特許第6585904号(P6585904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585904
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】頭部装着機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   H04R1/10 104E
   H04R1/10 104Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-43405(P2015-43405)
(22)【出願日】2015年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-163299(P2016-163299A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】591182112
【氏名又は名称】NSウエスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 亮
(72)【発明者】
【氏名】大極 祐介
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 海山
【審査官】 冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−243758(JP,A)
【文献】 国際公開第01/033903(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3163189(JP,U)
【文献】 特開昭56−098997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 25/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着される装着部と、
前記装着部と一体的に連結された筐体と、
前記筐体に、回動による入力操作が可能に取り付けられた回動型スイッチとを備え、
前記回動型スイッチは、
前記装着部が頭部に装着された際に、前記筐体において頭部表面に沿った方向に対向する側面の一方側から突出する第1操作部と、
前記筐体の対向する側面の他方側から突出する第2操作部とを有し、
前記第1操作部が操作された場合と、該第1操作部と同じ方向に第2操作部が操作された場合とで異なる信号処理が行われるように構成されている
ことを特徴とする頭部装着機器。
【請求項2】
請求項1記載の頭部装着機器において、
前記第1及び第2操作部の一方が操作されているときに、他方の操作部への操作が制限されるように構成されている
ことを特徴とする頭部装着機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の頭部装着機器において、
前記第1操作部と前記第2操作部とが一体的に構成されている
ことを特徴とする頭部装着機器。
【請求項4】
請求項記載の頭部装着機器において、
前記装着部は、
前記筐体又は前記装着部に内蔵された加速度センサと、
前記加速度センサからの入力情報に基づいて、当該頭部装着機器の装着の向きを判別し、該判別結果に応じて前記第1操作部への操作に対応する信号処理と、前記第2操作部への操作に対応する信号処理とを入れ替える制御部とを備えている
ことを特徴とする頭部装着機器。
【請求項5】
頭部装着機器であって、
頭部に装着される装着部と、
前記装着部と一体的に連結された筐体と、
前記装着部が頭部に装着された際に、前記筐体において頭部表面に沿った方向に対向する側面の一方側に設けられた第1操作部と、
前記筐体の対向する側面の他方側に設けられた第2操作部と、
前記第1及び第2操作部の一方が操作されているときに、他方の操作部への操作を制限する機構とを備え、
前記装着部は、
前記筐体又は前記装着部に内蔵された加速度センサと、
前記加速度センサからの入力情報に基づいて、当該頭部装着機器の装着の向きを判別し、該判別結果に応じて前記第1操作部への操作に対応する信号処理と、前記第2操作部への操作に対応する信号処理とを入れ替える制御部とを備えている
ことを特徴とする頭部装着機器。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の頭部装着機器において、
前記装着部は、耳に装着されるものであり、
前記制御部は、前記加速度センサからの入力情報に基づいて、前記装着部が左耳又は右耳のどちらに装着されているかを判別し、該判別結果に応じて前記第1及び第2操作部への操作に対応する信号処理の入れ替えを行う
ことを特徴とする頭部装着機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部に装着して使用される機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生体情報測定装置、ウエアラブルコンピュータ等の頭部に装着して使用する機器(以下、頭部装着機器ともいう)が普及し始めている。このような頭部装着機器において、電源や各種機能のオンオフ制御、各種設定変更、音量の調整等の各種設定(以下、単に各種設定ともいう)を外部からの操作でできるようにするために複数個の操作部を設ける技術が知られている。例えば、頭部装着機器本体の両側面に押圧型スイッチ等の操作部を設けて、該操作部の操作により上記各種設定ができるように構成された製品がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、頭部装着機器は、使用者自身が直接見えない位置に装着される場合も多く、操作部が目視できない状態で操作を行わなければならない場合も多い。したがって、頭部装着機器本体に複数個の操作部を設ける場合に、上記従来製品のようにその両側面に操作部があると操作性が向上するメリットがある。
【0004】
しかしながら、頭部装着機器本体の両側に押圧型スイッチが設けられている場合において、両サイドの側面を把持して一方のスイッチを押すとき、誤って他方のスイッチを押すという誤操作及び該誤操作に基づく誤動作が発生する可能性がある。また、他方のスイッチを押さないようにするために、両サイドの側面を把持せずに一方のスイッチ側から操作をしようとすると、例えば、頭部装着機器がイヤホン型の機器や眼鏡型の機器の場合、機器が外れてしまったり、操作に十分な力でスイッチを押せなかったりする場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主な目的は、頭部装着機器の対向する両側面に操作部を設けた場合においても、誤操作しないように構成された機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る頭部装着機器は、装着部に一体的に連結された筐体の対向する両側面に操作部を設け、それぞれの操作部で操作の形態が異なるように構成した。
【0007】
すわなち、本発明の第1態様の頭部装着機器は、頭部に装着される装着部と、前記装着部と一体的に連結された筐体と、前記装着部が頭部に装着された際に、前記筐体において頭部表面に沿った方向に対向する側面の一方側に設けられた第1操作部と、前記筐体の対向する側面の他方側に設けられた第2操作部とを備え、前記第1及び第2操作部は、操作の形態が異なるように構成されている。
【0008】
本態様によると、第1操作部と第2操作部とで操作の形態が異なるように構成されている、すなわち、例えば、一方の操作部の操作方向と、他方の操作部の操作方向とが異なるため、筐体の両側面を把持しながら操作した場合に、一方の筐体側面の操作に対応する力が他方の筐体側面に加わったとしても、他方の操作部は操作の形態が異なるため、誤操作及び該誤操作に伴う誤動作の発生を防止することができる。
【0009】
本発明の第2態様では、第1態様記載の頭部装着機器において、前記第1及び第2操作部の一方が押圧型スイッチであり、他方が前記筐体内側に向かう押圧方向とは異なる方向に操作されるように構成されている。
【0010】
本態様によると、第1及び第2操作部の一方を押圧型スイッチにすることにより、回動型スイッチやスライド型スイッチ等と比較して構造が単純であり、安価な構造にすることができる。また、他方の操作部は、押圧方向とは異なる方向に操作されるように構成されているため、誤操作及び該誤操作に伴う誤動作の発生を防止することができる。
【0011】
本発明の第3態様の頭部装着機器は、頭部に装着される装着部と、前記装着部と一体的に連結された筐体と、前記装着部が頭部に装着された際に、前記筐体において頭部表面に沿った方向に対向する側面の一方側に設けられた第1操作部と、前記筐体の対向する側面の他方側に設けられた第2操作部と、前記第1及び第2操作部の一方が操作されているときに、他方の操作部への操作を制限する機構とを備えている。
【0012】
本態様によると、第1及び第2操作部の一方が操作されているときに、他方の操作部への操作が制限されるため、例えば、筐体の両側面を把持しながら一方の操作部を操作した場合においても、誤って他方の操作部が誤操作されるのを防止することができる。
【0013】
本発明の第4態様の頭部装着機器は、頭部に装着される装着部と、前記装着部と一体的に連結された筐体と、前記筐体に、回動による入力操作が可能に取り付けられた回動型スイッチとを備え、前記回動型スイッチは、前記装着部が頭部に装着された際に、前記筐体において頭部表面に沿った方向に対向する側面の一方側から突出する第1操作部と、前記筐体の対向する側面の他方側から突出する第2操作部とを有し、前記第1操作部が操作された場合と、該第1操作部と同じ方向に第2操作部が操作された場合とで異なる信号処理が行われるように構成されている。
【0014】
回動型スイッチは、一方の筐体側面の操作方向と、他方の筐体側面に対して一方の筐体側面の操作に対応する力が加わる方向とが異なるため、第1操作部が操作された場合と、第1操作部と同じ方向に第2操作部が操作された場合とで異なる信号処理が行われることによって、一方の筐体側面に操作をしている際に、他方の筐体側面に一方の筐体側面の操作に対応する力が加わったとしても、誤操作及び該誤操作に伴う誤動作の発生を防止することができる。
【0015】
本発明の第5態様では、第3又は第4態様記載の頭部装着機器において、前記装着部は、前記筐体又は前記装着部に内蔵された加速度センサと、前記加速度センサからの入力情報に基づいて、当該頭部装着機器の装着の向きを判別し、該判別結果に応じて前記第1操作部への操作に対応する信号処理と、前記第2操作部への操作に対応する信号処理とを入れ替える制御部とを備えている。
【0016】
本態様によると、制御部が、頭部装着機器の装着の向きを判別して第1操作部と第2操作部との操作に対応する信号処理を入れ替えるため、仮に、頭部装着機器の装着の向きが変わった場合においても、装着の向きが変わる前後で使用者から見た一方側の操作部の操作に対応する制御動作を同じ動作にすることができ、他方側でも同様である。これにより、使用者の利便性が向上する。
【0017】
本発明の第6態様では、第5態様記載の頭部装着機器において、前記装着部は、耳に装着されるものであり、前記制御部は、前記加速度センサからの入力情報に基づいて、前記装着部が左耳又は右耳のどちらに装着されているかを判別し、該判別結果に応じて前記第1及び第2操作部への操作に対応する信号処理の入れ替えを行う。
【0018】
本態様によると、制御部が、装着部が左耳又は右耳のどちらに装着されているかを判別して第1操作部と第2操作部との操作に対応する信号処理を入れ替えるため、例えば、装着部を右耳に装着した場合と左耳に装着した場合とで前側の操作部を操作した場合に対応する制御動作(例えば、電源のオンオフ制御)を同じ動作にすることができ、同様に、後側の操作部を操作した場合に対応する制御動作(例えば、各種設定変更)を同じ動作にすることができる。これにより、使用者の利便性が向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、第1及び第2操作部との操作の形態が異なるように構成されているため、筐体の両側面に操作部を設けた場合においても誤操作及び該該誤操作に伴う誤動作の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】頭部装着機器の斜視図である。
図2】第1及び第2操作部の構成例を示す概念図である。
図3】頭部装着機器の全体構成を概略的に示すブロック図である。
図4】第1及び第2操作部の他の構成例を示す概念図である。
図5】頭部装着機器の耳への装着状態を示した図である。
図6】第1及び第2操作部の他の構成例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は実施形態に係る頭部装着機器の斜視図である。また、図2は操作部の構成例を示す概念図であり、図3は頭部装着機器の全体構成を概略的に示すブロック図である。
【0023】
頭部装着機器1は、図1に示すように、耳に装着されるインイヤー型の装着部20と、後述する連結部21を介して装着部20と一体的に連結された矩形箱状の筐体10とを備えている。筐体10内には、後述する制御部40を搭載した回路基板(図示しない)が収容されている。なお、図示しないが、装着部20が、例えばスピーカーのような音出射部や、生体情報を計測するセンサ素子等を備えていてもよい。
【0024】
筐体10は、互いに対向して配置され、筐体長手方向の端部がそれぞれ接続された対向壁部11,12と、両対向壁部11,12の筐体幅方向の端部間をそれぞれ一体に接続する第1壁部13および第2壁部14とを備えている。第1壁部13及び第2壁部14の筐体長手方向かつ筐体厚さ方向の中間部分には、筐体長手方向に延びる矩形状の貫通孔13a,14aが形成されている。
【0025】
連結部21は、対向壁部11の一端部から筐体厚さ方向外側に延びる円筒状のものであり、筐体10と装着部20とを一体的に連結する。連結部21の筐体側端部には、小径となるように段差状に括れた括れ部21aが形成されており、括れ部21aには、耳殻91に掛けることができるように湾曲するロッド状の耳かけ部15が着脱自在に取り付けられている。なお、装着部20と筐体10とが、連結部21の中心線回りに相対回動可能に連結されていてもよく、また、両者が連結部21を介さずに一体的に連結されていてもよい。
【0026】
第1壁部13には、第1操作部としての押圧型スイッチ31が設けられており、より具体的には、押圧型スイッチ31の一部が貫通孔13aを介して第1壁部13の外側に突出している。そして、図2及び図3に示すように、押圧型スイッチ31が押されると検知部31aを介して制御部40にその操作信号が伝達されるように構成されている。
【0027】
第2壁部14には、第2操作部としての回動型スイッチ32が設けられており、より具体的には、回動型スイッチ32の一部が貫通孔14aを介して第2壁部14の外側に突出している。例えば、回動型スイッチ32にはポジションセンサ(図示しない)が取り付けられており、回動型スイッチ32が回動操作されると上記ポジションセンサを介して制御部40にその操作信号が伝達されるように構成されている。一方で、回動型スイッチ32は、該スイッチが筐体幅方向に押されたとしても、制御部40にはその操作信号が伝達されないように構成されている。
【0028】
制御部40は、押圧型スイッチ31が押されたり、回動型スイッチ32が回動操作されると、その操作情報を受けて、例えば、頭部装着機器1の電源をオンオフ制御したり、装着部20や筐体10内に設けられた各種生体情報計測機能のオンオフ制御や設定変更をしたり、装着部20に内蔵されたスピーカーのオンオフ制御、音量の調整等の各種設定や各種制御を行う。
【0029】
図5(a),(b)は、頭部装着機器1を左右の耳それぞれに装着した状態を示した図である。頭部装着機器1は、頭部が起立した状態における上側に連結部21及び装着部20が位置するように筐体10を把持され、その状態で装着部20が耳珠と耳甲介の間に嵌め込まれるとともに、耳かけ部15が耳にかけられて装着される。ここで、装着部20と筐体10とが相対回動可能に連結されている場合、頭部に対する筐体10の角度が使用者の好みに応じて変更可能であり、ファッション性を向上させることができる。図5(a),(b)では、頭部起立状態において筐体10が耳から前下がりになるように装着された例を示している。
【0030】
以上のように、本実施形態によると、押圧型スイッチ31の操作の形態(押圧操作)と回動型スイッチ32の操作の形態(回動操作)とが異なるように構成されている。これにより、装着部が頭部に装着された際に、頭部表面に沿って対向する筐体10の第1壁部13及び第2壁部14にそれぞれ操作部(例えばスイッチ)を設けた場合において、目視できない状態で筐体10を両サイドから把持して操作を行ったときでも誤操作を防止することができる。
【0031】
具体的には、例えば、使用者が押圧型スイッチ31を押した際に、第2壁部14に設けられた回動型スイッチ32に上記押圧型スイッチ31を押す動作に伴う把持力が印加されたとしても、制御部40にはその操作信号が伝達されず、誤操作に基づく誤動作の発生を防止することができる。同様に、使用者が回動型スイッチ32を回動操作した際に、第1壁部13に設けられた押圧型スイッチ31に上記回動型スイッチ32の回動操作に伴う回動方向の力(筐体長手方向の力)が印加されたとしても、制御部40にはその操作信号が伝達されず、誤操作及び該誤操作に基づく誤動作の発生を防止することができる。
【0032】
また、筐体10の両側壁部(第1壁部13,第2壁部14)に設ける操作部のうち、一方を押圧型スイッチにすることにより、回動型スイッチやスライド型スイッチ等の他のスイッチと比較して構造が単純であり、安価な構造にすることができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、種々の改変が可能である。
【0034】
−変形例1−
図4(a)は第1及び第2操作部の他の構成例を示す概念図である。本変形例では、図1及び図2に示される押圧型スイッチ31及び回動型スイッチ32に代えて、押圧型スイッチ50が設けられている。
【0035】
押圧型スイッチ50は、筐体10内において筐体幅方向に延びるスイッチ本体53と、スイッチ本体53の筐体幅方向の中間から上方向に向かって一体的に延びる突起54とを備えている。スイッチ本体53は、第1壁部13の貫通孔13aから外側に突出して使用者の押圧操作を受ける第1操作部51と、第2壁部14の貫通孔14aから外側に突出して使用者の押圧操作を受ける第2操作部52とを備えている。
【0036】
突起54の第2壁部14側には検知部51aが設けられており、使用者によって第1操作部51が押されると検知部51aを介して制御部40にその操作信号が伝達されるように構成されている。同様に、突起54の第1壁部13側には検知部52aが設けられており、使用者によって第2操作部52が押されると検知部52aを介して制御部40にその操作信号が伝達されるように構成されている。
【0037】
また、図5に示すように、頭部装着機器1は、筐体10に内蔵された加速度センサ41をさらに備えている。制御部40は、上記実施形態に記載した各種設定や各種制御に加えて、加速度センサ41からの入力情報に基づいて、装着部20が左耳又は右耳のどちらに装着されているかを判別可能であり、かつ、該判別結果に基づいて第1操作部51への操作に対応する信号処理と、第2操作部52への操作に対応する信号処理とを入れ替えるように構成されている。例えば、制御部40が、装着部20が右耳に装着された場合に、第1操作部51への操作で電源オンオフ制御を行い、第2操作部への操作で音量調整制御を行うと仮定すると、その後、装着部20が左耳に装着されると第1操作部51への操作で音量調整制御を行い、第2操作部の操作で電源オンオフ制御を行うようになっている。
【0038】
なお、上記以外の頭部装着機器1の構成や制御部40の動作等は、上記実施形態(図1)と同一又は類似であり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0039】
以上のように、本態様によると、使用者が第1操作部51を押した場合、スイッチ本体53が筐体幅方向内側に移動するため、第1操作部51と同時に第2操作部52を押すこと(操作すること)ができないようになっている。同様に使用者によって第2操作部52を押した場合、同時に第1操作部51を押すこと(操作すること)ができないようになっている。これにより、使用者が一方の操作部を押した際に他方の操作部も操作されるという誤操作及び該誤操作に基づく誤動作の発生を防止することができる。
【0040】
また、制御部40は、装着部20が左耳又は右耳のどちらに装着されているかを判別して第1操作部51と第2操作部52との操作に対応する信号処理を入れ替えるように構成されている。すなわち、制御部40は、例えば、装着部20を右耳に装着した場合に頭部起立状態で顔の前上側にくる第1操作部51(図5(b)参照)と、装着部20を左耳に装着した場合に頭部起立状態で顔の前上側にくる第2操作部52(図5(a)参照)とで操作に対応する制御動作(例えば、電源のオンオフ制御)が同じになるように構成されている。同様に、頭部起立状態で顔の後下側にくる操作部の操作に対応する制御動作(例えば、各種設定変更)が同じになるように構成されている。これにより、左右の耳のどちらに装着した場合においても、頭部前上側(頭部後下側)の操作に対応する制御動作が同じになるため、使用者の利便性が向上する。
【0041】
なお、本変形例に係る押圧型スイッチ50の構成は、図4(a)の構成に限定されない。例えば、第1及び第2操作部51,52の一方が操作されているときに、他方の操作部52,51への操作を制限する機構となっていれば、どのような構成であってもかまわない。具体的には、例えば、図4(b)のような構成であってもよい。より具体的には、図4(b)では、スイッチ本体53が筐体幅方向の中間で第1本体部53aと第2本体部53bとに分離されており、第1本体部53aの内端部から筐体長手方向の一方側に突起54aが突設され、第2本体部53bの内端部から筐体長手方向の他方側に突起54bが突設されている。図4(b)においても、第1及び第2操作部51,52の一方が操作されているときには、他方の操作が制限されるように構成されており、図4(a)と同様の効果が得られる。
【0042】
−変形例2−
図6は第1及び第2操作部の他の構成例を示す概念図である。本変形例では、図1及び図2に示される押圧型スイッチ31及び回動型スイッチ32に代えて、筐体10に回動による入力操作が可能に取り付けられた回動型スイッチ60が設けられている。
【0043】
回動型スイッチ60は、第1壁部13の貫通孔13aから外側に突出して使用者の回動操作を受ける第1操作部61と、第2壁部14の貫通孔14aから外側に突出して使用者の回動操作を受ける第2操作部62とを備えている。
【0044】
制御部40は、第1操作部61が所定の方向(例えば、上から下に向かう方向)への回動操作に対応する信号処理と、第2操作部52が上記所定の方向(例えば、上から下に向かう方向)への回動操作に対応する信号処理とを異ならせるように構成されている。
【0045】
なお、上記以外の頭部装着機器1の構成(加速度センサ含む)や制御部40の動作等は、上記変形例1と同一又は類似であり、ここではその詳細な説明を省略する。
【0046】
以上のように、本変形例によると、所定の方向に第1操作部61が操作された場合と、上記所定の方向に第2操作部62が操作された場合とで異なる信号処理が行われるように構成されているため、一方の筐体側面に操作をしている際に、他方の筐体側面に一方の筐体側面の操作に対応する力が加わったとしても、誤操作及び該誤操作に伴う誤動作の発生を防止することができる。
【0047】
具体的には、例えば、第1壁部13に設けられた第1操作部61に上から下に向かって回動操作がされる場合、第2壁部14に加わる上記対応する力は、下から上に向かう力である。一方で第2操作部62への異なる信号処理は、上から下に向かう回動操作に対して実行されるため、第1操作部61への操作による第2操作部に対する誤操作を防止することができる。第2操作部に対する操作の場合も同様である。
【0048】
−変形例3−
上記の実施形態及び変形例1,2では、頭部装着機器がインイヤー型の機器であるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、本発明は、耳たぶ等の外耳の一部に装着するタイプの機器や、耳以外に装着する機器に対しても適用が可能である。例えば、額から後頭部にかけて装着されるバンド(装着部)の額部分にヘッドライトが一体的に取り付けられた頭部装着機器に対して、例えば光量の調整や、ライトのオンオフ制御を行う操作部として、本発明に係る第1及び第2の操作部を設けるようにしてもよい。同様に、眼鏡型の機器やヘッドフォン型の機器のフレーム部分に対して、本発明に係る第1及び第2の操作部を設けるようにしてもよい。
【0049】
なお、実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、変形例3で記載したヘッドライトを有する頭部装着機器が変形例2に記載した加速度センサを備えていてもよい。このとき、制御部は、加速度センサからの入力情報に基づいて、ヘッドライトやバンドが装着された向きを判別し、その装着された向きに応じて、第1操作部への操作に対応する信号処理と、第2操作部への操作に対応する信号処理とを入れ替える制御を行う。これにより、仮にヘッドライトの装着の向きが上下逆さまになるような場合においても、使用者側から見たヘッドライトの一方側の側面に設けられた操作部の操作に対応する信号処理を同じにすることができる。使用者側から見たヘッドライトの他方側の側面に設けられた操作部についても同様である。
【0050】
なお、上記ヘッドライトにおいて、光を照射するライトと、第1及び第2操作部や制御部が内蔵された筐体とが分かれていて、それぞれがベルトに取り付けられている場合においても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、筐体の両側面に操作部を設けた場合においても誤操作や誤動作を防止することができるように構成されているため、目視できないような位置に装着する頭部装着機器等の用途において極めて有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 頭部装着機器
10 筐体
20 装着部
31 押圧型スイッチ(第1操作部)
32 回動型スイッチ(第2操作部)
40 制御部
41 加速度センサ
51,61 第1操作部
52,62 第2操作部
60 回動型スイッチ



図1
図2
図3
図4
図5
図6