(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の方法において、前記抽出工具は切削チップを有するものであり、前記生物材料を分離する工程は前記切削チップにより前記回転切断動作を前記生物材料の領域に加えるものである、方法。
請求項1記載の方法において、前記液体は、前記抽出工具に一体化された液体供給ポートと液体吸引ポートにより供給および吸引されるものであり、前記液体供給ポートと液体吸引ポートは離間して別々に設けられているものである、方法。
請求項6記載の方法において、前記生物試料は、一連の生物切片を有するものであり、前記生物切片の夫々は抽出すべき生物材料の領域を含み、1生物切片上の前記関心領域は、別の生物切片からの対応する関心領域に基づいて定義されるものである方法。
請求項8記載の方法において、前記抽出工具は切削チップを有するものであり、前記生物材料を分離する工程は前記切削チップにより前記回転切断動作を前記生物材料の領域に加えるものである、方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を開示および説明する前に、本発明は、本明細書に開示されている特定の構造、プロセスの手順、または材料に限定されず、当該関連技術の当業者には認知されるように、それと同等のものに拡張されるものと理解すべきである。また、本明細書に用いられている用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のために用いられていて、限定することを意図しているわけではないと理解されるべきである。
【0017】
本明細書および請求の範囲に用いられているように、単数形を表す「a」、「an」、「the」が付く名詞は文脈上、そうでないとする明確な記載がない限り、複数形も含まれることに留意すべきである。したがって、例えば、「前記切削チップ」と呼ぶ場合は、1つもしくはそれ以上の当該チップを含み、「液体ポート」と呼ぶ場合は、1つもしくはそれ以上の当該ポートを含む。
【0018】
本発明の説明および請求では、以下の用語が下記に記載の定義に基づいて使用される。
【0019】
本明細書では、「実質的に」という用語は、動作、特徴、属性、状態、構造、単位体、または成果の完全またはほぼ完全な範囲または度合いを示す。絶対的な完全からの逸脱についての正確な許容度は、場合によっては、具体的な文脈に依存することがある。ただし、一般的に言えば、完全に近いということは、絶対的および全体的な完全が得られたかのような場合と同様の全体的な成果を有することとする。「実質的に」の用法は、動作、特徴、属性、状態、構造、単位体、または成果の完全またはほぼ完全な欠如を示す否定的な意味合いで用いられる際に、同じように当てはめられる。例えば、「実質的に」に粒子がない組成は、完全に粒子が欠如している組成、もしくはほぼ完全に粒子が欠如し、完全に粒子が欠如しているかのように、効果が同様になる組成であることを意味する。言い換えると、成分または要素が「実質的にない」組成であっても、それについての対象属性に測定可能な効果がなくても、実際にはそのような単位体が含まれていることがある。
【0020】
本明細書では、「約」という用語は、当該技術の当業者によって認知されているように、所与の値が、指標よりも「やや上」または「やや下」で、ある程度の自由度を与えることにより、数量範囲の指標に自由度を与えるために用いられる。さらに、「約」という用語は、特に明記されていない限り、正確な指標を明示的に含む。
【0021】
本明細書で用いている複数の単位体、構成要素、組成要素、および/または材料は、便宜上、公知の一覧に示されていることがある。ただし、前記一覧は、前記一覧の各構成要素が、独立した一意の番号で別個に識別されているかのように解釈すべきである。したがって、反対の指摘がなければ、かかる一覧のどの構成要素も、公知の分類の提示を基準にしただけの同一覧のどの構成要素とも事実上同等であるとは解釈してはならない。
【0022】
本明細書の濃度、量、およびその他の数値データは、範囲の形式で表示または説明されていることがある。このような範囲の形式は単に利便性および簡潔さのために用いられているため、柔軟に解釈し、範囲を限定するものとして明示的に詳述された数値を含むだけでなく、その範囲内に取り囲まれている各数値すべてまたはその小範囲も含むものと理解すべきである。図では、「約1から約5」の数値範囲には、約1から約5の明示的に詳述された値だけでなく、示された範囲内の各数値および小範囲も含まれるものと解釈すべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、3、および4などの複数の各値、および1から3、2から4、および3から5などの小範囲、ならびに1、2、3、4、および5といった個別の各値である。これと同様の原理は、最小値または最大値として1つの数値のみを詳述している範囲に適用される。また、このような解釈は、説明されている範囲の幅または特徴に関係なく適用すべきである。
【0023】
本開示は、材料試料から材料を取り出すための装置、システム、および方法に関する。場合によっては、抽出された材料は、さらなる処理または解析のために保存される。それは、法医学、材料純度の試験、組織病理学、コアサンプリングなどに関与する手順である場合がある。場合によっては、材料試料の連続切片を生成することができ、隣接切片からの構造的特徴をさらなる解析用に保持しながら、1つの切片の破壊型サンプリングが可能である。
【0024】
かかるテストが有益である場合の一例は、生物材料が生物試料から取り出される組織病理学または他の生物学的分野である。ここで、後述の説明の多くは、生物学的性質のものであるが、本範囲はそれに限定されていないことに留意すべきである。むしろ、本開示は、本実施形態に関係するどのような材料および/または試験手順にも当てはまる。
【0025】
1実施形態では、生物材料を生物試料から選択的に抽出する方法が提供される。このような方法では、生物試料から抽出対象の生物材料の領域が識別される。場合によっては、前記生物試料は、例えば、実質的に平らな表面または平らな表面などに置かれている。その他の場合では、前記生物試料は、固体形状または他の三次元物体であってもよい。前記生物材料は、生物材料の任意の種類であってよく、動物、ヒト、植物、菌類などを含む、さまざまな生物有機体から派生するものであってよい。前記生物試料自体は、生物有機体から派生した任意の材料であってよく、これには、組織、組織切片、臓器、臓器切片、細胞、培養細胞、培養組織、植物、分泌物、排出物などが含まれ、これらの組み合わせが含まれる。前記生物材料はまた、プラスチック、パラフィン、ゲルなどあらゆる素材の母材、または固体、半固体、または懸濁状の材料を示すことに役立つあらゆる薬剤などに包埋することもできて、生鮮または冷凍の生物試料または試料切片であってもよい。したがって、前記生物材料の領域は、生物試料から抽出される生物材料の部分である。
【0026】
前記方法はさらに、抽出工具を前記生物材料の領域に適用し、生物材料を生物試料から分断することを含むことができる。実施形態によっては、前記抽出工具が、前記識別された領域で前記生物試料に接触して、そこから生物材料を分断する。前記生物材料を分断する能力がある抽出工具のどのような構成も、本範囲内であるものとみなされる。また、さまざまな分断動作も考えられる。1実施形態では、例えば、分断動作は切断動作である。切断動作の非限定的な例には、回転すること、振動すること、薄切りすることなどが含まれ、これらの組み合わせも含まれる。1つの具体的な実施形態では、切断する動作は回転することである。
【0027】
前記方法はまた、前記生物材料の領域で液体を分注することを含むことができる。前記液体は、生物試料の一部に分注することができるか、または前記試料全体に完全にまたは実質的に分注することができる。1実施形態では、例えば、前記液体は、前記材料の領域と前記抽出工具との間の界面に分注される。前記液体は、生物材料を生物試料から抽出することに有益な任意の液体であってよい。前記液体は、前記分断された生物材料と混ぜ合わせ可能な任意の液体媒体を含むことができる。場合によっては、前記液体を生物材料と単に混ぜるだけの設計することができる。その他の場合では、前記液体は、生物材料および/または生物試料と反応するように調製することができる。例えば、前記液体には、前記生物材料の分断および/または分解を円滑にするための酵素または他の化学的成分を含むことができる。したがって、前記生物材料が前記生物試料から抽出しながら、後続の処理手順を円滑にすることができる。前記液体には、1つもしくはそれ以上のさまざまな溶剤、酵素、緩衝剤などを含むことができる。1実施形態では、前記液体は水または精製水であってよい。
【0028】
この方法はまた、前記液体、および前記生物試料から前記分断された生物材料の少なくとも一部を取り出すことを含むこともできる。したがって、前記分断された生物材料が、前記液体と混ざると、前記液体および前記生物材料の両方を後続の処理用または廃棄用に取り出すことができる。任意の酵素反応に加えて、前記液体は、したがって、前記生物材料の懸濁液または浮遊液を作り出し、前記試料からの取り出しを円滑にする。取り出しは、さまざまな仕組みを介して行われ、これには、吸引、吸上、重力流動などが含まれるがこれに限定されるものではない。1つの具体的な実施形態では、前記取り出しは、吸引により行われる。前記液体の前記取り出しは、前記液体の前記分注と順番に行うか、または前記取り出しを前記分注と同時に行うことができる。1つの具体的な実施形態では、前記液体が同時に分注され、吸引される。さらに、場合によっては、前記液体の分注および取り出しが、前記抽出工具から独立して行われる。1実施形態では、前記液体は、前記抽出工具により分注され、吸引される。
【0029】
液体の分注および取り出しについては、前記材料の前記分断とともに説明されているが、かかる分断は、液体がなくても行うことができること、および分断された材料を取り出す物理的な方法の他のどの方法も本範囲内にあるとみなされることに留意すべきである。例えば、前記分断された材料は、真空を用いて前記表面から取り出すことができ、エアーフィルターで回収することができる。
【0030】
本開示はさらに、材料を試料から抽出する工具も提供する。1実施形態では、
図1に示されるように、例えば、生物材料を生物試料から選択的に抽出する抽出装置が提供される。そのような装置は、前記装置のさまざまな構成要素および少なくとも1つの切削チップ14を有する筐体12を含むことができる。本明細書に説明されているように、前記切削チップ14は、例えば、回転、薄切り、振動、打ち抜きなど、さまざまな切断動作を用いて、生物材料を前記生物試料から分断することができる。1つの具体的な実施形態では、前記切断する動作は回転することである。そのような場合には、前記切削チップ14は、前記筐体12に回転自在に連結されていて、16に連結し、モーター(図示せず)により回転自在に駆動するように構成されている。したがって、前記切削チップは前記生物試料と接触して、前記回転動作は生物材料を分断する。
【0031】
前記抽出装置はさらに、前記筐体12に連結されていて前記切削チップ14の近位に位置している少なくとも1つの液体分注ポート18を含むことができる。したがって、前記液体分注ポート18は、液体を前記切削チップ14で分注して、そうすることで切断手順を実施するために必要な液体の量を減らすことができる。さらに、前記抽出装置は、前記筐体12に連結されていて前記切削チップ14の近位に位置している少なくとも1つの液体吸引ポート19を含むことができる。したがって、前記液体吸引ポート19は、液体および分断された生物材料を前記切削チップ14の近位に位置している領域から吸引するため、前記生物試料の他の領域の液体および生物材料との接触を最小限にする。
【0032】
1実施形態では、前記液体分注ポートおよび前記液体吸引ポートは、前記切削チップとともに回転する。このような構成の1実施形態は、
図2Aおよび
図2Bに表示されている。
図2Aは、1実施形態を示し、切削チップ22付きの抽出装置20、液体分注ポート24、および前記切削チップ22に関連する液体吸引ポート26を有する。前記液体分注ポート24および前記液体吸引ポート26の両方が、前記切削チップ22とともに回転するという方法で、前記切削チップと関連していることに留意すべきである。したがって、手順中に分注される液体は、前記切削チップと前記生物試料との間の界面に位置する。
図2Aの矢印は、使用最中の前記液体分注ポート24から前記液体吸引ポート26への液体の流れ経路を示す。
【0033】
図2Bは、使用最中の
図2Aの切除装置の断面図を示す。この場合は、生物試料27が実質的に平らな表面28の上に置かれていて、回転中25の切削チップ22が前記生物試料と接触している。液体は、前記切削チップ22と関連する前記液体分注ポート24から分注されて、前記切削チップ22と前記生物試料27との間の界面に液体を提供する。生物材料は、前記生物試料から分断されて、前記界面で前記液体と混ざる。前記液体および生物材料の混合物は、前記界面から前記液体吸引ポート26を経由して吸引される。矢印29は、前記液体吸引ポート26を通じておよび前記抽出装置を通じて吸引されている前記液体および生物材料を示す。
【0034】
別の実施形態では、前記液体分注ポートおよび前記液体吸引ポートは同時に動作することができる。かかる機能に達するために多くの設計を活用でき、かかる設計はすべて、本範囲内であるものとみなされることに留意する。例えば、1実施形態では、前記液体分注ポートからの流体を同時に汲み上げて、前記液体吸引ポートを通じて液体を吸引するための個別ポンプを活用することができる。他の実施形態では、単一ポンプを活用することができて、同時機能を可能にする十分な流体を有する。
図3に示される1つの例示的な実施形態では、前記抽出工具の前記内部構成により、かかる同時機能を可能にすることができる。
図3の左側の図では、抽出装置30が液体保持容器31の中のところまできていて、液体32に接触する。前記抽出装置30内に密封状態を作り出すプランジャー33は、前記液体分注容器32の方向に押される。この押し下げによって、前記液体32が液体分注ポートおよび関連する分注経路34を通って移動するようになり、前記抽出工具内の液体分注貯水器35を充填する。このようにして、前記プランジャー33の移動により生じた負圧により、前記液体分注貯水器35が液体に充填される。
図3の中央の図に示されるように、前記抽出工具30はそこから、実質的に平らな表面の上にある生物試料に対して置かれて、生物材料を分断するために回転する。前記装置が回転している間、前記プランジャー33は、前記実質的に平らな表面36から遠ざかる方向に引き出され、前記液体分注貯水器35に正圧が生じる。この正圧は、前記分注経路34を通じて、前記生物試料と前記切除装置との間にある前記界面37の前記液体分注ポートから液体を分注する。同時に、前記プランジャー33の引き出しにより、負圧が液体吸引貯水器38内に生じ、それが、前記界面37の液体を前記液体吸引ポートおよび関連する液体吸引貯水器39を通じて吸引する。このようにして、前記液体吸引貯水器を液体および分断された生物材料を前記液体吸引貯水器に充填する。
図3の右側の図は、前記切削チップ40に向かって押されている前記プランジャー33を示し、このようにして、前記液体吸引貯水器38に正圧が生じ、前記液体および生物材料を液体保持容器31に吐き出す。前記液体保持容器は、前記抽出装置を充填する前記液体保持容器と同一であってよく、または異なってもよい。
【0035】
前記切除装置の前記さまざまな構成要素は、金属、樹脂、ゴムなどさまざまな素材で作ることができる。前記密閉部材は、軟質の合成樹脂またはゴムなどの柔軟な素材で作ることができ、前記注射管および切削チップは、例えば、硬質の剛性樹脂または金属などの硬い素材で作ることができ、前記プランジャーは、中程度に柔軟な素材で作ることができる。液体と接触する素材においては、使用されている前記液体に対してある程度の非反応性を有すると有益である。
【0036】
さまざまな切削チップ設計が考えられ、かかる設計は、処理される材料の種類および/または構成、ならびに使用される前記システムの全体的な設計に応じて異なってよい。切削チップの種類の非限定的な例には、刃、摩擦片、平削盤、粗面、掻き棒、鋸歯などが含まれ、これらの組み合わせが含まれる。例えば、研削砥石などの粗面を使用して、材料を試料から分断することができる。1実施形態として、有用な切削ビット設計が
図4に示されている。
図4は、回転自在の切削チップ44が連結されている出装置筐体42を示す。前記切削チップは、少なくとも1つの側面開口部46を有し、対応する切削ビット48を有する。前記切削ビットは、前記切削チップ44の下側表面49から少し突き出る。この実施形態では、前記割れ目のある円形切削チップ44が、貯留する「堰(せき)」としての役割を効果的に果たす。
【0037】
液体は、前記筐体42に位置する液体分注ポート45から分注される。前記液体は、前記開口部46を通って、ならびに前記下側表面49とスライドなどの前記支持基板との間を通って、「堰」に入る。そこから、前記液体は、前記切削ビット48に近接する前記切削チップの中央を通り抜けて、吸引される(吸引穴は図示せず)。したがって、前記切削チップ44が回転し、前記前記分断された材料が前記液体とともに前記抽出工具により吸引されると同時に、前記切削ビット48により、前記材料、例えば生物材料などが、分断される。別の実施形態では、前記切削チップに開口部がなくてもよく、前記液体は最終的に、前記下側表面49と前記支持基板との間にある前記切削チップ44の内部に吸い込まれる。このような設計は、支持基板表面上の前記分断された材料の損失を最小限にすることが可能である。
【0038】
前記切削チップの大きさもまた、前記装置の用途に応じて大きく異なってもよい。したがって、切削チップのどの大きさも、本範囲内にあると見なされる。ただし、1実施形態では、前記切削チップは、約10μmの大きさから約1mmの大きさの生物材料の領域を分断する大きさに形成される。別の実施形態では、前記切削チップは、約100μmの大きさから約250μmの大きさの生物材料の領域を分断する大きさに形成される。
【0039】
材料抽出装置およびシステムのさまざまな用途が考えられ、どのような有益用途も本範囲内にあるものとみなされる。1実施形態では、例えば、本開示には、スライド上の組織切片などの生物材料から特定の関心領域を切断し、後続の生化学解析用に組織片を回収する組織システム、装置、および方法が含まれる。具体的には、抽出装置は、本明細書に説明されているように、かかる切断を円滑にするために活用することができる。1実施形態では、前記抽出装置を含むシステムはさらに、スライドなどの実質的に平らな基板を保持し、それをXおよびY軸の両方の方向に移動するプラットフォームを含むことができる。前記システムはさらに、前記スライドの上に位置するヘッド要素を含むことができて、前記抽出装置が連結されているところへZ軸移動することが可能である。したがって、前記抽出装置は、生物材料の極めて特定の領域を前記スライド表面から移動することができる。実施形態によっては、前記切断処理を観察できるように、顕微鏡を前記スライドの下に配置することができる。他の実施形態では、移動させる関心領域を指定するために専用ソフトウェアを組み込むことができる。
【0040】
上記に示した前記切削チップに加えて、専用の切削ビットは、そのビットの回転動作によって材料を試料からまたは表面から移動するミルビッドに類似するものであってよい。液体分注ポートおよび液体吸引ポートを含む前記切削ビットの実施形態の場合、前記切削ビットは、前記切断表面上に直接、液体を同時に分注および吸引することが可能であり、生物材料から移動した切片を、前記吸引された液体の中にある状態で回収する。上記に説明および考慮された前記切削チップ設計に加えて、前記切削ビットは、前記注入器プランジャーの密閉部材が注入器本体を2つのチャンバーに分割し、前記プランジャーの密閉部材の片側に1つずつになる変形注入器であってよい。前記プランジャーが引き出されると、前記プランジャー側のチャンバーからの液体が移動し、前記プランジャー本体の外側の導管を通り抜けて、前記プランジャーから前記注入器本体の反対側に位置する前記切削チップのすぐそばにあるスライドに分注される。前記プランジャーを引き出す動作もまた、前記分注された液体を前記スライドから前記注入器本体の前記注入器チャンバーへ吸引する。前記注入器プランジャーが引き出されると同時に、前記切削ビットが回転し、スライド表面上のXおよびY軸方向に移動し、組織片が移動する。したがって、前記組織は、前記スライド表面から切断されると同時に、液体の流れに乗せられて、前記切削ビットにより捕捉される。切断後は、前記切断液体を管に排出するために前記プランジャーが押されるため、前記切断および吸引された組織片の回収ができる(例は
図3を参照のこと)。複数の大きさの切削ビットにより、より精密またはより高速の切断ができる。言うまでもなく、そのような注入器タイプの実施形態は単なる例であり、限定するものとして理解されてはならない。
【0041】
本開示はさらに、材料を材料試料から抽出するシステムを提供する。1実施形態では、例えば、
図5に示されているように、生物材料を生物試料から選択的に抽出するシステムは、抽出装置52を含むことができ、前記抽出装置は作動的に支持基板54に対抗し、前記支持基板54の上に置かれた生物試料に係合する配置になっている。前記支持基板54は、前記生物試料を支持することが可能で、本明細書に概説されているように機能することが可能なあらゆる基板であってよい。非限定例は、顕微鏡のスライド、クランプ、ペトリ皿、固体支持面などを含むことができる。実施形態によっては、前記支持基板は、少なくとも実質的に平らであってよい。他の実施形態では、前記支持基板は、透明または半透明であってよい。そのような透明な基板より、前記切断手順を前記基板の下から見ることができる。
【0042】
前記システムもまた、前記抽出装置52に作動的に連結されたモーター56を含むことができる。前記モーターは、切削チップ57を回転させるために構成することができる。かかる回転が可能などのようなモーターも考えられ、そのようなものはすべて、本範囲内にあるものと考えられる。かかるモーターは、単一速度、速度可変、正逆回転などを含むことができ、これらの組み合わせも含まれる。さらに、モーター56は作動的にベルト、直結、ギアなどを含む機能上の接続の種類を介して前記抽出装置52に連結することができる。
【0043】
前記システムはまた、流体を前記液体分注ポートに送り届け、流体を前記液体取出ポート(図示なし)から出すことが可能な前記抽出装置52に連結された流体システム55を含むこともできる。場合によっては、前記流体システム55を前記抽出装置52にそのまま、例えば、本明細書に説明されているように、組み込むことができる。他の実施形態では、前記流体システム55は、前記抽出装置から分離することができ、前記抽出装置に流体工学的に連結することができる。
【0044】
別の観点では、前記システムは、前記抽出装置52に連結されている位置移動システム53を含むことができ、前記支持基板54に対して相対的に前記抽出装置52の前記切削チップ57を移動することができるか、または前記切削チップ57に対して相対的に前記支持基板54のいずれかを移動することができる。53aは、前記抽出装置52に連結された位置移動システムを示し、53bは、前記支持基板54に連結された位置移動システムを示す。任意システムは、これら位置移動システムのいずれか、または両方を有することができる。したがって、前記位置移動システムは、前記抽出装置、前記支持基板、または前記抽出装置および前記支持基板の両方をお互いに対して相対的に移動することができる。前記位置移動システムは、手動制御または自動制御にできる。1実施形態では、例えば、前記位置移動システムは、手動制御できる。そのような場合、ユーザーは、前記支持基板の軸移動(例えば、XおよびY軸)、ならびに57から54(Z軸)への接触を制御する垂直移動を制御することができる。他の実施形態では、ユーザーは同様に、前記抽出装置の軸移動および垂直移動を制御することができる。1実施形態では、かかる制御は、ジョイステックまたは他の手動操作器具を介して実施することができる。したがって、ユーザーは処理を誘導するために、顕微鏡からのリアルタイム画像を使用して、生物材料の領域をスライド表面から抽出することができる。
図5は、前記抽出手順を前記支持基板54から観察するために配置された倒立顕微鏡58または他の画像形成装置を示す。
他の実施形態では、ユーザーはまた、前記切削ビットのZ軸の位置決めを制御することができて、これには、前記ビットを前記生物試料の特定の領域に下げることができるように、53aで示すような位置移動システムを活用する。領域の切断に続いて、前記切削ビットを起こして、前記切削ビットを2つ目の領域、3つ目の領域などへと移動させることができる。前記支持基板上にかかるビット圧力は、さまざまな機構により制御することができる。1実施形態では、かかる制御は、器具ヘッドの重量により与えることができ、前記重量がのしかかり、したがって、例えば、ばね張力などの張力により調整される。
本明細書に説明されているように、前記切断ビットの前記回転は、前記切削ビットに連結されたモーターにより制御することができる。前記抽出装置内の流体の流れを制御するためにプランジャーが用いられるこれらの実施形態においては、前記プランジャーの引き出しおよび押し下げをZ軸アクチュエーターにより制御することができる。1実施形態では、プランジャーの引き出し速度は、XおよびY軸移動の速度に合わせてあることから、XおよびY軸の移動速度が速いほど、プランジャーの引き出し速度が速くなる。また、単に前記ビットを領域へ下げることにより、XおよびY軸移動せずに組織を切断および改修することも可能である。この場合は、前記ビットが前記スライドと接触すると同時に、前記プランジャーがわずかに引き出されるが、プランジャーのさらなる引き出しは、XおよびY軸移動に依存する。
【0045】
別の観点では、前記位置移動システムは自動的に移動することができる。例えば、自動操作システム55は、前記位置移動システム53aおよび53bに機能的に連結されていてもよい。そのような自動操作システムは、前記抽出装置および/または前記支持基板をお互いに対して相対的に自動的に移動することができる。自動制御のどのような形態も本範囲内にあるものと考えられるが、1実施形態では、前記自動操作システムは、コンピューターを制御元とするもの、または他の処理システムにすることができる。例えば、1実施形態では、処理システムは、自動操作システムに機能的に連結することができる。前記処理システムは、したがって、生物試料から抽出される生物材料の所定の領域を識別および特定することができ、前記切削チップおよび/または支持基板をお互いに対して相対的に移動することができ、前記生物材料を自動操作システムにより抽出する。また、高度に自動化された複数スライド対応のバージョーンの3軸すべての移動がコンピューター制御される実装にすることができて、それで前切断液体流体を装填したり、前記切削ビットから切片を回収したりすることも考えられる。
【0046】
場合によっては、前記システムに視覚化システムを含めることも有益であり、抽出プロセスを手動および自動モードのどちらでも観察することができる。1実施形態では、例えば、前記支持基板に置かれた生物試料の視覚的表示を提供するために、視覚化システム58を配置することができる。周知のどのような視覚化システムも、デジタル画像装置、光学画像装置、顕微鏡、倒立顕微鏡など、これらの組み合わせも含め、これに限定されることなく、本範囲内にあるものみなされる。1実施形態では、例えば、前記視覚化システムは、前記切削チップの反対側にある前記支持基板の側から前記視覚的表示を提供するために配置された倒立顕微鏡である。言い換えると、前記倒立顕微鏡により、透明の支持基板の下から前記切断手順を観察することが可能である。別の観点では、前記視覚化システムは、前記切削チップのリアルタイムの視覚的表示を抽出手順中に提供することができる。
【0047】
前記視覚システムにより、処理されるまたは切除される領域または関心領域を、生物試料のライブ画像でデジタル表示することが可能である。この関心領域は、そのときに、前記生物試料に対して相対的な位置に任意選択でロックしてもよく、前記スライドが前記切削ビットの下に移動すると同時に、前記ライブ画像とともに移動してもよい。これに加えて、前記関心領域は、前記同一試料(例えば、組織塊)から切られた一連の切片から、別の生物試料の切片を生成することができる。前記切片は、非常に薄く切られるため、隣接組織切片は同一ではなくとも、形態学的には極めて類似する。隣接切片から前記関心領域を生成する利点は、1つの切片を第1種類の染色剤で染色し、カバーガラスをして最適化表示することができるのに対して、前記隣接切片を第2種類の染色剤で染めつつも、ガラスカバーをせずに最適化表示したり、下流の生物化学的試験に使用したりできることである。
【0048】
1実施形態では、前記システムは、スライド上の組織切片から特定の組織領域をさらなる生化学解析用に切断および回収するために使用することができる。ただし、他の実施形態では、前記システムの付加的な用途が考えられる。場合によっては、これらの領域が、前記スライドに残る組織切片の解析に干渉しないように、組織切片の特定の領域を取り出すことが望ましいこともある。例えば、腫瘍領域および非腫瘍領域の両方を含む不均質組織の蛍光遺伝子プローブ法(fluorescent in situ hybridization:FISH)解析の場合に、残りの腫瘍組織の処理および解析を向上させるために、最初に一部またはすべての非腫瘍組織を前記スライド表面から取り出すことが有益なことがある。別の観点では、前記システムは、標準的な実験スライドに固定された組織切片以外の生物材料の薄層の切断に用いることができる。例えば、前記スライド表面上に無作為に拡大または培養された生物材料から派生した層を処理することができる。別法として、前記生物材料は、スライド以外に、例えば、組織培養皿など、透明の表面に固定することができる。また、前記層は、非生物材料、例えば、薄い地質学的な層または半導体の層であることもある。本明細書に説明されている前記器具および前記付属ソフトウェアは、組み合わせまたは単独のいずれであっても、幅広い用途に使用することができ、かかる用途は本範囲内にあるものと理解すべきである。
【0049】
本開示の実施形態は、さまざまなマイクロダイセクション手順に利用することができる。1実施形態では、例えば、かかるマイクロダイセクション手順は、連続して薄切りされた組織の切片に実施することができる。スライド上の組織切片は通常、非常に薄く(例えば、3ミクロン)、組織の同一塊から連続して切断される。場合によっては、組織の塊は、化学的に固定され、脱水されて、パラフィンワックスに包埋される。連続して切断された組織切片は、隣接組織切片と呼ばれ、これらは非常に似ているが、形態学的には同一ではない。
【0050】
1つの特定の例は、ガラススライド上のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片の顕微鏡試験を含むことができる。この方法は、20倍率から1000倍率の明視野顕微鏡観察法で見られる組織学的特徴についての病理学者の主観的解釈に依存する。補助的試験は、癌のようなヒト病理学的疾患単位を完全に分類するために必要とされることが多く、FFPE組織が通常、これらの研究に使用されるのは、(1)新鮮組織は頻繁に利用できない、および(2)組織学的試験により補助的試験用に組織の適切な領域の選択が可能である、といった2つの主な理由からである。パラフィン包埋の腫瘍試料から回収されたDNAまたはRNAの直接解析は現在、多数の固型腫瘍の診断、リスク層別化、および治療計画用に採用されている。
【0051】
腫瘍は不均質組成であり、下流試験の最適な解析感度用に十分に高い割合の腫瘍組織を採取するために、周囲の非腫瘍組織から腫瘍組織の切断を必要とする。本明細書に説明されているように、切断は、直接視覚化(総じて、「マイクロダイセクション(microdissection)」と呼ぶ)の下でレーザー切断工具またはさまざまなメカニカル切断工具を使用するか、または顕微鏡で事前に識別され、印が付けられた領域を肉眼的に視覚化(「マクロダイセクション(macrodissection)」)することにより、実施することができる。レーザー誘導方式は、総じて、レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション(laser capture microdissection:LCM)と呼ばれ、レーザー切断および熱可塑性フィルムまたは「カタパルト」機能(catapulting)のいずれかを含み、リアルタイム顕微鏡視覚化により選択された組織の領域を捕捉する。LCMは、空間的に非常に精度が高く、数ミクロンの大きさの領域を捕捉することが可能であるが、この手法には、病理学者によるリアルタイムの組織学的解釈を必要とするため、前記設備が非常に高価であったり、前記手順が非常に時間を要したりといった欠点がいくつかある。後者の欠点は実際に、LCMが多くの実験室に採用されていない主な理由として考えられる。
【0052】
メカニカルマイクロダイセクションは、顕微鏡の下で、針、音波たがね、または他の掻取り工具を使用して実施される。前記精度は、LCMのそれに近づくが、前記設備はかなり高価で、LMCのように、前記手法は、特に前記領域が病理学者によって事前に選択されていない場合は、操作者の時間と専門知識を大いに要する。マクロダイセクションは、解剖用メスなどの器具を使用して肉眼で実施されるが、前記プロセスは比較的簡単であり、装置費用は極少額であることが多いのに対して、精度は通常ミリメートル以上である。マクロダイセクションが現在、試験量の多い実験室で一般に普及している方法であるのは、前記手順が、組織病理学の訓練経験のない実験室技術者でも実施できるためである。前記病理学者が単に、スライド上の試験領域に印を付けて、前記実験室技術者が前記実際のマクロダイセクションならびに同一FFPE組織塊からのコンパニオン(companion)スライドの下流試験を実施する。
【0053】
本発明の装置および手法は、数多くのこれら諸問題を克服し、それによってかかるプロセスを自動化することができるシステムを提供する。本発明の装置の生産および操作は、比較的安価であり、スライドベースの組織マクロダイセクションを半自動化または完全自動化することができ、(マニュアルマクロダイセクションよりもマイクロダイセクションに近い)1mm以下の空間分解能(最小領域回収可能)および0.1mm以下の位置精度を提供することができる。
【0054】
したがって、本明細書に説明されている前記さまざまな装置およびシステムは、ユーザーが一連のスライドの特定スライドに固定された組織切片のデジタル画像の関心領域を示すことができるソフトウェアシステムを組み込むことができる。前記ソフトウェアシステムは次に、その関心領域を、隣接スライドに固定された組織切片のデジタル画像の相似位置に(直接隣接または前記スライド配列の後続に沿って)転送することができ、前記スライドから前記組織を分断および抽出するために、関心領域の位置情報をシステムに生成する。
【0055】
1実施形態では、例えば、スライドベースのプロセスおよびソフトウェアシステムは次のように機能することができる。ユーザーが、第1スライド上に固定された組織切片の関心領域を、場合によっては前記組織切片のデジタル画像にデジタル注記を生成することにより、指定できる。前記関心領域は、別のスライド上にある隣接組織切片の相似領域にデジタル転送することができるか、または場合によって、前記関心領域を同一スライド上の独立部分に転送することができる。前記ソフトウェアは、前記関心領域のXおよびY軸を前記スライドに対して相対的に指定し、位置情報を生成する。前記ソフトウェアは次に、前記組織の形態を前記第1スライド上に維持したままで、前記第2スライド上にある前記関心領域の前記組織を分断および回収するために前記抽出装置を誘導することができる。
【0056】
より具体的な実施形態では、それぞれが同一組織試料からの連続する組織切片を支持している2枚のスライドは、異なる染色剤で処理される。1つ目の染色剤は、前記組織切片の視覚化に用いられ、2つ目の染色剤は、組織回収および下流の生化学解析に、より適している。例えば、H&E染色剤は視覚化スライドに用いることができ、アニリンブルー染色剤は組織回復スライドに用いることができる。高解像度のデジタル画像は、デジタル顕微鏡または他の顕微鏡を使用することにより、前記組織の視覚化スライドから生成できる。ソフトウェアの描画アルゴリズムを使用して、病理学者などのユーザーは、前記組織切片視覚化スライドからの顕微鏡デジタル画像に関心領域の略図を描く。前記ソフトウェアはまた、前記組織切片のデジタル画像の輪郭を生成し、前記病理学者により生成された前記関心領域を、前記組織片の輪郭に対して相対的に配置する。目録作成用に、前記組織切片およびスライドの縁を含むスライド全体のデジタル画像は、場合によっては、低解像度のデジタル画像は、1実施形態では標準的なデジタルカメラにより、前記視覚化および組織回復の両方のスライドから生成することができる。前記ソフトウェアは、組織切片のデジタル画像の輪郭を生成することができて、スライドの縁に対して相対的に配置することができる。また、データーベースの双方向処理用に、バーコード読取ソフトウェアのアルゴリズムを取り込むことも可能である。
【0057】
前記低解像度および高解像度の視覚化スライド画像からの前記組織切片の輪郭は、前記操作者または画像認識アルゴリズムにより位置合わせされて、前記関心領域の位置は前記回収組織切片画像に転送される。前記ソフトウェアは次に、前記材料抽出システムに送られた位置情報を生成し、それにより、前記関心領域に相当する組織を回収することが可能である。前記抽出装置に取り付けられたデジタルカメラまたはバーコードリーダーは、前記スライドおよび管のバーコードを確認して、正確な配置を確証する。抽出が完了した後、前記デジタルカメラは、組織切片の写真を撮り、回収された前記組織領域を記録する。
【0058】
したがって、そのようなソフトウェア実装は、コマンドモジュール、画像認識モジュール、メカニカル移動モジュール、バーコード読取モジュール、グラフィカル・ユーザー・インターフェイス・モジュールなど、さまざまなソフトウェアモジュールを含むことができる。かかるソフトウェアおよびソフトウェアモジュールは、前記抽出システムのハードウェアに内蔵するか、または関連のコンピューターシステムまたはネットワークに常駐してもよい。
【0059】
前記マイクロダイセクションプロセスで前記ユーザーを支援するために、前記組織切片の前記ライブデジタル画像に重ね合わせて、関心領域をデジタル表示する前記ソフトウェアが開発されている。
図6aは、デジタル顕微鏡により捕捉され、コンピューター画面に表示されている組織切片画像91の例示である。右上は、デジタル顕微鏡によって生成された一連の各画像をつなぎ合わせた組織切片の合成画像93の例示である。現在ライブ表示されている前記領域は、前記合成画像の92に示されている。
図6bは、前記ライブ画像に重ね合わされたデジタル表示の関心領域である。前記関心領域は、任意の大きさおよび形にでき、視野よりも大きくまたは小さくでき、複数の関心領域を特定の組織切片に作成することができる。適切に配置されると、前記関心領域は、前記組織切片に対する相対位置に「ロック」され、前記組織切片が前記XおよびY軸方向に動かされたときに、前記関心領域が前記ライブ画像(
図6c)とともに動くようになる。この方法で、前記関心領域は、前記切削チップ96を使用して組織95の前記適切な領域をマイクロダイセクションするユーザーを支援できる。完了後、前記関心領域は、前記切削チップ(
図6d)により回収されて、組織95が欠けた状態になる。
【0060】
本明細書に説明されているように、1実施形態では、前記ソフトウェアは、隣接組織切片から関心領域を生成することができる。隣接部分から前記関心領域を生成する利点は、前記隣接部分の調製条件を最適表示するために選択できることである。例えば、密着型カバーガラスの前記使用、複数の組織染色剤の前記使用は、非常に多くの生物学的情報を提供するが、マイクロダイセクションされた組織によく実施される前記下流の生物化学的試験を抑制する。例えば、
図7aは、カバーガラス上でH&E染色された組織切片99からの画像に配置された関心領域94を示す。
図7bは、(例えば、アニリンブルーなどの非抑制染色剤で染色されて、カバーガラスなしで)組織のマイクロダイセクション用に最適化された隣接組織切片91の画像を示す。 関心領域94の複写は、前記隣接組織切片と共有の組織形態により判断された通りに、組織の前記相当領域に配置されている。
【実施例1】
【0061】
以下、材料抽出装置の実施例について説明する。
【0062】
材料抽出装置は
図8に示されている。さまざまな部品が、射出成形または焼結成形プロセスを使用して作られているため、これらはプラスチック製であるか、または金属粉末が融着されている。前記構成要素は、以下の記載の通りである。
−2つの同心円注射管、および内部管141および外部管143。
−内部管142の一部は、前記切削チップ147を受け入れるように形成されている。
−外部管144の一部は、前記分注液体を前記切削チップに流用するように形成されている。
−前記内部注射管141の前記内部壁に接触する圧縮密閉部材149付きのプランジャー145。これは、前記プランジャーがある側のチャンバー116および前記プランジャーがない側のチャンバー115を作る。
−前記内側と外側チャンバーとの間の前記プランジャー端部に位置する環状密閉部材146。
−前記プランジャーと前記内部注射管との間のスライド可能な密閉部材109。
−前記スライド表面に接触し、組織を移動する前記切削チップ147。
−移動した組織片を吸引するために、前記スライド表面と前記プランジャーがない側のチャンバー115との間に流体連通を提供する前記切削チップ管148。
−前記内部と外部注射管との間の前記プランジャーがある側のチャンバーと前記導管との間に流体連通を提供する2つの穴111。
【実施例2】
【0063】
以下、材料抽出システムの実施例について説明する。
【0064】
材料抽出システムは
図9に示されている。前記器具ヘッドアセンブリ161は、一組のレール162に取り付けられていて、前記スライドの前記平面に対して垂直に取り付けられている。前記レール上の前記器具ヘッドのZ軸移動は、リニアアクチュエーター163により制御され、これは前記切削ビットの前記スライドとの接触を制御する。前記スライド表面上の前記切削ビットの圧力は、調節可能ばね164にのしかかる前記器具ヘッドアセンブリの前記重量により生じる。前記器具ヘッドアセンブリには、垂直配向の回転軸の回転アセンブリが含まれ、これは前記デジタルカメラの焦点中心を通り抜ける。前記回転アセンブリは、前記回転軸にモーリス(Morris)テーパー166付きの外部シリンダー165を有し、これは前記切削ビットのテーパーと一致する。前記外部シリンダーは、軸受167により支持されていて、前記器具ヘッドアセンブリに持着されている。前記回転アセンブリはまた、内部シリンダー168も有し、これはリニアアクチュエーター169により回転軸に沿って移動可能である。前記リニアアクチュエーターは、前記器具ヘッドアセンブリに取り付けられていて、軸受170により前記回転アセンブリから回転可能に切り離されている。前記内部シリンダーには、把持枠171が含まれ、これにより前記切削ビットプランジャー101の把持が可逆回転可能になる。把握枠の制御は、ロッド172を介して行われ、その押し下げが、前記切削ビットの前記プランジャーの前記把持枠の把持を解除し、前記切削ビットを前記モーリステーパーから出す。前記回転アセンブリの回転力は、モーター173により生成され、これは前記器具ヘッドアセンブリに取り付けられている。
【0065】
当然のことながら、前述の配置は、本発明の原則の応用を解説するだけのものであると理解すべきである。種々の修正および代用の配置が、当該技術の当業者により、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく考案される場合があるが、本添付の特許請求は、かかる修正および配置を包括することを意図している。したがって、本発明は、現在、本発明の最も実用的で好ましい実施形態とみなされることに関連して具体的にまたは詳細に前述されているが、さまざまな大きさ、材料、形状、形態、機能、および運用方法、アセンブリ、および用途を含むがこれらに限定されない種々の修正は、本明細書に記載の原則および概念から逸脱することなく作られることは、当該技術の当業者には明白である。