【文献】
T. Murphy,外1名,“More Ionosphere Anomaly Mitigation Considerations for Category II/III GBAS”,GNSS 2007 - Proceedings of the 20th International Technical Meeting of the Satellite Division of The Institute of Navigation (ION GNSS 2007),2007年 9月28日,p.438-452
【文献】
F. S. Rodrigues,外3名,“Statistical Analysis of GPS Ionospheric Scintillation and Short-Time TEC Variations Over Northern Europe”,Proceedings of the 16th international Technical Meeting of the Satellite Division of The Institute of Navigation (ION GPS/GNSS 2003) ,2003年 9月12日,p.298-313
【文献】
S. Taylor,外4名,“An Improved Ionosphere Scintillation Event Detection and Automatic Trigger for A GNSS Data Collection System”,Proceedings of the 2012 international Technical Meeting of the Institute of Navigation (ITM 2012),2012年 2月 1日,p.1563-1569
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の方法において、前記振幅シンチレーション・モニタ(13)において前記サンプル時間期間中に前記振幅シンチレーション・イベント(16−1)を検出するステップが、
少なくとも1つの基準受信機/衛星対(RRi/SVj)に対する現在の(k番目)サンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子(S4ij(k))が、除外判断基準を満たすと判定するステップを含み、
前記振幅シンチレーション・イベントの終了を検出するステップが、
除外基準受信機/衛星対(RRi/SVj_excluded)に対する現在の(k番目)サンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子(S4ij(k))が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するステップを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0011] 電離層振幅シンチレーションは、GPS衛星信号受信に影響を及ぼす可能性がある環境条件である。先に引用した問題に取り組むため、そして衛星システム・モニタを保護するために、本明細書において説明する選別プロセスおよびシステムは、潜在的にモニタの動作を変転させる可能性がある衛星測定データを排除する。本明細書において説明する選別プロセスは、シンチレーション・イベントの間に得られた衛星測定データを除外し、シンチレーション・イベントが終了したと判定された後に得られた衛星測定データを再度受け入れる。具体的には、本明細書では、振幅(信号強度)シンチレーション・モニタについて記載し、更に振幅シンチレーション・イベントによって影響を受けた衛星測定データを排除するための衛星測定データ除外および再受け入れプロセスについて記載する。この除外および再受け入れプロセスは、結果的に得られるGPS信号がシステムの完全性を保護し続けること、即ち、既存のモニタがそれらの完全性要件を満たすことに変わりはないことを確保する。この選別プロセスは、GBASの一部として使用される。GBASは、高精度の着陸サービスを航空共同体(aviation community)に提供するために使用される。選別プロセスは、好ましくない衛星測定データを検出し、モニタにおけるその使用を禁止しつつ有効なデータが通過することを可能にする。有効な衛星測定データは、この選別プロセスを通過することを許され、システムの完全性を確保するために、残りの機能/モニタが適正に動作することを可能にする。
【0007】
[0012] 本明細書において説明するシンチレーション・モニタは、振幅シンチレーションについての衛星測定データを選別し(screen)、その使用がシステムの完全性を保護する能力を低下させる場合、その測定データを除去するように設計される。振幅シンチレーションは、GBASにおいて使用される衛星測定毎に監視される。振幅モニタは、衛星の信号対ノイズ比(SNR)電力レベルの分散(variance)に基づく。
【0008】
[0013]
図1は、衛星システム20に通信可能に結合された航空機40を示す。衛星システム20は、複数の衛星20(1〜N)と、通信可能に結合されたGBAS10とを含む。GBAS10は、本願にしたがって、振幅シンチレーションに基づくリアル・タイム選別を行う。航空機40は、ここでは「空中運航体40」(airborne vehicle)とも呼ばれる。GBAS10は、受信した衛星信号を利用して、ある種の用途における位置精度を補強する。例えば、地上型補強システムは、高精度航空機接近用途(precision aircraft approach application)における位置精度を高めることができる。地上型補強システム10は、飛行場における滑走路46と関連がある地上局11の一部である。地球の水平線を全体的に45で表す。電離層15は、衛星20(1〜N)と地球45との間にある大気の1つの層である。
図1に示すように、全体的に16−1および16−2によって表される電離圏全電子数(TEC)における局在異常が、電離層15の部分にある。TEC16(1〜2)における局在異常は、全てのシンチレーション・イベントを示すが、ここでは「振幅シンチレーション・イベント16(1〜2)」のみをそのように呼ぶことにする。振幅シンチレーション・イベント16(1〜2)は、電離層15の信号摂動(signal-perturbing feature)であり、信号振幅に影響を及ぼし、時間的に変化し、異なる時点において電離層15の異なる部分で発見される。
【0009】
[0014] 地上型補強システム10は、少なくとも1つのモニタ70、複数の基準受信機(RR)60(1〜4)、および振幅シンチレーション・モニタ13を含む。振幅シンチレーション・モニタ13は、プロセッサ50、記憶媒体80、ソフトウェア85、および任意のメモリ55を含む。プロセッサ50は、複数の基準受信機(RR)60(1〜4)を通じて複数の衛星20(1〜N)からの入力を受信するように、通信可能に結合される。当業者には周知であろうが、完全性モニタ70およびGBAS10もプロセッサとインターフェースし、ソフトウェアおよびメモリを有する。図面を簡素化するために、これらは
図1には示されない。
【0010】
[0015] 第1基準受信機60−1は、第2基準受信機60−2から距離L
1−2のところにある。第2基準受信機60−2は、第3基準受信機60−3から距離L
2−3のところにある。第3基準受信機60−3は、第4基準受信機60−4から距離L
3−4のところにある。第4基準受信機60−4は、第1基準受信機60−1から距離L
4−1のところにある。基準受信機60(1〜4)間の距離をここでは基準線と呼ぶ。
【0011】
[0016] また、少なくとも1つのモニタ70は、ここでは「完全性モニタ70」とも呼ぶ。前述のように、振幅シンチレーションは、ある完全性モニタ70の検査統計を低下させる可能性がある。本願は、これらのモニタ70の振幅シンチレーション脅威の影響の軽減を中心に据える。
【0012】
[0017] シンチレーション脅威を軽減するには、衛星測定値から望ましくないレベルの振幅シンチレーションを選別する(screen)ことによって、完全性モニタ70の変転を防止するリアル・タイム振幅シンチレーション選別プロセスを実施する。振幅シンチレーション監視識別子をここではS4と呼ぶ。また、リアル・タイム選別プロセスは、振幅シンチレーション・イベントがいつ終了したかについても判定し、以前に排除された測定ソースから収集された衛星測定データを再度受け入れる。再受け入れが行われるのは、振幅シンチレーション監視識別子が、以下で説明するように、再受け入れ判断基準を満たすときである。
【0013】
[0018] 振幅シンチレーションは、業界標準であるS4値を使用して推定する。真のS4値は、受信機の信号強度または受信信号電力を使用して求められる。S4は、受信機の信号対ノイズ比、SNRに基づく。振幅シンチレーション検査統計は、i番目の受信機におけるj番目の衛星からの信号対ノイズ比、SNR
ijから開始する。次いで、信号対ノイズ比を電力x(i,j)に変換する。最後に、S4値の一例は、以下の式を使用して計算することができる。これは正規化分散の二乗根である。ここで、N=サンプル数である。
【0015】
[0019] 振幅シンチレーション監視識別子を計算し、有効な基準受信機と、SNR測定値が入手可能である被追跡衛星との全ての対について評価する。衛星から信号を受信するあらゆる基準受信機を、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jであると定義する。「宇宙船」(SV)および「衛星」という用語は、ここでは相互交換可能に使用することとする。また、現在のサンプル時間期間における基準受信機/衛星対RR
i/SV
jは、ここではSV
i,jとも呼ぶことにする。例えば、
図1に示すように、衛星信号は、ワイヤレス通信リンク22−1を通じて、第2基準受信機60−2において第1衛星20−1から受信されるので、第2基準受信機60−2および第1衛星20−1は、基準受信機衛星対RR
2/SV
1となる。勿論、同じ衛星信号は、第1基準受信機60−1が第1衛星20−1の受信エリア内にある場合には、ワイヤレス通信リンクを通じて第1基準受信機60−1においても受信されるので、第1基準受信機60−1および第1衛星20−1は基準受信機/衛星対RR
1/SV
1を形成する。衛星の受信エリアとは、衛星から信号を受信することができる(信号に露出される)地球のエリアのことである。受信エリアは、衛星が地球の軌道を進むにつれて、そして地球が自転するにつれて、ときと共に変化する。ある高度(elevation)未満ではこれらの衛星信号の受け入れを制限するために、受信マスクを適用することもできる。ブロードキャスト信号は、ワイヤレス通信リンク22−5を通じて航空機40に送られ、振幅シンチレーション監視識別子13に基づいて除外されない衛星からのデータのみを含む。
【0016】
[0020]
図2は、本願にしたがって振幅シンチレーション監視識別子(S4)を計算する方法200の流れ図を示す。振幅シンチレーション監視識別子(S4)は、ここでは、「振幅シンチレーション監視識別子(S4)測定値」および「サンプル時刻k(S4)
i,j(k)における信号対ノイズ電力レベルの振幅のばらつき」とも呼ぶことにする。基準受信機/衛星対RR
i/SV
j毎に振幅シンチレーション監視識別子がある。
【0017】
[0021] ブロック202において、SNR電力レベルを計算する。各衛星のSNR電力レベル(x)
i,j(各基準受信機iにおける衛星jについて)を、基準受信機/衛星対毎に計算する。ブロック204において、振幅シンチレーション監視識別子(S4
i,j)を、現在のサンプル時間期間における基準受信機/衛星対 RR
i/SV
j 毎に計算する。
【0018】
[0022]
図3は、本願にしたがって、関連する振幅シンチレーション監視識別子測定値の衛星測定値を除外すべきか否か判定するために使用される差分訂正プロセッサ(DCP)処理
図150を示す。サンプル毎に、基準受信機60(1〜4)(
図1)は、SNR電力レベル測定値をプロセッサ50(
図1)に衛星(宇宙船(SV)20(1〜N)から供給する。また、プロセッサ50は、入力として、S4除外閾値、S4再受け入れ閾値、保持時間、およびキュー・サイズも受信する。この実施形態の一実施態様では、この入力データは、プロセッサ50に入力される前に、メモリ55に格納される。ここでは、S4除外閾値を「測定値除外閾値」、「除外閾値」、および「SV測定値除外閾値」とも呼ぶ。これらの全ては、S4_THRESHOLDとして表される。S4再受け入れ閾値は、ここでは、「測定値再受け入れ閾値」、「再受け入れ閾値」、および「SV測定値再受け入れ閾値」とも呼ぶ。これらの全ては、S4_READMITTHRESHOLDとして表される。
【0019】
[0023] 各サンプル時間期間中に、プロセッサ50(
図1)は以上の入力を受信し、振幅監視ソフトウェア160を実行して、関連する衛星測定値を除外すべきか否か判定する。関連する衛星測定データに対する振幅シンチレーション監視識別子測定値を除外すべきである基準受信機/衛星対RR
i/SV
jを、ここでは、除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j(またはRR
i/SV
j_excluded)と呼ぶ。
図3に示すように、振幅監視ソフトウェア160は、除外される衛星測定値のリストを出力する。これらの衛星測定値は、入手可能な測定値を判定するために使用される。入手可能な測定値は、現行の1組の測定値から、振幅監視ソフトウェア160から出力される除外測定値のリストを差し引いたものとなる。
【0020】
[0024] 振幅監視ソフトウェア160の実行のフローを、それぞれ、
図4および
図5の方法400および500として示す。
図4は、本願にしたがって、振幅シンチレーション監視識別子(S4)測定値に関連する衛星測定データを除外する方法400の流れ図を示す。方法400は、サンプル時間期間k毎に実行される。この実施形態の一実施態様では、サンプル時間期間は、1/2秒の長さを有するが、サンプル時間期間には他の長さも可能である。
【0021】
[0025] ブロック402において、本プロセスが開始する。ブロック404において、現在のサンプル時間期間(即ち、SV
ij)における基準受信機/衛星対RR
i/SV
jが、現在除外されているか否か判定する。SV
ijが現在除外されている場合、現在のサンプル時間期間では基準受信機iにおいて衛星測定値jの衛星測定データSV
ij(k)が現在除外されていることになる。
【0022】
[0026] SV
ij(k)が現在除外されている場合、以前のサンプル時間期間(例えば、(k−1)番目のサンプル時間期間から(k−n)番目のサンプル期間までの間(ここで「n」は正の整数である)においてSV
ijが除外されたことになり、フローはブロック406に進み、再受け入れチェックを実行する。この場合、フローは、ブロック406から
図5における方法500のブロック502に進む。
図5については以下で説明する。
【0023】
[0027] SV
ij(k)が現在除外されていない場合、フローはブロック404からブロック408に進む。ブロック408において、振幅シンチレーション監視識別子測定値S4
ij(k)がその除外判断基準を満たしているか否か判定する。このプロセスは、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jの各々に対して繰り返される。
【0024】
[0028] この実施形態の一実施態様では、除外判断基準を満たすのは、S4
ij(k)が除外閾値(例えば、S4閾値)よりも大きい場合である。この実施形態の他の実施態様では、除外判断基準を満たすのは、S4
ij(k)がS4閾値以上である場合である。S4閾値(除外閾値)はメモリ55(
図1)および/またはプロセッサ50(
図1)に格納されている。いずれの場合でも、それぞれの基準受信機/衛星対RR
i/SV
jに対する振幅シンチレーション監視識別子測定値S4
ij(k)は、各々、除外閾値と比較される。他の除外判断基準も可能である。
【0025】
[0029] S4
ijが基準受信機/衛星対RR
i/SV
jの1つ(以上)についてその除外判断基準を満たしている場合、この1つ(以上)の基準受信機/衛星対RR
i/SV
jは、除外される基準受信機/衛星対RRi/SV
j_excludedとなる。この実施形態の一実施態様では、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jの2つ以上が、S4閾値以上のS4
ijを有する。この場合、これらの基準受信機/衛星対RR
i/SV
jは、除外される基準受信機/衛星対RRi/SV
j_excludedであると定義され、この除外される基準受信機/衛星対RRi/SV
j_excludedにおける衛星から送られるデータは、下流モニタ70において使用されず、ワイヤレス通信リンク22−5(
図1)を通じて送られるブロードキャストの一部にはならない。次いで、フローは1つ以上の除外される基準受信機/衛星対RRi/SV
j_excludedのためにブロック410に進む。ブロック410において、この1つ(以上)の基準受信機/衛星対RR
i/SV
jが、除外される基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedとして定義される。このように、除外される基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedについての振幅シンチレーション監視識別子測定値が除外閾値(即ち、S4_THRESHOLD)以上であると判定されたとき(場外閾値との比較のときに)、基準受信機/衛星対における衛星からの、除外される基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedについてのデータは、もはや下流モニタ70において使用されず、ワイヤレス通信リンク22−5(
図1)を通じて送られるブロードキャストの一部とはならない。次いで、フローはブロック412に進み、フローは現在のサンプル時間期間に対するプロセスを終了する。
【0026】
[0030] S4
ijがその除外判断基準を満たしていない場合、フローはブロック408からブロック412に進み、この1つ(以上)の非除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
jに対するフローは、現在のサンプル時間期間に対するプロセスを終了する。この実施形態の一実施態様では、S4
ij(k)が基準受信機/衛星対RR
i/SV
jの1つ(以上)に対してS4除外閾値未満である場合、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jのこの1つ(以上)は除外されず、衛星測定データは、下流モニタ70において使用され続け、ワイヤレス通信リンク22−5(
図1)を通じて送られるブロードキャストの一部のままになっている。
【0027】
[0031]
図5は、本願にしたがって振幅シンチレーション監視識別子(S4)測定値に関連する衛星測定データを再度受け入れる方法500の流れ図を示す。衛星測定データが再度受け入れられるのは、振幅シンチレーション・イベントが終了したと判定されたときである。方法500は、振幅シンチレーション・モニタ13(
図1)においてソフトウェア85を実行するプロセッサ50によって、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jの各々に対して実施される。
【0028】
[0032] ブロック502において、本プロセスが開始する。ブロック504において、SV
ij(k)が現在除外されているか否か判定する。SV
ij(k)が現在除外されていない場合(例えば、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jに対するSV
ijがk番目のサンプル時間期間において除外されていない場合)、フローはブロック506に進み、除外チェックを実行する。本明細書で使用されるように、現在のサンプル時間期間はk番目のサンプル時間期間である。この場合、フローは、以上で説明した処理のために、ブロック506から
図4における方法400のブロック402に進む。
【0029】
[0033] SV
ij(k)が現在除外されている場合、フローはブロック508に進む。ブロック508において、除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedに対する現在のサンプル時間期間におけるS4
ij(k)が、再受け入れ判断基準を満たすか否か判定する。
【0030】
[0034] この実施形態の一実施態様では、再受け入れ判断基準が満たされるのは、現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子S4
ij(k)がS4再受け入れ閾値未満である場合である。S4再受け入れ閾値は、予め選択され、メモリ55(
図1)またはプロセッサ50(
図1)に格納される。プロセッサ50は、除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedに対する振幅シンチレーション監視識別子S4
ij(k)をS4再受け入れ閾値と比較する。他の再受け入れ判断基準も可能である。
【0031】
[0035] この実施形態の他の実施態様では、再受け入れ判断基準が満たされるのは、S4
ij(k)が、現在のサンプル時間期間の前で基準受信機/衛星対RR
i/SV
jが除外された後に発生した、予め選択された数P(Pは正の整数)のサンプルにわたって、現在のサンプル時間期間におけるS4再受け入れ閾値未満である場合である。この実施形態では、プロセッサ50は、除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedに対する振幅シンチレーション監視識別子S4
ij(k)をS4再受け入れ閾値と比較し、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jが除外されて以降にこの閾値よりも小さいサンプルの数を計数し、基準受信機/衛星対RR
i/SV
jが除外されて以降に計数した閾値未満のサンプル数を、格納されている予め選択された数Pと比較する。予め選択された数Pは、メモリ55(
図1)またはプロセッサ50(
図1)に格納されている。
【0032】
[0036] この実施形態の更に他の実施態様では、再受け入れ判断基準が満たされるのは、現在のサンプル時間期間におけるS4
ij(k)が、現在のサンプル時間期間の直前に連続的に発生した、予め選択された数P個の連続サンプルについて、S4再受け入れ閾値未満である場合である。この実施形態の更に他の実施態様では、再受け入れ判断基準が満たされるのは、予め選択された数P個のサンプルが、これらの連続サンプルに対するS4
ij(k)の値には関係なく、計数されたときである。これらの任意の再受け入れ判断基準は、振幅シンチレーション・イベントが終了したことの指示として使用される。振幅シンチレーション・イベントが終了したことを示す他の再受け入れ判断基準も可能である。
【0033】
[0037] S4
ij(k)が除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedに対する再受け入れ判断基準を満たす場合、フローはブロック510に進む。ブロック510において、除外基準受信機/衛星対の衛星測定値はもはや除外されない。フローはブロック510からブロック512に進み、フローは現在のサンプル時間期間に対するプロセス(ブロック512)を終了する。
【0034】
[0038] ブロック508において、S4
ij(k)が、除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedに対して再受け入れ判断基準を満たしていないと判定した場合、除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedの衛星測定値は相変わらず除外される(除外されたままである)。フローはブロック512に進む。このように、シンチレーション・イベントの間に基準受信機/衛星対RR
i/SV
jから得られた測定データは、ナビゲーション・システムにおける使用から除外され、この除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedからの測定データは、シンチレーション・イベントがこの除外基準受信機/衛星対RR
i/SV
j_excludedに対して終了した後に、再度受け入れられる。
【0035】
[0039] この実施形態の一実施態様では、SNRを使用して、シンチレーションの存在/不在が、4機の基準受信機から判定される。この実施形態の他の実施態様では、振幅シンチレーションを検出するために使用されるSNRは、10個の連続サンプルに対する0.6(単位なし)のS4除外閾値および0.12の再受け入れ閾値に基づく。
【0036】
[0040] 本明細書において説明した方法および技法は、ディジタル電子回路において、あるいは少なくとも1つのプロセッサ(例えば、プログラマブル・プロセッサ、特殊目的プロセッサ、コンピュータのような汎用プロセッサ、または
図1のプロセッサ50)、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの任意の組み合わせによって実現することができる。これらの技法を具体化する装置は、しかるべき入力および出力デバイス、プロセッサ、ならびにプロセッサによる実行のためのプログラム命令を実体的に(tangibly)具体化する記憶媒体を含めばよい。これらの技法を具体化するプロセスは、入力データに対して動作してしかるべき出力を生成することによって所望の機能を実行するために命令のプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサによって実行すればよい。有利なのは、これらの技法が、プログラマブル・システム上で実行可能な1つ以上のプログラムにおいて実現できることである。プログラマブル・システムは、データ記憶システムからデータおよび命令を受け、データおよび命令をデータ記憶システムに送信するように結合された少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの入力デバイス、ならびに少なくとも1つの出力デバイスを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリおよび/またはランダム・アクセス・メモリから命令およびデータを受ける。
【0037】
[0041] コンピュータ・プログラムおよびデータを実体的に具体化するのに適した記憶デバイスには、一例としてEPROM、EEPROM、およびフラッシュ・メモリ・デバイスのような半導体メモリ・デバイスを含むあらゆる形態の不揮発性メモリ、内部ハード・ディスクおよびリムーバブル・ディスクのような磁気ディスク、およびDVDディスクが含まれる。以上の内いずれもが、特別に設計された特定用途集積回路(ASIC)によって補足されても、またはこれらに組み込まれてもよい。
実施形態例
[0042] 例1は、振幅シンチレーションに対してリアル・タイム選別プロセスを実施する方法を含む。この方法は、振幅シンチレーション・モニタにおいてサンプル時間期間中に振幅シンチレーション・イベントを検出するステップと、振幅シンチレーション・モニタにおける振幅シンチレーション・イベントの検出に基づいて、関連する衛星測定データを今後の使用から除外するステップと、振幅シンチレーション・モニタにおいて振幅シンチレーション・イベントの終了を検出するステップと、振幅シンチレーション・モニタによって判定される振幅シンチレーション・イベントの終了後に収集された関連衛星測定データを再度受け入れるステップとを含む。
【0038】
[0043] 例2は、例1の方法を含み、振幅シンチレーション・モニタにおいてサンプル時間期間中に振幅シンチレーション・イベントを検出するステップが、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外判断基準を満たすと判定するステップを含む。
【0039】
[0044] 例3は、例2の方法を含み、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外判断基準を満たすと判定するステップが、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外閾値よりも大きい、または除外閾値に等しい、の内一方であると判定するステップを含む。
【0040】
[0045] 例4は、例1から例3のいずれかの方法を含み、振幅シンチレーション・イベントの終了を検出するステップが、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するステップを含む。
【0041】
[0046] 例5は、例4の方法を含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するステップが、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ閾値未満であると判定するステップを含む。
【0042】
[0047] 例6は、例4および例5のいずれかの方法を含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間にける振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するステップが、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、予め選択された数のサンプルにわたって再受け入れ閾値未満であると判定するステップを含む。
【0043】
[0048] 例7は、例4〜例6のいずれかの方法を含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間にける振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するステップが、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、予め選択された数の連続サンプルにわたって再受け入れ閾値未満であると判定するステップを含む。
【0044】
[0049] 例8は、例1〜例7のいずれかの方法を含み、更に、基準受信機/衛星対に対して現在のサンプル時間期間において信号対ノイズ電力レベルを計算するステップと、基準受信機/衛星対に対して現在のサンプル時間期間において振幅シンチレーション監視識別子を計算するステップとを含む。
【0045】
[0050] 例9は、振幅シンチレーションに対するリアル・タイム選別プロセスを実装するプログラム製品を含む。このプログラム製品は、プログラム命令が具体化されたプロセッサ読み取り可能媒体を含む。プログラム命令は、振幅シンチレーション・モニタにおいて少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、サンプル時間期間中に振幅シンチレーション・イベントを検出させ、振幅シンチレーション・イベントの検出に基づいて、衛星関連測定データを今後の使用から除外させ、振幅シンチレーション・イベントの終了を検出させ、振幅シンチレーション・イベントの終了後に収集された衛星関連測定データを再度受け入れさせるように動作可能である。
【0046】
[0051] 例10は、例9のプログラム製品を含み、サンプル時間期間中に振幅シンチレーション・イベントを検出するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外判断基準を満たすと判定させるように動作可能なプログラム命令を含む。
【0047】
[0052] 例11は、例10のプログラム製品を含み、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外閾値よりも大きい、または除外閾値に等しい、の内一方であると判定させるように動作可能なプログラム命令を含む。
【0048】
[0053] 例12は、例9〜例11のいずれかのプログラム製品を含み、振幅シンチレーション・イベントの終了を検出するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定させるように動作可能なプログラム命令を含む。
【0049】
[0054] 例13は、例12のプログラム製品を含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ閾値未満であると判定させるように動作可能なプログラム命令を含む。
【0050】
[0055] 例14は、例12および例13のいずれかのプログラム製品を含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、予め選択された数のサンプルにわたって再受け入れ閾値未満であると判定させるように動作可能なプログラム命令を含む。
【0051】
[0056] 例15は、例12〜例14のいずれかのプログラム製品を含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、振幅シンチレーション・モニタに、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、予め選択された数の連続サンプルにわたって再受け入れ閾値未満であると判定させるように動作可能なプログラム命令を含む。
【0052】
[0057] 例16は、振幅シンチレーションに対してリアル・タイム選別を行う振幅シンチレーション・モニタを含む。この振幅シンチレーション・モニタは、複数の基準受信機から入力を受信するように通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサによる実行のためにプログラム命令を実体的に具体化する記憶媒体とを含む。プログラム命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、サンプル時間期間中に振幅シンチレーション・イベントを検出し、振幅シンチレーション・イベントの検出に基づいて、関連する衛星測定データを今後の使用から除外し、振幅シンチレーション・イベントの終了を検出し、振幅シンチレーション・イベントの終了後に収集された関連衛星測定データを再度受け入れるように動作可能である。
【0053】
[0058] 例17は、例16の振幅シンチレーション・モニタを含み、サンプル測定の間振幅シンチレーション・イベントを検出するプログラム命令が、更に、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対して現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外判断基準を満たすと判定するように動作可能である。
【0054】
[0059] 例18は、例17の振幅シンチレーション・モニタを含み、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対して現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、少なくとも1つの基準受信機/衛星対に対して現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、除外閾値よりも大きい、または除外閾値に等しい、の内一方であると判定するように動作可能なプログラム命令を含む。
【0055】
[0060] 例19は、例16〜例18のいずれかの振幅シンチレーション・モニタを含み、振幅シンチレーション・イベントの終了を検出するように 動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令を含む。
【0056】
[0061] 例20は、例19の振幅シンチレーション・モニタを含み、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ判断基準を満たすと判定するように動作可能なプログラム命令が、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、除外基準受信機/衛星対に対する現在のサンプル時間期間における振幅シンチレーション監視識別子が、再受け入れ閾値未満であると判定するように動作可能なプログラム命令を含む。
【0057】
[0062] 以上、本明細書では具体的な実施形態について例示し説明したが、同じ目的を達成するために計算される任意の構成を、以上で示した具体的な実施形態と置換してもよいことは、当業者には認められよう。本願は、本発明のあらゆる改変および変形をも権利範囲に含むことを意図している。したがって、本発明は特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを明白に意図している。