(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585611
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】マスターおよびスレーブデバイスのためのネットワーク同期
(51)【国際特許分類】
H04L 1/00 20060101AFI20190919BHJP
H03M 13/09 20060101ALI20190919BHJP
H04L 1/22 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
H04L1/00 A
H03M13/09
H04L1/22
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-556262(P2016-556262)
(86)(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公表番号】特表2017-510185(P2017-510185A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015019846
(87)【国際公開番号】WO2015138540
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】14/207,265
(32)【優先日】2014年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518235583
【氏名又は名称】キャメロン テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】トーマス エム.マッデン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ダイドリッチス
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー イー
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−533771(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0250297(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0226965(US,A1)
【文献】
特表2003−533809(JP,A)
【文献】
特開2006−209565(JP,A)
【文献】
片下 敏宏 他 TOSHIHIRO KATASHITA et al.,高速かつ軽量な可変データ長対応のCRC回路構成手法 A Scalable Light-weight Circuit for CRC Calculation,情報処理学会論文誌 第48巻 第7号 IPSJ Journal,日本,社団法人情報処理学会 Information Processing Society of Japan,2007年 7月15日,第48巻/第7号,P. 2382−2392
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H03M 13/09
H04L 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターデバイスとスレーブデバイスとを含む物理的デバイスを備える通信ネットワークの内部で通信するための方法において、
前記マスターデバイスにおいて、複数のマスター構成構造からマスター巡回冗長検査(CRC)アレイを作成するステップと、
前記マスターデバイスにおいて、前記マスターCRCアレイから主マスターCRC値を作成するステップと、
前記スレーブデバイスからのデータ測定パケットと共に、前記マスターデバイスにおいて、主スレーブCRC値を受信するステップであって、前記主スレーブCRC値は、前記データ測定パケットのデータを測定するために前記スレーブデバイスにより使用されたスレーブ構成構造から作成された、ステップと、
前記マスターデバイスにおいて、前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なるか否かを決定するステップと、
前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なる場合、前記マスターデバイスにおいて、前記スレーブデバイスからのスレーブ構成構造でマスター構成構造を置換するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記スレーブデバイス用の構成設定値のデータを含む複数のスレーブ構成構造からスレーブCRCアレイを作成するステップと、
前記スレーブCRCアレイから主スレーブCRC値を作成するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のスレーブ構成構造の1つを編集するステップと、
前記編集されたスレーブ構成構造をマスターデバイスに送信するステップと、
前記編集されたスレーブ構成構造で前記マスター構成構造を置換するステップと、
前記編集されたスレーブ構成構造から前記スレーブCRCアレイを再作成するステップと、
前記再作成されたスレーブCRCアレイから前記主スレーブCRC値を再作成するステップと、をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスターデバイスにおいて、前記マスター構成構造を置換する前記ステップは、
前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なる場合、スレーブデバイスに対して前記マスターCRCアレイを送信するステップと、
前記マスターCRCアレイおよび前記スレーブCRCアレイに由来するどのCRC値が異なっているかを決定するステップと、
前記マスターデバイスに対して、異なっている各CRC値に関連付けられたスレーブ構成構造のみを送信するステップと、
異なっている各CRC値についての前記スレーブ構成構造で前記マスター構成構造を置換するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マスターCRCアレイを作成するステップが、各マスター構成構造からマスターCRC値を作成するステップと、
前記マスターCRC値から前記マスターCRCアレイを作成するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データ測定パケットが、前記スレーブデバイスから受信された実時間データ測定パケットを含み、
前記マスター構成構造が前記スレーブデバイス用の構成設定値のデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記スレーブデバイスには流量計が含まれ、
前記実時間データ測定パケットには、前記流量計によって測定された特性および流量のデータが含まれ、
前記マスター構成構造には、前記流量計と関連付けられた物質のモル分率および管内径のデータが含まれている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のマスター構成構造の1つを編集するステップと、
前記編集されたマスター構成構造から前記マスターCRCアレイを再作成するステップと、
前記再作成されたマスターCRCアレイから前記主マスターCRC値を再作成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記編集されたマスター構成構造を前記スレーブデバイスに送信するステップと、
前記編集されたマスター構成構造でスレーブ構成構造を置換するステップと、
前記置換されたスレーブ構成構造から前記スレーブCRCアレイを再作成するステップと、
前記再作成されたスレーブCRCアレイから前記主スレーブCRC値を再作成するステップ、をさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記主スレーブCRC値に関する通信が前記ネットワーク内部で所定の時間量以内に発生しなかったか否かを決定するステップと、
前記所定の時間量が経過した場合、前記ネットワーク内部で前記マスターCRCアレイを送信するステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マスターデバイスおよび前記スレーブデバイスの少なくとも1つが危険エリア内に位置付けられており、
前記危険エリアが抗井現場を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
マスターデバイスとスレーブデバイスとを含む物理的デバイスを備える通信ネットワークの内部で通信するためのコンピュータ・プログラムにおいて、
該コンピュータ・プログラムは、マシンにより実行された場合に前記マシンにオペレーションを実施させるコードを含み、
前記オペレーションには、
前記マスターデバイスにおいて、複数のマスター構成構造からマスターCRCアレイを作成するステップと、
前記マスターデバイスにおいて、前記マスターCRCアレイから主マスターCRC値を作成するステップと、
前記スレーブデバイスからのデータ測定パケットと共に、前記マスターデバイスにおいて、主スレーブCRC値を受信するステップであって、前記主スレーブCRC値は、前記データ測定パケットのデータを測定するために前記スレーブデバイスにより使用されたスレーブ構成構造から作成された、ステップと、
前記マスターデバイスにおいて、前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なるか否かを決定するステップと、
前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なる場合、前記マスターデバイスにおいて、前記スレーブデバイスからのスレーブ構成構造でマスター構成構造を置換するステップと、が含まれる、コンピュータ・プログラム。
【請求項13】
前記オペレーションにはさらに、
前記スレーブデバイス用の構成設定値のデータを含む前記スレーブ構成構造からスレーブCRCアレイを作成するステップと、
前記スレーブ構成構造のうちの1つを編集するステップと、
前記編集されたスレーブ構成構造をマスターデバイスに送信するステップと、
前記編集されたスレーブ構成構造で前記マスター構成構造を置換するステップと、
前記編集されたスレーブ構成構造から前記スレーブCRCアレイを再作成するステップと、
前記再作成されたスレーブCRCアレイから前記主スレーブCRC値を再作成するステップと、が含まれる、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項14】
前記マスターデバイスのオペレーションにおいて前記マスター構成構造を置換するステップは、
前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なる場合、スレーブデバイスに対して前記マスターCRCアレイを送信するステップと、
前記マスターCRCアレイおよび前記スレーブCRCアレイに由来するどのCRC値が異なっているかを決定するステップと、
前記マスターデバイスに対して、異なっている各CRC値に関連付けられたスレーブ構成構造のみを送信するステップと、
異なっている各CRC値についての前記スレーブ構成構造で前記マスター構成構造を置換するステップと、を含む、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項15】
前記マスターCRCアレイを作成するステップが、
各マスター構成構造からマスターCRC値を作成するステップと、
前記マスターCRC値から前記マスターCRCアレイを作成するステップと、を含む、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項16】
前記データ測定パケットが、前記スレーブデバイスから受信された実時間データ測定パケットを含み、
前記マスター構成構造が前記スレーブデバイス用の構成設定値を含む、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項17】
前記オペレーションにはさらに、前記主スレーブCRC値に関する通信が前記ネットワーク内部で所定の時間量以内に発生しなかったか否かを決定するステップと、
前記所定の時間量が経過した場合、前記ネットワーク内部で前記マスターCRCアレイを送信するステップと、が含まれる、請求項12に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項18】
マスターデバイスとスレーブデバイスとを含む物理的デバイスを備える通信ネットワークの内部で通信するための方法において、
前記マスターデバイスにおいて、前記スレーブデバイスからのデータ測定パケットと共に主スレーブ巡回冗長検査(CRC)値を受信するステップであって、
前記主スレーブCRC値は、前記データ測定パケットのデータを測定するために前記スレーブデバイスにより使用されたスレーブ構成構造から作成された、ステップと、
前記マスターデバイスにおいて、主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なるか否かを決定するステップと、
前記主マスターCRC値および前記主スレーブCRC値が異なる場合、前記マスターデバイスにおいて、マスターCRCアレイおよびスレーブCRCアレイに由来するどのCRC値が異なっているかを決定するステップと、
前記マスターデバイスにおいて、異なっている各CRC値に関連付けられたスレーブ構成構造のみを受信するステップと、
異なっている各CRC値についての前記スレーブ構成構造でマスター構成構造を置換するステップと、を含む方法。
【請求項19】
複数のマスター構成構造から前記マスターCRCアレイを作成するステップと、
前記マスターCRCアレイから前記主マスターCRC値を作成するステップと、
前記スレーブデバイス用の構成設定値のデータを含む前記複数のスレーブ構成構造から前記スレーブCRCアレイを作成するステップと、
前記スレーブCRCアレイから前記主スレーブCRC値を作成するステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マスターCRCアレイを作成するステップが、各マスター構成構造からマスターCRC値を作成するステップと、
前記マスターCRC値から前記マスターCRCアレイを作成するステップと、を含み、
前記スレーブCRCアレイを作成するステップが、各スレーブ構成構造からスレーブCRC値を作成するステップと、
前記スレーブCRC値から前記スレーブCRCアレイを作成するステップと、を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
危険エリアにおける電気機器の安全な作動を保証するためには、異なる保護技術が使用され得る。危険エリアというのは概して、可燃性ガスおよび/または粒子が存在するまたは存在し得るエリアのことである。可燃性ガスまたは粒体の偶発的着火を防止するための2つの一般的な保護方法には、防爆性および/または本質的に安全なものとして格付けされている電気設備を使用することが含まれる。防爆性とは、電子機器内に進入する可燃性ガスおよび粒子状物質の結果としてもたらされる内部爆発を閉じ込めるように設計されている設備を意味する。内部爆発を閉じ込めるこの能力は、周囲の雰囲気の後続する着火を防止する。本質的安全要件は、例えば機器が爆発性ガスを含む環境内に適正に設置されている場合など、機器の作動または故障により着火がひき起こされる可能性がないことを保証するように意図されたものである。これは、最悪の故障状況においてデバイスの中に貯えられている最大エネルギーを制限することによって達成される。過度のエネルギー放出は火花または過熱を導く場合があり、これにより、内部で送信機が作動し得る爆発性環境に着火させられる可能性がある。
【0002】
このような技術およびツールは、オペレータが所与のプロセス設備内のフィールドデバイスと好適に通信できおよび/または問い合わせすることができるようにするため、プロセスの制御および測定に関連する業界において極めて有用である。このようなプロセス設備の例としては、石油、医薬品、化学、パルプおよび他の加工設備がある。このような設備において、プロセス制御および測定ネットワークは、数十さらには数百基ものさまざまな防爆性のおよび本質的に安全なフィールドデバイスを含む場合がある。しかしながら、1つのネットワークの内部における1つ以上のデバイス間の通信は、詳細にはネットワーク内部の本質的に安全なデバイスがエネルギーの使用に関して制限を受けている可能性があることから、ネットワーク内部のデータ通信の適時性または信頼性を損なうことなどの理由で制限される場合がある。したがって、特に防爆性容器を含みおよび/または本質的に安全であるデバイスと一般に関連付けられる危険な環境においては、デバイスと通信する能力を増大させるという優先事項が残っている。
【0003】
本発明の好ましい実施形態の詳細な説明のために、ここで添付図面への参照がなされる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態に係るマスターデバイス102およびスレーブデバイスの内部の構成構造の組織の概略図を示す。
【
図2】本開示の1つ以上の実施形態に係るネットワーク内部の通信を管理するための装置、システムおよび/または方法のシーケンスダイアグラムの概略図を示す。
【
図3】本開示の1つ以上の実施形態に係るネットワークの概略図を示す。
【
図4】本開示の1つ以上の実施形態に係るマスターデバイスとして使用され得るネットワークコンピュータシステムの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の論述は、本発明のさまざまな実施形態に向けられている。図面に示された図は必ずしも原寸に比例していない。実施形態の一部の特徴は、縮尺が誇張されているかまたは幾分か概略的な形態で示されている場合があり、従来の要素の一部の詳細は、明確さおよび簡潔さを期して図示されていない場合がある。これらの実施形態の1つ以上は好ましいものであり得るが、開示された実施形態は、特許請求の範囲を含めた本開示の範囲を限定するものとして解釈または使用されるべきではない。所望の結果を生成するために、以下で論述する実施形態の異なる教示を別個にまたは任意の好適な組合せの形で利用してよいということを充分に認識しなければならない。さらに、当業者であれば、以下の説明が広い適用範囲を有し、任意の実施形態の論述がその実施形態を例示するように意図されたものに過ぎず、特許請求の範囲を含めた本開示の範囲がその実施形態に限定されることを公表するように意図されたものではないということを理解するものである。
【0006】
以下の説明および特許請求の範囲を通して、いくつかの用語は、特定の特徴または構成要素を意味するために使用されている。当業者であれば認識する通り、異なる人であれば同じ特徴または構成要素を異なる名称で呼ぶ場合がある。本明細書は、名前が異なっているものの同じ構造または機能である構成要素または特徴を区別することを意図していない。図面に示された図は必ずしも原寸に比例していない。本明細書中の一部の特徴および構成要素は、縮尺が誇張されているかまたは幾分か概略的な形態で示されている場合があり、従来の要素の一部の詳細は、明確さおよび簡潔さを期して図示されていない場合がある。
【0007】
以下の論述および特許請求の範囲において、「含む」および「備える」なる用語は、制約のない形で使用され、したがって、「〜を含むが、これに限定されない」を意味するように解釈されるべきである。同様に、「結合する」なる用語は、間接的または直接的連結の何れをも意味するように意図されている。さらに、「軸方向の」および「軸方向に」なる用語は概して、中心軸(例えば本体またはポートの中心軸)に沿っているかまたは平行であることを意味し、一方「半径方向の」および「半径方向に」なる用語は概して、中心軸に対して垂直であることを意味している。例えば、軸方向距離とは、中心軸に沿ってまたは中心軸に平行に測定された距離を意味し、半径方向距離は、中心軸に垂直に測定された距離を意味する。「頂部」、「底部」、「上方」、「下方」およびこれらの用語の変形形態は、便宜上使用されており、構成要素の何れか特定の配向を要求するものではない。
【0008】
巡回冗長検査またはCRCは、デジタルデータ内のエラーを検出するために使用される関数の一種である。1つ以上の実施形態において、n−ビットのCRC(例えばCRC−16、CRC−36など)は、入力として2進値として表わされたデータブロックを受信し、この2進値を所定のnビットの2進または多項除数で除して、そのデータブロックの特徴である剰余を生成する。剰余は、例えばデータブロックが後で伝送または記憶中に改変されたか否かを決定するために、チェックサムとして使用されてよい。当該技術分野において、CRCなる用語は、関数およびその生成された剰余の両方を意味するために使用されることが多い。しかしながら、明確さを期して、本開示では、関数をCRC、そして剰余をCRC値と呼ぶものとする。
【0009】
データ通信の分野では、イーサネット(登録商標)、非同期転送モード(ATM)などのネットワークプロトコルは、1つのネットワークデバイスから別のデバイスに送られるメッセージ(すなわちパケットまたはフレーム)内の伝送エラーを検出するためにCRCを利用し得る。例えば1つ以上の実施形態において、伝送用ネットワークデバイス(例えばルーター、スイッチ、ホストネットワークインターフェースなど)は、各々の発信パケットのためにCRC−32値を生成し、伝送前にパケットにこの値を付加する。受信用ネットワークデバイスにおいてパケットが受信されたとき、CRC−32値を別のCRC−32値、例えば受信用ネットワークデバイスにおいて先に受信されおよび/または計算された値と比較して、例えばパケット内部に格納されたデータの完全性を確認しおよび/または送信用ネットワークデバイスまたは受信用ネットワークデバイスのデータおよび構成設定値の完全性を確認する。
【0010】
したがって、本明細書中に開示されているのは、通信ネットワーク内部で通信し通信を管理するための装置、システムおよび方法である。ネットワークは、有線および/または無線であってよく、および/または、抗井現場などの危険エリアの内部に少なくとも部分的に位置付けされているかまたは格納されている場合がある。ネットワークは、相互通信状態にあるマスターデバイスと1つ以上のスレーブデバイスを含んでいてよい。方法には、主マスターCRC値および主スレーブCRC値が異なっているか否かを決定するステップが含まれる。主マスターCRC値は、マスターCRCアレイから作成されてよく、マスターCRCアレイはマスター構成構造から作成されてよい。さらに、主スレーブCRC値はスレーブCRCアレイから作成されてよく、スレーブCRCアレイはスレーブ構成構造から作成されてよい。主マスターCRC値と主スレーブCRC値が異なる場合、マスターCRCアレイおよびスレーブCRCアレイを比較して、マスターおよびスレーブCRCアレイに由来するどのCRC値が異なるかを決定してよい。マスターおよびスレーブCRCアレイの間で異なっている各CRC値と関連付けられる各々のスレーブ構成構造そしてこのようなスレーブ構成構造のみが、次にマスターデバイスに送信されて、対応するマスター構成構造を置換する。主スレーブCRC値は、スレーブデバイスから実時間データ測定パケットと共に受信されてよく、マスター構成構造および/またはスレーブ構成構造は、スレーブデバイスのための構成設定値のデータを含んでいてよい。スレーブデバイスは、流量計を含んでいてよく、より詳細には、オリフィス流量計またはタービン流量計などの流量計から測定値を取ることのできる埋込み型フローコンピュータを含んでいてよい。実時間データ測定パケットは、流量計により測定される特性および流量のデータを含んでいてよく、マスター構成構造および/またはスレーブ構成構造は、流量計と関連付けられる物質のモル分率および管内径のデータを含んでいてよい。
【0011】
ここで
図1を参照すると、マスターデバイス102およびスレーブデバイス104内部の構成構造の組織概略図が示されている。マスターデバイス102およびスレーブデバイス104は各々、1つの実施形態において1つ以上の構成構造を含んでいてよく、別の実施形態において、各々少なくとも2つの構成構造を含んでいてよい。
図1において、マスターデバイス102は、第1の構成構造110A、第2の構成構造110B、第3の構成構造110Cおよび第4の構成構造110Dを有するものとして示されている。さらに、スレーブデバイス104は、第1の構成構造112A、第2の構成構造112B、第3の構成構造112Cおよび第4の構成構造112Dを有するものとして示されている。1つ以上の実施形態において、例えば、マスターデバイス102とスレーブデバイス104との間の通信および帯域幅利用を最小限に抑えるため、マスターデバイス102の構成構造110A〜110Dは、スレーブデバイス104の構成構造112A〜112Dの複製として使用されてよい。
【0012】
したがって、
図1に関しては、マスターデバイス102の第1の構成構造110Aは、スレーブデバイス104の第1の構成構造112Aに対応してよく、マスターデバイス102の第2の構成構造110Bは、スレーブデバイス104の第2の構成構造112Bに対応していてよく、マスターデバイス102の第3の構成構造110Cはスレーブデバイス104の第3の構成構造112Cに対応していてよく、および/またはマスターデバイス102の第4の構成構造110Dは、スレーブデバイス104の第4の構成構造112Dに対応していてよい。したがって、測定値などのデータがスレーブデバイス104からマスターデバイス102において受信された場合、マスターデバイス102は、マスターデバイス102とスレーブデバイス104との間で毎回データと共に構成構造112A〜112Dも同様に送信させるのとは対照的に、スレーブデバイス104からのデータを解釈するときに構成構造110A〜110Dの1つ以上を使用することができる。この実施形態においては、構成構造の各々が、16バイトを有するものとして示されているが、当業者であれば、本開示がそのようには限定されず、含まれるバイト数はさらに多くても少なくてもよいということを認識するものである。
【0013】
マスターデバイス102は、マスター構成構造110A〜110DからマスターCRCアレイ114を作成するために使用されてよい。詳細には、マスターCRCアレイ114は、一実施形態において1バイト以上を含んでいてよく、別の実施形態において少なくとも2バイトを含んでいてよい。マスターデバイス102は、マスター構成構造110A〜110Dの各々に対してCRC関数を適用することによってマスターCRCアレイ114を作成してよく、こうして、構成構造110A〜110Dの各々についてマスターデバイス102においてCRC値を作成する。構成構造110A〜110Dの各々についてのマスターCRC値は、次に、マスターCRCアレイ114の内部に1バイトとして記憶される。例えば、
図1に関しては、第1の構成構造110AについてのマスターCRC値が、マスターCRCアレイ114の第1のバイト116A内に記憶され得、第2の構成構造110BについてのマスターCRC値がマスターCRCアレイ114の第2のバイト116B内に記憶され得、第3の構成構造110CについてのマスターCRC値が、マスターCRCアレイ114の第3のバイト116C内に記憶され得、および/または、第4の構成構造110DについてのマスターCRC値が、マスターCRCアレイ114の第4のバイト116D内に記憶され得る。次に、マスターデバイス102は、マスターCRCアレイ114から主マスターCRC値118を作成してよい。例えば、マスターデバイス102は、マスターCRCアレイ114に対してCRC関数を適用することによって主マスターCRC値118を作成してよく、こうして、主マスターCRC値118を作成する。
【0014】
同様にして、スレーブデバイス104は、スレーブ構成構造110A〜110DからスレーブCRCアレイ114を作成するために使用されてよい。詳細には、スレーブCRCアレイ120は、一実施形態において1バイト以上を含んでいてよく、別の実施形態において少なくとも2バイトを含んでいてよい。スレーブデバイス104は、スレーブ構成構造112A〜112Dの各々に対してCRC関数を適用することによってスレーブCRCアレイ120を作成してよく、こうして、構成構造112A〜112Dの各々についてスレーブデバイス104においてCRC値を作成する。構成構造112A〜112Dの各々についてのスレーブCRC値は、次に、スレーブCRCアレイ120の内部に1バイトとして記憶される。例えば、
図1に関しては、第1の構成構造112AについてのスレーブCRC値が、スレーブCRCアレイ120の第1のバイト122A内に記憶され得、第2の構成構造112BについてのスレーブCRC値がスレーブCRCアレイ120の第2のバイト122B内に記憶され得、第3の構成構造112CについてのスレーブCRC値が、スレーブCRCアレイ120の第3のバイト122C内に記憶され得、および/または、第4の構成構造112DについてのスレーブCRC値が、スレーブCRCアレイ120の第4のバイト122D内に記憶され得る。次に、スレーブデバイス104は、スレーブCRCアレイ114から主スレーブCRC値124を作成してよい。例えば、スレーブデバイス104は、スレーブCRCアレイ120に対してCRC関数を適用することによって主スレーブCRC値124を作成してよく、こうして、主スレーブCRC値124を作成する。
【0015】
ここで
図2を参照すると、本開示の1つ以上の実施形態に係るネットワーク200内部で通信しおよび/または通信を管理するための装置、システムおよび/または方法のシーケンスダイアグラムの概略図が示されている。本開示は、詳細には、危険エリア内部に少なくとも部分的に位置付けまたは格納された無線ネットワーク内部における通信の管理に関するものであり得る。
図2に示されている通り、ネットワーク200はマスターデバイス202および、相互通信状態にある1つ以上のスレーブデバイス204を含んでいてよい。マスターデバイス202は、スレーブデバイス204の一方向制御を有していてよく、1つ以上の実施形態において、マスターデバイス202は、2つ以上のデバイスの群の中から選択されてよく、そのとき残りのデバイスはスレーブデバイス204として使用される。
【0016】
上述の通り、マスターデバイスおよびスレーブデバイスは、例えばCRCアレイなどから、主CRC値を作成するために使用されてよく、ここでCRCアレイは構成構造から作成され得る。したがって、
図2において、スレーブデバイス204は、スレーブデバイス204由来の主CRC値(例えば主スレーブCRC値124)を含むパケット230を送信してよく、マスターデバイス202はこれを受信してよい。パケット230は、特定の場所および/または特定の時間に帰属可能であり得るスレーブデバイス204により記録されたデータを含んでいてよい。一実施形態において、スレーブデバイス204は、アナログおよび/またはデジタルセンサーなどの1つ以上のセンサーを含みおよび/またはこれに対し作動的に結合することができる。したがって、スレーブデバイス204は、パケット230内部に1つ以上のセンサーからの1つ以上の測定値を含んでいてよい。さらに、1つ以上の実施形態において、パケット230は、スレーブデバイス204により測定されたデータを含み得る実時間データ測定パケットであってよい。
【0017】
上述の通り、ネットワーク200は、抗井現場内で使用される少なくとも1つ以上の構成要素を含んでいてよい。したがって、本開示の1つ以上の実施形態に係るスレーブデバイスおよび/またはマスターデバイスは、抗井現場の1つ以上の特性および/または特徴を測定するためのデバイス、例えば流量計(例えば流量計に接続されているかまたは流量計と通信状態にある埋込み型フローコンピュータなどのフローコンピュータ)および/または当該技術分野において公知の他の任意のタイプの測定用デバイスを含んでいてよい。このような実施形態において、スレーブデバイスは、抗井現場を通る流れに関する特性および/または特徴に関連する1つ以上の測定値を収集することができてよい。したがって、スレーブデバイスの流量計によって作成された実時間データ測定パケットなどのパケットには、体積流量、質量流量および/またはエネルギー流量などの流量データが含まれていてよく、抗井現場の1つ以上の他の特性および/または特徴、例えば流量に関連する静圧、差圧および/または温度が含まれていてよい。スレーブデバイス204は次に、例えば所定の時間量が過ぎたときおよび/または所定の事象が発生したときなど、所定の間隔でパケットを作成し送信してよい。マスターデバイス202およびスレーブデバイス204についての構成構造は、スレーブデバイス204についての構成設定値のデータを含んでいてよい。詳細には、スレーブデバイス204は流量計を含んでいてよいことから、実時間データ測定パケットには、流量計により測定された流量および特性のデータが含まれていてよく、マスター構成構造および/またはスレーブ構成構造には、管内径および流量計と関連付けられおよび/または流量計内を流れるメタンなどの物質のモル分率のデータが含まれていてよい。そのため、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204の主CRC値を同期させ、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204の構成構造に関連するデータおよび情報を送信し比較してよい。
【0018】
ひき続き
図2を参照すると、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204の主CRC値を互いに比較して、主CRC値が異なるか否かを決定してよい。例えば、一実施形態においてマスターデバイス202は、マスターデバイス202からの主CRC値(例えば主マスターCRC値118)をスレーブデバイス204からの主CRC値(例えば主スレーブCRC値124)と比較して、主CRC値が異なっているか否かを決定してよい。主CRC値が同じであるかまたは実質的に同じである場合には、これは、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204についての構成構造が同じであるかまたは実質的に同じであることを高い確率で表わしている可能性があり、この場合マスターデバイス202とスレーブデバイス204を決定し、互いに同期してよい。
【0019】
主CRC値が異なる場合には、これはマスターデバイス202およびスレーブデバイス204についての構成構造が異なるかまたは実質的に異なっていることを高い確率で表わしている可能性があり、この場合マスターデバイス202およびスレーブデバイス204についての構成構造は更新されおよび/または互いに置換される必要があり得る。このような実施形態では、例えば
図2に関して、マスターデバイス202は、CRCアレイ232(例えばマスターCRCアレイ114)を送信し、スレーブデバイス204はこのCRCアレイを受信してよい。
【0020】
マスターデバイス202およびスレーブデバイス204のCRCアレイを互いに比較して、もしあれば、CRCアレイのCRC値のうちのどれが異なっているかを決定することができる。例えば、
図1を参照すると、スレーブデバイス104は、マスターCRCアレイ114のバイト116A〜116D中に格納されたCRC値の各々を、スレーブCRCアレイ120のバイト122A〜122D中に格納されたそれぞれのCRC値の各々と比較してよい。異なるものであるCRCアレイのCRC値およびバイトについて、スレーブ構造は次に、CRCアレイの異なるCRC値およびバイトと関連付けられたスレーブデバイス204の構成構造をマスターデバイス202に送信して、マスターデバイス202の構成構造を更新および/または置換してよい。詳細には、1つ以上の実施形態において、マスターおよびスレーブCRCアレイ間で異なっている各CRC値に関連付けられる各々のスレーブ構成構造、そしてこのようなスレーブ構成構造のみが、次にマスターデバイス202に送信されて、対応するマスター構成構造を置換してよい。例えば、
図1を参照すると、マスターCRCアレイ114およびスレーブCRCアレイ120は互いに比較されてよく、ここでスレーブデバイス104および/またはマスターデバイス102は、マスターCRCアレイ114の第1のバイト116A中に記憶された第1の構成構造110AについてのマスターCRC値が、スレーブCRCアレイ120の第1のバイト122A中に記憶された第1の構成構造112AについてのスレーブCRC値とは異なるものであることを決定する場合がある。第1の構成構造110Aおよび112AについてのCRC値のみが異なるものとして決定されているこのような実施形態においては、スレーブデバイス104は、スレーブデバイス104の第1の構成構造112Aのみを送信し、マスターデバイス102はこれを受信して、マスターデバイス102の第1の構成構造110Aを更新し置換してよい。
【0021】
図2に関して、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204のCRCアレイを互いに比較して、CRCアレイのCRC値のうちの3つが異なっていることを決定してよい。したがって、スレーブデバイス204は、スレーブデバイス204の第1のスレーブ構成構造234を送信し、マスターデバイス202はこれを受信して、マスターデバイス202の対応するマスター構成構造を更新し置換してよい。さらに、このような実施形態において、スレーブデバイス204は、スレーブデバイス204の第2のスレーブ構成構造236および第3の構成構造238を送信し、マスターデバイス202はこれらを受信して、マスターデバイス202の対応するマスター構成構造を更新し置換してよい。
【0022】
マスターデバイス202がスレーブデバイス204から1つ以上の構成構造を受信してマスターデバイス202内部の1つ以上の構成構造を更新し置換した後、マスターデバイス202は、マスターCRCアレイおよび/または主マスターCRC値を再作成しおよび/または再計算してよい。例えば、
図2を参照すると、マスターデバイス202が第1のスレーブ構成構造234を受信してマスターデバイス202の対応するマスター構成構造を更新し置換した後、マスターデバイス202は、更新され置換されたマスター構成構造を用いてマスターCRCアレイを再作成してよい。マスターデバイス202は、次に、再作成されたマスターCRCアレイから主マスターCRC値を再作成してよい。代替的に、マスターデバイス202は、マスターCRCアレイおよび主マスターCRC値を再作成する前に、スレーブデバイス204の第2のスレーブ構成構造236および第3の構成構造238を受信するまで待機してもよい。
【0023】
なおも
図2を参照すると、スレーブデバイス204は、スレーブデバイス204からの主CRC値を含む第2のパケット240を送信し、マスターデバイス202はこれを受信してよい。マスターデバイス202およびスレーブデバイス204の主CRC値を互いに比較して、主CRC値が異なっているか否かを決定してよい。詳細には、マスターデバイス202は、マスターデバイス202からの主CRC値をスレーブデバイス204からの主CRC値と比較して、主CRC値が異なっているか否かを決定してよい。この実施形態において、主CRC値は同じまたは実質的に同じであって、それにより、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204についての構成構造が同じであるかまたは実質的に同じであることを高い確率で表わしていてよく、この場合、マスターデバイス202およびスレーブデバイス204を決定し互いに同期させてよい。こうして、ネットワーク200は、通常のオペレーションを続行してよい。同様にして、スレーブデバイス204は、スレーブデバイス204からの主CRC値を含む第3のパケット242を送信し、マスターデバイス202はそれを受信してよい。ここでもまた、この実施形態において、主CRC値は互いに比較され、変更がなくなおも同じまたは実質的に同じであるものと決定され得、この場合ネットワーク200は通常のオペレーションを続行し得る。
【0024】
1つ以上の実施形態において、マスターデバイスおよびスレーブデバイスは、問題についての一定の対策を取るためまたは対策を取らないために、マスターデバイスおよびスレーブデバイスに関連付けられた値および/またはマスターデバイスおよびスレーブデバイスについての所定の値を有していてよい。例えば、一実施形態において、全てのビットがゼロに等しい(例えば32全てのビットがゼロに等しい、0×00000000)ことを、スレーブCRCアレイの特定の値またはバイトについてマスターデバイスが提示した場合には、この値は、スレーブデバイスに対し、CRC値および要素の同等状態とは独立して、対応するスレーブ構成構造を送信するように指示しおよび/または強制的にスレーブデバイスにこれを送信させる場合がある。別の実施形態において、マスターデバイスが、スレーブCRCアレイの特定の値またはバイトについて、全てのビットが1に等しい(例えば32全てのビットが1に等しい、0×FFFFFFFF)ことを提示した場合には、この値は、CRC値および要素の同等状態とは独立して、対応するスレーブ構成構造の送信を省略するようにスレーブデバイスに対し指示しおよび/または強制的にスレーブデバイスにこれを省略させる場合がある。したがって、このような実施形態において、スレーブ構造のCRCアレイの自然の状態またはアレイ内の値がゼロまたは1に等しい場合には、CRCアレイ内部で使用される値は、CRCの結果を所定量減少したもの、例えば2だけ減少したものであってよい。こうして、例えばアレイがゼロまたは1に等しい場合に2つのコードをマスターデバイスとスレーブデバイスとの間の強制的通信および更新という目的のために残しておくことができる。
【0025】
1つ以上の実施形態において、マスターデバイスおよび/またはスレーブデバイスは、編集された1つ以上の構成構造を有し、ここで、編集された構成構造は、マスターデバイスおよび/またはスレーブデバイスのうちの他方のものの中の対応する構成構造を置換するために使用されてよい。例えば、スレーブデバイスは、使用中および現場内にある場合など、構成設定値を変更させていて、これにより、スレーブデバイスのスレーブ構成構造を編集する場合がある。スレーブ構成構造が編集された場合、スレーブデバイスは、編集されたスレーブ構成構造を(例えば自動的に)送信してよく、マスターデバイスはこれを受信してよい。編集されたスレーブ構成構造は次に、マスターデバイス内部の対応するマスター構成構造を置換し更新するために使用されてよい。例えば、
図1を参照すると、第1の構成構造112Aが更新され編集される一実施形態において、スレーブデバイス104は、編集された第1の構成構造112Aを送信し、マスターデバイス102はこれを受信してよい。編集された第1の構成構造112Aは次に、マスターデバイス102の第1の構成構造110Aを更新し置換するために、マスターデバイス102によって使用されてよい。
【0026】
マスターデバイスがスレーブデバイスから1つ以上の編集済み構成構造を受信してマスターデバイス内部の1つ以上の構成構造を更新し置換した後、マスターデバイスは、マスターCRCアレイおよび/または主マスターCRC値を再作成しおよび/または再計算してよい。例えば、
図1を参照すると、マスターデバイス102が編集済みの第1の構成構造112Aを受信してマスターデバイス202の対応する第1の構成構造110Aを更新し置換した後、マスターデバイス102は、更新され置換された第1の構成構造110Aを用いてマスターCRCアレイ114を再作成してよい。マスターデバイス102は次に、再作成されたマスターCRCアレイ114から主マスターCRC値118を再作成してよい。
【0027】
同様にして、マスターデバイスは、構成設定値を変更させ、これによりマスターデバイスのマスター構成構造を編集してよく、この場合、構成設定値および構成構造は、スレーブデバイスまで伝えられる必要がある場合がある。マスター構成構造が編集された場合、マスターデバイスは、編集されたマスター構成構造を(例えば自動的に)送信してよく、スレーブデバイスはこれを受信してよい。編集済みマスター構成構造は次に、スレーブデバイス内部の対応するスレーブ構成構造を置換し更新するために使用されてよい。さらに、スレーブデバイスがマスターデバイスから1つ以上の編集済み構成構造を受信してスレーブデバイス内部の1つ以上の構成構造を更新し置換した後、スレーブデバイスは、スレーブCRCアレイおよび/または主スレーブCRC値を再作成および/または再計算してよい。
【0028】
本開示の1つ以上の実施形態によると、マスターデバイスおよび/またはスレーブデバイスは、ネットワーク内部で利用可能な帯域幅などの1つ以上の要因に基づいて、1つ以上のパケットを送ってよい。一実施形態において、ネットワーク内部のマスターデバイス、スレーブデバイスおよび/または別の構成要素は、ネットワーク内部の利用不可能な(例えば使用されている)帯域幅および/または利用可能な(例えば未使用の)帯域幅を測定し、マスターデバイスおよび1つ以上のスレーブデバイスが互いに通信するのに充分な帯域幅が利用可能であるか否かを決定してよい。詳細には、デバイスまたは構成要素は、ネットワーク内部で利用可能な帯域幅が所定量を超えているか否かを決定してよい。利用可能な帯域幅が所定量を超えている場合、ネットワーク内部のスレーブデバイスおよび/または別の構成要素は互いに通信することができる。例えば、利用可能な帯域幅が所定量を超えていることが決定された場合には、スレーブデバイスは、例えばパケットが随伴するその主スレーブCRC値を送信しマスターデバイスはこれを受信して、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間の同期を確認してよい。
【0029】
さらに、本開示の1つ以上の実施形態によると、マスターデバイスおよび/またはスレーブデバイスは、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間で通信がない状態で所定の時間量が過ぎたまたは経過したか否かに基づいて、1つ以上のパケットを送信してよい。例えば、ネットワーク内部のマスターデバイス、スレーブデバイスおよび/または別の構成要素は、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間に主CRC値を含む通信が発生することなく、1分、1時間、1週間または他の何れかの時間量などの所定の時間量が過ぎたか否かを決定するために使用され得る。このような所定の時間量が過ぎた場合には、マスターデバイスおよび/またはスレーブデバイスは、例えば自動的に、マスターデバイスおよびスレーブデバイスのうちの他方のものと通信するように促されてもよい。例えば、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間で主CRC値を含む通信が発生することなく所定の時間量が過ぎた場合には、マスターデバイスは、マスターCRCアレイをスレーブデバイスに送信して、マスターデバイスとスレーブデバイスとの間の同期を確認してよい。
【0030】
ここで
図3を参照すると、本開示の1つ以上の実施形態に係る無線ネットワーク300の概略図が示されている。上述の通り、本開示は、特に、少なくとも部分的に危険エリアの内部に位置付けされているかまたは格納されている無線ネットワーク内の通信の管理に関するものであり得る。したがって、無線ネットワーク300の1つ以上の構成要素が、図示されている通り、例えば抗井現場の内部などの危険エリアの内部に含まれていてよい。
【0031】
無線ネットワーク300は、マスターデバイス302と共に、マスターデバイス302と通信状態にある1つ以上のスレーブデバイス304を含んでいてよい。上述の通り、マスターデバイス302および/または1つ以上のスレーブデバイス304は、抗井現場の1つ以上の特性および/または特徴を測定するため、流量計および/または当該技術分野において公知の他の任意のタイプの測定用デバイスとして使用されてよい。例えば、スレーブデバイス304の1つ以上は、抗井現場を通る流れに関する特性および/または特徴に関連する1つ以上の測定値を収集することができる場合がある。したがって、スレーブデバイス304の1つ以上により作成される実時間データパケットなどのパケットは、体積流量、質量流量および/またはエネルギー流量などの流量データを含んでいてよい。さらに、パケットは、抗井現場の1つ以上の他の特性および/または特徴、例えば流量に関連する静圧、差圧および/または温度を含んでいてよい。さらに上述の通り、パケットは、スレーブデバイス304とマスターデバイス302との間の構成設定値の同期を確認するため、主CRC値などのスレーブデバイス304の構成設定値に関連する情報を含んでいてよい。
【0032】
こうして、
図3に関して、第1のスレーブデバイス304Aを用いて、抗口310の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定すること、例えばケーシング圧を監視し測定することができる。第2のスレーブデバイス304Bは、チョークマニホールド312内に流入する物質の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定するために使用され得る。第3のスレーブデバイス304Cは、チョークマニホールド312から外におよび/またはセパレータ314内に流れる物質の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定するために使用されてよい。第4のスレーブデバイス304Dは、セパレータ314から流出するガスなどの物質の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定するために使用されてよい。第5のスレーブデバイス304Eおよび/または第6のスレーブデバイス304Fは、セパレータ314から流出する水などの物質の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定するために使用されてよい。第7のスレーブデバイス304Gは、セパレータ314から外におよび/またはサージタンク316内に流入する油などの物質の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定するために使用されてよい。さらに、第8のスレーブデバイス304Hは、サージタンク316から外に流出するガスなどの物質の1つ以上の特性および/または特徴を監視し測定するために使用されてよい。
【0033】
マスターデバイス302は次に、スレーブデバイス304の1つ以上と通信状態にあってよい。さらに、コンピュータ318が、例えばマスターデバイス302および/または1つ以上のスレーブデバイス304に関する情報を検索するために、マスターデバイス302と通信状態にあってよい。このような実施形態において、マスターデバイス302が抗井現場の内部に位置付けされている一方で、コンピュータ318は、非危険エリア内で、例えばModbus(登録商標)通信プロトコルを通して、マスターデバイス302と通信し得る。さらに、スレーブデバイス304の1つ以上は自立していて、そのためマスターデバイス302とスレーブデバイス304との間の接続状態とは独立して、スレーブデバイス304は情報およびデータを収集し続け、後でマスターデバイス302に伝送されるように記録を保管してよい。
【0034】
本明細書中で開示されている実施形態の態様、例えば、構成設定値に関係する情報の送受信、CRCアレイおよび主CRC値の作成および記憶、CRCアレイおよび主CRC値の比較、並びに、1つ以上の他の機能は、危険エリア内での使用に特化したコンピュータおよび/または使用されているプラットフォームの如何に関わらずあらゆるタイプのコンピュータ上に実装可能である。例えば、
図4に示されている通り、本明細書中で開示されている実施形態に係るマスターデバイスとして使用され得るネットワークコンピュータシステム402は、プロセッサ、付随するメモリー、記憶デバイスおよび今日のコンピュータに典型的な他の多くの要素および機能性を含んでいてよい。ネットワークコンピュータ402は、同様に、入力手段、例えばタッチスクリーンおよび/または1つ以上の防爆ボタンおよび出力手段、例えばディスプレーも含んでいてよい。ネットワークコンピュータ402は、ネットワークインターフェース接続および/または無線ネットワーク接続を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(例えばインターネット)に接続されてよい。当業者であれば、これらの入力および出力手段が他の多くの形態をとり得るということを認識するものである。さらに、コンピュータシステムは、ネットワークに接続されていなくてもよい。さらに、当業者であれば、上述のコンピュータ402の1つ以上の要素が、遠隔の場所に位置設定され、ネットワーク上で他の要素に接続されてよいということを認識するものである。
【0035】
本開示に係るネットワークは、抗井現場内のような危険エリアの内部に位置付けされ得ることから、マスターデバイスおよび/またはスレーブデバイスは、本質的に安全でありおよび/または防爆性容器を含み得る。こうして、本開示の1つ以上の実施形態によると、本明細書中で使用される「防爆性」なる用語は、共に「防爆性」なる用語の定義づけを補助した全国防火協会(NFPA)および米国電信コード(NEC(登録商標))と整合性のある文脈で使用される。危険な(と分類された)場所で使用するために製品を設計する際に許容可能な複数のタイプの保護技術の定義としては、防爆性、粉塵着火防止、防塵、パージされた/加圧された、本質的に安全な、および密閉されたものという定義が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらの定義は、危険な(と分類された)場所に設置される全ての設備が満たさなければならない基準を定める。したがって、1つ以上の実施形態によると、防爆性格付けの基準を満たすためには、容器は、そのハウジング内部に由来するあらゆる爆発を閉じ込め、周囲の空気中の蒸気、気体、粉塵および/または繊維にそのハウジング内からの火花が着火するのを防ぐことができなければならない。したがって、電気的容器に言及する場合の防爆性は、それが外部爆発に耐えることができるということを意味していない。それよりむしろ、防爆性は、内部火花または爆発がはるかに大規模な爆破をひき起こすのを防ぐ容器の能力である。さらに、1つ以上の実施形態において、防爆性容器は、それが設置されるべき特定の利用分野の温度要件を満たすことができる。このことはすなわち、モーター(およびその容器)または他の構成要素の作動温度が、構成要素が設置される予定の雰囲気中のガスまたは粉塵の最低着火/燃焼温度よりも高くなり得ないということを意味している。
【0036】
本開示に係る装置は、以下の利点の1つ以上を提供し得る。本開示に係る装置は、本質的に安全であり、そのため危険な環境内で装置を使用してもよい。以上で論述され説明された装置は、最大貯蔵エネルギー、電力消費量を制限されてよく、および/または火花または過熱を防止するための装置と共に使用可能である。例えば、本開示の通信管理システムは、長時間にわたり電力消費量を非常に低くすることができる。
【0037】
当業者であれば、さまざまな異なる技術および技法の何れかを用いて、情報および信号を表現してよいということを理解するものであると思われる。例えば、以上の説明を通して言及されている可能性のあるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、通信およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場もしくは磁性粒子、光場もしくは光粒子またはこれらの任意の組合せによって表現され得る。
【0038】
当業者であればさらに、本明細書中で開示されている実施形態に関連して説明されたさまざまな例示的論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップが、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたはその両方の組合せとして実装されてよいということを認識するものである。ハードウェアとソフトウェアとのこの互換性を明確に例示するために、さまざまな例示的構成要素、ブロック、モジュール、回路およびステップについて、概してそれらの機能性の観点から以上で説明してきた。このような機能性がハードウェアとして実装されるかまたはソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課せられる特定の応用および設計上の制約によって左右される。当業者は、各々の特定の利用分野のためにさまざまな方法で上述の機能性を実装してよいが、このような実装の決定は、本発明の範囲からの逸脱をひき起こすものとして解釈されるべきではない。
【0039】
本明細書中に開示されている実施形態に関連して説明されたさまざまな例示的論理ブロック、モジュールおよび回路は、本明細書中に記載の機能を実施するように設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタ論理、個別ハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組合せを用いて実装または実施されてよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、代替的にはプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラー、マイクロコントローラー、または状態マシンであってよい。プロセッサは同様に、計算デバイスの組合せとして、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用した1つ以上のマイクロプロセッサ、または他の任意のこのような構成としても実装されてよい。
【0040】
本明細書中に開示された実施形態と関連して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、直接ハードウェアの形、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールの形、またはその2つの組合せの形で実施されてよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリー、フラッシュメモリー、ROMメモリー、EPROMメモリー、EEPROMメモリー、レジスター、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROMまたは、当該技術分野において公知の他の任意の形態の記憶媒体中に存在してよい。例示的な記憶媒体がプロセッサに結合されており、こうしてプロセッサが記憶媒体から情報を読取り、記憶媒体に情報を書込むことができるようになっている。代替的には、記憶媒体はプロセッサと一体になっていてよい。プロセッサと記憶媒体は、ASIC内に存在していてよい。ASICはユーザーターミナル内に存在していてよい。代替的には、プロセッサと記憶媒体は個別の構成要素としてユーザーターミナル内に存在してもよい。
【0041】
本発明が具体的詳細に関して説明されてきたが、このような詳細は、それらが添付の特許請求の範囲中に含まれている場合を除き、本発明の範囲に対する限定とみなされるべきものとして意図されていない。