜500Ωの範囲に及び得る。キャパシタおよびそのキャパシタンス値、インダクターおよびそのインダクタンス値、ならびに抵抗器およびその抵抗値は、混乱がない場合、以下に交換可能に使用され得、例えば、運動抵抗器Rおよび抵抗値Rは、交換可能に使用され得る。
【0063】
BPF回路610のインピーダンスは、周波数領域において計算され得る。寄生キャパシタは、運動キャパシタ、運動抵抗器、および運動インダクターと並列である。周波数領域における寄生キャパシタのインピーダンス
【数4】
は、以下の通りである。
【数5】
周波数領域において、運動キャパシタのインピーダンス
【数6】
、運動抵抗器のインピーダンス
【数7】
、運動インダクターのインピーダンス
【数8】
は、それぞれ以下の通りである。
【数9】
【数10】
および
【数11】
運動キャパシタ、運動抵抗器、および運動インダクターは、直列で接続されているので、周波数領域におけるそれらの総インピーダンスZは、
【数12】
である。
インピーダンスZは、寄生キャパシタと並列であり、BPF回路610の総インピーダンスZTotalは、
【数13】
である。
【0064】
ここで、共振におけるBPF回路610または超音波変換器380のインピーダンスは、ZTotalである。このBPF回路610において、2つの共振周波数、直列共振周波数ω0,seriesおよび並列共振周波数ω0,parallelが存在し、それらは、
【数14】
として表される。しかし、直列共振周波数ω0,seriesのみが、超音波変換器の機械的超音波運動における補正共振周波数として出現する。超音波変換器380の共振周波数は、運動キャパシタのキャパシタンス値Cおよび運動インダクターのインダクタンス値Lに依存する。
【0065】
運動抵抗器を通る、または超音波変換器380を通る運動電流Iを測定するために、BPF発振器モデル600は、運動電流Iを感知する運動感知回路650を含む。運動感知回路650は、キャパシタンス値Cを有するキャパシタを含み、このキャパシタは、抵抗値Rを有する抵抗器と直列であり、このキャパシタおよびこの抵抗器は、抵抗値RおよびRを有する2つの抵抗器と並列である。抵抗値Rは、BPF回路610のインピーダンスに対して非常に大きく、その結果、入力電流IINのほとんどが、BPF回路610を通り過ぎる。換言すると、抵抗器Rは、開回路のようである。従って、BPF発振器モデル600は、抵抗器Rを無視し、BPF回路610を、寄生キャパシタCと、他の受動素子L、R、およびCを表しているインピーダンスブロックZとの並列の組み合わせとして単純化することによって、図6Bのように単純化され得る。
【0066】
運動感知電圧VMFBは、運動電流Iに関連している。運動感知電圧VMFBと運動電流Iとの間の関係は、
【数15】
である。従って、この関係は、運動感知電圧VMFBが、Kの利得によって、運動電流Iに比例していることを示している。利得Kは、周波数領域において以下の通り表され得る。
【数16】
【0067】
運動感知電圧VMFBと運動電流Iとの間の関係はまた、運動感知回路650が、運動電流Iを直接測定することを示している。しかし、この運動感知回路650は、周波数依存性であり、負荷Zの関数である。受動素子R、R、およびCの選択は、広範囲な周波数にわたるZにおける変動、異なる負荷条件、および寄生並列キャパシタCに基づき得る。利得Kの方程式の分子において認められ得るように、運動感知回路650を負荷非依存性回路にし、測定された信号におけるその作用を完全に無効にするために、Rは、
【数17】
に整合され得る。この選択は、明らかに負荷非依存性であり、負荷の変動に対して感知信号をよりロバストにし得、広い負荷過渡にわたって良好なトラッキングを確実にする。
【0068】
図3を参照すると、非共振インバーター370は、変調されたDC電力をコンバーター330から受け取り、超音波変換器380の共振周波数を有するAC電力に逆変換する。非共振インバーター370は、コンパレーター390からの出力信号によって駆動される。非共振インバーター370は、任意の適切なトポロジー(例えば、H−ブリッジ(例えば、フルブリッジ)、半ブリッジなど)を含み得る。
【0069】
局面において、コンパレーター390からの出力信号は、コントローラー350によってディジタル方式で発生させられ得る。この実施形態において、コントローラー350は、コンバーター330を駆動するためのDPWM信号を発生させるだけではなく、非共振インバーター370のために、50%デューティサイクルを有する共振信号も発生させる。それにもかかわらず、コントローラー350は、自動共振トラッキングコントローラー360を制御しない場合がある。コントローラー350は、コンパレーター390からの出力をただ受け取り、コンパレーター390の出力に従って共振信号を発生させ、発生させられた共振信号を非共振インバーター370に提供する。
【0070】
局面において、コントローラー350は、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または複合プログラマブル論理デバイス(CPLD)を用いて実現され得る。このリストは、例を提供しており、当業者が認識するような他の技術およびデバイスをさらに含み得る。
【0071】
非共振インバーター370は、超音波変換器380の共振周波数をトラッキングすることによって、DC電力をAC信号に逆変換し、その周波数は、非共振インバーター370のスイッチング周波数から独立している。
【0072】
局面において、変圧器は、変圧器が、逆変換されたAC電力の振幅を増大または減少させ得るように、非共振インバーター370と超音波変換器380との間に電気的に結合され得る。
【0073】
超音波変換器380は、第1の周波数を有するAC電力を受け取り、機械的超音波運動を発生させる。第1の周波数が、超音波変換器380の共振周波数と整合しない場合、図6Aおよび図6Bに記載されるように、コンパレーター390は、運動電流Iを受け取り、超音波変換器380の共振周波数を自動的にトラッキングする。
【0074】
特に、超音波変換器380を通過する運動電流Iは、その共振周波数からの第1の周波数の偏差に基づいて揺らぐ。換言すると、第1の周波数が共振周波数と整合しない場合、運動電流Iは、ゼロから上昇または下降する。従って、運動電流Iは、超音波変換器380の共振周波数の情報を有する。
【0075】
コンパレーター390は、超音波変換器380の共振周波数情報を有する出力信号を発生させるために、運動電流Iを増幅させる。例として、図7は、図3のコンパレーター390の回路図を示している。コンパレーター390は、増幅器710を含み、この増幅器710は、第1および第2の入力ポートと、出力ポートとを有する。2つの入力ポートの各々は、電圧を増幅器710に提供し、この増幅器710は、一方の電圧から他方の電圧を減算し、差異を増幅する。
【0076】
電圧源720は、第1および第2の入力ポートを介して、電圧を増幅器710に提供する。コンパレーター390は、4つの抵抗器730a〜dを含む。抵抗器の第1の対730aと730bとは、直列で接続され、抵抗器の第2の対730cと730dとは、直列で接続されているが、抵抗器の第1の対と抵抗器の第2の対とは、並列で接続されている。電圧源720は、抵抗器730aおよび730cに接続され、抵抗器730bおよび730dは、接地に接続されている。第1の入力ポートは、2つの抵抗器730aと730bとの間の接続点に接続され、第2の入力ポートは、2つの抵抗器730cと730dとの間の接続点に接続されている。
【0077】
この例において、4つの抵抗器730a〜730dの抵抗値は、互いに同じである。従って、外部回路からの入力がない場合、第1の入力ポートおよび第2の入力ポートは、同じ電圧を提供され、それは、分圧則に従って、電圧源720が提供する電圧の半分である。従って、増幅器の出力、またはコンパレーター390の出力は、ゼロAC運動信号電流である。特に、アイドル状態中、静的出力は、非共振インバーター370の片側をオンにし、一定のDC出力をもたらす。従って、電力は、負荷に送達されない。
【0078】
抵抗器730aと730bとの間の接続点はまた、キャパシタ740に接続され、このキャパシタ740は、超音波変換器380から運動電流Iを受け取り、第2の入力ポートはまた、キャパシタ750に接続され、このキャパシタ750は、接地に接続されている。キャパシタ740は、運動電流IのDC成分が増幅器710に提供されることを防止する。次に、運動電流Iが揺らぐ場合、第1の入力ポートへの入力はまた、それに応じて揺らぎ、増幅器710は、揺らぎに起因する第1および第2の入力ポートからの入力間の差異を増幅する。この手法において、運動電流Iに含まれる共振周波数情報は、コンパレーター390の出力に増幅され、コンパレーター390の出力に含まれる。
【0079】
コンパレーター390は、電圧源720と、増幅器710の出力ポートとの間に接続されているフィードバック抵抗器760と、別の抵抗器770とをさらに含み、この別の抵抗器770は、増幅器710の出力ポートに接続されている。コントローラー350への電流の流れを制限するために、高抵抗値(例えば、1kΩ)を有する抵抗器770は、コンパレーター390とコントローラー350との間に設置され得る。
【0080】
実施形態において、増幅器710は、無限利得を有し得、その結果、アナログ信号(すなわち、運動電流I)は、非共振インバーター370を直接駆動し得るディジタル信号に変換され得る。次に、非共振インバーター370は、超音波変換器380の共振周波数を有するACを発生させ、次にそれは、超音波変換器380の共振周波数を有する機械的超音波運動を発生させることになる。しかし、実際には、コンパレーター390は、図6Aに記載されるような運動抵抗器の抵抗値Rよりも高いものであり得る限定的だが非常に高い利得、または機械的抵抗を有し、ディジタル信号と同様の信号を出力する。コントローラー350は、次に、この信号を受け取り、非共振インバーター370を駆動するために、共振周波数情報を有するDPWM信号を発生させる。
【0081】
図8は、図3の超音波変換器380およびコンパレーター390の閉ループフィードバックシステム800を例示しているブロック線図を示している。閉ループフィードバックシステム800において、BPF810は、超音波変換器380を表し、電圧リミッター820は、図3のコンパレーター390を表している。ここで、BPF810および電圧リミッター820は、超音波変換器380およびコンパレーター390が閉ループフィードバックシステムを形成しているように、閉ループフィードバックシステム800を形成している。閉ループフィードバックシステム800において安定な振動を有するために、以下の基準が満たされるべきである。
【数18】
式中、βは、電圧リミッター820の利得であり、Aは、BPF伝達関数HBP(s)であり、nは、ゼロ以上の整数である。上の基準は、バルクハウゼン安定基準と呼ばれる。
【0082】
BPF伝達関数HBP(s)は、以下の通り表される。
【数19】
式中、Kは、BPF810の分子係数であり、ωは、BPF810の中心周波数であり、Qは、BPF810のQファクタである。次に、閉ループフィードバックシステム800の伝達関数HCL(s)は、
【数20】
であり、式中、βは、電圧リミッター820の利得であり、LG(s)は、閉ループシステム800のループ利得である。
【0083】
バルクハウゼン安定基準に基づいて、ループ利得LG(s)は、閉ループフィードバックシステムの伝達関数HCL(s)の分母をゼロにするものでなければならず、それは、閉ループフィードバックシステム800の大きさを無限にし、振動を確実にする。実用的に、超音波変換器は、共振周波数のシフトをもたらし得る環境変動(例えば、負荷または温度の変化)を受ける。しかし、振動中心周波数は、厳密に共振周波数に位置し、それは、閉ループフィードバックシステム800が超音波変換器の共振周波数を自動的にトラッキングすることを保証する。この特徴の複雑さは、伝達関数HCL(s)の分母に示されるような通常の2次系と同じくらい単純である。
【0084】
局面において、電圧リミッター820の利得βは、持続振動についてのバルクハウゼン安定基準を満たすために、共振周波数におけるBPF810のピークの大きさの値を表している
【数21】
の最小値よりも大きいものでなければならず、図6Aおよび図6Bの記載に基づいた、運動抵抗器の抵抗値Rよりも大きいものでなければならない。利得βが
【数22】
よりも小さい場合、出力信号振幅は、振動を持続するためには不十分であり、最終的に静的状態に落ち着く。
【0085】
他の改変および変更が、特定の動作要件および環境に合うようになされ得るが、本開示が、本明細書中に記載される例示的な例に限定されないこと、および本開示の趣旨または範囲から外れない様々な他の変更および改変を含み得ることが当業者によって理解されるべきである。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8