特許第6585775号(P6585775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585775複合運動係合解除を有するシリンジアダプタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585775
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】複合運動係合解除を有するシリンジアダプタ
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   A61M39/10 100
   A61M39/10 120
【請求項の数】19
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-113868(P2018-113868)
(22)【出願日】2018年6月14日
(62)【分割の表示】特願2016-563940(P2016-563940)の分割
【原出願日】2015年4月21日
(65)【公開番号】特開2018-161506(P2018-161506A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2018年7月9日
(31)【優先権主張番号】61/982,091
(32)【優先日】2014年4月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514221366
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン アンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャヨン キム
(72)【発明者】
【氏名】ローリー サンダース
(72)【発明者】
【氏名】ジュード カンセリエリ
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−526968(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0066293(US,A1)
【文献】 特表2011−516799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体容器と連結するためのアダプタであって、
遠位端部と、近位端部と、これらの間に延びる円筒形の側壁とを有する外側ハウジングと、
該外側ハウジング内に回転可能に挿入された本体と、前記アダプタを流体容器に連結するように構成された、前記本体から延びるコネクタとを備える内側部材であって、前記流体容器が前記コネクタから取り外されるときに前記内側部材が前記外側ハウジングに対して回転するのを防止するために、ユーザにより保持されるか、または取外しツールと連結される、少なくとも一つであるように構成される内側部材と、
該内側部材の本体と係合可能な第1のロッキング装置であって、第1の方向で前記外側ハウジングに対して前記内側部材が回転するのを制限するように構成された第1のロッキング装置と、
前記内側部材の前記本体と係合可能な第2のロッキング装置であって、前記第1の方向と第2の方向との両方で前記外側ハウジングに対して前記内側部材が回転するのを制限するように構成された第2のロッキング装置と、
を備え、前記アダプタは、前記第1のロッキング装置および前記第2のロッキング装置が前記内側部材と係合されていない係合解除された状態と、前記第1のロッキング装置が前記内側部材に係合している部分的に係合された状態と、前記第2のロッキング装置が内側部材に係合している完全に係合された状態との間を移行可能であることを特徴とするアダプタ。
【請求項2】
前記内側部材前記取外しツールと連結するように構成されたツールと係合する表面を備えることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項3】
前記ツールと係合する表面は対向する平坦部を備えることを特徴とする請求項2に記載のアダプタ。
【請求項4】
前記前記ツールと係合する表面は、少なくとも1つの孔を備えることを特徴とする請求項2に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記内側部材は、前記ユーザにより保持するように構成された把持表面を画定する少なくとも1つのウイングを備えることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記コネクタが係合解除された状態にあるとき、前記内側部材は、前記第1の方向と前記第2の方向との両方で回転可能であることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項7】
圧縮力を前記内側部材に加えることによって、前記内側部材は、延長位置から引込んだ位置に移行可能であることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項8】
前記内側部材を延長位置に維持する付勢部材をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のアダプタ。
【請求項9】
前記第1のロッキング装置は、前記外側ハウジングの前記側壁の内表面から内方へ延びる少なくとも1つの突起部と、前記側壁上の前記突起部に係合するように構成された、前記内側部材の前記本体上の対応する突起部とを備えることを特徴とする請求項7に記載のアダプタ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの突起部は、前記外側ハウジングの前記側壁の内表面から内方へ延び、前記内側部材の前記本体上の前記対応する突起部は、斜面および実質的に垂直の面を備える一方向ラチェットであることを特徴とする請求項9に記載のアダプタ。
【請求項11】
前記第1のロッキング装置は、前記外側ハウジングの前記側壁の対向周側面に配置された少なくとも2つの突起部と、前記内側部材の前記本体から延びる少なくとも2つの対応する突起部とを備えることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項12】
前記第2のロッキング装置は、前記外側ハウジングの前記側壁の一部分に連結され、前記内側部材の一部分に選択的に係合するように構成された少なくとも1つの内方へ延びるタブを備えることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項13】
前記第2のロッキング装置は、前記外側ハウジングの側壁の対向する側に位置する、少なくとも2つの内方に延びるタブを備えることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのタブは、押圧面であって、圧縮力を前記押圧面に加えることが前記タブを内方へ付勢して前記内側部材の一部分に係合させるように構成された押圧面を備えることを特徴とする請求項13に記載のアダプタ。
【請求項15】
前記コネクタは、前記流体容器の一部分の内表面上の対応するねじ山に係合するように構成されたらせん状ねじ山を有する外表面を備えることを特徴とする請求項1に記載のアダプタ。
【請求項16】
前記コネクタは、前記流体容器の対応するルアーコネクタを受容するように構成されたルアーコネクタであることを特徴とする請求項15に記載のアダプタ。
【請求項17】
シリンジアダプタアッセンブリであって、
シリンジアダプタが、
遠位端部と、近位端部と、これらの間に延びる円筒形の側壁とを有する外側ハウジングと、
該外側ハウジング内に回転可能に挿入された本体と、前記アダプタを流体容器に連結するように構成された、前記本体から延びるコネクタとを備える内側部材と、
該内側部材の本体と係合可能な第1のロッキング装置であって、第1の方向で前記外側ハウジングに対して前記内側部材が回転するのを制限するように構成された第1のロッキング装置と、
前記内側部材の前記本体と係合可能な第2のロッキング装置であって、前記第1の方向と第2の方向との両方で前記外側ハウジングに対して前記内側部材が回転するのを制限するように構成された第2のロッキング装置と、
を備えるシリンジアダプタであって、前記アダプタは、前記第1のロッキング装置および前記第2のロッキング装置が前記内側部材と係合されていない係合解除された状態と、前記第1のロッキング装置が前記内側部材に係合している部分的に係合された状態と、前記第2のロッキング装置が内側部材に係合している完全に係合された状態との間を移行可能であることを特徴とするアダプタと、
前記流体容器が前記コネクタから取り外されるときに前記内側部材が前記外側ハウジングに対して回転するのを防止するために係合されるように構成された取外しツールと、
を備えることを特徴とするシリンジアダプタアッセンブリ。
【請求項18】
前記内側部材は対向する平坦部を備え、前記取外しツールは前記対向する平坦部に接触するように構成されたU字型ジョーを備えることを特徴とする請求項17に記載のアッセンブリ。
【請求項19】
前記内側部材は一対の孔を備え、前記取外しツールは柄と一対の脚部を備え、前記一対の脚部はそれぞれ前記一対の孔に受容されるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載のアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタを介して第1の流体容器から第2の流体容器への流体送達を可能にする閉鎖系移送アセンブリのためのアダプタに関する。より具体的には、本発明は、流体容器に対してアダプタを係合および係合解除するための連結装置を有するアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤師や看護師などの医療従事者は、薬物製剤、薬物投与、および他の類似の処理の間に空気中に逃げ得る薬物または溶媒に繰り返し暴露されると、急性および長期の健康リスクを受ける可能性がある。この問題は、細胞毒素、抗ウイルス薬、抗生物質、および放射性医薬品が関係するときに特に深刻である。これらの薬物への暴露によって直面する健康リスクは、癌の発生、生殖問題、遺伝性疾患、および他の重大な懸念を含み得る。他の危険な領域は、ウイルス感染などに関する試料などの試料採取であり得る。輸液を行うとき、薬物または他の医療物質を、輸液バッグまたは他の輸液流体容器の内側の輸液流体中に注入することがしばしば必要である。これは、しばしば、輸液バッグ上または輸液流体ライン上の注入ポートのセプタムまたは他の流体バリアを、対象の医療流体で満たされたシリンジの針で貫通することによって行われる。しかしながら、これより前であっても、医療流体をバイアルからシリンジに、次いでシリンジから第2の容器に移送することが必要なことがある。これらのステップのそれぞれで、スタッフは汚染によって医療流体に暴露され得る。そのような汚染は、空気中の蒸発した医療流体または煙霧質であり得る。汚染物質は、スタッフの肺を通して、または皮膚上に凝縮した後にスタッフの皮膚を貫通する空気中の蒸発した医療流体もしくは煙霧質によって、スタッフを汚染し得るさらに、一部の薬剤は、保護手袋を貫通してスタッフを汚染することが知られている。
【0003】
このような汚染物質への暴露は、長期的に、上述されたスタッフの血液または人体内に驚くほど高い濃度の薬剤をもたらし得る。たとえば、バイアル、シリンジ、注入システムなどの間の多くの移送ステップにより、針の実際の挿入中および容器たとえばバイアルからの後退中の汚染のリスクが封じ込められる必要があることが理解されている。薬剤の移送中に薬剤が移送デバイス内に封じ込められるのを確実にするために、閉鎖系移送デバイス(closed system transfer device:CSTD)が開発されている。
【0004】
一般に、CSTDは、シリンジなどの第1の流体容器への連結のためのアダプタ(以下ではシリンジアダプタと呼ばれる)と、バイアル、第2のシリンジ、または患者の循環系に対する流体アクセスを提供する導管への連結のための第2のアダプタ(以下ではバイアルアダプタと呼ばれる)とを含む。1つの装置では、医療従事者が、シリンジアダプタおよびバイアルアダプタを介してシリンジをバイアルに取り付けることによって、生理食塩水または何らかの他の再構成媒体を用いて粉末化または凍結乾燥された化合物を再構成することができる。従事者は、薬剤を再構成し、化合物をシリンジ中に吸引し、アダプタを分離し、次いで、患者への投与のために、シリンジアダプタおよびそれに取り付けられたシリンジを、IVラインまたはシリンジのような患者送達デバイスに取り付ける。
【0005】
CSTDで使用され得る1つのタイプのシリンジアダプタは、雄または雌ルアーロック要素を備える近位端部を有し、雄または雌ルアーロック要素は、シリンジの対応する雌または雄ルアーロック要素と接合されるように配置されている。ルアーロック要素は、対応するルアーロック要素に対して螺入および螺出され得る。アダプタを通って延びる流体通路の分離をもたらし得る偶発的または不本意な部品の螺出を防止することが望ましい。そのような分離は、分離されたCSTDの近くの患者および/または任意の他の人物に対する深刻な汚染リスクを生じることがある。有害な医療化合物の投与における安全性の問題は、専門家組織および同様に政府機関によって、非常に重要であると認識されている問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、コネクタの適切な連結を促進し、シリンジと流体コネクタの不本意または偶発的な分離を回避することによって、シリンジからシリンジアダプタ、バイアルアダプタ、および第2の流体容器への流体移送を可能にするためのシリンジアダプタを提供することが望ましい。特に、シリンジとシリンジアダプタは、単純で直感的な連結活動によって一緒に連結できることが望ましい。しかしながら、シリンジアダプタからシリンジを分離するためのステップは、不本意または偶発的な分離を防止するために、より複雑になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態において、流体容器との連結のためのアダプタは、遠位端部と近位端部と概ね円筒形の側壁とを有する外側ハウジングであって、概ね円筒形の側壁は遠位端部と近位端部との間に延びる、外側ハウジングと、外側ハウジング内に回転可能に挿入された本体、およびアダプタを流体容器に連結するように構成された本体から延びるコネクタを備える内側部材と、内側部材の本体と係合可能な第1のロッキング装置であって、第1の方向でハウジングに対して内側部材が回転するのを制限するように構成された第1のロッキング装置と、内側部材の本体と係合可能な第2のロッキング装置であって、第1の方向と第2の方向との両方でハウジングに対して内側部材が回転するのを制限するように構成された第2のロッキング装置とを備える。アダプタは、第1のロッキング装置および第2のロッキング装置が内側部材と係合されていない係合解除された状態と、第1のロッキング装置が内側部材に係合している部分的に係合された状態と、第2のロッキング装置が内側部材に係合している完全に係合された状態との間を移行可能である。
【0008】
コネクタが係合解除された状態にあるとき、内側部材は、第1の方向と第2の方向との両方で回転可能であり得る。圧縮力を内側部材に加えることによって、内側部材は、延長位置(extended position)から引込んだ位置(recessed position)に移行可能であり得る。
【0009】
アダプタは、内側部材を延長位置に維持する付勢部材をさらに備えることができる。付勢部材は、板ばねであり得る。
【0010】
第1のロッキング装置は、ハウジングの側壁の内表面から内方へ延びる少なくとも1つの突起部と、側壁上の突起部に係合するように構成された内側部材の本体上の対応する突起部とを備えることができる。少なくとも1つの突起部は、ハウジングの側壁の内表面から内方へ延びることができ、内側部材の本体上の対応する突起部は、斜面および実質的に垂直の面を備える、一方向ラチェットとすることができる。
【0011】
第1のロッキング装置は、ハウジングの側壁の対向周側面に配置された少なくとも2つの突起部と、内側部材の本体から延びる少なくとも2つの対応する突起部とであり得る。第2のロッキング装置は、ハウジングの側壁の一部分に連結され、内側部材の一部分に選択的に係合するように構成された少なくとも1つの内方へ延びるタブであり得る。第2のロッキング装置は、ハウジングの側壁の対向側に配置された少なくとも2つの内方へ延びるタブであり得る。少なくとも1つのタブは、押圧面であって、圧縮力を押圧面に加えることがタブを内方へ付勢して内側部材の一部分に係合させるように構成された押圧面であり得る。タブは、圧縮力を押圧面に加えることがフレキシブルジョイントに関して内方へタブを付勢するように、フレキシブルジョイントにおいてハウジングの側壁に連結され得る。第2のロッキング装置は、タブをハウジングの側壁に連結する梁を備えることができ、圧縮力を押圧面に加えることが、梁を内方へ歪めて、それにより少なくとも1つのタブを内側部材に向けて延ばす。第2のロッキング装置は、タブの対向側に連結された2つの梁を備えることができる。第2のロッキング装置は、内側部材から半径方向に延びる少なくとも1つの歯を備えることができ、歯は、少なくとも1つのタブに係合するように構成されている。
【0012】
コネクタは、流体容器の一部分の内表面上の対応するねじ山に係合するように構成されたらせん状ねじ山を有する外表面を備えることができる。コネクタは、流体容器の対応するルアーコネクタを受容するように構成されたルアーコネクタであり得る。
【0013】
内側部材は、外側部材に対して延長位置から引込んだ位置へ移行可能であってよく、内側部材は、延長位置にあるときに、係合解除された状態であり、内側部材は、引込んだ位置にあるときに、部分的に係合された状態および完全に係合された状態のうちの一方である。内側部材は、内側部材が引込んだ位置にあるとき、かつ第2のロッキング装置が内側部材の本体と係合されているときに、完全に係合された状態であり得る。
【0014】
本発明のさらなる形態において、流体容器をアダプタに対して分離するための方法は、アダプタを提供するステップであって、アダプタは、遠位端部と近位端部と概ね円筒形の側壁とを有する外側ハウジングであって、概ね円筒形の側壁は遠位端部と近位端部との間に延びる、外側ハウジングと、外側ハウジング内に回転可能に挿入された本体、および本体から延びるコネクタを備える内側部材であって、コネクタは、流体容器と連結するように構成されている、内側部材と、内側部材の本体と係合可能な第1のロッキング装置であって、第1の方向でハウジングに対して内側部材が回転するのを制限するように構成された第1のロッキング装置と、内側部材の本体と係合可能な第2のロッキング装置であって、第1の方向と第2の方向との両方でハウジングに対して内側部材が回転するのを制限するように構成された第2のロッキング装置とを備える、ステップと、流体容器をアダプタに向けて軸方向に移動させるステップと、第2のロッキング装置に係合するステップと、流体容器を回転させて、アダプタの内側部材から流体容器を分離するステップとを含む。
【0015】
本発明のこれらのおよび他の特徴および特性、さらに構造の関連要素の動作の方法および機能、部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性が、添付図面を参照する以下の説明および添付の特許請求の範囲を考察することでより明確となり、これらのすべては本明細書の一部を形成し、同様の参照番号は様々な図において同様の部品を示す。しかしながら、図面は単に例示および説明を目的としており、本発明の限定の定義として意図されていないことを明確に理解されたい。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形は、文脈で別段に明確に示さない限り複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の形態による閉鎖系移送デバイスシステムの斜視図である。
図2】本発明の形態によるアダプタの斜視図である。
図3図2のアダプタの断面図である。
図4図2のアダプタの内側部材の斜視図である。
図5図4の内側部材の断面図である。
図6A】本発明の別の形態による、内側部材を延長位置で有するアダプタの一部分の正面図である。
図6B】内側部材を引込んだ位置で有する図6Aのアダプタの正面図である。
図7図2のアダプタの一部分の正面図である。
図8】内側部材がアダプタから取り外された図2のアダプタの上面図である。
図9A】初期位置における図2のアダプタの板ばねの正面図である。
図9B】圧縮位置における図9Aの板ばねの正面図である。
図10】本発明の別の形態による付勢部材の斜視図である。
図11】本発明の別の形態による付勢部材の斜視図である。
図12】明瞭にするためにアダプタハウジングの外側が透明になっている図2のアダプタの一部分の正面図である。
図13図2のアダプタの一部分の断面図である。
図14】本発明の別の形態によるアダプタの一部分の斜視図である。
図15】本発明の別の形態によるアダプタの一部分の斜視図である。
図16】本発明の別の形態によるアダプタの断面図である。
図17】シリンジをアダプタから取り外すための図2のアダプタに連結された取外しツールの形態の斜視図である。
図18A】本発明の別の形態による、アダプタからシリンジを取り外すための取外しツールの形態の斜視図である。
図18B図18Aの取外しツールによってシリンジから分離されるように構成された本発明の別の形態によるアダプタの斜視図である。
図19】本発明の別の形態によるアダプタの一部分の斜視図である。
図20】本発明の別の形態によるアダプタの一部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は、一般に本開示のシステムおよび方法の好ましい非限定的形態を示す。説明はデバイスの種々の形態を提示しているが、それは本開示を何ら限定するものと解釈されるべきではない。さらに、本開示の形態の修正形態、概念、および用途は、図面および本明細書の説明によって包含されるが、それらを限定しないものとして、当業者により解釈されるべきである。
【0018】
さらに、以下の説明では、用語「端部」、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横」、「縦」、およびそれらの派生語は、それが図面で向きが示されるように本開示に関係するものとする。用語「近位」は、デバイスの中央または中央領域に向かう方向を示す。用語「遠位」は、デバイスの中央領域から離れるように延びる外方への方向を示す。しかしながら、本開示は、明確に反対に指定されない限り、種々の代替的な変形例およびステップ系列を想定し得ることを理解されたい。また、添付の図面で示されまた以下の明細書で説明される特定のデバイスおよびプロセスは、本開示の例示的形態に過ぎないことを理解されたい。したがって、本明細書に開示された形態に関係した特定の寸法および他の物理的特性は、限定するものとみなされるべきではない。開示の理解を促進するために、添付図面および説明はその好ましい形態を示し、それらから開示、その構造の様々な形態、動作の構成および方法、ならびに多くの利点が理解および評価され得る。
【0019】
図1を参照すると、閉鎖系移送アセンブリ2が示されている。閉鎖系移送アセンブリ2は、シリンジアダプタ(以下ではアダプタ10として参照される)に連結されるように構成された、シリンジ4またはIVラインなどの第1の流体源または容器を備える。シリンジ4は、雄ルアーコネクタ6を備え、雄ルアーコネクタ6は、アダプタ10の対応する雌ルアーロックコネクタ12に固着するように構成される。しかしながら、雌および雌ルアーロックフィッティングの装置が特定の流体送達用途のために逆にされ得ることは理解されよう。当技術分野で知られるような任意の他の連結インターフェースが、必要に応じてルアーフィッティングの代わりに追加されてもよい。シリンジ4の遠位端部はまた、コネクタ12を取り囲む対応するねじ山14に係合するように構成されたねじ山9を有する雄ルアーコネクタ6を取り囲むルアーロック8を備えることができる。より具体的には、アダプタ10は、アダプタ10は、シリンジ4との耐タンパ性連結インターフェースを作るように適合された部品のアセンブリである。アダプタ10は、閉鎖系移送アセンブリ2の完全性を損なうおそれがあるアダプタ10とシリンジ4の偶発的または不本意な分離を防止するように構成される。後で詳細に説明されるように、アダプタ10は、ユーザが不本意にシリンジ4からアダプタ10を係合解除するのを防止するための様々なロッキング装置を備える。ロッキング装置の結果として、アダプタ10からシリンジ4を係合解除するために、ユーザは複合運動活動を行わなければならない。以下で参照されるように、複合運動活動は、所定の順序または系列で行われる2以上の別個の独立した運動を指す。たとえば、アダプタ10の一形態では、複合運動活動は、少なくとも3つの別個の運動、すなわち、シリンジ4をアダプタ10に向けて押圧すること、アダプタ10の側壁上に位置するボタン、タブ、または表面を押圧すること、ならびに、アダプタ10に対してシリンジ4を回転させてシリンジ4のルアーロック8上のねじ山9からコネクタ12のねじ山14を係合解除することを含む。所定のステップの系列は、本発明の範囲内で逆にされまたは異なる順序で行われてもよい。
【0020】
図2および図3を参照すると、アダプタ10は、遠位端部18と、近位端部20と、概ね円筒形の側壁22とを有する外側ハウジング16を備え、概ね円筒形の側壁22は、遠位端部18と近位端部20との間に延びている。ハウジング16は、外側ハウジング16の近位端部20と遠位端部18との間に延びる(図3に示されている)流体通路24を画定する。ハウジング16は、医療グレードのプラスチックまたは金属を含む任意の適切な構造材料から形成され得る。任意選択で、ハウジング16は、ハウジング16およびアダプタ10を保持または操作することをより容易にする様々な特徴を含むことができる。たとえば、ハウジング16は、ユーザが保持するのにより快適な、より狭いグリップ部分26を含むことができる。ハウジング16はまた、ユーザにより保持されたときにハウジング16がスリップまたは摺動しないように、テクスチャード加工された部分または表面(図示せず)を含んでもよい。ハウジング16はまた、外側ハウジング16の外観を改善するために、パターン、デザイン、ロゴなどの様々な美的特徴を含んでもよい。
【0021】
図2および図3を引き続き参照すると、特定の形態では、ハウジング16が、ハウジング16の中を通って延び流体通路24を形成する針カニューレ25を含む。カニューレ25は、その遠位端部に、医療バイアルなどの流体容器との流体連結を確立するための先端部を備えることができる。ハウジングはまた、セプタム(図示せず)またはシール装置を含むことができ、セプタムまたはシール装置は、針の先端部によって穿刺されることができ、ハウジング16の内側部分にわたって延びる。使用中、針先端部およびカニューレ25は、セプタムまたはシール装置を貫通して進んでハウジング16の中を通る流体連結を確立する。セプタムまたはシール装置は、流体がハウジング16を通過してアダプタ10および/またはシリンジ4の他の要素を汚損することを防止するように構成され得る。
【0022】
アダプタ10は、ハウジング16の近位端部20に挿入された内側部材28を備えることができる。たとえば、一形態では、内側部材28は、ハウジング16の近位端部20の周りに延びる環状スリーブ30に挿入され得る。後述するように、側壁22の(図3に示されている)内表面32は、内側部材28に係合してその回転を制限するための様々な構造を備えることができる。内側部材28は、ハウジング16の側壁22の内径IDに概ね対応する外径ODを有する実質的に円筒形の本体34を備える。アダプタ10はまた、時計周りなどの第1の方向Aで内側部材28が回るのを制限するように内側部材28の本体34と係合することができる、第1のロッキング装置36と、第1の方向Aと反時計周りなどの第2の方向Bとの両方で内側部材28が回るのを制限するように内側部材28の本体34と係合することができる、第2のロッキング装置38とを備える。
【0023】
後により詳細に説明されるように、アダプタ10は、3つの状態または位置の間で移行可能である。第1に、アダプタ10は、第1のロッキング装置36および第2のロッキング装置38が内側部材28と係合されていない、係合解除された状態になり得る。係合解除された状態では、内側部材28は、静止した外側ハウジング16に対して第1の方向Aと第2の方向Bとの両方で自由に回転することができる。第2に、アダプタ10は、部分的に係合された状態になり得る。部分的に係合された状態では、方向Aの回転が実質的に防止されるように、第1のロッキング装置36が内側部材28に係合する。最後に、アダプタ10は、完全に係合された状態または位置に移行することができ、完全に係合された状態または位置では、第2のロッキング装置38が内側部材28に係合して、それにより、第1の方向Aまたは第2の方向Bのいずれでも内側部材28が実質的に自由に回転するのを防止する。しかしながら、ロッキング装置36、38がハードストップに到達していない場合、または、ユーザが内側部材28の回転を完全に防止するのに十分なほど強くはロッキング装置36、38を把持していない場合、何らかの回転が、部分的に係合された状態および完全に係合された状態で依然として発生することがあることに留意されたい。
【0024】
図2図5を参照すると、内側部材28の本体34は実質的に円筒形の構造であるが、他の適切な形状が利用されてもよい。本体34は、その近位端部にキャップ40または上部を備えてよい。キャップ40は、本体34の近位端部の一部分をカバーし、ハウジング16に挿入されると、ハウジング16の近位端部20の少なくとも一部分もカバーする。コネクタ12は、本体34のキャップ40から延びており、流体通路24がコネクタ12の中を通って延びるように配置される。たとえば、(図3に示されている)カニューレ25の近位端部は、アダプタ10のハウジング16を通る流体流を可能にするために、コネクタ12の(図5に示されている)遠位端部44内に挿入され得る。
【0025】
コネクタ12は、(図1に示されている)シリンジ4にアダプタ10の内側部材28を連結するための様々な構造を備える。上述したように、一形態では、コネクタ12の外側壁が、それから延びるらせん状ねじ山14を備える。ねじ山14は、(図1に示されている)シリンジ4上の対応するねじ山9に係合するように構成される。たとえば、ユーザは、シリンジ4を方向Aに捻ることによってシリンジ4をコネクタ10に連結することができる。
【0026】
特定の形態では、内側部材28はまた、内側部材28の本体34とコネクタ12との間に位置する台座46または基部を備える。台座46は、少なくとも1つの平坦部(flat)47を備える。たとえば、台座46は、台座46の両側に対向する平坦部47を備えることができる。後述するように、平坦部47は、レンチなどの(図17に示されている)取外しツール100と連結されるように構成される。取外しツール100は、内側部材28がハウジング16に対して回転するのを防止し、シリンジ4からアダプタ10を取り外すことをより容易にする。
【0027】
図7を参照すると、上述したように、内側部材28は、アダプタ10のハウジング16の近位端部20に挿入されるように構成される。任意選択で、ハウジング16は、内側部材28をハウジング16内に維持するための構造を備えることができる。たとえば、アダプタ10は、内側部材28の一部分に係合するように構成されたスナップ嵌め機構48を備えることができる。スナップ嵌め機構48は、ハウジング16の側壁22の一部分から延びるレッジ50またはリングを備えることができる。内側部材28の本体34上の対応するレッジ52またはリングは、内側部材28をハウジング16内に維持するために、レッジ50またはリングに接触するように構成される。特定の形態では、ハウジング16の側壁22上の窓54が、いつスナップ嵌めが確立されるかをユーザが決定することを可能にする。
【0028】
図6Aおよび図6Bを参照すると、内側部材28は、(図6Aに示されている)延長位置から、内側部材28が外側ハウジング16内にさらに挿入される(図6Bに示されている)引込んだ位置へ移行可能であるように構成される。ユーザは、内側部材28をハウジング16に対して遠位方向Dに進めて、圧縮力を内側部材28に加えることによって、内側部材28を延長位置から引込んだ位置に移行する。後述するように、(図2および図3に示されている)第1のロッキング装置36および第2のロッキング装置38は、内側部材28が延長位置にあるとき、それに係合するこができない。内側部材28が引込んだ位置にあるとき、第1のロッキング装置36および/または第2のロッキング装置38は、内側部材28に係合して、第1の方向Aおよび/または第2の方向Bにおける外側ハウジング16に対する内側部材28の回転を制限することができる。
【0029】
図3および図8を参照すると、アダプタ10は、(図3に示されている)ハウジング16と内側部材28との間に連結された板ばね56などの付勢部材をさらに備えることができる。板ばね56は、(図9Aに示されている)初期位置から(図9Bに示されている)圧縮位置に移動され得る2つ以上のフレキシブルアーム62を備える。特定の形態では、板ばね56は、単一の成形構造である。板ばね56は、内側部材28を通して一緒に連結される2つ以上の構成要素として成形されてもよい。板ばね56は、内側部材28と一体的に形成されてもよい。当業者には認識されるように、フレキシブルアーム62によって形成されるリングの外径は、ばね56が、初期位置から圧縮位置に圧縮されるに従って増大する。他の形態では、板ばね56は、初期位置と圧縮位置との両方において一定の外径で構成されてもよい。板ばね56は、ハウジング16の側壁22の一部分から延びる(図8に示されている)溝60内に受容されるように構成された底部58または脚部を備えることができる。図3を特に参照すると、板ばね56は、外側ハウジング16に対して近位方向Pで内側部材28を付勢して、ユーザにより内側部材28に加えられた圧縮力を打ち消すように構成される。したがって、圧縮力が内側部材28に加えられないとき、板ばね56は、内側部材28を延長位置に維持する。前述されたように、内側部材28が延長位置にあるとき、第1のロッキング装置36および第2のロッキング装置38は、内側部材28に係合することができない。したがって、内側部材28は、方向Aと方向Bとの両方で自由に回転可能である。ユーザは、板ばね56の付勢力に打ち勝つのに十分な圧縮力を遠位方向Dで内側部材28に加えることによって、内側部材28を引込んだ位置に移行することができる。
【0030】
上述したように、本開示のアダプタ10は、(図1に示されている)シリンジ4をアダプタ10から分離するために複合運動または活動を必要とするように構成される。アダプタ10の好ましい非限定的形態では、第1の作動運動または操作は、板ばね56の付勢力を打ち消すのに十分な圧縮力で遠位方向Dに内側部材28を押圧することであると考えられる。この活動は、たとえば、(図1に示されている)雄ルアーロック6をコネクタ12の対応する雌ルアーロックフィッティングに押し込むときに行われ得る。
【0031】
図10および図11を参照すると、板ばね56の代替的形態が示されている。具体的には、図10において、板ばね56が第1のロッキング装置36の一部分を含む。その場合、内側部材28の本体34は、第1のロッキング装置36の構造に関わらず、様々な適用で使用できる一体的要素であり得る。後述するように、第1のロッキング装置36は、ハウジング16の側壁22の対応する部分と相互作用して、内側部材28の回転を制限する。図11では、対向するフレキシブルジョイント64がフレキシブルアーム62を一緒に連結している板ばね56の形態が示される。フレキシブルジョイント64は、ばね56の直径を実質的に増大することなく、ばね56を圧縮位置に移行できることを確実にする。
【0032】
アダプタ10の外側ハウジング16、内側部材28、および板ばね56の形態の構造を概ね説明したが、次に、第1の方向Aおよび/または第2の方向Bにおける内側部材28の回転を制限する第1のロッキング装置36および第2のロッキング装置38の構造を論じる。
【0033】
図3および図12を参照すると、上述されたように、内側部材28が引込んだ位置にあるとき、第1のロッキング装置36は、内側部材28の本体34の一部分に係合することができ、それにより、ユーザが第1の方向Aで内側部材28を回転させることを防止するが、第2の方向Bでの回転を可能にする。図12を特に参照すると、特定の形態では、第1のロッキング装置36は、ハウジング16の側壁22の内表面から内方へ延びる少なくとも1つの突起部64を備える。内側部材28の本体34上の対応する突起部66は、内側部材28が引込んだ位置にあるとき、ハウジングの側壁16上の突起部64に接触するように構成される。突起部64、66は、対応する一方向ラチェット構造であり得る。たとえば、各突起部64、66は、斜面68および垂直面70を備えることができる。当業者には認識されるように、突起部64、66の垂直面70は互いに係合して、方向Aにおける内側部材の回転を防止する。内側部材28が方向Bに回転されたとき、対応する突起部64、66の斜面68が互いに対して摺動して、内側部材28の移動または回転を可能にする。
【0034】
突起部66、64は、内側部材28の本体34の周囲および側壁22の内表面のあたりで様々な構成で配置され得る。たとえば、アダプタ10は、ハウジング16の内側壁22から延びる2つの突起部64と、内側部材28の本体34上の2つの対応する突起部66とを備えることができる。突起部64、66は、内側部材28および側壁22の対向側に配置され得る。アダプタ10は、側壁22および内側部材28に関する等距離点に置かれた4つ以上の突起部64、66を備えてもよい。さらに、側壁22が、内側部材28と異なる数の突起部64を備えてもよい。たとえば、内側部材28の一形態では、内側部材28の本体34は、その対向側に2つの突起部64を備える。側壁22は、4つ以上の突起部66を備えてもよい。このようにして、ユーザは、突起部64、66の間の係合が確立される前である限り、内側部材28を捻る必要がない。
【0035】
図3および図13を参照すると、内側部材28が引込んだ位置にあるとき、第2のロッキング装置38が内側部材28に係合して、第1の方向Aまたは第2の方向Bのいずれでも内側部材28が回転するのを防止することができる。第2のロッキング装置38は、ハウジング16の側壁22の一部分に連結され、内側部材28の一部分に選択的に係合するように構成された少なくとも1つの内方へ延びるタブ72を備える。特定の形態では、アダプタ10は、ハウジング16の両側に2つ以上のタブ72を備える。任意選択で、特定の用途で必要とされたときに、追加の係合力を内側部材28に付与するために、追加のタブ72が、ハウジング16の側壁22の周りに配置されてもよい。加えて、アダプタ10は、美的目的で、たとえば、より対称的な外観をアダプタ10に与えるために、アダプタ10に関して様々な模造ボタン(図示せず)または間隔を空けた表面を備えてもよい。ハウジング16はまた、ハブ72を隠してそれらをより目立たなくし、それによりアダプタ10の外観を改善するように構造化されてもよい。
【0036】
各タブ72は、その外側に配置され、ユーザによって押圧されるように構成された、ボタン、スイングアーム、またはタブなどの押圧表面74を備える。タブ72はまた、内側部材28の一部分に接触および係合するように構成された内表面76を備える。ユーザは、各タブ72の押圧表面74に圧縮力を加えて、それにより、タブ72を内側部材28へ向けて内側方向に付勢する。たとえば、一形態では、タブ72の押圧表面76は、内側部材28の本体34の滑らかな表面に接触して、それと摩擦係合を形成するように構成される。タブ72は、タブ72と側壁22との間に連結された1または複数の梁80を介して側壁22に連結される。たとえば、図12および図13に示されたアダプタ10の形態は、タブ72の両側に連結された2つの梁80を備える。図14に示されたアダプタ10の形態は、タブ72に連結された単一の梁80を備える。ユーザは、タブ72の押圧表面74を押圧することができ、それにより、梁80を内方へ歪めさせ、タブ72の内表面76を内側部材28と接触させて、内側部材28の回転を制限する。
【0037】
図15を参照すると、他の特定の形態では、タブ72は、フレキシブルジョイント78でハウジング16の側壁22に直接連結されたスイングタブとすることができる。圧縮力をタブ72に加えることが、それを内方へジョイント78に対して回転させ、内表面76を内側部材28に接触するようにする。
【0038】
再び図12および図13を参照すると、内側部材28は、タブ72の内表面76と内側部材28との間の係合を強化、補強、または最適化するための様々な構造を備えることができる。たとえば、一形態では、内側部材28は、本体34のスカートまたは表面84から延びる、少なくとも1つの半径方向に延びる歯82などの突起部を備える。一形態では、いくつかの歯82が、半径方向に延びる歯82のリングを形成するように表面84の周囲に配置され得る。タブ72が内側部材28に向けて内側方向に付勢されると、タブ72の押圧表面76が内側部材28に係合する。より具体的には、押圧表面76が、隣接する歯82の間の領域で表面84に係合することができ、それにより、ハウジング16に対する内側部材28の回転を制限または防止する干渉係合を形成する。
【0039】
図16を参照すると、好ましい非限定的形態では、アダプタ10は、外側ハウジング16内に挿入された膜ハウジング86をさらに備える。膜ハウジング86は、セプタムまたは膜(図示せず)を支持または保持する。セプタムまたは膜は、流体または気体がアダプタ10の内部を通って大気に移動するのを防止する。膜ハウジング86は、外側ハウジング16内で移動することができる。1つの位置において、たとえば、アダプタ10が相手コネクタまたは部品に連結されたときなどに、膜ハウジング86は、内側部材28の遠位端部に隣接し、板ばね56によって部分的に取り囲まれる。この位置において、膜ハウジング86は、内側部材28が板ばね56を付勢して延長位置から引込んだ位置に移行することを防止する。したがって、膜ハウジング86はさらに、(図16に図示されていない)第1のロッキング装置36の一方向ラチェット構造、または第2のロッキング装置38のタブ72および押圧表面76が、内側部材28に接触および係合することを防止して、その回転を制限する。したがって、膜ハウジング86が内側部材28に隣接するとき、内側部材28は、延長位置に保持され、方向Aおよび方向Bに自由に回転する。したがって、膜ハウジング86が、図16に示された内側部材28に隣接する位置にあるとき、コネクタ12を(図1に示されている)シリンジ4から取り外すことが難しくなる。
【0040】
閉鎖移送システムアセンブリ2およびアダプタ10の構造について論じてきたが、次に、シリンジ4をアダプタ10に連結し、シリンジ4をアダプタ10から分離するためのステップを詳細に論じる。上述したように、アダプタ10は、一連の直感的で容易な連結ステップを通してシリンジ4がアダプタ10に連結できるように構成されている。アダプタ10は、シリンジ4をアダプタ10から取り外すための複合運動係合解除と呼ばれるステップが、より意図的なユーザによる行為を必要とするように構成されており、それにより、不本意または偶発的にユーザがシリンジ4をアダプタ10から取り外すことを防止する。
【0041】
図1図3を参照すると、シリンジ4をアダプタ10に連結するために、ユーザは従来の手法でシリンジ4を把持する。ユーザは、シリンジ4の遠位部分をアダプタ10のコネクタ12と整合させて、コネクタ12のらせん状ねじ山14が、シリンジ4の雄ルアーロック6を取り囲むシールド8上の対応するねじ山9に接触するようにする。しかしながら、アダプタ10は係合解除された位置にあるので、内側部材28は、第1の方向Aと第2の方向Bとの両方で自由に回転することに留意されたい。したがって、ユーザがコネクタ12に対してシリンジ4を回そうとすると、内側部材28も回転し、それらの間の連結を防止する。代わりに、ユーザは、板ばね56の付勢力に打ち勝つのに十分な圧縮力で、遠位方向Dでコネクタ12に対してシリンジ4を押圧しなければならない。十分な力が加えられると、内側部材28は引込んだ位置に移行される。
【0042】
引込んだ位置において、第1のロッキング装置36の(図12および図13に示されている)突起部64、66が互いに接触させられる。より具体的には、内側部材28が引込んだ位置になると、ユーザは、ハウジング16に対して内側部材28を少し回転させて、内側部材28の突起部66とハウジング16から延びる突起部64との間の接触および/または係合を確立することができる。第1のロッキング装置36と内側部材28との間の係合が確立されると、内側部材28は、第1の方向Aにさらに回転することを防止される。したがって、ユーザは、方向Aでコネクタ12に対してシリンジ4を回転させて、シリンジ4のねじ山9をコネクタ12のらせん状ねじ山14と係合させることができる。内側部材28は、第1のロッキング装置36と固定して係合されるので、シリンジ4を方向Aに捻ることにより内側部材28は回転しない。
【0043】
シリンジ4が十分に強固に内側部材28のコネクタ12に連結されると、ユーザはシリンジ4を解放することができる。シリンジ4が解放されると、板ばね56が内側部材28を付勢して延長位置に戻す。延長位置において、内側部材28およびそれに取り付けられたシリンジ4は、いずれの方向でもハウジング16に対して自由に回転することができる。さらに、内側部材28はシリンジ4の回転とともに回転するので、ユーザがシリンジ4を内側部材28のコネクタ12から取り外すことは、それが延長位置にあるときに、かなり困難または不可能となる。したがって、ユーザまたは患者が不本意にシリンジ4をアダプタ10から取り外す可能性が、効果的に低減される。
【0044】
シリンジ4をアダプタ10から取り外すために、ユーザは、まずシリンジ4をアダプタ10に向けて押して、上述されたのと同様に、内側部材28を延長位置から引込んだ位置に移行させる。この行為は、第1の運動または操作と呼ばれる。具体的には、シリンジ4をコネクタ12から分離するために、ユーザは方向Bにシリンジ4を回転しなければならない。しかしながら、アダプタ10が、それがA方向に回転できない部分的に係合された位置にあるとき、方向Bに回転するのが自由であり、すなわち、シリンジ4をコネクタ12から取り外すことが難しいまたは防止されることを意味する。したがって、ユーザは、第2のロッキング装置38のタブ72の押圧表面74を押圧しなければならない。タブ72を押圧することは、第2の運動または操作と呼ばれる。押圧表面74を押圧することは、タブ72を内側部材28に接触および係合させる。第2のロッキング装置38は、方向Aまたは方向Bのいずれでも内側部材28が回転するのを防止する。この位置において、内側部材28が方向Bに回転するのを防止されるので、ユーザは、シリンジ4をB方向に容易に捻って、それをコネクタ12から螺出することができる。しかしながら、第2のロッキング装置38は、内側部材28が延長位置にあるときに係合されることができない。コネクタ12からシリンジ4を螺出することは、操作の第3の運動と呼ばれる。
【0045】
図17を参照すると、本発明の別の形態において、(図1に示されている)シリンジ4をアダプタ10の内側部材28から取り外すための取外しツール100が示されている。取外しツール100は、内側部材28の台座46の対向する平坦部47に接触するように構成されたU字形ジョー110を備える。取外しツール100が平坦部47に連結されているとき、内側部材28は、それが延長位置にあるときでも回転するのを防止される。より簡単には、取外しツール100は内側部材28を所定の位置に保持する。したがって、ユーザは、(図3に示されている)ロッキング装置36、38のいずれかに係合するために内側部材28を操作する必要なく、シリンジ4をアダプタ10から容易に取り外すことができる。有利には、取外しツール100は、ユーザが(図1に示されている)シリンジ4をアダプタ10から頻繁に分離しなければならない場合、またはユーザが有毒物質に接触するのを回避するために厚手の手袋を着用しなければならない状況において使用され得る。そのような場合、厚手の手袋により、シリンジ4をアダプタ10から取り外すための本明細書に説明されている複合運動活動を行うことが、定期的に行うには難しすぎることがある。
【0046】
図18Aを参照すると、取外しツール100の別の形態が示されている。取外しツール100は、柄112を備え、柄112は、その遠位端部から延びる1または複数の実質的に直線状の脚部114を有する。脚部114は、実質的に円形の断面を有し、(図18Bに示されている)対応する孔90に挿入されるように構成され、孔90は、対応する断面を有し、内側部材28のキャップ40から内方へ延びる。ユーザは、取外しツール100の脚部114を内側部材28の対応する孔に挿入する。(図1に示されている)シリンジ4をアダプタ10から取り外すとき、ユーザは、取外しツール100および内側部材28が回転するのを防止するために十分な力で、取外しツール100の柄112を保持する。このようにして、孔90は、取外しツール100を内側部材28に係合させる構造または機構を孔90が提供するという点で、上述された台座と同様に機能する。
【0047】
図19および図20を参照すると、グリップハウジング16に対する内側部材28の回転を防止するための構造を有するアダプタ10の追加の形態が示されている。図19を特に参照すると、1または複数のウイング92などの把持表面が、内側部材28のキャップ40の遠位表面から延び得る。(図1に示されている)シリンジ4を内側部材28から分離するとき、ユーザは、内側部材28が回転するのを防止するために十分な力で、片手を用いてウイング92を把持することができる。他の特定の形態では、把持表面は、当技術分野で知られているような、隆起したリッジ、タブ、親指溝、または他の突起部とすることができる。図19に示されたウイング92のような把持表面は、特定の形状の流体源またはシリンジに関してユーザが保持するのがより容易であり、他の形態に関連して上述された第2のロッキング装置38のタブ72の代替形態を提供することができる。
【0048】
図20を特に参照すると、ハウジング10はまた、内側部材28に隣接する部分のあたりに延びる変形可能な部分を含むことができる。変形可能部分94は、内側部材28に対して押圧されて、その回転を制限することができる。変形可能部分94は、ユーザによって容易に把持できる湾曲を有する引込んだ押圧部分94を含むことができる。十分な圧搾力が押圧表面76に加えられると、ハウジング16の変形可能部分94が内側部材28に対して付勢されて、その回転を防止する。特定の形態では、ハウジング16の変形可能部分94は、押圧表面96に隣接するスロット98も含むことができる。スロット98は、ハウジング16の変形可能部分94と内側部材28との間の接触の領域を限定することにより、それらの間の分離力を最小限にする。ハウジング16の変形可能部分94は、さらに別の取外しオプションをユーザのために提供する。
【0049】
本発明は、現在のところ最も実際的で好ましい形態と考えられるものに基づいて例示の目的で詳細に説明されているが、そのような詳細はその目的のためのものに過ぎず、本発明は、開示された形態に限定されず、それどころか、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内の修正形態および均等な装置を含むように意図されていることを理解されたい。たとえば、本発明は、可能な限り、任意の形態の1または複数の特徴が任意の他の形態の1または複数の特徴と組み合わせられることを企図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20