(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585604
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】車両用油圧ポンプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16H 61/00 20060101AFI20190919BHJP
B60K 17/348 20060101ALI20190919BHJP
F16D 25/12 20060101ALI20190919BHJP
F03C 1/007 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
F16H61/00
B60K17/348 B
F16D25/12 B
F03C1/007
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-548319(P2016-548319)
(86)(22)【出願日】2015年1月31日
(65)【公表番号】特表2017-507291(P2017-507291A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2015052024
(87)【国際公開番号】WO2015114124
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2018年1月25日
(31)【優先権主張番号】1450111-8
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】593118656
【氏名又は名称】ボルグワーナー スウェーデン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ルンドストレーム ボー
【審査官】
西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05546751(US,A)
【文献】
特表2011−530452(JP,A)
【文献】
特表2013−506601(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101865190(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
F16H 61/16−61/24
F16H 61/66−61/70
F16H 63/40−63/50
B60K 17/28−17/36
F16D 25/12
F03C 1/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の油圧ポンプアセンブリであって、電動モータ(102)と、前記電動モータ(102)によって駆動される油圧ポンプ(104)と、前記油圧ポンプ(104)のオイル出口に接続した圧力オーバーフローバルブ(108)に関連した遠心レギュレータ(106)と、を備え、
前記ポンプアセンブリ(100)は、少なくとも2つの入力チェックバルブ(110,112)と、少なくとも2つの出力チェックバルブ(114,116)と、をさらに備え、第1圧力出力ポート(118)は、モータが第1方向に回転するときに、形成されるように、および、第2圧力出力ポート(120)は、モータが反対方向に回転するときに、形成されるように、前記入力チェックバルブ(110,112)と前記出力チェックバルブ(114,116)とは配置され、
出力チェックバルブ(114,116)が、それぞれの圧力出力ポート(118,120)と前記圧力オーバーフローバルブ(108)との間に配置される、油圧ポンプアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の油圧ポンプアセンブリであって、前記入力チェックバルブ(110,112)の一方は、前記モータ(102)が第1方向に回転するときに、前記ポンプ(104)の第1吸入側に配置され、他方の入力チェックバルブ(110,112)は、前記モータ(102)が反対方向に回転するときに、前記ポンプ(104)の他の吸入側に配置される、油圧ポンプアセンブリ。
【請求項3】
油圧アクチュエータ(200)であって、請求項1〜2のいずれか1項に記載の油圧ポンプアセンブリ(100)と、前記第1圧力出力ポート(118)に接続された第1カップリング(202)と、前記第2圧力出力ポート(120)に接続された第2カップリング(204)と、を備える油圧アクチュエータ。
【請求項4】
油圧アクチュエータ(200)であって、請求項1〜2のいずれか1項に記載の油圧ポンプアセンブリ(100)と、ピストン(206)と、を備え、前記ピストン(206)の第1側は、前記第1圧力出力ポート(118)に接続され、前記ピストン(206)の第2側は、前記第2圧力出力ポート(120)に接続される、油圧アクチュエータ。
【請求項5】
四輪車両であって、請求項3または請求項4に記載の油圧アクチュエータを備える、四輪車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の油圧ポンプアセンブリに関する。特に、本発明は、油圧式車両システムでのトルク制御用の可逆油圧ポンプアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧アクチュエータは、AWDカップリングおよびギアシフトなどの各種のシステムを作動させるように車両で通常使用される。
【0003】
特許文献1には、遠心バルブ機器を有する電動アキシャルピストンポンプが記載され、遠心バルブ機器は、それが圧力出力を制御できるようにする。この機器は、1つのシステムを制御でき、例えばAWDカップリングであり、同じカップリングが比例ソレノイドバルブで制御される場合よりも低いヒステリシスを伴う。さらに、遠心バルブ機器は、マイクロフィルタを必要としない。2つのカップリングまたは1つのカップリングおよび1つのギアシフトを含む用途では、記載のアキシャルピストンポンプには、追加の電動シフトバルブが設けられなければならない。
【0004】
複雑さ、重量およびコストを減少させるために、車両用途で用いる改良された油圧ポンプアセンブリを提供することが望ましく、好ましくは、そのような用途は、2つのカップリングまたは1つのカップリングおよび1つのギアシフトを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第2310709号
【0006】
本発明の目的は、双方向制御と組み合わせた油圧ポンプアセンブリを提供することである。
【0007】
本発明の様々な態様によると、油圧ポンプアセンブリは、独立請求項に示された特徴に従って提供される。好ましい実施形態は、添付の従属請求項によって定められる。
【0008】
本発明の実施形態が、以下に記載される。添付図面が参照され、それは、発明概念がどのように実行に移されるかの非限定的例を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態によるポンプアセンブリの油圧スキームを示す。
【
図2】実施形態による油圧ポンプアセンブリを示す。
【
図3】実施形態による油圧ポンプアセンブリを示す。
【
図4】異なる実施形態による2つの異なる油圧アクチュエータの油圧スキームを示す。
【
図5】異なる実施形態による2つの異なる油圧アクチュエータの油圧スキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、車両で様々な油圧アクチュエータに適用できる、ポンプアセンブリ100の油圧スキームを示す。ポンプアセンブリ100は、モータ102と油圧ポンプ104、および、圧力オーバーフローバルブ108に関連した遠心レギュレータ106を、備える。ポンプアセンブリ100は、例えば、特許文献1または欧州特許第2486279号(どちらも本出願と同じ出願人による)に記載されたのと同じ原理に基づき得る。ポンプアセンブリ100には、好ましくは、双方向制御が提供され、それによって、簡単で安全な解決策が、正または負電圧を用いて得られる。
【0011】
2つの入力チェックバルブ110,112および2つの出力チェックバルブ114,116を加えることにより、流れの方向は、モータの回転の方向に依存する。
図1に見られるように、第1ポート118は、油圧作動カップリングまたは油圧作動ギアシフトなどの、第1アクチュエータ(図示せず)に接続でき、第2ポート120は、油圧作動カップリングまたは油圧作動ギアシフトなどの、第2アクチュエータ(図示せず)に接続できる。
【0012】
モータ102が第1方向に回転するとき、作動液は、リザーバ122から第1入力チェックバルブ110を介して、ポンプ104を通って、第2ポート120に送られる。第1出力チェックバルブ114は、オーバーフローバルブ108と流体連通している。
【0013】
モータ102が反対方向に回転するとき、作動液は、リザーバ122から第2入力チェックバルブ112を介して、ポンプ104を通って、第1ポート118に送られる。第2出力チェックバルブ116は、オーバーフローバルブ108と流体連通している。
【0014】
第3ポート124も設けられてよい。第3ポート124は、第1ポート118または第2ポート120の1つと組み合わせて、または第1および第2ポート118,120の両方と共に、使用され得る。第3ポート124からの圧力は、モータ102の回転の方向から独立している。
【0015】
次に
図2および3を見ると、ポンプアセンブリ100の実施形態が、より詳細に示されている。ポンプアセンブリは、モータ102と油圧ポンプ104、および、圧力オーバーフローバルブ108に関連した遠心レギュレータ106を、備える。ポンプアセンブリ100は、例えば、特許文献1または欧州特許第2486279号(どちらも本出願と同じ出願人による)に記載されたのと同じ原理に基づき得る。しかしながら、ポンプ蓋130には、入力および出力チェックバルブ110,112,114,116を収容している追加のポンププレート132が設けられている。
【0016】
好ましくは、第1および第2ポート118,120をポンプアセンブリ100の座金プレートでより対称的にする処置も取られる。
【0017】
代替使用は、第3ポート124を、第1ポート118または第2ポート120の1つと組み合わせて、または第1および第2ポート118,120の両方と共に、使用することであり得る。第3ポート124からの圧力は、回転の方向から独立している。
【0018】
図4は、2つの油圧作動クラッチまたはカップリング202,204を備える油圧アクチュエータ200の実施形態を示す。カップリング202,204は、
図1に関して記載されたものと同一である可逆ポンプアセンブリ100によって作動される。従って、第1カップリング202は、モータが第1方向に駆動されるときに、作動され、第2カップリング204は、モータ102が反対方向に駆動されるときに、作動される。
【0019】
図5は、1つの油圧作動ピストン206を備える油圧アクチュエータ200の実施形態を示す。ピストン206は、例えば、トランスファーケースでのローレンジギアとハイレンジギアとの間の切り替えのためのシフトピストンであってよく、追加のカップリング(図示せず)が、二輪駆動モードと四輪駆動モードとの間で切り替えるように設けられてよい。ピストン206を作動させるポンプアセンブリ100は、欧州特許第2486279号のポンプアセンブリに基づいているが、
図1の記載の通りの可逆性を提供するチェックバルブ110,112,114,116を含む。第1および第2ポート118,120は、ピストン206の両側に接続され、それによって、ピストン206の動きの方向をポンプアセンブリ100のモータ102の回転方向を制御することによって制御することが、可能である。
【0020】
当然のことながら、前述の実施形態は、添付の「特許請求の範囲」によって定められる範囲から逸脱することなく、組み合わせることができる。
【0021】
本発明は特定の形態に関して上述されたが、本明細書に示された特定の形態に限定するものではない。より正確に言えば、本発明は、添付の請求項によってのみ限定され、特定の上記のもの以外の実施形態もこれらの添付の請求項の範囲内で同様に可能である。