特許第6585637号(P6585637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585637
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】2ストローク燃焼エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 25/04 20060101AFI20190919BHJP
   F02B 25/14 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   F02B25/04
   F02B25/14 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-573521(P2016-573521)
(86)(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公表番号】特表2017-522486(P2017-522486A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】CZ2015000061
(87)【国際公開番号】WO2015192816
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年5月16日
(31)【優先権主張番号】PV2014-417
(32)【優先日】2014年6月18日
(33)【優先権主張国】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】513190357
【氏名又は名称】ズデニェク ノボトニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ズデニェク ノボトニー
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−305124(JP,A)
【文献】 特表2008−513659(JP,A)
【文献】 特開昭53−147110(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/116665(WO,A1)
【文献】 特開平10−077845(JP,A)
【文献】 特開昭50−007909(JP,A)
【文献】 特開昭61−232321(JP,A)
【文献】 特表2009−516124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 25/04
F02B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダブロック(12)内に固定されているシリンダ(2)と、前記シリンダ(2)内に取り付けられているピストン(3)とを備え、
前記シリンダ(2)の外周部が、排気流路(7)に通じる排気窓(8)と、前記排気窓(8)の下方において、前記排気窓(8)の間隔の半分までだけ前記排気窓(8)に対して角度的にオフセットしており、掃気流路(11)に通じる掃気窓(10)とを備えている2ストローク燃焼エンジンにおいて、
ピストン(3)には、圧縮空間(6)の中への幅広の開口部を有する燃焼空間(15)と、ピストン(3)の外周部上に分布している掃気開口部(9)とが設けられており、
前記掃気開口部(9)は、燃焼空間(15)に通じており、かつ、圧縮空間(6)に対して開いているカットアウトとして設計され
前記掃気開口部(9)は、前記ピストン(3)が下死点にある時に、前記燃焼空間(15)を前記掃気窓(10)に相互連結させる、
ことを特徴とする2ストローク燃焼エンジン。
【請求項2】
前記シリンダ(2)上に回転自在な形で取り付けられているブッシュ(16)を含み、 前記ブッシュ(16)は、前記排気流路(7)の空間内において、前記ブッシュ(16)の外周部上に、絞り排気開口部(17)を備えており、
前記掃気流路(11)の空間内において、互いの上方に位置した2つの列の形に配置されており、それらの間隔の半分までだけ前記絞り排気開口部(17)から角度的にオフセットしている絞り掃気開口部(18)を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の2ストローク燃焼エンジン。
【請求項3】
前記絞り排気開口部(17)は、丸コーナーを有する略長方形台形の形状を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の2ストローク燃焼エンジン。
【請求項4】
前記排気窓(8)と前記掃気窓(10)は、互いの上方に位置した幾つかの列の形で前記シリンダ(2)の周辺部に沿って分布している長方形のカットアウトとして行われる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の2ストローク燃焼エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、オートバイ、スポーツ及び観光用の航空機で使用するための、又は、産業用装置の駆動のための、2ストローク燃焼エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
2ストロークバルブレス火花点火式エンジンが、吸入パイプライン内の絞りフラップによる吸気の絞りを伴う、クランクケースを経由したエンジンシリンダの充填を使用するか、又は、気化器を使用する。圧縮点火式バルブレス2ストロークエンジンでは、ターボチャージャー過給が使用されている。両方の場合とも、シリンダの戻り掃気(return rinsing)が様々な形で使用される。シリンダの戻り掃気を伴う従来技術のエンジンの欠点が、新気、又は、新気と燃料との混合気によるシリンダの不完全な掃気と、低い容積効率と、エンジンシリンダ及びピストンの不均一な熱負荷であるようであり、このことは、より低い容積出力(volume output)と、より多い燃料消費とを結果的にもたらす。
【発明の概要】
【0003】
上述した従来技術の欠点は、シリンダブロック内に固定されているシリンダと、シリンダ内に取り付けられているピストンとを備える、本発明による2ストローク燃焼エンジンによって取り除かれ、この2ストローク燃焼エンジンの原理は、シリンダの外周部が、シリンダ外周部の外側に位置している排気流路に通じる少なくとも1つの列の排気窓(exhaust window)を備え、この排気窓の下方に、シリンダの外周部の外側に位置している掃気流路に通じる少なくとも1つの列の掃気窓(rinse window)を備えており、排気窓の各列において少なくとも2つの排気窓が存在し、掃気窓の各列において少なくとも2つの掃気窓が存在し、排気窓は掃気窓に対して角度的にオフセットしており、ピストンが、燃焼空間と、そのピストンの外周部上に分布している掃気開口部とを備えており、掃気開口部が、燃焼空間をピストンの下死点において掃気窓に相互連結させるということである。
【0004】
有利な実施態様の1つでは、シリンダ外周部は、互いの上方に位置している少なくとも2つの列の排気窓を備えており、排気窓は、異なる列の排気窓がシリンダ軸線に対して平行な直線に沿って互いの上方に位置しており、シリンダ外周部は、さらに、互いの上方に位置している少なくとも2つの列の掃気窓を備えており、掃気窓は、異なる列の掃気窓がシリンダ軸線に対して平行な直線に沿って互いの上方に位置しているように配置されている。
【0005】
好適には、すべての排気窓が同一の形状及びサイズを有してもよい。さらに、好都合なことに、すべての掃気窓が同一の形状及びサイズを有してもよい。
【0006】
有利な実施態様では、すべての排気窓とすべての掃気窓が、丸コーナーと同一サイズとを有する略長方形の形状を有する。
【0007】
有利な実施態様では、掃気窓が、排気窓の間隔の半分だけ排気窓に対して角度的にオフセットしている。
【0008】
有利な実施態様では、火花点火式2ストローク燃焼エンジンが、排気流路と掃気流路との空間の中で回転自在な形でシリンダ上に取り付けられているブッシュを含み、このブッシュは、少なくとも1つの列の絞り排気開口部(throttling exhaust opening)をそのブッシュの外周部に備えており、その排気開口部の下方に、少なくとも1つの列の絞り掃気開口部(throttling rinse opening)を備えており、このブッシュは、エンジンがアイドリング状態にあるその第1の位置から、エンジンがその最大出力で動作する第2の位置までの範囲内で、制御された形で回転させられることが可能である。
【0009】
上述した第1の位置では、排気窓と絞り排気開口部とを通過するシリンダからの排気ガスの通過全断面積(total passing cross−section)が、絞り掃気開口部と掃気窓とを通過するシリンダに対する空気入口の通過全断面積よりも大きく、第1の位置では、これらの通過全断面積の両方がその最大値にあり、第1の位置からのブッシュの回転に応じて、これらの通過全断面積が、上記第2の位置におけるその最大値にまで増大する。
【0010】
ブッシュの回転がアクセルペダル又はエンジン速度制御装置にもとづくことが有利である。
【0011】
有利な実施態様では、絞り排気開口部は、丸コーナーを有する略長方形台形の形状を有し、絞り掃気開口部は、丸コーナーを有する略長方形三角形の形状を有する。
【0012】
掃気開口部は、例えば略円形であってもよい。
【0013】
掃気開口部は、圧縮空間に対して開いているカットアウトとして設計されてもよい。
【0014】
上述したように、シリンダは、その外周部上において、排気流路に通じる排気窓を備えており、その排気窓の下方には、有利には排気窓の間隔の半分だけ排気窓に対して角度的にオフセットしておりかつ掃気流路に通じる掃気窓が付けられている。エンジンのピストンは、ピストン外周部上に分布している傾斜掃気開口部が中に通じている燃焼空間を備えている。ピストンの下死点位置では、これらの掃気開口部は、燃焼空間を掃気窓に相互連結させる。
【0015】
このエンジンの火花点火式の形態では、排気流路と掃気流路との空間内においてエンジンシリンダ上に回転可能な形で取り付けられており、シリンダの外周部上に互いに隣接して配置されている1つの列の絞り排気開口部を備えており、この列の下方において互いに隣接して配置されている1つの列の絞り掃気開口部を備えている、ブッシュを使用することが有利である。これらの列の開口部の両方が、これらの開口部の間隔の半分だけ互いに対して角度的にオフセットしていることが有利である。
絞り排気開口部の形状は、例えば、丸コーナーを有する略長方形台形の形状であり、絞り掃気開口部は、例えば、丸端縁を有する略長方形三角形の形状である。
ブッシュの回転が、シリンダに対する空気入口の通過断面積の減少又は増大と、エンジンシリンダの外への排気ガスの通過断面積の減少又は増大と、したがって、シリンダの排気及び掃気のタイミングの変化とを生じさせる。
排気窓と掃気窓は、カットアウトとして設計されており、丸い端縁を有する略長方形の形状を有する。上述したタイミングの変化は、これらの窓の通過断面積の減少中に(上死点により近い)最上列の窓が最初に閉じられることによって可能にされる。
【0016】
ピストン内に形成された掃気開口部が、圧縮空間に対して開いているカットアウトの形状を有してもよい。
この掃気開口部は、円形の形状、又は、丸コーナーを有する略長方形の形状を有してもよい。
【0017】
上述したように、本発明による設計は、エンジン内において、上死点に向かってシリンダの中央部を通ってエンジンピストン内の燃焼空間を経由してシリンダが掃気され、その次に、排気ガスがシリンダ壁と排気管とに強制的に送り込まれるということを生じさせる。ブロワ(blower)又はターボチャージャーの使用によって、エンジンシリンダの中に入る前に新気の十分な圧力を生じさせることが、エンジンシリンダの流路が完全に開いている時にさえ、燃焼生成物の侵入(penetration)(ブローオフ(blow−off))を減少させ、新気によるシリンダのより適切な充填を確実なものにする。エンジンピストンがちょうど下死点を通過し終わった瞬間における、火花点火式の形態のエンジンにおける燃料ノズルによる燃料噴射が、シリンダヘッド内での点火プラグにおける点火一貫性(ignition consistency)の層状混合気(layered mixture)を生じさせる可能性を伴った燃料損失を排除する。
【0018】
本発明を、添付図面に概略的に示されている本発明の実施形態の例の使用によって、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による圧縮点火式のエンジンの実施形態の一例の断面を示す。
図2】クランクシャフトを経由した充填を伴うエンジンの火花点火式形態を示す。
図3】ブロワを使用する過給と、排気とシリンダ掃気とのタイミングの変化を可能にするブッシュとを伴う、エンジンの火花点火式形態を示す。
図4】シリンダ上の排気窓と掃気窓の分布と形状の一例を展開形状の形で示す。
図5】エンジンピストン内の掃気開口部の実施形態の一例を示す。
図6】絞り排気開口部と絞り掃気開口部の形状の一例と、エンジンのアイドリング状態における、及び、ブッシュを伴うシリンダの展開形状における、排気窓と掃気窓に対する絞り排気開口部と絞り掃気開口部との位置とを示す。
図7】絞り排気開口部と絞り掃気開口部の形状の一例と、全開状態(full gas mode)における、及び、ブッシュを伴うシリンダの展開形状における、排気窓と掃気窓に関する絞り排気開口部と絞り掃気開口部との位置とを示す。
図8】エンジンのアイドリング状態における、ブッシュの最も閉鎖された絞り開口部又は閉鎖された絞りフラップのための分布図(distribution diagram)を示す。
図9】ブロワ過給又はクランクシャフト経由の充填を伴う火花点火式エンジンの全開状態(perfect gas mode)における、最大に開放された、即ち、完全に開放された流路又は絞りフラップに関する分布図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明によるエンジンの実施形態の第1の例を示す。
このエンジンは、噴射ノズル4が固定されているヘッド1を含む圧縮点火式のエンジンである。シリンダブロック12がシリンダ2を含み、このシリンダ2の中央部分内には、シリンダ2の外周部に沿って排気窓8が設けられており、この排気窓8の下方には掃気窓10が備えられている。シリンダ2内ではピストン3が滑動する形で移動し、このピストン3の移動はクランク機構によってもたらされる。ピストン3には、その外周部上に分布している傾斜掃気開口部9が備えられており、この掃気開口部9は、ピストン3の頂部部分内の燃焼空間15の中に通じている。シリンダブロック12内では、排気開口部8の空間内に、排気ガスを取り除くために円形の排気流路7が形成されており、この排気流路7の下方には、掃気窓10の空間内に、環状掃気流路11が形成されており、この環状掃気流路11は、ブロワ13からの新気を充填されている。
【0021】
図2は、本発明によるエンジンの実施形態の第2の例を示す。
このエンジンは、点火プラグ5が中に固定されているヘッド1を含む火花点火式のエンジンである。火花点火式エンジン内において噴射ノズルの代わりに気化器が一般的に使用されることが可能なので、噴射ノズルが示されていない。シリンダブロック12内では、排気窓8が外周部に沿って形成されておりかつ掃気窓10が排気窓8の下方に成形されている、シリンダの中央部分において、シリンダ2が押し付けられている。シリンダ2内では、ピストン3が滑動する形で移動し、この移動はクランク機構によって生じさせられる。ピストン3には、そのピストン3の頂部部分内の燃焼空間15に通じる、ピストン3の外周部上に分布した傾斜掃気開口部3が備えられている。シリンダブロック12内には、排気開口部8の空間内に、排気ガスを取り除くための円形の排気流路7が形成されており、この排気流路7の下方には、掃気窓10の空間内に、環状の掃気流路11が形成されており、この掃気流路は、連結流路14を経由してブロワクランクケースからの新気が充填される。代替案としては、この掃気流路はブロワからの空気を充填されてもよい。
【0022】
図3は、実施形態の第3の例、即ち、火花点火式エンジンを図示し、このエンジンのシリンダ2上にかつシリンダ2の外側から、ブッシュ16が、排気窓8と掃気窓10の空間内に取り付けられている。ブッシュ16の外周部上には、絞り排気開口部17が形成されており、絞り排気開口部17の下方には、絞り掃気開口部18が形成されている。好都合には、ブッシュ16の回転が、アクセルペダル又はエンジン速度制御装置から得られてもよい。空気が、掃気流路11から掃気窓10を経由して掃気開口部9を通って圧縮空間6の中に入り、圧縮空間15がピストン3によって圧縮される。
【0023】
2ストローク燃焼エンジンは、クランクケース又はブロワ13からの新気が圧力下でパイプを経由して掃気流路11に強制的に送り込まれ、掃気流路11から、ピストン3が下死点に移動する最中に掃気窓10を開放した直後に、掃気開口部9と燃焼空間15とを通して圧縮空間6に送られ、排気窓8を経由して排気流路7に排気ガスを送り出す。
ピストン3が下死点から移動してシリンダ2内で空気を圧縮し始めて、掃気窓10を閉じると、排気窓8の同時閉鎖時に、火花点火式エンジンの噴射ノズル4が微細霧状燃料を圧縮空気の中に噴射する。点火プラグ5によって、上死点の前に、圧縮された均一性の混合気が発火させられる。
圧縮点火式エンジンでは、ピストン3が上死点の直前の位置にある時に、燃料が噴射され、この場合に、このエンジンでは、空気入口の絞りなしに出力変化が数量規則(quantity law)によって制御される。
火花点火式のエンジンでは、気化器又は吸引パイプ内の絞りフラップを用いたシリンダに対する空気供給の絞りによって、又は、恐らくは、エンジンがブッシュ16を含む形態においては、ブッシュ16の旋回(回転)による空気入口の絞りによって、出力の変化が決定される。
【0024】
図4は、掃気窓10及び排気窓8の形状及び分布の例を示す。この形状は、丸コーナーを有する略長方形の形状である。
【0025】
図5は、ピストン3内に形成されている掃気開口部の実施形態の一例の詳細を示す。
【0026】
図7は、掃気窓10及び排気窓8の採用可能な形状の別の例を示す。この例では、これらの窓は、互いの上方に3つの列の形で配置されている。この図は、さらに、丸コーナーを有する略長方形三角形の形状と表現されることが可能である絞り掃気開口部18の形状の一例と、丸コーナーを有する略四角形台形の形状と表現されることが可能である絞り排気開口部の形状の一例とを示す。絞り排気開口部17と絞り掃気開口部18との互いに異なる形状の目的を後述する。図7に示されている、排気窓8に対する絞り排気開口部17の位置と、掃気窓10に対する絞り掃気開口部18の位置は、エンジンの全開状態(full gas resime)に対応する。
【0027】
図6は、エンジンのアイドリング状態(idle resime)に対応する、排気窓8に対する絞り排気開口部17の位置と、掃気窓10に対する絞り掃気開口部18の位置とを示す。
【0028】
次に、ブッシュ16の機能を説明する。ブッシュ16は、2つの末端位置、即ち、アイドリング位置と最大出力位置を有する。アイドリング位置は図6図8に示されており、最大出力位置は図7図9に示されている。
アイドリング位置では、シリンダ内の掃気窓10は、絞り掃気開口部18によって部分的に閉じられており、この絞り掃気開口部18は、有利には、丸コーナーを有する略三角形の形状であり、アイドリング状態のために必要とされる量の空気を提供する。図6に示されているように、絞り排気開口部17の形状が丸コーナーを有する略長方形台形の形状に相当するので、アイドリング状態における排気窓8の通過断面積は、略三角形の形状である絞り掃気開口部18によって絞られる掃気窓10の通過断面積よりも大きい。この通過断面積の相違は、まさに絞り排気開口部17と絞り掃気開口部18との形状の相違の結果として生じる。
最大出力位置(図7図9を参照されたい)では、掃気窓10は完全に開いている。掃気窓10と排気窓8とが、有利には互いの上方に位置している幾つかの列の形でシリンダ外周部上に分布している、例えば長方形のカットアウトとして設計されている場合には、シリンダの排気と掃気のタイミングは、アイドリング位置から最大出力位置へブッシュ16を回転(旋回)させることによって変化させられることが可能である。
アイドリング状態では、ブッシュ16は、掃気窓10と排気窓8との最下列(即ち、下死点に向かう列)内の長方形カットアウトだけが開いているような位置にある。
したがって、膨張ストローク中は、ピストン3は、掃気窓10と排気窓8との長方形カットアウトの最下列だけを開き、このことが、長方形カットアウトの他の列がブッシュ16によって塞がれているので、シリンダの排気と掃気の遅延と、シリンダの掃気と排気の加速とを生じさせる。
【0029】
本発明は、上述した実施形態例と添付図面に示されている実施形態とにだけ限定されるのではなく、さらに、添付特許請求項に記載されている範囲内に含まれるすべての変形と変更とを含む。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明による2ストローク燃焼エンジンは、主として、自動車産業、オートバイ産業、及び、航空機産業において使用されることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9