特許第6585762号(P6585762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585762
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/53 20060101AFI20190919BHJP
   H01R 12/70 20110101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01R13/53
   H01R12/70
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-74876(P2018-74876)
(22)【出願日】2018年4月9日
(65)【公開番号】特開2019-3931(P2019-3931A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】17165755.4
(32)【優先日】2017年4月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310022361
【氏名又は名称】ヤザキ・ヨーロッパ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リバー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤズビック イゴール
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−250610(JP,A)
【文献】 特開2001−250647(JP,A)
【文献】 米国特許第08613626(US,B1)
【文献】 特開2001−250622(JP,A)
【文献】 特開2002−231378(JP,A)
【文献】 特開2003−022869(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01445839(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40−13/72
H01R 12/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ組立体であって、
第1主要接触要素、及び、前記第1主要接触要素に電気的に接続された第1補助接触要素を有する、第1コネクタと、
第2主要接触要素、及び、前記第2主要接触要素に電気的に接続された第2補助接触要素を有する、第2コネクタと、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが、当該電気コネクタ組立体の長手方向軸Lに平行な嵌合方向において嵌合可能であり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合解除中に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接続解除されるよりも前に、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接続解除され、
完全嵌合状態において、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが接触し、且つ、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接続解除され
前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素、並びに、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの第1の部分的嵌合状態において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接触し、且つ、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接続解除され、
前記第1の部分的嵌合状態よりも前記第1コネクタと前記第2コネクタとが更に嵌合されている第2の部分的嵌合状態において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接触し、且つ、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接触し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの前記完全嵌合状態において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接続解除され、且つ、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接触する、
ように構成され、
前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、それぞれ、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素の先端の領域に接触部を有し、
前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、それぞれ、前記接触部に隣接した接続解除部を前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素の前記先端から離れた位置に有し、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの前記部分的嵌合状態又は前記完全嵌合状態において、
前記第1補助接触要素の前記接触部は、前記第2補助接触要素の前記接続解除部よりも、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素に対する径方向距離が大きく、
前記第2補助接触要素の前記接触部は、前記第1補助接触要素の前記接続解除部よりも、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素に対する径方向距離が小さい、
電気コネクタ組立体。
【請求項2】
請求項に記載の電気コネクタ組立体において、
前記第1補助接触要素は、電気抵抗又はスイッチを介することなく、前記第1主要接触要素に電気的に接続され、
前記第2補助接触要素は、電気抵抗又はスイッチを介することなく、前記第2主要接触要素に電気的に接続される、
電気コネクタ組立体。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の電気コネクタ組立体において、
前記第1補助接触要素は、前記嵌合方向において、前記第1主要接触要素よりも前記第2コネクタに近い位置まで延在する、
電気コネクタ組立体。
【請求項4】
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタ組立体において、
前記第2補助接触要素は、前記嵌合方向において、前記第2主要接触要素よりも前記第1コネクタに近い位置まで延在する、
電気コネクタ組立体。
【請求項5】
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタ組立体において、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの前記部分的嵌合状態において、前記第1補助接触要素の前記接触部と前記第2補助接触要素の前記接触部とは、長手方向において重なり合い且つ接触する、
電気コネクタ組立体。
【請求項6】
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタ組立体において、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの前記完全嵌合状態において、前記第1補助接触要素の前記接触部と前記第2補助接触要素の前記接続解除部とは、径方向に距離を開けて、前記長手方向において互いに重なり、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの前記完全嵌合状態において、前記第2補助接触要素の前記接触部と前記第1補助接触要素の前記接続解除部とは、径方向に距離を開けて、前記長手方向において互いに重なる、
電気コネクタ組立体。
【請求項7】
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の電気コネクタ組立体において、
前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、それぞれ、前記第1主要接触要素及び第2主要接触要素に接続される接続部を先端部とは逆側有する、
電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ組立体に関する。この電気コネクタ組立体は、第1コネクタを備え、当該第1コネクタは、第1主要接触要素、及び、当該第1主要接触要素に電気的に接続された第1補助接触要素を有する。この電気コネクタ組立体は、さらに、第2コネクタを備え、当該第2コネクタは、第2主要接触要素、及び、当該第2主要接触要素に電気的に接続された第2補助接触要素を有する。前記第1コネクタと前記第2コネクタとは、前記電気コネクタ組立体の長手方向軸に平行な嵌合方向において嵌合可能である。前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合解除の中に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接続解除されるよりも前に、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが接続解除されるように構成されている。換言すれば、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合中に、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接触するよりも前に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素が互いに接触するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
前記第1主要接触要素と第2主要接触要素とは、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの間で、これらのコネクタの嵌合時に電力を伝送するように構成されている。詳細には、自動車システムにおいて、48ボルトの電気システムの利用が益々増えている。この電圧は、従来の12ボルトシステムよりも増大されており、第1主要接触要素と第2主要接触要素とを互いに接続解除させるときに重大な電気アークを生じる可能性がある。
【0003】
電気アークを回避するために、電力が不活性のときに嵌合及び嵌合解除が可能なコネクタが開発されてきた。このような「不活性嵌合」(“cold mating”)は、電気アークに関する問題を生じない。しかし、幾つかの用途においては、電力が活性であるとき、すなわち、第1主要接触要素と第2主要接触要素とが電気的に活性化されているときにコネクタを嵌合及び嵌合解除(「活性嵌合」(“hot mating”)する必要がある。詳細には、この種のコネクタを嵌合解除するときに、アークが、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合解除中の最初の過程にて、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素との間に発生し、このとき、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とは、もはや接触していない。しかし、この電子アークにより、電力は依然として、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素との間でアークを介して伝送され、これにより、高温と、そしてそれにより、前記第1接触要素及び前記第2接触要素における損傷を生じさせる。
【0004】
冒頭に記載したような電気コネクタが、特許文献1に開示されている。この電気コネクタは、コネクタからの電力を事前に切断せずに嵌合解除され得る。主要接触要素と補助接触要素とが、第1主要接触要素と第1補助接触要素との間に配置された正温度係数抵抗器によりシャント(分岐)されている。最初に第1主要接触要素が接続解除され、補助接触要素の長さは、主要接触要素よりも長くあり得る。コネクタの嵌合解除の中に、主要接触要素においてアーク放電が発生しない。主要接触要素が互いに接続解除されたそのときに、電流は、より長い補助接触要素(依然として接続されている)に分流されることになる。補助接触要素を介して分流された高電力により発生する熱が、正温度係数抵抗器の抵抗を増大させる。補助接触要素が接続解除されたときに、電流はアーク閾値よりも低くなる。
【0005】
この種の別の電気コネクタ組立体が、特許文献2に開示されている。
【0006】
特許文献3は、2つの主要接触要素間のアーク放電を防止するためのさらなる解決方法を開示している。電気コネクタ組立体が、第の1主要接触要素と第2主要接触要素とを備えている。さらに、電気コネクタ組立体は、リレーに接続された、1つの補助接触要素を有する。補助接触要素は、電気コネクタの嵌合中に、第1主要接触要と第2主要接触要素とが互いに接続される前に、主要接触要素のうちの一方に接触する。補助接触要素が主要接触要素の一方に接触すると、リレーが切り換えられ、これにより、電力がバイパスされて、電流が主要接触要素を通って流れることを回避する。「不活性の」第1主要コネクタ要素と第2主要コネクタ要素とを互いに嵌合した後、補助接触要素は主要接触要素から持ち上げられ、これにより、リレーが切り換えられてその初期位置に戻され、そして、電力は、主要接触要素を通って導かれる。電気コネクタ組立体を嵌合解除するときには、これらのステップが逆順で行われ、コネクタは、第1主要接触要素及び第2主要接触要素が不活性の状態で嵌合解除され、アーク放電が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6659783号明細書
【特許文献2】米国特許第8215992号明細書
【特許文献3】欧州特許第1284526号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、第1主要接触要素と第2主要接触要素の間のアーク放電を、少なくともコネクタを嵌合解除している中に回避し、そして同時に、簡単な構造設計を可能にする電気コネクタ組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、第1主要接触要素、及び、当該第1主要接触要素に電気的に接続された第1補助接触要素を有する第1コネクタを備えた電気コネクタ組立体により達成される。当該電気コネクタ組立体は、さらに、第2主要接触要素、及び、当該第2主要接触要素に電気的に接続された第2補助接触要素を有する第2コネクタを備えている。前記第1コネクタと前記第2コネクタとは、前記電気コネクタ組立体の長手方向軸に平行な嵌合方向において嵌合可能である。前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合解除中に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接続解除されるよりも前に、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接続解除されるように構成されている。完全嵌合状態において、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが接触しており、且つ、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とは、互いに接続解除されている。
【0010】
前記第1主要接触要素と第2主要接触要素との嵌合解除中に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素が互いに依然として接触しているという事実により、前記第1主要接触要素と第2主要接触要素との間に電気アークが発生しない。全電力は、依然として接続されている前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とを通して導かれる。さらなる嵌合解除プロセス中に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とは、互いに接続解除される。前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素との接続解除中に、電気アークが、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素と間に発生し得る。これは、全電気アークサーチを受けて捨てられる。前記電気コネクタ組立体が完全に嵌合されているときに、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、電力を伝送する主要接触要素ではないため、これらの接触要素(前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素)が損傷される可能性はあっても、前記電気コネクタ組立体の機能全体には影響を及ぼさない。
【0011】
さらに、完全嵌合状態において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とは、互いに接続解除される。これは、完全嵌合状態において、電力の伝送中に前記補助接触要素が損傷されることを回避するためである。よって、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素の形状寸法及びめっきに関するいかなる損傷も回避される。
【0012】
また、前記補助接触要素を、高温電子アークに対するロバスト性がより高くなるように製造及び設計することも可能である。前記補助接触要素は、高導電性及び低抵抗に設計される必要はない。なぜなら、前記主要接触要素が、高導電性及び低抵抗に設計されるべきだからである。よって、前記補助接触要素は、電子アークによる損傷に対し、前記主要接触要素よりも容易に保護され得る。
【0013】
上述に匹敵し、前記第1コネクタと第2コネクタとの嵌合中に、最初に、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接触される。前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素との接続中に、電気アークは当該補助接触要素間に発生し得るが、前記第1主要接触要素と第2主要接触要素との間にはアークが発生しない。前記補助接触要素同士が互いに接触された後に、前記第1主要接触要素と第2主要接触要素とが互いに接触される。前記第1主要接触要素と第2主要接触要素とを互いに接続させている中に、アークは発生しない。これは、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素との電気接続のおかげであり、この電気接続は、主要接触要素が互いに接触したときにはすでに達成されている。完全嵌合状態においては、前記第1主要接触要素と第2主要接触要素とのみが、互いに電気接続され且つ互いに接触しており、一方、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とは、互いに接続解除されている。
【0014】
本発明の実施形態において、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素、並びに、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの第1の部分的嵌合状態において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接触し、且つ、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接続解除されているように構成される。
【0015】
代替的又は追加的に、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素、並びに、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの第2の部分的嵌合状態(前記第1電気コネクタと前記第2電気コネクタとが前記第1の部分的嵌合状態よりもさらに嵌合されている状態)において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接触し、且つ、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接触しているように構成され得る。
【0016】
さらに、代替的又は追加的に、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素、並びに、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの完全嵌合において、前記第1補助接触要素と前記第2補助接触要素とが互いに接続解除され、且つ、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接触しているように構成され得る。
【0017】
一実施形態において、前記第1補助接触要素は、前記第1主要接触要素に、中間の電気抵抗及びスイッチを全く有さずに電気的に接続されている。代替的又は追加的に、前記第2補助接触要素は、前記第2主要接触要素に、中間の電気抵抗及びスイッチを全く有さずに電気的に接続されている。
【0018】
さらなる実施形態において、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、それぞれ、第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素に、中間の電気部品を全く有さずに、電気的に接続されている。電気部品とは、補助接触要素と前記主要接触要素との間の、電子システムにおける、電子又はそれらの関連する電界の発生に使用される任意の基本的な個別装置又は物理的実体であり、例えば、抵抗器、スイッチ、ダイオード、トランジスタ、コンデンサなどである。いずれの電線(例えば、ワイヤ、ケーブル、端子など)も、電子部品とはみなされない。
【0019】
前記第1補助接触要素は、前記嵌合方向において、前記第2コネクタに向かって、前記第1主要接触要素よりも遠くに延在し得る。これは、前記第1補助接触要素が前記第2補助接触要素に、前記第1主要接触要素と前記第2主要接触要素とが互いに接触する前に接触することを可能にするためである。
【0020】
追加的又は代替的に、前記第2補助接触要素は、前記嵌合方向において、第1コネクタに向かって、前記第2主要接触要素よりも遠くに延在し得る。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記第1補助接触要素は、前記第1主要接触要素に対して実質的に平行に、且つ、前記第1主要接触要素から離間されて延在している。
【0022】
代替的に又は追加的に、前記第2補助接触要素は、前記第2主要接触要素に対して実質的に平行に、且つ、前記第2主要接触要素から離間されて延在し得る。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、各々、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素の先端領域に接触部を有するものとし、且つ、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、各々、前記接触部に隣接した接続解除部を有し、当該接続解除部は、前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素の前記先端から離れているものとする。
【0024】
さらに、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの部分的嵌合状態において、前記第1補助接触要素の前記接触部の、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素までの径方向距離は、前記第2補助接触の前記接続解除部の、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素までの径方向距離よりも大きいものとし、且つ、前記第2補助接触要素の前記接触部の、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素までの径方向距離は、前記第1補助接触の前記接続解除部の、前記第1主要接触要素及び前記第2主要接触要素までの径方向距離よりも小さいものとする。
【0025】
例示的な実施形態において、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの部分的嵌合状態において、前記第1補助接触要素の接触部と前記第2補助接触要素の接触部とは、互いに長手方向にて重なり合い且つ互いに接触している。
【0026】
前記第1コネクタと前記第2コネクタとの完全嵌合状態において、前記第1補助接触要素の前記接触部は、長手方向において、前記第2補助接触要素の前記接続解除部に、当該接続解除部から径方向距離を有して重なり得る。また、前記第2補助接触要素の前記接触部は、長手方向において、前記第1補助接触要素の前記接続解除部に、当該接続解除部から径方向距離を有して重なり得る。
【0027】
よって、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの完全嵌合状態において、前記補助接触要素が互いに接続解除されることが可能にされる。
【0028】
前記第1補助接触要素及び前記第2補助接触要素は、各々、接続部を有し、当該接続部は、前記第1主要接触要素及び第2主要接触要素にそれぞれ接続されている先端部に対向している。
【0029】
ここで、本発明を、添付図面を参照しつつ、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】非嵌合状態の第1コネクタと第2コネクタとを有する電気コネクタ組立体の長手方向断面図である。
図2図1に記載した電気コネクタ組立体の、第1コネクタと第2コネクタとが第1の部分的嵌合状態での長手方向断面図である。
図3図1に記載した電気コネクタ組立体の、第1コネクタと第2コネクタとが第2の部分的嵌合状態における長手方向断面図である。
図4図1に記載した電気コネクタ組立体の、第1コネクタと第2コネクタとが完全に嵌合された状態での長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1図4は、本発明の例示的な一実施形態を、異なる位置にて示す。電気コネクタ組立体が、長手方向軸Lに平行な嵌合方向にて嵌合可能な第1コネクタ1と第2コネクタ2とを含む。嵌合方向は、第1コネクタ1と第2コネクタ2とを長手方向軸Lに沿って互いに近づける方向である。
【0032】
第1コネクタ1は、第1主要接触要素3、及び、第1補助接触要素4を含む。第1補助接触要素4は、第1主要接触要素3に電気的に接続されている。この目的のために、第1補助接触要素4は、第1主要接触要素3と接触している第1の接続部を有する。第1主要接触要素3及び第1補助接触要素4は、両方共、導電性材料からつくられている。第1主要接触要素3と第1補助接触要素4との間には、中間の電気抵抗もスイッチも配置されていない。好ましくは、第1主要接触要素3と第1補助接触要素4との間に、電気部品が全く配置されない。
【0033】
第2コネクタ2は、第2主要接触要素6、及び、第2補助接触要素7を含み、これらの要素の両方が導電性材料からつくられている。第2補助接触要素7は、第2主要接触要素6に電気的に接続されている。このために、第2補助接触要素7は第2接続部8を含み、第2接続部8は、電気接続を確立するために第2主要接触要素6との接触が維持されている。第2主要接触要素6と第2補助接触要素7との間には、電気抵抗器もスイッチも設けられていない。好ましくは、第2主要接触要素6と第2補助接触要素7との間に、電気部品が全く設けられない。
【0034】
この例において、第1主要接触要素3は雄端子である。第1主要接触要素3は、第1ケーブル10の導体9に電気的に接続されている。第1主要接触要素3は、第1ハウジング11内にロックされており、第1ハウジング11は、好ましくは、電気絶縁材料、例えば合成樹脂からつくられる。
【0035】
第2主要接触要素6は雌端子であり、第2のケーブル13の導体12に電気的に接続されている。第2主要接触要素6は、電気絶縁材料(例えば合成樹脂)からつくられた第2ハウジング14内に固定されている。
【0036】
第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とは、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが嵌合されるとき(図1に示した非嵌合状態から出発し、図4に示されている、完全嵌合状態に達するまで)に、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とが互いに接触する前に互いに接触するように構成されている。完全嵌合状態(図4)において、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とが互いに接触して、これらの要素間の電気接続を確立し、一方、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とは、互いに接続解除されて、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7との電気接続が回避される。
【0037】
図1に示されている非嵌合状態においては、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6は互いに接触しておらず、また、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7も互いに接触していない。
【0038】
図2に示されているように、第1コネクタ1と第2コネクタ2との第1の部分的嵌合状態においては、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とが互いに接触して、これらの要素間の電気接続を確立している。同時に、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とは、依然として互いに分離されており、これらの要素間の電気接続を回避している。さらに、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とは、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6との間の電気アークを回避するのに十分な距離を有して配置されている。よって、嵌合プロセス(図1に示されている非嵌合状態から出発し、図2に示されている第1の部分的嵌合状態に至る)の中に電気アークが生じ得るのは、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7との間でのみである。図2に示されている第1の部分的嵌合状態において、全ての電力が、第1補助接触要素4及び第2補助接触要素7を通ってガイドされる。それゆえ、さらなる嵌合プロセスの間、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6との間のアークが回避される。第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とは、図3に示されているように互いに接触されて、これらの要素間に電気接続を、これらの要素間に電気アークを全く発生させずに確立する。図3に示されている第2の部分的嵌合状態においては、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とが互いに接触し、また、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7も互いに接触している。電力は、第1主要接触要素3、第1補助接触要素4、第2主要接触要素6及び第2補助接触要素7の全てを通して伝送される。
【0039】
小さい第1補助接触要素4及び第2補助接触要素7を設けるために、これらの要素は、長時間にわたり全電力を伝送し得るようには構成されない。よって、図4に示されているように、完全嵌合状態においては、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とが互いに接続解除されており、一方、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とは、互いに接触した状態に維持されている。よって、全電力が、第1主要接触要素3及び第2主要接触要素6のみを介して伝送される。
【0040】
図面に示されている例示的な実施形態は、第1補助接触要素4及び第2補助接触要素7の1つの可能な構成を示している。第1補助接触要素4は、第1主要接触要素3に対して少なくとも実質的に平行に、且つ径方向距離を有して延在しており、第1主要接触要素3及び第1補助接触要素4の両方が、長手方向軸Lに対して少なくとも実質的に平行に延在している。半径方向とは、長手方向軸Lを指す。
【0041】
第1補助接触要素4と同等に、第2補助接触要素7は、第2主要接触要素6に対して少なくとも実質的に平行に、且つ径方向距離を有して延在している。
【0042】
第1補助接触要素4は、嵌合方向において、第2コネクタ2に向かって、第1主要接触要素3よりも遠くに延在している。また、第2補助接触要素7は、嵌合方向において、第1コネクタ1に向かって、第2主要接触要素6よりも遠くに延在している。
【0043】
よって、第1コネクタ1と第2コネクタ2とを嵌合させるとき、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とが最初に接触し、これは、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とが互いに接触されるよりも前に行われる。これはすなわち、第1コネクタ1と第2コネクタ2とを嵌合解除するとき、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6とが最初に互いから接続解除され、これが、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とが互いから接続解除されるよりも前に行われるということである。
【0044】
しかし、これを、異なる方法で達成することもできる。第1補助接触要素4及び第2補助接触要素7のうちの一方のみが、第1コネクタ1及び第2コネクタ2のうちの他方に向かって、それぞれの第1,第2主要接触要素3,6よりも遠くに延在することも可能である。しかし、非嵌合状態(すなわち、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが長手方向軸Lに沿って互いに位置合わせされており、2つのコネクタ1,2の少なくとも一方を当該コネクタ1,2の他方に向かって移動させることにより嵌合されることになる状態)において、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7との間の第1の距離が、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6との間の第2の距離よりも小さいことが重要である。また、前記第2の距離の、前記第1の距離を超える量は、コネクタ1とコネクタ2とを嵌合させているときに第1補助接触要素4と第2補助接触要素7との最初の接触が確立される位置における、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6との間アーク放電を回避するのに十分である。
【0045】
第1補助接触要素4は、第2コネクタ2に向かって長手方向に延在し、先端15にて終端している。先端領域16において、第1補助接触要素4は、接触部17を有する。第1補助接触要素4は接触部17に隣接した接続解除部18を有する。
【0046】
第2補助接触要素7は、第1コネクタ1に向かって長手方向に延在し、先端19にて終端している。先端領域20において、第2補助接触要素7は接触部21を有し、接触部21に隣接して、接続解除部22が配置されている。
【0047】
半径方向において、第1主要接触要素3に対し、第1補助接触要素4の接触部17は、接続解除部18よりも近い位置にある。さらに、第2補助接触要素7の接触部21の、第2主要接触要素6までの距離は、第2補助接触要素7の接続解除部22の、第2主要接触要素6までの距離よりも大きい。
【0048】
第1補助接触要素4の接触部17の、長手方向軸Lまでの距離は、第2補助接触要素7の接触部21の、長手方向軸Lまでの距離よりも小さい。この場合、長手方向軸Lは、第1主要接触要素3及び第2主要接触要素6を通って延在している。また、第1コネクタ1と第2コネクタ2とは、互いに所定位置にあり、この位置は、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが長手方向軸Lに対して互いに位置合わせされ、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが、長手方向軸Lに平行な嵌合方向において嵌合され得る位置である。この構成は、第1コネクタ1と第2コネクタ2とを嵌合させているときに、第1補助接触要素4の接触部17と第2補助接触要素7の接触部21との接触を容易にする。
【0049】
また、長手方向軸Lが、第1主要接触要素3及び第2主要接触要素6を通って延在する場合、第1補助接触要素4の接触部17の、長手方向軸Lまでの径方向距離は、第2補助接触要素7の接続解除部22の、長手方向軸Lまでの径方向距離よりも大きい。さらに、第1補助接触要素4の接続解除部18の、長手方向軸Lまでの径方向距離は、第2補助接触要素7の接触部21の、長手方向軸Lまでの径方向距離よりも大きい。これにより、完全嵌合状態において、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7とが互いに分離されることが容易にされる。
【0050】
第1コネクタ1と第2コネクタ2とが、第1の部分的嵌合状態及び第2の部分的嵌合状態にあるとき、第1補助接触要素4の接触部17と第2補助接触要素7の接触部21とが長手方向にて互いに重なり合い且つ互いに接触して、これらの接触部間に電気接続を確立する。
【0051】
第1コネクタ1と第2コネクタ2との完全嵌合状態においては、第1補助接触要素4の接触部17が、長手方向において、第2補助接触要素7の接続解除部22に、接触部17と接続解除部22との間に所定の径方向距離を有して重なる。さらに、第1コネクタ1と第2コネクタ2との完全嵌合状態においては、第2補助接触要素7の接触部21が、長手方向において、第1補助接触要素4の接続解除部18に、接触部21と接続解除部18との間に所定の径方向距離を有して重なる。
【0052】
本実施形態では、1組のみの主要接触要素(すなわち、第1主要接触要素3と第2主要接触要素6)、及び、1組のみの補助接触要素(すなわち、第1補助接触要素4と第2補助接触要素7)を記載したが、本発明によるコネクタ組立体が、複数の組の主要接触要素、及び/又は、複数の組の主要接触要素を有し得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0053】
1 第1コネクタ
2 第2コネクタ
3 第1主要接触要素
4 第1補助接触要素
5 第1接続部
6 第2主要接触要素
7 第2補助接触要素
8 第2接続部
9 導体
10 第1ケーブル
11 第1ハウジング
12 導体
13 第2のケーブル
14 第2ハウジング
15 (第1補助接触要素の)先端
16 (第1補助接触要素の)先端領域
17 (第1補助接触要素の)接触部
18 (第1補助接触要素の)接続解除部
19 (第2補助接触要素の)先端
20 (第2補助接触要素の)先端領域
21 (第2補助接触要素の)接触部
22 (第2補助接触要素の)接続解除部
L 長手方向軸
図1
図2
図3
図4