【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明は、請求項1に記載の特徴を有する通信装置、及び請求項11の特徴を有するエネルギー供給モジュールを提案する。本発明の拡張が従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明により、通信装置はモジュール式に組み立てられる少なくとも4個の構成部分からなる。第1のモジュールは、運動エネルギーを電気エネルギーに変換し、変換モジュールと呼ばれる。第2のモジュールはエネルギー管理モジュールであり、変換モジュールによって用意された電気エネルギーを例えば貯蔵し、変圧し及び/又は変換して、電気エネルギーを所定の基本条件に従って提供できるようにする。第3のモジュールは送信モジュールであり、電気エネルギーを固有の動作のために使用して通信信号、例えば測定値信号を送出する。第4のモジュールは、機械的に回転運動を生み出し、運動モジュールと呼ばれる。本発明に従い運動モジュールは駆動ロッドと、少なくとも1個の歯車を有しており、歯車は駆動ロッドと係合して駆動ロッドが直線運動すると回転運動させられる。それぞれ個々に交換できる4個の構成部分からなるモジュール構造により、それぞれの応用例に応じて特にこの応用例に適したモジュールを選択して通信装置において使用することが可能である。
【0008】
通信装置のモジュールは、別の特性を有する、しかし好ましくはサイズが等しいか互換的なモジュールと個々に交換できる可能性が設けられている。
【0009】
本発明により提案される通信装置において、機能性が等しく、且つサイズが等しいか互換的な多数のモジュールから少なくとも1個の好ましくは機械的に完結したモジュールが選択されているようにすることができる。
【0010】
少なくとも1個のモジュールは、機械的に分離されて、割り当てられた隣接のモジュールと機械的及び機能的に連結できるように形成された構成部材として実現されているようにすることができる。
【0011】
使用されるコンポーネントに応じて、エネルギー管理モジュール又は送信モジュールは出力調整を有するようにすることができる。この出力調整は、エネルギー変換器から供給される電気エネルギーを送信モジュールのエレクトロニクスの必要条件に、場合によっては能動センサーの必要条件にも適合させるために用いるものである。
【0012】
ここで考察する種類の通信装置は測定値の伝送器として使用できる。それゆえ測定される値が直接回転運動を生み出さない場合は、本発明の拡張において送信モジュールは測定値センサーのための接続可能性を有することができる。ここでセンサーがその動作のために電気出力も必要とする場合には、このセンサーに対しても出力調整が行われると有意義である。
【0013】
本発明の拡張において駆動ロッドは少なくとも部分的にウォームシャフトとして形成されている。
【0014】
ウォームシャフトによって歯車への信頼性の高い力の伝達が達成される。ウォームシャフトと特にウォームホイールとして形成された歯車によって構成されるウォームギヤは、ウォームの直線駆動運動によって駆動される。従って駆動ロッドは直線的に動き、ウォームシャフトはその並進運動によって歯車を回転させる。代替的に、駆動ロッドをその長手方向軸を中心に回転させることも可能であることは言うまでもない。従って必要な場合には、ウォームギヤによって一方では駆動ロッドの回転とそれに伴う歯車の低速回転により、他方では駆動ロッドの直線的並進運動とそれに伴う歯車の高速回転により2種類の変速比を実現できる。ウォームシャフトとウォーム歯車は標準部品として入手でき、例えば切削加工によって作製できる。
【0015】
本発明の拡張において、駆動ロッドは少なくとも部分的にねじ山を付けている。そのような場合に歯車は平歯又ははす歯を付けて製作できる。運動学的組合せとしてはねじ山を付けたスクリューとはす歯歯車は、ねじ山と平歯歯車の組合せより良好な特性を有する。しかし平歯歯車の作製は、例えば射出成形又は焼結技術によりはるかに廉価である。ねじ山と歯車の連結は、平歯でも調整できるので、歯車が平歯を有する場合も、ねじ山と歯車の満足できる協働を実現できる。ねじ山は非常に廉価に製造でき、そうでなくとも標準部品として入手可能である。
【0016】
本発明の拡張において、駆動ロッドは円形環状歯とこれらに隣接する環状凹部によって形成された噛合い部を少なくとも部分的に備えている。このようにして丸いラックが形成され、従って歯は通常のラックのように直線的に延びるのではなく、駆動ロッドの長手方向で交互する円形隆起部と凹部によって形成されている。断面で見ると連続する凸部と凹部は通常の噛合い部プロフィルを形成している。そのような丸いラックは平歯歯車と協働できる。円形環状歯とこれらに隣接する環状凹部によって形成された駆動ロッド上の噛合い部は、例えば旋盤加工によって特別簡単且つ有利に製造できる。そのような噛合い部はアンダーカットがないので、射出成形によっても製造できる。平歯歯車も同様に射出成形技術又は焼結技術によっても製造できる。このいわゆる丸形ラックと平歯歯車の運動学的組合せは正確であり、歯車と丸形ラックの噛合い部との接触は1点で行われる。本発明による通信装置では僅かな力のみが伝達されればよいので、このことは肯定的に見られる。このシステムは1点で接触するため静力学の点で過剰に設計されていない。それゆえ製造時の誤差若しくは公差は機能性に影響しない。
【0017】
本発明の別の構成において、押しボタン及び/又は駆動ロッドを初期位置に付勢するためにばねを設けることができる。そのような押しボタンによって、例えば装置の状態の変化、例えばフラップの開閉をチェックできる。押しボタンを操作した後でばねが駆動ロッドを初期位置に押し戻すことによってばねのエネルギーも同様に歯車の回転運動を生み出すために利用できる。
【0018】
本発明の拡張において、回転運動を生み出すための装置は増速或いはまた減速を備えたギヤも有することができる。
【0019】
特に回転運動を生み出すための押しボタンにおいて、押しボタンを複数回操作することにより長く続く回転運動を生み出すことができるように、装置がラチェット付きのフリーホイールを有するようにすることができる。
【0020】
変換モジュールは、少なくとも1個の永久磁石を備えた回転子と、この回転子からエアギャップにより分離されている、少なくとも1個のコイルを備えた固定子を有するようにすることができる。
【0021】
永久磁石の数と構成及びコイルの数と構成により、変換モジュールから供給される電気出力を広い限界内で変化させることができる。
【0022】
例えば回転子は交互に分極した永久磁石を有することができ、固定子のコイルの数と大きさは永久磁石の数と大きさに等しくてよい。
【0023】
少なくとも1個のコイルは基板上に取り付けることができる。基板はエネルギー管理モジュール及び/又は送信モジュールのための挿入箇所を備えることができる。
【0024】
機械的に回転運動させられる部材は、変換モジュールの回転子であるようにすることができる。
【0025】
エネルギー管理モジュールは、変換モジュールが配置されて送信モジュールのための挿入箇所を備えた基板を有することができる。
【0026】
上述された通信装置は、発信器として使用できる。それにより例えば押しボタンの操作が既に無線で伝送される信号をなす。タービン若しくは風車によって回転運動が生み出される場合も、例えば流動の存在を調べる際に回転自体が信号であり得る。
【0027】
上述された通信装置は、センサー測定値を伝送するために使用できる。この場合に機械的に生み出される回転運動は、送信モジュール及び場合によってはセンサーの電力供給のためのみに用いられる。
【0028】
本発明は更に、回転運動を機械的に生み出すための運動モジュールとして形成された装置と、回転運動の回転エネルギーを電気エネルギーに変換するための変換モジュールを含んでいる通信装置のためのエネルギー供給モジュールを提案する。
【0029】
変換モジュールは、少なくとも1個の永久磁石を備える回転子と、この回転子からエアギャップによって分離された、少なくとも1個のコイル、好ましくは多数のコイルを備える固定子を有することができる。
【0030】
モジュール構造及び本発明により提案される高いエネルギー密度を可能にする変換モジュールに基づいて、通信装置は広く多様な応用範囲を有する。
【0031】
本発明のその他の特徴、詳細及び利点は、いずれも説明の内容と関連付けられている特許請求の範囲と要約、本発明の好適な実施形態の以下の説明、並びに図面に基づいて明らかになる。その際に図示された種々の実施形態の個々の特徴は本発明の範囲を逸脱することなく任意に組み合わせることができる。