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特許6585605有機化合物における、またはそれに関する改善
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  • 特許6585605-有機化合物における、またはそれに関する改善 図000032
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585605
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】有機化合物における、またはそれに関する改善
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/86 20060101AFI20190919BHJP
   C07C 13/04 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 13/28 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 69/608 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 67/347 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 49/553 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 33/05 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 29/44 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 43/21 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 41/30 20060101ALI20190919BHJP
   C07C 45/72 20060101ALI20190919BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20190919BHJP
【FI】
   C07C2/86
   C07C13/04
   C07C13/28
   C07C69/608
   C07C67/347
   C07C49/553
   C07C33/05 A
   C07C29/44
   C07C43/21
   C07C41/30
   C07C45/72
   !C07B61/00 300
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-549636(P2016-549636)
(86)(22)【出願日】2014年10月24日
(65)【公表番号】特表2016-538335(P2016-538335A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2014072882
(87)【国際公開番号】WO2015059290
(87)【国際公開日】20150430
【審査請求日】2017年10月23日
(31)【優先権主張番号】1318886.7
(32)【優先日】2013年10月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(73)【特許権者】
【識別番号】516124362
【氏名又は名称】アミリス,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AMYRIS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー,フリッチョフ
(72)【発明者】
【氏名】ルエティ,ファビアン
【審査官】 奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/059485(WO,A1)
【文献】 特開平11−209330(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0142915(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/115118(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0226041(US,A1)
【文献】 特表2009−520769(JP,A)
【文献】 特開昭62−129240(JP,A)
【文献】 特開平09−100269(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第04327748(DE,A1)
【文献】 特開2001−139545(JP,A)
【文献】 特開2001−151770(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/079788(WO,A1)
【文献】 BILL MORANDI; ERICK M. CARREIRA,SCIENCE,2012年 3月23日,VOL. 335, ISSUE 6075,PP. 1471-1474,URL,http://science.sciencemag.org/content/335/6075/1471
【文献】 Microreactors for processing of hazardous and explosible reactions,IChemE Symposium,2007年,(2007) Series No. 153 pp.1-6
【文献】 Continuous Flow Generation and Reactions of Anhydrous Diazomethane Using a Teflon AF-2400 Tube-in-Tube Reactor,Organic Letters,2013年,2013, 15 (21), pp 5590-5593
【文献】 Cyclopropanation of Unsaturated Compounds with Diazomethane Generated in situ: A New Efficient and Practical Route to Cyclopropane Derivatives,Mendeleev Communications,1992年,1992, 2, 1, pp.13-15
【文献】 S-I MURAHASHI; YOSHIMURA Y; YAMAMOTO Y; MORITANI I,QUINTET CARBENES M-PHENYLENEBIS(PHENYLMETHYLENE) AND M-PHENYLENEBIS(METHYLENE),TETRAHEDRON,1972年 1月 1日,VOL:28,PAGE(S):1485 - 1496
【文献】 HAHN R C; CORBIN T F; SHECHTER H,ELECTRICAL EFFECTS OF CYCLOALKYL GROUPS,JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,1968年 6月19日,VOL:90, NR:13,PAGE(S):3404 - 3415,URL,http://dx.doi.org/10.1021/ja01015a021
【文献】 PAUL L ORNSTEIN; THOMAS J BLEISCH; BRIAN ARNOLD M; JOSEPH H KENNEDY; REBECCA A WRIGHT; ET AL,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,1998年 1月29日,VOL:41, NR:3,PAGE(S):358 - 378,URL,http://dx.doi.org/10.1021/jm970498o
【文献】 YOSHIHITO OHTAKE; TSUTOMU SATO; HIROHARU MATSUOKA; MASAHIRO NISHIMOTO; NAOKI TAKA; ET AL,BIOORGANIC & MEDICINAL CHEMISTRY,英国,PERGAMON,2011年 8月 3日,VOL:19, NR:18,PAGE(S):5334 - 5341,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.bmc.2011.08.005
【文献】 GYORGY SZABO; BALAZS VARGA; DORA PAER-LENGYEL; ATTILA SZEMZO; PETER ERDELYI; ET AL,JOURNAL OF MEDICINAL CHEMISTRY,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2009年 7月23日,VOL:52, NR:14,PAGE(S):4329 - 4337,URL,http://dx.doi.org/10.1021/jm900179y
【文献】 TAKANORI MATSUDA; MASANORI SHIGENO; MASAHIRO MURAKAMI,CHEMISTRY LETTERS,CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN,2006年 1月 1日,VOL:35, NR:3,PAGE(S):288 - 289,IN ,URL,http://dx.doi.org/10.1246/cl.2006.288
【文献】 ALEXANDRE GAGNON; MARTIN DUPLESSIS; PAMELA ALSABEH; FRANCIS BARAB,PALLADIUM-CATALYZED CROSS-COUPLING REACTION OF TRICYCLOPROPYLBISMUTH WITH ARYL HALIDES AND TRIFLATES,THE JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2008年 5月 1日,VOL:73, NR:9,PAGE(S):3604 - 3607,URL,http://dx.doi.org/10.1021/jo702377h
【文献】 PENG Y; YANG J H; LI W D Z,TETRAHEDRON,NL,ELSEVIER SCIENCE PUBLISHERS,2006年 2月 6日,VOL:62, NR:6,PAGE(S):1209 - 1215,URL,http://dx.doi.org/10.1016/j.tet.2005.10.068
【文献】 YOVELL J; FELZENSTEIN A; SAREL S,ALCL3-INDUCED REACTIONS OF VINYLCYCLOPROPANES,TETRAHEDRON,PERGAMON PRESS,1978年 1月 1日,VOL:34, NR:7,PAGE(S):993 - 996,URL,http://dx.doi.org/10.1016/0040-4020(78)88153-8
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 2/86
C07C 13/04
C07C 13/28
C07C 29/44
C07C 33/05
C07C 41/30
C07C 43/21
C07C 45/72
C07C 49/553
C07C 67/347
C07C 69/608
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素−炭素重結合をシクロプロパン環に変換する方法であって、当該方法が、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を炭素−炭素重結合を保有する基質と反応させる、ここでN−アルキル−N−ニトロソ化合物がin situで発生し、N−アルキル−N−ニトロソ化合物を最初に単離せずに基質に加える、ステップを含む、前記方法。
【請求項2】
N−アルキル−N−ニトロソ化合物がN−アルキル−N−ニトロソ尿素の有機溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
N−アルキル−N−ニトロソ化合物がN−メチル−N−ニトロソ化合物(MNC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
N−アルキル−N−ニトロソ化合物がN−メチル−N−ニトロソ−尿素(MNU)、N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(DiazaldTM)、N−ニトロソ−ジメチルウレタン、ニトロソ−EMUおよびN−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチルメチルケトン(NMK)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
N−アルキル−N−ニトロソ化合物を炭素−炭素重結合を保有する基質と、水性塩基および触媒の存在下で反応させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
炭素−炭素二重結合をシクロプロパン環に変換する方法であって、以下のステップ:
I)液相中でのN−アルキル−N−ニトロソ化合物の合成、
II)N−アルキル−N−ニトロソ化合物含有有機液相の水相からの分離、および
III)有機液相中のN−アルキル−N−ニトロソ化合物を、アルケン基質を含む混合物中に移送し、それによってアルケン基質をシクロプロパン化すること
を含む、前記方法。
【請求項7】
触媒が遷移金属触媒である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
遷移金属触媒が、パラジウム触媒である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
パラジウム触媒が、Pd(acac)、Pd(OAc)またはPdClである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
炭素−炭素重結合を保有する基質が末端(単置換)アルケンである、請求項1〜5および7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
炭素−炭素重結合を保有する基質が式
【化1】
式中、RおよびRは、互いに独立して水素、アルキル、アルキリデンまたはアリールであり、それは分枝状または非分枝状および置換または非置換であってもよく;
ならびにRは、アルキル、アルキリデンまたはアリールであり、それは分枝状または非分枝状および置換または非置換であってもよい、
で表される化合物である、請求項1〜5および7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
基質がイソプレノイドである、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
末端イソプレン単位にて>70%の選択性でモノ−またはビス−シクロプロパン化されている、ミルセン、オシメン、ファルネセンまたは高級ポリプレノイド誘導体を生じる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
末端イソプレン単位にて>80%の選択性でモノ−またはビス−シクロプロパン化されている、ミルセン、オシメン、ファルネセンまたは高級ポリプレノイド誘導体を生じる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
末端イソプレン単位にて>90%の選択性でモノ−またはビス−シクロプロパン化されている、ミルセン、オシメン、ファルネセンまたは高級ポリプレノイド誘導体を生じる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】

【化2】
式中、n=0、1、2または3である、
で表される化合物を生じる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】

【化3】
式中、R’は、シクロプロパンの1および/または2位に位置する、n=0、1または2である分枝状または非分枝状C〜Cアルキルラジカルであり、
ならびにR’’は、任意に置換されているC〜C10ラジカルである、
で表される化合物を生じる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
任意に置換されているC〜C10ラジカルが、1個または2個以上のヘテロ原子、イミン、アルコール、アセタール、または、エステル、アルデヒドもしくはケトンを含むカルボニル基を含み、不飽和である、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭素−炭素多重結合を横断しての環形成の新規なプロセス、および特にアルケンのシクロプロパン化に関する。本発明はまた、このプロセスによって生成した化合物ならびに有用な成分、例えばフレーバーおよびフレグランス成分の調製における中間体としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロプロパン化、炭素−炭素二重結合のシクロプロパン環への変換は、特に薬学的、農薬、ならびにフレーバーおよびフレグランス産業における有機化合物の合成において一般に使用される化学的変換である。研究室規模でのシクロプロパン化は、一般に、メチレン化反応のためのジアゾ化合物、例えばジアゾメタン(DAM)、および典型的には銅またはパラジウム錯体を含む遷移金属触媒の補助によって行われる。商業的に相当な量のシクロプロパン化された化合物の生産にとって適切なより大きい分取規模において、ジアゾ化合物は、爆発に関するそれらの不安定性およびそれらの発癌性に関連する安全性の問題のために回避される。
【0003】
別の問題は、ジアゾ化合物を、それら自体事実上有毒である一般式R(N(NO)Me)を有するN−メチル−N−ニトロソ化合物(MNC)、例えばN−メチル−N−ニトロソ−尿素(MNU)から製造することである。理想的には、これらの化合物の製造および取り扱いを、製造プロセスに関与するいかなる関係者の曝露をも伴わずに行われるべきであり、それは、所要のプロセス操作により実現するのが現下困難である。
【0004】
MNCおよびDAMの単離を回避するかまたはそれらの取り扱いおよび使用を容易にする試みが、少なくともなされた。
【0005】
MNUのより低い急性毒性のN−ニトロソ化合物、例えばN−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(DiazaldTM))による置換は、化学者に周知である(T.H.Black, Aldrichimica Acta 16, 3-9, 1983およびその中の参考文献)。ジアゾメタンは、DiazaldTMから膜フロー反応器中で発生し、アルケンのシクロプロパン化のために使用された(O.Kappe et al., Org.Lett.15, 5590, 2013) が、DiazaldTMの合成および使用には、固体化合物の輸送が必要である。DiazaldTMはMNUより危険性が低いが、それはなお発癌性および皮膚過敏性であり(A.Stark et al. OPRD 13, 1014, 2009)、衝撃、摩擦、加熱および他の点火の源による爆発を受け得る自動的に反応する固体である(P.Woehl, M.Maggini, OPRD 16, 1146, 2012)。固体DiazaldTMの輸送および溶解はまた、その高い分子量により経済的に所望されない。
【化1】
【0006】
Nefedov (Mendelev Communications 1, 13 - 15, 1992)らは、固体MNUを塩化メチレンまたはジエチルエーテル溶液中のアルケン基質、およびパラジウム触媒を含む濃KOH水溶液の二相混合物に、10〜20℃で加えている。これは、ジアゾメタン(bp −23℃)が反応混合物中にin situで発生し、それが蒸発する前に反応性アルケン基質と反応するという利点を有する。欠点は、しかしながら、固体MNUの単離、保存および取り扱いであり、それは、上に述べた理由のために問題である。さらに、危険な固体の反応混合物への添加には、特別の添加デバイスの使用が必要であり、それによって、加工の複雑さおよびコストが加わる。
【0007】
Aerojet (US 5,854,405)は、MNUの有機溶媒中での発生(a、b)、この有機相の第1の水相からの分離(c)、分離した有機相を水性無機塩基と接触させること(d、e)およびこのようにして得られたDAM含有有機相の第2の水相からの分離(f)を含むプロセスをクレームしている。このプロセスによって固体形態におけるMNUの単離が回避されるが、DAM含有相をなお分離し(f)、反応器中に輸送し、ここでDAMをより有害でない生成物に変換しなければならない。この段階において、DAM含有相を輸送する操作者は、この化合物の既知の危険にさらされる。
【0008】
Loebbecke (IchemE Symposium Series No. 153, 1-6, 2007)らは、MNU、アルケン基質およびPd(acac)触媒をt−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテルまたはTHF中で、KOH水溶液にマイクロリアクター中で加えることにより、この問題に取り組んだ。スチレンは、この手順を使用して定量的にシクロプロパン化された。しかしながら、MNUの溶媒中での単離、取り扱いおよび溶解の問題は、これらの著者によって述べられなかった。また、MNUは、t−ブチルメチルエーテルまたはジエチルエーテルにいくらか不溶性である(本発明者らの手中で3% w/wまで)。したがって、大量のこれらの溶媒は、低い量のMNUをマイクロリアクターによって加工するために必要であり、プロセスが大きい分取規模において事実上非実用的になる。
【0009】
WoehlおよびMaggini (OPRD 16, 1146, 2012)は、ジエチルエーテル/ジエチレングリコール(DEG)1:1中のMNU 0.5M(供給a)をKOH水溶液(供給b)と混合する流動反応を記載する。このようにして生成したジアゾメタン(DAM)を、次にエタノール中の過剰の安息香酸(供給c)と混合して、ジアゾメタンを安息香酸メチルに定量的に変換する。これは興味深いアプローチであるが、固体MNUを単離し、輸送し、溶媒に溶解して、供給aを提供しなければならない。
【0010】
従来技術には、有機液体中でのN−メチル−N−ニトロソ化合物(MNC)の合成を含むプロセス、およびシクロプロパンをin situで発生したジアゾメタンを介して得るための不飽和基質の存在下での水性塩基とのそれらのその後の反応が記載されていない。当業者は、MNCを未精製の粗製物として使用し、ジアゾメタンを全く分離せず、その結果未反応の出発物質およびアミンなどの副産物をシクロプロパン化容器中に運搬し、ここでそれらは触媒を減少させるかまたは遮断するかまたはシクロプロパン化反応におけるその活性を低減し得るので、かかるプロセスに関する困難を予期している。驚くべきことに、本出願人は、まさしくステップのかかる連続的配列の結果、不飽和の基質、特に末端アルケンの高度に効率的なシクロプロパン化がもたらされることを見出した。
【0011】
MNUの場合において、例えば、in situでの、または液相におけるその合成およびジアゾメタンへのその変換は、特に工業的条件の下で、その後のシクロプロパン化反応のために魅力的である。無尽蔵に入手可能な尿素、メチルアミンおよびNaNOから製造した場合、MNUを、塩化アンモニウム、シアン酸塩、窒素および所望のシクロプロパン化化合物に、塩基、不飽和の基質および触媒への曝露の後に簡単に変換することができる。MNUを合成し、後処理し、シクロプロパン化反応器中に安全に導入することができる場合、かかるプロセスによって、比較的少ない量の廃棄物が生成するはずである。
【0012】
従来技術は、しかしながら、アルケンのシクロプロパン化において媒介するための液相製造およびMNUの反応器中への安全な移送に関する合成および後処理手順の組み合わせに関するあらゆる教示を欠いている。これに反して、従来技術には、MNUの水性酸性混合物中での製造が教示されており、それからそれは沈殿し、ろ過によって採集される(例えばOrganikum, VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin 1986、540頁に記載されているように)。
【0013】
Nefedov(以下を参照)らとの対比において、本出願人は、驚くべき方式において、アルケンおよび特に末端アルケンのシクロプロパン化が、有機溶媒なしで、またはアルケン基質について無視できる量の有機溶媒のみで容易に進行することを見出した。「無視できる量」によって、100重量当量未満の溶媒/触媒、より特に50重量当量未満の溶媒/触媒、なおより特に25重量当量未満の溶媒/触媒または溶媒/触媒なしを意味する。
【発明の概要】
【0014】
特に、本出願人は、固体MNUを触媒、末端アルケン(有機溶媒なし)およびKOH水溶液の撹拌した混合物に5℃で分割して加えた際に、末端アルケンのシクロプロパン化が効率的に起こることを見出した。
【0015】
この驚くべき発見によって、MNU媒介化学を工業化して、炭素−炭素多重結合を横断しての環形成を達成し、特にアルケンをシクロプロパン化し、より特に末端アルケンをシクロプロパン化することが可能になる。アルケン基質を有機溶媒に溶解することが効率的なシクロプロパン化が生じるのに重大ではなかったという発見によって、本出願人は、溶媒(それをさもなければアルケン基質を溶解するために使用するだろう)を、ここでMNUを溶解するための、およびそれをアルケン基質を含む反応フラスコ中に清浄かつ安全に移送するための媒体として利用することが可能になった。このようにして、固体有毒固体物質の取り扱いを回避することは、可能であった。
【0016】
本発明の第1の観点において、炭素−炭素多重結合を横断しての環形成の方法であって、当該方法がN−アルキル−N−ニトロソ化合物を液相において、炭素−炭素多重結合を保有する基質と反応させ、ここでN−アルキル−N−ニトロソ化合物が液体形態において、または有機相中に発生し、それは水相から分離されており、有機相を不飽和の基質に加えるステップを含む、前記方法を提供する。
【0017】
本発明の方法は、アルケンまたはアルキンをシクロプロパン環またはシクロプロペン環にそれぞれ変換するために有用である。N−メチル−N−ニトロソ化合物(MNC)に加えて、他のN−アルキル−N−ニトロソ化合物を使用することができ、ここでアルキル基はエチル、またはより高級のアルキル基、例えばプロピル、ブチルもしくはより高級のアルキル基であり、それは直鎖状または分枝状であってもよく、置換または非置換であってもよく、例えばN−エチル−N−ニトロソ尿素、N−ブチル−N−ニトロソ尿素、4−(エチルニトロソアミノ)−4−メチル−2ペンタノン(CAS 5569−45−9)またはN−ニトロソ−N−2−プロピン−1−イル−アセトアミド(CA 90927−84−7)である。しかしながら、明細書の残りにおいて本発明を例示するために、主としてMNCおよびアルケンのメチレン化に関する反応に言及するだろう。
【0018】
一般に、N−アルキル−N−ニトロソ化合物は、HNRR’化合物、水、NaNOおよび酸の混合物からin situで、または液相中において発生する。MNCは、メチルアミンまたはメチルアミンの誘導体、NaNOおよび酸を含む水性混合物から液相中に発生する。有機溶媒を、それが生成して相分離を促進した後にMNCに加えることができる。特に、MNUは、メチル尿素、NaNOおよび酸を含む水性混合物から液相中に発生し得る。あるいはまた、メチル尿素を使用する代わりに、これを、メチルアミンまたはその塩、および尿素を使用して発生させることができる。
【0019】
MNCが生成した後、それは、当該目的のために提供された有機溶媒中に分配される。二相混合物が生成し、有機相を水相から相分離ステップにおいて分離することができる。その後、MNCを含む有機相を、純粋な形態においてMNCを先ず単離することなくアルケン基質に加える。MNCが有機溶媒中にあるので、それを、アルケン基質を含む反応容器中に清浄かつ単純に移送することができる。
【0020】
有機液相中の好適なN−メチル−N−ニトロソ化合物(MNC)は、安価な構成成分からそれ自体で容易に製造され得、好ましくはMNC、例えばN−メチル−N−ニトロソ尿素(MNU)、エチルN−メチル−N−ニトロソウレタン(ニトロソEMU)またはN−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチルメチルケトン(NMK)を含むがそれらには限定されないようなものである。
【化2】
【0021】
用語「有機液相中で発生したN−メチル−N−ニトロソ化合物」は、有機液相としてのN−アルキル−N−ニトロソ化合物、例えばニトロソEMUまたはNMKの発生を含む。あるいはまた、固体形態において存在することができるN−アルキル−N−ニトロソ化合物を、有機液相に溶解することができる。
【0022】
本発明の特定の態様において、炭素−炭素二重結合をシクロプロパン環に変換する方法であって、以下のステップ:
I)二相混合物中でのMNCの発生、
II)有機MNC含有液相の水相からの分離および
III)有機MNC含有液相をアルケン基質、水性塩基および触媒を含む混合物中に移送し、それによってアルケン基質をシクロプロパン化すること
を含む、前記方法を提供する。
【0023】
本発明の特定の態様において、有機液相中のMNCは、それが水相上に浮遊し、下方の水相を相分離ステップにおいて重力の下で効率的に除去するために、水相より低い密度である。溶媒または溶媒混合物の添加によって、この効果が増強され得る。
【0024】
相分離に適している溶媒は、極性エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、ジメチルイソソルビド(DMIS)、ジオキサンまたはこれらのエーテルの他の共同溶媒(co-solvent)との混合物であり、それは水相と有機相との間に生じる相分離をなお許容するだろう。
【0025】
エーテルは、相分離に特に適している有機溶媒であるが、また他の溶媒、特にニトロソEMUの場合においてはトルエンを、またはMNUの場合においてはアミドタイプの溶媒、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を、使用することができる。しかしながら、N−アルキルピロリドンまたは同様のアミド溶媒のMNU溶液は、これらの溶媒の塩基性特性により生得的に不安定である。確かに、MNUは、塩基性溶媒中でジアゾメタンに分解するだろう。これらの溶媒を使用することになる場合、それらは、溶媒中のMNUの高い定常的な残存が発生しない反応において最良に用いられる。例えば、アミド溶媒は、流動化学において使用するのに特に有効であり得、ここで溶媒中の極めて少量のMNUのみが、それがアルケン基質と反応することにより直ちに消費される前に生成する。
【0026】
流動条件下でフロー反応器中で行う本明細書中に記載した方法は、本発明のさらなる観点を表す。
【0027】
一方、MNUをNaNO、メチルアミン、尿素および酸(例えば濃硫酸の存在下)から製造することは、特に当該分野において知られており、反応を特別に行って、MNUを固体として生成し、それを液相からろ過によって単離する。対照的に、MNUを本発明において単離する手段は、好適な有機溶媒中への相分離によるものである。相分離は、好適な有機溶媒を水相に加える場合に生じる。酸性化の前の有機溶媒の添加によって、その後溶解しなければならない固体MNUのあらゆる沈殿の可能性が回避されるが、有機溶媒を、酸(例えば硫酸)の添加の前または後のいずれかに導入してもよい。
【0028】
有機溶媒がMNUの有機相中への分配を促進するために極性でなければならないことを考慮して、有機層と水層との間の良好な分離を達成することができ得るのは、驚くべきことであった。良好な分離は、相分離ステップを効率的に行うことになる場合に、および著しい量のMNUが廃棄物として採集される水相中に残留しないという確実さと共に重要である。したがって、好ましい態様において、相分離を受ける前に二相混合物に塩を加える。無機および有機塩または塩混合物を加えて、相分離およびMNUの有機相中への抽出を増強してもよい。さらに、水、有機溶媒およびイオン液体を加えて、加工中の反応構成成分の所望されない沈殿を回避してもよい。
【0029】
MNUは、化学量論量のメチルアミン塩酸塩、尿素、NaNOおよび硫酸、または任意の他の有機酸もしくは無機酸および酸の混合物から容易に得られる。これらの化合物を、種々の比率において、しかし理想的には1:1:1:<1〜3:3:1:<1において混合してもよい。その後の相分離およびシクロプロパン化の容易さの目的のために、当該比率は、より特定的には2:2:1:<1であり得る。
【0030】
代替の態様において、メチルアミン塩酸塩および尿素を使用する代わりにメチル尿素を直接使用する場合、アルキル尿素、NaNOおよび硫酸の比率は、1:1:<1〜3:3:<1であり得る。その後の相分離およびシクロプロパン化の容易さの目的のために、当該比率は、より特定的には2:2:<1であり得る。
【0031】
様々な遷移金属触媒を、本発明によるプロセスにおいて使用することができるが、パラジウム触媒が、特に有用である。好適な触媒の例は、Nefedov らによってIzvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya 8, 1861 - 1869 (1989)中に記載されている。パラジウム触媒、例えばPd(acac)、Pd(OAc)またはPdClは、エチレンおよび単置換または二置換アルケン基質をシクロプロパン化することになる場合には特に有用である。単置換または二置換アルケン基質は、任意の所望の置換基で置換されていてもよく、それは、アルキルもしくはアリール(その両方は、置換されているか、分枝状であるかもしくはひずんでいてもよく、ヘテロ原子、例えば窒素、酸素、硫黄あるいはホウ素を含んでもよい)またはカルボニル基(例えばエステル、ケトンもしくはアルデヒド中で)を含むが、それらには限定されない。
【0032】
本発明による方法において使用する触媒の量は、0.5%未満、0.1mol%、0.05mol%未満および好ましくは0.02mol%またはそれ以下であり得る。したがって、本発明の特定の態様において、Pd触媒を、従来技術におけるより低い量において使用し、それは、ひずんだアルケンのin situシクロプロパン化について0.06mol%のPd(P(OMe)の最低の量を記載する(Nefedov、上記を参照、1992)。
【0033】
本出願人が高度に効率的な遷移金属触媒シクロプロパン化を行うことができたという事実は、驚くべきものである。相分離によって水層から単離したMNCを使用する潜在的な問題は、不純物、例えばアミンまたは無機塩が有機相中に、ならびにアルケン基質および遷移金属触媒を含むシクロプロパン化容器中に持ち込まれ得ることである。しかしながら、例えばNefedov(上記を参照、1989)によって指摘されているように、かかる不純物が遷移金属触媒反応の効率を悪くし得ることが周知である一方、本出願人は、いかなる悪化にも遭遇しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明による方法を例示する特定の態様の略図である。第1の反応容器中で、MNU前駆体Iが、NaNO、メチルアミンおよび尿素の混合物から水性媒体中で生成する。有機溶媒をこの水相に加え、全体を第2の容器中の濃縮した酸上にポンプで注入する、ここで水の除去の後、MNUが生成する。あるいはまた、有機溶媒を、この段階で加えることができる。相分離を、同一の容器(2)中で行う。下方の水性塩溶液相を排出させて廃棄し、一方発生したMNUを含む上方の有機層を、アルケン基質、水性塩基相および触媒を含む第3の容器中にポンプで注入する。シクロプロパン化反応は、2つの相を激しく撹拌しながら混合するに伴って進行し、反応が完了した後、シクロプロパン化されたアルケンを含む有機相を、回収する。
【化3】
【0035】
容器2中でのMNU前駆体Iの酸反応停止が高度に発熱的であり、容器3中でのシクロプロパン化がまた温度感受性であるので、冷却を、好ましくはこれらの2つのステップのために使用する。第1の観点において、MNUの制御されていない分解を回避する必要があり、それは20℃より高温で起こり、イソシアン酸メチル(MIC)を産生し得る。さらに、シクロプロパン化を、好ましくはより低い温度で行って、シクロプロパン化ステップの効率を低下させる低沸点ジアゾメタン(bp=−23℃)の大気中への放出ならびに/またはこの試薬のエチレンおよび窒素への二量化を回避する。両方のステップを、したがって、好ましくは、冷却下で、例えば−20〜+10℃、より好ましくは約0℃で行う。これらの温度を、しかしながら、MNU前駆体Iの酸への添加速度(ステップ1)またはMNUのアルケン基質への添加速度によって容易に維持し、制御する。フロー反応器中で、より高い反応温度を使用することを可能とするべきである。
【0036】
この配置は、比較的複雑でなく、それによって、MNUが容器2においてのみ発生し、容器3において破壊される(シクロプロパン化によって)ので、固体MNUの分離および取り扱いが回避され、MNUおよびジアゾメタンへのヒトの曝露が最小に低減されるという相当な利点を有する。さらに、反応順序のいくつかのステップをフロー反応器、例えばMNU発生ステップ(容器2)中で行うことができ、相分離ステップを自動化することができる。
【0037】
MNUとのシクロプロパン化反応の場合におけるように、すべての未反応のジアゾメタン(DAM)を、反応が完了した後に、高い反応性を有する犠牲アルケン(例えばエチレン、スチレン、リモネン、ミルセンもしくはファルネセン)、あるいは代替的に、または付加的に酢酸もしくは他のカルボン酸の添加、それは、強塩基の存在下で酸のメチル化によってすべてのジアゾメタンを分解する、によって反応停止することができる。
【0038】
MNCがDAMに対して直ちに、かつ完全に反応し、DAMが反応混合物中の不飽和の基質と直ちに、かつ完全に反応し、これらの化合物(MNCおよび/またはDAM)が、MNCの完全な添加(容器3中)中およびその後に検出可能でないのが、好ましい。したがって、両方の化合物(MNCおよび/またはDAM)の固定された濃度を、反応混合物中のアルケン基質およびシクロプロパン化された生成物に対して<10%、<5%、<1%、<0.1%で、および理想的には0%で保持するのが、好ましい。
【0039】
MNCまたはDAMのかかる低い、または0に近い濃度(容器3中)によって、反応器損傷の場合におけるMNCの環境中への放出が防止され、したがって有毒な反応マス(reaction mass)の流出が防止される。それによって、またDAMの反応混合物からの容器3の上部空間中への、および反応器の制限を越えての放出が防止される。特に、MNUの場合において、DAMの低い、または0に近い濃度によって、また他の危険な生成物の生成、例えば高度に有毒なイソシアン酸メチル(MIC)を生成する廃棄物イソシアン酸カリウムのメチル化が防止される。
【0040】
MNCおよび/またはDAMの固定された濃度を回避するために、熟練した化学者は、上に記載した反応パラメーター、すなわち触媒濃度、温度およびMNC/アルケン基質/シクロプロパン化生成物比率を調整するだろう。標的アルケンよりわずかに低い反応性を有する犠牲アルケンを加えることは、利点であり得る。この犠牲アルケンを、標的アルケン(あらゆるポリエンにおけるように)に共有結合的に付着させることができる。あるいはまた、準化学量論のMNC対アルケン基質を、使用してもよい。したがって、MNCは完全に消費され、DAM生成は標的アルケンが完全にシクロプロパン化される前に停止するだろう。反応パラメーター、および触媒と反応体との比率の熟練した組み合わせによって、MNC添加中および完了後のMNCおよび/またはDAMの0に近い固定された濃度が保証される。
【0041】
本発明による方法は、すべての単置換および二置換アルケン基質ならびにエチレンをシクロプロパン化のために使用することができる。しかしながら、好ましいのは、末端の(単置換)アルケン、つまりRがHである当該アルケンである。Rは、アルキル、アルキリデンまたはアリールであり得、それは、分枝状または非分枝状および置換または非置換であり得る。他の好ましいアルケンは、エキソメチレン化合物(つまりRおよびR=アルキル、アルキリデンまたはアリール、それは分枝状または非分枝状および置換または非置換であり得る、であるもの)である。
【0042】
が、分枝状または非分枝状および置換または非置換であり得るアルキル、アルキリデンまたはアリールである、末端の活性化されていないイソプレンにおいて、先ず末端の、および次にエキソメチレン二重結合が、反応するだろう。
【化4】
【0043】
1つまたは2つ以上の三置換二重結合を置換基R中に有する末端のイソプレノイド化合物は、反応条件に依存して、高い選択性を伴って単置換二重結合でシクロプロパン化されているか、または末端イソプレン単位で二重シクロプロパン化される。これによって、モノまたはビスシクロプロパン化ミルセン、ファルネセンまたは高級ポリプレノイド誘導体への選択的なアクセスが提供される。特に、ビニルシクロプロパン(モノシクロプロパン化されている)は、例えばフレーバーおよびフレグランス化合物またはそれらの前駆体、例えばpseudo-Georgywoodへのさらなる変換のための有用な中間体である。
【0044】
本発明の別の観点において、式IIIaによるシクロプロパン化イソプレンを提供する。
【化5】
式中、n=0、1、2または3である。
【0045】
本発明の特定の態様において、シクロプロパン化イソプレン、ミルセンまたはファルネセンを提供する。ポリプレンのE/Zおよびα/β純度に依存して、種々の二重結合異性体または異性体混合物IIを、シクロプロパン化IIIの後に与える出発物質として使用することができる。
【化6】
【0046】
本発明の特定の態様において、式1もしくは2で表されるモノもしくはビスシクロプロパン化ミルセン、または式3で表されるモノシクロプロパン化オシメンを提供する。
【化7】
【0047】
本発明の別の特定の態様において、式4もしくは5で表されるモノもしくはビスシクロプロパン化β−ファルネセン、または式6で表されるモノシクロプロパン化α−ファルネセンを提供する。
【化8】
【0048】
単置換アルケンのシクロプロパン化を一般に、メチレン化のためのジアゾ化合物、例えばジアゾメタン(DAM)、および典型的にはパラジウム錯体を含む遷移金属触媒の補助によって行うことは、文献から知られている。ポリエン、例えばIIにおけるモノシクロプロパン化ポリエン、例えばIIIへの単置換二重結合の遷移金属触媒選択的メチレン化に関する有用な情報は、しかしながら乏しく、前駆体イソプレン(IIおよびIIIにおいてn=0)のみに限定されている。
【0049】
III(n=0)への選択性は比較的良好であるが、例えばより少量の触媒および/または反応容器中でin situで発生したDAMを使用していかにして選択性および反応条件をさらに改善するかのヒントは、示されなかった。恐らくより複雑な混合物がより高い不飽和度の場合において予期されたので、当該反応はまた、より高級のポリエンII(n≧1を有する)に関して試験されなかった。ポリエンII(n≧1を有する)の選択的なメチレン化は、現在まで報告されていない。n≧1を有する化合物IIIは、したがって知られていないか、またはより複雑な経路によって合成されている。かかる化合物(III、n≧1)への単純なアクセスは、しかしながら、有用なフレグランス化合物へのさらなる反応におけるこれらの生成物の価値のために強く所望される。
【0050】
本発明の別の特定の態様において、一般式IVで表され、式中R’が分枝状または非分枝状C〜Cアルキルラジカルであり、n=0、1または2であり、シクロプロパンの1および/または2位に位置し、R’’が、任意に置換されており、不飽和であり、任意に1個または2個以上のヘテロ原子、カルボニル基、イミン、アルコール、アセタールを含むC〜C10ラジカルである、置換されたメタまたはパラ置換シクロプロピルベンゼンを提供する。
【化9】
【0051】
置換シクロプロピルベンゼンIVは、適切な化学的変換および精製の後に、熟練した化学者に知られているように、フローラルの、および好ましくはスズラン族のフレグランス化合物を生成することができる。
【0052】
一般式Vで表されるビニルシクロプロパンを、当該分野における熟練した化学者に知られているビニルシクロプロパン転位によって、既知のフレグランス化合物の有用な前駆体に、例えばP. Kraft in Synthesis, 695, 1999およびその中の参考文献によって記載されているビニルシクロプロパンのRh(I)触媒付加環化を使用して変換することができる。付加環化生成物VIは、さらなる変換の後に、ウッディアンバー族の価値のあるフレグランス生成物を生成する。
【化10】
【0053】
モノシクロプロパン化ミルセン1へのこの方法の適用によって、例えば、正確な反応条件に依存して、共にGeorgywoodTMの価値のある前駆体であるホモミルセン10およびpseudo-Georgywood12が得られる。
【化11】
【0054】
本発明の方法によって発生したシクロプロパンをまた、Δ−ミルセノール13およびΔ−ミルセノール14などのフレグランス化合物として、例えばさらなる誘導体化を伴わずに直接使用することができる:
【化12】
ここで、さらに本発明を例示するために作用する一連の例を後続させる。
【0055】
一般的な分析的条件:
無極性GC/MS:50℃/2分、20℃/分 200℃、35℃/分 270℃。HP 7890A Series GCシステムを有するGC/MS Agilent 5975C MSD。無極性カラム:SGEからのBPX5、5%フェニル95%ジメチルポリシロキサン0.22mm×0.25mm×12m。キャリアガス:ヘリウム。注射器温度:230℃。分割1:50。流量:1.0ml/分。移送ライン:250℃。MS−四重極:106℃。MS源:230℃。
【0056】
例1。THF中でのMNUの製造
【化13】
尿素(175g、2.9mol)およびメチルアミン塩酸塩(198g、2.9mol)の水(400ml)溶液を、撹拌下で3.5時間還流にて加熱する(105℃)。40℃で、水(200ml)に溶解したNaNO(101g、1.45mol)を、加える。15分後、THF(1000ml)を加え、その結果透明な2相混合物が得られる。濃HSO(110g、1.1mol)を、0〜5℃で加え、1.5時間以内撹拌する。さらに0〜5℃で0.5時間後、2つの透明な相を、25℃で分離する。有機相(A、1065ml、理論的に1.35M)を、0〜5℃で数日間保存するか、またはシクロプロパン化反応器中に直ちに送る。
【0057】
水相を、THF(2×1l)で2回抽出する。これによって、1100mlの相Bおよび1075mlの相Cが得られる。相Aによってその後のシクロプロパン化反応において末端アルケンのシクロプロパンへの51%の変換が得られる一方、相Bによって<0.5%のシクロプロパンが得られ、相Cによって検出可能な変換が得られない。本発明者らは、>99%のMNUが第1の相分離の後に抽出されると結論づける。通常、水相を、したがって濃KOH水溶液および酢酸での処理の後に第1の相分離(有機相Aから)の後に廃棄する。
【0058】
例2。トルエン中でのN−ニトロソ−ジメチルウレタンの製造
【化14】
水中のHPO 50%(9.2g、48mmol)を、カルバミン酸ジメチル(4.9g、55mmol)に、撹拌下で10〜20℃で加える。無色の2相混合物に、水中のNaNO 30%(20.1g、67mmol)を、10〜15℃で1〜1.5時間にわたって加える。亜硝酸ガスが添加の終了時に生成し、オレンジ色溶液を25℃で17時間撹拌する。窒素を反応混合物を通して吹き込んで、残留する亜硝酸ガスを追放する。撹拌を停止し、試料を解析的分析のためにオレンジ色有機層から採取し、それによってGCMSおよびNMRにより88〜92%の変換が示される。反応混合物を、トルエン(15ml、10ml)で2回抽出して、30mlの透明な明るいオレンジ色の溶液を得、それをシクロプロパン化ステップにおいてそれ自体で使用する。
【0059】
トルエン添加の前の有機層の分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 4.1 (s, 3 H), 3.2 (s, 3 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 154.2 (s), 54.9 (q), 28.0 (q) ppm. GC/MS: 118 (20%, M+), 87 (10%), 59 (100%), 56 (20%), 43 (77%), 42 (26%), 30 (74%), 28 (21%).
【0060】
例3。ニトロソ−EMUの製造
【化15】
水中のHPO 50%(683g、3.44mol)を、10〜20℃で撹拌(300rpm)下でカルバミン酸エチルメチル(412g、4mol)に加える。無色の2相混合物に、水中のNaNO 30%(1123g、4.9mol)を、10〜15℃で6時間にわたって加える。亜硝酸ガスが50%添加の後に生成し、それを、水中の10%(NHSOを含む2つの洗浄瓶中に吸収させる。オレンジ色溶液を25℃で17時間撹拌し、残留する亜硝酸ガスが除去されるまで窒素でパージする。撹拌を停止し、試料を解析的分析のためにオレンジ色有機層から採取し、それによってGCMSおよびNMRにより76〜82%の変換が示される。反応混合物を、トルエン(2×1l)で2回抽出して、2.5lの透明な明るいオレンジ色の溶液を得、それをシクロプロパン化ステップにおいてそれ自体で使用する。
【0061】
トルエン添加の前の有機層の分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 4.55 (q, 2 H), 3.2 (s, 3 H), 1.5 (t, 3 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 153.8 (s), 64.5 (t), 28.0 (q), 14.25 (q) ppm. GC/MS: 132 (6%, M+), 87 (10%), 60 (48%),58 (20%), 56 (14%), 43 (83%), 30 (56%), 29 (100%).
【0062】
例4。Δ−ミルセン1およびΔ−ミルセン2の製造。
【化16】
THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素1.35M(810ml、1.1mol、例1から)を、0℃で、ミルセン94%tech.(100g、0.69mol)および40%KOH(300ml)水溶液に、強力な撹拌の下で加える。20mlのTHF中のMNUの添加の後、ジクロロメタン(20ml)にあらかじめ溶解したパラジウムアセチルアセトネート(0.45g、0.2%)を、加える。残りの790mlのTHF中のMNUを、0℃で5.5時間以内に加える。0℃でさらに1.5時間後、完全な変換がGCによって検出され、それは85%のΔ−ミルセンおよび11%のΔ−ミルセン(rpa)を示す。
【0063】
酢酸(300ml)を、0〜5℃で3時間以内に加え、次に2M HCl(500ml)を、25℃で加える。相分離の後、水相を、2×400mlのtert−ブチルメチルエーテルで抽出する。合わせた有機相を、2×500mlの水、500mlの10%NaOHおよび500mlのNaClで洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残りの黄色液体(109g)に、パラフィン油(20g)およびKCO(0.5g)を加える。40〜50mbarでの30cmの鋼コイルカラムでの蒸留によって、1gのミルセン(1% corr)が75℃で、81.2gのΔ−ミルセン1(78% corr)が93〜98℃で、および9.3gのΔ−ミルセン2(8% corr)が95〜105℃で得られる。画分をプールして、100%純度の70.5gのΔ−ミルセンおよび5.3gの87%純度のΔ−ミルセンを得る。
【0064】
Δ−ミルセン1の分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.1 (m, 1 H), 4.6 (2 H), 2.15 (2 H), 2.0 (1 H), 1.7 (s, 3 H), 1.6 (s, 3 H), 1.3 (1 H), 0.6 (2 H), 0.4 (2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 150.9 (s), 135.5 (s), 124.2 (d), 106.0 (t), 35.9 (t), 26.8 (t), 25.6 (q), 17.7 (q), 16.1 (d), 6.95 (t) ppm. GC/MS: 150 (1%, M+), 135 (6%, [M - 15]+), 121 (3%), 107 (88%), 93 (11%), 91 (18%), 79 (62%), 77 (11%), 69 (82%), 67 (26%), 53 (18%), 41 (100%). IR (film): 3081 (m), 3003 (w), 2968 (m), 2915 (m), 2856 (m), 1642 (m), 1440 (m), 1376 (m), 1239 (w), 1211 (w), 1172 (w), 1102 (m), 1047 (m), 1018 (m), 984 (w), 958 (w), 937 (w), 875 (s), 820 (m), 627 (m). Anal. calcd. for C11H18: C, 87.93; H, 12.07. Found: C, 87.22; H, 12.00.
【0065】
Δ−ミルセン2の分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.1 (m, 1 H), 2.15 (m, 2 H), 1.7 (s, 3 H), 1.6 (s, 3 H), 1.35 (m, 2 H), 1.15 (m, 1 H), 0.3 (2 H), 0.1 (4 H), -0.1 (m, 2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 130.9 (s), 125.1 (d), 40.0 (t), 25.7 (q), 25.6 (t), 20.3 (s), 17.5 (q), 14.3 (d), 9.2 (2 C, t), 1.9 (2 C, t) ppm. GC/MS: 149 (12%, [M - 15]+), 136 (11%), 121 (38%), 107 (17%), 95 (13%), 93 (46%), 91 (15%), 81 (17%), 79 (47%), 77 (15%), 69 (100%), 67 (47%), 65 (10%), 55 (30%), 53 (23%), 41 (100%), 39 (26%). IR (film): 3075 (m), 3002 (m), 2968 (m), 2914 (m), 2854 (m), 2730 (w), 2053 (w), 1642 (w), 1450 (m), 1376 (m), 1244 (w), 1107 (m), 1097 (m), 1045 (m), 1011 (s), 984 (w), 952 (m), 884 (m), 858 (w), 819 (m), 742 (w), 665 (w), 631 (w).
【0066】
例5。ミルセンのMNUでの様々な溶媒中でのシクロプロパン化
【表1】
条件:ミルセン、0.2%Pd(II)触媒および40%KOH水溶液への、0〜5℃での、ミルセンのモノシクロプロパン1への最大の変換に到達するまでの撹拌下での異なる溶媒中におけるMNUの添加。a)0.5当量の内部標準テトラデカン。b)MNU/NMP滴下漏斗中のガス気泡。
【0067】
例6:ミルセン1のN−ニトロソ−ジメチルウレタンでのシクロプロパン化
トルエン(1ml)中のPd(acac)(5.6mg、0.05%)を、0〜5℃で、ミルセン85% tech.(5g、31mmol)のトルエン(25ml)および40%KOH水溶液(15ml)中の撹拌した混合物に加える。トルエン中のN−ニトロソ−ジメチルウレタン 1.8M(30ml、55mmol、例2から)を、0〜5℃で1時間にわたって加える。強度に黄色の反応混合物は、GCによるΔ−ミルセン(77%)およびΔ−ミルセン(7%)への、0〜5℃での1時間後の87%の変換および室温での18時間後の96%の変換を示す。有機相を分離し、水相をトルエン(50ml)で抽出する。両方の有機相を、酢酸(25ml)、水(25ml)、10%NaOH(25ml)および水(3×25ml)で洗浄する。有機相を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残りの黄色油(4.2g)を、100〜120℃/20mbarでバルブ・ツー・バルブ(bulb-to-bulb)蒸留し、2%のミルセン、84%のΔ−ミルセン1および8%のΔ−ミルセン2を含む2.9g(61%)の生成物混合物を得る。これらの構成成分の分析的なデータは、例4において得られたものと同一である。
【0068】
例7:ミルセン1のN−ニトロソ−β−メチルアミノイソブチルメチルケトン(NMK)でのシクロプロパン化
Pd(acac)(21mg、0.5%)を、0〜5℃で、新たに蒸留したミルセン(2g、15mmol)および40%KOH水溶液(5ml)の撹拌した混合物に加える。WO 2013110932に記載されているように製造したNMK(4.6g、29mmol)を、0〜5℃で0.5時間以内に滴加する。0〜5℃でさらに1時間後、茶色懸濁液を、25℃でさらに2時間撹拌する(GCにより87%変換)。21時間後、混合物を酢酸(10ml)で反応停止し、二相混合物をtert−ブチルメチルエーテル(2×50ml)で抽出する。有機層を、水(25ml)、10%NaOH(25ml)および水(25ml)で洗浄する。両方の有機相を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残りの黄色油(4.1g)を、50〜150℃/10mbarでバルブ・ツー・バルブ蒸留し、1gのメシチルオキシド(35%)、0.26gのミルセン(14%)、1.4gのΔ−ミルセン1(69%)および0.07gのΔ−ミルセン2(3%)を得る。主要な構成成分の分析的データは、例4において得られたものと同一である。
【0069】
例8。Δ−オシメン3のオシメンからの製造
【化17】
例5に記載したように、THF中のMNU 1.35M(38ml、51mmol)、E/Z−オシメン(3g、22mmol)、40%KOH水溶液(10ml)およびTHF(1.5ml)にあらかじめ溶解した酢酸パラジウム(15mg、0.3%)から製造した。0℃で1時間後および25℃で4時間後、GCは、94%のΔ−オシメンおよび6%のオシメン(rpa)を示す。後処理によって、3.1gの粗製物のΔ−オシメン3(E/Z 3:1)が粗製物の帯黄色油として得られる。
【0070】
分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.2 and 5.1 (2 H), 2.85 and 2.7 (1 H, CH2), 1.7 (1 H), 1.7 (s, 3 H), 1.65 (s, 3 H), 1.55 and 1.4 (2 s, E/Z, 3 H), 0.45 (2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz, E-isomer and selected signals of the Z-isomer): 135.4 (s), 131.3 (s), 123.3 (d), 121.9 (d), 27.0 (t), 25.7 (q), 25.675 (q), 18.7 (d), 17.7 (q), 13.8 (q), 4.2 (t) ppm. 26.6 (t, Z), 18.9 (q, Z), 4.0 (t, Z). GC/MS (E/Z overlap): 150 (14%, M+), 135 (43%, [M - 15]+), 121 (17%), 109 (16%), 107 (100%), 105 (39%), 94 (17%), 93 (57%), 91 (67%), 82 (36%), 81 (40%), 79 (75%), 77 (39%), 69 (22%), 67 (56%), 65 (15%), 55 (24%), 53 (27%), 41 (65%), 39 (43%).
【0071】
例9。THF中でのMNUを使用したE−Δ−ファルネセン4およびE−Δ−ファルネセン5の製造
【化18】
THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素1.35M(136ml、184mmol)を、0℃で、0〜5℃のβ−E−ファルネセン(CAS 18794−84−8)(25g、122mmol)およびKOH水溶液(50ml、40%)の急速に撹拌した混合物に滴加する。4mlのMNU溶液の添加の後、0.5mlのジクロロメタンにあらかじめ溶解したPd(acac)(7.4mg、0.024mmol、0.02%)を、加える。残るMNU溶液を、0〜5℃で4時間にわたって加える。この段階でのGCによって、28%の変換されていないE−β−ファルネセン、65%のモノシクロプロパン4および3%のビスシクロプロパン5が示された。25℃で16時間後、酢酸(100ml)を0〜5℃で、次にtert−ブチルメチルエーテル(250ml)を加える。相分離の後、有機相を2M HCl(250ml)で洗浄し、水相をtert−ブチルメチルエーテル(250ml)で抽出した。合わせた有機層を、水(2×100ml)、10%NaOH水溶液(2×100ml)および水(2×100ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮して、9%のE−β−ファルネセン、82%のモノシクロプロパン4および6%のビスシクロプロパン5を含む、26.9gのわずかに黄色の液体を得る。
【0072】
例10。NMP中でMNUから製造したE−Δ−ファルネセン4およびE−Δ−ファルネセン5の蒸留的精製:
例9に記載したのと同様の条件の下で、E−β−ファルネセン(193.4g、0.945mol)を、MNU(1.3mol)を有するジクロロメタン(40ml)および40%KOH(400ml)にあらかじめ溶解したPd(acac)(0.58g、1.9mmol、0.2%)の存在下で、800mlのNMP中でシクロプロパン化する(MNU/NMP滴下漏斗中でわずかであるが一定のガス発生の下で)。後処理によって、3%のE−β−ファルネセン、75%のモノシクロプロパン4および12%のビスシクロプロパン5を含む、わずかに黄色の液体(202g)が得られる。1gのKCO(1g)の添加および40〜60mbarでの30cmの鋼コイルカラムでの蒸留によって、6.3gのE−β−ファルネセン(3% corr)が125〜135℃で、147gのモノシクロプロパン4(68% corr)が135〜145℃で、20.3gのビスシクロプロパン5(10% corr)が145〜155℃で、および18gの残留物が得られる。画分をプールして、100%純度の92gのモノシクロプロパン4および93%純度の10gのビスシクロプロパン5を無色液体として得る。
【0073】
E−Δ−ファルネセン4の分析的データ:
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.1 (2 m, 2 H), 4.6 (2 H), 2.2 (2 H), 2.1 (4 H), 2.0 (2 H), 1.7 (s, 3 H), 1.6 (2 s, 6 H), 1.3 (1 H), 0.6 (2 H), 0.45 (2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 150.9 (s), 135.1 (s), 131.2 (s), 124.4 (d), 124.1 (d), 106.0 (t), 39.7 (t), 35.9 (t), 26.7 (t), 25.7 (q), 17.7 (q), 16.0 (d), 6.0 (t) ppm. GC/MS: 218 (2%, M+), 203 (5%, [M - 15]+), 175 (11%), 147 (31%), 134 (15%), 133 (20%), 121 (12%), 107 (55%), 95 (16%), 93 (30%), 91 (20%), 82 (11%), 81 (33%), 79 (42%), 69 (100%), 67 (22%), 55 (20%), 53 (21%), 41 (75%). IR (film): 3081 (w), 2967 (m), 2915 (m), 2854 (m), 1642 (m), 1439 (m), 1377 (m), 1107 (w), 1047 (w), 1018 (m), 875 (s), 819 (m), 629 (w). Anal. calcd. for C16H26: C, 88.00; H, 12.00. Found: C, 87.80; H, 12.01.
【0074】
E−Δ−ファルネセン5の分析的データ:
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 5.15 (2 m, 2 H), 2.25 (m, 2 H), 2.05 (m, 2 H), 2.0 (m, 2 H), 1.7 (s, 3 H), 1.65 (2 s, 6 H), 1.4 (m, 2 H), 1.05 (m, 1 H), 0.3 (m, 2 H), 0.15 (4 H), -0.05 (m, 2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 134.5 (s), 131.2 (s), 124.9 (d), 124.4 (d), 40.0 (t), 39.7 (t), 26.7 (t), 25.7 (q), 25.5 (t), 20.3 (s), 17.6 (q), 15.9 (q), 14.3 (d), 9.2 (2 C, t), 1.9 (2 C, t) ppm. GC/MS: 232 (0.2%, M+), 217 (3%, [M - 15]+), 204 (4%), 189 (10%), 161 (8%), 147 (12%), 121 (22%), 107 (20%), 95 (27%), 93 (31%), 91 (13%), 81 (42%), 79 (30%), 69 (100%), 67 (33%), 55 (24%), 53 (16%), 41 (67%). IR (film): 3075 (w), 3001 (w), 2967 (m), 2913 (m), 2849 (m), 1669 (w), 1448 (m), 1377 (m), 1107 (m), 1045 (m), 1011 (s), 984 (w), 952 (w), 884 (w), 819 (m), 740 (w), 664 (w). Anal. calcd. for C17H28: C, 87.86; H, 12.14. Found: C, 87.59; H, 12.09.
【0075】
例11。E−α−Δ−ファルネセン6混合物のE−α,β−ファルネセンからの製造
【化19】
例9に記載したように、THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素 1.35M(10ml、13.5mmol)、E−α,β−ファルネセン(1g、5mmol、純度Zα/β/Eα 17:50:26、GC、rpa)、KOH水溶液(2.5ml、40%)および0.75mlのTHFにあらかじめ溶解したPd(OAc)(3.3mg、0.015mmol、0.3%)から製造した。後処理およびバルブ・ツー・バルブ蒸留によって、0.76gの無色液体が得られ、それは、E−β−ファルネセン4(46%)、E−α−Δ−ファルネセン6(39%)および10%の未変換ファルネセンを含む。GC/MS: 218 (0.2%, M+), 203 (3%, [M - 15]+), 175 (4%), 149 (8%), 147 (9%), 133 (13%), 123 (50%), 121 (22%), 119 (15%), 107 (70%), 105 (30%), 95 (35%), 93 (90%), 91 (57%), 81 (80%), 79 (55%), 77 (33%), 69 (95%), 67 (27%), 55 (36%), 53 (21%), 41 (75%).
【0076】
例12。8−シクロプロピルオクタン酸エチル7
【化20】
例4に記載したように、THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素1.35M(31ml、42mmol)、デセン酸エチル(5g、25mmol)、40%KOH水溶液(10ml)およびジクロロメタン(1ml)にあらかじめ溶解したパラジウムアセチルアセトネート(15mg、0.2%)から製造した。後処理によって、4.5g(88%)の粗製の8−シクロプロピルオクタン酸エチル7がわずかに黄色の液体として得られる。
【0077】
分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 4.15 (q, 2 H), 2.3 (t, 2 H), 1.6 (m, 2 H), 1.3 - 1.5 (8 H), 1.3 (t, 3 H), 1.2 (dt, 2 H), 0.65 (m, 1 H), 0.4 (m, 2 H), 0.0 (m, 2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 134.5 (s), 131.2 (s), 124.9 (d), 124.4 (d), 40.0 (t), 39.7 (t), 26.7 (t), 25.7 (q), 25.5 (t), 20.3 (s), 17.6 (q), 15.9 (q), 14.3 (d), 9.2 (2 C, t), 1.9 (2 C, t) ppm. GC/MS: 212 (0.2%, M+), 197 (0.2%, [M - 15]+), 169 (1%), 167 (2%), 166 (3%), 149 (3%), 138 (8%), 124 (15%), 123 (8%), 110 (7%), 101 (37%), 96 (30%), 73 (20%), 69 (30%), 67 (20%), 61 (15%), 60 (17%), 55 (100%), 41 (50%). IR (film): 3076 (w), 2997 (w), 2923 (m), 2857 (m), 1735 (s), 1463 (m), 1427 (w), 1372 (m), 1348 (w), 1301 (w), 1247 (w), 1175 (m) 1115 (m), 1097 (m), 1035 (m), 1014 (m), 946 (w), 856 (w), 820 (w), 723 (w), 629 (w).
【0078】
例13。3−シクロプロピル−1−(スピロ[4.5]デカ−7−エン−7−イル)プロパン−1−オンおよび3−シクロプロピル−1−(スピロ[4.5]デカ−6−エン−7−イル)プロパン−1−オン8:
【化21】
例4に記載したように、THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素 1.35M(18ml、24mmol)、スピロガルバノン(3g、25mmol、EP 913383、Givaudanに対する優先権、29.10.1997)、40%KOH水溶液(10ml)およびジクロロメタン(0.5ml)にあらかじめ溶解したパラジウムアセチルアセトネート(8.4mg、0.2%)から製造した。後処理によって、3.2g(定量的)の粗製のシクロプロパン8がわずかに黄色の液体として得られる。純度:98%、α/β異性体比率58:42(GC)。
【0079】
分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 6.9 and 6.6 (1 H, α- and β-isomer), 2.75 (t, 2 H), 2.25, 2.15 2.1 and 1.7 (4 H), 1.3 - 1.7 (12 H), 0.65 (1 H), 0.35 (m, 2 H), 0.0 (2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 201.9 and 201.7 (2 s, CO), 148.3 and 139.2 (2 d), 138.8 and 136.8 (2 s), 44.2 and 40.6 (2 s), 40.1, 38.13, 37.2, 37.1, 35.4, 34.4, 32.85, 30.2, 30.1, 24.8, 24.65, 24.4, 23.5, 20.1 (7 x 2 t), 10.7 (2 d), 4.55 and 4.5 (2 t) ppm. GC/MS (β-isomer, tR = 9.84 min): 232 (24%, M+), 217 (2%, [M - 15]+), 204 (10%), 203 (13%), 189 (11%), 177 (15%), 176 (54%), 175 (28%), 149 (13%), 148 (21%), 147 (27%), 136 (10%), 135 (56%), 134 (24%), 133 (34%), 131 (12%), 121 (27%), 120 (15%), 119 (21%), 117 (14%), 107 (43%), 105 (39%), 93 (100%), 91 (98%), 81 (38%), 79 (78%), 77 (63%), 69 (18%), 67 (63%), 65 (24%), 55 (71%), 53 (30%), 43 (18%), 41 (77%), 39 (29%). GC/MS (α-isomer, tR = 9.96 min): 232 (38%, M+), 217 (3%, [M - 15]+), 204 (16%), 203 (25%), 178 (8%), 175 (6%), 164 (12%), 163 (100%), 161 (9%), 147 (10%), 135 (27%), 133 (19%), 121 (22%), 119 (14%), 117 (13%), 109 (18%), 107 (58%), 105 (26%), 95 (37%), 93 (88%), 91 (73%), 81 (57%), 79 (79%), 77 (47%), 69 (27%), 67 (80%), 65 (21%), 57 (10%), 55 (78%), 53 (62%), 43 (17%), 41 (80%), 39 (30%), 29 (16%). IR (film): 3075 (w), 2998 (w), 2929 (m), 1664 (s), 1636 (w), 1446 (w), 1379 (w), 1340 (w), 1271 (w), 1212 (w), 1189 (m), 1103 (w), 1043 (w), 1013 (m), 942 (w), 819 (w), 753 (w), 697 (w).
【0080】
例14。1−シクロプロピル−3−メチルベンゼン9:
【化22】
例4に記載したように、THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素 1.35M(19ml、25.6mmol)、1−メチル−3−ビニルベンゼン(2g、17mmol)、40%KOH水溶液(10ml)およびジクロロメタン(0.5ml)にあらかじめ溶解したパラジウムアセチルアセトネート(10.3mg、0.2%)から製造した。後処理によって、2.2g(quant)の粗製の1−シクロプロピル−3−メチルベンゼン9がわずかに黄色の液体として得られる。
【0081】
分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 7.15 (dd, 1 H), 6.95 (d, 1 H), 6.85 (2 H), 2.3 (s, 3 H), 1.85 (m, 1 H), 0.9 (m, 2 H), 0.65 (m, 2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 143.9 (s), 137.8 (s), 128.2 (d), 126.5 (d), 126.2 (d), 122.7 (d), 21.4 (q), 15.3 (d), 9.1 (2 C, t) ppm. GC/MS: 132 (40%, M+), 131 (17%), 118 (10%), 117 (100%), 116 (15%), 115 (44%), 105 (8%), 103 (6%), 91 (28%), 77 (12%), 65 (12%), 63 (10%), 51 (11%), 39 (16%). IR (film): 3081 (w), 3008 (m), 2919 (w), 1607 (m), 1589 (w), 1491 (m), 1462 (m), 1430 (w), 1378 (w), 1242 (w), 1170 (w), 1090 (w), 1044 (m), 1018 (m), 924 (m), 865 (w), 812 (m), 774 (s), 696 (s).
【0082】
例15。(E)−2−メチル−6−メチレンノナ−2,7−ジエン10(E−ホモミルセン):
【化23】
メタクリロニトリル(1.3g、19mmol)およびウィルキンソン触媒RhCl(PPh(0.3g、0.3mmol)を、トルエン(15ml)中のΔ−ミルセン1(1g、6.7mmol)に、窒素および撹拌の下で加える。混合物を、還流にて22時間加熱し、25℃に冷却し、シリカゲルでろ過する。水(50ml)の添加および相分離の後、水相をトルエンで抽出する。合わせた有機層を、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、1.25gの透明な液体を得る。GCMSによって、63%のE−ホモミルセン10、26%の異性体(M 150)および11%のDiels-Alder付加物11が明らかになる。40℃/0.1mbarでのバルブ・ツー・バルブ蒸留によって、0.22g(22%)のE−ホモミルセン10および0.55gの残留物が得られる。E−ホモミルセン10およびDiels-Alder付加物11の分析的データは、文献(Tetrahedron 65, 10495, 2009およびその中の参考文献)に記載されているものと同一であった。
【0083】
例15。1−((1SR,2RS)−1,2−ジメチル−4−(4−メチルペンタ−3−エン−1−イル)シクロヘキサ−3−エン−1−イル)エタノン12(pseudo-Georgywood)
【化24】
3−メチルブタン−2−オン(3.7g、13mmol)およびウィルキンソン触媒RhCl(PPh(0.6g、0.7mmol)を、トルエン(30ml)中のΔ−ミルセン1(2g、13.3mmol)に、窒素および撹拌の下で加える。混合物を、還流にて41時間加熱し、25℃に冷却し、シリカゲルでろ過する。水(50ml)の添加および相分離の後、水相をトルエンで抽出する。合わせた有機層を、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、2.7gの透明な液体を得る。100〜160℃/0.05mbarでのバルブ・ツー・バルブ蒸留によって、主要な生成物として1.31g(42%)のGeorgywood12を含む3:1異性体混合物が得られ、その分析的データは、文献に記載されているものと同一であった。例えばTetrahedron: Asymmetry 15, 3967 (2004)を参照。
【0084】
例16。Δ−ミルセノール13の製造
【化25】
例4に記載したように、THF中のN−メチル−N−ニトロソ尿素 1.35M(72ml、97mmol)、ミルセノール(10g、65mmol、Chemistry Letters 15, 157 - 160, 1986およびその中の参考文献)、KOH水溶液(32ml、40%)および2.6mlのTHFにあらかじめ溶解したPd(acac)(20mg、0.065mmol、0.2%)から製造した。0℃で1時間後、定量的変換が、GCによって検出される。後処理によって、10.7gの粗製物13が帯黄色油として得られ、それを、溶離剤ヘキサン/tert−ブチルメチルエーテル 1:1でのシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。溶媒の蒸発によって、9.45g(87%)の13が無色油として得られる。4.2gのこの物質を、60℃/0.03mbarでのバルブ・ツー・バルブ蒸留によってさらに精製し、4gの嗅覚的に純粋なΔ−ミルセノール13を得た。嗅覚的プロフィール:フローラル、バラ様、わずかにアルデヒド様。純度:96%。NMRおよびGCによって、この物質は、4%のΔ−ミルセノール14を含む。
【0085】
13の分析的データ:1H-NMR (CDCl3, 400 MHz): 4.6 (m, 2 H), 2.05 (m, 2 H), 1.6 (m, 2 H), 1.5 (m, 2 H), 1.3 (m, 2 H), 1.2 (6 H, s), 0.65 (m, 2 H), 0.43 (m, 2 H) ppm. 13C-NMR (CDCl3, 400 MHz): 150.9 (s), 106.05 (t), 71.0 (s), 43.6 (t), 36.5 (t), 29.25 (q), 22.85 (t), 15.93 (d), 6.1 (t). GC/MS: 150 (8%, [M - 18]+), 135 (15%, [M - 18 - 15]+), 122 (2%), 121 (4%), 109 (11%), 107 (24%), 95 (25%), 94 (41%), 93 (19%), 91 (8%), 82 (18%), 79 (100%), 77 (10%), 69 (14%), 67 (41%), 59 (60%), 43 (28%), 41 (27%).
【0086】
Δ−ミルセノール14のGCMS:149 (16%, [M - 18 - 15]+), 135 (10%), 121 (31%), 109 (22%), 108 (30%), 107 (24%), 95 (20%), 94 (15%), 93 (88%), 91 (18%), 81 (42%), 80 (58%), 79 (100%), 77 (10%), 69 (24%), 67 (44%), 59 (67%), 43 (34%), 41 (49%).
【0087】
例17。Toscanol16の製造
【化26】
Pd(acac)(0.15g、0.5mmol、0.05mol%)を、0〜5℃で、トルエン(1l)中のエストラゴール(148g、1mol)および40%KOH水溶液(0.5l)の撹拌した(300rpm)混合物に加える。トルエン中のニトロソ−EMU 1.63M(1.25l、2mol、例3に記載したように製造した)を、0〜5℃で6時間にわたって加える。明るい黄色の反応混合物を、0〜5℃でさらに1時間、次に室温で17時間撹拌する。GC分析によって、Toscanolへの定量的な変換が示される。有機相を分離し、水相をトルエン(1l)で抽出する。有機相を、水(1l)、10%酢酸(1l)、水(1l)、10%NaOH(1l)および水(2×1l)で洗浄する。両方の有機相を合わせ、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮する。残りの黄色油(173.7g)を、70〜150℃/0.07mbarで短経路蒸留し(short-path-distill)、84〜100%の純度を有する(すべての画分にわたって)159g(98% corr)のToscanol16を得る。NMRデータは、この化合物について文献、例えばS.-K. Tiana et al., Adv. Synth. & Cat. 353, 1980 - 1984 (2011)において報告されているものと同一である。
Toscanol16のGCMS:162 (22%, M+), 147 (8%), 134 (23%), 121 (100%), 119 (11%), 91 (18%), 78 (8%), 77 (10%), 65 (7%).
図1