(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のセンサの前記二極型電極の少なくとも1つが、口蓋帆挙筋、口蓋帆張筋、口蓋咽頭筋、口蓋舌筋、粘膜筋板、口蓋垂筋のうちの少なくとも1つを覆う組織表面と接触するように前記プローブのサイズおよび形状が構成されている、請求項1に記載のシステム。
前記複数のセンサの前記二極型電極の少なくとも1つが、軟口蓋、咽頭側壁、および舌のうちの少なくとも1つの筋を覆う組織表面と接触するように前記プローブのサイズおよび形状が構成されている、請求項1に記載のシステム。
プロセッサであって、該プロセッサに前記複数のセンサからのシグナルを分析させ、そして、該シグナルが前記少なくとも1つの筋のEMG活動に相当するか否かを決定させるように構成された該プロセッサ上で動かせるコンピューター命令を有するプロセッサ
をさらに備え、該コンピューター命令は、該プロセッサにEMG活動をEMGアーチファクトから区別させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態のうちのいくつかの詳細な説明)
本開示のいくつかの実施形態において、筋電図検査(EMG)プローブ(およびいくつかの実施形態においては、EMG/温度プローブ)が提供され、これは、患者の身体の組織/器官において起こる電気活動の評価、分析、診断、および記録のうちの少なくとも1つのための診断ツールとして使用され得る。このような実施形態において、神経筋および組織ダイナミクスの質および/もしくは状態が決定され得、これは、上記組織および/もしくは器官と関連する状態の診断および/もしくは処置を補助し得る。本開示によって教示される実施形態のうちのいくつかの理解を高めるために、神経および筋の電気的特性の基本の基本を提供し、神経筋病理の基本的な電気生理学的特徴およびそれらをどのようにして電気生理学的に評価するかもまた提供する。
【0022】
組織の興奮性は、神経もしくは筋肉に拘わらず、定常状態における膜電位(transmembrane potential)の大きさに反映される。刺激の間に閾値に達すると、膜を横切って伝わる活動電位が発生する。このような活動電位は、細胞体もしくは軸索末端に起こり、神経線維に沿って伝わるので、神経系に関する情報を伝達する。EMGは、安静時および随意収縮の間の種々の骨格筋におけるこれら電気的特性を分析するために使用され得る。
【0023】
臨床的には、これら細胞外活動電位は、表面電極もしくは針電極を通して電気的診断手順の間に記録され得る。間質液および結合組織は、発電源(generator source)の周りの体積伝導体として作用する。体積伝導体(これは、ソースともいわれ得る)は、電気的事象が距離を経て伝達される容器である。このようなソースは、正の領域および負の領域で構成される双極子として表される。双極子は、高電流密度領域における能動記録電極と、遠位基準電極との間で電位差を生じる。
【0024】
発電源に対する記録電極の位置は、その記録された波形電位(waveform potential)の方向(すなわち、負 対 正)を決定する。筋細胞において、電位は、細胞膜にまたがって存在する。なぜなら細胞の内側は、細胞の外側に対して僅かに負に荷電しているからである。さらに、上記細胞のナトリウム−カリウムポンプは、上記細胞にまたがる小さな電位差を維持するように機能する。その目的のために、脱分極(臨界/閾値レベルへと)は、ナトリウムチャネルを開き、透過性にして、神経興奮をもたらす。神経および筋のこの全か無かの法則は、本質的である。上記活動電位は、脱分極が臨界レベルに達する限りにおいて起こる。
【0025】
運動単位は、単一の前角細胞によって神経支配される筋繊維の一群を含む。運動単位電位(MUP)の形状は、介在する組織の抵抗および静電容量ならびに筋内温度を含む多くの生理学的要因を反映し得る。例えば、低体温症は、MUP振幅の減少、MUP持続時間の増大、およびMUP多相性電位の数の増大を生じ得る。
【0026】
動員とは、さらなる単位を動員する前に、健康な筋がわずか1もしくは2の運動単位で興奮されるパターンを説明する。これら運動単位は、代表的には、5〜7インパルス/秒で、スパイク間隔(interspike interval)をゆっくりと増大し、次いで、減少して、半律動的に放電する。干渉パターン(Interference pattern)は、より大きな筋収縮とともに迅速に発火させて、運動単位を増大させるパターンを説明する。
【0027】
安静時に、筋表面に配置された一対の電極は、それらの間に電位差を何ら記録しない。従って、安静時の正常な筋肉のEMG記録は、サイレントである。筋活動の間に、その伝播している活動電位が近位電極(G1)に達すると、G1は、遠位電極G2に対して負になり、記録線(tracing)の上方向の偏向を、続いて、中性の偏向(neutral deflection)(もしくはベースライン)を、続いて、下方向の偏向を、および最終的に中性の偏向(もしくはベースライン)を生じる。
【0028】
表面EMGを使用すると、いくつかの実施形態によれば、周波数およびタイムドメインのデータ分析は、異なる収縮レベルで多くの運動単位からの平均推定値(average estimate)を生じ得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、基準電極が能動電極から離れて配置されるという点で、二極型電極が使用される。このような電極は、筋の上に配置される表面電極を含み、軽度の筋収縮の間に個々のMUPsを記録し得る筋に挿入される針電極と比較して、複数の筋運動単位からの合わされた活動を記録する。
【0032】
いくつかの実施形態において、生物的EMG活動は、アーチファクトから区別される必要がある。これは、挑戦的な口蓋環境に起因する。求められる生物的電位に帰属できない任意の電圧は、いくつかの実施形態において、アーチファクト(例えば、60Hz電磁AC回路ノイズ、心臓ペースメーカー、EKGアーチファクト、運動アーチファクトなど)を表す。アーチファクトは、視覚的表現および音声表現のうちの少なくとも一方を通じて、EMGを介して検出され得る。
【0033】
アートファクト問題に対処するために、患者から検出される電気シグナルは、自発的活動が認識され得るように、フィルタにかけられ得る、および/または増幅され得る。フィルタにかけることは、シグナルのシグナル 対 ノイズ比(SNR)を最適化するために使用され得る。例えば、高周波数(ローパス)フィルタは、高周波数構成要素の振幅を低下させるために使用され得る(例えば、低く設定しすぎた場合)。低周波数(ハイパス)フィルタは、高く設定しすぎた場合に、変化する電位をゆっくりとゆがませ得る。よって、いくつかの実施形態において、バンドパス周波数は、10Hz(例えば)の低周波数フィルタおよび1000Hz(例えば)の高周波数フィルタで設定され得る。さらに、いくつかの実施形態において、電極位置、形状、および/もしくは電極間の距離は、シグナル−対−ノイズ比(SNR)を増大させるために各患者について最適化され得る。
【0034】
増幅に関して、差動増幅器(differential amplifier)は、入力端子とアースとの間とは対照的に、例えば、記録電極に接続された入力端子(2つ)の間の電位差を増幅するために使用され得る。この配置は、AC電源(例えば)の結果として生成されるアーチファクト、ならびに両方に共通する遠位筋活動電位に対処するために使用され得る。増幅器は、回路(例えば)において発生するノイズの出現の前に、ソースに近いシグナルの増幅によって、シグナル 対 ノイズ(SNR)比のゲインを増大させるためにいくつかのステージを含み得る。高い入力インピーダンス、低ノイズレベル、および大きなダイナミックレンジ(例えば)を含み得る前置増幅器がまた、使用され得る。生物的EMG活動の振幅における大きな範囲を考慮すれば、データの大部分を捕捉するための閾値設定、およびアーチファクトデータの制限もしくは排除は、いくつかの実施形態において、実現され得る。電極に関する感度は、50μV/分配(division)に設定され得、掃引速度は、10ms/分配で設定され得る。いくつかの実施形態において、閾値捕捉は、100μVで確立され得る。
【0035】
EMGに関しては、マルチステージ差動増幅器は、高いネットゲインを達成するために使用され得る(しかし差動増幅器はまた、高い入力インピーダンスを有する)。インピーダンスが高く、電圧降下が、行われる有用な仕事に等しい場合に電圧降下が大きいので、増幅は、いくつかの実施形態において、上記電圧降下が患者電極接続においてではなく、増幅器において起こる場合に最良である。患者への低インピーダンス接続を維持することは、干渉を最小限にし得、増幅を最大にもし得る。
【0036】
同様に、コモンモードは電圧が大きすぎて、完全にはバランスがとれず、代表的には、増幅器を過負荷にする。さらに、AC回路におけるインピーダンスは、電流を決定し、筋活動電位を記録するためのインピーダンスは、増幅器の電極先端および入力端子において最高である。よって、高い入力インピーダンスを伴う増幅器は、コモンモード除去比(CMRR)を改善する。なぜなら入力インピーダンスが高いほど、記録電極の電気的非対称性の効果は小さくなるからである。
【0037】
2つの記録電極の等しくないインピーダンスは、任意のコモンモードシグナルからの等しくない効果を生じ得る(差動増幅器の有効性の減損、CMRの低下、および干渉の増大を生じる)ので、インピーダンスは、いくつかの実施形態に従って、各患者において、5kOhms未満(例えば)を達成するために各位置における各電極に関して評価され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、電磁インピーダンスを最小限にするために、他の方策が使用され得る(上記電極の接触インピーダンスを低減するおよびバランスをとることが使用され得ること、短い、十分に遮蔽された電極ケーブルもまた使用され得ることが挙げられる)。これは、近くにある他のデバイスへの遮蔽されていない電源コードを回避することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、センサ(例えば、電極)からのアナログシグナルを離散的なデジタル近似へと変化させるアナログ−デジタルコンバーター(ADC)が使用され得る。アナログシグナルのデジタル複製の正確性は、上記シグナルがどの程度の頻度でサンプリングされるか(サンプリング頻度)、および振幅を定量化するために利用可能な離散的デジタル工程の数(垂直解像度)に依存する。高いサンプリング頻度および多数の工程は、より正確なデジタル複製を生成する。
【0041】
本開示のいくつかの実施形態は、種々の状態を少なくとも診断および処置するために、ならびに損傷した軟部組織、筋、神経および上記状態と関連する血管新生を修正(correct)するために使用され得る。これは、いくつかの実施形態においては、上記組織、筋などの表面EMGおよび/もしくは熱的活動の分析によって達成され得る。例えば、睡眠時無呼吸/OSAは、軟口蓋および咽頭領域のEMGおよび/もしくは熱的活動の分析によって診断され得る。別の例として、鼓膜張筋のような中耳における筋機能をプローブすることは、例えば、耳鳴りの診断を可能にし得る。表面EMGプローブの鼓膜適用を介して診断され得る他の状態としては、目眩(前庭神経炎、前庭性片頭痛、メニエール病、良性発作性頭位めまい症(BPPV)が挙げられる)、難聴、突発性感音性難聴、内耳におけるカルシウム沈着、聴器毒性、前庭毒性などが挙げられる。いくつかの場合において、プローブは、手術の間に使用され得る。例えば、プローブは、聴神経腫瘍手術の間に内耳機能を術中モニターするために使用され得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、経結膜(trans−conjunctival)EMGプローブは、神経学的障害を少なくとも診断および処置するために使用され得る。このような神経学的障害の例としては、Battaglia Neri症候群、皮膚筋炎、糖尿病性ニューロパチー、脳炎、髄膜炎、多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病、亜急性硬化性全脳炎などが挙げられる。上記プローブはまた、眼の状態を診断および処置するために使用され得る。例としては、内斜視(例えば、調節性内斜視など)、外斜視、ブラウン症候群、輻湊不全、交代性上斜視、デュアン症候群、眼球運動失行などが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記診断される予定の状態は、特定の眼の状態でなくてもよいが、著しく関連し得る(例えば、頭位異常、共同性注視麻痺、核間性眼筋麻痺、微小循環障害による脳神経麻痺(microvascular cranial nerve palsy)、単眼上転不全(monocular elevation deficiency)(すなわち、両上転筋麻痺(double elevator palsy))、脳神経の麻痺、進行性核上性麻痺、偽斜視など)。
【0043】
いくつかの実施形態において、種々の筋群が、例えば、プローブを、血管を通って経血管(transvascular)EMGとともに、および血管に隣接する位置にある筋群上へ配置することによって、主要な血管を介してアクセスされ得る。例えば、心筋活動(例えば、心筋機能が挙げられるが、これらに限定されない)は、関連した組織のEMG活動を感知し、そしていくつかの実施形態では、関連した組織のEMG活動をさらに分析する経血管内(trans−endovascular)プローブを使用して、評価(evaluated and assessed)され得る。診断および/もしくは処置され得る疾患、状態などの例としては、脳血管疾患に関連する慢性自律神経機能不全の一過性の状態、心筋梗塞、虚血性筋組織、弁疾患および筋機能、左心室機能不全性不整脈、心筋疾患とともに存在する変性性脳障害、変性性の神経学的状態、心筋症、神経筋障害、ミトコンドリアミオパチー、ジストロフィー、心臓伝導障害などが挙げられる。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態は、消化管および/もしくは関連する組織/器官をプローブするために使用され得る。このようなプローブは、咽頭の筋肉、輪状咽頭筋、食道の筋、下部食道括約筋、膵管括約筋(pancreatic sphincter)、胆管括約筋(bile duct sphincter)などのうちのいずれかが関わり得る嚥下障害のような状態の診断および処置を可能にし得る。いくつかの実施形態において、いくつかの神経学的疾患は、腸障害と関連し得、そしてこのような疾患/状態は、消化管表面EMGプローブの助けを借りて、診断および処置され得る。このような状態/疾患の例としては、オギルヴィー症候群、消化管新生物、胆石イレウス、閉塞を引き起こす腸癒着、捻転、腸重積、筋委縮性側索硬化症、ブラウンセカール症候群、脊髄中心症候群、多発性硬化症、パーキンソン病、二分脊椎、脊髄損傷、病変および加齢、糖尿病などが挙げられる。
【0045】
本明細書中の開示において考察される表面EMGプローブの使用の別の例示的実施形態は、泌尿器系の診断および処置の分野の中にあり得る。いくつかの実施形態において、上記プローブは、血管の問題に対処するために使用され得、その例としては、腎血管高血圧症、ならびに膀胱の外血管および/もしくは内血管と関連する問題が挙げられる。このような問題は、照射後変化、過活動膀胱、間質性膀胱炎、内尿道括約筋および外尿道括約筋に関連する問題(例えば、照射後変化、膀胱頸部収縮など)、精索の問題、精索挙筋痙攣、精索静脈瘤などであり得る。いくつかの実施形態において、上記プローブはまた、粘膜が関わる腎盂および尿管と関連する状態/疾患の診断および処置を可能にし得る。例えば、先天性奇形のような状態は、上記プローブを使用して、子宮内で出生前に検出され得る。別の例としては、上記プローブは、瘢痕、いわゆる、交差血管、過活動筋などであり得る腎盂尿管移行部(UPJ)閉塞の診断を補助し得る。尿管を参照すると、いくつかの実施形態において、上記プローブは、尿管に伴う任意の問題(その例としては、巨大尿管、尿管拡張症(ureterectasis)、水腎症などが挙げられる)の適切な診断を容易にするようなサイズにされ得かつ可撓性にされ得る。さらに、上記プローブは、尿管膀胱移行部(UVJ)関連合併症(例えば、膀胱尿管逆流症(VUR)が挙げられるが、これらに限定されない)を診断するために使用され得る。
【0046】
表面EMGプローブの泌尿器系適用の他の例示的実施形態は、膀胱および前立腺の診断および処置を含む。膀胱の状態および/もしくは疾患の例としては、過活動膀胱(OAB)、心因性膀胱(例えば、脊髄損傷ありもしくはなし)、慢性閉塞性ウロパシー(uropathy)、脊髄損傷に起因する合併症、排尿筋−括約筋共同運動障害(detrusor−sphincter dyssynergia)、尿道狭窄(例えば、筋/瘢痕機能もしくは単に瘢痕がチェックされ得る)、間質性膀胱炎などが挙げられる。前立腺に関連する泌尿器系適用の例としては、前立腺痛(prostatodynia)の診断および処置、停留睾丸(cryptorchid)と移動性睾丸との間の決定(例えば、過活動性精巣挙筋に起因する)、射精管の閉塞および/もしくはその開放(精丘)のような授精能に影響を及ぼす問題の診断、精巣上体閉塞、輸精管不動性(Vas Deferens immotility)などが挙げられる。
【0047】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、いくつかの睡眠障害に関する潜在的な気道閉塞の部位(その例としては、鼻、口蓋および下咽頭が挙げられる)を図示する解剖図が示される。本開示のいくつかの実施形態は、睡眠時無呼吸/OSAを少なくとも診断および処置して、このような領域における損傷した軟部組織、筋、神経および血管新生を修正するために使用され得る。これは、いくつかの実施形態において、軟口蓋および咽頭領域のEMGおよび/もしくは熱的活動の分析によって達成され得る。
【0048】
いくつかの実施形態において、安静時の筋における自発的活動または大きい、広い、多相性もしくは不十分に動員されているMUP’sの検出は、異常であると考えられる。心臓に類似して、口/喉/口蓋の筋は、細胞を収縮させ、呼吸と時間的に秩序だって同期化して(timely order synchronized)弛緩させるように広がる電気化学的インパルスを生成する。このシーケンスは、口蓋の筋および組織細胞の脱分極によって開始される。この活動は、本質的に電気的でありかつ身体はその流体内容物と導電性であるので、この電気化学的活動は、身体の表面において測定され得る。従って、本開示によって教示される実施形態のうちの1以上に従うシステム、方法およびデバイスを使用して、正常/異常な咽頭のEMGは、いくつかの実施形態において、評価され得る。さらに、口蓋(例えば)のダイナミック動作のEMG所見ならびに左側/右側同期化および対称性は、分析および記録され得る。よって、いくつかの実施形態において、このようなEMG所見は、例えば、OSAの決定のために非無呼吸患者のデータと比較され得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、口蓋/喉のEMGを測定するために、1以上のセンサ、例えば、電極は、プローブ上に提供され得、これは、喉の領域におけるEMG活動を決定するように構成されている。正常な咽頭のEMGに関して、睡眠の間に、EMG活動はサイレントであり得る。自発的EMG活動が起こるかまたは異常なMUP’sがEMG記録線に存在する場合、OSAを示し得る神経筋病理が存在し得る。自発的活動としては、線維自発電位、陽性鋭波、複合反復放電、線維束自発電位、ミオキミア放電などが挙げられる。任意の真の生物的自発的活動の存在は、異常として示され得る。異常なMUP’sのパラメーター/特徴としては、大きい、広い、多相性であるか、または不十分な動員パターンを示すMUP’sが挙げられる。
【0050】
同様に、膜組織に非常に近く位置する身体の他の部分における筋の収縮および弛緩は、本開示の実施形態のうちのいくつかに従って検出および評価され得る電気活動を生成する。例えば、槌骨に接続される中耳における鼓膜張筋は、大きな雑音に応じて収縮し得、このような運動は、鼓膜と連絡状態にある表面EMGプローブによって検出され得る電気活動を生成する。いくつかの実施形態において、上記プローブもしくはセンサは、剛性の拡大耳鏡(rigid telescope)を介して鼓膜の表面に局所的に配置され得る。いくつかの実施形態において、上記センサはまた、内耳をプローブするように構成され得る。例えば、上記センサは、内耳を中耳から分離し、このような膜の近くのEMG活動を感知する内耳膜(例えば、正円窓膜、前庭窓膜など)に局所的に配置されるように構成され得る。このようなセンサは、手術の間に、例えば、聴神経腫手術の間の内耳機能の術中モニタリングのために現場で使用され得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記センサはまた、結膜を通じて外眼筋のEMG活動を測定するために、眼の標的とされる領域に局所的に配置されるように構成され得る。これら筋は、内側直筋、外側直筋、上直筋および下直筋を含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記センサはまた、内視鏡もしくは腹腔鏡を貫通して、消化管(GI)機能と関連する筋(例えば、咽頭の筋、輪状咽頭筋、食道筋(esophageal muscle)、下部食道括約筋、膵管括約筋および胆管括約筋)のEMG活動を測定するために、消化管の標的とされた領域において膜に局所的に配置されるように構成され得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記センサはまた、カテーテルチューブを貫通して、心筋のEMG活動を測定するために心臓の標的とされた領域において膜に局所的に配置されるように構成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記センサはまた、内視鏡を貫通して、身体の標的とされた泌尿器系の領域において膜に局所的に配置されて、泌尿器系の機能と関連する筋(例えば、排尿筋、尿道括約筋、膀胱など)のEMG活動を測定するように構成され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記センサは、筋肉での異常性のうちのいくつかのタイプの発生を示すベンチマーク活動(例えば、予測される結果)から外れるEMG活動を上記筋肉から記録し得る。例えば、上記ベンチマーク活動レベルは、サイレンス(すなわち、活動なし)であり得、よって、任意の記録された自発的EMG活動は、プローブ適用を参照して上記で考察されるもののような疾患/状態を示し得る。いくつかの実施形態において、上記ベンチマーク活動レベルは、「正常な」EMG活動を確立し得、いくつかの許容閾値を超える、上記ベンチマークからの偏差は、「異常」とみられ得る。例えば、上記ベンチマーク活動は、許容範囲に沿って、特定されたEMG強度レベル、EMG活動の周波数、EMG活動の持続時間などを示し得、そしてベンチマーク活動の許容範囲内に入る検出/記録されるEMG活動は、正常な筋挙動を示し得る一方で、上記許容範囲を超える活動は、異常な挙動を示し得る。EMG活動の例は、ニューロパチー変化(neuropathic changes)(例えば、運動単位電位(MUPs)の数の減少、およびMUPsのより高い発火速度)を含む。よって、ベンチマークレベルは、MUPsの特定された数および/もしくは発火速度であり得、上記許容範囲は、それぞれ、上記特定された数および/もしくは発火速度からの偏差であり得る。睡眠に関するEMG活動の場合、ニューロパチー変化(例えば、長い持続時間を伴う多相性MUPs)、および/もしくは高い振幅は、上記MUPsの例えば、上記記録された持続時間、周波数、振幅などがMUPベンチマーク活動の許容範囲の外に入る場合、OSAによる苦痛を示し得る。EMG活動の他の例としては、ミオパチー変化(例えば、MUPsの動員の低下および自発的活動が挙げられるが、これらに限定されない)を含み、その例としては、細動、陽性鋭波、複合反復放電、ミオトニアなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、1より大きな閾値レベルが存在し得、自発的EMG活動は、マルチ閾値等級付けシステム(multi−threshold grading system)に従って分類され得る。例えば、上記マルチ閾値等級付けは、自発的EMG活動のまれ、時々、頻繁、および大量とのレベルを示す、4つのレベルを含み得る。いくつかの実施形態において、これらレベル、すなわち、等級付けスケールは、読み取り機依存性の尺度であり得る。例えば、各EMG読み取り機は、これらがスクリーンのEMG記録線において認め、このスケールに基づいてそれを等級付けする活動の量を視覚的に定量し得る。例としては、まれは、スクリーンの一部(例えば、その約1/4もしくは1/4未満)を満たすMUPを示し得、大量は、スクリーンの大部分(例えば、約3/4もしくは3/4より大きい)を満たすMUPsに相当し得る。いくつかの実施形態において、上記等級付けは、スクリーン上の単一のMUPからスクリーンを満たすMUPsまでの間の任意の活動レベル(まれ、時々、頻繁、および大量は、MUPの増大する量に相当する)に相当し得る。いくつかの実施形態において、上記等級付けは、スケールの中の任意の数(例えば、0から10まで、0は、EMG活動レベルがほとんどもしくは全くないことを示し、10は、実質的に大きなもしくは最大の量を示すなど)を含み得る。
【0056】
図2を参照すると、いくつかの実施形態において、口/咽頭(ここに、センサ/電極がその筋データを捕捉するためのプローブ上に配置され得る)の後ろの筋構造が図示される。いくつかの実施形態において、電極は、口/喉プローブの表面に貼り付けられ得、上記プローブが口/喉の後ろに配置される場合に、上記電極が軟口蓋、咽頭側壁、および舌のうちの少なくとも1つの筋層へと正しい位置関係にある(align)ように配置され得る(上記プローブ形状は、接触点を制限して、例えば、咽頭反射を制限するように構成され得る)。下にある筋肉の電極から生成されたシグナルに相当するEMGおよび温度データは、口蓋、咽頭側壁(例えば、口蓋帆挙筋、口蓋帆張筋、口蓋咽頭筋、口蓋舌筋、粘膜筋板および口蓋垂筋が挙げられる)、および/もしくは舌のうちの少なくとも1つの特定の個々の筋肉で集められ得、同定され得る。いくつかの実施形態において、上記集められたEMGおよび温度データは、筋、神経および組織ダイナミクスの質および状態を評価および診断するために分析され得、OSAを診断するためにも使用され得る。
【0057】
図3A〜3Fを参照すると、口内での配置のために構成されたプローブデバイスの例示的実施形態が示される。いくつかの実施形態において、プローブは、上記センサが筋のEMG活動を検出し得る位置でのそれらの配置をもたらすサイズおよび形状で構成され得る。例えば、プローブは、中耳におけるEMG活動を測定する場合に、正円窓膜上でのその配置を可能にするようなサイズおよび形状にされ得る。
図3A〜3Fは、弯曲した末端を含む例示的プローブを示し、このプローブは、容易に受容されかつ患者の口/喉に配置されるためのサイズおよび/もしくは形状で構成され得る。上記プローブは、電極であり得る1以上のセンサを含む。いくつかの実施形態において、このようなセンサ/電極は、熱センサを含んでいてもよいし、上記センサは、電極と熱センサとの組み合わせでもよい。よって、
図3Aは、いくつかの実施形態に従う、患者の口の構造に合う形状を有するプローブの側面図を示す。例えば、上記プローブの末端部分は、患者の軟口蓋、咽頭壁、および舌のうちの少なくとも1つに隣接して配置される。
図3Bは、いくつかの実施形態に従うプローブの別の側面図を示し、ここで上記プローブデバイスは、プローブとともに提供されるセンサ(例えば、電極、および/もしくは熱(thermal))から生成されるシグナル(例えば、情報)を処理するために測定デバイスへと接続される。
図3Cは、複数の球状電極を有する末端部分を図示する、いくつかの実施形態に従うプローブの上面図である。
図3Dは、いくつかの実施形態に従うプローブの別の上面図である。いくつかの実施形態において、舌センサ/電極(これはまた、温度センサを含み得る)は、自発的筋データを捕捉するために含められ得る(例えば、
図3Aおよび3D)。
図3E〜3Fは、上記プローブのサイズおよび形状を図示するために、測定スケールと比較して例示的プローブを示す。
【0058】
いくつかの実施形態において、このようなプローブは、OSAの診断を補助するためのシステムにおいて使用され得る。例えば、それらは、患者の口の中へ挿入するためのサイズおよび形状で構成された細長い部材、上記患者の口の中へ上記プローブを挿入した後に、上記患者の軟口蓋、咽頭壁および舌のうちの少なくとも1つに隣接して配置するために構成された末端、ならびに軟口蓋、咽頭壁、および舌のうちの少なくとも1つの筋層の少なくともEMG活動を感知し、これらに相当するセンサシグナルを出力するように構成された少なくとも1個のセンサを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の診断を補助するためのシステムが提供され、上記システムは、少なくとも1個のセンサ(例えば、上記を参照のこと)を有するプローブ、およびプロセッサであって、上記プロセッサに、EMG活動についての上記センサシグナルをモニターさせ、EMG活動についてのセンサシグナルが自発的EMG活動もしくは異常なMUP’sに相当するか否かを決定させるように構成された上記プロセッサ上で動くコンピューター命令を有するプロセッサを含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、OSAの診断を補助するための方法が提供され、少なくとも1個のセンサを有するプローブ(例えば、上記を参照のこと)を提供する工程、EMG活動についての上記センサシグナルをモニターする工程、およびEMG活動の上記センサシグナルが自発的EMG活動もしくは異常なMUP’sに相当するか否かを決定する工程を包含する。いくつかの実施形態において、軟口蓋、咽頭壁および舌のうちの少なくとも1つの筋の自発的EMG活動もしくは異常なMUP’sは、OSAのしるしであり得る。このような方法は、コンピューティングデバイス(いくつかの実施形態に従う)上で動き得るソフトウェアを介して実施され得る。
【0061】
本開示のいくつかの実施形態において、自発的活動を決定する工程は、上記センサシグナルが線維自発電位、陽性鋭波、複合反復放電、線維束自発電位、およびミオキミア放電のうちの少なくとも1つを含むか否かを決定する工程を包含する。本開示のいくつかの実施形態において、異常なMUP’sを決定する工程は、上記MUP’sを測定して、MUPパラメーター(例えば、サイズ、形状、複雑さ、振幅、相、継続時間、周波数領域など)を決定する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記の方法は、軟口蓋、咽頭壁および舌のうちの少なくとも1つの筋層のEMG活動を、EMGアーチファクトから区別する工程をさらに包含し得、ここで自発的EMG活動もしくは異常なMUP’sの決定の際に、上記方法は、自発的EMG活動を、例えば、自発的EMG活動の発生のうちの1以上の周期を決定することによって等級付けする工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記周期は、まれ、時々、頻繁、および大量の、陽性鋭波、複合反復放電、線維束自発電位、およびミオキミア放電のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、上記の方法は、軟口蓋、咽頭壁および舌のうちの少なくとも1つの筋層のEMG活動を、EMGアーチファクトから区別する工程をさらに包含し得、ここで自発的EMG活動もしくは異常なMUP’sの決定の際に、上記方法は、例えば、上記自発的EMG活動の発生の1以上の周期を決定すること、または上記MUP’sのサイズ、形状、振幅、相、持続時間、領域、複雑さ、周波数などを測定することによって、上記自発的EMG活動を等級付けする工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記周期は、まれ、時々、頻繁、および大量、のうちの少なくとも1つを含む。
【0062】
本開示のいくつかの実施形態において、以下の特徴のうちの1以上は、任意の方法、システム、プローブ、デバイスまたは本開示によって教示される他のもののために含まれ得る:
−上記少なくとも1個のセンサは、電極を含む;
−上記少なくとも1個のセンサは、複数のセンサを含み、ここで各センサは、電極を含む;
−上記少なくとも1個のセンサは、少なくとも1つの電極を含み、上記電極のうちの少なくとも1つは、温度センサを含む;
−上記少なくとも1個のセンサは、球状である電極を含む;
−提供されているセンサ/電極は(その複数を提供する実施形態においては)、約5mm程度(例えば)、隣接する電極から間隔を空けて配置される;
−上記少なくとも1個のセンサは、軟口蓋、咽頭壁および舌のうちの少なくとも1つの温度の温度シグナルを出力するように構成された温度センサを含む;
−上記プローブは、少なくとも1個のセンサが口蓋帆挙筋、口蓋帆張筋、口蓋咽頭筋、口蓋舌筋、粘膜筋板および口蓋垂筋のうちの少なくとも1つと接触するようなサイズおよび形状で構成される
−軟口蓋、咽頭壁、および舌のうちの少なくとも1つの筋、神経および組織ダイナミクスのうちの少なくとも1つの質および状態を決定する工程;
−上記プローブは、フレキシブルプリント配線板(FPCB)をさらに含み、ここで上記少なくとも1個のセンサが提供される;
−上記少なくとも1個のセンサは、複数のセンサを含み、ここで上記センサは、アレイ状に配置された電極を含み得る;
−上記少なくとも1個のセンサは、センサのアレイを含み、各々は、軟口蓋および咽頭のうちの少なくとも一方の筋層の少なくともEMG活動を感知するように構成されている;
−EMG活動のセンサシグナルが自発的EMG活動もしくは異常なMUP’sに相当するか否かを決定する工程は、少なくとも口蓋のEMG活動の反対側の同期性および対称性を決定する工程を包含する;
−患者の上記EMG活動/データと、非無呼吸患者のEMG活動とを比較して、上記患者のEMG活動がOSAを示すか否かを決定する工程;ならびに
−センサによって生成されるシグナルをフィルタにかける工程および増幅する工程のうちの少なくとも一方。
【0063】
図4を参照すると、いくつかの実施形態において、上記で考察されるプローブ適用のために設計されたプローブデバイス10のブロック図が示される。いくつかの実施形態において、プローブ電極12は、個々の電極接触のアレイ上に配置されたプリント回路基板(PCB)上に構成され得、これは、弯曲され得る上記プローブの一方の末端に配置され得る。いくつかの実施形態において、上記センサ/電極12の間の距離は、全体的なプローブサイズの選択に依存して変動し得る。いくつかの実施形態において、上記プローブ10の末端は、小さな、中程度のおよび大きなサイズで構成され得、各々その後のサイズは、僅かにより大きく弯曲した表面、従って、センサ(例えば)間のより大きな距離で構成され得る。そのようなサイズ構成は、具体的な患者の解剖学的構造の差異、性別特異的解剖学的構造の差異に配慮し得、同様に、小児における上記プローブ/センサの使用を可能にし得る。
【0064】
例えば、いくつかの実施形態において、舌ベースのセンサ/電極(これはまた、温度センサを含み得る)は、舌ベースの筋データを捕捉するために、(独立型デバイスに加えて、もしくは独立型デバイスとしてかのいずれかで)提供され得る。例えば、EMG活動を感知するために口の中へ挿入するように構成されたプローブデバイスは、約5mm幅(例えば)、5mm(例えば)電極間距離の複数の表面球状電極が存在するフレキシブルPCBを含み得る。いくつかの実施形態において、1以上の電極の幅は、口/喉/咽頭の後ろの筋肉の解剖学的配置に相当するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、各電極は、上記センサと接触した状態にある粘膜の下で直接特定の筋(例えば、側部の筋肉)のEMGおよび/もしくは熱的データを捕捉するように構成される。5mmセンササイズを含む実施形態に関しては、このような実施形態は、粘膜下の筋の位置の変動性を可能にする。各筋は、幾分扇形をしているので、広い(例えば、5mm)センサ/電極が、ピンポイントもしくはより小さいものより正確にデータを捕捉し得ることが示される。他の実施形態において、上記センササイズは、1mm〜約10mmの間、いくつかの実施形態において、2mm〜8mmの間、およびいくつかの実施形態において、3mm〜6mmの間、およびいくつかの実施形態において、約4mm〜約5mmの間であり得る。いくつかの実施形態において、滑らかかつ弯曲した電極表面プローブは、軟口蓋の筋系の構造に合わせるために、および咽頭反射を低減するために使用され得る。
【0065】
上記のように、少なくとも1個の、およびいくつかの実施形態において、各電極は、能動および基準二極型電極内に、さらなるセンサ(例えば、温度センサ)を含み得る。よって、プローブは、プロセッサ20に接続され得、上記プロセッサ20は、その上で動いて、例えば、EMG/熱的シグナルのうちの少なくとも一方をデジタル処理する(例えば、アナログセンサの場合には、このようなシグナルをアナログ−デジタルコンバーター21、および必要に応じて、マルチステージ差動増幅器22で変換する)コンピューター命令を含み得る。さらには、上記プロセッサ20は、感知されている筋の正常なEMG活動に関する情報を含むデータベース30に接続され得る(例えば、非無呼吸患者のEMG活動との比較は、モニタリング下での上記患者における無呼吸の発生の決定を可能にする)。例えば、プロセッサ20上で動く命令が提供され得、これは、上記EMG活動(例えば)と非無呼吸患者のEMG活動との比較を可能にする。
【0066】
上記で開示される実施形態の種々の実行(例えば、プローブからのEMGおよび/もしくは熱的シグナル/データの収集、フィルタリング、増幅など)、特に、上記考察された処理のうちの少なくともいくつかは、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASICs(特定用途向け集積回路)、コンピューターハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/もしくはこれらの組み合わせにおいて実現され得る。これら種々の実行は、記憶システム、少なくとも1個の入力デバイス、および少なくとも1個の出力デバイスからのデータおよび命令を受容し、これらへのデータおよび命令を伝達するように連結された少なくとも1個のプログラム可能なプロセッサ(これは、専用であってもよいし、汎用性であってもよい)を含むプログラム可能なシステム上で実行可能および/または翻訳処理可能である1以上のコンピュータープログラムにおける実行を含み得る。
【0067】
このようなコンピュータープログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションもしくはコードとしても公知)は、例えば、プログラム可能なプロセッサのための機械命令を含み、高水準手続き型プログラミング言語および/もしくはオブジェクト指向プログラミング言語において、ならびに/またはアセンブリ言語/機械言語において実行され得る。本明細書で使用される場合、用語「機械読み取り可能な媒体」とは、プログラム可能なプロセッサへと機械命令および/もしくはデータを提供するために使用される任意のコンピュータープログラムプロダクト、装置および/もしくはデバイス(例えば、磁性ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLDs))(機械読み取り可能なシグナルとして機械命令を受容する機械読み取り可能な媒体を含む)をいう。用語「機械読み取り可能なシグナル」とは、プログラム可能なプロセッサへと機械命令および/もしくはデータを提供するために使用される任意のシグナルをいう。
【0068】
ユーザーとの相互作用を提供するために、本明細書で記載される主題は、ユーザーに情報をディスプレイするためのディスプレイデバイス(例えば、CRT(陰極線管)もしくはLCD(液晶ディスプレイ)モニターなど)、ならびに上記ユーザーが上記コンピューターに入力を提供し得るキーボードおよび/もしくはポインティングデバイス(例えば、マウスもしくはトラックボール)を有するコンピューター上で実行され得る。例えば、このプログラムは、施行ユニット(dispensing unit)、リモートコントロール、PC、ラップトップ、スマートフォン、メディアプレイヤー、もしくはパーソナルデータアシスタント(「PDA」)によって記憶され得、実行され得、そして動かされ得る。他の種のデバイスは、ユーザーとの相互作用を提供するためにも使用され得る;例えば、上記ユーザーに提供されるフィードバックは、感覚フィードバックの任意の形態(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、もしくは触覚フィードバック)であり得る;そして上記ユーザーからの入力は、任意の形態(音響入力、音声入力、もしくは触覚入力が挙げられる)において受容され得る。
【0069】
本明細書で記載される主題のある種の実施形態は、バックエンド構成要素を含む(例えば、データサーバーとして)か、またはミドルウェア構成要素を含む(例えば、アプリケーションサーバー)か、またはフロントエンド構成要素を含む(例えば、ユーザーが本明細書で記載される主題の実行と相互作用し得るグラフィカルユーザーインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピューター)、コンピューティングシステムおよび/もしくはデバイス、あるいはこのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせにおいて実行され得る。上記システムの構成要素は、デジタルデータ通信(例えば、通信網)の任意の形態もしくは媒体によって相互接続され得る。通信網の例としては、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、およびインターネットが挙げられる。
【0070】
上記で記載されるいくつかのこのような実施形態に従うコンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバーを含み得る。クライアントおよびサーバーは、一般に、互いから遠隔にあり、代表的には、通信網を通じて相互作用する。クライアントおよびサーバーの関係は、それぞれのコンピューター上で走り、互いにクライアント−サーバーの関係を有するコンピュータープログラムのおかげで生じる。
【0071】
例えば、このようなシステムは、少なくとも1個のコントローラー/プロセッサ(先に示されるとおり)と通信(有線もしくは無線)状態にある少なくとも1個のデバイスを含み得る。上記プロセッサは、少なくとも1個のデータベースと通信し、これは、OSAなしの患者に関するデータ、ならびに他の患者での使用から集められたデータを記憶し得る。上記プロセッサは、上記データベース中に記憶された喉における筋活動の集められたEMGおよび/もしくは熱的データを比較することを含む、本開示で開示される方法およびプロセスのうちのいずれかおよび全てを果たすために上記プロセッサ上で動くコンピューター命令を含み得る。入力/出力手段もまた含められ得、当該分野で公知の任意のこのような入力/出力手段(例えば、ディスプレイ、メモリ、データベース、プリンター、キーボード、マイクロフォン、スピーカー、トランシーバーなど)であり得る。さらに、いくつかの実施形態において、上記プロセッサおよび少なくとも上記データベースは、動かし得、そして/または上記検出デバイスからのデータを集め得るパーソナルコンピューターもしくはクライアントコンピューターに含まれ得る。上記プロセッサはまた、他のコンピューターとネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット)を介して通信し得る。
【0072】
同様に、いくつかの実施形態に従うシステムは、サーバー−クライアントベースのシステムとして確立され得、ここで上記クライアントコンピューターは、プローブデバイスと通信状態にある。上記クライアントコンピューターは、サーバーによって制御され得、サーバーの各々は、情報を記憶するために上記で言及されるデータベースを含み得、データを集めるためにも使用され得る(例えば、いずれかまたは両方が、上記データベースを含み得る)。上記クライアントコンピューターは、上記サーバーとネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、VPN)を介して通信している。
【0073】
本願のいずれの場所でも呈示される刊行物もしくは他の文書(特許、特許出願、記事、ウェブページ、書籍などが挙げられるが、これらに限定されない)への任意のおよび全ての言及は、それらの全体において本明細書に参考として援用される。特に、以下の参考文献は、それらの全体において本明細書に参考として援用される:
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
さらに、全ての定義は、本明細書で定義されかつ使用される場合に、辞書の定義、参考として援用される文書中の定義、および/もしくは定義される用語の通常の意味を支配することが理解されるものとする。
【0074】
不定冠詞「a(1つの、ある)」および「an(1つの、ある)」とは、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、明示的にそうでないと示されなければ、「at least one(少なくとも1)」を意味すると理解されるものとする。
【0075】
文言「and/or(および/もしくは)」は、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、そのように結合された要素の「either or both(いずれかもしくは両方)」を意味する(すなわち、いくつかの場合には、結合的に存在し、他の場合には、分離して存在する要素)ことが理解されるものとする。「and/or(および/もしくは)」とともに列挙される複数の要素は、同じ様式で解釈されるものとする(すなわち、そのように結合された要素の「1以上」)。他の要素は、「and/or(および/もしくは)」節によって具体的に同定される要素以外に、具体的に同定されたそれら要素に関連しようがしまいが、必要に応じて存在し得る。従って、非限定的例として、「A and/or B(Aおよび/もしくはB)」への言及は、開放系の文言(例えば、「comprising(含む、包含する)」とともに使用される場合、一実施形態においては、Aのみ(B以外の要素を必要に応じて含む);別の実施形態においては、Bのみ(A以外の要素を必要に応じて含む);さらに別の実施形態においては、AおよびBの両方(他の要素を必要に応じて含む;など)をいい得る。
【0076】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「or(もしくは、または、あるいは)」とは、上記で定義されるとおりの「and/or(および/もしくは)」と同じ意味を有することが理解されるものとする。例えば、リスト中の項目を隔てる場合、「or(もしくは、または、あるいは)」もしくは「and/or(および/もしくは)」は、包括的である(すなわち、少なくとも1の包含)が、および要素の数もしくは列挙の1より大きい、そして必要に応じて、さらなる列挙されていない項目をも含むと解釈されるものとする。そうでないと明示的に示されている用語のみ(例えば、「only one of(〜のうちの1のみ)」もしくは「exactly one of(〜の正確に1)」もしくは特許請求の範囲で使用される場合には「consisting of(〜からなる)」は、要素の数もしくは列挙のうちの正確に1つの要素の包含をいう。一般に、用語「or」は、本明細書で使用される場合、排他性の用語、例えば、「either(いずれか)」、「one of(〜のうちの1)」、「only one of(〜のうちの1のみ)」、もしくは「exactly one of(〜のうちの正確に1)」が前に来るときに、排他的な選択肢(すなわち、「one or the other but not both(一方もしくは他方であるが両方ではない)」)を示すと解釈されるのみとする。「Consisting essentially of(〜から本質的になる)」とは、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるようにその通常の意味を有するものとする。
【0077】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、1以上の要素の列挙に言及して文言「at least one(少なくとも1)」とは、要素の列挙の中にある要素のうちのいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味することが理解されるものとするが、要素の列挙の中で具体的に列挙される各々のおよびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含んでいなくてもよく、要素の列挙の中にある要素のいずれの組み合わせも排除しない。この定義はまた、要素が、文言「at least one」が言及する要素の列挙の中で具体的に同定される要素以外にも、それら具体的に同定された要素に関連しようとしまいと、必要に応じて存在し得ることを可能にする。従って、非限定的例として、「at least one of A and B(AおよびBのうちの少なくとも一方)」(または等価なことには、「at least one of A or B(AもしくはBのうちの少なくとも一方)」、または等価なことには、「at least one of A and/or B(Aおよび/もしくはBのうちの少なくとも一方)」)とは、一実施形態においては、少なくとも1のA、必要に応じて1より多くのAを含み、Bは存在しないこと(およびB以外の要素を必要に応じて含む);別の実施形態においては、少なくとも1のB、必要に応じて1より多くのBを含み、Aは存在しないこと(およびA以外の要素を必要に応じて含む);さらに別の実施形態においては、少なくとも1のA、必要に応じて1より多くのAを含み、そして少なくとも1のB、必要に応じて1より多くのBを含むこと(および必要に応じて他の要素を含む);などをいい得る。
【0078】
特許請求の範囲において、ならびに上記の本明細書において、全ての旧来の文言(例えば、「comprising(含む、包含する)」、「including(含む、包含する、挙げられる)」、「carrying(有する)」、「having(有する、もつ)」、「containing(含む、含有する)」、「involving(伴う、要する、関わる)」、「holding(保持する)」、「composed of(〜から構成される)」などは、開放系である、すなわち、〜が挙げられるが、これらに限定されない、と理解されるべきである。接続する文言「consisting of(〜からなる)」および「consisting essentially of(〜から本質的になる)」のみが、米国特許商標庁審査基準、2111.03節に示されるように、それぞれ、閉鎖系もしくは半閉鎖系の接続する文言であるものとする。
【0079】
種々の本発明の実施形態が本明細書で記載されかつ例証されてきた一方で、当業者は、上記機能を行うならびに/または上記結果および/もしくは本明細書で記載される利点のうちの1以上を得るための、種々の他の手段および/もしくは構造に容易に想到し、このようなバリエーションおよび/もしくは改変の各々は、本明細書で記載される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般には、当業者は、本明細書で記載される全てのパラメーター、寸法、材料、および構成が、例であることが意味され、そして実際のパラメーター、寸法、材料、および/もしくは構成が、本発明の教示が使用される具体的適用に依存することを容易に理解する。当業者は、慣用的な実験法のみを使用して、本明細書で記載される具体的な本発明の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認し得る。従って、前述の実施形態が例示によって呈示されるに過ぎず、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、具体的に記載され、特許請求されるとおりではない他の方法で本発明の実施形態が実施され得ることは理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書で記載される各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/もしくは方法に関する。さらに、2以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/もしくは方法のいずれかの組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/もしくは方法が相互に矛盾していなければ、本開示の発明の範囲内に包含される。いくつかの実施形態は、1以上の特徴/要素/機能性を具体的に欠いていることから、先行技術から区別され得る(すなわち、このような実施形態に関する請求項は、否定による限定を包含し得る)。