【実施例1】
【0013】
図1において、簡易水力発電装置1における水車函体2の、前後方向に貫通する導水路3内に、前後方向を向く横軸ロータ4のロータ軸6が、前後の軸受8、9で回転可能に支持されている。
【0014】
水車函体2は、方形の箱形で、導水路3は、導入口3Aから内部へかけて次第に左右側板2Cの幅が狭くなった後、その隘路3Bから排出口3Cへかけて、次第に側板2Cの幅が広くなるように形成され、後部は後端を側方へ開く後広部2Dとされ、その長さも長く形成されている。
これによって導水路3に入る流水は、後部が負圧となって、水圧の差によって流水は後方へ引かれ、高速で通過し横軸ロータ4の回転速度を高める。
【0015】
前記前部の軸受8は、水車函体2の上板2Aから垂直に配設された筒状の軸支持体10から凸設された支持腕7に、導水路3の上下の中央に位置するように固定されている。後部の軸受9は、軸支持体10の下端部に固定されている。
【0016】
後部の軸支持体10の内部には、伝動手段の伝動軸11が設けられ、伝動軸11とロータ軸6の後部には、それぞれ笠歯車からなる伝動手段11A、6Aが装着されて互いに噛合されている。
【0017】
上板2Aの上には発電機12が配設され、その後方へ突出する主軸13の後端部には、傘歯車からなる伝動手段13Aを介して、前記伝動軸11の上端に固定された傘歯車からなる伝動手段11Bが連結されている。発電機12及び軸支持体10は、水密保持可能な被蓋14で被覆されている。
【0018】
横軸ロータ4の揚力型ブレード5が、前記隘路3B部分に位置するように配置され、ロータ軸6の前部は、導水路3内に設けた前部の軸受8に支持され、ロータ軸6の後部は、後部の軸受9に、水平に支持されている。
【0019】
ロータ軸6には、横軸ロータ4が固定され、ハブ4Aの周面に固定された複数の揚力型ブレード5の先端部は、上流方向へ傾斜する傾斜部5Aとされている。
傾斜部5Aに当る水流は、後方へ向かって遠心方向へ移動しようとするように作用し、揚力型ブレード5を回転させる。
【0020】
図2に示すように、水車函体2の左右両側壁の前端には、上下方向のヒンジ15、15を介して、観音開き状に開閉可能な開閉導水板16、16が枢着されている。
開閉導水板16、16は、270度回転可能となっており、前面は、前方に凸出する湾曲面としてある。水車函体2の前口を左右から閉塞することもできる。
【0021】
図2において、水路17の幅が水車筐体2の幅よりも大であっても、図示のように、開閉導水板16、16の先端を水路17の壁面に当接するように拡げると、湾曲した前面により水路17の水を、水車筐体2の導水路3内に、効果的に導くことができる。
【0022】
この場合、水路17の水深が浅いときには、導水板16、16が堰板の役割を果たし、流水を堰止めて、水車筐体2内の水位を高くすることができる。
また、
図1に示すように、開閉導水板16、16の先端部の高さは、基部の高さより低くなっており、
図2のように開閉導水板16、16を拡げていると、流れて来る固形物等は、開閉導水板16、16の高さの低い先端部分へ移動して、下流方向に流れて行く。
【0023】
図4は、水路17の側壁頂部間に横架した支持板18に、螺合した吊支杆19を介して、水車函体2を吊設した状態を示す正面図である。吊支杆19は、水車函体2の前後2箇所を支持して安定を図っており、かつネジ切りして、上下動させるようになっている。
【0024】
上記のように構成された簡易水力発電装置1は、
図2に示す開閉導水板16、16を観音開き状に拡げた状態では、湾曲した導水板16に添って流れる水流は、コアンダ効果により、流速を高めて水車函体2の導入口3Aに案内されて、効果的に導水路3内に入る。
【0025】
導水路3内の水流は、導入口3Aの縦断面積から見て、相当に大きな縦断面積を有しているので、隘路3Bへかけて強い水流が生じ、隘路3Bを通過すると同時に、高速となって、水車函体2の排出口3Cから後方へ通過する。
【0026】
従って、水路17の水流よりも速い水流が、水車函体2と開閉導水板16によって生起されることとなり、狭い水路や、流れの緩やかな水路などにおいて、効率の良い発電をすることが出来る。
図2中の水車函体2の前部に、除塵具20を装着してある。