特許第6585847号(P6585847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585847
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電動機のための電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20190919BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-527068(P2018-527068)
(86)(22)【出願日】2016年10月17日
(65)【公表番号】特表2018-535641(P2018-535641A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016074869
(87)【国際公開番号】WO2017089028
(87)【国際公開日】20170601
【審査請求日】2018年7月12日
(31)【優先権主張番号】102015223602.1
(32)【優先日】2015年11月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】イリッチ,エーリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュレ,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ベッツ,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】フォン エムデン,ヴァルター
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−109756(JP,A)
【文献】 特開2014−154770(JP,A)
【文献】 特開2013−168475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機のための電力モジュール(1,16,17)であって、該電力モジュール(1,16,17)が少なくとも1つの半導体スイッチハーフブリッジ(2,3,17,18,19,20,21,22)を含む電力モジュール(1,16,17)であって
前記半導体スイッチハーフブリッジ(2,3,17,18,19,20,21,22)がハイサイド半導体スイッチ(2,17,18,19)およびローサイド半導体スイッチ(3,20,21,22)を備え、
ハーフブリッジ(2,3)の半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)が、それぞれ平坦に構成された半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)の表面範囲によって形成された切換経路端子(4,5,6,7,23,24,25,26)を備え、
半導体スイッチの切換経路端子(4,5,6,7,23,24,25,26)がそれぞれ同じ方向に向いており、
ハイサイド半導体スイッチ(2)とローサイド半導体スイッチ(3)との間に少なくとも1つの導電性の層(8,9,10,28,31,34,35,36)が設けられており、
該少なくとも1つの層(8,9,10,28,31,34,35,36)が、ハーフブリッジのローサイド半導体スイッチ(3,20,21,22)の切換経路端子(4,6,24,26)とハイサイド半導体スイッチ(2)の切換経路端子(5,7,23,25)とを相互に電気的に接続し、
少なくとも1つの導電性の層(8,9,10)によりハーフブリッジの出力端子が形成されている、
ことを特徴とする電動機のための電力モジュール(1,16,17)において、
導電性の前記層(28,31)が相バスバー(27)を備え、
該相バスバー(27)に層の平坦な延在部分として相バスバー(27)から横方向に、または横方向成分によってそれた少なくとも1つの接触指(33,33a,33b)が一体成形されており、
該接触指(33,33a,33b)が、出力端子(34,35,36)に接続された半導体スイッチ(17,20)の前記切換経路端子(24,25)を相互に接続する、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項2】
電動機のための電力モジュール(1,16,17)であって、該電力モジュール(1,16,17)が少なくとも1つの半導体スイッチハーフブリッジ(2,3,17,18,19,20,21,22)を含む電力モジュール(1,16,17)であって、
前記半導体スイッチハーフブリッジ(2,3,17,18,19,20,21,22)がハイサイド半導体スイッチ(2,17,18,19)およびローサイド半導体スイッチ(3,20,21,22)を備え、
ハーフブリッジ(2,3)の半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)が、それぞれ平坦に構成された半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)の表面範囲によって形成された切換経路端子(4,5,6,7,23,24,25,26)を備え、
半導体スイッチの切換経路端子(4,5,6,7,23,24,25,26)がそれぞれ同じ方向に向いており、
ハイサイド半導体スイッチ(2)とローサイド半導体スイッチ(3)との間に少なくとも1つの導電性の層(8,9,10,28,31,34,35,36)が設けられており、
該少なくとも1つの層(8,9,10,28,31,34,35,36)が、ハーフブリッジのローサイド半導体スイッチ(3,20,21,22)の切換経路端子(4,6,24,26)とハイサイド半導体スイッチ(2)の切換経路端子(5,7,23,25)とを相互に電気的に接続し、
少なくとも1つの導電性の層(8,9,10)によりハーフブリッジの出力端子が形成されている、
ことを特徴とする電動機のための電力モジュール(1,16,17)において、
電力モジュールがバスバー(27)を備え、
該バスバーに少なくとも1つの接触指(32,32a,32b)が一体成形されており、該接触指(32,32a,32b)がハーフブリッジに電流を供給するための切換経路端子に電気的に接触する、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項3】
請求項2に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
前記接触指(32,32a,32b)が相互に平行に配置された2つの導電性の層(28,31)を含み、
該層が、電気絶縁性の絶縁層(29)によって相互に分離されており、前記接触指(32,32a,32b)の層(28,29,31)が、互いに異なる半導体スイッチ(17,20)の相互に向かい合った端子(23,26)に接触する、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
バスバー(27)の接触指(32,32a,32b,33,33a,33b)と出力端子(34,35,36)の接触指とがそれぞれ相互に噛み合う、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
前記ハーフブリッジの半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)の前記切換経路端子(4,5,6,7,23,24,25,26)が相互に向かい合っている、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
該電力モジュール(1,16,17)が多相回路のために構成されており、それぞれの相のために少なくとも1つまたは1つのみの半導体スイッチハーフブリッジを備える、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)がそれぞれ電界効果トランジスタによって形成されており、
ハーフブリッジの出力端子に接続されたハイサイド半導体スイッチの切換経路端子がソース端子であり、
ハーフブリッジの出力端子に接続されたローサイド半導体スイッチの切換経路端子がドレイン端子である、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
前記半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)がそれぞれ絶縁ゲートバイポーラトランジスタによって形成されており、
ハーフブリッジの出力端子に接続されたハイサイド半導体スイッチ(2,3,17,18,19,20,21,22)の切換経路端子がエミッタ端子であり、
ハーフブリッジの出力端子に接続されたローサイド半導体スイッチの切換経路端子がコレクタ端子である、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載の電力モジュール(1,16,17)において、
前記電力モジュール(1,16,17)が成形体(15,41)に埋設されている、
ことを特徴とする電力モジュール(1,16,17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機のための電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電力モジュールは少なくとも1つの半導体スイッチハーフブリッジを備える。
【発明の概要】
【0003】
本発明によれば、半導体スイッチハーフブリッジはハイサイド半導体スイッチおよびローサイド半導体スイッチを備え、ハーフブリッジの半導体スイッチはそれぞれ、特に平坦に構成された半導体スイッチの表面範囲によって形成された切換経路端子を備える。切換経路端子、特に切換経路端子の面法線ベクトルはそれぞれ同じ方向に向いている。ハイサイド半導体スイッチとローサイド半導体スイッチとの間には少なくとも1つの導電性の層が設けられており、この層は、ハーフブリッジのローサイド半導体スイッチの切換経路端子とハイサイド半導体スイッチの切換経路端子とを相互に電気的に接続する。好ましくは、少なくとも1つの導電性の層によりハーフブリッジの出力端子が形成されている。このような構成により、好ましくは小型の電力モジュールを提供することができる。このようにして、電力モジュールを電動機内に省スペースで配置することができる。
【0004】
電力モジュールの好ましい実施形態では、ハーフブリッジの半導体スイッチの切換経路端子は相互に向かい合っている。好ましくは、半導体スイッチの切換経路端子は相互に同一平面上に配置されている。導電性の層によって相互に接続された切換経路端子の間には、このようにして導電性の層が、特にサンドイッチ状に挿入される。電力モジュールは好ましくは省スペースで構成することができる。
【0005】
好ましい実施形態では、電力モジュールは、多相回路、特にモータ電流の回路のために構成されており、それぞれの相のために少なくとも1つまたは1つのみの半導体スイッチハーフブリッジを備える。したがって電力モジュールは、例えば三相モータを制御するために3つの半導体スイッチハーフブリッジを備えていてもよい。それぞれの半導体スイッチハーフブリッジは、例えば複数または多数の個々の半導体スイッチハーフブリッジを備え、これらの半導体スイッチハーフブリッジは互いに並列に接続されており、特にレールとして配置されている。
【0006】
半導体スイッチハーフブリッジは、好ましくはそれぞれの切換経路端子につき少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つ以上の表面範囲を備え、これらの表面範囲は導電性に構成されており、切換経路端子に接続されている。したがって、これらの表面範囲はそれぞれ1つの導体パッドを形成していてもよい。
【0007】
電力モジュールの好ましい実施形態では、導電性の層が相バスバーを備え、相バスバーには層の平坦な延在部分が、相バスバーから横方向に、または横方向成分によってそれた少なくとも1つの接触指が一体成形されている。好ましくは、接触指は、出力端子に接続された半導体スイッチの切換経路端子を相互に接続する。したがって、接触レールは好ましくは、接触指によってそらされた電流を束ねるか、または電流を接触指に分配するバスバーを形成していてもよく、分配された電流を接触指によって切換経路端子へ伝導することもできる。
【0008】
さらに好ましくは、例えば成形モジュールによって形成された電力モジュールのバスバーは、成形モジュールの成形体から突出していてもよく、したがって外部から電気的に接触することができる。
【0009】
好ましい実施形態では、半導体スイッチはそれぞれ電界効果トランジスタによって形成されており、ハーフブリッジの出力端子に接続されたハイサイド半導体スイッチの切換経路端子はソース端子であり、ハーフブリッジの出力端子に接続されたローサイド半導体スイッチの切換経路端子はドレイン端子である。したがって、半導体スイッチハーフブリッジは、2つのMOS電界効果トランジスタ(MOS=金属酸化膜半導体)またはMIS電界効果トランジスタ(MIS=金属絶縁体半導体)によって、好ましくは小型に、省スペースで構成されていてもよい。さらに好ましくは、小型の構成により電力モジュールは低い自己誘導率を備えることができる。
【0010】
好ましい実施形態では、半導体スイッチはそれぞれIGBT(IGBT=絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)によって形成されており、ハーフブリッジの出力端子に接続されたハイサイド半導体スイッチの切換経路端子はエミッタ端子であり、ハーフブリッジの出力端子に接続されたローサイド半導体スイッチの切換経路端子はコレクタ端子である。したがって、IGBTトランジスタからなるハーフブリッジは、好ましくは省スペースで構成することができる。
【0011】
好ましい実施形態では、接触指は相互に平行に配置された2つの導電性の層を含み、これらの層は電気絶縁性の絶縁層によって互いに分離されている。接触指のこれらの層は、好ましくは互いに異なる半導体スイッチの相互に向かい合った端子に接触する。したがって、好ましくはローサイド半導体スイッチとハイサイド半導体スイッチとの間に延在する中間スペースから、省スペースで低誘導率によりハーフブリッジ、特にハーフブリッジの半導体スイッチに電圧を供給することができる。
【0012】
好ましくは、電気絶縁性の絶縁層は誘電体によって形成されている。誘電体は、例えばポリイミド層またはポリアミド層である。このようにして、好ましくは互いに平行に配置された導電性の層の面積に対応する、電力モジュールに組み込まれた中間回路コンデンサを形成してもよい。
【0013】
好ましい実施形態では、相バスバーおよびバスバーの接触指はそれぞれ相互に噛み合う。このようにして、電力モジュールの電流供給部および電流放出部を特に小型に構成することができる。
【0014】
次に図面およびさらなる実施例に基づいて本発明を説明する。他の好ましい実施形態が従属請求項および図面に示した特徴により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】2つの半導体スイッチの間に電流供給および電流放出のための電気接点が設けられている半導体スイッチハーフブリッジを形成する半導体装置の第1実施例を示す概略図である。
図2】ローサイドトランジスタとハイサイドトランジスタとの間に電流供給および電流放出のための電気接点が設けられているFETトランジスタにより形成された3つの半導体スイッチハーフブリッジを形成するための半導体装置を概略的に示す分解図である。
図3図2に既に示した構成要素を含む電力モジュールを構成するための製造ステップにおいて、ハイサイドトランジスタが電気接続部、特にバスバーおよび出力端子にはんだ付けされる製造ステップを示す図である。
図4図3に示した構成要素を含む電源モジュールを構成するための製造ステップにおいて、ローサイド半導体スイッチが電気接続部、特にバスバーおよび出力端子にはんだ付けされる製造ステップを示す図である。
図5図4に示した構成要素を含む電力モジュールを構成するための他の製造ステップにおいて、構成要素が成形材に埋設される製造ステップを示す図である。
図6図4に示した半導体装置において、ハーフブリッジが出力側で相分離スイッチに接続される実施形態を示す図である。
図7】相分離スイッチを備える電力モジュールを形成するための製造ステップにおいて、ローサイド半導体スイッチが電気接続部にはんだ付けされる製造ステップを示す図である。
図8】相分離スイッチを備える電力モジュールを形成するための製造ステップにおいて、図7に示した構成要素が成形材に埋設される製造ステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、半導体装置1の実施例を示す。この実施例では半導体装置1は、半導体スイッチハーフブリッジを含む電源モジュールを形成している。この実施例では半導体スイッチハーフブリッジは、ローサイド半導体スイッチ2およびハイサイド半導体スイッチ3を含む。この実施例では電界効果トランジスタによって形成されているローサイド半導体スイッチ2は、切換経路端子としてソース端子7を備え、別の切換経路端子としてドレイン端子5を備える。ハイサイド半導体スイッチ3は、切換経路端子としてドレイン端子6を備え、別の切換経路端子としてソース端子4を備える。ハイサイド半導体スイッチ3のソース端子4はローサイド半導体スイッチ2の端子5に電気的に接続されている。半導体スイッチ2および3はそれぞれ平坦に構成されている。ソース端子4は表面範囲42を備え、表面範囲42は、ハイサイド半導体スイッチ3のドレイン端子6の表面範囲43に向かい合って配置されている。ローサイド半導体スイッチ2のソース端子7およびドレイン端子5は、それぞれ共通の平面に延在している。
【0017】
ローサイド半導体スイッチ2のドレイン端子5とハイサイド半導体スイッチ3のソース端子4の間には出力端子8が挿入されており、ドレイン端子5およびソース端子4はそれぞれ電気的な接続手段11を用いて、材料に基づいた結合または物質に基づいた結合によって出力端子8に電気的に接続されている。接続手段11は、例えばはんだ付け手段、焼結手段または導電性の接着材である。この実施例では、出力端子8は「リードフレーム」とも呼ばれる平坦に延在する薄板部材または薄板ストリップにより形成されている。出力端子8は、例えば銅薄板または銀薄板によって形成されている。出力端子8は、例えば接触指によって形成されていてもよい。
【0018】
この実施例では、ソース端子7は接続手段11、特にはんだ付け手段、導電性の接着材、または焼結金属によって導電性の層9に接続されている。導電性の層9は、例えば半導体スイッチハーフブリッジに電流を供給するための出力端子を形成していてもよい。ドレイン端子6は、接続手段11、特にはんだ付け手段、導電性の接着材、または焼結金属によって導電性の層10に接続されている。この実施例では、導電性の層10は半導体スイッチハーフブリッジに電流を供給するための別の端子を形成している。この実施例では、導電性の層9および層10は平行に、互いに離間して配置されており、層9と層10との間には電気絶縁性の層12が設けられている。このようにして導電性の層9と層10とは相互に電気絶縁されている。
【0019】
ソース端子7とドレイン端子6との間には導電性の層9および層10が設けられており、これらの導電性の層9と層10との間にはサンドイッチ状に電気絶縁性の層12が挿入されている。したがって、ソース端子7の表面範囲42は導電性の層9によって電気的に接触され、ドレイン端子6の表面範囲43は導電性の層10によって電気的に接触される。導電性の層9および10は、例えば外部へ案内されており、これにより半導体スイッチに外部から電気的に接触することができる。
【0020】
このようにして形成された小型の半導体スイッチハーフブリッジは成形体15に埋設されていてもよい。例えば導電性の層として構成された出力端子8は、この実施例では成形体15から突出している。導電性の層9は、導電性の層10、および両方の層の間に設けられた絶縁性の層12は、共にバスバー44またはバスバーの構成部材を形成し、共に成形体15から突出していてもよい。半導体スイッチハーフブリッジは、このようにバスバー44に電流を供給することができ、ローサイド半導体スイッチ2およびハイサイド半導体スイッチ3によって接続された電流は出力端子8を介して流出することができる。
【0021】
ローサイド半導体スイッチ2は、外側に向いた絶縁層13を備え、この絶縁層13を介して、半導体スイッチ2で生成された損失熱を排出することができる。ハイサイド半導体スイッチ2は、外側に向いた絶縁層14を備え、この絶縁層14を介して半導体スイッチ2で生成された損失熱を排出することができる。したがって半導体スイッチ2および3を含むハーフブリッジを好ましくは互いに異なる側で放熱することができる。絶縁層13および14は、それぞれセラミック層、DBC層(直接ボンド銅)によって形成されていてもよい。DBC層は、材料に基づいた結合、特にはんだ付けまたは焼結のための銅層のヒートシンクが外側に向いている。例えばポリイミド層によって形成されている絶縁層13および14にはヒートシンク、例えば冷却体が伝熱性接着材によって結合されていてもよい。
【0022】
図2は、半導体装置16の構成部材の概略的な分解図を示す。この実施例では、半導体装置16は、三相電動機または三相電気機械を制御するための3つの半導体スイッチハーフブリッジを備える電源モジュールを形成している。この実施例では、半導体装置16は3つのハイサイド半導体スイッチ、すなわちハイサイド電界効果トランジスタ17、ハイサイド電界効果トランジスタ18、およびハイサイド電界トランジスタ19を備える。電界効果トランジスタ17,18,19はそれぞれ平坦に構成されており、切換経路端子、特にドレイン端子23およびソース端子25はそれぞれ平坦な延在部分が同じ方向を向いている。
【0023】
半導体スイッチ17のドレイン端子23は、さらに2つの他の端子部分23aおよび23bによって形成されている。半導体スイッチ17のソース端子は、ソース端子25の他に、それぞれ半導体スイッチ17の表面範囲によって形成されたさらに2つの端子部分25aおよび25bを含む。
【0024】
半導体スイッチ17のソース端子およびドレイン端子を形成する表面範囲は、縦軸線30に沿って交互に入れ代わる。したがって、ソース端子25を形成する表面範囲は、ドレイン端子23を形成する表面範囲に対して、縦軸線30に沿って隣接して配置されている。ソース端子25を形成する表面範囲には、ドレイン端子部分23aを形成する表面範囲が続く。ドレイン端子部分23aには、縦軸線に沿ってソース端子部分25aが続き、ソース端子部分25aにはドレイン端子部分23bが続く。ドレイン端子部分23bにはソース端子部分25bが続く。このように、縦軸線30に沿って配置された2つのソース端子部分の間にドレイン端子部分が挿入され、縦軸線30に沿って配置されたドレイン端子部分の間にはソース端子部分が挿入される。
【0025】
さらに半導体装置16はバスバー27を含み、この実施例ではバスバー27は2つの導電性の層28,31を含み、これらの層は互いに平行に配置され、絶縁層29によって互いに電気的に分離されている。バスバー27は縦軸線30に沿って延在している。バスバー27には、縦軸線30に沿って互いに離間して接触指、例えば接触指32が一体成形されており、これらの接触指は、バスバー27と同様にそれぞれ導電性の層28,31およびこれらの層の間に配置された絶縁層29を含む。したがって、バスバー27およびバスバー27に一体成形された接触指は、互いに平行に配置され、絶縁層29によって互いに電気絶縁された2つの接触平面を含む。
【0026】
接触指32の導電性の層31にはドレイン端子23がはんだ付けされる。この実施例では、バスバー27には、縦軸線30に沿って互いに離間されたさらに2つの他の接触指32aおよび32bが一体成形されている。接触指32aの導電性の層31にはドレイン端子23aが電気的に接続され、特にはんだ付けされ、例えばリフローはんだ付けされる。接触指32bの導電性の層31にはドレイン端子23bがはんだ付けされる。これにより、バスバー27、特にバスバー27の導電性の層31を、接触指32,32a,32bによって半導体スイッチ17のドレイン端子、特にドレイン端子部分23,23aおよび23bに電気的に接続することができる。このようにバスバー27によって半導体スイッチ17を電圧源、特に電圧源の正極に電気的に接続することができる。
【0027】
さらに半導体装置16は、ハイサイド半導体スイッチ17と共に半導体ハーフブリッジを形成するように構成されたローサイド半導体スイッチ20を含む。さらに半導体装置16は、ハイサイド半導体スイッチ18と共に半導体スイッチハーフブリッジを形成するように構成された半導体スイッチ21、およびハイサイド半導体スイッチ19と共に半導体スイッチハーフブリッジを形成するように構成された別のローサイド半導体スイッチ22を含む。
【0028】
さらに半導体装置16は出力端子34を含み、出力端子34はこの実施例では、例えば打抜き加工またはレーザ切断された、リードフレームとも呼ばれる薄板部材によって形成されている。出力端子34は、縦軸線30に沿って延在するバスバーおよび縦軸線30に沿って互いに離間してバスバーに一体成形された接触指33,33aおよび33bを含む。
【0029】
接触指33の平坦な面にはハイサイド半導体スイッチ17のソース端子25がはんだ付けされ、この平坦な面に向かい合った面にはローサイド半導体スイッチ20のドレイン端子24がはんだ付けされる。縦軸線30に沿ってドレイン端子24に隣接して配置されたローサイド半導体スイッチ20のソース端子26には、接触指32の導電性の層28がはんだ付けされ、これにより、バスバー27、特にバスバー27の導電性の層28を介して電圧源の極、特に電圧源の負極にソース端子26を接続することができる。
【0030】
接触指33aにはソース端子25aがはんだ付けされ、接触指33bにはソース端子25bが結合される。
【0031】
このようにして出力端子34の接触指33は、ハイサイド半導体スイッチ17のソース端子25をローサイド半導体スイッチ20のドレイン端子24に接続し、ドレイン端子24の部分端子24aをソース端子25の部分端子25aに接続する。接続指33bはローサイド半導体スイッチ20のドレイン端子の部分端子24bをハイサイド半導体スイッチ17のソース端子25の部分端子25bに接続する。したがって、出力端子34の接触指33,33aおよび33bは、それぞれ平坦に延在する半導体スイッチ、すなわちハイサイド半導体スイッチ17とローサイド半導体スイッチ20との間にサンドイッチ状に挿入されている。
【0032】
バスバー27には、ハイサイド半導体スイッチ18を電気的に接触させるためにさらに他の接触指、およびハイサイド半導体スイッチ19を電気的に接触させるためにさらに他の3つの接触指が一体成形されている。
【0033】
さらに半導体装置16は、ハイサイド半導体スイッチ18およびローサイド半導体スイッチ21を含む半導体スイッチハーフブリッジのための出力端子35、およびハイサイド半導体スイッチ19およびローサイド半導体スイッチ22を含む半導体スイッチハーフブリッジのための出力端子36を含む。出力端子34,35および36には、電気機械のそれぞれ1つの相、特に電気機械のステータコイルを接続することができる。
【0034】
バスバー27の接触指および出力端子、例えば出力端子34,35または36の接触指は、平坦な延在部分によって互いに噛み合うように構成されている。バスバーおよび出力端子の接触指は、このように共通の平面に配置されており、共にハイサイド半導体スイッチ17とローサイド半導体スイッチ20との間に、特にサンドイッチ状に挿入されていてもよい。
【0035】
半導体スイッチ17,18,19,20,21および22は、他の実施形態ではそれぞれIGBTとして構成されていてもよい。この場合、ソース端子はエミッタ端子に相当し、ドレイン端子はコレクタ端子に相当する。
【0036】
半導体スイッチがそれぞれ(図2には示さない)制御端子、特にゲート端子を備え、それぞれ、ゲート端子で半導体スイッチを接続するための制御信号を受信し、制御信号に依存して半導体スイッチを接続または遮断するように構成されている。ゲート端子は、例えばバスバー27の絶縁された範囲に形成されていてもよい。
【0037】
図3は、図2に既に示した半導体装置16の部材を含む電力モジュールを形成するための製造ステップを示す。バスバー27の接触指は図3に示す製造ステップにおいて、ハイサイド半導体スイッチ、例えば半導体スイッチ17の切換経路端子が載置された導電性の層31に、例えばはんだペーストおよびリフローはんだ付けによって、材料に基づいた結合により電気的に接続されている。出力端子34の接触指は、図2に示すように、ハイサイド半導体スイッチ17の対応する切換経路端子に配置され、図1に示すように、はんだペーストによって対応する切換経路端子にはんだ付けされる。
【0038】
図3に示すように同じステップで出力端子35をハイサイド半導体スイッチ18にはんだ付けし、出力端子36をハイサイド半導体スイッチ19にはんだ付けすることができる。
【0039】
図4は、図2に示した構成要素を含む電源モジュールを形成するための製造ステップを示し、この製造ステップでは、ローサイド半導体スイッチ20,21,22はバスバー27および出力端子34,35,36に載置され、バスバー27および出力端子にはんだ付けされる。
【0040】
このように出力端子34はハイサイド半導体スイッチ17のソース端子をローサイド半導体スイッチ20のドレイン端子に接続する。このようにして、図4に示すように互いに平行に配置された半導体スイッチ、すなわち共通の半導体スイッチハーフブリッジを形成するハイサイド半導体スイッチ17およびローサイド半導体スイッチ20を含むハイサイドスイッチハーフブリッジをバスバー27によって電圧源に接続することができる。
【0041】
図5は、電力モジュールを形成するための製造ステップを示す。図4に示した半導体装置が成形材によって被覆成形され、バスバー27および出力端子34,35および36は、特に重合された成形材によって形成された成形体15から突出する。
【0042】
図5は、電力モジュールがヒートシンク、例えば冷却体45に熱伝導可能に接続されている実施形態を示す。絶縁層13が冷却体、特に冷却薄板によって熱伝導可能に接触され、これにより冷却体45を介して損失熱を排出することができる。冷却体45は、例えばヒートパイプに接続してもよいし、またはそれ自体がヒートパイプによって形成されていてもよい。
【0043】
図6は、図2図3、および図4に示した半導体装置の一実施形態を示し、半導体ハーフブリッジはそれぞれ出力側で相分離スイッチに接続されている。この実施例では、相分離スイッチは電界効果トランジスタによって、特にハイサイド半導体スイッチ17に対応して形成されている。
【0044】
ハイサイド半導体スイッチ、例えば半導体スイッチ17,18および19はそれぞれ平坦な延在部分によって、相分離スイッチ、すなわち入力側でハイサイド半導体スイッチ17の出力部に接続されている相分離スイッチ38、ハイサイド半導体スイッチ18を含むハーフブリッジに入力側で接続された層分離スイッチ39、および入力側でハイサイド半導体スイッチ19およびローサイド半導体スイッチ22を含むハーフブリッジの出力部に接続されている相分離スイッチ40と同じ平面に配置されている。
【0045】
半導体装置16は、相分離スイッチ38とハイサイド半導体スイッチ17とを接続するために、この実施例では細長い接触指として形成された導電性の接続素子37を含む。
【0046】
接続素子37は、例えば、特に打抜き加工またはレーザにより切断された薄板、特に銅薄板として形成されており、端部によってバスバー27の接触指32と接触指32aとの間に係合し、これにより接触指32と接触指32aとの間にソース端子25を電気的に接触させることができる。接触素子37は、このようにして図2の半導体装置16の接触指33の代わりにソース端子25に接触する。接続素子37の端部は、相分離スイッチ38の接続経路端子にはんだ付けにより接続されており、ローサイド半導体スイッチ20のドレイン端子24と共に、既に述べた半導体ハーフブリッジの出力部を形成する半導体スイッチ17のソース端子25は相分離装置38に接続されている。
【0047】
さらに半導体装置16は、半導体装置16において相分離スイッチ28の切換経路端子に接続されている出力端子34を含む。
【0048】
さらに半導体装置16は、端部が接触指32aと接触指32bとの間に延在する接続素子37aと、接触指32bに隣接して配置された別の接続素子37bとを含む。接続素子37,37aおよび37bは、ハイサイド半導体スイッチ17およびローサイド半導体スイッチ20を含む半導体スイッチハーフブリッジの出力部を形成し、この半導体スイッチハーフブリッジを相分離スイッチ38に接続する。バスバー27および接続素子、例えば接続素子37および出力端子34,35および36はそれぞれ共通の平面に配置されている。
【0049】
図7は、半導体装置16を含む電力モジュールを形成するための別の製造ステップを示し、図7では、ローサイド半導体スイッチ20がハイサイド半導体スイッチ17に向かい合って配置されており、ローサイド半導体スイッチ21はハイサイド半導体スイッチ18に向かい合って配置されており、ローサイド半導体スイッチ22はハイサイド半導体スイッチ19に向かい合って配置されている。ローサイド半導体スイッチ20,21および22はそれぞれバスバー27、特に導電性の層28を介して電圧を供給され、ドレイン端子は出力端子として接続素子、例えば接続素子37に電気的に接続されている。ローサイド半導体スイッチ20,21および22は、それぞれリフローはんだ付けによってバスバー27および接続素子、例えば接続素子37にはんだ付けすることができる。
【0050】
図8は、電力モジュールを示し、図7に示した半導体装置17が成形材に埋設され、バスバー27および出力端子34,35および36が成形材によって形成された成形体41から突出している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8