(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1フレーム期間以上、前記レジスタへの前記調整パラメータの書き込みがなく、かつ、前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに前記パラメータ生成部の動作を停止し、前記レジスタへの前記調整パラメータの書き込みが発生するかまたは前記書き込みコマンドが発行されたことを検出したときに、前記パラメータ生成部の動作を再開する、
請求項2に記載の表示駆動回路。
外部のホストプロセッサからコマンドと前記画像データを受信するインターフェースと、前記インターフェースで受信したコマンドが前記書き込みコマンドであることを検出可能な検出回路とを備える、
請求項3に記載の表示駆動回路。
前記パラメータ生成部は、前記1フレームの前記画像データの輝度分布または前記調整パラメータの少なくとも一方が変更されたときに、変更後の値に基づいて前記画像データ変換パラメータと前記バックライト制御パラメータとを徐々に変更するディミング期間を有し、
前記表示駆動回路は、1フレーム期間以上、前記レジスタへの前記調整パラメータの書き込みがなく、かつ、前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに、前記ディミング期間の終了を待って前記パラメータ生成部の動作を停止する、
請求項3に記載の表示駆動回路。
前記パラメータ生成部へのクロックの供給を制御可能なクロック制御回路を備え、前記パラメータ生成部の動作を停止するときには、前記パラメータ生成部へのクロックの供給を停止する、
請求項3に記載の表示駆動回路。
前記検出回路は、連続して入力される2フレーム画像データを1フレーム毎に所定の関数に入力して関数値を算出し、連続する2フレームから算出された2個の関数値を互いに比較することにより、前記画像データが1フレーム前に入力された画像データと一致するか否かを検出する、
請求項9に記載の表示駆動回路。
前記パラメータ生成部は、前記1フレームの前記画像データの前記輝度分布または前記調整パラメータの少なくとも一方が変更されたときに、変更後の値に基づいて前記画像データ変換パラメータと前記バックライト制御パラメータとを徐々に変更するディミング期間を有し、
前記表示駆動回路は、1フレーム期間以上、前記レジスタへの前記調整パラメータの書き込みがなく且つ前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに、前記ディミング期間の終了を待って前記解析演算回路の動作を停止する、
請求項12に記載の表示駆動回路。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0018】
〔1〕<静止画表示のときに画像処理IP内の不要な動作を停止>
本願において開示される代表的な実施の形態は、画像データに基づいて、接続される表示パネル(50)のソース電極を駆動するソース信号を出力し、合せて前記表示パネルのバックライト(60)を制御する、表示駆動回路(30)であって、以下のように構成される。
【0019】
前記表示駆動回路は、1フレーム内の前記画像データの輝度分布に基づいて、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを生成するパラメータ生成部(2)と、前記画像データ変換パラメータに基づいて前記画像データを変換する画像データ変換部(5)とを備える。
【0020】
前記表示駆動回路は、変換された画像データに基づいて前記ソース信号を生成して出力し(12、13、14)、前記バックライト制御パラメータに基づいて前記バックライトを制御する(11)。
【0021】
前記表示駆動回路は、前記1フレーム内の画像データが、当該フレームの直前のフレームの画像データから変更されなかったことを検出(6)したときに、前記パラメータ生成部の動作を停止する(7)。
【0022】
これにより、画像処理結果を保持するフレームメモリを追加することなく、入力された画像が静止画である時の画像処理IPの消費電力を削減し、表示駆動回路(表示ドライバ)の消費電力を低減することができる。ここで、1フレーム内の画像データが、当該フレームの直前のフレームの画像データから変更されなかったことを検出したときにも、必ずしも直ちにパラメータ生成部の動作を停止する必要はない。例えば後述のように、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを徐々に変化させる、ディミング期間の終了を待って、パラメータ生成部の動作を停止させればよい。
【0023】
〔2〕<RAM内蔵でRAM書き込みコマンドを検出>
項1において、前記表示駆動回路は、1フレームの前記画像データを保持して前記画像データ変換部に供給するメモリ(9)をさらに備え、前記メモリへの画像データの書き込みコマンドが、1フレーム期間以上発行されなかったことを検出したときに前記パラメータ生成部の動作を停止し、前記書き込みコマンドが発行されたこと検出したときに、前記パラメータ生成部の動作を再開する。
【0024】
これにより、フレームメモリを内蔵する表示駆動回路において、静止画の検出を容易に行うことができる。静止画を表示する場合であって表示する画像を別の画像に変更する場合、または、動画の場合には、フレームメモリへの画像データの書き込みが発生するので、そのコマンドを検出することにより、簡単な回路でパラメータ生成部の動作の停止と再開を制御することができる。
【0025】
〔3〕<ホストインターフェースとコマンド検出回路>
項2において、前記表示駆動回路は、外部のホストプロセッサ(40)からコマンドと前記画像データを受信するインターフェース(10)と、前記インターフェースで受信したコマンドが前記書き込みコマンドであることを検出可能な検出回路(6)とを備える。
【0026】
前記検出回路は、前記メモリへの画像データの書き込みコマンドが、1フレーム期間以上発行されなかったことを検出したときに前記パラメータ生成部の動作を停止し、前記書き込みコマンドが発行されたこと検出したときに、前記パラメータ生成部の動作を再開する(16)。
【0027】
これにより、フレームメモリを内蔵する表示駆動回路において、静止画の検出を容易に行うことができる。
【0028】
〔4〕<MIPI−DSI>
項3において、前記インターフェースはMIPI−DSIの標準に準拠する。
【0029】
これにより、検出回路はMIPIのRAM書き込みコマンドである2Chまたは3Chのコマンドを検出すれば、簡略な回路で静止画の検出を容易に行うことができる。
【0030】
〔5〕<レジスタへの書き込みを検出>
項2から項4のうちのいずれか1項において、前記パラメータ生成部へ供給する調整パラメータを保持するレジスタ(8)をさらに備え、1フレーム期間以上、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みがなく且つ前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに前記パラメータ生成部の動作を停止し、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みが発生するかまたは前記書き込みコマンドが発行されたこと検出したときに、前記パラメータ生成部の動作を再開する(15、16、17)。
【0031】
これにより、パラメータ生成部が参照する調整パラメータに変更が生じたときには、パラメータ生成部の動作を停止せずに、適切な画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを生成することができる。
【0032】
〔6〕<ディミング期間の経過を待ってパラメータ生成部の動作を停止>
項5において、前記パラメータ生成部は、1フレーム内の前記画像データの輝度分布または前記調整パラメータの少なくとも一方が変更されたときに、変更後の値に基づいて画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを徐々に変更するディミング期間を有する。前記表示駆動回路は、1フレーム期間以上、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みがなく且つ前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに、前記ディミング期間の終了を待って前記パラメータ生成部の動作を停止する。
【0033】
これにより、静止画であることを検出した直後にディミングが突然に中止され、表示パネルにちらつきなどの表示の乱れが発生する問題が防止される。
【0034】
〔7〕<クロック制御回路>
項2から項6のうちのいずれか1項において、前記表示駆動回路は、前記パラメータ生成部へのクロックの供給を制御可能なクロック制御回路(7)を備え、前記パラメータ生成部の動作を停止するときには、前記パラメータ生成部へのクロックの供給を停止する。
【0035】
これにより、簡単な回路でパラメータ生成部の消費電力を低減することができる。
【0036】
〔8〕<表示ドライバIC(RAM内蔵)>
項2から項7のうちのいずれか1項に記載される前記表示駆動回路において、前記パラメータ生成部と前記画像データ変換部と前記メモリとが同一の半導体基板上に形成される。
【0037】
これにより、フレームメモリ(RAM)を内蔵する表示ドライバICの消費電力を低減することができる。
【0038】
〔9〕<フレームメモリを内蔵しない表示ドライバにおける検出回路>
項1において、外部のホストプロセッサ(40)から前記画像データを受信するインターフェース(10)と、前記インターフェースで受信した画像データが供給される検出回路(6)とを備える。
【0039】
前記パラメータ生成部は、前記インターフェースで受信した前記画像データが供給され、供給された1フレーム分の画像データから前記輝度分布を抽出するデータ抽出回路(3)と、抽出された結果に基づいて前記画像データ変換パラメータと前記バックライト制御パラメータとを生成する解析演算回路(4)とを有する。
【0040】
前記検出回路は、前記画像データが1フレーム前に入力された画像データと一致するか否かを検出可能であり、検出結果が一致のときに前記解析演算回路の動作を停止し、前記検出結果が不一致のときに、前記解析演算回路の動作を再開する。
【0041】
これにより、フレームメモリを内蔵しない表示駆動回路(表示ドライバ)においても、静止画の検出を容易に行うことができる。項2から項8ではデータ抽出回路の動作を含めて、パラメータ生成部の動作を停止することができる。一方、本項9以降ではフレームメモリを内蔵しないため、輝度分布の抽出(データ抽出回路)の動作は、静止画か否かの検出(検出回路の動作)と並列に実行される。静止画ではないと判断されたときには、当該フレームについての画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを即座に解析演算回路で算出することができる。
【0042】
〔10〕<検出回路は1フレームの画像データが入力される関数>
項9において、前記検出回路は、連続して入力される2フレーム画像データを1フレーム毎に所定の関数に入力して関数値を算出し(18)、連続する2フレームから算出された2個の関数値を互いに比較することにより(19_1、19_2、20)、前記画像データが1フレーム前に入力された画像データと一致するか否かを検出する。
【0043】
これにより、フレーム内の全ての画像データを個々に比較対象とする必要がなくなり、静止画の検出を簡単な回路で行うことができる。
【0044】
〔11〕<検出回路はCRC(Cyclic Redundancy Check)>
項10において、前記所定の関数は巡回冗長検査(18)である。
【0045】
これにより、入力される画像が静止画であることを検出する検出回路を、簡単な回路で構成することができる。また、巡回冗長検査(CRC)の生成多項式を適切に設計することにより、異なる画像から同じ関数値が生成されることによる誤検出の確率を低減することができる。
【0046】
〔12〕<レジスタへの書き込みを検出>
項9から項11のうちのいずれか1項に記載される前記表示駆動回路は、前記パラメータ生成部へ供給する調整パラメータを保持するレジスタ(8)をさらに備え、1フレーム期間以上、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みがなく(15)且つ前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出(16)したときに前記解析演算回路の動作を停止し、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みが発生するかまたは前記書き込みコマンドが発行されたこと検出したときに、前記解析演算回路の動作を再開する。
【0047】
これにより、パラメータ生成部が参照する調整パラメータに変更が生じたときには、前記解析演算回路の動作を停止せずに、適切な画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを生成することができる。
【0048】
〔13〕<ディミング期間の経過を待って解析演算回路の動作を停止>
項12において、前記パラメータ生成部は、1フレーム内の前記画像データの輝度分布または前記調整パラメータの少なくとも一方が変更されたときに、変更後の値に基づいて画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを徐々に変更するディミング期間を有する。
【0049】
前記表示駆動回路は、1フレーム期間以上、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みがなく且つ前記書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに、前記ディミング期間の終了を待って前記解析演算回路の動作を停止する。
【0050】
これにより、静止画であることを検出した直後にディミングが突然に中止され、表示パネルにちらつきなどの表示の乱れが発生する問題が防止される。
【0051】
〔14〕<クロック制御回路>
項9から項13のうちのいずれか1項に記載される前記表示駆動回路は、前記解析演算回路へのクロックの供給を制御可能なクロック制御回路(7)を備え、前記解析演算回路を停止するときには、前記解析演算回路へのクロックの供給を停止する。
【0052】
これにより、簡単な回路で前記解析演算回路の消費電力を低減することができる。
【0053】
〔15〕<表示ドライバIC(RAMなし)>
項9から項14のうちのいずれか1項に記載される前記表示駆動回路において、前記パラメータ生成部と前記画像データ変換部が同一の半導体基板上に形成される。
【0054】
これにより、フレームメモリ(RAM)を内蔵しない表示ドライバICの消費電力を低減することができる。
【0055】
〔16〕<静止画表示のときに画像処理IP内の不要な動作を停止>
本願において開示される代表的な実施の形態は、画像データに基づいて、接続される表示パネル(50)のソース電極を駆動するソース信号を出力し、合せて前記表示パネルのバックライト(60)を制御する、表示駆動回路(30)であって、以下のように構成される。
【0056】
前記表示駆動回路は、1フレーム内の前記画像データの輝度分布に基づいて、画像データ変換パラメータ生成するパラメータ生成部(2)と、前記画像データ変換パラメータに基づいて前記画像データを変換する画像データ変換部(5)とを備える。
【0057】
前記表示駆動回路は、変換された画像データに基づいて前記ソース信号を生成して出力(12、13、14)する。
【0058】
前記表示駆動回路は、前記1フレーム内の画像データが、当該フレームの直前のフレームの画像データから変更されなかったことを検出(6)したときに、前記パラメータ生成部の動作を停止する(7)。
【0059】
これにより、バックライト制御を伴わない場合にも、画像処理結果を保持するフレームメモリを追加することなく、入力された画像が静止画である時の画像処理IPの消費電力を削減し、表示駆動回路の消費電力を低減することができる。
【0060】
〔17〕<RAM内蔵でRAM書き込みコマンドand/orレジスタ更新を検出>
項16において、1フレームの前記画像データを保持して前記画像データ変換部に供給するメモリ(9)と、前記パラメータ生成部へ供給する調整パラメータを保持するレジスタ(8)と、検出回路(6)とを備える。
【0061】
前記検出回路は、1フレーム期間以上、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みがなく且つ前記メモリへの画像データの書き込みコマンドが発行されなかったことを検出したときに前記パラメータ生成部の動作を停止し、前記レジスタへの調整パラメータの書き込みが発生するかまたは前記書き込みコマンドが発行されたこと検出したときに、前記パラメータ生成部の動作を再開する(15、16、17)。
【0062】
これにより、入力される画像データが変更されたとき、又は、パラメータ生成部が参照する調整パラメータに変更が生じたときには、パラメータ生成部の動作を停止せずに、フレームメモリを内蔵する表示駆動回路において、適切な画像データ変換パラメータを生成することができる。
【0063】
〔18〕<フレームメモリを内蔵しない表示ドライバにおける検出回路>
項16において、外部のホストプロセッサから前記画像データを受信するインターフェース(10)と、前記インターフェースで受信した画像データが供給される検出回路(6)と、前記パラメータ生成部へ供給する調整パラメータを保持するレジスタ(8)とを備える。
【0064】
前記パラメータ生成部は、前記インターフェースで受信した前記画像データが供給され、供給された1フレーム分の画像データから前記輝度分布を抽出するデータ抽出回路(3)と、抽出された結果に基づいて前記画像データ変換パラメータと前記バックライト制御パラメータとを生成する解析演算回路(4)とを有する。
【0065】
前記検出回路は、前記画像データが1フレーム前に入力された画像データと一致するか否かを検出可能であり、検出結果が一致のときに前記解析演算回路の動作を停止し、前記検出結果が不一致のときに、前記解析演算回路の動作を再開する。
【0066】
これにより、フレームメモリを内蔵する表示駆動回路においても、入力される画像データが変更されたとき、又は、パラメータ生成部が参照する調整パラメータに変更が生じたときには、前記解析演算回路の動作を停止せずに、適切な画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを生成することができる。
【0067】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0068】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る表示駆動回路30の構成例を示すブロック図である。
【0069】
表示駆動回路(表示ドライバ)30は、表示パネル50と、そのバックライト60と、ホストプロセッサ(Host)40とに接続され、ホストプロセッサ40から供給される画像データに基づいて、表示パネル50のソース電極を駆動するソース信号を出力し、合せてバックライト60を制御する。このときの制御方法は、例えば前述のCABCである。1フレームの画像データの輝度の頻度分布(ヒストグラム)を求め、最高輝度に合せてバックライト60の輝度を低下させる一方、ソース信号出力を高輝度側(LCDでは透過率を高める側)にシフトする処理を行なうことによって、入力された画像データをそのまま(何ら変換を行わずに)表示した時と同じ画像を表示しながら、バックライトの輝度を低下させた分の消費電力を低減することができる。表示ドライバ30は、例えばMIPI−DSI(Mobile Industry Processor Interface Display Serial Interface)などの標準的な通信インターフェースに準拠して、ホストプロセッサ40と接続されている。表示パネル50は、例えばLCDパネルなどのアクティブマトリクス型表示パネルであって、複数の走査(ゲート)配線と複数の信号(ソース)配線とが互いに直交して配線され、交差する点に画素セルが設けられている。表示ドライバ30は、走査(ゲート)配線で選択される画素セルに対して、表示する輝度に応じた信号レベルで複数の信号(ソース)配線を並列に駆動する。
【0070】
表示ドライバ30は、ホストプロセッサ40との通信インターフェースであるI/Fモジュール10と、表示パネル50の複数の信号(ソース)配線を並列に駆動するソースドライバ14と、バックライト60を制御するバックライトコントロール回路11とを備える。表示ドライバ30は、画像処理IP1、検出回路6、クロック(CLK)制御回路7、レジスタ8、RAM(Random Access Memory)9、データラッチ12、及び、階調電圧選択回路13をさらに含んで構成される。画像処理IP1は、データ抽出回路3と解析演算回路4から成るパラメータ生成部2と変換モジュール5とを備える。
図1では、信号線のバス表記を行っていないが、信号線は適宜1本または複数の配線で形成される。この点は後述の
図2、4、5においても同様である。表示ドライバ30は、他の回路、例えば表示パネル50の走査(ゲート)配線を駆動するゲートドライバ、表示パネル50にタッチパネルが積層されている場合のタッチパネルコントローラなどをさらに含んで構成されてもよい。表示ドライバ30は、特に制限されないが、例えば、公知のCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor field effect transistor)LSI(Large Scale Integrated circuit)の製造技術を用いて、シリコンなどの単一半導体基板上に形成され、表示パネル50のガラス等の基板上にフリップチップ実装される。これにより、表示パネル50の実装・配線面積を低減して、低コスト化と狭額縁化に寄与することができる。
【0071】
表示ドライバ30においてI/Fモジュール10は、ホストプロセッサ40から供給されるコマンドに従って、種々のパラメータをレジスタ8に書き込み、画像データをRAM9に書き込む。画像処理IP1は、レジスタ8に記憶されるパラメータなどに基づく制御を受けて、例えば前述のCABC、CE等の画像処理とバックライト制御を行う。画像処理IP1のパラメータ生成部2において、データ抽出回路3はRAM9から読み出される画像データを1フレーム期間に渡って輝度値毎の頻度をカウントすることにより、頻度分布(ヒストグラム)を抽出し、解析演算回路4は抽出された頻度分布に基づいて、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを生成する。変換モジュール5は、画像データ変換パラメータに基づいて、RAM9から読み出される画像データを変換してデータラッチ12に書き込む。データラッチ12は1ライン分の変換された画像データを一時記憶して階調電圧選択回路13に並列に供給する。階調電圧選択回路13は、図示を省略されている階調基準電圧生成回路から供給される複数の階調基準電圧から、データラッチ12から供給される画像データに対応する階調電圧を生成する。データラッチ12から供給される画像データはディジタル値であり、階調電圧選択回路13は、これに対応するアナログの電圧レベルである階調電圧に変換する、一種のディジタル/アナログ変換回路として機能する。変換特性は必ずしも線形ではなくガンマ特性を持つ。図示は省略されているが、レジスタ8に格納されるパラメータには、ガンマ特性を規定するパラメータが含まれてもよい。ソースドライバ14は、生成された階調電圧で表示パネル50の信号(ソース)配線を駆動する。バックライトコントロール回路11は、画像処理IP1によって生成された前記バックライト制御パラメータに基づいて、バックライト60の輝度を制御する。バックライト60の輝度は、例えば、駆動される電源をパルス幅変調(PWM: Pulse Width Modulation)することによって調整することができ、その変調度(デューティ=ハイ期間とロウ期間との比)をバックライト制御パラメータとして与える。
【0072】
画像処理IP1によってCABCとCEを行う場合を一例として、表示ドライバ30の動作について説明する。データ抽出回路3によって抽出された1フレームの頻度分布(ヒストグラム)から、そのフレームにおける最大輝度値Pが得られる。解析演算回路4は、この最大輝度値Pの画像データに与えられる階調の最大値Mに対する比(P/M)を求め、バックライト60の輝度がこの比(P/M)によって減光されるように、バックライト制御パラメータを算出し、これと併せてRAM9から読み出された画像データが、この比の逆数(M/P)に増幅されるように、画像データ変換パラメータを生成する。ホストプロセッサ40から入力された画像データをM/P倍する一方バックライト60の輝度をP/M倍することによって、その積は入力された画像データと一致するため、表示される画像を変化させることなく、バックライト60の消費電力を低減することができる。さらにCEを組合せることができる。CEは彩度の強調が可能な画像処理である。上記CABCに加えて、彩度を強調するなどの効果を追加することができ、視認性を向上することができる。
【0073】
表示ドライバ30には、コマンドモードとビデオモードの2つの動作モードがサポートされている。コマンドモードでは、ホストプロセッサ40が1フレームの静止画の画像データをRAM(フレームメモリ)9に書き込み、以降はその1フレームのデータを繰り返し読み出して表示パネル50を駆動する一方、ホストプロセッサ40は画像データの供給を停止する。ビデオモードでは、ホストプロセッサ40は動画か静止画かに関わらず、毎フレームの画像データを供給する。このため、RAM9への書き込みをバイパスして直接画像処理IP1の変換モジュール5に入力しても良い。画像処理を行なわないときには、データラッチ12に直接書き込むように構成されてもよい。
【0074】
表示ドライバ30がコマンドモードで動作する場合には、1フレームの静止画の画像データは、RAM9から繰り返し読み出され、変換モジュール5で変換されてラッチ回路12に供給される。静止画であるため、データ抽出回路3が抽出する頻度分布はフレーム毎に変化するものではない。このため、画像処理IP1が生成する画像データ変換パラメータも同じ値となり、静止画が表示される期間は、同じ画像データに対して同じ値の画像データ変換パラメータを使った同じ変換処理が繰り返して実行されることとなる。
【0075】
<検出回路とクロック制御>
検出回路6は、表示しようとする画像が静止画であることを検出すると、画像処理IP1における一部の動作を停止させる。より具体的には、クロック制御回路7からのクロックの供給を停止する。クロック制御回路7は、データ抽出回路3に供給するクロックCLK_a、解析演算回路4に供給するクロックCLK_b、変換モジュール5に供給するクロックCLK_c、及び、バックライトコントロール回路11に供給するクロックCLK_dを、それぞれ独立に停止することができるように構成されている。ここで、上述のコマンドモードでの動作では、データ抽出回路3が抽出する頻度分布はフレーム毎に変化するものではないため、静止画であることが検出されたときには、次のフレームから頻度分布を抽出する動作を停止してもよい。このときクロックCLK_aが停止される。同じ頻度分布から同じ画像データ変換パラメータと同じバックライト制御パラメータが算出される場合には、解析演算回路4の動作も停止してもよい。このときはさらにクロックCLK_bも停止される。一方、クロックCLK_cとクロックCLK_dは、それぞれ変換モジュール5とバックライトコントロール回路11への供給が維持される。データラッチ12へは画像データを1ライン毎に書き込む必要があるため、フレーム間では繰り返しになるとしても、各ラインについて画像データの変換を行う必要があるからである。また、バックライトコントロール回路11はPWMによってバックライト60の発光輝度を調節するので、クロックCLK_dを常時供給する必要がある。表示ドライバ30が1フレーム分の変換後の画像データを保持する記憶装置を備えるように構成すれば、変換モジュール5へのクロックCLK_cの供給も停止することができる。そのような記憶装置は、例えば変換モジュール5とデータラッチ12の間にフレームメモリを実装することによって実現できる。このときメモリ9と当該フレームメモリの2個(2フレーム分)を備えるのは、回路規模の増加が大きいので、メモリ9を変換後の画像データを保持するためにも使用することができる。入力された画像データのうち変換が完了したものから順次変換後の画像データによって上書きし、変換後の画像データはメモリ9から変換モジュール5を経ずに直接データラッチ12に供給することできるように構成すればよい。
【0076】
表示される画像が静止画であるときは、ホストプロセッサ40から供給された画像データは、複数のフレームに渡ってフレーム内の位置が同じであれば同じ値であるので、上述のように頻度分布も複数のフレームに渡って等しく、したがってデータ抽出回路3の動作を継続する必要はない。このとき、同じ頻度分布から必ず同じ画像データ変換パラメータと同じバックライト制御パラメータが生成されるのであれば、解析演算回路4の動作も停止することができるが、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータの生成には、何らかの調整パラメータが寄与する場合がある。例えば、表示パネル50が置かれている環境の明るさが変化した場合に、彩度や明度を調整して視認性を向上させる調整を行う。このときには、外光照度に基づいた調整パラメータの値が変化し、それに伴って、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータの値が再計算される。このように、検出回路6は画像データのみならず、画像処理IP1で参照される調整パラメータの変化がないことを検出して、解析演算回路4のクロックを停止する。一方、調整パラメータが変化したときには解析演算回路4の動作を再開させ、画像データが変化したときには、解析演算回路4に加えてデータ抽出回路3の動作も再開させる。
【0077】
図2は、検出回路3の構成例を示すブロック図である。検出回路3は、RAM書き込み検出回路16と、画像処理関連レジスタ更新検出回路15と、それらの検出結果の論理和をとるOR回路17よりなる。RAM書き込み検出回路16は、ホストプロセッサ40から供給される画像データを監視する代わりに、RAM9への書き込みコマンドを監視することによって、静止画であることを検出することができる。1フレーム期間に渡って次のフレームの画像データをRAM9に書き込むための書き込みコマンドが受信されなければ、静止画であると判断することができる。例えば、ホストプロセッサ40とI/Fモジュールの間の通信路がMIPIに準拠する場合は、MIPIのRAM書き込みコマンドである2Ch(「XYh」の表記における「h」は「XY」が2桁の16進数であることを示す記号である)と3Chを検出する。これにより、フレームメモリを内蔵する表示ドライバ30において、静止画の検出を容易に行うことができる。静止画を表示する場合であって表示する画像を別の画像に変更する場合、または、動画の場合には、フレームメモリへの画像データの書き込みが発生するので、そのコマンドを検出することにより、簡単な回路でパラメータ生成部の動作の停止と再開を制御することができる。MIPIのRAM書き込みコマンドである2Chまたは3Chのコマンドを検出すればRAM書き込み検出回路16が簡略化される。よって検出回路6全体を簡略な回路としても、静止画の検出を容易に行うことができる。
【0078】
画像処理関連レジスタ更新検出回路15は、例えば、画像処理IP1によって参照されるレジスタへの書き込みコマンドを検出するか、レジスタ自体の書き込みイネーブル信号等がアサートされたことを検出することによって、画像処理関連レジスタが更新されたことを検出することができる。これにより、パラメータ生成部2が参照する調整パラメータに変更が生じたときには、パラメータ生成部2全体の動作を停止せずに、例えば解析演算回路4のみを同じ頻度分布データに対して更新された調整パラメータを使って、新たな画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータとを生成して更新することができる。
【0079】
以上は、パラメータ生成部2へのクロックの供給を停止する方法によって消費電力の削減する構成例を示したが、他の低消費電力化方法に代え或いは組合せてもよい。例えばクロックではなく、電源の供給を停止してもよい。
【0080】
<ディミング期間>
ある静止画から別の静止画に表示を変更するとき、または、動画から静止画に表示を変更するときに、1フレームの画像の頻度分布が著しく変化する場合がある。このときには、更新される画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータも、大きく変化することとなる。これに伴って実際に使用される画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータ急峻に変化させると、表示される画像においてちらつきなどの視覚上の画質劣化を生じる恐れがある。そのため、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータの値を、本来の更新後の値に向かって1または複数のフレーム期間に渡って徐々に変更していく表示方法が知られている。このような表示方法において、パラメータ値を徐々に変化させる期間をディミング期間と言う。
【0081】
連続する2フレーム間で画像データのRAMへの書き込みコマンドが検出されず、且つ、画像処理関連レジスタの更新も行われないため、上述のように検出回路6が静止画であることを示す検出信号をアサートして、クロック制御回路7に所定のクロックの供給を停止させるように制御される場合がある。クロック制御回路7が、検出回路6から出力される検出信号がアサートされた後、次のフレームから直ちにデータ抽出回路3と解析演算回路4へのクロックCLK_aとCLK_bの両方の供給を停止すると、上記のような視覚上の画質劣化を生じる恐れが生じる。そこで、画像処理IP1は、ディミング期間中である場合にアサートするディミングフラグ(Dimming_Flg)をクロック制御回路7に対して出力するように構成する。クロック制御回路7はディミングフラグ(Dimming_Flg)がアサートされている期間は検出回路6からの検出信号がアサートされていても、解析演算回路4へのクロックCLK_bの供給を継続し、ディミング期間が終了してディミングフラグ(Dimming_Flg)がネゲートされるのを待って、解析演算回路4へのクロックCLK_bの供給を停止する。このとき、データ抽出回路3へのクロックCLK_aの供給は、ディミング期間の終了を待たずに直ちに次のフレーム期間から停止してよい。RAM書き込みコマンドが検出されなかったときには、新たな画像データがRAM9に書き込まれてはおらず、再度同じ画像データに対してデータ抽出回路3を動作させる必要はないからである。これに対して解析演算回路4は、データ抽出回路3によって抽出された頻度分布に対応する値に、画像データ変換パラメータとバックライト制御パラメータの値を徐々に変化させる処理を実行しているので、クロックCLK_bの供給は、その期間(ディミング期間)は継続される必要がある。
【0082】
<表示ドライバ30の動作例>
表示ドライバ30の動作例について、さらに詳しく説明する。
【0083】
図3は、表示ドライバ30の動作例を示すタイミングチャートである。横軸は時刻(time)であり、縦軸方向には、上から順に、垂直同期信号Vsync、ホストプロセッサ40から供給されるRAM書き込みコマンドと画像データ、RAM9へ書き込まれた画像データ、データ抽出回路3の動作、クロックCLK_a、解析演算回路4の動作、クロックCLK_b、ディミングフラグ(Dimming_Flg)、画像データ変換パラメータ、クロックCLK_c、変換モジュール5からの出力、表示パネル50への出力、及び、クロックCLK_dが、それぞれ模式的に示される。
【0084】
時刻t1までの期間にRAM9に格納されている画像データはD1であり、変換モジュール5で使用されている画像データ変換パラメータの値は「a」であるので、これに対応して、変換モジュール5からデータラッチ12へ出力されるデータは、D1aであり、階調電圧選択回路13を経てアナログ電圧に変換されソースアンプ14によって表示パネル50へ出力される信号は、S(D1a)である。ここで、「S(D1a)」は、ディジタル値D1aに対応するアナログ値を「f(x)」などの関数に倣って表記したものである。
【0085】
時刻t1〜t2の期間は、垂直同期信号Vsyncによって規定される1フレーム期間である。ホストプロセッサ40からRAM書き込みコマンド2Chが発行され、それに続いて画像データD2が供給されることによって、RAM9に格納されていた画像データD1が新たに供給された画像データD2で順次上書きされる。検出回路6は、RAM書き込みコマンド2Chを検出すると、クロックCLK_aを再開してデータ抽出回路3の動作を再開させる、即ち、「Inactive」から「Active」状態に遷移させる。この期間は、クロックCLK_bは未だ停止されており、解析演算回路4は動作を停止している(Inactive状態)。変換モジュール5は、書き込まれた画像データD2をRAM9から読み出し、画像データ変換パラメータの値aを用いて変換し、その結果である変換モジュール出力D2aをデータラッチ12に出力する。変換モジュール出力D2aはデータラッチ12を経由して階調電圧選択回路13によって表示パネル50へ出力されるアナログの階調電圧信号S(D2a)に変換されてソースドライバ14から出力される。
【0086】
時刻t2〜t3、時刻t3〜t4の期間も、それぞれ、垂直同期信号Vsyncによって規定される1フレーム期間である。時刻t2までに画像データD2を対象としたデータ抽出回路3の動作が完了している。時刻t2からクロックCLK_bが供給されることによって解析演算回路4が動作を開始し(Active状態)、画像データ変換パラメータb1を出力する。ここで、画像データD2に対応する画像データ変換パラメータの値はb3であるが、変更前の値aと比べて急激に大きく変化するのを避けるために、ディミング期間を設け、時刻t2〜t3にはb1、時刻t3〜t4にはb2を経て、時刻t4に目的とする値b3に達するように、徐々に変化させている。これに対応して、変換モジュール出力は、D2b1、D2b2、D2b3と徐々に変化し、表示パネル50への出力も、S(D2b1)、S(D2b2)、S(D2b3)と徐々に変化する。ディミング期間中は、解析演算回路4を動作させる必要があるため、ディミングフラグ(Dimming_Flg)をアサートして、クロック制御回路7からのクロックCLK_bの供給が継続されるように制御する。新たな画像データが入力されてはいないので、データ抽出回路3へのクロックCLK_aの供給は、時刻t2以降は停止される。
【0087】
時刻t4以降、次のRAM書き込みコマンドが発行される時刻t6までは、画像データD2の静止画が表示されている。この期間は、ディミング期間を除いて、データ抽出回路3と解析演算回路4へのクロックCLK_aとCLK_bの供給が停止され、消費電力が低減される。時刻t6に次の画像データD3をRAM9に書き込むRAM書き込みコマンド2Chが発行される。
【0088】
時刻t6〜t7の期間も、垂直同期信号Vsyncによって規定される1フレーム期間である。ホストプロセッサ40からRAM書き込みコマンド2Chが発行され、それに続いて画像データD3が供給されることによって、RAM9に格納されていた画像データD2が新たに供給された画像データD3で順次上書きされる。検出回路6は、RAM書き込みコマンド2Chを検出すると、クロックCLK_aを再開してデータ抽出回路3の動作を再開させ、「Inactive」から「Active」状態に遷移させる。この期間は、クロックCLK_bは未だ停止されており、解析演算回路4は動作を停止している(Inactive状態)。変換モジュール5は、書き込まれた画像データD3をRAM9から読み出し、画像データ変換パラメータの値b3を用いて、変換モジュール出力D3b3をデータラッチ12に出力する。変換モジュール出力D3b3はデータラッチ12を経由して階調電圧選択回路13によって表示パネル50へ出力されるアナログの階調電圧信号S(D3b3)に変換されてソースドライバ14から出力される。それに続く時刻t7以降は、ディミング期間が短い以外は、時刻t2以降と同様の動作となる。
【0089】
このタイミングチャートでは、検出回路6がRAM書き込みコマンドを検出した場合についてのみ説明したが、レジスタ8のうち画像処理関連レジスタが更新されたことが検出されたときにも同様に動作する。一方、検出回路6の構成においてOR回路17を省略して、RAM書き込みコマンドと画像処理関連レジスタの更新を別々に検出して、それぞれに適した制御を行うこともできる。例えば、RAM書き込みコマンドが発行されずに画像処理関連レジスタのみが更新された場合には、データ抽出回路3の動作を再開させることなく、解析演算回路4の動作のみを再開して、画像データ変換パラメータの値を更新するように構成してもよい。
【0090】
以上説明したように、フレームメモリであるRAM9を内蔵する表示ドライバ30の消費電力を低減することができる。また、適切にディミングを設けることができ、表示パネル50にちらつきなどの表示の乱れが発生する問題が防止される。
【0091】
また以上は、1フレーム全体で同じバックライト制御を行う場合を想定して説明したが、1フレームを複数の領域に分けて当該領域毎に照度が調整可能なバックライトを備えて、当該領域毎にバックライト制御を実行する、ローカルディミングにも、そのまま適用することができる。
【0092】
〔実施形態2〕
図4は、実施形態2に係る表示駆動回路30の構成例を示すブロック図である。
【0093】
図1に示した実施形態1の表示駆動回路30と同様に、表示駆動回路(表示ドライバ)30は、表示パネル50と、そのバックライト60と、ホストプロセッサ(Host)40とに接続され、ホストプロセッサ40から供給される画像データに基づいて、表示パネル50のソース電極を駆動するソース信号を出力し、合せてバックライト60を制御する。表示ドライバ30は、I/Fモジュール10、バックライトコントロール回路11、画像処理IP1、検出回路6、クロック(CLK)制御回路7、レジスタ8、データラッチ12、階調電圧選択回路13、及び、ソースドライバ14をさらに含んで構成され、画像処理IP1はデータ抽出回路3と解析演算回路4から成るパラメータ生成部2と変換モジュール5とを備える。RAM(フレームメモリ)9が搭載されていない点、及び、検出回路6の出力が画像変化フラグ(Img_ch_Flg)である点で、実施形態1の表示ドライバ30とは異なる。表示ドライバ30は、実施形態1の表示ドライバ30と同様に、他の回路、例えば表示パネル50の走査(ゲート)配線を駆動するゲートドライバ、表示パネル50にタッチパネルが積層されている場合のタッチパネルコントローラなどをさらに含んで構成されてもよく、例えば、公知のCMOSLSIの製造技術を用いて、シリコンなどの単一半導体基板上に形成され、表示パネル50のガラス等の基板上にフリップチップ実装される。RAM(フレームメモリ)9が搭載されていないので、実施形態1の表示ドライバ30よりもチップ面積がはるかに小さい。
【0094】
本実施形態2の表示ドライバ30は、RAM(フレームメモリ)9を備えていないので、ビデオモードで動作するが、検出回路6以外の構成と動作は、実施形態1の表示ドライバ30と概ね同様であるので、説明を省略する。
【0095】
図5は、実施形態2に係る表示ドライバ30に搭載される検出回路6の構成例を示すブロック図である。実施形態1において
図2に示した検出回路6は、RAM書き込みコマンドを検出する、RAM書き込み検出回路16を備えるが、本実施形態2の検出回路6は、RAM書き込み検出回路16に代えて、入力された画像データが1フレーム前に入力された画像データと一致するか否かを検出する、画像データ変化検出回路21を備える。画像処理関連レジスタ更新検出回路15は、
図2を引用して説明した実施形態1の検出回路6における同回路と同じであるので説明を省略する。画像データ変化検出回路21は、例えば、1フレームを構成する各画素の画素データをそれぞれ比較して全ての画素で一致するか否かによって、入力された画像データが1フレーム前の画像データと同一であれば、静止画であると検出することができる。このような愚直な比較方法では、比較演算の量が膨大になるため、消費電力を低減するという目的において負担が大きい。そこで、検出回路6は、連続して入力される2フレーム画像データを1フレーム毎に所定の関数に入力して関数値を算出し、連続する2フレームからそれぞれ算出された2個の関数値を互いに比較することにより、入力された画像データが1フレーム前に入力された画像データと一致するか否かを検出する。これにより、フレーム内の全ての画像データを個々に比較対象とする必要がなくなり、静止画の検出を簡単な回路で行うことができる。
【0096】
このときの関数としては、ハッシュ関数や巡回冗長検査(CRC)を採用することができる。
図5には、巡回冗長検査(CRC)を採用した場合の、画像データ変化検出回路21が示される。画像データ変化検出回路21は、CRC演算回路18、CRC演算の結果を格納するラッチ回路19_1と19_2、及び比較回路20を含んで構成することができる。CRC演算回路18は1フレームの画像データ(Pixel Data)が順次入力され、与えられた生成多項式を使ってCRC演算を行って、ラッチ回路19_1に出力する。次の1フレームの画像データ(Pixel Data)が入力されると、前フレームの演算結果は次段のラッチ回路19_2にシフトされ、新たなフレームの演算結果がラッチ回路19_1に書き込まれる。比較回路20は、ラッチ回路19_1に格納される現フレームの演算結果と、ラッチ回路19_2に格納される前フレームの演算結果とを比較して、一致していればOR回路17への出力信号をアサートする。これにより、入力される画像が静止画であることを検出する検出回路を、簡単な回路で構成することができる。また、巡回冗長検査(CRC)の生成多項式を適切に設計することにより、異なる画像から同じ関数値が生成されることによる誤検出の確率を低減することができる。
【0097】
以上のように、RAM(フレームメモリ)9を内蔵しない表示ドライバ30においても、静止画の検出を容易に行うことができる。
【0098】
<表示ドライバ30の動作例>
実施形態2の表示ドライバ30の動作例について、さらに詳しく説明する。
【0099】
図6は、表示ドライバ30の動作例を示すタイミングチャートである。横軸は時刻(time)であり、縦軸方向には、上から順に、垂直同期信号Vsync、ホストプロセッサ40から供給されるRAM書き込みコマンドと画像データ、画像変化フラグ(Img_ch_Flg)、データ抽出回路3の動作、クロックCLK_a、解析演算回路4の動作、クロックCLK_b、ディミングフラグ(Dimming_Flg)、画像データ変換パラメータ、クロックCLK_c、変換モジュール5からの出力、表示パネル50への出力、及び、クロックCLK_dが、それぞれ模式的に示される。
【0100】
本実施形態2の表示ドライバ30はビデオモードで動作するため、画像データとして、垂直同期信号Vsyncを表すコマンド「V」によって区切られた各期間に、各フレームの画像データD1,D2,D3,…が入力される。時刻t1〜t6の期間は同じ画像データD2が入力されており、静止画として表示される期間である。時刻t6〜t9の期間も同様に画像データD3が静止画として表示される。
【0101】
時刻t1までの期間に入力された画像データはD1であり、変換モジュール5で使用されている画像データ変換パラメータの値は「a」であるので、これに対応して、変換モジュール5からデータラッチ12へ出力されるデータは、D1aであり、階調電圧選択回路13を経てアナログ電圧に変換されソースアンプ14によって表示パネル50へ出力される信号は、S(D1a)である。
【0102】
時刻t1〜t2の期間には、ホストプロセッサ40から画像データD2が入力される。検出回路6が1フレーム前のフレームとの入力された画像データD2との比較を行うのと並列に、データ抽出回路3は、入力された画像データD2の頻度分布の抽出を行う。画像データD2の入力が完了した時点で、検出回路6は、画像変化フラグ(Img_ch_Flg)をアサートする。入力された画像データD2は、変換モジュール5において、画像データ変換パラメータaを用いて変換し、その結果である変換モジュール出力D2aをデータラッチ12に出力する。変換モジュール出力D2aはデータラッチ12を経由して階調電圧選択回路13によって表示パネル50へ出力されるアナログの階調電圧信号S(D2a)に変換されてソースドライバ14から出力される。
【0103】
時刻t2〜t3の期間にも、ホストプロセッサ40から同じ画像データD2が入力される。検出回路6が1フレーム前のフレームとの入力された画像データD2との比較を行った結果、画像変化フラグ(Img_ch_Flg)をネゲートする。これと並列に、データ抽出回路3は、入力された画像データD2の頻度分布の抽出を行う。静止画であるので、データ抽出を再度実行する必要はないが、画像変化フラグ(Img_ch_Flg)がネゲートされるのと同じタイミングで、同じフレームの画像データに対するデータ抽出を終える必要があるので、並列に実行している。
図3に示した実施形態1の表示ドライバ30の動作とは異なり、データ抽出回路3は、入力された画像が静止画であっても毎フレームで必ず動作する。
【0104】
時刻t2からクロックCLK_bが供給されることによって解析演算回路4が動作を開始し(Active状態)、画像データ変換パラメータb1を出力する。ここで、実施形態1と同様にディミング期間を設け、画像データ変換パラメータを、時刻t2〜t3にはb1、時刻t3〜t4にはb2を経て、時刻t4に目的とする値b3に達するように、徐々に変化させている。これに対応して、変換モジュール出力は、D2b1、D2b2、D2b3と徐々に変化し、表示パネル50への出力も、S(D2b1)、S(D2b2)、S(D2b3)と徐々に変化する。ディミング期間中は、解析演算回路4を動作させる必要があるため、ディミングフラグ(Dimming_Flg)をアサートしてクロック制御回路7からのクロックCLK_bの供給が継続され、ディミング期間の終了を待ってクロックCLK_bの供給が停止される。
【0105】
時刻t4以降、次にD2とは異なる画像データD3が入力される時刻t6までは、画像データD2の静止画が表示されている。この期間は、ディミング期間を除いて、解析演算回路4へのクロックCLK_bの供給が停止され、消費電力が低減される。時刻t6に次の画像データD3が入力されると、検出回路6が変化を検出して画像変化フラグ(Img_ch_Flg)をアサートする。時刻t6〜t7の期間は、クロックCLK_bは未だ停止されており、解析演算回路4は動作を停止している(Inactive状態)。変換モジュール5は、入力された画像データD3に対し、画像データ変換パラメータの値b3を用いて、変換モジュール出力D3b3をデータラッチ12に出力する。変換モジュール出力D3b3はデータラッチ12を経由して階調電圧選択回路13によって表示パネル50へ出力されるアナログの階調電圧信号S(D3b3)に変換されてソースドライバ14から出力される。それに続く時刻t7以降は、ディミング期間が短い以外は時刻t2以降と同様の動作となる。
【0106】
このタイミングチャートでは、検出回路6が画像データ変化検出回路21によって画像データの変化を検出した場合についてのみ説明したが、レジスタ8のうち画像処理関連レジスタが更新されたことが検出されたときにも同様に動作する。
【0107】
以上説明したように、フレームメモリであるRAM9を内蔵しない表示ドライバ30においても、その消費電力を低減することができる。また、適切にディミングを設けることができ、表示パネル50にちらつきなどの表示の乱れが発生する問題が防止される。
【0108】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0109】
例えば、表示駆動回路30は、単独で1チップの半導体集積回路(ICチップ)として構成されても良いし、複数のICチップに分けて実装されてもよく、一方、他の機能を有する回路をも1チップに集積して高集積のICチップとして実現されてもよい。画像処理IPは、データ抽出部と解析演算部と変換モジュールによって構成される例を示したが、同等の機能を統合しまたは細分化した異なるブロック構成によって実装されても良く、一部をソフトウェアによって置換しても良い。