【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題のフィルタ装置に関する部分は、請求項1の特徴を有するフィルタ装置によって解決される。フィルタ装置の有利な実施形態が請求項2から10に記載されている。上記の課題の油圧システムに関する部分は、請求項11の特徴を有する油圧システムによって解決される。上記の課題の方法に関する部分は、そのようなフィルタ装置のフィルタエレメントを請求項12によるステップで逆洗するための方法によって解決される。方法の有利な拡張が請求項13によって提示される。
【0007】
請求項1の教示により、フィルタ装置が単一フィルタエレメント式として構成されていること、及びこの単一のフィルタエレメントが設定可能な交替において濾過のために使用可能であり、又は圧力制御装置の使用下で逆洗可能であることを特徴とするフィルタ装置が実現される。
【0008】
これにより本発明によるフィルタ装置はエレメントハウジングの内部に単一のフィルタエレメントしか有しておらず、それだけでも非常に省スペース型の構造に設計可能である。それゆえ、この逆洗可能なフィルタ装置、特に工作機械の分野、例えば旋盤、ボール盤又はフライス盤に省スペースに取り付け若しくは組み入れることが可能である。特に工作物の切削加工は、通常潤滑液、冷却液及び油圧液の多量の粒子状不純物をもたらす。これらの不純物はその都度フィルタ装置によって確実に、また廉価に除去でき、使用されるフィルタエレメントは時間又は必要性に応じて制御されて逆洗されるので特に長い可使期間を有する。分離率は定評のある堅牢なフィルタエレメント技術を用いるために非常に高い。さらに未濾過液用の流体接続部に特別高い流体圧力は必要ないが、それにもかかわらず流体を確実に濾過し、逆洗を作動させることができる。
【0009】
上述した公知の解決とは反対に、単一フィルタエレメント式では最大可能な流体導入量が顕著に減少する。なぜなら単一のフィルタエレメントの外側と単一のフィルタハウジングの内壁との間には不可避的に少量の流体しか受容できないからであり、そのためにフィルタハウジングはフィルタエレメントを設定可能な壁間隔で包囲している。通例はフィルタエレメントで比較的粘度の高い流体、例えば油圧油を浄化しなければならないので、その限りで圧力制御装置によって相応に制御して追加吸入されなければならない導入量が少ないと逆洗時に流体を加速するのに有利である。そうすることによって、逆洗時に自然抵抗を形成する流体の粘度が比較的高いにもかかわらず、少なく保たれた導入量は逆洗時に吸入作用に基づいて高い逆流速度を受けることになる。この逆流速度はパルス状であり、そのためフィルタエレメントの未濾過液室の側でフィルタエレメント面から粒子状不純物を高い効率で除去することを可能にする。先行技術においてこれに相当するものは存在しない。
【0010】
紹介した公知の解決では、多数のフィルタエレメントを使用するためにフィルタハウジング内に貯蔵された全流体導入量が多いので、その粘度に起因して非常に高い流動抵抗が形成される。この流動抵抗は逆洗時に、圧力制御装置によって形成される吸入作用がおよそ開始できる前に克服されなければならず、流体成分又は油成分が互いに付着することにより逆洗時に所望される流量も著しく減少し、その結果より頻繁でより長く続く逆洗サイクルが必要となるが、これはまさに本発明による解決で回避される。この理由から全効率の点で見れば本発明による単一エレメント形式によっては濾過運転と逆洗運転が同時ではなく、相前後して行われねばならないことは重要な意味を持たない。
【0011】
しかしながら、複数の単一フィルタエレメント式を具体的に相互接続することによってこれらを互いに省スペースに組み合わせることができ、そのようにして一部の単一フィルタエレメントで連続的濾過運転を確保でき、その間に他の単一フィルタエレメントは追加的に逆洗される。逆洗時の吸入作用は著しく改善されるが、それは使用されるすべての単一フィルタエレメントに対する全流体導入量は増加するにもかかわらずこれらの単一フィルタエレメントは「スモールパッケージ」に分割されているからである。流体は大きい洗浄作用で比較的抵抗がなく、したがって速やかにそれぞれのフィルタエレメントの粒子不純物の排出側に送ることができる。単一フィルタエレメント式は極めて種々の設置場所で互いに空間的に分離されながらも互いに流通するように接続配置できるので、上記の特許文献1に示されているような複数のフィルタエレメントを有する個別装置の全出力を単一エレメント形式によって省スペースで簡単に同じく実現できる。これは濾過技術の分野における標準的な当業者にとって驚くべきである。
【0012】
濾過液と濾過液用の流体接続部がフィルタハウジングの頭部に配置されて、フィルタエレメントを介して互いに接続されていることが特別有利である。未濾過液接続部とフィルタエレメントの流入側との間の第1流路は、圧力制御装置の移動可能な遮断部材によって少なくとも部分的に遮断可能である。これらの特徴は、フィルタ装置のコンパクトな構造を実現することを許す。遮断部材によって第1流路を複数の段階で遮断することにより、逆洗操作の個々の段階で異なる効果を達成することが可能である。圧力制御装置の遮断部材がその開いた位置から閉鎖位置に移動を開始すると、遮断部材は最初にフィルタエレメントの内部への自由な流入断面積を狭め、それによって遮断部材は付属している弁座でフィルタハウジングに一種のノズル又はチョーク部を形成し、これにより流体流はフィルタエレメントの粒子不純物の排出側に向かって加速される。そうすることによってこのフィルタエレメントの排出側に向かって加速される軸流が生じ、フィルタエレメントの内部に少なくとも一部存在している未濾過液が、内壁側にある粒子不純物をフィルタエレメントの壁から連行する。遮断部材の完全に開いた位置から出て、又は常に弁座に当接する直前に遮断部材が圧力制御装置によって非常に速く、好ましくは急激に閉じられると、フィルタエレメントの排出側に接続された逆洗管路又は放出管路が関与して一種の圧力衝撃が起こり、フィルタハウジングの濾過室内で浄化された流体は加速されて外部からフィルタエレメントの壁を通して内部に進入し、そのようにして万一まだフィルタエレメントの内側に残っている粒子不純物がさらに除去される。
【0013】
第1流路は頭部において転向部で所定の角度に、好ましくは直角に延びており、遮断部材は転向部で解除する開放位置若しくは流出位置から出て、未濾過液と濾過液の流体接続部を互いに分離するガイドに沿って遮断位置に向かって動くことができる。この場合、ガイドは部分的に、運転可能状態に整えられた装置の内部で垂直に延びる壁の形式で構成されてよい。転向部を直角に形成することは、圧力制御装置を頭部内又は頭部でフィルタエレメントの直上又は頭部に配置できるという利点がある。例えば遮断部材は頭部内で装置の頭部に固定されたアクチュエータにより操作ロッドを介して動かすことができる。さらに遮断部材の各移動位置で応動した壁ガイドにより、未濾過液側で流体流入部を介して比較的高い圧力下で装置内に送られた流体が倍により閉鎖又は開放する遮断部材に当たり、遮断部材の機能若しくは自由な移動が不利に影響されないことが確保され、特に上記の遮断部材の自由な移動の範囲で妨害が生じないことが確保されている。
【0014】
有利には、フィルタエレメントはフィルタハウジングの内部で流体を通す2個の保持部の間に延びてこれらの保持部に移行しており、これらの保持部のうち一方の保持部は第1流路に接続され、他方の保持部は逆洗管路の形式の第2流路に接続されており、第2流路はフィルタハウジングから進出して逆洗バルブ、特に2/2方バルブによって制御可能である。保持部によりフィルタエレメントはフィルタハウジング内で確実に圧力変動荷重に対しても圧力安定に固定され、濾過液−未濾過液案内のための所定の移行部を有する。第2流路が逆洗バルブによって遮断可能であることによって、濾過運転では浄化される流体はフィルタエレメント内の未濾過液側からフィルタ装置の濾過液側若しくは清浄側に達すること、及び逆洗運転ではフィルタエレメントの内部が逆洗管路と流通接続しており、最終的にこの逆洗管路を通って除去される粒子状不純物はフィルタ装置から排出されることが確保されている。
【0015】
第3流路は圧力制御装置と逆洗バルブとの間で直線的に、特にフィルタエレメントの長手方向軸線に沿って延びて一種の自由落下線を形成している。第3流路のこのような直線的推移は逆洗の有効性にとって決定的な意味を持っている。なぜなら吸入作用の形成において第3流路とこれに続く第2流路を動く流体の運動エネルギーが重要だからである。この場合、利用できるエネルギーは次式によって決定される。
W=m/2v
2 (1)
これは流れる流体の質量m及び速度vが高ければ高いほど、吸入作用の形成に利用できるエネルギーWは大きくなり、逆洗結果は良くなる。公知のフィルタ装置では動かされる流体量は第2の比較可能な流路の範囲で、装置の長手方向軸線又は操作軸線を基準に偏心配置されたフィルタエレメントから、これに対して中心配置されたバルブに向かって転向されており、これはエネルギー損失を伴う。本発明による解決では第2流路と第3流路は直線的に延びていることに基づき、流体流の運動エネルギーは減らされることなく吸入作用の形成に利用され、最初に第1のステップにおいて遮断部材が部分的に閉じるとフィルタエレメントの内部にある流体は通常未濾過液の形で軸方向に加速され、そのようにしてフィルタエレメントの内壁に対して平行に延びて粒子不純物をフィルタエレメントから排出側に向かって運び去る。続いて遮断部材が完全に閉じると、フィルタエレメントの内部で濾過液側から未濾過液側への浄化された流体の本来の吸入過程が行われる。そのようにして主として半径方向にフィルタエレメント内に流入する清浄濾過液が、フィルタエレメントの長手方向に対して横断方向に粒子不純物の洗浄を行う。自由落下作用が応動することに基づいてこのような洗浄過程も同様に加速され、利用可能な逆洗量として主としてフィルタハウジング内でその清浄側に存在している流体導入量が用いられる。これは粘度が高い場合でもほとんど抵抗なく洗浄過程のためにフィルタエレメントの外部から内部に進入する。
【0016】
この関連で、個別フィルタエレメントの内部にある容積と逆洗管路の形式の第2流路の容積を組み合わせた容積が、圧力制御装置の遮断部材が遮断位置に移動することによって、好ましくは遮断部材が急速に閉じた後で、逆洗を引き起こすための圧力衝撃がフィルタエレメントに発生するような大きさに設計されていると特に有利である。このためにフィルタエレメントと第2流路のそれぞれ自由な流体断面積Aは相応の大きさに設計でき、及び/又はそれらの長さは十分長く設計できる。流れる流体に対して一般に妥当な式
m=ρV=ρAl=ρ∫Adl (2)
から、フィルタハウジングの内部で逆洗のために動かされる流体の密度ρが一定であると仮定すると、容積Vが増すに連れて、つまり流体が貫流する第2流路と第3流路の断面積A及び長さlに依存して、排出側に送り出される流体の質量mは増加する。相応に式(1)に従い逆洗に利用できる制御される流体のエネルギーWが上昇する。この場合、逆洗に利用できる流体は、最初は先行の濾過プロセスから遮断部材が完全に閉じるまでフィルタ装置の流入側から相応に流れ込んでフィルタエレメントの内部にまだ存在している未濾過液量と、それに続いてフィルタエレメントの外側とフィルタハウジングの内側との間のチャンバ内の濾過液量と、場合によっては既にフィルタ装置の出口側又は清浄側に導出されているがまだ濾過室に向かって再流入できる濾過液の設定可能な再流入量からなる。この再流入は上記の出口側又は清浄側で、好ましくは圧力制御装置と作動的に接続している相応のバルブ制御装置を介して制御できる。
【0017】
逆洗バルブが開いており、逆洗管路が降水管の方式において管長で、好ましくは垂直に案内されて形成されている限り、単一フィルタエレメントを逆洗する際の吸入作用又は圧力衝撃作用はさらに強まる。これは先行技術における解決において粒子不純物の排出側で逆洗管路及び案内管路に複数の転向箇所があるのと対照的である。本発明による降水管構造に基づいて逆洗時に動かされる流体量は重力によってさらに加速され、それによって洗浄能力が一層高まる。
【0018】
フィルタエレメントは円錐形、好ましくはスリットスクリーンパイプ(Spaltsiebrohr)の形式で構成されており、フィルタエレメントの先端が細くなるに連れて受容部内に形成されているフィルタエレメントを包囲する濾過室が拡大するように、フィルタハウジングの滴形に形成された受容部内に受容されている。このようにすることによって濾過に対しても逆洗に対しても最適な流動状況が生じる。なぜならそれによってフィルタエレメントの内部の断面積は第2流路に向かって、及びフィルタエレメントの外部では濾過液用の流体接続部に向かって拡大するからである。
【0019】
逆洗中に円錐形輪郭が応動することによって逆洗バルブが開くと円錐形フィルタエレメントの内部で逆洗管路に向かって等速性流体移動が生じることが有利である。この等速性流体移動によりフィルタエレメントの全長にわたり均等な吸入作用が形成される。それによりフィルタエレメントは特定の領域、例えば端部のみで強く逆洗されるのではなく、その全長にわたって逆洗されるので、フィルタエレメントの内側に堆積した粒子不純物は均等に排出され、若しくは洗い流される。それに続いて単一エレメント形式は再び完全な不純物除去能力をもって濾過に提供される。そのために逆洗バルブが閉じられ、圧力制御装置の遮断バルブが好ましくは最大可能な開放位置まで開かれる。
【0020】
圧力制御装置は、好ましくは空気圧制御可能な作動シリンダの形式の駆動装置を有しており、圧力制御装置の遮断部材は質量を削減したプレート状又は皿状に形成されている。空気圧制御可能な作動シリンダによって遮断部材は急速に、好ましくはその最大開放位置から完全に遮断する閉鎖位置に移動でき、また急激に逆に移動できる。特にフィルタ装置内に挿入されるフィルタエレメントが堅牢な金属材料からなるいわゆるスリットスクリーンパイプで形成されていると、フィルタエレメントが圧力衝撃によって破損することなくこれに強力な圧力衝撃を加えることができる。さらに応動する遮断部材をプレート状又は皿状に形成することにより、フィルタエレメントの未濾過液入口の領域で流路の大きい断面積を確実に克服できる。しかも未濾過液側で流体が多量の粒子状不純物を粗大粒子の形で含んでいる場合でもそうである。
【0021】
本発明はさらに、そのようなフィルタ装置を有する油圧システムに関し、フィルタ装置の濾過液用の流体接続部にタンクが接続されている。この場合、タンクは補償装置又はバッファとして作用し、その都度必要な逆洗のために濾過液を連続的に供給することに基づくフィルタ装置後の流体流の変動を補償する。十分な大きさに寸法設計されたタンクにより、流体流動方向で見て後段に配置されてフィルタ装置と共に油圧供給回路の構成要素をなす機械に濾過された流体を連続的に供給することが確保されている。
【0022】
本発明はさらにそのようなフィルタ装置のフィルタエレメントを逆洗するための方法に関し、この方法は
a)逆洗バルブを開いてフィルタエレメントの内部から逆洗管路への流通接続を解除するステップと、
b)未濾過液をフィルタエレメントを通して逆洗管路に流すステップと、
c)圧力制御装置の遮断部材を遮断位置に移動させ、それにより流体流の流動連行を生じさせて、濾過液を外部の濾過室からフィルタエレメントを通して内部に吸入する吸入作用を生じさせるステップと、
d)遮断部材を開放位置に移動させてフィルタエレメントの内部を未濾過液で洗浄するステップと、
e)逆洗バルブを閉じるステップとを有する。
【0023】
有利な実施形態において、遮断部材は遮断位置に最大2秒、好ましくは最大1秒、さらに好ましくは最大0.5秒留まり、それから後続の濾過プロセスのためにその最大開放位置に戻る。
【0024】
以下に本発明を図面に示した実施形態に基づいて詳細に説明する。