【文献】
AMERICAN SOCIETY FOR LASER MEDICINE AND SURGERY LATE-BREAKING ABSTRACTS FOR THE 32ND ASLMS ANNUAL CONFERENCE,2012年 4月,#LB2
【文献】
ADVANCES IN EXPERIMENTAL MEDICINE AND BIOLOGY,1990年,Vol.277,pp.277-282
【文献】
Biomaterials, Artificial Cells, and Immobilization Biotechnology,1992年,Vol.20, No.2-4,pp.925-927
【文献】
PHARMACY AND PHARMACOLOGY,1990年12月,Vol.42, Supplement,154P
【文献】
Free Radical Biology & Medicine,1998年,Vol.24, No.5,pp.835-847
【文献】
Ann. Plast. Surg.,2001年 6月,Vol.46, No.6,pp.577-83,抄録
【文献】
Dermatol. Surg.,2003年 9月,Vol.29, No.9,pp.904-8,抄録
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
皮膚色素沈着、静脈瘤、血管病変、にきび、傷跡、ポートワイン母斑、及び毛細血管拡張症からなる群から選択される皮膚病変の光線治療により白色化を生じた又は該白色化の影響を受けやすい皮膚を治療するためのパーフルオロデカリンと、
前記光線治療の部位のために前記パーフルオロデカリンを保持するための化学促進剤保持手段と
を含み、該パーフルオロデカリンは、前記白色化を消失させて、それによって前記皮膚が前記皮膚病変の前記光線治療を受け入れやすくする、
ことを特徴とするシステム。
前記化学促進剤保持手段は、前記光線治療の部位のために前記パーフルオロデカリンを保持するためのパッチであり、該パッチは、前記光線治療の前記部位に対応する皮膚表面に接して配置された側に前記パーフルオロデカリンを有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【背景技術】
【0014】
長年にわたり、タトゥ、タトゥ処置などのための、先行技術の好ましくない副作用を伴わない効果的な治療システム及び方法が必要とされている。広く受け入れられているタトゥ治療は存在しない。これまでに利用可能なタトゥ軽減及び除去のための治療計画としては、恐らくはレーザー光線治療(光熱分解法)が最善であろう。
【0015】
多くの場合、医師達が使用するレーザー光線治療は、様々な波長、出力及びフルエンスレベルで作動するレーザーを伴う。医師によっては、1064nmで作動するQスイッチNd:YAGレーザーを好む者もいる。また、医師によっては、典型的には755nmで作動するQスイッチアレキサンドライトレーザーを好む者もいる。さらには、スペクトルの可視部分において作動する色素レーザー、又は、例えば532nmで作動する、「KTPレーザー」と呼ばれることもある周波数倍増Nd:YAGレーザーを好む医師も存在し、KTPとはレーザーの周波数を倍増させる結晶のことである。タトゥ処置では、同様に他の多くの種類及び周波数のレーザーが使用されてきた。
【0016】
好ましい治療結果も達成されてはきたが、何の問題もない治療計画は存在しない。例えば、レーザー光線治療後の有害事象として、永久に傷跡が残る全層性熱傷が認められている。このように、様々な装置及び技術が使用されているものの、これまでに著しく効果的であると証明されたものはない。
【0017】
タトゥ治療における問題又は有害事象の1つの理由は、酸素ヘモグロビン(HbO2)及び脱酸素ヘモグロビン(RHb)がメトヘモグロビン(metHb)に熱変換される際の予測不可能な性質に関連すると考えられる。スペクトルの近赤外(NIR)部分では、metHbの光吸収はHbO
2及びRHbに比べてはるかに高く、従って変換が開始されると熱暴走が促される。この予測不可能な疑似瞬間的変換は、可視光よりも深く治療部位に浸透するという理由で使用するのが望ましいはずのNIR光(すなわち、スペクトルのNIR部分(例えば、1064nm付近))の使用との関連において特に懸念される。このように、NIR光を使用すれば、より深い部位にまでタトゥ治療を行うことができ、治療すべきタトゥ部分を含む領域又は容積よりも多くを一度に治療できるのでより良い結果を得ることができる。従来のシステム及び方法は、HbO
2及びRHbをmetHbに熱変換する制御が全く効果的でない。
【0018】
従来のシステム及び方法を使用したタトゥ治療における有害事象の別の理由は、治療部位の予測不可能な性質にあると考えられる。Qスイッチ又は同様のレーザーパルスの過程では、HbO
2とRHbの間の等吸収点(約810nm)を含む全ての波長において血管内の血液の光吸収が大きく変化し得る。実際問題として、ある部位又はタトゥ部分では完全に良好な耐用性を示すパルスが、別の近くの部位又は部分では副作用(火傷、傷跡、痛み、低色素沈着、高色素沈着など)を引き起こすことがある。この理由は、タトゥ近傍の局所的な散乱、吸収及び/又はその他の特性が部位によって変化する場合があり、これによりHbO
2及びRHbのmetHbへの光熱変換の程度が部位によって不安定になるからである。タトゥ近傍のある部位における血管系内で処置された血液のHbO2への熱的変換の程度が、タトゥ近傍の別の部位の血管系内の血液と比べて異なることもある。
【0019】
従来のシステム及び方法を使用したタトゥ処置における有害事象に関する若干似てはいるが別の理由は、治療の再現性レベルが許容できないほど低いことに関連すると考えられる。望ましくない不確実性及び結果は、患者間における光学的及び生理学的差異を予測できないことに起因する。患者、タトゥなどはそれぞれが異なるものである。ある患者で効果的な治療パラメータセットが、外見的には同じタトゥ及び条件の別の患者では思いがけず有害事象を引き起こすことがある。従来のシステム及び方法は、例えばHbO
2及びRHbのmetHbへの熱変換などの、ある治療グループ内の個々の患者の因子を制御する上でそれほど効果的でないという点で、望ましい堅牢性を欠いている。
【0020】
また、ある特定の態様における1つの問題点は、光「暴走」効果として見なすことができる。従来のシステム及び方法は、例えば治療で使用するレーザーの出力及び/又はフルエンスが徐々に高まった時にこの有害事象が発生するので興味をそそられないこともある。1又はそれ以上のヘモグロビン種がmetHbに光熱変換された時には、metHbが新たに存在することにより、1又はそれ以上のレーザー作動パラメータ、或いは1又はそれ以上の治療条件のわずかな変化が急に極めて大きな影響を及ぼすことがある。一例として、医師がレーザーハンドピースに加える圧力の変化によって放血の度合いが変化し、治療部位の光特性が変化し、光熱変換の予測可能性が悪化することもある。この影響によって紫斑病が生じる可能性もある。
【0021】
治療するタトゥの種類の違いによっても問題のある結果が生じる。一般に、いくつかのタトゥ色(黄色、緑色、茶色など)は、他の色(黒色など)に比べて従来の方法を使用した治療が困難である。従来のシステム及び方法には、(治療困難な色を含む)様々なタトゥ色に適用できる有意に効果的なものはない。
【0022】
先行技術のタトゥ処置に関連する別の問題点は、多くの場合このような処置が不潔な点にある。通常、例えばレーザー使用時には、治療部位から残骸が排出される。これらの残骸は、固体、液体、気体、エアロゾル及び/又はその他の形の噴出物の場合がある。また、患者によっては、治療する臨床医が結果的にHIV(ヒト免疫不全ウィスル)、C型肝炎及び/又はその他の感染症に曝されるという受け入れ難いリスクに曝される可能性がある。従来のシステム及び方法には、このような噴出物を制御してこのような有害なリスクを軽減するのに役立つ有意に効果的なものはない。
【0023】
先行技術のタトゥ処置に関連する別の問題点は、治療の副作用に起因するとも考えられる。一例として、レーザー治療セッション中に治療部位がレーザー出力に曝されることにより、この治療部位内にその後のレーザー露光の有効性を弱める傾向にある1又はそれ以上の状態が生じることがある。このような副作用の一例に、治療した領域の「白色化」がある。
【0024】
一般にタトゥ治療中には、例えば真皮内における気泡の形成によって裏付けられるように「白色化」反応が起きる。通常、この「白色化」反応は最初のレーザー露光の直後に起き、この反応の結果は同じセッション内の後続するレーザー露光中又はその後にも残る。白色化反応は、気泡の発生、又は例えばレーザー露光に関連する急速な加熱又はエネルギー伝達に起因するもの、レーザー誘起による衝撃波に起因するもの、顕微鏡的に見て「爆発性の」細胞又はその他の反応に起因するもの、(ピコ秒又はそれよりも高速なレーザーの使用に関連する)二光子過程に起因するものなどのその他の要因を含み、これらを生じ、又はこれらに起因する可能性がある。
【0025】
白色化に関連する「気泡」は、微小空洞気泡、及び/又は光の減衰、光散乱などの同様の又はその他の負の治療効果を与える他の事象及び/又は状況の場合がある。限定ではなく単なる便宜上、本明細書では、このような気泡及び/又は他の事象及び/又は状況を個別に又は集合的に1又は複数の「気泡」と呼ぶ。
【0026】
一般に、気泡は、真皮の部分を含む領域又は容積内に存在し得るが、その他の場所に存在することもある。一般に、気泡は、皮膚の部分を含む領域又は容積内に存在し得る。加熱が局所的に行われることもあり、及び/又は加熱によって局所的な気泡発生が生じ、或いは別様に引き起こされ又は促進されることもある。通常、治療中には、組織、皮膚、タトゥ色素、真皮部分などが加熱される。
【0027】
白色化反応は、最後のレーザー露光から約20分以上で弱まることが観察されている。このような弱まりは、ガスを含む気泡の消失、又は気泡の減少に関連するその他の要因により証明することができる。白色化反応の消失は、1又はそれ以上の加熱部分を冷却することにより少なくとも部分的に引き起すことができる。
【0028】
白色化が問題となる少なくとも部分的な理由は、最初のレーザーの通過から治療部位内に気泡が存在することにより、1又はそれ以上の後続のレーザーの通過における光の送達が減衰又は弱化し得るからである。例えば、気泡にぶつかった光は、治療部位から遠ざかる方向を含む複数の方向に散乱することがある。このため、気泡の存在によって光線治療の有効性が弱まる。
【0029】
通常、タトゥ処置の臨床医達は、望ましくない白色化状態が自然に消失するのを単純に待つことにより、白色化という有害な結果の一部を部分的に避けることができる。このような治療セッション中に例えば4回のレーザー通過が行われた場合、セッション中の合計治療時間(すなわち、セッションの長さ)は約60分〜80分又はそれ以上になる可能性がある。
【0030】
また、多くの場合、治療時間もかなり問題である。通常、先行技術のタトゥ治療では、1回の治療セッション中に治療部位に対して(最大4回などの)複数回のレーザー露光が行われ、これらのレーザー露光間の間隔は20分以上である。例えば、Kossida等著、「連続露光方法に基づく単一レーザーセッションでの光学的タトゥ除去」(Optical tattoo removal in a single lasar sessin based on the method of repetated exposure)、J.Amアカデミー、皮膚科学、2012年2月、66(2):271〜277頁を参照されたい。多くの場合、治療時間がこのように長いと、患者のみならず臨床医にも重大な問題が生じる。一般に、臨床医も患者も、このような長い時間よりも短い治療時間の方を好む。このことは、所望の結果を得るために何ヶ月にもわたる複数回の治療セッションが必要となる場合に特に当てはまる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態及び様々な代替形態について説明する。当業者であれば、本明細書の教示を所与として、本発明から逸脱しない数多くの代替形態及び同等の形態が存在すると認識するであろう。従って、本発明は、本明細書又は以下に示す説明によって限定されるものではない。
【0038】
以下、システム及び方法の1又はそれ以上の具体的な実施形態について説明する。これらの説明する実施形態は、本開示の例示に過ぎない。また、これらの例示的な実施形態を簡潔に説明するために、本明細書には実施の特徴を全て説明していないこともある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおけるあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間のかかるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0039】
さらに、説明を明確かつ便宜的に行うことのみを目的として、また限定的な意味ではなく、本開示では(図面も含め)、本開示に関連する治療事象及び/又は状況のうちのほんのいくつかの態様の例示的な表現しか示していない。当業者であれば、本明細書における教示を所与として、例えば真皮、組織及びタトゥの追加要素、角質層、表皮、及び上下の皮膚領域内で生じる事象などの、本開示に関連するさらなるこのような態様、治療事象及び/又は状況を認識するであろう。このような本開示に関連する態様は本発明から逸脱するものではなく、従って、本発明は、本開示に関連する治療事象及び/又は状況についての記載するいくつかの態様によって限定されるものではない。
【0040】
図1に、皮膚20上のタトゥ10(すなわち、ひび割れたハート)の例を示す。
図2には、タトゥ10を含む皮膚部分30を示す。
図3は、
図2の線3−3に沿って切り取った皮膚部分30及びタトゥ10の例示的な断面である。
【0041】
図4は、例示的な先行技術のタトゥ除去レーザー治療セッションを示すフローチャートである。このセッションは、「待機」ステップ120を含む方法を含む。
図4に示す治療セッション中には、レーザーの通過毎に、白色化の時間が自然に消失するように約20分以上の待機期間が必要となる場合がある。
【0042】
図2及び
図3を参照して分かるように、タトゥは、皮膚表面40、角質層50及び表皮60の下にある真皮70内に(すなわち、D−Eジャンクション80よりも下に存在する)存在し得る。タトゥの場所、形状及び全体的な構成はタトゥ毎に異なる。
図2には、一般にタトゥが、典型的には真皮の上部にあるD−Eジャンクション80よりも下方に存在し、色素を含む複数の貪食細胞90を含み得ることを示している。細胞90は、仮にタトゥにある程度の不変性を与えたとしても、時間とともに自然にゆっくりと遊走する。
【0043】
タトゥは、肉眼では鮮明な線又は縁を含むように見えるが、通常、ほとんどのタトゥは、皮膚表面の下方をより精密に調べると別様に見える。タトゥの表面及び縁は、タトゥの形成に関連する不正確さに一部起因して、かなり凸凹又は起伏がある。従って、例えば
図3に示すように、タトゥの断面では深さが異なっている場合がある。
【0044】
図3は、線3−3に沿って切り取った
図2のタトゥの例示的な断面を、断面の表面に対してほぼ垂直な角度から
図2の線3−3における矢印で示す方向に見た図である。
図3に示すタトゥ10は複数の貪食細胞90を含む。このような細胞90の分布は様々な場合がある。タトゥを含む容積は、貪食細胞90以外にも、例えば細胞90間の間質空間などの他の特徴を含むことができる。説明を明確かつ便宜的に行うことのみを目的として、
図2、
図3、
図9A及び
図10Aにはタトゥ部分の輪郭及び貪食細胞を示し、
図5A〜
図5C、
図8、
図9B、
図10B、
図11、
図12A〜
図12B、及び
図13A〜
図13Bには輪郭しか示していない(明確に示してはいないが、このようなタトゥ部分には貪食細胞及びその他の特徴が表現され、またこれらを含むと理解され、また理解すべきである)。
【0045】
本開示は、一般に、皮膚のタトゥ処置(例えば、タトゥの軽減、部分的又は全体的なタトゥ除去)(以下、より一般的に1又は複数の「タトゥ処置」と呼ぶ)に関連する化学物質を1又はそれ以上の治療過程又は治療段階で使用することを含むシステム及び方法に関する。
【0046】
別の態様では、本開示は、具体的には治療を促すための化学物質の使用を含むタトゥ処置に関する。
【0047】
別の態様では、タトゥ処置に発光器又は光発生装置(レーザー、(超短パルス光(IPL)装置又はその印加において使用されるフラッシュランプなどの)ランプ、又はその他の光出力装置)を使用する(i)前に、(ii)後に、及び/又は(iii)それと同時に、化学物質適用過程又は段階を行うことができる。
【0048】
別の態様では、化学物質を局所化学物質とすることができる。
【0049】
別の態様では、化学物質がフッ化炭素を含むことができる。
【0050】
別の態様では、化学物質が非炭化水素界面活性剤を含むことができる。
【0051】
別の態様では、化学物質がフッ化界面活性剤を含むことができる。
【0052】
別の態様では、化学物質がパーフルオロデカリンを含むことができる。
【0053】
別の態様では、本発明は、具体的には化学物質を含む無菌装置を備えたシステム又は方法に関する。
【0054】
別の態様では、無菌装置を使い捨て装置とすることができ、この使い捨て装置は局所化学物質を含むことができる。
【0055】
別の態様では、無菌装置が、フッ化炭素、非炭化水素界面活性剤、フッ化界面活性剤及びパーフルオロデカリンのうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0056】
別の態様では、タトゥ処置に発光器又は光発生装置(レーザー、(超短パルス光(IPL)装置又はその印加において使用されるフラッシュランプなどの)ランプ、又はその他の発光器)を使用する(i)前に、(ii)後に、及び/又は(iii)それと同時に、化学物質適用過程又は段階を行うことができ、この化学物質は、(a)局所化学物質であり、又は(b)局所化学物質ではない。
【0057】
別の態様では、化学物質を、(i)フッ化炭素、(ii)界面活性剤、(iii)フッ化界面活性剤、及び(iv)非炭化水素界面活性剤のうちの1つ又はそれ以上を単独で又は組み合わせで含む局所化学物質とすることができる。
【0058】
別の態様では、局所化学物質がパーフルオロデカリンを含むことができる。
【0059】
別の態様では、タトゥ処置が、タトゥを含む皮膚領域に発光器又は光発生装置からの光を1回又はそれ以上照射することを含むことができる。具体的には、2回又はそれ以上の光照射を含むタトゥ処置において、各光照射の(i)前に、(ii)後に、及び/又は(iii)それと同時に、タトゥを含む皮膚領域に1又はそれ以上の化学物質を適用することができる。1つの態様では、適用される化学物質が、パーフルオロデカリン及び/又は1又はそれ以上のその他のフッ化炭素化合物を含むことができる。別の態様では、化学物質の適用が、このような皮膚領域の局所治療を含むことができる。別の態様では(例えば、別の例示的な実施形態では)、1又はそれ以上の針又は送達装置を使用して、皮膚表面の下部に化学物質を注射することができる。
【0060】
別の態様では、タトゥ処置が、タトゥ部分を含む皮膚領域に、(a)発光器又は光発生装置からの光を1回又はそれ以上照射すること、及び(b)局所的化学物質を適用すること、を含むことができ、光照射の合間の期間は、20分よりも(i)長く、(ii)短く、及び/又は(iii)これとほぼ等しくすることができる。局所的化学物質は、パーフルオロデカリンとすることができる。1回のセッションで光照射を行う場合、皮膚を露光する合間の間隔の1又はそれ以上を実質的に約20分よりも短くすることができる。
【0061】
一般に、光照射は、治療部位を、1又はそれ以上のレーザーパルス又はランプパルスなどの、発光器の1回又はそれ以上の光出力に曝すことを含むことができる。治療部位は、1回又はそれ以上の発光器出力に曝すことができる。例えば、発光器の出力が目標治療部位の一部しかカバーしないような状況では、完全な治療を行うために複数回の出力が必要となり得る。すなわち、例えば発光器の出力が比較的小さく、治療部位の表面において円形形状になると思われる場合、臨床医などは、より大きな及び/又は非円形のタトゥ領域を治療するために、完全に又は部分的に重なることができる2回又はそれ以上の重複出力を使用することができる。通常、治療部位は、(露出のサイズ、位置、強度、時間などの)所望の治療結果が達成されるように十分な出力を受け、又はこれに曝されることがある。例えば、ある部位を所望の白色化効果が生じるまで治療することができ、例えば、観察される色変化又はその他の結果、対象範囲の所望の均一性が達成されること、又は対象範囲の所望の完全性が達成されることによってこれを確認することができる。
【0062】
本明細書では、便宜上、1つの期間内に共に行われる1回又はそれ以上の光照射のグループを「治療セッション」又は「レーザーセッション」と呼ぶことができる。さらに、これも便宜上、複数回の治療セッションは、光照射の2つ又はそれ以上のグループ間の時間に基づいて識別することができる。
【0063】
少なくとも1回の治療セッションが、1回の光照射(すなわち、1回のグループ)しか含まない場合、又は複数回の光照射(すなわち、2回又はそれ以上のグループ)を含む場合、1つの光照射グループと、1又はそれ以上の先行又は後続する光照射グループとの間で約20分よりも長い時間が経過することにより、複数回の治療セッションを識別することができる。
【0064】
限定ではなくほんの一例として、タトゥを含む皮膚領域は、初日(すなわち1日目)の1回又はそれ以上の光照射、及び初日とは異なる第2日(すなわち2日目)の1回又はそれ以上の光照射によって治療することができる。このような例では、1日目の治療を第1の治療セッションと見なし、2日目の治療を第2の治療セッションと見なすことができる。1日目と2日目は連続していてもよく、或いは1日目と2日目が、1日以上、1週間以上、又はひと月以上離れていてもよい。
【0065】
同様に限定ではなくほんの一例として、タトゥ部分を含む皮膚領域を、第1の期間中(すなわち期間1)における1回又はそれ以上の光照射、及び第1の期間とは異なる第2の期間中(すなわち期間2)における1回又はそれ以上の光照射によって治療することもできる。このようなさらなる例では、期間1と期間2の間の時間が約20分よりも長ければ、期間1中の治療を第1の治療セッションと見なし、期間2中の治療を第2の治療セッションと見なすことができる。例えば、限定的な意味ではなく、期間1が早朝に生じ、期間2が同じ日の午後又は夕方に生じた場合、1日に複数の治療セッションが含まれるようになる。期間1と期間2は、約20分よりも長い時間を隔てた連続する期間とすることができる。期間1と期間2は、数日、数週間又は数ヶ月離れていてもよい。
【0066】
一般的に、複数の治療セッションは、光照射グループの合間に20分よりも長い時間が経過することによって識別することができ、本開示の例示的な実施形態によれば、複数回の光照射を含む少なくとも1回の治療セッションの概算時間を、約20分にセッション内の光照射の回数を乗じたものよりも短くすることができる。
【0067】
タトゥ治療中には、真皮内などに例えば気泡が形成されることにより裏付けられる「白色化」反応が起きる。通常、白色化反応は、最初のレーザー露光の直後に起き、この反応の結果は同じセッション内の後続するレーザー露光中又はその後にも残る。白色化反応及び/又はその結果は、最後のレーザー露光から約20分以上で弱まることが観察されており、このことは、例えば気泡の消失によって証明することができる。その他の要因によって気泡の減少が引き起こされることもある。白色化反応は、気泡の発生、又は例えばレーザー露光に関連する急速な加熱又はエネルギー伝達に起因するもの、レーザー誘起による衝撃波に起因するもの、顕微鏡的に見て「爆発性の」細胞又はその他の反応に起因するもの、(ピコ秒又はそれよりも高速なレーザーの使用に関連する)二光子過程に起因するものなどのその他の要因を含み、これらを生じ、又はこれらに起因する可能性がある。気泡は、微小空洞とすることができる。一般に、気泡は、真皮の部分を含む領域又は容積内に存在し得る。一般に、気泡は、皮膚の部分を含む領域又は容積内に存在し得る。
【0068】
1つの態様における「白色化」又は「白色化反応」は、治療部位を光出力(レーザー出力など)に曝したことに起因する負の治療効果を引き起こすあらゆる事象、或いは組み合わせた又は連続する複数の事象を単独で又は組み合わせで意味する。これらの単独の又は組み合わせた、連続する又は連続しない事象は、化学反応をすること(又はしないこと)、物理的変化をすること(又はしないこと)、及び/又は1又はそれ以上の化学反応をすること(又はしないこと)と、1又はそれ以上の物理的変化をすること(又はしないこと)とを単独で又は組み合わせで含むことができる。従って、1つの態様では、本開示は皮膚治療法について説明するものであり、この方法は、(a)全体的に又は部分的に光で治療可能な状態を含む皮膚部分を光出力に曝すステップと、(b)例えばこのステップ(a)などの皮膚治療方法を行うことによる、皮膚治療などに関連する負の治療効果に対して効果的な結果をもたらす事象を実現するのに十分な量の化学促進剤を与えるステップとを含む。効果的な結果をもたらす事象は、単一の事象であっても、及び/又は連続する又は組み合わせた複数の事象であってもよく、化学反応をすること(又はしないこと)、物理的変化をすること(又はしないこと)、及び/又は1又はそれ以上の化学反応をすること(又はしないこと)と、1又はそれ以上の物理的変化をすること(又はしないこと)とを単独で又は組み合わせで含むことができる。タトゥ除去では、負の治療効果の一例として、真皮内における気泡の形成が挙げられる。当然ながら、特に興味深い1又はそれ以上のタイプの光出力に関して(タトゥ除去、皮膚治療、及び/又はその他の用途に関して)本開示の恩恵を受ける当業者が認識するであろう負の治療効果は他にも存在する。負の治療効果に対して効果的な結果をもたらす事象は、単独で又は組み合わせで1又はそれ以上の負の治療効果を打ち消すことができる。効果的な結果をもたらす事象は、予防、消失、減少、抑制、中和、回避、改善、妨害、未然防止、遮断、邪魔、禁止、停止、作用、加速、機能停止、溶解、前進、促進、刺激、除去、ペース調整、制御、誘発、発生、高速化、加温、冷却、容易化、付勢、検査、低速化などの1又はそれ以上の方法を単独で又は組み合わせてこのような負の治療効果又は事象を単独で又は組み合わせて打ち消すことができる1又はそれ以上の発生を含むことができる。当然ながら、これら以外にも、本開示の恩恵を受ける当業者に明らかな方法はさらに存在する。
【0069】
1つの実施形態では、負の治療効果に対して効果的な結果をもたらす事象を引き起こすのに十分な化学促進剤が与えられ、又は促進するステップが、治療参照スケールを用いて定義される1又はそれ以上の異なる事象t
1、t
2、t
3、...、t
nとして行われる。治療参照スケールは、患者及び行われる治療に関連する医師、臨床医又はその他の介護者にとって興味深いものであれば何でも良い。例示的な治療参照スケールとしては、限定ではないが、時間、条件の有無、事象の発生などが挙げられる。なお、t
1、t
2、t
3、...、t
nの各々は、同じ又は異なる治療参照スケール、関連性のある又は関連性のない治療参照スケールなどを使用して定義することができる。
【0070】
タトゥ処置中には、加熱が局所的に行われることもあり、及び/又は加熱によって局所的な気泡発生が生じ、或いは別様に引き起こされ又は促進されることもある。通常、治療中には、組織、皮膚、タトゥ色素、真皮部分などが加熱される。白色化反応の消失は、1又はそれ以上の加熱部分を冷却することにより少なくとも部分的に引き起すことができる。従って、1つの例示的な態様では、本発明の例示的な実施形態は、露光、化学物質の適用などの前、最中又は後に、治療に関連する冷却(例えば、皮膚、真皮、治療部位、化学物質、光照射器、化学物質塗布器、発光器出力送達システム、包帯、パッチ、皮膚接触装置などの冷却)を行うための冷却段階又は冷却過程を含むことができる。
【0071】
この場合も、通常、白色化の消失は、レーザー露光後に時間をかけて行われる。白色化反応は、特にレーザー露光後に20分経過した直後に1回又はそれ以上のレーザー露光が行われる場合(そしてこのようなレーザー露光後に同様の20分の消失期間を伴う場合)には、レーザー露光後に約20分以上経過してから消失することが有利であることが分かっている。レーザー通過の合間に20分の間隔を含むこのような過程は、「R20」法と呼ばれることがある。しかしながら、この「R20」法には重大な欠点がある。例えば、この(例えば、4回のレーザー通過を含む)R20法を使用すると、1回の治療セッション毎に最大80分(又はそれ以上)の治療時間が必要となることがあり、これは実用的でない。従って、より短いセッションにおいて有効なタトゥ治療方法及びシステムが非常にしかも長年にわたり必要とされている。
【0072】
R20法による例示的なレーザーの通過を、
図5A、
図5B及び
図5Cに大まかに示す。
図5Aに示すように、発光器210からの光200が、皮膚部分30を貫通して真皮70内のタトゥ10にぶつかる。この結果、気泡220が形成される。また、タトゥ10の貪食細胞又は再貪食細胞が破壊されることなどにより、タトゥの近傍でタトゥの顔料色素230が放出される。
【0073】
図5Bには、
図5Aに示すレーザー通過終了後の皮膚部分30を示す。図示のように、タトゥ10の近傍で染料230の量が増加するとともに、気泡220の数が増加している。
【0074】
図5Bに示すような皮膚部分30に対して引き続きレーザーを通過させても効果は発揮されない。例えばKossida等が記載するように、30秒〜20分の間隔を置いて2回通過させる試験を行うと、1回通過させるよりも効果が低い。
【0075】
従って、R20法で複数回のレーザー通過を行うには、皮膚部分が、
図5Bに示す最初の状態から
図5Cに示す治療的に光を受け入れやすくなる状態(すなわち、例えば気泡220が少なく染料230がさらに分散したような状態)へと自然に消散するために約20分以上の遅延が必要になる。換言すれば、皮膚部分30は、
図5Aから
図5Bには比較的早く進行することができるが、この同じ皮膚部分が
図5Bから
図5Cに進行するためにははるかに長い時間、すなわち約20分以上を要する。
【0076】
図4のフローチャートにも、R20法を大まかに示している。図示のように、1回のレーザー治療セッションは開始100から終了140まで続く。ステップ110において、まず治療部位に対して光線治療を行う。次に、ステップ120において、医師は、白色化の減少が自然に行われるように約20分以上待たなければならない。この遅延後、治療部位は、治療的に光を受け入れやすい状態になり、医師は、ステップ130において、治療を終了する(すなわち、1回通過のレーザーセッションを行う)か、それとももう1回レーザーを通過させて光線治療を継続する(すなわち複数回走査レーザーセッション)かを決定する。
図4に示すように、複数回通過のレーザーセッションステップ110では、ステップ140においてセッションが終了するまでステップ120及びステップ130を繰り返す。
【0077】
本開示で説明するように、化学物質の使用を含む1回又はそれ以上の治療過程又は治療段階では、1又はそれ以上の白色化反応及び/又は1又はそれ以上の白色化反応の結果を非常に早く消失させることができた。例えば、
図6及び
図7を参照されたい。化学物質の使用を含むこのような治療では、とりわけ従来のタトゥ軽減又は除去方法(R20法など)で問題視される「待機」ステップが排除される。このように、限定的な意味ではないが、このような化学物質及びその使用は、それぞれ治療促進剤及び促進ステップと見なすことができる。例えば、
図6及び
図7を
図4(
図4の停止サイン/待機ステップのみ)と比較されたい。
【0078】
図6に示すように、1つの実施形態では、ステップ2000において光線治療セッションを開始し、ステップ2050において終了する。まず、ステップ2010において、光線治療の前に化学促進剤を使用するかどうかを決定する。化学促進剤を使用しない場合、方法は、治療部位に光線治療を行うステップ2030に進む。一方、化学促進剤を使用する場合、方法は、治療部位に化学促進剤を与えるステップ2020を行った後に光線治療ステップ2030を行う。光線治療後、ステップ2040において、追加の光線治療を行うかどうかを決定する。行う場合、ステップ2010、ステップ2020、ステップ2030及びステップ2040を1回又はそれ以上繰り返す。ステップ2040において、このセッション中にこれ以上光線治療を行わないと決定した場合、治療セッションはステップ2050において終了する。
【0079】
本開示によれば、特定の適用に関わる状況に応じ、
図6に示す実施形態の変形例を使用することができる。例えば、1つの代替実施形態を
図7に示す。
【0080】
図7に示すように、レーザー治療セッションは、その開始3000からその終了3090に及ぶ。ステップ3010において、化学促進剤の使用(又は不使用)に関する最初の決定を行う。促進剤は、例えば、その後の光線治療段階中に所望の白色化の抑制を達成するために使用することができる。化学促進剤を望まない場合、ステップ3020において治療部位に光線治療を行う。この時点で、露光後に、ステップ3030において、治療部位に対する追加の光線治療を許可するかどうかを決定する。許可する場合、方法はステップ3010に戻る。
【0081】
ステップ3010において化学促進剤を使用すると決定した場合、ステップ3040において、化学促進剤の使用を治療部位に対する光の照射と同時に行うかどうかをさらに決定する。同時使用を計画しない場合、ステップ3050において治療部位に化学促進剤を与え、この実施形態の方法はステップ3020に進む。光と化学促進剤の同時送達を望まない場合、関連する特定の状況に適した説明したシステムの実施形態を使用して、露光の前にステップ3050において化学促進剤の適用及び送達を行うことができる。このような実施形態、及びこの実施形態を(例えば、レーザー使用の前の)化学促進剤による前処理に使用する一例を
図10A及び
図10Bに示す。
【0082】
一方、ステップ3040において、化学促進剤と光線治療を同時に使用すると決定した場合、方法はステップ3060に進み、化学促進剤を光と共に治療部位に与える。化学促進剤と光線治療の同時送達を行う本開示の1つの例示的な実施形態を
図9A及び
図9Bに示す。関連する特定の状況によっては、このような例示的な実施形態により、露光前に化学促進剤による前処理を行えることにも留意されたい。
【0083】
この例示的な方法は、ステップ3020及びステップ3060の後にステップ3030に進み、治療部位に対して追加の光線治療を行うかどうかを決定する。追加の光線治療が必要でない場合、方法はステップ3070に進む。ステップ3070において、追加の化学促進剤を治療部位に適用又は送達する必要があるかどうかを決定する。このような追加の化学促進剤は、例えばステップ3090におけるセッションの終了前に、残存するあらゆる白色化効果を急速に除去するために必要な場合がある。当然ながら、この決定は、特定の治療を伴う状況に依存する。追加の化学促進剤が必要な場合、促進ステップ3080においてこれを与えた上でセッションはステップ3090において終了し、必要でなければ、方法はステップ3070からステップ3090に進んで終了する。
【0084】
1つの実施形態では、化学促進剤がフッ化炭素を含む。別の実施形態では、使用する化学物質がデカリンの誘導体を含む。別の実施形態では、使用する化学物質が、水素の0〜100%を重水素などに置換した、フッ素を含む有機化合物である。別の実施形態では、化学物質がハイドロフルオロカーボンを含む。別の実施形態では、化学物質が1H−パーフルオロペンタデカン(ヘントリアコンタフルオロペンタデカン)を含む。化学物質は、(i)フッ化炭素、(ii)表面活性剤、(iii)フッ化界面活性剤、及び(iv)非炭化水素界面活性剤のうちの1種類又はそれ以上を含むことができる。
【0085】
1つの例示的な実施形態では、白色化反応結果の非常に早い消失が、パーフルオロデカリン(C
10F
18)を含む化学物質の使用を伴う。パーフルオロデカリンは、フッ化炭素、及び全ての水素原子をフッ素原子に置換したデカリンの誘導体である。一般に、パーフルオロデカリンは化学的及び生物学的に不活性であり、約400℃まで安定すると考えられている。Tsai等による「液体状パーフルオロ−n−アルカン(CnF2n+2、n=5〜9)」(Tsai、2009年)に詳細に記載されているように、パーフルオロデカリン(C
10F
18)は、高揮発性、低表面張力、高ガス溶解度及び非常に低い水溶解性を有する無色、無臭、無毒、不燃性、熱安定性、非オゾン性、枯渇性及び重質の化合物(高密度及び高粘度)である。現在では、主に代用血液として次第に使用されている(Lowe、2008年)。また、パーフルオロデカリンは、様々な診断撮像技術(超音波画像など)における造影剤(Hall等、2000年)、硝子体網膜手術(診療眼科)における一時的術中硝子体代用物(Heimann等、2008年)、火傷した皮膚及び創面を修復するための化粧品及び軟骨添加物(Oxynoid等、1994年)、薬物送達において使用される液体換気(Kraft、2001年)、ワクチンを含むガラス化ミクロスフェアのキャリア(Coghlan、2004年)、有機合成又は有機金属合成における反応媒体(Hibbert等、1997年、Sandford、2003年)、潤滑剤のガス改質、並びに光レーザー及び液体レーザーにおいて使用される揮発性界面活性剤(Stoilov、1998年)、海洋及び地下水の環境品質モデリングにおけるトレーサーガス(Watson等、1987年、Dees等、1999年)として使用することができる。
【0086】
図8に、パーフルオロデカリン300を含むパッチ400を使用してパーフルオロデカリンを治療部位に送達することを含む例示的な実施形態を示す。パッチ400は、第1の部分410と、パーフルオロデカリン300を含む第2の部分420とを含む。
図8に示すように、パッチは皮膚表面40上に位置し、パーフルオロデカリンが、パッチ400からタトゥ10近傍の領域及び容積に移動している。図示のように、パーフルオロデカリンは、タトゥ10の近傍のみならず、表皮60、角質層50及び皮膚表面近くの環境430の近傍に様々な時点で存在することができる。
【0087】
図8に示すように、レーザー通過後の初期状態(例えば、
図5Bに示す状態)にパッチ400が皮膚部分30を横断すると、パーフルオロデカリンがパッチ400からタトゥ及び白色化近傍の領域に移動することに関連する気泡220の減少によって証明されるように、白色化が急激に、恐らくはほとんど瞬間的に低減される。
【0088】
1つの実施形態では、パッチ又はその他の化学促進剤送達手段を、物理的及び/又は生理的に皮膚に類似させることができる。このような手段は、患者に密接に適合し、実質的に光学的に透明であり、及び/又は使用時に痛みを和らげ、無害であり、快適な、及び/又は心地良いものとすることができる。さらに、パッチ又はその他の化学促進剤送達手段は、1又はそれ以上の負の治療効果に対して1又はそれ以上の効果的な結果をもたらす事象を促す役に立つように、例えば皮膚又は特定の治療のその他の態様と協働することができる。
【0089】
例えば
図8に示すように、パーフルオロデカリンは、パッチを使用して治療部位に適用しなくてもよい。特定の適用に関わる状況に応じて、他の化学物質及び促進剤送達手段を使用することもできる。例えば、レーザー治療における白色化を数秒以内に効果的に消失させるために、綿棒を使用してパーフルオロデカリンを小ビン又はその他の液体容器から治療部位に塗布することが示されている。本開示に含まれる予備実験結果を参照されたい。
【0090】
図9Aに、パーフルオロデカリンを含むパッチを使用することによって望ましくない白色化効果を防ぐ例示的な実施形態を示す。
図9Bに示すように、タトゥ部分10を、パッチ500を通じて送達される光出力520に曝す。露光に先立ち、タトゥ10近傍の皮膚表面40上にパッチ500を配置する。パッチ500は、パーフルオロデカリン300に対して実質的に不透過性とすることができる表面又は領域510を含む。この領域510は、パッチの内部に存在してもよく、及び/又はパッチの外面の1又はそれ以上の部分を形成してもよい。パッチ500内の表面510と皮膚表面40の間に存在するパーフルオロデカリンは、タトゥ10を含む皮膚部分30に移動する。パッチは、光学的に透明とすることができる。パーフルオロデカリンを含むパッチも、光学的に透明とすることができる。
【0091】
1つの実施形態では、パッチ500が、タトゥ10近傍の皮膚部分30に十分な量のパーフルオロデカリン300が入り込んで所望の治療結果を達成するまで皮膚表面上の適所に留まる。パッチ500を通じて発光器530からの光出力520を送達してタトゥ10を治療する。
図9Bを参照されたい。必要に応じ、発光器530は、所望の皮膚領域を治療するためにパッチを横断することができる。発光器530は、表面510に接触していても、又は表面510から離れていてもよい。代替の実施形態では、レーザー治療の前にパッチ500を除去して、光がパッチ500を通過せずにパーフルオロデカリン300を含む皮膚部分30に直接ぶつかるようにすることができる。
【0092】
図9Bに示すように、効果的に治療されたタトゥ部分近傍のパーフルオロデカリンが、レーザーの通過に起因する白色化を抑制する。気泡220の形成が部分的に防がれ、及び/又は形成された気泡のかなりの部分が急速に又はほぼ瞬間的に除去される。
【0093】
図10A及び
図10Bに、パーフルオロデカリンを含む綿棒を使用してパーフルオロデカリンを治療部位に送達することを含む本開示の別の例示的な実施形態を示す。綿棒600の先端部610は、パーフルオロデカリンの適用又は送達を促す綿又はその他の材料を含むことができる。パーフルオロデカリン300は、パーフルオロデカリンを大量に含む物質(例えば、限定ではないが、ゲル、小ビン又はその他の容器又はキャリア内の液体パーフルオロデカリンなど)に先端部610を少なくとも部分的に浸漬し、又は別様に接触させることにより、綿棒先端部610に与えることができる。1つの実施形態では、綿棒600自体が、例えば先端部自体、又は綿棒600の本体の空間内などにパーフルオロデカリン300を含むことができる。この空間は、綿棒先端部610又はその他の送達点と直接的に流体連通し、又はこのように配置することができる。当然ながら、本開示の恩恵を受ける当業者には明らかなように、他の構成を使用することもできる。
【0094】
図10Aに示すように、パーフルオロデカリンを含む先端部610を、治療部位の部分を横切って1回又はそれ以上動かすことにより、パーフルオロデカリンをタトゥ10近傍の領域又は容積に移動させることができる。このような移動後に、綿棒又はその他のパーフルオロデカリン送達手段を取り除き、発光器630からの光出力620を使用してタトゥ10を治療することができる。
図9A及び
図9Bに示す方法と同様に、タトゥ10の近傍にパーフルオロデカリン300を送達することが、レーザーの通過後の望ましくない白色化を防ぐ助けとなる。白色化の防止は、限定的な意味ではないが、気泡形成の防止、形成された気泡の素早い消失、及び1又はそれ以上の他の状況を含む単独の1又はそれ以上の要因又はこれらの組み合わせによって行うことができると考えられる。
【0095】
1つの実施形態では、レーザーによるタトゥ軽減化又は除去処置において、パーフルオロデカリンが白色化に対抗する促進剤として効果的である。促進剤の送達に使用する特定の実施形態に関わらず、白色化に対抗する化学促進剤を使用すると、医師は、従来の方法よりも迅速に、例えばレーザーを通過させる間隔を実質的に約20分以上よりも短くしてタトゥを治療できるようになる。或いは、別の視点から見れば、従来のタトゥ治療システム及び方法を使用した場合、通常、治療部位が初期状態(
図5A及び
図5Bに示すような状態)からその後の光線治療準備状態(
図5Cに示すような状態)に推移するのに約20分以上かかる。化学促進剤の使用は、このような推移を速める。
【0096】
従来のR20法及びその他の治療法では、1回のレーザー通過に起因する白色化は約20分以上経つと低減する。治療部位は初期状態からゆっくりと推移し、最終的にこのような領域は、初期状態に比べて全体的にレーザー治療を受け入れやすく改善された状態を自然に示すようになる。従って、従来のR20法及びその他の治療法に伴う総治療時間は極めて重要である。
【0097】
従来の方法は、治療セッション毎にかなりの待機時間が必要とされることにより大いに問題がある。例えば、医師が、複数回の通過によるレーザー治療セッションを継続するために1回のレーザー通過毎に20分待つ必要がある場合を考えてみる。このような遅延は、医師にとっても患者にとっても時間管理の面から不便である。さらに、特に毎日大勢の患者を治療する可能性があり、しかも待合室及び治療を行うための診察空間が限られている場合、この遅延により診療所内の患者の管理及び流れが極めて困難になる。従来の複数回通過法は、単一通過法に比べて有効性では勝っているものの、長い治療時間を必要とすることによってその採用が限られる。
【0098】
本発明及び本開示は、上記の及びその他の従来方法の問題点に効果的に対処する。1つの例示的な実施形態は、治療部位が同一又は類似のレーザー治療を受け入れやすい状態をより速く示すようにするための促進ステップの使用に関する。場合によっては、この受け入れやすい状態を、光学的及び/又は治療的視点から改善された又はより受け入れやすくなった状態とすることができる。使用する促進剤は化学物質を含むことができ、促進方法の部分は、化学物質の使用を含む1又はそれ以上のステップに関し、又はこれを含むことができる。促進剤は、パーフルオロデカリンを含む化学物質とすることができる。化学物質は、パーフルオロデカリンを含まない化学物質であってもよい。本開示の図面には、説明を明確かつ便宜的に行うことのみを目的として、また限定的な意味ではなく、化学促進剤としてパーフルオロデカリンを示している。しかしながら、本発明及び本開示は必ずしもそのように限定されるわけではない。しかしながら、化学促進剤を使用すること、及び化学物質の使用を含む促進ステップを実行することにより、治療部位は、初期状態(
図8、
図9A〜
図9B、
図10A〜
図10Bに示すこのような初期状態の例)からその後の状態(例えば
図11に示すこのようなその後の状態)に迅速に推移することができる。
【0099】
具体的な治療の作用機構は複数の要因に関連するが、タトゥ色素が1又はそれ以上の金属及び/又は金属粒子を含むことに起因して、この色素の加熱がある役割を果たすと考えられる。タトゥ色素は、加熱されることで散乱又は細胞間分散して除去が促進されるようになる。色素(例えば貪食化及び/又は再貪食化されたタトゥ色素粒子)を含む細胞を加熱又は別様に処理すると、細胞の分解、破壊又は分散が引き起こされ、これによりリンパ系を通じてタトゥ色素染料を除去することができる。レーザー治療中におけるタトゥ10近傍の染料700を示す
図11を参照されたい。レーザー光を照射するとエンタルピが局所的に増加し、この急速な加熱及び/又はその他の要因に伴って、ほとんど瞬間的に気泡が形成される。一般に、治療部位の色変化(例えば、白色化)によって識別できることが多い気泡の形成が望ましくないものと見なされる少なくとも部分的な理由は、気泡の存在が治療部位における光透過を抑制する傾向にあると考えられ、これらの気泡を消失させるためにレーザー露光及び/又はレーザー通過の合間に約20分以上の間隔が必要になるからである。
【0100】
キャリア又はその他の塗布器アセンブリを通じて治療部位に化学物質を直接的又は間接的に送達すると、(i)局所的表面張力の減少、(ii)ガス吸収、(iii)組織又は皮膚内への浸透、(iv)(細胞間及び/又はその他の)ガス拡散の高まり、(v)組織内の移動又は流れ、(vi)屈折率整合、(vii)空隙洞又はガスが充満した間質の充填、(viii)光学散乱の減少、及び(ix)光学的除去、のうちの1又はそれ以上を通じて、白色化及び/又は治療を抑制するその他の望ましくない条件の解消を促すことができる。これらの要因、及び場合によってはその他の要因は、パーフルオロデカリンを含むような化学促進剤を使用した際に観察される非常に速い解消に関連し得る。例えば、液体呼吸の用途で使用することにより立証されるように、一般にパーフルオロデカリンは、例えば優れた気体運搬特性及びガス吸収特性を有する。パーフルオロデカリンを使用すると、レーザー後の白色化の消失時間を約30秒未満に、より具体的には約5秒未満にすることができる。当然ながら、実際の時間は、(治療部位のサイズなどの)特定の用途に伴う特定の状況に依存する。同様に、タトゥ除去のためのレーザーセッションには、総治療時間でも数分しか要しない。
【0101】
治療を抑制する傾向にある条件の解消は、様々な方法で確認することができる。一般に認められている関連パラメータ(気泡のサイズ、密度、総数、溶解など)の測定技術に加え、一般に白色化領域の全部又は一部の暗色化によって特徴付けられる色変化を観察することができる。場合によっては、治療部位が消散し、白色から灰色又は黒色に、或いは元々のタトゥ又は治療部分の色に変化することもある。色変化の速さ、1又はそれ以上のパラメータなどを確認することもできる。
【0102】
R20法の使用を含むレーザー治療には、観察される白色化(例えば、このような白色化の例示的な表現である
図5Bを参照されたい)のほとんどが20分で消失するものもあるが、耐え延びてこの時間内ではそれほど良好に消失しない1又はそれ以上の領域(治療部位の比較的わずかな部分など)も存在し得る。しかしながら、(数ヶ月間にわたる複数回の治療を含む典型的な治療法などのように)かなり長い間、すなわち最大1ヶ月間さらに待つことになった場合、このような領域は最終的にほぼ消散し、ほとんど又は全ての白色化が消失する。
【0103】
本開示の例示的な実施形態では、1回又はそれ以上のレーザー通過後にパーフルオロデカリンを送達することにより、(パーフルオロデカリンを使用しなかった場合には)耐え延びて約20分ではそれほど良好に消失しなかったはずのこのような領域が実質的に除去される。従って、本明細書で説明するようなパーフルオロデカリンを使用するタトゥ治療又は処置は、実質的に完全な又は全体的な治療部位の迅速な消散(例えば、最大ほぼ100%の消散、完全な消散)を、やはり特定の用途に伴う特定の状況にもよるが、例えば数分で、5分未満で、ほぼ瞬間的に、R20よりも速く、数秒で、5秒未満などで実現することにより、R20及びその他の治療法よりも高い効果を上げることができる。
【0104】
図12Aに、複数回のレーザー通過治療セッション中のタトゥ部分12を示す。具体的には、
図12Aは、複数回の通過治療における、より最近の1回のレーザー通過後の状態にあるタトゥ部分12を示すものである。図示のように、複数回のレーザー通過を反映するために上述の図におけるタトゥ10よりも小さなサイズで示すタトゥ12を、染料色素を含む貪食細胞などからの相当量の染料800が取り囲んでいる。治療部位における数多くの気泡800によって裏付けられるように、かなりの白色化が存在する。
図12Aでは、パーフルオロデカリン又は他のいずれかの促進剤が存在しないことにより、例えば、実行された最後のレーザー通過よりも前に又はこれと同時に化学促進剤を使用することなくレーザー通過が完了したことを示唆している。仮にこのような促進剤を使用していたならば、
図12Bに示す状態に酷似する状態が予想できたであろう(当然ながら、関連する特定の状況にもよるが)。
図12Bには、相対的に少ない気泡910によって裏付けられるように、
図12Aに比べて減少した白色化を示しており、残存する促進剤900が若干存在する。さらに、
図12Aと
図12Bでは、染料920の量及び治療されたタトゥ部分12のサイズがやや類似しているが、必ずしもそうである必要はない。実際のところ、化学促進剤を使用すると治療効果が全体的に高まる。
【0105】
図13Aに、複数回のレーザー通過及び白色化を含むタトゥ処置においてパーフルオロデカリン1010を含む綿棒1000を使用する1つの例示的な実施形態を示す。綿棒先端部1020からは、気泡1030及びタトゥ色素染料1040を含む治療部位に十分な量のパーフルオロデカリン1010が供給され、これにより白色化が実質的に消失する。
図13Bを参照されたい。
【0106】
パーフルオロデカリンの使用は、光学的除去効果を有する。この効果は、それ自体が、例えばレーザー治療セッションの合間に「1ヶ月以上待機する」「3〜6週間待機する」典型的な方法、R20法などを含む先行技術の方法と比べて本発明のシステム及び方法を改善できるものである。実際に、パーフルオロデカリンは、このような条件の全体的又は部分的な排除又は除去を促進するためにレーザー治療を使用する真皮(又は他の場所)内のあらゆる(又は少なくとも様々な)一般的に望ましくない条件のレーザー治療を容易にすることができる。1つの態様では、本発明の例示的な実施形態は、発光器出力による治療が治療的有用性を促す望ましくない皮膚条件の少なくとも一部を排除する排除ステップを含み、この排除ステップは、(a)望ましくない皮膚条件近傍の皮膚領域にパーフルオロデカリンを送達するステップと、(b)この皮膚領域を治療量の発光器出力に曝すステップとを含む。パーフルオロデカリンを含んだもの以外の化学促進剤を、その望ましい特性(優れた皮膚浸透力、望ましい治療結果、及び/又はその他の因子など)に基づき選択して使用することもできる。場合によっては、化学促進剤の使用により、レーザーセッション間の時間を実質的に約3〜約6週間未満に短縮することもできる。
【0107】
本開示の1つの態様によれば、タトゥ近傍の血液の少なくとも一部をレーザー治療の前にmetHbに予変換しておくことによってタトゥ治療を行うことができる。レーザー治療前のmetHbへの「予変換」は、ベンゾカイン及び/又は同様の薬品を局所的に適用することによって行うことができる。(本明細書では、説明を簡単にするためにベンゾカインにしか言及しないが、本発明は必ずしもそのように限定されるわけではない。)ベンゾカインは、皮膚に浸透し、酸素ヘモグロビン(HbO
2)及び脱酸素ヘモグロビン(RHb)を高効率かつ高速にメトヘモグロビン(metHb)に化学的に変換する。
【0108】
1又はそれ以上のヘモグロビン種をmetHbに予変換することにより、治療部位における血管の光学的吸収度が効果的に変化せず適合するようになり、従ってレーザー治療中に突然かつ予測不能に変化する可能性が低減又は排除され、有害事象及び/又は不十分な治療結果の可能性が減少する。
【0109】
スペクトルの可視部分などの波長によっては、metHbの吸収度が他のいくつかのヘモグロビン種より低いこともある。NIR(750nm〜概ね1500nm)などの他の波長では、metHbの吸収度は、他のほとんどヘモグロビン誘導体よりも高い。これらのヘモグロビン種の相対濃度が分からないことにより、タトゥ近傍の反応が所定の光学治療条件に著しく変化することがある。
【0110】
ベンゾカインは、例えばスプレー、前処理した布巾、予め充填した塗布器、綿棒、パッチ又は局所クリームなど多くの方法で送達することができる。1つの実施形態では、これらの又はその他のようなベンゾカイン送達手段によって制御濃度の薬品を治療部位に供給し、制御されていない濃度を適用することに関連する問題又は潜在的有害事象を避けるようにする。例えば、ベンゾカインスプレー及び同様のものは、ある条件下で、(メチレンブルー注射又は酸素投与によって)治療可能ではあるがチアノーゼ(呼吸停止)状態となるメトヘモグロビン血症を引き起こすことがあり、特に血液循環量が少ない新生児では死に至る可能性がある。
【0111】
本開示の1つの態様によれば、脂質の多いゲルを含む透明な可撓性の包帯又はパッチが、ベンゾカイン送達手段の役割を果たすことができる。このゲルは、望ましい濃度のベンゾカインを含む。ゲル内のベンゾカイン濃度は、包帯又はパッチを使用することにより送達されるベンゾカインの量がゲル内に予め充填されたベンゾカインの量を越えないという点で、metHbへの変換に対する上限又はチェックの役割を果たす。
【0112】
本開示の1つの態様によれば、ベンゾカイン送達手段が、治療レーザーの出力に対して透過的なゲルを含む可撓性の包帯又はパッチを含むことができる。治療時には、医師が適所にゲルを残し、これを通じてレーザーを浴びせることができる。或いは、医師が治療レーザーを使用する前にゲルを除去し、素肌に作用させることもできる。また、医師は、必要に応じてゲルを適宜再塗布することもできる。
【0113】
同様に、パーフルオロデカリンも、例えば、スプレー、前処理した布巾、予め充填した塗布器、パッチ、ゲル、綿棒、局所クリームなどの多くの方法で送達することができる。1つの実施形態では、これらの上述した例のような及びその他のベンゾカイン送達手段によって制御濃度のパーフルオロデカリンを治療部位(例えば、患者の皮膚)に供給し、制御されていない濃度を適用することに関連する問題又は潜在的有害事象を避けるようにする。
【0114】
1つの態様では、脂質の多いゲルを含む本開示の1つの実施形態において、ゲルが、あらゆる非極性、非水性材料を含むことができる。例えば、脂肪、脂肪酸、モノ−及びポリ−グリセリド、グリコール脂質、ポリケチド、グリセロリン脂質及びスフィンゴ脂質を含むゲルを使用することができる。また、脂質の多いゲルは、非極性、非水性有機物を含む物質であってもよい。このような物質の例としては、限定ではなく一例として、ヘキサン、セプタン(septan)、ノナン、ナフサ、ナフタリン、ポリ芳香族分子、ペルフルオロ炭化水素、ペルフルオロデカリン、フレオン、オクタン、n−ヘキサン及び同様の分子が挙げられる。
【0115】
本開示の1つの態様によれば、脂質の多いゲルを含む透明な可撓性の包帯又はパッチが、パーフルオロデカリン送達手段の役割を果たすことができる。このゲルは、望ましい濃度のパーフルオロデカリンを含む。ゲル内のパーフルオロデカリン濃度は、治療部位におけるガスの存在及び/又は量の上限又はチェックの役割を果たし、及び/又は強化された光学的除去を行い又は促す。完全に有機性の、水性/有機性混合の、及び/又は完全に水性のゲルは、キャリアの役割を果たすことができる。また、ゲルは、1又はそれ以上の関心化学物質又は関心物質(すなわち、パーフルオロデカリン)を含むエマルジョンを含むこともできる。
【0116】
本開示の1つの態様によれば、パーフルオロデカリン送達手段は、治療レーザーの出力に対して透過的なゲルを含む可撓性の包帯又はパッチを含むことができる。治療時には、医師がゲル及び/又は包帯又はパッチを適所に残し、これを通じてレーザーを浴びせることができる。或いは、医師が治療レーザーを使用する前にゲル及び/又は包帯又はパッチを除去し、素肌に作用させることもできる。可撓性のゲル包帯又はパッチを適所に残すことで、例えばシールドとして機能すること、排出物を収集すること、吸収、物質の選択的回収又は配置、治療部位を洗浄、清浄化又は包含すること、偏向、反射など、有益な散乱又は方向変換、封じ込め、カプセル化、消毒、除去、変質、及び/又は、麻酔薬、ガレヌス局所剤/薬剤、又はその他の患者の快適性を向上させる物質などを送達することにより、治療部位から残骸が排出又は放出されるのを抑制又は制限すること、排出物から保護すること、望ましくない状態を改善及び/又は排除することなどを支援して医師及び/又は患者を助けることができる。パッチは、単独で、又は装置と共に使用して、上述した望ましい機能、過程、材料などの1つ又はそれ以上の有効性を選択的に実行し、実行を助け、促進し、及び/又は支援することができる。
【0117】
1つの例示的な実施形態では、キャリア又は塗布器が提供される。このキャリア又は塗布器は、皮膚の治療部位の近傍に位置するようになっている。このキャリア又は塗布器は、透明な可撓性部分を含むことができる。キャリア又は塗布器を皮膚の治療部位に対して位置付ける場合、透明な可撓性部分と皮膚の治療部位との間に、パーフルオロデカリン、別のガス吸収化学物質、又はその他の化学促進剤を含む化学物質を配置することができる。1つの実施形態では、一般にキャリア又は塗布器の完全に又は部分的に皮膚と接触できる部分の反対側に存在するキャリア又は塗布器の第1の側に透明な可撓性部分を配置することができる。
【0118】
キャリア又は塗布器の透明な可撓性部分は、パーフルオロデカリン(又はその他のガス吸収又は化学促進剤)が液体状態の場合、気体状態の場合、又は液体状態及び気体状態の両方の場合に、これに対して実質的に不透過性であることができる。キャリア又は塗布器のこのような部分は、例えば蒸発によってパーフルオロデカリン又はその他の化学促進剤が失われるのを防ぐ傾向を有することができる。さらに、キャリアの透明な可撓性部分、及び/又はパーフルオロデカリン及び/又はその他の化学促進剤が(例えば体温で)暖まるにつれ、パーフルオロデカリン及び/又はその他の化学促進剤の蒸気圧が上昇する。このような状況では、キャリア又は塗布器の透明な可撓性部分が、パーフルオロデカリン及び/又はその他の化学促進剤を、液体と気体に液体のみの全ての置換物を加えた形で、気体のみの全ての置換物を加えた形で、液体+気体の全ての置換物を加えた形で皮膚の治療部位にさらに進入させる。
【0119】
1つの実施形態では、パーフルオロデカリン又はその他の化学促進剤を皮膚の治療部位に送達するシステムが、パーフルオロデカリン又はその他の化学促進剤を皮膚の治療部位に進入させるのを促す手段を含むことができる。このような手段は、振動、超音波、熱、圧力、冷却、化学勾配及び化学作用電位のうちの1又はそれ以上を単独又は組み合わせて含み又は提供することができる。
【0120】
別の実施形態では、パーフルオロデカリン又はその他の化学促進剤を皮膚の治療部位に送達するシステムが、パッチ又はその他の装置を含み、このパッチ又はその他の装置は、レーザー出力に対して透過性であり、流体に対して不透過性の層を含む頂面を含み、可撓性があって患者の身体部分に適合し、パーフルオロデカリンを含むことができるゲルを含み、ゲル内のパーフルオロデカリンの一時的滞留を促す手段を含む。1つの実施形態では、システムを部分的に剛性とすることができる。1つの実施形態では、システムが、パッチ又はその他の装置を患者の体内で使用する前に全体的又は部分的に収容するとともに、ゲル内のパーフルオロデカリンの一時的滞留を促す役に立てるための剥離ライナー、ホイルパック、パウチなどを含むことができる。
【0121】
別の実施形態では、タトゥ治療システム及び方法が、皮膚の治療部位を前治療又は前処理した後に、この部位にパーフルオロデカリン又はその他の化学促進剤を送達することを含む。前治療又は前処理は、皮膚の治療部位近傍で、部分レーザー、切除部分レーザー、非切除部分レーザー、1又はそれ以上の極微針アレイ、加熱パッド又は加熱面などの加熱装置、皮膚部分を冷やすための冷却装置、グリコール酸又はジメチルスルホキシド(DMSO)などの化学物質のうちの1つ又はそれ以上を使用することを単独で又は組み合わせて含むことができる。前治療又は前処理は、皮膚の治療部位にパーフルオロデカリンを送達する前に、部位の浸透性を向上させる傾向を有することができる。他の前治療又は前処理を使用して、例えば、治療部位の洗浄などの治療的有用性を促進する環境を生み出すこともできる。前治療又は前処理においてパーフルオロデカリンなどの化学促進剤を使用することもできる。
【0122】
別の実施形態では、タトゥ治療システム及び方法が、化学物質搬送装置を使用してパーフルオロデカリン又はその他の同様の化学物質を送達することを含む。この搬送装置は、一般にパーフルオロデカリン又はその他の化学物質が治療部位に浸透するのを促す。搬送装置の例としては、限定ではないが、1又はそれ以上の針、1又はそれ以上の注射器、微小針アレイ、1又はそれ以上の注入器、グリコール酸、DMSO、浸透オイル、フレオン、イオン導入経皮システムなどが挙げられ、これらは経皮的移動性及び/又は浸透性を高める。
【0123】
タトゥの治療に使用する光出力密度が不快に感じられることにより、痛みによって患者の動き及び苦痛が誘発され、従って手術中の医師による治療レーザービームの安定的で適切な光送達が抑制されることがある。従って、本開示の1つの態様によれば、1又はそれ以上のヘモグロビン種をmetHbに予変換する薬剤の投与、及び/又は化学促進剤(例えばパーフルオロデカリン)の送達と麻酔薬の投与が同時に行われる。場合によっては、予変換薬剤が単独で、或いは1又はそれ以上の他の麻酔薬と組み合わせて麻酔薬の役目を果たすこともできる。例えば、ベンゾカインは、効果的な予変換薬剤であるとともに効果的な局所麻酔薬(実際にはこれが正式な使用表示である)でもある。パーフルオロデカリンに加えて(例えばパーフルオロデカリンを投与する前、その最中又は後に)麻酔薬を患者に投与することができ、この麻酔薬は予変換を促すものであっても、又は促さないものであってもよい。
【0124】
その他の皮膚状態も、例えば治療部位の光吸収を変化(増加又は減少)させる(特定波長の治療光の影響を受け易くする)こと、痛みを軽減すること、又はこれらの両方により、本開示の1又はそれ以上の態様による治療の恩恵を受けることができる。このような状態及び治療部位としては、限定ではないが、脈管腫、血管腫、毛細血管拡張症、静脈瘤、糸目、しわ、傷跡、皮膚表面欠陥、皮膚の色素沈着異常領域、そばかす、加齢によるしみ、日光黒子、にきび、過剰色素沈着、低色素沈着、良性の色素性病変、及びその他のこのような又は関連する状態が挙げられる。さらに、本出願の発明の名称及び要約書は、いずれも便宜的な目的で示しているにすぎず、必ずしも本発明及び本開示の範囲を限定するものではない。
【0125】
本発明の別の態様によれば、いくつかの実施形態では、本明細書で説明した予変換方法を使用して、動脈血と静脈血という意味における血管系の一方の優先的(選択的)吸光度を変化させることが望ましい場合がある。
【0126】
本開示の別の態様によれば、いくつかの実施形態では、本明細書で説明した予変換方法を使用して血液の吸光度を変化させるとともに、より深く浸透する波長の使用を可能にすることにより、背景色素異常症(赤色又は茶色)を治療することが望ましい場合がある。
【0127】
本開示の1つの態様によれば、metHbの形成を促す局所薬又はその他の薬剤を使用することができる。他の多くの局所的に適用される物質は、血管系内のメトヘモグロビンの局所濃度を高めることができる。トリメトプリム、スルホンアミド及びダプソンなどの抗生物質、アルチカイン、リドカイン及びプリロカインなどの局所麻酔薬、並びにアニリン染料、メトクロプラミド、塩素酸塩、臭素酸塩及び硝酸塩、特に硝酸ビスマスなどのその他の物質は、酸素ヘモグロビン及び脱酸素ヘモグロビンをメトヘモグロビンに変換することができる。
【0128】
例示的な治療システム及び方法
以下、本開示による治療システム及び方法のほんのいくつかの例示的な実施形態を示す。
【0129】
ポートワイン母斑の場合:
親油性になるように処方したベンゾカイン、すなわち最大20%又はそれ以上のベンゾカインを染み込ませた小型(約2cm
2)パッドを当てる。閉鎖包帯で数分間覆う。包帯を外し、アセトンで残留物を拭き取る。綿棒でパーフルオロデカリンを何層かに塗布し、パーフルオロデカリンをある程度作用させる。ベンゾカイン/パーフルオロデカリンで治療した領域を(サイズに合わせて切断した)透明包帯又はパッチで覆う。透明包帯又はパッチを通じて治療レーザーを浴びせる。
【0130】
レーザーの選択:Qスイッチアレキサンドライト(755nm)又はQスイッチNd:YAG(1064nm)。目的は、損傷部の厚み全体を治療するためにより大きなNIR深達度を得ることである。最適フルエンスでは、NIRで1回通過させれば十分と考えられる。可視染料レーザーも効き目があるが、吸収が強すぎるので治療が表面的になり過ぎる。
【0131】
フルエンス:比較的低いフルエンスから始める。所望の治療を達成するために必要に応じて増加させる。NIRでは、metHbの吸光度の方がHbO
2及びrHbよりも高い。3つのヘモグロビン種は、いずれも可視領域よりもNIRの方が深達度が大きい。
【0132】
タトゥの場合:
パーフルオロデカリンは、脱気して親油性のゲル包帯に含めて適切に送達させるとその効果が最も高くなる。換言すれば、これによりレーザーパルスで治療したタトゥ領域から気泡を除去しやすくなり、パーフルオロデカリンで治療していない皮膚の場合に行われるように気泡が吸収されるまで長く待機する必要なく、その後の治療パルスがより深く浸透できるようになる。パーフルオロデカリンはかなりの量の様々なガスを吸収することができる。脱気したパーフルオロデカリンを長時間にわたって大気圧に曝すと、その有効性が低下する。皮膚に適用する準備が整うまで気密容器内で保管されたパーフルオロデカリン又は同様のものを予め充填した親油性ゲルなどの好適な材料で構成された透明治療パッチは、治療レーザー光により生成された、その後の治療レーザー光に対する組織の透過性を下げる気泡を吸収する(又はこれらの害を無くす)ことによってタトゥ除去の迅速性を支援する。
【0133】
化学促進剤は、様々な方法で脱気することができる。1つの方法は、これらを減圧又は真空に曝して液体中のあらゆる溶解ガスを沸騰除去し、これらのガスの蒸気圧が治療する組織よりも低くなるようにすることである。典型的な手段は、化学促進剤を凍結させて固体化し、この固体を高真空に曝した後、溶解ガスが過度に蒸発せずに除去されるように固体をゆっくり溶かして液体化する。これが「凍結脱気」法である。
【0134】
レーザー通過の直後にゲル又はシステムを組織内で一般に生じる分圧よりも低い分圧に曝し、単体の又はゲル内の又はシステム内の化学促進剤が組織内の化学促進剤未満に下がるまで置いておくと、平衡状態に達するまでガスが組織から化学促進剤内に溶解する状態が生じるようになる。ゲル又はシステム内のガスの分圧が低ければ低いほど、組織から移動できるガスが多くなる。
【0135】
従って、1つの例示的な実施形態では、レーザー治療後の白色化を消失させる方法が、治療部位をレーザー出力に曝す前に、白色化部分に適用される際に部分的に脱気した状態にあるパーフルオロデカリンを治療部位に適用するステップを含む。
【0136】
新生児の場合:
本開示の恩恵を受ける当業者であれば、新生児の治療に関して本開示の特定の恩恵を認識するであろう。例えばベンゾカイン(又は同様のもの)などの本開示による局所麻酔薬は、本明細書で説明した1又はそれ以上の利点が得られるように胎児性ヘモグロビンをメト胎児性ヘモグロビンに変換する。
【0137】
超短パルスの使用:
本開示の例示的な実施形態の1つの態様によれば、本開示のシステム及び方法は、1ナノ秒よりも短い、特に数ピコ秒又は数フェムト秒のパルス幅のレーザーの使用を含み、これにより治療部位内の所望の吸光体にエネルギーが素早く送達されることで治療が促進される。
【0138】
超高エネルギー低出力のパルスは、低エネルギー高出力のパルスよりもタトゥインクのミクロスフィアを効果的に崩壊させることができる。換言すれば、ピコ秒も良いと考えられるが、フェムト秒の方がさらに良いと考えられる。分子が熱としてこれらのエネルギーを失い始める前にこれらの全てのエネルギーを瞬時に堆積させれば、染料球体が確実に粉々になり、治療部位内の染料が組織内に拡散して細胞間が浄化されることが確実になる。タトゥ染料は複合材料であるため、このエネルギーは、これらの材料をより小さく及び/又はより反応性の高い種に分解する傾向を有することもでき、これにより浄化過程を促進することもできる。
【0139】
予備実験
本開示に関する予備実験の結果は、2012年4月に初めて公開する。この予備実験では、1回のセッションでレーザー露光を繰り返してタトゥを除去し、20分間の治療間隔を置く必要はない。予備実験は、ニューヨークレーザー及び皮膚手術センター(Laser & Skin Surgery Center of New York)(ニューヨーク州ニューヨーク)において、Roy G. Geromemus医師の指揮により行った。
【0140】
予備実験の背景として、1回のセッションで白色化の消失後に最大4回のレーザー露光を繰り返してタトゥを除去すると、セッション毎に1回通過させるよりも効果的であることが実証された。白色化を消失させるために治療を20分遅延させると方法の実用性が制限され、1回の来診につき最大80分の時間が必要になる。予備実験では、タトゥのレーザー治療直後にキャビテーション誘導による白色化の消失を速める目的で、医療グレード、無菌パーフルオロデカリン、光学的透明度及びガス搬送容量を含む特性を有する不活性で無毒な液体フッ化炭素を評価した。パーフルオロデカリンは、レーザーの光学的浸透力を高めることができる。
【0141】
予備実験は、不要なタトゥのある患者の同意を得て行った。各タトゥを、各レーザー通過の前にパーフルオロデカリンを綿棒で局所的に適用することによって全体的又は部分的に治療した。レーザー及び設定値は皮膚科学者が選択した。治療中及びその後に、色素変化及び瘢痕を含む悪影響の出現に加え、白色化反応の程度及び持続時間を評価した。各患者は、追跡治療及び可能な継続治療のために3〜6週間観察した。
【0142】
15個のタトゥには、パーフルオロデカリンを適用した直後にQスイッチルビーレーザーを通過させることを1回のセッション中に3回行うことによってタトゥを治療した。5個のタトゥには、パーフルオロデカリンで治療した後にQスイッチルビー又はQスイッチNd:YAGレーザーを1回通過させた。全てのタトゥが、レーザー治療の直後に白色化を示した。各レーザー通過の後、白色化反応は、パーフルオロデカリンを適用した5秒以内に消失した。全ての治療は局所麻酔により安定していた。被験者の報告では、以前の治療と比べて通常よりも治癒(水膨れ、痂皮形成又はその他の変化の量)が改善し、悪影響が生じなかった。
【0143】
結論として、局所的パーフルオロデカリンはレーザー後の白色化を数秒以内に消失させ、1回のセッションにおける(最大4回の通過などの)複数回通過による安全で迅速なタトゥの連続治療を可能にし、ほんの数分間(例えば、R20の約80分と比べて約5分の)の治療時間でより効果的なタトゥ除去を実現する。
【0144】
定義
本明細書で使用した以下に列挙する用語は、以下に示す意味を有する。
用語「HbO
2」は酸素ヘモグロビンを意味する。
用語「RHb」は脱酸素ヘモグロビンを意味する。
用語「metHb」はメトヘモグロビンを意味する。
用語「NIR」は近赤外を意味する。
用語「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味する。
【0145】
他の例示的な実施形態:
本開示のいくつかの例示的な実施形態は、以下の特許請求の範囲に示す通りに説明することができる。当然ながら、以下の列挙(及び各請求項)は、その形式及び内容を修正することができ、これらの列挙は包括的なものではなく、すなわち本明細書の説明に照らして本開示の追加の態様及び追加の実施形態を理解し、記載し、特許請求することもできる。さらに、本発明は様々な修正及び代替形態が可能であるが、図面には特定の実施形態を一例として示し、本明細書ではこれらについて詳細に説明した。しかしながら、開示した特定の形態に本発明を限定する意図はないと理解されたい。むしろ、本発明は、以下に添付する特許請求の範囲に定めた本発明の思想及び範囲に含まれる全ての修正物、同等物及び代替物を網羅するものである。