(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記接触検知センサーおよび前記圧力検知センサーによる検知結果に基いて、前記接触部分への接触が雨滴によるものであることを判定することを特徴とする請求項1に記載の静電スイッチコントローラ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係る静電スイッチコントローラを備えたドア開閉装置の構成例を示す模式的ブロック構成図。
【
図2】接触のみを検知する静電スイッチの電極の例を示す模式的上面図であって、(a)基本サイズの電極の例、(b)小型サイズの電極の例、(c)大型サイズの電極の例。
【
図3】(a)
図2(b)に例示した小型サイズの電極を備えた静電スイッチを操作する様子を例示する模式図、(b)
図2(c)に例示した大型サイズの電極を備えた静電スイッチを操作する様子を例示する模式図。
【
図4】(a)
図3(a)に例示した静電スイッチを操作する様子を模式的に例示する上面図、(b)
図4(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図であって、指が電極から離間(近接)している様子を概略的に例示する図、(c)
図4(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図であって、指が電極に接触している様子を模式的に例示する図。
【
図5】実施の形態に係る静電スイッチコントローラに用いられる、圧力を検知する静電スイッチの例を模式的に示す模式的断面構造図であって、(a)電極上に配置された導電性ゴムから指が離間(近接)している様子を模式的に例示する図、(b)指が導電性ゴムに接触している様子を模式的に例示する図、(c)指で導電性ゴムを弱く押している(弱い圧力をかけている)様子を模式的に例示する図、(c)指で導電性ゴムを強く押している(強い圧力をかけている)様子を模式的に例示する図。
【
図6】(a)小型サイズの電極上に、電極と同程度のサイズの導電性ゴムを配置し、矢印の方向に電流Jを導通する静電スイッチを例示する模式的斜視図、(b)
図6(a)に例示した静電スイッチとは逆の方向に電流Jを導通する静電スイッチを例示する模式的斜視図。
【
図7】(a)
図6に例示した静電スイッチの導電性ゴムに指を接触している様子を例示する模式的断面構造図、(b)
図6に例示した静電スイッチの導電性ゴムを指で押圧している状態で導通する電流の例を説明するための模式的断面構造図。
【
図8】(a)大型サイズの電極上に導電性ゴムを配置し、配線電極を接続した例を示す模式的上面図、(b)
図8(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、(c)
図8(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図。
【
図9】(a)
図8に例示した静電スイッチの導電性ゴムを指で押圧している様子を例示する模式的上面図、(b)
図9(a)のIV−IV線に沿う模式的断面構造図、(c)
図9(a)のV−V線に沿う模式的断面構造図、(d)導電性ゴムに指が接触していないときの非導通状態を例示する模式図、(e)導電性ゴムを指で押圧したときの導通状態を例示する模式図。
【
図10】実施の形態に係る静電スイッチコントローラにおいて、静電スイッチに対する接触を検知するパッド電極と、静電スイッチに対する圧力を検知するパッド電極とを共用化する例を示す模式的ブロック図。
【
図11】
図10に例示した静電スイッチコントローラにおいて、静電スイッチに接触した際に検出される容量と、静電スイッチを押圧した際に検出される電流の例を示す模式的ブロック図。
【
図12】実施の形態に係る静電スイッチコントローラにおいて、共用化する電極パターンの一例。
【
図13】実施の形態に係る静電スイッチコントローラにおいて、共用化する電極パターンの別の例。
【
図14】実施の形態に係る静電スイッチコントローラを制御するための処理手順を例示する概略フローチャート。
【
図15】実施の形態に係る静電スイッチコントローラを有するドア開閉装置を備えたドアハンドル例の模式的外観図。
【
図16】(a)
図15に例示したドアハンドルの裏面側を例示する模式的斜視図、(b)
図15(a)に例示したドアハンドルの裏面側の部分的拡大図。
【
図17】実施の形態の変形例1に係るドア開閉装置を備えた車両を例示する模式的斜視図であって、雨滴検知センサーをフロント上部に備えた例を示す概略図。
【
図18】実施の形態の変形例2に係るドア開閉装置を備えたドアハンドルの模式的外観図。
【
図19】実施の形態に係るドア開閉装置を備えたドアハンドルを右手で操作する様子を例示する概略図。
【
図20】実施の形態の変形例3に係るドアハンドルの裏面側の接触検知部を例示する模式的斜視図。
【
図21】実施の形態の変形例4に係るドアハンドルの裏面側の接触検知部を例示する模式的斜視図。
【
図22】実施の形態の変形例5に係るドア開閉装置を備えたドアハンドルの模式的外観図。
【
図23】実施の形態に係る静電スイッチコントローラの応用回路構成の一例を示す概略ブロック図。
【
図24】実施の形態に係る静電スイッチコントローラの応用回路構成の別の例を示す概略ブロック図。
【
図25】一般的なキーレスエントリーシステムを備えた車両を操作する様子を例示する概略図であって、(a)ドアを開ける操作の様子を例示する概略図、(b)エンジンを始動する操作の様子を例示する概略図。
【
図26】一般的な電子キーシステムを備えた車両を操作する様子を例示する概略図であって、(a)ドアを開ける操作の様子を例示する概略図、(b)エンジンを始動する操作の様子を例示する概略図。
【
図27】(a)比較例に係る電子キーシステムを備えた車両を操作する様子を例示する概略図、(b)実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両を操作する様子を例示する概略図。
【
図28】(a)実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両におけるリモートドアロックシステムを例示する模式的斜視図、(b)
図28(a)に例示したリモートドアロックシステムの構成例を示す概略ブロック図。
【
図29】(a)実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両を操作する様子を例示した概略図、(b)
図29(a)に例示した車両のドアハンドルを操作する様子を例示した概略図、(c)
図29(b)に例示したドアハンドルに設けたボタンスイッチを操作する様子を例示した概略図。
【
図30】実施の形態に係る電子キーシステムの構成例を示す概略ブロック構成図。
【
図31】
図30に例示した電子キーシステムの各部を備えた車両の一例を示す模式的斜視図。
【
図32】
図30に例示した電子キーシステムの検知範囲の一例を示す模式的上面図。
【
図33】
図30に例示した電子キーシステムにおいて、ドア開錠時の制御の一例を示す概略ブロック構成図。
【
図34】
図21に例示した電子キーシステムにおいて、ドア施錠時の制御の一例を示す概略ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
[実施の形態]
(ドア開閉装置のブロック構成)
図1は、実施の形態に係るドア開閉装置の構成例を示す概略ブロック構成図である。
【0018】
実施の形態に係るドア開閉装置は、開閉機構部100と、その他検知部300と、その他機能部400と、以上の各部を制御する制御部(マイコン)200とを備える。開閉機構部100は、接触検知部(静電スイッチコントローラ)120と、非接触検知部140と、施錠部(ロック部)160とを備える。その他検知部300は、SOS信号検知部302と、強制信号検知部304と、テスト信号検知部306と、エンジン始動検知部308と、走行速度検知部310と、その他検知部312とを備える。尚、エンジン始動検知部308および走行速度検知部310は、実施の形態に係るドア開閉装置を車両などの移動手段に適用する際に用いられるオプション機能である。
【0019】
接触検知部120は、例えば、静電容量を検出する静電容量センサーなどの静電スイッチ操作向け検知電極から構成される雨滴検知センサー(検知電極)122および人体検知センサー(検知電極)124と、雨滴検知センサー122(1〜2ch)および人体検知センサー124(2〜6ch)を制御する静電スイッチコントロールIC126とを備える。雨滴検知センサー122は、雨検知センサー(検知電極)128と晴検知センサー(検知電極)130とを備え、人体検知センサー124は、接触検知センサー(検知電極)132と圧力検知センサー(検知電極)136とを備える。接触検知センサー132は、人間がドアの開閉操作を行う際に人間の身体の少なくとも一部(例えば手や指など)が接触する接触部分への接触の有無を検知する。圧力検知センサー136は、人間の身体の少なくとも一部(例えば手や指など)によって接触部分に対して加わる圧力を検知する。
【0020】
制御部200は、接触検知センサー132および圧力検知センサー136による検知結果に基いて、接触部分への接触が人間の身体の少なくとも一部によるものであることを判定した場合に、ドアの開錠を行うように施錠部160に指示する。
【0021】
非接触検知部140は、例えば、カードキーやスマートフォンなどから構成される電子キー3との信号の送受信を行う信号送受信部(信号送受信装置)142と、信号送受信部142が送受信する信号に基いてキーやキーの操作を認識するキー認識部144とを備える。
【0022】
施錠部160は、ドアなどの施錠/開錠する施錠部(施錠装置)162と、接触検知部120、非接触検知部140、その他検知部300などが検知した検知信号(データ)に基いて、施錠部162に対して施錠(ロック)/開錠(ロック解除)を制御する施錠制御部164とを備える。
【0023】
その他機能部400には、例えば、エアコン機能、カーナビ機能、オーディオ/ビデオ機能、照明機能などの各種機能が含まれ、接触検知部120、非接触検知部140、その他検知部300などが検知した検知信号(データ)に基いて、各種機能を制御することができる。
【0024】
(静電スイッチ)
(接触のみを検知する静電スイッチ)
図2は、接触のみを検知する静電スイッチの電極の例を模式的に示す。
図2(a)は、基本サイズの電極10A、10Bを基板18上に配置した静電スイッチの例を示す。また、
図2(b)は、小型サイズの電極12A・12Bを基板18上に配置した静電スイッチの例を示す。また、
図2(c)は、大型サイズの電極14A・14Bを基板18上に配置した静電スイッチの例を示す。
【0025】
また、
図2(b)に例示した小型サイズの電極を備えた静電スイッチを操作する様子を例示する模式図は、
図3(a)に示すように表され、
図2(c)に例示した大型サイズの電極を備えた静電スイッチを操作する様子を例示する模式図は、
図3(b)に示すように表される。
【0026】
図2(b)に例示した静電スイッチを人間が操作する場合は、
図3(a)に例示するように、指8などで電極12A・12Bに触れる(あるいは押す)。
図2(c)に例示した静電スイッチを人間が操作する場合も、同様に、
図3(b)に例示するように、指8などで電極14A・14Bに触れる(あるいは押す)。ここで、基板18は、例えばプリント回路基板(PCB:Printed Circuit Board)などを適用可能である。
【0027】
図3(a)に例示した静電スイッチを操作する様子を模式的に例示する上面図は、
図4(a)に示すように表され、
図4(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図であって、指8が電極12A・12Bから離間(近接)している様子を概略的に例示する図は、
図4(b)に示すように表され、
図4(a)のI−I線に沿う模式的断面構造図であって、指8が電極12A・12Bに接触している様子を模式的に例示する図は、
図4(c)に示すように表される。
【0028】
図4に例示するように、小型サイズの電極12A・12Bを用いた静電スイッチを指8で操作する場合、指8が電極12A・12Bに触れていない状態(
図4(b))での電極12A−電極12B間の検出容量はCABであり、指8と電極12A・12B間の静電容量は、CA・CBである。指8が電極12A・12Bに触れた状態(
図4(c))での電極12A−電極12B間の検出容量はCAB1であり、指8と電極12A・12B間の静電容量は、CA1・CB1である。そして、検出容量値CABからCAB1への変化(あるいはCAB1からCABへの変化)を検出、若しくはCA、CB、CA1、CB1の容量変化を検知することによって、静電スイッチに対する指8の接触の有無を検知することができる。
【0029】
(実施の形態に係る静電スイッチ)
図5は、
図1に例示したドア開閉装置の人体検知センサー124などに用いられる、圧力を検知する静電スイッチの例を模式的に示す。圧力を検知する静電スイッチは、基板18上に配置された電極12と、電極12上に配置された導電性ゴム16を備える。
図5(a)は、電極12上に配置された導電性ゴム16から指8が離間(近接)している様子を模式的に例示しており、
図5(b)は、指8が導電性ゴム16に接触している様子を模式的に例示しており、
図5(c)は、指8で導電性ゴム16を弱く押している(弱い圧力をかけている)様子を模式的に例示しており、
図5(d)は、指8で導電性ゴム16を強く押している(強い圧力をかけている)様子を模式的に例示している。導電性ゴム16は、貼り合せ若しくは蒸着によって、電極12を覆うように電極12上に配置される。
【0030】
図6(a)は、基板18上に配置された小型サイズの電極12A・12B上に、電極12A・12Bと同程度のサイズの導電性ゴム16を配置し、矢印方向に電流Jを導通する静電スイッチを例示しており、
図6(b)は、
図6(a)に例示した静電スイッチの導通方向とは逆の方向に電流Jを導通する静電スイッチを例示している。
【0031】
また、
図6に例示した静電スイッチの導電性ゴム16に指8を接触している様子を例示する模式的断面構造は、
図7(a)に示すように表され、
図6に例示した静電スイッチの導電性ゴム16を指8で押圧している状態で導通する電流の例を説明するための模式的断面構造は、
図7(b)に示すように表される。
このように構成された静電スイッチの導電性ゴム16に指8で接触しただけでは、電極12A−導電性ゴム16−電極12B間には電流は導通しない(
図7(a))。一方で、
図7(b)に示すように、導電性ゴム16を指8で押す(圧力をかける)と、電極12A−導電性ゴム16−電極12B間に電流が導通する(抵抗値R
AB)。そして、この抵抗値R
ABの大きさを検出することで、導電性ゴム16に印加される圧力(導電性ゴム16を指8で押した度合い)を検知することができる。
【0032】
尚、抵抗値R
ABの検出方法としては、上記のように電極12A−導電性ゴム16−電極12B間を流れる電流値を測定する方法と、電極−接地(GND)間若しくは電極−電源電圧(V
DD)間に接続された抵抗値と導電性ゴム16との抵抗分圧比を測定する方法を採用可能である。
【0033】
図8(a)は、大型サイズの電極14A・14B上に導電性ゴム16を配置し、配線電極を接続した例を模式的に示す上面図であり、
図8(b)は、
図8(a)のII−II線に沿う模式的断面構造図、
図8(c)は、
図8(a)のIII−III線に沿う模式的断面構造図である。
【0034】
また、
図9(a)は、
図8に例示した静電スイッチの導電性ゴム16を指8で押圧している様子を例示する模式的上面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のIV−IV線に沿う模式的断面構造図であり、
図9(c)は、
図9(a)のV−V線に沿う模式的断面構造図である。また、導電性ゴム16に指8が接触していないときの非導通状態を例示する模式図は、
図9(d)に示すように表され、導電性ゴム16を指8で押圧したときの導通状態を例示する模式図は、
図9(e)に示すように表される。
【0035】
図9(b)・
図9(c)に例示するように、指8によって導電性ゴム16に圧が加わっている部分がスイッチの役目をしており、導電性ゴム16に圧が加わってスイッチが入ると、導通エリアCが形成される。
図9(d)に例示するように、導電性ゴム16に指8が接触していない場合もしくは指8で接触しただけ(圧を加えていない)場合は、電極12A−導電性ゴム16−電極12B間には電流は流れない。一方で、
図9(e)に例示するように、導電性ゴム16を指8で押す(圧を加える)と、電極12A−導電性ゴム16−電極12B間に電流I
Cが流れる。
【0036】
図10は、実施の形態に係る静電スイッチコントローラにおいて、静電スイッチに対する接触を検知するパッド電極12Hと、静電スイッチに対する圧力を検知するパッド電極12Pとを共用化した例を示す模式的ブロック図である。実施の形態に係る静電スイッチコントローラは、
図10に例示するように、配線電極20
1と配線電極20
2とに接続された静電スイッチコントロールIC126と、静電スイッチコントロールIC126にそれぞれ接続されたパッド電極12Hおよびパッド電極12Pと、圧力を検知するパッド電極12Pおよびパッド電極12P側の配線電極20
2上に配置された導電性ゴム16とを備える。
図10には、それぞれ単一のパッド電極12H・12Pが記載されているが、実際には、それぞれ複数個のパッド電極12H・12Pが配置される。また、独立した導電性ゴム16によって個別のパッド電極12Pを覆うようにしても良いし、1つの導電性ゴム16によって複数個のパッド電極12Pをまとめて覆うようにしても良い。
【0037】
図11に例示するように、パッド電極12Hに指8が接近することにより、指8とパッド電極12Hとの間の容量CFが増加すると共に、パッド電極12Hと配線電極と20
1との間の容量CP2が増加する。一方で、導電性ゴム16を指8で押す(圧を加える)と、導電性ゴム16を介してパッド電極12Pに電流が流れる(抵抗値R
S)。静電スイッチコントロールIC126は、パッド電極12Pに加わる圧を検知するために抵抗値R
Sを検出するが、パッド電極12Pに電流が流れていない場合は、パッド電極12Hへの接触を検知するために容量CP2を検出する。尚、
図12は、
図2(a)に例示した基本サイズの電極10A、10Bを共用化した電極パターンの一例であり、
図13は、
図2(c)に例示した大型サイズの電極14A、14Bを共用化した電極パターンの一例である。
【0038】
このように、実施の形態に係る静電スイッチコントローラにおいては、導電性ゴム16を使用し、静電スイッチの技術補完を行っている。静電スイッチに対する接触を検知するパッド電極12Hと、静電スイッチに対する圧力を検知するパッド電極12Pとを共用化することにより、人体(指など)が近付く(近接する)または接触する事象の検知だけではなく、静電スイッチに加わる圧(押圧)の検知も可能である。このため、静電スイッチのオン/オフ(接触/非接触)だけではなく、弱く接触する/強く接触するなどの接触の程度(圧力)も判別することが可能である。
【0039】
本実施の形態によれば、センサー電極への接触の有無だけでなく、センサー電極に加わる圧(押圧)の大きさも検出することができるので、センサー電極に接触しているものが雨滴などの水分なのか、それとも人体(例えば指)なのかを、極めて高精度に検知することができる。
【0040】
(実施の形態に係る静電スイッチの制御方法)
図14は、実施の形態に係る静電スイッチコントローラの制御方法の処理手順を例示する。実施の形態に係る静電スイッチコントローラの静電スイッチコントロールIC126は、以下に例示する処理手順にしたがって、静電スイッチコントローラの各部を制御することで、静電スイッチに付着する水滴等による誤検知を防止すると共に、静電スイッチへの接触(近接)と静電スイッチに対する押圧の程度(圧力)を同時に検知可能な静電スイッチコントローラ、およびそれを用いたドア開閉装置、電子キーシステムの処理動作を実現可能である。
【0041】
まず、ステップS1において、静電スイッチコントロールIC126は、静電スイッチの接触検知センサー132がオンであるか(所定の容量を検出したか)否か、すなわち、静電スイッチに何かが接触しているか否かを検出する。接触検知センサー132がオンでなければ(所定の容量を検出しなければ)、すなわち、接触検知センサー132に何も接触していなければ、待機する(ステップS2)。
【0042】
ステップS1において、静電スイッチの接触検知センサー132がオンであれば(所定の容量を検出すれば)、すなわち、接触検知センサー132に何かが接触していれば、ステップS3に進む。
【0043】
次に、静電スイッチコントロールIC126は、ステップS3において、静電スイッチの雨検知センサー128がオンであるか(所定の容量を検出したか)否か、すなわち、静電スイッチに何かが接触しているか否かを検出する。雨滴検知センサー122がオンでなければ(所定の容量を検出しなければ)、すなわち、雨検知センサー128に何も接触していなければ、静電スイッチコントロールIC126は、雨滴による接触ではなく、人体による接触であるものと断定し、ステップS4において、ドアのロックを解除する。
【0044】
逆に、ステップS3において、雨検知センサー128がオンであれば(所定の容量を検出すれば)、すなわち、雨検知センサー128に何かが接触していれば、ステップS5に進む。
【0045】
次に、静電スイッチコントロールIC126は、ステップS5において、静電スイッチの圧力検知センサー136がオンであるか(所定の電流(抵抗値)を検出したか)否か、すなわち、静電スイッチに人体(例えば指)による圧力が加わっているか否かを検出する。圧力検知センサー136がオンでなければ(所定の電流(抵抗値)を検出しなければ)、すなわち、圧力検知センサー136に人体(例えば指)による圧力が加わっていなければ、静電スイッチコントロールIC126は、人体による接触ではなく、雨滴による接触であるものと断定し、ステップS6において、ドアのロックを非解除のまま維持する。
【0046】
ステップS5において、雨検知センサー128がオンであれば(所定の容量を検出すれば)、すなわち、雨検知センサー128に人体(例えば指)による圧力が加わっていれば、静電スイッチコントロールIC126は、雨滴による接触ではなく、人体による接触であるものと断定し、ステップS7において、ドアのロックを解除する。
【0047】
尚、ステップS1で検出する所定の容量値は、人体(例えば指)による接触を検知できる値に設定し、ステップS3で検出する所定の容量値は、雨滴などの水による接触を検知できる値(ただし、ステップS1で検出する所定の容量値と同程度になる)に設定する。また、ステップS5で検出する所定の電流(抵抗値)は、人体(例えば指)による圧力を検知できる値に設定する。なお、雨滴などの水による接触でも、わずかながら圧が加わるため、ステップS5で検出するは、雨滴などの水による接触と区別できる程度の値に設定する。
【0048】
(ドア開閉装置を備えたドアハンドル例)
実施の形態に係る静電スイッチコントローラを有するドア開閉装置を備えたドアハンドル4の例の模式的外観図は、
図15に示すように表される。
図15には、雨検知センサー128の電極17A、17Bも配置されている。
【0049】
図15に例示する車両用のドアハンドル4を例に説明すると、例えば、雨滴9は、ドアハンドル4の表面に一様に降りかかる(接触する)[事象P]。それに対して、人の手8(図示せず)は、手8で操作する部分(手8の指を掛けるドアハンドル4の裏面部分(
図16を参照))にのみ接触する。例えば、
図19・
図22に例示するように、ドアハンドル4を操作する際には、ドアの窪み5を利用してドアハンドル4の内側(裏面部分)に手8の指を掛ける(触れる)[事象Q]。ここで、実施の形態に係るドア開閉装置を備えたドアハンドル4を右手で操作する様子を例示する概略図は、
図19に示すように表される。また、実施の形態の変形例5に係るドア開閉装置を備えたドアハンドルの模式的外観図は、
図22に示すように表される。
【0050】
事象Pと事象Qとには、以下のような違いがある。人の手8がドアハンドル4に接触する際には、ドアハンドル4に接触している手8の影となる部分(つまり、手8が庇のように機能して、ドアハンドル4の一部をカバーすることにより、雨滴9などが降りかかるのを防ぐ部分)がある(
図19参照)。この影となる部分(手8が庇となる部分)には、雨が降っていたとしても雨滴9は掛からない。
【0051】
そこで、実施の形態に係るドア開閉装置においては、雨滴9が触れているのか、人の手8などが触れているのかを判断するために、検知センサー(接触検知部120(接触検知センサー132、圧力検知センサー136))を少なくとも2つ以上設ける。設けた接触検知部120の各検知センサーの大きさ、位置、電極の数、形状、電極−電極間距離、電極−接地(GND)間距離などは、必要に応じて調整する。
【0052】
また、雨滴9の接触を高精度に検知するために、雨検知センサー128の電極17A、17Bに隣接して、窪みや溝(
図15に示す例では、溝19A、19B)を形成して、雨滴9が集まりやすくするようにしてもよい。このように溝19A、19Bを形成することで、雨滴9が集まりやすくするなるとともに、雨滴9は、雨検知センサー128の電極17A、17Bが雨滴9の接触を検知するのに必要な時間留まることができるので、雨滴9の接触をより確実に検知することができる。尚、
図15では、電極17A、17Bのそれぞれの両側に隣接するように、ドアハンドル4の上面に溝19A、19Bを形成する例を示したが、これに限定されない。窪みや溝の大きさ、形状、位置、個数などは、ドアハンドル4の大きさや形状などや、電極17A、17Bの大きさ、形状、位置、感度などを考慮して、適宜調整することができる。
【0053】
図15に例示したドアハンドル4の裏面側を例示する模式的斜視図は、
図16(a)に示すように表され、
図15に例示したドアハンドル4の裏面側の部分的拡大図は、
図16(b)に示すように表される。
図16(a)・
図16(b)は、実施の形態に係るドア開閉装置を備えた車両1のドアハンドル4を模式的に例示しており、ドアハンドル4に接触検知部120(接触検知センサー132、圧力検知センサー136)を備えている。ここで、
図15と同様に、
図16(a)においても、雨検知センサー128の電極17Aが示されている。
【0054】
例えば、手8で触れる部分(電極M1、M2を導電性ゴム16Bで覆った接触検知センサー132、圧力検知センサー136を配置した第1の部分)と、手8の動作(アクション)により手が庇となって影になる部分(雨滴9が掛からない部分)(電極M1、M2を導電性ゴム16Aで覆った接触検知センサー132、圧力検知センサー136を配置した第2の部分)と、雨滴9は掛かるが、影になるなどの手8の影響がない部分(雨検知センサー128の電極17A、17Bを配置した第3の部分)との3つのエリアに分ける。
【0055】
より具体的には、ドアハンドル4の第1の部分は、手8(例えば右手)の接触を認識(検知)するエリア、第2の部分は、手8による影を判断(検知)するエリア、第3の部分は、雨滴9を認識(検知)するエリアとして用いる。
【0056】
(変形例1)
図17は、実施の形態に係るドア開閉装置を備えた車両1を模式的に例示しており、車両1のフロント上部(ルームミラー付近)の位置に、さらに雨滴検知センサーRSを備えた例を示す。このように、ドアハンドル4とは別の位置にも雨滴検知センサーRSをさらに配置することで、ドアハンドル4に配置された雨滴検知センサー122と協働して、雨滴の検知をさらに高精度に行うことができる。
【0057】
(変形例2)
図18は、実施の形態の変形例2に係るドア開閉装置を備えたドアハンドル4の例を模式的に例示する。
【0058】
変形例2におけるドアハンドル4では、手8の動作(アクション)により手が庇となって影になる部分(雨滴9が掛からない部分)に晴検知センサー130を配置している。また、雨滴9は掛かるが、影になるなどの手8の影響がない部分に、雨検知センサー128
1、128
2を配置している。このように、雨検知センサー128と晴検知センサー130の双方を配置することで、雨滴の検知をさらに高精度に行うことができる。
【0059】
(変形例3)
図20は、実施の形態の変形例3に係るドアハンドル4の裏面側の接触検知部120を模式的に例示する。変形例3における接触検知部120には、複数の接触検知センサー132がマトリックス状に配置されている。そして、マトリックス状に配置された複数の接触検知センサー132の一部を覆うように導電性ゴム16が配置されて、その部分を圧力検知センサー136として構成している。このようにして、接触検知センサー132と圧力検知センサー136とを共用化することができる。
【0060】
(変形例4)
図21は、実施の形態の変形例4に係るドアハンドル4の裏面側の接触検知部120を模式的に例示する。変形例4における接触検知部120には、接触検知センサー132の電極M1、M2が並列的に配置されている。そして、並列的に配置された電極M1、M2の一部を覆うように導電性ゴム16が配置されて、その部分を圧力検知センサー136として構成している。圧力検知センサー136は、接触検知センサー132の電極M1、M2間の抵抗Rの変化を検出することで、圧力変化を検出可能である。このようにして、接触検知センサー132と圧力検知センサー136とを共用化することができる。
【0061】
(変形例5)
図22は、実施の形態の変形例5に係るドア開閉装置を備えたドアハンドルの模式的外観図である。
【0062】
変形例5におけるドアハンドル4では、複数個の雨滴検知センサー122(雨検知センサー128、晴検知センサー130)を配置している。このように、複数個の雨滴検知センサー122(雨検知センサー128、晴検知センサー130)を配置することで、雨滴の検知をさらに高精度に行うことができる。2つの矢印は、雨検知センサー128、晴検知センサー130に雨滴が掛かる様子を模式的に表している。
【0063】
尚、
図22に示す例では、7個の雨滴検知センサー122を配置しているが、雨滴検知センサー122の個数は、これに限定されない。
【0064】
また、変形例1〜5の構成を単独で用いても良いし、変形例1〜5の構成うちの任意の2以上の構成を組み合わせても良い。
【0065】
(静電スイッチコントローラのブロック構成)
図23は、実施の形態に係る静電スイッチコントローラの応用回路構成の一例を示す概略ブロック図である。
【0066】
静電スイッチコントローラの応用回路構成は、
図23に例示するように、静電スイッチコントロールIC126と、静電スイッチコントロールIC126に接続された雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触検知センサー132、および圧力検知センサー136とを備え、静電スイッチコントロールIC126は、後述する電子キーシステムの電子機器などのホスト装置129に接続される。
【0067】
静電スイッチコントロールIC126は、雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触検知センサー132、および圧力検知センサー136などのスイッチ操作向け静電容量センサーのコントローラである。
【0068】
静電スイッチコントロールIC126は、静電容量を検出するAFE(Analog Front End)、検出容量をディジタル検出値に変換するA/Dコンバータ、検出値を処理するMPU(Micro Processing Unit)、PWM(Pulse Width Modulation)対応LED(Light Emitting Diode)コントローラ、I2C(Inter-Integrated Circuit)バスプロトコルに対応した2線シリアルバスホストインターフェース、パワーオンリセット、クロック発振回路、内部用LDO(Low Drop-Out regulator)などを内蔵可能である。
【0069】
静電スイッチコントロールIC126では、
図23に例示するように、1つの静電容量センサーを1つの独立スイッチ(すなわち、独立した検知センサー(雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触検知センサー132、および/または圧力検知センサー136))として用いることができる。各独立した検知センサーでは、ON、OFF、長押しなどを認識することができる。
【0070】
また、
図24に例示するように、静電スイッチコントロールIC126では、複数のセンサ(雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触検知センサー132、および/または圧力検知センサー136)をマトリクス状に配置し、そのマトリクス配置の交点(クロスポイント)を1つのキースイッチとして扱うこともできる。各クロスポイントでは、ON、OFF、長押しなどを認識することができる。
【0071】
(キーレスエントリーシステム)
図25は、一般的なキーレスエントリーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。キーレスエントリーを使用した車両1のドアロックを開錠する場合は、
図25(a)に例示するように、車両1の近くで、電子キー3本体に配置されているスイッチを操作して、ドアのロックを開錠する。また、車両1のエンジンの始動は、
図25(b)に例示するように、電子キー3の鍵部を、車両1内のイグニッションスイッチ部に、手動で挿入して操作することで行うことができる。
【0072】
(電子キーシステム)
図26は、一般的な電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。
【0073】
電子キーシステムを備えた車両1を操作する場合は、
図26(a)に例示するように、電子キー3Aを携帯した(身につけた)人間(運転者など)が、車両1側から発信されている信号を受信できる範囲(作動範囲)内に入ると、電子キー3Aと車両1内の非接触検知部140とが信号の送受信を行う。ここで、車両1側から発信されている信号を受信できる範囲(作動範囲)外の電子キーは、電子キー3Aと同一のものであるが電子キー3Bで表されている。そして、車両1のエンジンが停止しているか、あるいは車両1が停止中である場合に、ドアハンドル4に配置されている接触検知センサーに何かが触れただけで、ドアのロックを開錠する。すなわち、電子キー3Aを身につけていれば、電子キー3Aを取り出さなくても車両1のドアロックを開錠することができる。
【0074】
また、
図26(b)に例示するように、作動範囲内で電子キー3Cと非接触検知部140とが信号の送受信を行うことで、エンジンの始動もできるようになる。
【0075】
図27(a)は、比較例に係る電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。比較例に係る電子キーシステムを備えた車両1では、電子キー3を身につけた人間が、車両1に近づき、作動範囲内に入ると、電子キー3と車両1側とが自動的に信号の送受信を行い、それによって、車両1のドアロックが開錠される。
【0076】
一方、
図27(b)は、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。電子キー3を身につけた人間が、車両1に近づき、作動範囲内に入ると、電子キー3と車両1内の非接触検知部140とが信号の送受信を行うが、それだけでは、車両1のドアロックは開錠/施錠されない。電子キー3を身につけた人間が、車両1に近づき、作動範囲内に入り、且つ、ドアハンドル4を操作し(すなわち、ドアハンドル4に配置されている接触検知部120に触れ)、
図14などに関連して上記で説明したような処理手順を、制御部200などが実行することで、水滴等による誤動作を防止しつつ、車両1のドアロックを開錠することができる。
【0077】
(リモートドアロックシステム)
図28(a)は、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1におけるリモートドアロックシステムを模式的に例示し、
図28(b)は、
図28(a)に例示したリモートドアロックシステムの構成例を示す概略ブロック図である。
【0078】
ここで、通常のドアロックが、車両1内外のスイッチ等の操作により、ドアロックの開錠/施錠を行うのに対して、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1におけるリモートドアロックシステムでは、リモート機能(送信機34)を有する電子キー3と、車両1の非接触検知部140(受信機32)とが信号の送受信を行うことで、ドアロックの開錠/施錠を行う。ドアロックの開錠/施錠結果は、車両1のハザードランプの点灯などによって、運転者等に通知することもできる。ドアロックには、人間が乗り降りするドア以外にも、荷室(トランクなど)のドアロックも含まれ得る。
【0079】
電子キー3側の送信機34は、送信部40と、暗号通信IC42と、アンテナ44とを備える。車両1の非接触検知部140側の受信機32は、受信部38と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)36と、アンテナ33とを備え、ECU36は、開錠/施錠部(開錠/施錠装置)30に接続する。
【0080】
送信機34の暗号通信ICにて暗号化され、送信部40からアンテナ44を通じて送信されるIDコードを、受信機32の受信部38がアンテナ33を通じて受信し、ECU36内で復号・照合し、正式なIDコードであることが認証されると、ECU36は、開錠/施錠部30に対して、開錠/施錠の指示を送る。
【0081】
(電子キーシステムを備えた車両の操作方法)
図29(a)は、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示した概略図であり、
図29(b)は、
図29(a)に例示した車両1のドアハンドル4を操作する様子を例示した概略図であり、
図29(c)は、
図29(b)に例示したドアハンドル4に設けたボタンスイッチ7を操作する様子を例示した概略図である。
【0082】
実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1では、電子キー3を携帯した(身につけた)人間80(運転者など)は、電子キー3を取り出さなくても、車両1のドアロックを開錠/施錠することができる。
図29(a)に例示するように、電子キー3を身につけた人間80が作動範囲内に入ると、電子キー3と非接触検知部140とが信号の送受信(暗号通信)を行う。電子キー3側から送信されるIDコードが正式なIDコードであることが車両1の非接触検知部140において認証されると、
図29(b)に例示するように、電子キー3を身につけた人間80の手8(例えば指)がドアハンドル4に配置されている接触検知センサー132および圧力検知センサー136に接触するだけで、ドアロックを開錠することができる。
【0083】
ドアロックを施錠する際には、ドアを閉めた状態で、電子キー3を身につけた人間80が、ドアハンドル4に配置されたボタンスイッチ7を手8(例えば指)で押すと、電子キー3と非接触検知部140とが信号の送受信(暗号通信)を行う。電子キー3側から送信されるIDコードが正式なIDコードであることが車両1の非接触検知部140において認証されると共に、車両1の室内に電子キー3が置き忘れられていないことが確認されると、ドアロックが施錠される。車両1の室内に電子キー3が置かれたままで、ボタンスイッチ7を操作しても、電子キー3の閉じ込めを防止するために、ドアロックの施錠は行われず、アラームなどで警告する。
【0084】
(電子キーシステムの構成)
図30は、実施の形態に係る電子キーシステムの構成例を示す概略ブロック構成図である。また、
図31は、
図30に例示した電子キーシステムの各部を備えた車両の一例を模式的に示す。
【0085】
実施の形態に係る電子キーシステムは、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)500と、接触検知部120・非接触検知部140・施錠部(ロック部)160を備える開閉機構部100と、車室外発信機560と、車両の前後にそれぞれ配置される車室内発信機(前)562および車室内発信機(後)564と、荷室内発信機520と、荷室外発信機522と、チューナ540と、電子キーシステム内の上記各部に接続して制御を行う制御部(マイコン)200とを備える。制御部(マイコン)200は、例えば、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などの車載ネットワークを介してECU500・開閉機構部100の制御を行う。
【0086】
実施の形態に係る電子キーシステムにおいて、制御部200は、電子キー3と車両1との間でのID照合や、電子キー3の位置確認などを行うために、以下の制御を行う。まず、制御部200は、ID照合や位置確認のリクエスト信号を各発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520、荷室外発信機522)を介して、電子キー3に送信する。次に、制御部200は、リクエスト信号を受信した電子キー3からIDコードなどを含む応答信号を受信する。制御部200は、受信した応答信号に基いて、ID照合を行い、ECU500や開閉機構部100などに動作を指示する。
【0087】
電子キー3には、施錠/開錠スイッチ、荷室スイッチなどが配置され、各ドアの施錠/開錠をスイッチによって行うこともできる。また、非常時用の施錠/開錠キーやトランスポンダーキーを備えていても良い。
【0088】
図32は、実施の形態に係る電子キーシステムの検知範囲の一例を模式的に示す。制御部200から各発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520、荷室外発信機522)を介して発信される電子キー3の検知範囲は、車室内検知エリア11、車室外検知エリア13、荷室外検知エリア15、荷室内検知エリア17などから形成される。車室内検知エリア11は、運転者席のドアの開閉、ブレーキ、イグニッションキー、各種アラームなどの制御を行うために形成される。車室外検知エリア13は、車室のドアロックの施錠/開錠する際の電子キー3のID照合や位置確認などのために形成される。荷室外検知エリア15は、荷室ドアのドアロックの施錠/開錠する際の電子キー3のID照合や位置確認などのために形成される。荷室内検知エリア17は、荷室ドアの開閉時に形成される。
【0089】
図33は、実施の形態に係る電子キーシステムにおけるドア開錠時の制御の一例を概略的に示す。
【0090】
図33に例示するように、制御部200は、車室外発信機560を介してアンテナから間欠的に信号を発信する(SE1)。電子キー3を身につけた人間が車両1に近づき、車室外検知エリア13の範囲内に入り、電子キー3が車室外発信機560からの信号を受信すると、電子キー3は、IDコードなどのデータを含む信号を車両1側に送信する(SE2)。制御部200は、電子キー3から送信された信号を、チューナ540を介して受信し(SE3)、受信した信号に基いて、IDコードの照合を行う。IDコードが認証されると、制御部200は、接触検知部120に対して、動作スタンバイの指示を送る(SE4)。接触検知部120は、人間の手8が人体検知センサー124に触れており、雨滴9による接触ではないことを検知すると、その検知情報を制御部200に報告する(SE5)。制御部200は、それに呼応して、ドアロックの開錠指示信号をECU500に送信する(SE6)。ECU500は、受信した開錠指示信号にしたがって、施錠部160に施錠装置のロックを開錠させる(SE7)。
【0091】
図34は、実施の形態に係る電子キーシステムにおけるドア施錠時の制御の一例を概略的に示す。
【0092】
図34に例示するように、エンジンが停止されており、且つすべてのドアが閉じた状態で、人間の手8によりドアハンドル4のボタンスイッチ7が押されると(SE1)、制御部200は、各発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520)にリクエスト信号を送信する(SE2)。発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520)は、受信したリクエスト信号に呼応して、車室内検知エリア11、車室外検知エリア13、荷室外検知エリア15、荷室内検知エリア17を形成し、電子キーに報告する(SE3)。電子キー3は、IDコードなどのデータを含む信号を車両1側に送信する(SE4)。制御部200は、電子キー3から送信された信号を、チューナ540を介して受信し、受信した信号に基いて、IDコードの照合を行う。制御部200は、IDコードを認証し、且つ電子キー3が車内にない(すなわち、車外にある)ことを確認すると、ドアロックの施錠指示信号をECU500に送信する(SE5)。ECU500は、受信した施錠指示信号にしたがって、施錠部160に施錠装置のロックを施錠させる(SE6)。
【0093】
(電子機器)
実施の形態に係るドア開閉装置に搭載した接触検知部120(静電スイッチコントローラ)は、
図23・
図24などに例示したホスト装置129のような様々な電子機器に適用可能である。すなわち、接触検知部120(静電スイッチコントローラ)は、構造が簡単で水(雨)にも強く(誤動作しない)、安価であり、しかも操作性の良好な静電式スイッチを使用するため、ドアノブ2やドアハンドル4に限らず、様々な電子機器に適用可能である。また、接触検知部120(静電スイッチコントローラ)の用途も、ドアなどの開閉などに限らず、様々な電子機器のスイッチやボタン、タッチパネルを操作して行う、様々な動作(指示や認証など)に用いることができる。例えば、接触検知部120(静電スイッチコントローラ)若しくは接触検知部120(静電スイッチコントローラ)と静電スイッチコントロールIC126は、銀行など金融機関のATM・自動販売機(特に鉄道駅やレストランなどの自動券売機)などの不特定多数が扱う公共性の高いものをはじめ、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、カメラ、携帯情報端末(PDA)、ディジタルオーディオプレーヤ、携帯ゲーム機、コピー機、ファックス、カーナビなどに適用可能である。また、マルチメディアステーション、アーケードゲーム、案内板、ハローワークの求人検索システム、外食レストランでの注文システム、自動精算機、自動投票機、図書館貸出システム、レジシステム、スコア計算システム、鉄道車両のモニタ装置、電子楽器などにも適用可能である。
【0094】
本実施形態によれば、静電スイッチにおける水分(雨)誤検知を防止すると共に、接触(近接)と押し圧(圧力)を同時に検知可能な静電スイッチコントローラおよびその制御方法、ドア開閉装置、および電子キーシステムを提供することができる。
【0095】
本実施形態によれば、静電方式の錠を有するドアノブ(室内外)、ドアハンドルにおいて、接触検知部による判定部分を条件により分割することで、水滴等による誤動作を防止する静電スイッチコントローラおよびその制御方法、ドア開閉装置、および電子キーシステムを提供することができる。
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0096】
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。