(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生体内安定性(生体内で安定した)または吸収性のヒドロゲルであるシーリング化合物を、エアロゾル混合により創傷内に導入する装置または装置に関する。より具体的にいうと、本発明は、複数成分からなるシーリング化合物を混合して創傷または組織表面に送達する装置および方法に関し、前記創傷または組織表面は、皮膚の破綻を伴う創傷および皮膚の破綻を伴わない体内の創傷の双方を含む。本発明は、2成分または複数成分からなるシーリング材料を創傷に送達して創閉鎖、組織コーティング、および/または止血をもたらす創閉鎖シーラントアプリケータを包含する。これらのアプリケータは、外部と連通した創傷を通じて使用するようなっている。前記装置の他の用途としては、充填または組織増大をもたらし、手術後癒着を防ぐ障壁をもたらすための局部的な薬物送達を目的とした材料の送達などがある。
【0008】
米国特許第6,371,975号、第6,458,147号、第6,562,059号、第6,733,515号、第6,743,248号、および第6,830,756号は、この参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、アルブミンおよびポリエチレングリコール(PEG)の成分を有する化合物を含む生体修復材料を、血管破綻部位の外側を取り囲む領域に導入するシステムについて開示しており、前記材料の組み合わせにより、接着性のシーリングマトリックスが生成される。これらシステムの主な用途は破裂した血管の閉鎖であるが、それに使用されるシーラント材料は、優れた創傷シール、硬膜シール、癒着防止障壁などをもたらす。
【0009】
本発明の主な態様は、携帯性である。好適な一実施形態において、前記装置は動力源を内蔵し、外部電源もガス圧力源も不要である。当該装置は、内部電池または内部加圧ガス源を使用できる。
【0010】
あるいは、前記装置は外部電源またはガス源で動力を得ることができ、その場合、高圧ガス配管、電気ケーブル、またはその双方により外部源のガスまたは電力が供給される。前記動力源には、さらに調整機構、例えばガス源用の圧力調整器または電源用のレベル制御器が含まれる。前記調整機構は、予め設定でき、さらに利用者が調整できないようにでき、またはノブ、レバー、複数の位置を伴うスイッチ、または利用者が操作できる他の調整制御を有することができる。
【0011】
本発明の別の態様は、スプレー先端の吐出口ポートがシーリング化合物により目詰まりするのを防ぐことである。混合が必要なシーリング化合物は、一般に混合後、急速に固化する。複数成分からなる化合物は、個々のリザーバから別の指定混合領域へ別個に送達される2若しくはそれ以上の成分を混合して生成される。1若しくはそれ以上の高圧乱流ガスジェットを加えると必要な混合が得られ、前記シーリング化合物がシーラントとして確実かつ完全に機能できるようになる。
【0012】
成分を収容した個々のリザーバは、種々の方法で構成できる。その一例では、前記成分の1つ、例えばアルブミンの出口ポートが、別の化合物、例えばポリエチレングリコール(PEG)の出口ポート後方に配置されることにより、混合された材料が後方へ飛び散ってアルブミン経路に入り目詰まりまたは狭窄を生じることが防止される。代替構成では、ゲル化を減速させるpHレベルを保ちながら、諸成分がチャンバー内またはチューブ内で混合される。混合された成分は、システムの出口において迅速なゲル化を促進するpHまで緩衝される。中性pHでは、前記シーリング化合物が接着性になり、送達経路に目詰まりを生じるおそれがある。そのため、緩衝はまさに前記送達経路の出口で行われる。さらに別の構成では、流体、すなわち空気、水、緩衝液、または他の流体で成分流路を自動的に浄化し、各適用後、前記流路およびスプレーヘッドを通じて前記流体を強制的に流す。
【0013】
本発明の別の態様は、成分混合の簡易性改善である。上述のように、混合された成分は、ヒトアルブミンおよびポリエチレングリコール(PEG)を有することができる。アルブミンは、一般に、液体または溶液の最終状態で格納および運搬できる。ただし、有効期間を延長する便宜上、ポリエチレングリコール溶液は、一般に水(H
2O)および乾燥したポリエチレングリコール(PEG)を使って生成され、使用直前まで分離して保管される。水溶媒およびPEG架橋剤を利用者が混合する作業は、面倒で時間がかかる。アルブミン溶液は第1のシリンジ内にパッケージ化し、PEGおよび水は第2のシリンジ内にパッケージ化して、蒸気を通さない障壁により分離できる。初期の充填機能は、一定のシリンジ位置へ前記分離障壁が動くよう、前記水を含むシリンジを加圧する工程を有し、前記シリンジ位置は分路をさらに有し、この分路を通じて加圧された水が乾燥PEG粉末内へ注入される。前記PEG架橋剤と、水または溶媒とは、手作業による振盪で、または加圧水ジェットにより生じる撹拌で完全に混合される。
【0014】
また、PEGは粉末として1つのシリンジ内に格納され、水は別個のシリンジ内に格納される。システムの初期化は、この場合もジェットまたは撹拌による混合で、当該システムのシリンジに含まれる水をPEGシリンジへと引き込む工程を伴う。前記PEG水溶液に前方への圧力をかけると同時に前記アルブミン溶液にも前方への圧力をかけると、これら2つの最終成分は混合装置内に前進し、患者に適用するための調製が行われる。
【0015】
本発明の別の態様は、当該装置およびシステムの滅菌および使い捨て可能性である。本装置全体は、滅菌包装されて提供される。使用が完了したら、この装置全体が処分または廃棄される。あるいは、前記シリンジシステムは、滅菌状態および/または使い捨ての装置として提供されるが、前記アプリケータは再使用可能である。別の実施形態では、前記再使用可能なアプリケータは再使用可能であるが、滅菌可能でクリーニング(洗浄)可能である。滅菌は、ガンマ線照射、電子線照射、蒸気滅菌(オートクレーブ)、酸化エチレン滅菌などを使って行われる。
【0016】
本発明の別の態様は、その使用方法に関する。前記アセンブリの滅菌された構成要素は、その滅菌包装から引き出される。次いで再使用可能なアプリケータへと組み立てられる。前記電源は前記アプリケータに挿入され、満充電であることが確認される。ロックがリリースされ、前記シリンジが予め充填され、必要な混合が完了される。次に、シールすべき創傷領域に前記装置が向けられる。トリガーが作動され、前記シーリング化合物を前記システムの前部から標的組織へ向かって突出させるとともに、混合、エアロゾル化、および送達を目的としてガスジェットを噴出させる。そのスプレーパターンは、適切に画成された所定のものであることが好ましく、一般に、円錐体、扇形、または他の所定のパターン形状となる。指定された量、例えば2ccのシーリング化合物だけを創傷に適用可能にするインターロックを使用してもよい。前記インターロックを無効化、解除、または再配置すると、2ccの第2のシーリング化合物ボーラスを創傷に適用できる。追加での適用は、必要に応じて行える。インターロックの無効化は、別個の操作により、または単にトリガー機構をリリースしたのち再圧迫することにより行える。
【0017】
本発明には、前記シーリング化合物または癒着防止障壁を体内の創傷に送達する装置を含めることができる。前記装置の送達端部には、腹腔鏡下手術用シースまたはトロカール(トロッカー)が取り付けられる。当該装置は、遠端までが約10〜30cmと長く構成される。この遠端は、シーリング化合物成分のため複数の送達経路を別個に有するほか、エアロゾル化用の高圧ガスを送達する内腔または経路も有する。
【0018】
本明細書では、本発明を要約する便宜上、本発明の一定の態様、利点、および新規性のある特徴について説明している。このような利点は、必ずしもそのすべてが本発明の任意特定の実施形態に基づいて達成されるわけではないことを理解すべきである。そのため、例えば、当業者であれば、本明細書で開示する1つの利点または一群の利点を実現しながら、本明細書で開示または示唆する他の利点は必ずしも実現しない態様で、本発明が具体化または実施できることが理解できるであろう。
【0019】
以上に述べた本発明の目的および利点等は、以下の説明と添付の図面を参照することで、より明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、本発明の1若しくはそれ以上の一実施形態に基づき、創傷をシールする装置および方法について説明する。この好適な設計を完全に指定するため、シーリング材料の組成、ならびにシーリングカテーテルを留置済み導入シースに連結する装置など、種々の実施形態について詳細を具体的に記載する。ただし、これらの詳細事項は、本実施形態の例示目的でのみ提供するものであり、本発明の範囲を限定することを目的としたものではないことを理解すべきである。
【0022】
ポリエチレングリコール水溶液およびヒトアルブミンなどの成分から製作される生物医学的シーラントのゲル化特性は、いくつかの要因に依存する。シーラント溶液の最適なゲル化は、スプレー中に双方の流体が小さな液滴へと分散されて両流体の均一な混合スプレーが実現される場合、静的混合器を使用せずに達成される。混合およびスプレーの一種で、エアロゾルスプレーとして知られているものでは、非常に微小な液滴サイズおよび良好な混合が実現されるが、空気流および流体分注率が最適範囲内である必要がある。2成分または複数成分からなるシーラントをエアロゾルスプレーすると、成分混合および標的組織へのスプレー適用の双方を達成できる。シーラント分注率が所与のガス流量に対し高すぎると、流体の流れはスプレーにならず、混合が不十分でゲル化も不完全になり、材料適用範囲も不適切なものとなるおそれがある。前記シーラント成分は、指定された比で混合するよう調整でき、可能性としては1:1の体積比にできる。市販の混合ヘッドを使った場合の好適な流量は、ガスが12.5リットル/分のときシーラントが2.4cc/sec、ガスが11.4リットル/分のときシーラントが2cc/sec、そしてガスが10.0リットル/分のときシーラントが1.3cc/secなどであることがわかっている。所与のガス流量に対応するガス圧は、12.5リットル/分の場合20PSI、11.4リットル/分の場合18PSI、10リットル/分の場合15PSI、および8.5リットル/分の場合13PSIと調整できる。許容範囲内の混合が起こるのは、ガス流量が11.4リットル/分でシーラントが2.4cc/sec、ガス流量が10.0リットル/分でシーラントが1.6〜1.8cc/sec、ガス流量が8.5リットル/分でシーラントが1.3cc/secの場合である。シーラント送達率がより低い、例えば毎秒1/2ccの場合は、エアロゾルガス圧を12〜15PSIにすると許容範囲内のスプレー範囲が得られる。パラメータで表した場合、ガス流量(Xリットル/分)およびシーラント流量(Ycc/sec)の好適な関係は、Y(cc/sec)=0.44×X(l/分)−3.10と近似でき、許容範囲内の関係はほぼY(cc/sec)=0.39×X(l/分)−2.15となる。前記流量により、装置の目詰まりを伴わない適切なシーリングが可能になるという前提において、これらの流率は本発明の範囲内となる。
【0023】
本発明を全般的に説明すると、器具の近端とは当該器具の送達端をいい、器具の遠端とはそれと反対側の端部をいう。内腔とは、カテーテル内、チューブ内、または器具内の軸方向に細長い経路として説明できる。内腔は、器具の近端または遠端、あるいはその双方から出るか、または材料の流出または流入を防ぐよう密閉される。
【0024】
図1は、内蔵型の空気圧式エアロゾル・ディスペンサ・システム100の斜視図を示したものである。このシステム100は、本発明全体の例示的な概要を示したものであり、
図1に示し、この図を参照して説明する特徴は、適切であれば他の図の特徴との組み合わせが可能なことを理解すべきである。
【0025】
前記空気圧式エアロゾル分注システム100は、全体としてメインハウジング102およびハンドル104を有する。前記ハウジング102には、空気圧式シリンダー圧力調整器106(破線で示す)が含まれる。前記ハウジングは穿刺ヘッド108に固定されており、これにより好ましくはネジ式またはネジ状の態様で、前記ハンドル104が前記ハウジング102に取り付け可能になる。前記穿刺ヘッド108から取り外した前記ハンドル104は、ガスカートリッジ124を受容する開口上部104aを有し、前記ガスカートリッジ124は、そのネック側が当該ハンドル104の開口部に向かうように挿入される。前記ガスカートリッジ124上の膜124aは、前記ハンドル104およびハウジング102が嵌合されたとき、前記穿刺ヘッド108内の斜角を成した皮下注射シリンジ状の突出部140により穿刺される。
【0026】
さらに
図1を参照すると、当該システム100は、さらに、空気圧式シリンダー110と、トリガー112と、エアロゾル圧力配管118と、空気圧式シリンダー圧力配管120(破線で示す)とを有する。前記トリガー112は、前記メインハウジング102に連結され、その内部で動かすことができ、前記エアロゾル圧力配管118および前記空気圧式シリンダー圧力配管120に沿って動作可能に連結されているため、これらの圧力配管118および120を一時的に「オン」にすることができる。
【0027】
前記エアロゾル分注システム100は、さらに、エアロゾル圧力調整器122を有する。前記ガスカートリッジ124に穴を開ける前記突出部140は内腔142に連結されており、前記内腔142により前記エアロゾル圧力調整器122および前記空気圧式シリンダー圧力調整器106が連結される。前記エアロゾル圧力調整器122および前記空気圧式シリンダー圧力調整器106は、前記メインハウジング102内に収容される。前記エアロゾル圧力配管118は、その第1の端部118aで前記エアロゾル圧力調整器122に連結され、第2の端部118bでエアロゾル混合ヘッド116に連結される。前記空気圧式シリンダー圧力配管120は、その第1の端部120aで前記空気圧式シリンダー圧力調整器106に連結され、第2の端部120bで前記空気圧式シリンダー110の入口に連結される。前記メインハウジング102内にある選択的な圧力調整部136は、前記エアロゾル圧力調整器122および前記空気圧式シリンダー圧力調整器106に連結され、双方の調整器122および106の出口圧力を調整する。
【0028】
当該システム100は、前記メインハウジング102、エアロゾル混合ヘッド116、およびシリンジマニホールド130に永続的または着脱自在に取り付けられた1若しくはそれ以上のシリンジ外筒114を有する。前記マニホールド130は、前記個々のシリンジ外筒114を前記混合ヘッド116に連結する個々の内腔130aを有する。これらの内腔130aは、前記エアロゾル混合ヘッド116と連通したシリンジ吐出口131で収束する。
【0029】
当該システム100は、1若しくはそれ以上のシリンジプランジャー128を前記空気圧式シリンダー110に連結するプランジャー連結器126を有する。安全ロック132は前記メインハウジング102に固定されており、ロックノッチ134と相互作用して前記シリンジプランジャー128の動きを許可または阻止する。前記シリンジプランジャー128は、前記シリンジ外筒114内で軸方向にスライドしてシール(密閉部)を形成することにより、前記外筒114内に含まれる物質が前記シリンジプランジャー128の脇から漏出しないようにする(
図4も参照)。前記空気圧式シリンダー110は、前記メインハウジング102の外部に取り付けることが好ましい。前記プランジャー連結器126は、前記空気圧式シリンダー110の可動ロッド127および前記シリンジプランジャー128の後端129に永続的または着脱自在に連結される。
【0030】
前記空圧動力については、前記ガスカートリッジ124を使用する代わりに、外部加圧ガス源(図示せず)に通じたガス配管(図示せず)から得ることもできる。前記ガスカートリッジ124は、ペレットガン、ペイントボールガン、エアブラシなどに使用される標準的なタイプのものであってよい。一般的なガスカートリッジは、約5〜100グラムのガスを収容し、より好ましくは約10〜25グラムのガスを収容する。そのガスは、二酸化炭素、空気、窒素、アルゴン、一酸化二窒素、または別の不活性ガスであることが好ましい。通常、二酸化炭素は、850PSIを超える圧力下で周囲温度が華氏70度の場合、一部液相となる。そのため、二酸化炭素を使用する場合、その二酸化炭素カートリッジは、通常、860PSIの圧力下で気体および液体を含む。窒素および空気を充填したカートリッジは、圧力が1800PSI以上の市販のものを入手できる。前記圧力調整器122および106は、第一段階でガスカートリッジ124の高圧を中間圧力、例えば150PSIに引き下げたのち、第2段階で前記中間圧力を最終的な動作圧力に下げるよう設計でき、前記動作圧力は10〜20PSIの範囲であることが期待される。前記圧力調整部136は、逃がし部またはバイパスを伴った可変ベンチュリまたはニードル弁とできる。あるいは、この圧力調整部136を当該システムから排除し、圧力レベルを最適値に予め設定することもできる。その場合、圧力調整用に利用者が操作できる制御部はなくなり、特に重要性の低い用途またはコストを最低限に抑えることが必要かつ重要な用途に有用である。
【0031】
このように、前記エアロゾル・スプレー・ディスペンサまたは装置は、当該ディスペンサ内に含まれたガス圧力源を有し、当該ディスペンサ装置全体が携帯可能で、外部の電源またはガス供給源への接続は不要である。当該システム100は手持ち式であることが好ましく、前記トリガー112は、利用者の第二指(人差し指)で押し込んで動作させるよう構成される。このアセンブリ100全体は、人間工学に基づいており、軽量で把持および操作が容易である。
【0032】
図2は、電動エアロゾル・ディスペンサ・システム200の側面図を示したものである。このディスペンサ200の原理は、動力源および圧力構成が修正されている点を除き、前記ディスペンサ100と同様である。このエアロゾル分注システム200は、メインハウジング202およびハンドルまたは電池区画204を有する。前記ハウジング202は、空気シリンダー圧力調整器206(破線で示す)をさらに有する。前記メインハウジング202は、電池区画取り付け部208に嵌合し、これと電気的に通信可能である。前記ハンドルまたは電池区画204は、前記電池区画取り付け部208の上から螺合し、1つまたは複数の電池224を収容することが好ましい。前記ハンドル204の開口部204aは、前記電池224を受容して前記ハンドル204内の適切な電気接触および挿入をもたらす。
【0033】
また、当該システム200は、空気圧式シリンダー210と、トリガー212と、エアロゾル圧力配管218と、空気圧式シリンダー圧力配管220とを有する。前記トリガー212は、前記メインハウジング202に連結され、当該メインハウジング202内で軸方向に動かすことができる。
【0034】
前記電動エアロゾル分注システム200は、さらに、エアロゾル圧力調整器222(破線で示す)を有する。前記エアロゾル圧力調整器222および前記空気圧式シリンダー圧力調整器206は、前記メインハウジング202内に収容され、蓄圧器240のガス出口に連結される。また、当該システム200は、圧力調整部236および充電インジケータ242も有する。電力制御器244は、前記電池区画208に電気接続され、電動空気ポンプ238にも電気接続される。前記電池区画取り付け部208と前記電動空気ポンプ238との間の電気接続部間には、オン‐オフスイッチ(図示せず)を挿入することができる。前記蓄圧器240は、前記電動空気ポンプ238のガス出口に連結される。前記蓄圧器240は、前記メインハウジング202または前記電動空気ポンプ238に固定することができる。前記電力制御器244は、前記メインハウジング202内に収容されることが好ましい。
【0035】
1若しくはそれ以上のシリンジ外筒214は、前記メインハウジング202に着脱自在または永続的に取り付けられ、エアロゾル混合ヘッド216と流体連通している。吐出口231を有するシリンジマニホールド230は、前記マニホールド130(
図1)と同様、前記シリンジ外筒および前記エアロゾル混合ヘッド216に連結される。
【0036】
さらに
図2を参照すると、当該システムはプランジャー連結器226を有し、このプランジャー連結器226は、前記空気圧式シリンダー210の可動ロッド227およびシリンジプランジャー228の後端229に永続的または着脱自在に取り付けられる。前記メインハウジング202に固定された安全ロック232は、ロックノッチ234と相互作用して前記シリンジプランジャー228のうち1若しくはそれ以上の動きを許可または阻止する。前記シリンジプランジャー228はスライド可能に制約されており、前記シリンジ外筒214内で軸方向に動き、その内部の物質が前記シリンジプランジャー228の脇から漏出するのを防ぐ。
【0037】
前記空気圧式シリンダー210は、前記メインハウジング202の外部に取り付けられる。前記エアロゾル圧力配管218は、その第1の端部218aで前記エアロゾル圧力調整器222に連結され、第2の端部218bで前記エアロゾル混合ヘッド216に連結される。前記空気圧式シリンダー圧力配管220は、その第1の端部220aで前記空気圧式シリンダー圧力調整器206に連結され、第2の端部120bで前記空気圧式シリンダー210の入口に連結される。前記トリガー212は、前記エアロゾル圧力配管218および前記空気圧式シリンダー圧力配管220に沿って連結されており、これらの圧力配管218および220を一時的に「オン」にすることができる。前記圧力調整部236は、連動部制御パネル237が前記メインハウジング202上に露出した状態で当該メインハウジング202に連結され、前記エアロゾル圧力調整器222および前記空気圧式シリンダー圧力調整器206と連通して、双方の調整器222および206の出口圧力の調整を可能にする。前記充電インジケータ244は、前記メインハウジング202あるいは前記ハンドルまたは電池区画204のどちらかに固定され、前記電池224の正および負の端子に電気接続される。
【0038】
あるいは、前記電池224を使用する代わりに、外部電源(図示せず)に接続された電源コード(図示せず)から電力を得ることもできる。本発明では任意の電池構成が可能であるが、前記電池224は、1.5〜24ボルト範囲の直流電力を提供することが好ましく、3〜18ボルト範囲の直流電力を提供することがより好ましい。前記蓄圧器240は選択的なのものであるが、好適な一実施形態である。前記電動システム200の動作圧力範囲は、
図1に例示した前記空気圧式ディスペンサ100の動作圧力に関する指定範囲内である。前記圧力調整部236は、選択的なのものであり、調整可能なベンチュリまたは逃がし部を伴ったニードル弁のどちらか、あるいは前記電動空気ポンプ238のスピードを制御する電気容積制御部とすることができる。あるいは、多くの用途では、単一の送達率をもたらす単一の圧力調整部236で十分である。
【0039】
図3は、手動エアロゾル・ディスペンサ・システム300の側面図を示したものである。この手動エアロゾル分注システム300は、メインハウジング302と、ハンドルまたは空気ポンプ304と、空気圧式シリンダー圧力調整器306と、空気圧式シリンダー310と、トリガー312と、前記メインハウジング302の上部に永続的または着脱自在に取り付けられた1若しくはそれ以上のシリンジ外筒314と、エアロゾル混合ヘッド316と、エアロゾル圧力配管318と、空気圧式シリンダー圧力配管320とを有する。この手動エアロゾル分注システム300は、さらに、エアロゾル圧力調整器322と、ポンプレバー324と、プランジャー連結器326と、1若しくはそれ以上のシリンジプランジャー328と、シリンジマニホールド330と、安全ロック332と、ロックノッチ334と、圧力調整部336と、戻しバネ(リターンスプリング)338と、蓄圧器340と、圧力計342とを有する。
【0040】
さらに
図3を参照すると、前記メインハウジング302は、前記ハンドルまたは空気ポンプ304に固定されている。前記メインハウジング302の上部は、永続的または着脱自在に前記シリンジ外筒314に固定されている。前記トリガー312は、当該トリガーの少なくとも一部が前記メインハウジング302内で軸方向に動けるよう、固定および制約されている。前記ハンドルまたは空気ポンプ304には、空気ポンプ(図示せず)が含まれる。このハンドルまたは空気ポンプ304の出口308は、前記蓄圧器340の給気口301に連結される。前記蓄圧器340の排気口303は、前記メインハウジング302の給気口305に連結される。前記蓄圧器340は、前記メインハウジング302または前記ハンドルまたは空気ポンプ304に固定することができる。前記エアロゾル圧力調整器322および前記空気圧式シリンダー圧力調整器306は、前記メインハウジング302内に収容され、当該メインハウジング302の前記給気口305に連通する。前記ポンプレバー324は、任意の適切な連結構成により、前記ハンドルまたは空気ポンプ304内に収容された空気ポンプ機構(図示せず)に連結される。前記ポンプレバー324は、前記メインハウジング302または前記ハンドルまたは空気ポンプ304のどちらかに枢動可能に固定される。前記戻しバネ338は、前記ハンドルまたは空気ポンプ304と前記ポンプレバー324との間に固定される。
【0041】
前記安全ロック332は、前記シリンジプランジャー328のうち1若しくはそれ以上において前記ロックノッチ334と相互作用する。前記シリンジプランジャー328は、前記シリンジ外筒314内で軸方向にスライドし、その内部の物質が前記シリンジプランジャー328の脇から漏出するのを防ぐ。前記シリンジ外筒314は前記シリンジマニホールド330に連結され、前記シリンジマニホールド330は、前記エアロゾル混合ヘッド316と連通した吐出口331を有する。前記空気圧式シリンダー310は、前記メインハウジング302の外部に取り付けられる。前記エアロゾル圧力配管318は、その第1の端部318aで前記エアロゾル圧力調整器322の出口と流体連通し、第2の端部318bで前記エアロゾル混合ヘッド316の入口に連結される。前記空気圧式シリンダー圧力配管320は、その第1の端部320aで前記空気圧式シリンダー圧力調整器306の出口に連結され、第2の端部320bで前記空気圧式シリンダー310の入口に連結される。前記プランジャー連結器326は、前記空気圧式シリンダー310の可動ロッドおよび前記シリンジプランジャー328の後端に永続的または着脱自在に固定される。前記トリガー312は、前記エアロゾル圧力配管318および前記空気圧式シリンダー圧力配管320に沿って連結されており、これらの圧力配管318および320を一時的に「オン」にすることができる。前記圧力調整部336は、前記メインハウジング302に固定され、前記エアロゾル圧力調整器322および前記空気圧式シリンダー圧力調整器306と連通して、双方の調整器322および306の出口圧力の調整を可能にする。前記圧力計342は、前記メインハウジング202あるいは前記ハンドルまたは空気ポンプ304のどちらかに固定され、前記蓄圧器の340の排気口に可能性として電気的に接続される。
【0042】
さらに
図3を参照すると、前記システム300の動力は、前記ハンドルまたは空気ポンプ304へ向かって前記ポンプレバー324を繰り返し圧迫することにより生成される。前記ポンプレバー324は、前記戻しバネ338により前記ハンドルまたは空気ポンプ304から遠ざかるよう付勢されるため、これをリリースすると次のポンプサイクルの準備が整う。前記手動空気ポンプは、10〜500PSI範囲、好ましくは20〜200PSI範囲の空気圧を提供できる。好適な一実施形態において、前記蓄圧器340は、空気を格納し、圧力を蓄積して均一な圧力送達を可能にすることにより、前記トリガー312が押圧されたとき圧力が急低下しないよう設計されている。当該手動システム300の動作圧力範囲は、一般に、
図1に例示した前記空気圧式ディスペンサ100の動作圧力に関する指定範囲より低い。前記圧力調整部336は、選択的なものであり、調整可能なベンチュリまたは逃がし部を伴ったニードル弁のどちらかであり、利用者による調整機能なしで単一の送達率を提供する単一の圧力調整部とすることができる。
【0043】
あるいは、前記シリンダー310を使って力を生成するのではなく、可能性として一般的なラチェットまたは爪の構成により、前記シリンジプランジャーをレバー、例えば前記ポンプレバー324または前記トリガーで動かすこともできる。
【0044】
図4は、これまでの図の構成および実施形態と統合可能な単一のシリンジ混合システムを有するエアロゾル・ディスペンサ400の一部破断上面図を例示したものである。この手動エアロゾル分注システム400は、メインハウジング402と、混合シリンジ外筒406と、シリンジバイパス経路404と、セパレータプランジャー408と、空気圧式シリンダー410と、空気圧式シリンダープッシュロッド412と、1若しくはそれ以上の非混合シリンジ外筒414と、エアロゾル混合ヘッド416と、エアロゾル圧力配管418と、空気圧式シリンダー圧力配管420とを有する。このシステム400は、さらに、1若しくはそれ以上のシリンジプランジャーガスケット422と、プランジャー連結器426と、1若しくはそれ以上のシリンジプランジャー428と、シリンジマニホールド430と、圧力調整部436と、液体成分438と、乾燥成分440と、液体成分442と、1若しくはそれ以上の一方向逆止弁444と、連結されていないプランジャー446と、プランジャーアーム448とを有する。
【0045】
さらに
図4を参照すると、当該混合シリンジシステム400に好適な駆動システムは、
図1、2、または3について説明したものと同じである。前記混合シリンジ外筒406の前半分には前記乾燥成分440が充填され、後ろ半分には前記液体成分438が充填される。これらの2成分438および440は、前記セパレータプランジャー408により分離される。前記非混合シリンジ外筒414には、液体成分442が充填される。前記一方向逆止弁444は、前記非混合シリンジ外筒414および前記混合シリンジ外筒406の前部に固定され、空気が前記シリンジ外筒414および406内に逆流して前記成分440および442が早期に経時変化し、または損なわれないようにする。この一方向逆止弁444により、前記シリンジ外筒414および406から前記マニホールド430への流れは可能になるが、前記シリンジ外筒406および414への流体逆流は阻止され、凝固および目詰まりの可能性が最小限に抑えられる。さらに、追加弁、例えばストップコック(図示せず)を、前記シリンジ外筒414および406の吐出口、または当該シリンジ外筒414および406と前記エアロゾル混合ヘッド416との間に固定される前記シリンジマニホールド430の吐出口に加えることもできる。
【0046】
上述したように前記空気圧式シリンダー圧力配管420(破線で示す)内の空気圧で前記空気圧式シリンダー410が加圧されると、前記空気圧式シリンダープッシュロッド412は、前記プランジャー連結器426および前記シリンジプランジャー428を前記エアロゾル混合ヘッド416へ向かって強制的に移動させる。これにより、前記シリンジプランジャー428遠端の前記エラストマーガスケットが前記シリンジ外筒406および414の遠端または前部へ向かって動く。前記セパレータプランジャー408は、その近端が前記バイパス経路404の近端を通過するまで、前記混合シリンジ外筒406内を前進する。前記連結されていないプランジャー446は、前記液体成分442に対するシールとしてとどまり、前記プランジャーアーム448が当該連結されていないプランジャー446に接触した場合のみ動く。前記プランジャーアーム448が前記連結されていないプランジャー446を押し始めると、前記液体成分438は、前記バイパス経路404内の圧力により前記混合シリンジ外筒406の前部へ動かされ、そこで乾燥成分440と混合する。バイパス経路404をいくつか導入すると混合度を高められるが、受動的混合が生じない限り、当該システムを振盪して成分438および440を混合することもできる。前記混合された成分438および440は、この時点で水の1.0センチポアズ(cp)と実質的に同様な粘性を伴った液体である。
【0047】
圧力を加えると前記シリンジプランジャー428は前進し続け、前記混合された液体成分438および乾燥成分440が前記液体成分442とともに前記シリンジマニホールド430内へ排出され、前記液体成分442も水とほぼ同様な粘性を有することが好ましい。前記成分438+440および442は、前記エアロゾル混合ヘッド416内へ注入され、そこで、前記圧力配管118、218、および318について説明したように、前記エアロゾル混合ヘッド416に連結された前記エアロゾル圧力配管418で加圧された底部または側部からの高圧空気流内に噴出される。さらに、この高圧空気ジェットは前記成分を混合および霧化する上で役立ち、前記成分はスプレーパターンで送られ、好適なパターンは円錐体形状である。追加シールを使用すると製品の有効期間を延長することができ、追加弁でも同様である。さらに、デテント、ロック、およびラチェットを使用すると、前記シリンジプランジャー428の前進を制御でき、例えば前記バイパス経路404、その後容積1ccごとに指定された段階で前記プランジャー428を停止して、容積1ccの液体ボーラスの倍数分を各シリンジから分注することができる。前記圧力調整部436を使用すると、任意の特定の構成について必要に応じ、スプレーパターンおよび混合レベルを変更できる。
【0048】
図5は、複数シリンジ混合システムを有する代替エアロゾル・ディスペンサ500の上面図を示したものである。このシステム500は、
図4を参照して説明したように化合物を混合するよう動作するが、各成分は個別のシリンジ外筒に収容される。この複数シリンジ混合エアロゾル分注システム500は、メインハウジング502と、混合シリンジ外筒506と、格納シリンジ外筒504と、混合マニホールド508と、混合逆流逆止弁534と、空気圧式シリンダー510と、空気圧式シリンダープッシュロッド512と、1若しくはそれ以上の非混合シリンジ外筒514と、エアロゾル混合ヘッド516と、エアロゾル圧力配管518と、空気圧式シリンダー圧力配管520(破線で示す)とを有する。この手動エアロゾル分注システム500は、さらに、1若しくはそれ以上のシリンジプランジャーガスケット522と、プランジャー連結器526と、1若しくはそれ以上のシリンジプランジャー528と、シリンジマニホールド530と、圧力調整部536と、液体成分538と、乾燥成分540と、第2の液体成分542と、1若しくはそれ以上の順流一方向逆止弁544と、連結されていないプランジャー546と、プランジャーアーム548と、受動プランジャー550とを有する。
【0049】
前記連結されていないプランジャー546は、前記第2の液体成分542を前記非混合シリンジ外筒514内に保つ。前記混合シリンジ外筒506、前記格納シリンジ外筒504、および前記非混合シリンジ外筒514は、すべて内部を詳しく示すため一部破断図で示されている。前記プランジャーアーム548は、通常、前記連結されていないプランジャー546から切り離されており、これら2つが接触すると動く。前記プランジャーアーム548および前記シリンジプランジャー528は前記プランジャー連結器526に連結され、前記空気圧式シリンダープッシュロッド512および前記空気圧式シリンダー510により駆動され、調和して動く。所与の化学成分の送達体積に関するいかなる変更も、前記シリンジ外筒514および506のうち1若しくはそれ以上の直径を変更することにより行われる。
【0050】
前記プランジャー連結器526と、プランジャー528およびプランジャーアーム548の各々とは、初期、前記シリンジ外筒514および506内に指定体積の成分を提供する最も前方または遠位側の位置に設けられる。前記プランジャー連結器546は、前記成分を混合するため停止するまで、近位側へ引かれる。液体成分538は、前記格納シリンジ外筒504から、前記混合マニホールド508および混合逆止弁534を通じて、前記混合シリンジ外筒506内へ吸引され、そこで乾燥成分540と混合される。次いで前記空気圧式シリンダー圧力配管520が加圧され、前記空気圧式シリンダー510が前記空気圧式シリンダープッシュロッド、前記プランジャーアーム548、および前記プランジャー連結器526を遠位側へ後退させる。前記シリンジプランジャー548および前記プランジャーアーム528は、前記空気圧式シリンダー510にかかる圧力、当該空気圧式シリンダー510のピストン(図示せず)面積、および当該システムの摩擦により決まる率で前進する。前記2つの液体成分は、前記順流一方向逆止弁544経由で前記シリンジマニホールド530を通じ、前記エアロゾルヘッド516内へ強制的に排出され、そこで加圧ガスが前記エアロゾル圧力配管518を通じて注入されて、霧化され、あるいはスプレーおよび混合される。
【0051】
図6は、着脱自在な使い捨てシリンジヘッド608および再使用可能なディスペンサ632を有するエアロゾル・シーラント・アプリケータ600の側面図を示したものである。このシステム600は、
図1、2、および3に示したこれまでのシステムと同様に機能する。前記着脱自在な使い捨てシリンジヘッド608は、シリンジブラケット640と、取り付け用スロット629と、複数のシリンジプランジャー628と、複数のプランジャーフランジ646と、複数のシリンジ614と、シリンジマニホールド630と、エアロゾル混合ヘッド616と、エアロゾル・フィッティング(適合部)638とを有する。前記再使用可能なディスペンサ632は、メインハウジング602と、取り付け用プロング648と、エアロゾル圧力配管618と、エアロゾル圧力連結器642と、空気圧式シリンダー610と、空気圧式シリンダープッシュロッド644と、空気圧式シリンダー圧力配管620とを有する。前記再使用可能なディスペンサ632は、トリガー612と、圧力調整部636と、ガスカートリッジ624と、ハンドル604と、エアロゾル圧力調整器622と、1若しくはそれ以上のプランジャー連結器スロット650と、空気シリンダー圧力調整器606とをさらに有する。
【0052】
さらに
図6を参照すると、前記使い捨てシリンジヘッド608は、前記メインハウジング602および前記プランジャー連結器626に対し、容易で確実な取り付けおよび取り外しができるよう構成されている。すばやく連結できるフィッティング、例えば前記メインハウジング602に固定される前記取り付け用プロング648は、前記シリンジブラケット640に一体的に固定された前記取り付け用スロット629に挿入され、これにラッチするよう構成される。前記シリンジプランジャー628近端の前記フランジ646は、前記プランジャー626のスロット648内にスライドする。このプランジャー連結器は、前記プッシュロッド644の近端またはその付近に固定される。前記プッシュロッド644は、前記空気圧式シリンダー610内のピストン(図示せず)に固定され、差圧がかかった場合に動く。前記空気圧式シリンダー610は、前記メインハウジング602に取り付けられる。前記空気圧式シリンダー圧力配管620は、前記空気圧式シリンダー610の第1の端部に連結される。この実施形態では、逆動作する空気圧式シリンダー610が使用され、前記空気シリンダー圧力配管620は、当該空気圧式シリンダー610のハウジング近端に固定される。前記空気圧式シリンダー圧力配管620の他端は、前記空気シリンダー圧力調整器606の出口に連結される。前記エアロゾル圧力配管618は、その第1の端部618aで前記エアロゾル圧力調整器222に連結され、第2の端部618bで前記エアロゾル圧力連結器642に連結される。前記エアロゾル圧力連結器642は、前記エアロゾル・フィッティング638とともにシール(密閉部)を形成する、すばやく連結できるコネクタであり、前記エアロゾル・フィッティング638は、前記エアロゾル混合ヘッド616に固定され、動作可能に連結される。前記シリンジ614は、サイズが0.25cc〜60cc範囲の標準的なシリンジであるか、または凍結乾燥用シリンジ、混合シリンジなどであることが好ましい。
【0053】
前記エアロゾル圧力調整器622および前記空気シリンダー圧力調整器606は、同じ装置としても、または別個の装置としてもよい。これらは共通の圧力源を有してよく、または2段階の圧力調整器として動作してもよく、その場合、例えば前記エアロゾル圧力調整器622はその第1段階として機能し、圧力を例えば30PSIまで低下させる。そして、前記空気圧式シリンダー圧力調整器606は、第2段階として機能し、例えば30PSIから12PSIに圧力を低下させる。前記圧力調整部636は、隔膜(ダイヤフラム)上のバネ荷重を制御し、前記調整器の622および606の一方または双方のニードル弁を調整することができる。そのような圧力値は直径5/16インチの空気圧式シリンダーに適しているが、より大きな直径の空気圧式シリンダーの場合、より低圧でも動作可能である。前記圧力調整部636の制御面は、前記メインハウジング602の外部に取り付けられる。前記メインハウジング602および前記空気調整器622および606は、例えばABS、ポリオレフィン、PVC、ポリスルホン、ポリアミドなどを含むポリマーで製作できるが、これに限定されるものではなく、あるいは金属でも製作できる。バネ装置は、バネ用金属、例えばステンレス鋼304、ニッケルコバルト合金、チタン、ニチノールなどで製作できるが、これに限定されるものではない。
【0054】
前記調整器606、622は、前記メインハウジング602内に固定されることが好ましいが、当該メインハウジング602の外部または前記ハンドル604周囲に固定することもできる。前記トリガー612は、前記調整器606および622の入口または出口配管内の弁に動作可能に連結され、当該トリガー612を押し込むと前記弁が一時的に開いて前記エアロゾルアプリケータが動作するようにする。前記トリガー612は、前記メインハウジング602内または前記ハンドル604内で軸方向に動くよう固定される。このトリガーは、手の力を抜くと「オフ」位置に回復するバネ復帰(スプリングリターン)(図示せず)を有することができる。前記取り付け用プロング648を前記取り付け用スロット628にスナップ結合させると、前記プランジャー連結器626の前記スロット650内に前記シリンジフランジ646が自動的に位置合わせおよび連結されるとともに、前記エアロゾルフィッティング638が前記エアロゾル圧力連結器642にスナップ結合し、シールを形成する。これにより、前記使い捨てシリンジアセンブリ608を単一または二重の障壁を伴う滅菌包装で滅菌状態に保つことができ、開封後は前記エアロゾルスプレー装置632にスナップ結合されできる。
図1および前記ガスカートリッジ124について説明したように、前記ガスカートリッジ624(破線で示す)は前記ハンドル604内に収納される。別の実施形態では、前記空気圧式シリンダー610が油(水)圧式シリンダーおよび油(水)圧作動液源(図示せず)で置き換えられ、前記油圧作動液源は、前記空気圧式シリンダー圧力調整器606のガス吐出口から加圧される。このアセンブリ600全体は、滅菌アセンブリとして供給できる。考えられる滅菌工程の例としては、蒸気滅菌、酸化エチレン滅菌、電子線滅菌、またはコバルトなどの線源によるガンマ線照射がある。このアセンブリ600は、Tyvek(登録商標)でふたをしたPETGトレイ内に包装でき、さらに選択的に第2のパウチをトレイにかぶせ、密閉して封入できる。これと同じ包装は、別途または1つの包装で、前記使い捨てシリンジアセンブリ608にも使用できる。
【0055】
図7は、デュアル・タンク・システムを有し、別個の空気圧式シリンダーを伴わない空気圧駆動エアロゾル・ディスペンサ700の上面図を示したものである。このエアロゾル・ディスペンサ700は、本体702と、前記本体702内の複数のスロット704と、複数の連結されていないシリンジプランジャー708と、一部破断図で示した複数のシリンジ外筒714と、混合ヘッド716と、エアロゾルスプレー先端720と、複数のシリンジ加圧容積722と、シリンジマニホールド730と、シーリング化合物成分のボーラス738と、圧力調整部736と、シーリング化合物成分のボーラス742と、複数の一方向逆止弁744と、複数のシリンジ外筒端部シール750と、シリンジ外筒加圧マニホールド752と、複数のシリンジ外筒入口ポート754と、エアロゾル圧力配管756とを有する。
【0056】
前記本体702はスロット704を有し、これらのスロット704は前記本体702と一体的であり、または別個の外部構造、例えばクリップ、ブラケット、またはクランプにより作製されて当該本体に固定される。前記シリンジ外筒714は、この実施形態において2つ使用され、前記2つの液体成分738および742を含む。前記連結されていないシリンジプランジャー708は、前記シリンジ外筒714の内腔に常駐し、前記液体成分738および742を空気または他の混入物質から分離する。前記一方向逆止弁744は、前記シリンジマニホールド730と前記シリンジ外筒714との間の配管内で連結され、前記シリンジ外筒714に混入物質が逆流しないようにする。前記シリンジマニホールド730の吐出口731は、前記混合ヘッド716の注入口732に連結される。前記エアロゾルスプレーヘッド720は前記混合ヘッド716に取り付けられ、前記混合ヘッド716は、前記エアロゾル圧力配管756にも連結される。前記エアロゾル圧力配管756は、これまでの図面および実施形態について説明したように、加圧ガス源(図示せず)に連結される。前記シリンジ外筒端部シール750は、各シリンジ外筒714に1つずつ使用され、各シリンジ外筒端714の近端で固定されて、当該シリンジ外筒端714に流体が出入りしないようにする。前記シリンジ圧力導入口配管752は、その一端で前記シリンジ外筒入口ポート754に連結され、他端では、これまでの図面および実施形態に関する説明と同様、空気ポンプ、空気圧式圧力調整器、空気圧式空気源、油圧作動液供給源などに連結されされる。
【0057】
前記加圧領域722内でガスまたは流体の圧力が上がると、前記連結されていないシリンジプランジャー708が遠位側へ動いて前記シリンジ外筒714遠端の別個の経路を通じて前記成分738および742を個別に押し出す。次に、前記2つの成分738および740は、前記別個の一方向逆止弁744を通じ、前記マニホールド730の別個の経路を通過して前記エアロゾル混合ヘッド716内へ押し出され、そこで前記エアロゾル混合ヘッド716空間内へ噴出されて前記エアロゾル圧力配管756から噴入する空気と混合される。当該ディスペンサ700の閉鎖空間内では、前記成分が前記混合ヘッド716に入るまで混合は起こらないため、前記成分738および742の混合、ゲル化、および当該システムの目詰まりが起こる可能性が最小限に抑えられる。前記連結されていないシリンジプランジャー708は、前記シリンジ外筒714の内壁に対しシールを形成し当該シリンジ外筒714内で軸方向に動くよう構成される。前記プランジャー708は、良好なシールをもたらすよう、非透過性で少なくともわずかなエラストマー弾性を伴うポリマー材料で製作されることが好ましい。前記プランジャー708の外周は、前記シリンジ外筒714に対するシールを強化するため、円周に沿って複数の山と谷を有することができる。このプランジャー708の長さは、少なくともその直径と同じ長さであることが好ましく、前記直径の1.5〜2倍であることが好ましい。圧力下での動きを改善するため、円錐形の遠端を有するよう前記プランジャー708を構成すると有利である。この構成により、
図1に示した実施形態から空気圧式シリンダー、例えば前記空気圧式シリンダー110を排除することが可能になっている。油圧作動液または液体を使用すると、空気圧作動液と比べてシステムの性能が改善できるが、これは油圧作動液に圧縮性がなく、特定体積だけ油圧作動液が移動すると前記シリンジプランジャー708内で正の変位が生じるためである。
【0058】
図8は、腹腔鏡下手術用トロカール(トロッカー)またはシース852に挿通されるようなっているエアロゾル・ディスペンサ・システム800の側面図を示したものである。この腹腔鏡下手術用エアロゾル・ディスペンサ・システム800は、本体802と、ハンドル804と、空気圧式シリンダー810と、トリガー812と、複数のシリンジ外筒814と、エアロゾルスプレー先端816と、エアロゾル圧力配管818と、圧力調整器822と、シリンジプランジャー連結器826と、複数のシリンジプランジャー828と、シリンジマニホールド830と、圧力調整部836と、複数の一方向逆止弁844と、腹腔鏡下手術用シースシール850と、腹腔鏡下手術用シース852と、複数のマニホールド延長配管854と、腹腔鏡下手術用シースハブ856とを有する。
【0059】
前記エアロゾル・ディスペンサ・システム800は、患者(図示せず)に使用するよう構成され、シースまたはトロカールとして一般に知られる腹腔鏡下アクセス装置を通じて体内にシーラント化合物を送達する。
図8を参照すると、前記エアロゾルスプレー先端816は前記シリンジマニホールド830に固定され、前記シリンジマニホールド830は、前記マニホールド延長配管854に連結されている。前記マニホールド延長配管854は、各々の近端で前記シリンジ外筒814の吐出口に連結される。一方向逆止弁844は、前記シリンジ外筒814の吐出口815と前記エアロゾルスプレー先端816との間の配管のいずれかの位置に連結される。前記エアロゾル圧力配管818は、前記マニホールド延長配管854に平行で、可能な限りその付近に位置して、当該アセンブリを包含するため必要なシース管852全体の直径を最小限に抑えることが好ましい。この実施形態では、前記マニホールド延長配管854を2つ有し、同様に、互いに最低限の間隔として、前記シース管852の直径を最小限に抑えている。前記シース管852の内径は、3mm〜20mmの範囲にでき、好適な範囲は8mm〜15mmである。前記シース管852およびシースハブ856の長さは5cm〜40cmの範囲で、好適な範囲は8cm〜20cmである。前記腹腔鏡下手術用シースシール850は、前記マニホールド延長配管852およびエアロゾル圧力配管818に固定される。前記腹腔鏡下手術用シースシール850は、前記腹腔鏡下手術用シースハブ856に対し若しくはその内部で可逆的または着脱自在にシールされると、当該シースシール850の近位における流体、液体、およびガスの漏れを防ぐ。当該アセンブリは、さらに、内視鏡、ビデオカメラ、照明光源など(すべて図示せず)を有することができる。
【0060】
前記エアロゾルスプレー・ディスペンサ800の他の構成要素は、使用中、前記シースシール850の近位に位置し、前記腹腔鏡下手術用シースおよび患者の外部に設置される。このエアロゾルスプレー・ディスペンサ800は、
図1で説明したように空気圧式作動部を使用しても、
図2または3で説明した前記構成要素の一部または全部を使用しても、あるいはこれらのいずれかのハイブリッドであってもよい。別の実施形態では、前記空気圧式シリンダー810を油圧式シリンダーで置き換えることができ、その構成は、前記空気圧式シリンダー810とほぼ同一のものになる。前記油圧式シリンダーは、ガスの代わりに、油、水などの液体で加圧される。その加圧作動液源は、別のシリンダー、リザーバ、またはタンク(図示せず)であってよい。前記油圧作動液は、正圧ポンプまたは容積移送式ポンプを使って前記油圧式シリンダー内にポンプで送られ、または単に空気圧に露出してこの制御された所定圧力の影響下で流れる。窒素、二酸化炭素、空気、ヘリウムなどを含み、かつこれらに限定されないガスで駆動される圧縮性の空気圧式システムと比べ、油圧作動液は非圧縮性で容積式システムのように作用するため、前記油圧式システムは、一貫性の点で空気圧式システムに対し利点を有することができる。さらに、別の実施形態では、前記システムをカスタマイズして、腹腔鏡下手術用シース経由ではなくカテーテル経由で材料を送達するようにできる。そのカテーテルベースのシステムでは、可撓性のエアロゾル圧力配管818および可撓性のマニホールド延長配管854を使用する必要がある。
【0061】
図9は、エアロゾル・ディスペンサ900の上面図を例示したもので、このエアロゾル・ディスペンサ900は、その遠端954を出る前のシーラント成分を予め混合する装置を有し、噴霧直前には緩衝液が加えられる。このエアロゾル・ディスペンサ900は、メインハウジング902と、緩衝液シリンジ外筒904と、第1成分シリンジ外筒906と、第2成分シリンジ外筒914と、空気圧式シリンダー(図示せず)と、空気圧式シリンダープッシュロッド912と、エアロゾルスプレーヘッド916と、複数のシリンジプランジャーガスケット922と、複数のシリンジプランジャー928と、シリンジマニホールド930と、選択的な圧力調整部936と、緩衝液938と、液体シーラント成分940と、液体シーラント成分942と、複数の一方向逆止弁944と、混合チャンバー950と、エアロゾル圧力配管952とを有する。
【0062】
前記緩衝液938は、トリス、リン酸塩、重炭酸塩などを含み、かつこれらに限定されない材料から選択できる。前記液体シーラント成分940および成分942は、10分間(600秒間)台若しくはそれ以上の非常に長いゲル化時間が得られるpH7.0前後で選択的に格納される。それらが前記マニホールド930を通じて射出され、前記混合チャンバー950で混合される場合、ゲル化時間を5秒台まで加速する前記緩衝液938を注入すると有益であり、前記ゲル化加速はpH8.5〜9.0前後で生じる。3若しくはそれ以上のシーラントボーラスを当該ディスペンサ900から出射する合計使用時間が延長されたゲル化時間より短い場合、前記混合チャンバー950およびエアロゾルスプレーヘッド916は、目詰まりまたは閉塞を生じない。前記緩衝液938の射出は、前記混合チャンバー950の近端950aで起こるか、当該混合チャンバー950の遠端950bで起こるか、または当該混合チャンバー950の前記近端950aおよび前記遠端950bの中間のいずれかの位置で起こるようにできる。全体的なゲル化時間は、3若しくはそれ以上のシーラントボーラスを、前記混合チャンバー950内またはエアロゾルスプレーヘッド916内でゲル化させずに分注できるよう設定する必要がある。前記混合チャンバー950は、2つまたは3つの別個材料を側方の別化学物質の流路へ動かして混合度を高めるステータまたは混合羽根を有することができる。
【0063】
各成分の比率は、前記シリンジプランジャーを個別に前進させて個々に若しくは比例させて制御することにより、有利に変更できる。別個に比率を制御する目的は、使用目的に適し、それに合わせてカスタマイズされた種々の特性、例えばゲル化時間、ゲル強度、または分解率を有したヒドロゲルを、同じディスペンサおよび成分により送達することにある。当該システムは、単純な記述、例えば「高速ゲル化時間」、「低速ゲル化時間」、「1週間分解」、「癒着防止障壁」、「肺シーラント」などに基づいて個々の送達率を設定する制御ダイヤルを有することができる。そのような構成では、連結されていないシリンジプランジャーを別個のスピードで前進させることにより、送達される緩衝液またはシーラント成分の量を調整することができる。これを達成するには、連結されていないシリンジプランジャー、またはそれらの連結されていない別個の空気圧式シリンダー駆動モーターなどに種々の圧力をかける。さらに別の構成では、駆動用の空気圧式シリンダー、モーター、ポンプなどをさらに一体的に連結しながら、相対スピードを変更する制御可能なギアボックスおよびギアを付けて種々のスピードで動くようにできる。2つの成分および1つの緩衝液に利用可能な性能の組み合わせには一定の制限が適用されるが、水を充填した別のシリンジ、すなわち第4のシリンジを追加すると、より広い範囲の性能特徴を提供でき、有利である。また、送達される緩衝液の量は、前記シーリング化合物940および942をそれぞれ送達する前記シリンジ外筒906および914と、前記緩衝液シリンジ外筒904との相対直径を変更することにより調整できる。
【0064】
再び
図4を参照すると、1つのシリンジ外筒406は、粉末状にされ、かつ凍結乾燥されたPEG 438を有し、これらはセパレータプランジャー408により分離され、バイパス経路404により選択的に連結される。他のシリンジ外筒414には、緩衝液442が充填される。タンパク質成分、例えばアルブミン溶液などは、分解を回避するため7.0pH前後で格納したのち、分注直前にpHを上昇させると有益である。
【0065】
あるいは、前記シリンジ外筒406に、粉末状に凍結乾燥されたPEG 438と、水または適切な希釈剤440とが充填され、これらはこの場合もセパレータプランジャー408により分離される。この構成では、前記他のシリンジ414にアルブミン442が充填される。前記プランジャー連結器426を前進させると、前記セパレータプランジャー408が前記バイパス経路404の近端を越えて押し出され、前記アルブミンまたは希釈剤440が前方へ流れて前記粉末状PEG 438と混合可能になる。
【0066】
前記シーリング化合物成分アルブミンおよびPEG4−SGは、第一級アミン(リシン基)およびカルボニル(グルタリル基)の求核置換反応により架橋結合する。アルブミンには、4アームPEG溶液の各アームにあるカルボニル基と容易に反応するアミノ基(アミン)が多数含まれる。架橋結合反応率は、溶液のpHに依存する。このため、アルブミンについては、望ましいゲル化時間およびゲル強度をもたらすpHレベルまで緩衝することが好ましい。アミンは、pHが高まるとより反応しやすくなる。架橋結合は、アルブミンのバルクに典型的なpHレベル(pH=6.8〜7.2)において非常に緩慢であるが、完全に停止するわけではない。一実施形態では、90ミリモルのトリスおよび約20ミリモルの炭酸ナトリウムの緩衝液がアルブミンに加えられる。アルブミンにはバッチごとの変動があるため、最終的なpHに達するまで炭酸塩で滴定する必要がある。この緩衝液は、動脈閉鎖に必要なゲル化時間およびゲル強度をもたらすよう選択される。他の緩衝液は他の実施形態で使用でき、若干異なるゲル化時間およびゲル強度が得られる。
【0067】
緩衝液を選択する際に考慮すべき要因としては、その緩衝液が望ましいpHを保つ能力、最終的な化合物および送達システムとの適合性、製品の安全性、安定性、コスト、緩衝能、および緩衝強度などがある。また、前記緩衝液は、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、およびCHESであってよい。考慮すべき別の要因は、スプレー中に緩衝する1つまたは複数の成分に当該緩衝液が混合する能力である。この能力は、シーリング化合物溶液の緩衝の動態(反応速度)により一部決定される。各緩衝液は、溶液のpHをシフトさせるのに必要な時間が異なる。
【0068】
図10は、エアロゾル・ディスペンサ1000の上面一部破断図を例示したもので、このエアロゾル・ディスペンサ1000は、そのシリンジ外筒の1つに含まれるシーラント成分を予め混合する装置を有し、噴霧直前に緩衝液が加えられる。このエアロゾル・ディスペンサ1000は、メインハウジング1002と、混合シリンジ外筒1006と、エアロゾルスプレーヘッド1016と、複数のシリンジプランジャーガスケット1022と、1028と、シリンジプランジャー連結器1026と、複数のシリンジプランジャー1028と、シリンジマニホールド1030と、緩衝液1038と、緩衝液シリンジ外筒1042と、乾燥シーラント成分A 1062と、液体シーラント成分B 1064と、複数の一方向逆止弁1044と、混合チャンバー1050と、エアロゾル圧力配管1052とを有する。前記混合シリンジ外筒1006は、バイパス経路1060および連結されていないプランジャーシール1066をさらに有する。
【0069】
図10を参照すると、前記混合シリンジ外筒1006は、前記連結されていないプランジャーシール1066により2つのチャンバーに分割されている。前記連結されていないプランジャーシール1066は、前記混合シリンジ外筒214内で軸方向に動くよう制約される。この連結されていないプランジャーシール1066は、初期、前記バイパス経路1060の近位に位置して前記乾燥シーラント成分1062を前記液体シーラント成分1064から完全に分離する。前記乾燥シーラント成分1062は、例えばポリエチレングリコール(PEG)とでき、前記液体シーラント成分1064は、アルブミン水溶液とできる。前記液体シーラント成分1064は、他の実施形態で使用される前記乾燥シーラント成分A 1062に予め混合される通常水の差を補えるよう付加的な水を有利に有することができる。前記シリンジプランジャー連結器1026を遠位側へ前進させると、前記シリンジプランジャー1028および前記シリンジプランジャーガスケット1022が遠位側へ前進し、前記液体シーラント成分1064を収容する前記チャンバーが加圧されて前記連結されていないプランジャーシール1066を遠位側へ動かし、これにより前記バイパス経路1060が前記液体シーラント成分1064に露出し、当該液体シーラント成分1064が前記バイパス経路1060へと流れて前記乾燥シーラント成分A 1062と混合できるようになる。さらに、前記プランジャー連結器1026が遠位側へ前進すると、前記緩衝液1038と、前記混合された成分1062および1064とが、前記一方向弁1044を通じて推進され、前記マニホールド1030経由で前記混合ヘッド1050に入り、そこで前記成分1062および1064が前記緩衝液1038と混合される。前記緩衝液1038には水または他の溶剤も含まれるため、結果として生じるシーラント化合物の総量について、前記緩衝液1038に加えられる水の量を考慮する必要がある。前記混合および緩衝されたシーラントは、前記エアロゾルヘッド1016内へ排出され、前記エアロゾルヘッド1016から遠位側の空間へ排出される前に、前記エアロゾル圧力フィッティング1052経由で入ってくる高圧ガスと混合される。あるいは前記プランジャー連結器1026を省略することもでき、その場合、各前記プランジャー1028および前記プランジャーガスケット1022は、混合パラメータを制御して最大限に伸ばすよう異なる率で進められる。前記シリンジプランジャー連結器1026は、空気圧力、油(水)圧力、電磁力、または手の力で前進または後退させることができる。
【0070】
前記乾燥シーラント成分1062は、保管中、不活性ガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどガスで加圧して酸化を防止または遅延し、有効期間を延長することができる。この加圧は、5PSI未満と比較的低レベルに設定して、遠位側で前記プランジャー1028が動くことにより作用する圧力で克服しやすくすることが好ましい。前記連結されていないプランジャーシール1066は、シリコーンエラストマー、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレンプロピレン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマーなどで製作される。これは、シールを強化するよう外周に沿って設けられたリブ、山(ピーク)、および谷を伴って構成されることが好ましく、さらに、例えば本段落で上述した不活性ガスにより、遠位側面に正の圧力がかかると放射方向の拡張を生じるよう遠位側面に中央中空領域を有することができる。前記連結されていないプランジャーシール1066は、さらに、金属箔、シリコーンなどのポリマーコーティング、ガラスなどで近位表面、遠位表面、またはその双方をコーティングすることにより、当該プランジャーシール1066からの材料拡散を最小限に抑えることができる。前記混合シリンジ外筒1006は、前記連結されていないプランジャーの位置に近接した領域で、より小さい内径を有してよく、このため、前記連結されていないプランジャーを加圧しても、2つの内径間の推移ゾーンから近位側へ押し込めないようにできる。前記シリンジプランジャーガスケット1022は、完全にシールしなくともよく、前記混合シリンジ外筒1006の内径が増す遠位側の部分へと進められた後も、放射方向へ高レベルで拡張してシールを維持するよう構成される。この高レベルの拡張は、折り畳まれた外周上のリブまたはデュロメータでの弾性値が非常に低い材料、あるいはその双方を使って達成できる。
【0071】
前記シリンジマニホールド1030、前記一方向逆止弁1044、および前記混合チャンバー1050は、低pH材料、すなわち酸性の材料でコーティングできる。表面が酸性であると、前記ディスペンサ1000の内腔において前記シーリング化合物が混合される間、そのゲル化を防ぐ一助となる。当該装置1000の目詰まりを防ぐさらに別の措置としては、前記シリンジプランジャー1028の前方または遠位側への動きが停止した後、ガス、水、アルコール、または他の物質のボーラスを提供して、前記マニホールド1030および前記混合チャンバー1050の内容物を押し出すなどがある。そのような材料のボーラスは、利用者が意識的に浄化手順を行わなずにすむよう、自動的に分注されることが好ましい。エアロゾルまたは空気圧で駆動される前記システムでは、前記トリガーがリリースされた後に前記配管を浄化する上で十分なガスを利用可能にできる。前記一方向逆止弁1044の代わりにボールバルブまたはストップコックを使うこともでき、それらのボールバルブは、手動で操作し、またはモーター、空気圧、油(水)圧、または電気ソレノイドで駆動することができる。一部の実施形態では、2010年4月5日付で出願された米国仮特許出願第61/320,909号「SYSTEMS, DEVICES, METHODS FOR DELIVERING HYDROGEL COMPOSITIONS WITH SELF−PURGING TO PREVENT CLOGGING」(ヒドロゲル組成物を送達し、目詰まりを防ぐ自己パージ式のシステム、装置、方法)に開示されている自己パージ装置を、前記装置に導入することもでき、前記開示内容はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
図11は、代替エアロゾル先端の構成を例示したものであり、この場合、タンパク質成分の経路出口が架橋結合成分の経路出口より近位側に配置されている。このエアロゾル先端構成1100は、タンパク質成分経路1102と、架橋結合成分経路1104と、エアロゾル経路1106と、タンパク質成分経路終端1108と、架橋結合経路終端1110と、エアロゾル経路終端1112と、支持構造1114とを有する。前記タンパク質成分経路1102は、軸方向に細長い金属またはポリマー製のチューブであってよく、その外径および内径が当該チューブ内腔の外壁を画成する。前記架橋結合成分経路1104は、軸方向に細長い金属またはポリマー製のチューブを有し、その外径および内径が、架橋結合成分の流れる内腔の外壁を画成する。前記エアロゾル経路1106は、軸方向に細長い金属またはポリマー製のチューブを有し、その外径および内径は、エアロゾル効果を生じる高圧ガスが流れる内腔の外壁を画成する。前記タンパク質成分経路1102は、前記架橋結合成分経路1104の終端または出口1110と比べて近位側に配置された遠端または出口1108を有する。この領域は、上記の図面および実施形態について説明した前記混合ヘッドと同様、混合領域1116を形成する。このように、本発明の混合領域または混合ヘッドは、送達装置全般に目詰まりまたは凝固を生じない混合領域をもたらす任意の領域または構造を含むものとして広義に読み取るべきである。前記2つの経路終端1108および1110の間の相対距離は、1〜10mmであり、好適な範囲は2〜7mmである。この構成では、前記タンパク質成分経路1102の内腔から離れた空間で前記架橋結合成分が前記タンパク質と混合されるため、架橋結合したタンパク質の跳ね返りまたは逆流を前記たんぱく質成分経路1102が受けて内腔が目詰まりすることはない。
【0073】
さらに、前記タンパク質が前記架橋結合流体に接触して希釈されるため、ゲル化された化合物が当該送達システム内で目詰まりを生じる傾向は軽減される。小さい体積のタンパク質が大きい体積の架橋剤と混合すると、それと同じ体積の架橋剤がそれより大きい体積のタンパク質と混合された場合と比べ、ゲル化傾向が低下する。前記タンパク質のボーラスは、水で希釈して正しい体積比を達成できる。例えば、PEG対アルブミンの比が10:1の場合、その化合物の初期完全性およびゲル化傾向は、PEG対アルブミンの比が1:10の場合より低い。前記経路1104を通過する架橋剤の流れにより、この経路は、目詰まりまたは閉塞が生じない状態に保たれる。前記エアロゾル経路終端1112は、前記タンパク質成分経路終端1108より近位側または遠位側に配置されるが、
図11に例示したように前記タンパク質成分経路終端1108より近位側に位置することが好ましい。前記支持構造1114は、一般にポリマーであるが金属にしてもよく、前記経路1102、1104、および1106を支持し、ポリマーであってよいが、前記経路は、射出成形、機械加工などによる前記ポリマー支持構造1114で一体的に形成できる。
【0074】
図12は、複数成分からなるゲル用のスプレーアプリケータ1200を例示したもので、このアプリケータ1200は、配管およびスプレーヘッド浄化手段を有する。当該スプレーアプリケータ1200は、キャリアハウジング1202と、キャリア後部プレート1204と、プランジャー連結器1206と、バネプレート(スプリングプレート)1208と、スプレーヘッド1210と、ハンドル1212と、トリガー1214と、ラチェットロック1216と、ラチェットロッド1218であって、複数のラチェットロッド歯1244をさらに有するラチェットロッド1218と、複数の成分シリンジ1220であって、成分シリンジプランジャー1254をさらに有する複数の成分のシリンジ1220と、プランジャーバネ(プランジャースプリング)1222と、ロックバネ(ロックスプリング)1224と、弁バネ(バルブスプリング)1226と、複数の一方向弁1228と、マニホールド1230と、ラチェットホイール(爪車)1232であって、複数のラチェットホイール歯1242をさらに有するラチェットホイール(爪車)1232と、フラッシュ弁1234と、弁入口配管1236と、弁出口配管1238と、フラッシュシリンジ1240であって、フラッシュシリンジプランジャー1256をさらに有するフラッシュシリンジ1240と、フラッシュ液1248と、複数のゲル成分1250と、シリンジキャリア溝1252と、軸1246を有する。
【0075】
図12を参照すると、前記キャリアハウジング1202は、前記シリンジ1220 1240を当該ハウジング1202に収容するクリップであり、前記ハンドルは、当該ハンドル1212に永続的または着脱可能に固定されている。前記キャリアハウジング1202は、軸方向および側方向のシリンジの動きを制限するよう、前記シリンジ1240および1220を取り囲んでいる。前記キャリア後部プレート1204は、前記キャリアハウジング1202と一体化でき、または別個にして接合部、連結部(コネクタ)などで固定できる。前記キャリア後部プレート1204が前記キャリアハウジング1202と一体的な場合、前記シリンジ1220は上部から挿入され、前記溝1252は、各前記シリンジ外筒1220および1240後部のフランジが前記溝1252に嵌って軸方向の動きが制限されるよう、前記キャリアハウジング1202およびキャリア後部プレート1204を分離する。前記シリンジ1220および1240は、前記フランジが前記溝1252に嵌合するよう上部または他の側方向から挿入でき、または前記シリンジ1220および1240は、前記キャリアハウジング1202と、ネジ、クイックコネクタ、クリップなどなどのコネクタで取り付けられる前記キャリア後部プレート1204との後部から挿入できる。前記プランジャー連結器1206は、前記成分シリンジプランジャー1254後部の溝にフランジを嵌着させて、前記プランジャー連結器1206の前後方向の動きにより前記成分シリンジプランジャー1254が軸方向に動くようにする。前記プランジャー連結器1206は、前記ラチェットロッド1218に固定される。前記プランジャー連結器1206は前記バネプレート1208に固定され、さらにこのバネプレート1208により、内部リップ部(図示せず)を使って前記プランジャーバネ1222が側方に動かないよう保たれる。前記プランジャーバネ1222は、前記フラッシュシリンジプランジャーに抗して静止し、これを付勢して前進させる。
【0076】
前記トリガー1214は前記軸1246の周りで回転するよう制約され、前記軸1246は、前記ハンドル1212により側方および軸方向に動けないよう制約されている。前記トリガー1214は、前記ラチェットホイール1232に固定され、このラチェットホイール1232と1:1の比で回転する。前記ラチェットホイール1232は、前記ラチェットロッド歯1244に抗して前記ラチェットホイール歯1242を動かすことにより、前記ラチェットロッド1218を前進させる。前記ラチェットホイール1232が逆に動くと、バネ式の前記ラチェットホイール歯1242は後退し、前記ラチェットロッド歯1244の前方の斜面により付勢されて前記ラチェットホイール歯1242とラチェットロッド歯1244との間で相対的に逆向きの運動が可能になる。前記ラチェットロック1216は、軸方向にだけ動けるよう前記ハンドル1212内でスライド可能に固定され、前記ロックバネ1224により上方へ付勢されて、その尖りのある上端がラチェットロッド歯1244に噛合する。前記ラチェットロッド歯1244前方の傾斜した縁部斜面から前記ラチェットロック1216に下向きの圧力がかかると、その上端の係合が前記ラチェットロッド歯1244から解除され、当該ラチェットロッド歯1244は、前進することができる。前記ラチェットロック1216に手で下向きの圧力をかけると、当該ラチェットロック1216の上端の係合が前記ラチェットロッド歯1244から解除され、当該ラチェットロッド歯1244および前記ラチェットロッド1218を後退させることができる。前記ラチェットロッド1218が前進すると、前記プランジャー連結器1206も強制的に前進させられる。すると前記プランジャー連結器1206が前記複数の成分シリンジプランジャー1254を前進させるため、前記複数の一方向弁1228を通じて前記マニホールド1230内へ、そして前記混合ヘッド1210へと前記複数のゲル成分1250が吐出される。また、前記プランジャー連結器1206が前進すると、前記プランジャーバネ1222が圧縮され、前記フラッシュシリンジ1256にかかる力が強まり、前記フラッシュ液1248が加圧される。一部の実施形態では、均一な流れを確実に実現するため圧力アシスト機構(図示せず)を使用できる。トリガーの引張りを均一にするには、バネまたはガスアシスト機構を使用できる。例えば、前記バネまたはガスアシストは強い引張りを吸収し、引張りエネルギーを再分散させて材料が均一に分注されるようにする。軽い引張りの場合、前記バネまたはガスアシストは単に引張りエネルギーを吸収して当該システム内で散逸させ、適切な圧力がかかったときのみ分注が行われるようにする。他の代替構成は明確に理解されるであろう。
【0077】
考えられる構成では、前記トリガー1214を前記ハンドル1212へ向かって引くと前記フラッシュ弁1234が閉じるため、加圧されたフラッシュ液1248が当該システム内を流れることはできない。前記フラッシュ弁1234は、前記トリガー1214に固定される。前記弁バネ1226は、一箇所で前記ハンドル1212に固定され、側方に動かないよう制約される。前記弁バネ1226は、アクチュエータ、すなわち前記フラッシュ弁1234のボタンを押圧し、通常は開いている前記フラッシュ弁1234を閉じた位置に保つ。前記トリガー1214が前記ハンドル1212へ向かって引かれると、前記弁バネ1216は圧縮されて前記フラッシュ弁1234を閉じた状態に保つ。前記トリガー1214がリリースされて前記ハンドル1212から離れる方向へ動くと、前記弁バネ1216が及ぼす力は弱まり、通常開いた状態である前記フラッシュ弁1234が開く。前記フラッシュ弁1234の入口は、前記弁入口配管1236により前記フラッシュシリンジ1240の出口に連結される。前記フラッシュ弁1234の出口は、前記弁出口配管1238により前記マニホールド1230に連結される。前記フラッシュ液1248の体積の一部は、前記フラッシュシリンジプランジャー1256の前進により加圧され、前記フラッシュシリンジ1240から、前記弁入口配管1236、前記開いたフラッシュ弁1234、前記弁出口配管1238を経由して、前記マニホールド1230および混合ヘッド1210に流入して、残留ゲル成分(図示せず)を浄化する。
【0078】
使用時、当該ディスペンサまたはアプリケータ1200は、前記ゲル成分1250を調製することにより作用する。これには、粉末状の材料、例えばポリエチレングリコールと、水または緩衝液を加えた水を予め混合する必要性が伴う。前記混合ヘッド1210は、標的組織へ向けられる。前記トリガー1214が前記ハンドル1212へ向かって引かれる。これにより、前記フラッシュ弁1234が閉じ、前記プランジャー連結器1206が前方へ引張られて前記ゲル成分1250の排出を生じ、それらのゲル成分が前記混合ヘッド1210を通じて前記標的組織上に噴霧される。これらの用途では、直径約0.5〜10cm、距離1〜20cmの円錐体スプレーパターンが有益である。ゲルスプレー中、前記フラッシュ弁1234は閉じているため、前記プランジャー連結器1206による圧縮が増して前記プランジャーバネ1222からの圧力が上昇しても、前記フラッシュシリンジプランジャー1256は前進できない。前記トリガー1214は、好ましくは各シリンジ1220から所定量のゲル成分が完全に吐出されるよう、十分な距離引かれる。そのようなゲル成分1250の所定量は0.1cc〜5ccの範囲とでき、好適な範囲は0.5cc〜2ccである。前記トリガー1214がリリースされると、前記ラチェット機構は前記プランジャー連結器1206の位置を保つが、前記フラッシュ弁1234は開くため、前記フラッシュ液1248が前記マニホールド1230および前記混合ヘッド1210を貫流する。排出できる前記フラッシュ液1248の体積は0.1cc〜10ccであり、好適な範囲は0.25cc〜1ccである。前記フラッシュ液は、水、緩衝液を加えた水、生理食塩水であってよく、空気圧式実施形態では、高圧の空気、二酸化炭素、窒素、または他のガスであってよい。前記フラッシュ液1248は、前記マニホールド1230および前記混合ヘッド1210を浄化して目詰まりを防ぐ。別の実施形態では、前記フラッシュ液1248を前記一方向弁1228にいっそう近い位置で前記ゲル成分の配管内に引き込み、吐き出し効果を高めることができる。実質的には、混合されたゲル成分が流れる配管だけを洗い流す必要がある。個々の前記ゲル成分1250は、それ自体では配管の目詰まりを生じないことが好ましい。このフラッシュアプリケータ1200の構築に使用する材料は、本明細書に開示した他のアプリケータで使用するものと同じである。シリンジ1240および1220の容積は0.5cc〜20ccの範囲とでき、好適な範囲は1cc〜10ccである。前記ゲル成分シリンジ1220は、複数のシリンジ内容物間の内部障壁を選択的に解除した後、シリンジ内での成分混合が可能な凍結乾燥用シリンジとすることができる。
【0079】
前記フラッシュ弁1234は通常は閉じている二方向弁であることが好ましく、前記弁バネ1216は、前記フラッシュ弁1234に対して接触も操作も一切せず、単に前記トリガー1214を前記ハンドル1212から離れる方向へ付勢および押圧するよう構成される。この構成では、前記トリガー1214が前記ハンドル1212から離れているとき、または前記トリガー1214が前記ハンドル1212へ向かって引かれているとき、前記フラッシュ弁1234は閉じている。当該フラッシュ弁1234は、前記トリガー1214が前記ハンドル1212に抗して押圧された場合のみ開き、その場合、前記フラッシュ弁1234上の押しボタンが前記ハンドルにより押されてフラッシュ弁1234が開き、フラッシュ液1248が前記マニホールド1230およびスプレーヘッド1210を貫流できるようになる。前記トリガー1214がリリースされると、前記ハンドル1212が前記フラッシュ弁1234の前記ボタン押圧を解除するため、当該フラッシュ弁1234は閉じる。
【0080】
あるいは、前記フラッシュ・アプリケータ・システム1200は、前記ハンドル1212に固定された前記フラッシュ弁1234を有してよく、それとともに前記弁バネ1226は前記一方向弁1234のボタンと前記トリガー1214との間に制約される。その場合、可撓性の配管は不要となり、前記弁入口配管1238および弁出口配管1238は、それぞれ前記ハンドル1212内を通じて配管処理され、利用者には見えない。
【0081】
別の構成では、高圧ガスを使って配管を浄化する前記フラッシュシステムを実現できる。前記高圧ガスは、前記アプリケータ内に収容される加圧ガス容器から供給できる。このフラッシュシステムでは、位置センサーおよび電子制御を使って前記フラッシュ弁を開くタイミングを決定できる。そのようなシステムは、内蔵電池で供電でき、ホール効果センサーおよび磁石またはLVDT装置などのセンサーで測定を行ない、配管をフラッシュするタイミングを図れる。別の実施形態において、前記フラッシュシステムでは、通常開いた若しくは通常閉じた弁であって、前記トリガー1214および前記ハンドル1212に抗して圧縮されると開き若しくは閉じてパージガスの流れが可能になる弁(弁のタイプおよび流路構成に応じて異なる)を使用できる。前記ゲルの吐出中は、前記配管をフラッシュしないことが有益である。
【0082】
本発明は、その本質および基本的特徴から逸脱しない範囲で他の形態でも実施可能である。例えば、血管の損傷部をシールするため使用される材料は、ヒトアルブミンおよびポリエチレングリコール溶液を含有でき、またはヒト以外のアルブミン、遺伝子組み換えアルブミン、およびポリエチレングリコールの複数成分からなる混合物を含有できる。シーリング成分とともに、またはそれより前に付加的な化学物質を注入して、結果として得られるシーリングマトリックスの重合特性、接着特性、または潤滑性に有益な変化が生じるようにもできる。前記シーリング化合物は、体内において吸収性であっても非吸収性であってもよい。さらに、前記シーリング化合物の潤滑性および接着特性は、例えば環境のpHを変えて修正することもできる。前記ディスペンサは、胸腔鏡下および腹腔鏡下でも使用できる。装置機能は、動力系を複数または組み合わせて使用しても実現できる。以上説明した実施形態は限定を目的としたものではなく、あらゆる点で単に例示的なものと見なすべきである。したがって、本発明の範囲は、以上の説明ではなく添付の請求項により示されるものである。添付の請求項の均等物(等価物)の意味および範囲内に含まれる変更は、すべて当該請求項の範囲内に包含される。