【実施例1】
【0017】
主に
図1及び
図2に示すように、収納扉1は、車両内の助手席(図示せず)前方の内装部材であるインストルメントパネル2に設けられた凹状の収納部3に取り付けて使用される。収納部3は前記助手席側に開口部4を有し、前記車両の前方側に向かって凹設されている(
図18及び
図19参照)。
【0018】
収納扉1は、収納部3の内部の開口部4側に配置され、収納部3の内壁5に取り付けられる取付部としての取付枠部6と、取付枠部6に回動可能に取り付けられ、開口部4を開閉する蓋部としてのリッド7を備えている。
【0019】
主に
図3に示すように、取付枠部6は、正面視左側に設けられる第1の取付部としての左取付部11と、正面視右側に設けられる第2の取付部としての右取付部12を有する。左取付部11と右取付部12は対向して設けられており、上部で連結部13により連結されている。
【0020】
左取付部11には、収納部3の内壁5を構成する左内壁14と当接する第1の当接部としての左固定部15が設けられている。左固定部15は略円筒状を有し、左側(左内壁14側)に突出して形成されている。左固定部15には、平面状に形成された第1の平面部としての左当接部16が設けられ、この左当接部16が左内壁14と当接する。左当接部16には、ビス孔17が穿設されており(
図5参照)、ビス18を左取付部11の内側からビス孔17に挿通し、左内壁14に螺子止めすることにより左当接部16が左内壁14に当接した状態で左取付部11が固定される(
図6及び
図7参照)。
【0021】
左取付部11の下部には軸ピン19が左側(左内壁14側)に突設されている。この軸ピン19は、リッド7の左下部に形成された軸孔20に挿入される。左取付部11の左固定部15の上側には、樹脂製のステー21Aの上端に形成された抜止部22Aを挿通する取付孔23が穿設されている。ステー21Aの抜止部22Aは取付孔23に挿通され、ステー21Aの上端側が左取付部11に回動可能に保持されている(
図5及び
図6参照)。
【0022】
図3に示すように、左取付部11の上部には、連結部13に当接する連結当接部24が形成されている。連結当接部24に連結部13の左端部25が当接した状態でビス26により左取付部11と連結部13とが固定されている。
【0023】
主に
図10及び
図11に示すように、右取付部12には、収納部3の内壁である右内壁31側(右側)に略円筒状に突出したガイド部32が形成されている。ガイド部32の左右両端は開口している。すなわち、右取付部12には、ガイド部32に囲まれた略円形の貫通孔である移動用孔33が形成されている。右取付部12には、移動用孔33の縁部に右取付部12を貫通する3箇所の切欠き孔34A,34B,34Cが形成されている。右取付部12の外側面35であって、切欠き孔34A,34B,34Cの端部には、右取付部12の厚さ方向に凹設された段部36A,36B,36Cが形成されている。また、ガイド部32にはガイド部32を貫通する3箇所の切欠き溝37A,37B,37Cが形成されている。切欠き孔34Aと切欠き溝37Aが連通し、切欠き孔34Bと切欠き溝37Bが連通し、切欠き孔34Cと切欠き溝37Cが連通している。切欠き溝37A,37B,37Cの切欠き孔34A,34B,34Cと反対側には、ガイド部32の一部をなす規制部38A,38B,38Cが形成されている。
【0024】
移動用孔33内には、隙間調節部としての調節体39が配置されている。主に
図12及び
図13に示すように、調節体39は、円板状に形成された第2の当接部としての右当接部40と、右当接部40の外周部から立設された略円筒状の案内壁部41を有している。右当接部40の中心部には、ビス孔42が穿設されており、ビス43を左取付部11の内側からビス孔42に挿通し、右内壁31に螺子止めすることにより右当接部40が右内壁31に当接した状態で右取付部11が固定される(
図8及び
図14等参照)。
【0025】
案内壁部41には、3箇所の切欠き部44A,44B,44Cが形成されている。また、その切欠き部44A,44B,44Cの中央部には抜止片45A,45B,45Cが右当接部40から立設されている。抜止片45A,45B,45Cは、右当接部40から立設した基部46A,46B,46Cと、基部46A,46B,46Cの上端部から外側へ略直角に延設された腕部47A,47B,47Cから構成されている。腕部47A,47B,47Cの先端部分であって、ガイド部32の規制部38A,38B,38Cに対向する面には、先端側の厚さが薄くなるように傾斜した傾斜部48A,48B,48Cが形成されている。
【0026】
図3に示すように、右取付部12の上部には、連結部13に当接する連結当接部27が形成されている。連結当接部27に連結部13の右端部28が当接した状態でビス29により右取付部12と連結部13とが固定されている。
【0027】
図9及び11に示すように、右取付部12の下部には、軸ピン49が右側(右内壁31側)に突設されており、リッド7の右下部に形成された軸孔50に挿入される。リッド7は、軸ピン19,49を中心に回動可能となっており、収納部3の開口部4を開閉する。右取付部12の移動用孔33の上側には、樹脂製のステー21Bの上端に形成された抜止部22Bを挿通する取付孔51が穿設されている。ステー21Bの抜止部22Bは取付孔51に挿通され、ステー21Bの上端側が右取付部12に回動可能に保持されている。
【0028】
主に
図3に示すように、連結部13の左右方向略中央には、固定部としての圧入ピン52を挿通するピン孔68が穿設されている。ピン孔68の直径は、圧入ピン52の挿通部52Aよりも大きく、頭部52Bよりも小さく形成されている。この圧入ピン52をピン孔68に挿通し、収納部3の内壁である上内壁53に形成されたピン受孔(図示せず)に圧入することにより、取付枠部6が収納部3に固定される。なお、本実施例では、ピン孔68は円形に形成されているが、長孔としてもよい。さらに、圧入ピン52の代わりに螺子を使用し、ピン受け孔に螺合させてもよい。
【0029】
連結部13の右側前端部にはプッシュラッチ54のラッチ受部55が設けられている。このラッチ受部55にリッド7の裏面56の右上部に設けられたプッシュラッチ54のラッチ挿入部57が係止することにより、リッド7が閉じた状態で保持される。リッド7が閉じた状態の時に、ラッチ挿入部57が設けられた部分のリッド7の表面58を押し込むと、プッシュラッチ54のロックが解除され、リッド7を開けることができる。また、連結部13の左側前端部にはストッパー59が設けられており、リッド7を閉めた時にリッド7の裏面56に設けられたストッパー当接部60がストッパー59に当接するようになっている。
【0030】
リッド7の裏面56には、上下に格子状に延設された補強リブ61が設けられている。また、リッド7の裏面56の左上部には、ステー21Aの下端に形成された抜止部62Aを挿通する取付孔63が穿設されたステー取付部64が形成されている。ステー21Aの抜止部62Aは取付孔63に挿通され、ステー21Aの下端側がリッド7に回動可能に保持されている。また、リッド7の裏面56の右上部には、ステー21Bの下端に形成された抜止部62Bを挿通する取付孔65が穿設されたステー取付部66が形成されている。ステー21Bの抜止部62Bは取付孔65に挿通され、ステー21Bの下端側がリッド7に回動可能に保持されている。
【0031】
ここで、収納扉1の取付方法について説明する。事前に、
図3に示すように、左取付部11と右取付部12と連結部13を連結して取付枠部6を形成し、取付枠部6にリッド7を取り付けると共に、取付枠部6とリッド7にステー21A,21Bを取り付けて収納扉1を完成させておく。完成した収納扉1の取付枠部6を収納部3内の開口部4側に配置する。次に、左当接部16を左内壁14に当接させ、ビス18で左固定部15を左内壁14に固定する。次に、圧入ピン52をピン孔68に挿通し、上内壁53(
図18及び
図19参照)に形成されたピン受孔(図示せず)に圧入する。この時、ピン孔68内で圧入ピン52の位置を調節して圧入ピン52をピン受け孔に圧入することができるため、取付枠部6の寸法誤差を吸収することができる。次に、調節体39を移動用孔33内で移動させ、右当接部40を右内壁31に当接させ、ビス43で調節体39を右内壁31に固定する。
【0032】
図15は、調節体39を移動用溝33内の最も左側に寄せた状態を示しており、抜止片45A,45B,45Cが段部36A,36B,36Cに当接している。
図16は、調節体39を移動用溝33内の左右方向略中央に配置した状態を示しており、抜止片45A,45B,45Cは段部36A,36B,36C及び規制部38A,38B,38Cに当接していない。
図17は、調節体39を移動用溝33内の最も右側に寄せた状態を示しており、抜止片45A,45B,45Cが規制部38A,38B,38Cに当接している。
図20に示すように、取付枠部6の寸法が小さく形成され、取付枠部6の右取付部12と収納部3の右内壁31との間に隙間67が生じた場合には、調節体39を移動用溝33内で右方向に移動させ、調節体39を右方向に突出させ、右当接部40を右内壁31に当接させることにより、右取付部12を右内壁31に固定することができる。
【0033】
以上のように、本実施例の収納扉1は、車室内に形成された奥行を有する収納部3に取り付ける収納扉1であって、収納扉1は、収納部3の内壁5に固定される取付部としての取付枠部6と、取付枠部6に取り付けられ、開口部4を開閉する扉部としてのリッド7と、を備え、取付枠部6には貫通孔としての移動用孔33が形成され、取付枠部6は、取付枠部6から内壁5側に突出可能に移動用孔33内を移動可能な隙間調節部としての調節体39を備えることにより、取付枠部6の寸法が収納部3の寸法と比較して小さく形成された場合であっても、調節体39を移動させて右取付部12と右内壁31との間の隙間67を埋めることができるため、収納部3と取付枠部6との寸法差を吸収し、収納扉1を収納部3にがたつき無く取り付けることができる。
【0034】
また、取付枠部6は、対向して設けられる第1の側壁部としての左取付部11と第2の側壁部としての右取付部12を有し、左取付部11が内壁5に固定され、右取付部12は移動用孔33が形成されると共に調節体39を備えることにより、調節体39を左右方向に移動させることにより、取付枠部6の寸法が収納部3の寸法と比較して小さく形成された場合であっても、収納部3と取付枠部6との寸法差を吸収し、収納扉1を収納部3に取り付けることができる。
【0035】
また、取付枠部6は、左取付部11と右取付部12とを連結する連結部13を備え、連結部13は、取付枠部6を内壁5に固定する固定部としての圧入ピン52を有することにより、取付枠部6を収納部3に強固に取り付けることができる。
【0036】
また、取付枠部6を収納部3に配置し、左取付部11を内壁5に固定し、連結部13を内壁5に固定し、調節体39を移動させて内壁5に当接させ、調節体39を内壁5に固定する収納扉1の取付方法により、取付枠部6の寸法が収納部3の寸法と比較して小さく形成された場合であっても、調節体39により右取付部12と右内壁31との間の隙間67を埋めて収納扉1を収納部3に取り付けることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、移動用孔を左取付部に形成し、左取付部が調節体を備えるように構成してもよい。