【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:平成28年12月16日 公開物:ACS Applied Materials & Interfaces(http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acsami.6b13575)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該有機化合物は、アセトアミド、尿素、メチル尿素(methylurea,NMU)、2−オキサゾリジノン(2−oxazolidinone,OZO)、エチレン尿素(ethyleneurea)、1,3−ジメチル尿素(1,3−dimethylurea,DMU)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のキャパシタ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施例は、電解質、可撓電極及び可撓電子装置を提供する。
【0005】
本発明のいくつかの実施例において、該電解質は、リチウム含有準イオン液体及び粘着剤を有する。該リチウム含有準イオン液体は、少なくとも一つのアシルアミノ基を有する有機化合物を含み、かつリチウム塩も含む。
【0006】
本発明のいくつかの実施例において、該リチウム塩はLiXであり、XはClO
4−、SCN
−、PF
6−、B(C
2O
4)
2−、N(SO
2CF
3)
2−、CF
3SO
3−、またはそれらの組み合わせを含む。
【0007】
本発明のいくつかの実施例において、該粘着剤はポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)を含む。
【0008】
本発明のいくつかの実施例において、該粘着剤はネットワーク構造(network structure)を有し、また、該リチウム含有準イオン液体が該ネットワーク構造の中に密封されている。
【0009】
本発明のいくつかの実施例において、該リチウム含有準イオン液体の該粘着剤に対する重量比は約1:4.5から約4:1の間である。
【0010】
本発明のいくつかの実施例において、該電解質は透明である。
【0011】
本発明のいくつかの実施例において、該電解質は可撓(flexible)である。
【0012】
本発明の実施例は、リチウム含有準イオン液体と粘着剤を含む可撓電極を提供する。該リチウム含有準イオン液体は少なくとも一つのアシルアミノ基を有する有機化合物、及びリチウム塩を含む。該粘着剤はネットワーク構造を有し、該リチウム含有準イオン液体が該ネットワーク構造の中に密封されている。
【0013】
本発明のいくつかの実施例において、該リチウム塩はLiXであり、XはClO
4−、SCN
−、PF
6−、B(C
2O
4)
2−、N(SO
2CF
3)
2−、CF
3SO
3−、またはそれらの組み合わせを含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施例において、該有機化合物は、アセトアミド、尿素、メチル尿素(methylurea,NMU)、2−オキサゾリジノン(2−oxazolidinone,OZO)、エチレン尿素(ethyleneurea)、1,3−ジメチル尿素(1,3−dimethylurea,DMU)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施例において、該粘着剤はポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施例において、該リチウム含有準イオン液体の該粘着剤に対する重量比は約1:4.5から約4:1の間である。
【0017】
本発明のいくつかの実施例において、該可撓電極は透明である。
【0018】
本発明の実施例は、可撓電子部品と該可撓電子部品に電気接続されている可撓電極とを含む可撓電子装置を提供する。該可撓電極はリチウム含有準イオン液体と粘着剤を含む。該リチウム含有準イオン液体は少なくとも一つのアシルアミノ基を有する有機化合物、及びリチウム塩を含む。該粘着剤はネットワーク構造を有し、該リチウム含有準イオン液体が該ネットワーク構造の中に密封されている。
【0019】
本発明のいくつかの実施例において、該リチウム塩はLiXであり、XはClO
4−、SCN
−、PF
6−、B(C
2O
4)
2−、N(SO
2CF
3)
2−、CF
3SO
3−、またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施例において、該有機化合物は、アセトアミド、尿素、メチル尿素(methylurea,NMU)、2−オキサゾリジノン(2−oxazolidinone,OZO)、エチレン尿素(ethyleneurea)、1,3−ジメチル尿素(1,3−dimethylurea,DMU)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施例において、該粘着剤は、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施例において、該可撓電極は透明である。
【0023】
本発明のいくつかの実施例において、該リチウム含有準イオン液体の該粘着剤に対する重量比は約1:4.5から4:1の間である。
【0024】
前述は、本発明の技術的特徴とメリットとを、すでにかなり広範に概説しており、下記の本発明の詳細な説明でよりよく理解できるようにしている。本発明の特許請求の範囲の目的を構成するその他の技術的特徴及びメリットを下記に述べる。下記に開示する概念と特定実施例とを利用して、その他の構造または製造工程を修正変更または設計することにより、本発明と同一の目的をかなり容易に実現できることを、当業者は理解すべきである。当業者は、このような同等構成が、添付の特許請求の範囲が限定する本発明の精神と範囲とから逸脱し得ないものであることをも、理解すべきである。
【0025】
詳細な説明と特許請求の範囲とを参照して図面を考え合わせれば、本出願案の開示内容をより全面的に理解できる。図面内の同じ部品符号は同じ部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例に係る電解質を示した略図である。
【
図2】本発明の実施例に係る該電解質を組成する該有機化合物の化学式の例を示している。
【
図3A】それぞれPVA/尿素−LiClO
4、Na
2SO
4、尿素−LiClO
4中における、走査速度5mV/sでのMNNGP電極のCV曲線を示している。
【
図3B】走査速度がそれぞれ5mV/s、25mV/s、50mV/s、100mV/s、200mV/s、500mV/sで、PVA/尿素−LiClO
4中で測定したMNNGP電極のCV曲線を示している。
【
図3C】異なる電流密度2A/g、5A/g、10A/g、20A/g、30A/g、50A/gで測定した、MNNGP電極のPVA/尿素−LiClO
4中の定電流密度(galvanostatic)充電/放電曲線を示している。
【
図3D】異なる操作温度27℃、60℃、90℃、110℃のもとでそれぞれ測定したMNNGP電極のPVA/尿素−LiClO
4中でのCV曲線を示している。
【
図3E】走査速度に対して、異なる温度で測定したMNNGPのCsp図を示している。
【
図4A】異なる印加電位で記録したMNNGPの、90℃の尿素−LiClO
4/PVA電解質中におけるMnK吸収端XANES図を示している。
【
図4B】27℃、60℃、90℃での尿素−LiClO
4/PVA中において印加電位による、Mn酸化状態の変化を示している。
【
図5】尿素−LiClO
4/PVA中におけるMNNGP電極の容量保持(capacitance retained)とサイクル数との比率の変化を示している
【
図6】本発明の実施例に係る可撓電極を示した略図である。
【
図7】本発明の実施例に係る可撓電子装置を示した略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の以下の説明は、明細書に組み入れられた、構成の一部となる図面とともに、本発明の実施例を説明するが、本発明は該実施例に限られるものではない。また、以下の実施例は、以下の実施例を適切に整合することによって他の一実施例を完成させることができる。
【0028】
「一実施例」、「実施例」、「例示実施例」、「その他の実施例」、「他の一実施例」等は、本発明が述べている、特定の特徴、構造または特性を含むことのできる実施例を指しているが、各一実施例が、該特定の特徴、構造または特性を必ず含むわけではない。さらに、「実施例において」という語を繰り返して使用しているが、それが必ずしも同一の実施例を指しているわけではないが、一方で同一の実施例を指すこともできる。
【0029】
本発明は電解質に関り、リチウム含有準イオン液体と粘着剤との混合物を含む。該リチウム含有準イオン液体は、該可撓粘着剤により形成されたネットワーク構造の空間の中に位置するため、可撓状態において導電性を提供可能になる。本発明はまた、前記電解質により形成された高い可撓性を有する可撓電極に関る。以下の説明も可撓電子部品と前記可撓電極を含む可撓電子装置に関り、下記のように記述する。
【0030】
本発明が完全な理解を得られるように、以下の説明は詳細なステップと構造とを提供する。本発明の実施が当業者の既知である特定細部を制限するものではないことは明らかである。また、本発明を不必要に制限することのないように、既知の構造とステップとは詳しく述べない。本発明の好ましい実施例は以下に詳述する。しかしながら、詳細説明以外、本発明はその他の実施例の中でも広く実施可能である。本発明の範囲は詳細説明の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義されるものである。
【0031】
図1は、本発明の実施例に係る電解質を示した略図である。該電解質1は、リチウム含有準イオン液体12と粘着剤14とを含む。該電解質1は透明である。該リチウム含有準イオン液体12は、有機化合物とリチウム塩を含む。いくつかの実施例において、該有機化合物は、酸素原子と二重結合すると共に窒素原子と単結合する炭素原子を有する官能基であるアシルアミノ基を少なくとも一つ有する。
【0032】
図2のように、該有機化合物の選択肢として、アセトアミド、尿素、メチル尿素(methylurea,NMU)、2−オキサゾリジノン(2−oxazolidinone,OZO)、エチレン尿素(ethyleneurea)、1,3−ジメチル尿素(1,3−dimethylurea,DMU)、類似物、またはそれらの組み合わせを含むが、この限りではない。前記有機化合物は、例えばOZOまたはエチレン尿素(ethyleneurea)のような環状化合物、或いは例えばアセトアミド、尿素、NMUまたはDMUのような非環状化合物、を含んでよい。前記有機化合物は市販より入手可能であり、如何なる複雑な合成または精製プロセスも必要ないため、コストが低い。
【0033】
いくつかの実施例において、該リチウム塩はLiXであり、Liはリチウムであり、XはClO
4−、SCN
−、PF
6−、B(C
2O
4)
2−、N(SO
2CF
3)
2−、CF
3SO
3−、類似物、またはそれらの組み合わせを含む。LiN(SO
2CF
3)
2は既知のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Lithium bis(trifluoromethylsulfony)imide,LiTFSI)である。いくつかの実施例において、リチウム含有準イオン液体のモル分率(リチウム塩と有機化合物との割合)の範囲の例示は、表1のように示されている。
【0035】
いくつかの実施例において、該粘着剤14は、例えばポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)または類似物である水溶性粘着剤を含む。
【0036】
一例示的実施例において、該リチウム含有準イオン液体は尿素−LiClO
4イオン液体を含み、該粘着剤はPVAを含む。例えば、電解質1の調製例は次のように述べる。尿素(Acros Inc., 95+%)とLiClO
4(Acros Inc., AP)でモル分率4:1の尿素−LiClO
4イオン液体を調製する。その後、尿素−LiClO
4イオン液体(5g)とポリビニルアルコール粘着剤(PVA,5g)を混合することによりPVA/尿素−LiClO
4準イオン液体粘着剤を調製し、そして均質の粘性液体を形成するまで、激しく撹拌しながら110℃で1時間加熱する。該液体を室温まで冷却すると、該液体が澄んで透明な粘着剤になる。該有機化合物、リチウム塩及び粘着剤は、室温では安定しており、水と光に敏感でないため、室温及び有水環境で電解質1を調製することができる。
【0037】
有機化合物及びリチウム塩を含むリチウム含有準イオン液体12は、導電性を有し、電解質として配置される。該粘着剤14は、例えばPVA粘着剤がネットワーク構造(network structure)を有し、かつ該リチウム含有準イオン液体12を該ネットワーク構造の中に密封することにより、該リチウム含有準イオン液体12を該ネットワーク構造の空間で移動させると共に導電性を提供させる。電解質1はいくつかの性質を備えることが可能であり、かつ例えばリチウム含有準イオン液体12に対する粘着剤14の割合を調整することにより、電解質14の物理的性質を変更することができる。リチウム含有準イオン液体12に対する粘着剤14の割合が高ければ高いほど、電解質1がより軟らかくかつより可撓性(more flexible)になり、リチウム含有準イオン液体に対する粘着剤の割合が低ければ低いほど、電解質1がより硬くなる。いくつかの実施例において、リチウム含有準イオン液体12と粘着剤14との重量比が約1:4.5から約4:1の間であるが、この限りではない。そのため、例えばリチウム含有準イオン液体に対する粘着剤の割合を調整することによって、電解質1の形式を変更することができる。
【0038】
本発明において、AUTOLABワークステーションで、あらゆる電気化学テストを測定する。サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry、CV)と充放電サイクルとの比容量(specific capacitance)を以下のように計算する。
Csp=Qm/ΔV (1)
Csp=IΔt/ΔVw (2)
QmはCVから積分した特定ボルタンメトリー電荷(Mn酸化物量に基づく)であり、ΔVは走査範囲(すなわち0.8V×2)であり、Iは加えた電流密度(2A/g)であり、wはMn酸化物の量であり、Δtは放電サイクル期間である。2つの電極系に基づく充放電曲線により、Cspは対称スーパーキャパシタの比容量であり、エネルギー密度(E)と出力密度(P)は方程式(3)と(4)に基づき、時間−電位曲線から計算する。
E=1/2CspΔV
2 (3)
P=E/Δt (4)
Δtは放電時間であり、ΔVは電池電圧(すなわち2.0V)である。
【0039】
それぞれ、Na
2SO
4水溶液(0.5M)、尿素−LiClO
4イオン液体電解質、尿素−LiClO
4/PVA準イオン液体電解質中の三電極電池中において、電気化学キャパシタの電気化学特性を研究する。27℃で、尿素−LiClO
4/PVA(10mS/cm)の導電データは、尿素−LiClO
4/PVA(0.1mS/cm)の導電データより大きい。尿素−LiClO
4とPVAとは複合システムを形成することができる。
図3AはMn酸化物ナノファイバー/Ni−ナノチューブ/グラファイト(カーボン)/紙(MNNGP)電極のNa
2SO
4水溶液、尿素−LiClO
4イオン液体、尿素−LiClO
4/PVA粘着剤電解質、におけるスーパー容量への寄与を示している。尿素−LiClO
4/PVA中におけるCV曲線の囲まれた面積(enclosed area)は、Na
2SO
4と尿素−LiClO
4とにおけるよりそれぞれ大きく、これは尿素−LiClO
4/PVAの中においてMNNGPの電荷を貯蔵する優れた能力を備えていることを示している。
【0040】
MNNGPの、尿素−LiClO
4/PVA、Na
2SO
4、尿素−LiClO
4中における容量は計算によると、それぞれ960F/g、600F/g、220F/g、である。MNNGPの、尿素−LiClO
4/PVA中におけるCspもまた、MnO
2ナノ棒(nanobar)(625F/g)、MnO
2多層チューブ(hierarchical tubular)(315F/g)、無定形多孔Mn
3O
4(432F/g)、グラファイト/PEDOT/MnO
2複合物(264F/g)、より顕著に大きい。
図3Bは、MNNGP電極の、尿素−LiClO
4/PVA中における反応電流が走査速度につれて増加することを表している。たとえ200mV/sでも、MNNGP電極の尿素−LiClO
4/PVA中におけるCspは700F/gに達し、これは約5mV/sから約200mV/sまで、Cspが約27%減衰することを表している。
【0041】
異なる電流密度において、MNNGP電極の尿素−LiClO
4/PVA中における定電流密度(galvanostatic)充放電曲線は
図3Cに示すが、それは全て対称である。この証拠は、MNNGP電極が尿素−LiClO
4/PVA中において優れた可逆反応と良好な擬似容量特性(pesudocapacitive property)とを備えることを証明している。
図3Dでは、操作温度が27℃から110℃の範囲において、MNNGP電極の尿素−LiClO
4/PVA中におけるCVを比較している。データから、60℃と90℃での尿素−LiClO
4/PVA中におけるCV曲線面積が27℃で得られる曲線面積より大きいことを表している。注目すべきことは、CV曲線は通常、高温で傾斜する性質を有し、これはMnO
2層の鈍化(i)またはMnO
2層が高温で低温より擬似容量への寄与(pseudocapacitive dedication)が発生しやすいこと(ii)に由来している可能性がある。27℃、60℃、90℃、110℃で、尿素−LiClO
4/PVA中で測定したCspはそれぞれ960F/g、1050F/g、1100F/g、800F/gである。異なる操作温度で、MNNGP電極の尿素−LiClO
4/PVA中で測定したCspと走査速度(5mV/s〜200mV/s)との図は
図3Eに示したとおりである。この結果はMNNGP電極と尿素−LiClO
4/PVA電解質系が、高温において優れた擬似容量特性を備えることを表している。また温度が90℃に達しても、MNNGP電極が尿素−LiClO
4/PVA中で良好な動力学特性と反応性を備えることを表している。異なる操作温度でのMNNGP電極の尿素−LiClO
4/PVA中における安定性をさらに評価するために、25mV/sで5000サイクルのサイクル寿命を測定する。
図5は、MNNGP電極の尿素−LiClO
4/PVA中における容量保持率のサイクル数に対する変化を表している。
図5に示すように、尿素−LiClO
4/PVA中において5000サイクルを経た後、90℃において、わずか約15%の容量損失しかないことが観察された。前100サイクル期間における容量の緩慢な増加は、尿素−LiClO
4/PVA中の電極の湿潤/活性化プロセスと関係がある可能性がある。この結果は、MNNGP電極が高温下で尿素−LiClO
4/PVA中で良好なサイクル寿命安定性を備えていることを確認できた。MNNGP電極が尿素−LiClO
4/PVA電解質において、改良された電気化学的効能を備える理由は、電解質からのLi(尿素)n
+イオンを稼働イオンとして電極に挿入/離脱することで酸素化状態の大きな変化を起すことに起因する。
【0042】
MNNGP電極の、尿素−LiClO
4/PVA中における酸化状態の変化、及び充放電サイクル中における異なる操作温度でのエネルギー貯蔵メカニズムを説明するために、インシチュ(in situ)MnK吸収端XASによって異なる印加電位での化学状態の変化を研究する。実験結果は、+0V、その後+0.8V、最後に+0Vに戻るという順序で、印加する電位を変化させ、記録したMNNGP電極の90℃での尿素−LiClO
4/PVA中でのXANES図を示した。MNNGPのMnK吸収端の上昇変化は、電位の増加に従ってエネルギーを増加させるように変わり、かつ電位反転時には、ほとんど元の状態に戻った。該吸収端の第1変曲点(inflection point)から得られた吸収閾値エネルギー(absorption threshold energy)E0は遷移金属酸化状態に関係する。
図4Aから得られたE0に基づいて、異なる温度下でのMNNGPの尿素−LiClO
4/PVA中におけるMnの酸化状態を構築し、
図4Bに示した。(MnO(II)とMn
2O
3とMnO
2とを参考サンプルとして研究する)。27℃、60℃、90℃では、酸化状態の変化は非常にはっきりとしており、それぞれ約0.81であり、他の文献で発表されたわずか約〜0.4までの発現より大きく、理想値は1である。この効果はMNNGP電極が高温において尿素−LiClO
4/PVA電解質系中で良好なイオン/導電性を有すること、及び尿素−LiClO
4/PVA中でMNNGPの持続的かつ可逆的なMn
3+/Mn
4+反応促進の高特性を有することを意味している。
図3と
図4に示すとおりである。
【0043】
前記の電解質は良好な導電性を有することが証明され、かつそれぞれの配置により可撓電極になる。
図6は、本発明の実施例に係る可撓電極を示した略図である。
図6のように、可撓電極30は該リチウム含有準イオン液体12及び該粘着剤14を含む。該リチウム含有準イオン液体12は有機化合物及びリチウム塩を含む。前記に、リチウム含有準イオン液体12及び粘着剤14の材料、組成と特性を詳細に述べたため、繰返し記述しない。いくつかの実施例において、可撓電極30は一つまたは複数の接続端末32、例えば接続パッドを別途含み、配置により可撓電極30外部の電気的接続を生成可能である。いくつかの実施例において、可撓電極30が透明である。いくつかの実施例において、可撓電極30が様々な可撓電子装置に応用可能であり、かつ配置により電極、導電層、または導電構造になる。
【0044】
図7は、本発明の実施例に係る可撓電子装置を示した略図である。
図7のように、可撓電子装置50は可撓電子部品40、及び該可撓電子部品40に電気接続した可撓電極30を含む。前記に、可撓電極30の材料、組成と特性を詳細に述べたため、繰返し記述しない。いくつかの実施例において、可撓部品40が可撓ディスプレイパネル、可撓タッチパネル、可撓センサー、それらの組み合わせ、または類似物を含むことが可能である。
【0045】
以上のように、電解質、可撓電極及び可撓電子装置は、軽量巧緻で、可撓性、高い導電性と永続性を有するため、有利である。電解質は室温で安定しかつ水に敏感でないため、室温及び有水環境で調製することができ、このことは製造コストを下げ、かつ製造工程をシンプルにする。電解質/電極系を準イオン液体電解質と混合紙電極系に取付けることができ、これは多くのフレキシブルでかつウエアラブルな応用への将来性を開くものになり、たとえば、電池、燃料電池、ウエアラブル/ロールアップディスプレイ、電子ペーパー、タッチパネル、携帯電話、センサネットワーク、携帯式デバイス、人工電子皮膚への応用が期待できる。
【0046】
本発明において、「およそ」、「実質」、「約」は、少しの変化を述べ、説明するのに用いられるものである。事象または状況と結び合わせて用いるとき、これらの語は該事象または状況がまったく誤差なく発生した事象、及び該事象または状況が少しの誤差をもって発生した事例を指すことができる。たとえば、数値と結び合わせて使うとき、該これらの語は、該数値の±10%以下の変化の範囲を指すことができる。たとえば、±5%以下、または±4%以下、または±3%以下、または±2%以下、または±1%以下、または±0.5%以下、または±0.1%以下、または±0.05%以下、である。たとえば、仮に2つの数値の差が該これらの数値の平均の±10%以下であれば、たとえば±5%以下、または±4%以下、または±3%以下、または±2%以下、または±1%以下、または±0.5%以下、または±0.1%以下、または±0.05%以下である場合、すなわち該2つの数値は「実質」同じまたは等しいとみなすことができる。たとえば、「実質」平行とは、角度の変化の範囲が0°に対して±10°以下であることを指すことができる。たとえば±5°以下、または±4°以下、または±3°以下、または±2°以下、または±1°以下、または±0.5°以下、または±0.1°以下、または±0.05°以下である。たとえば、「実質」垂直とは、角度の変化範囲が90°に対して±10°以下であることを指すことができ、たとえば±5°以下、または±4°以下、または±3°以下、または±2°以下、または±1°以下、または±0.5°以下、または±0.1°以下、または±0.05°以下である。
【0047】
本発明及びそのメリットをすでに詳しく述べてきたが、しかしながら、特許請求の範囲が定義する本発明の精神と範囲とからは逸脱しない範囲で、各種の変化、置き換え、代替を行うことができることを理解すべきである。たとえば、異なる方法を用いて前記の多くの製造工程を実施することが可能であり、かつ、他の製造工程またはその組み合わせによって前記の多くの製造工程を代替することが可能である。
【0048】
また、本出願の範囲は、明細書内に記載した製造工程、機械、製造、物質組成物、手段、方法、及びステップの特定実施例の限定を受けるわけではない。当業者は、本発明に基づき、本明細書に記載される対応実施例と同じ効果を有する、または実質的に同一の結果に到達する、現存または将来発展する製造工程、機械、製造、物質組成物、手段、方法、またはステップを使用することができるということを、本発明の開示内容から理解する。よって、このような製造工程、機械、製造、物質組成物、手段、方法またはステップは、本出願の特許請求の範囲に含まれるものである。