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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585920
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】鉄道車両用融雪装置
(51)【国際特許分類】
   B61K 3/00 20060101AFI20190919BHJP
   B61K 13/00 20060101ALI20190919BHJP
   B60S 3/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B61K3/00
   B61K13/00 Z
   B60S3/04
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-91066(P2015-91066)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-203914(P2016-203914A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年11月1日一般社団法人日本鉄道車両機械技術協会発行の「R&m 2014 第11号」の第22〜26頁にて、「秋田車両センター台車融雪装置E6系対応設備更新の概要」として公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤田 翔大
(72)【発明者】
【氏名】進藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】世永 保博
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−069563(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0183278(US,A1)
【文献】 特開平07−232621(JP,A)
【文献】 特開平06−123105(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/139763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61K 3/00
B61K 13/00
B61F 19/00
B61D 49/00
B60S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と前記台車の側方を覆う台車カバーとを有する鉄道車両に対して、液体を噴射し、前記台車に着いた雪を除去する鉄道車両用融雪装置であって、
前記台車の下方、かつ、前記鉄道車両が通過する2本の軌条に沿って設置され、液体が供給されるヘッダと、
前記ヘッダに接続されて液体を上方に噴射する複数の液体噴射ノズルとを備え、
前記ヘッダとして、前記2本の軌条の外方に設置される外ヘッダが設けられ、
前記外ヘッダには、前記複数の液体噴射ノズルの一部として、液体の噴射方向に垂直な2方向のうち第1の方向の拡散が第2の方向の拡散より大きくなるように液体を噴射する複数の扇型拡散ノズルが接続され、
前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、前記第1の方向が前記軌条と略平行な方向を向き、かつ、前記台車カバーと前記台車との間の空間の奥まで液体が届くように配置され
前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、前記台車カバーと前記台車との間の空間のうち前記台車側に液体が噴射されるように配置されている、
ことを特徴とする鉄道車両用融雪装置。
【請求項2】
台車と前記台車の側方を覆う台車カバーとを有する鉄道車両に対して、液体を噴射し、前記台車に着いた雪を除去する鉄道車両用融雪装置であって、
前記台車の下方、かつ、前記鉄道車両が通過する2本の軌条に沿って設置され、液体が供給されるヘッダと、
前記ヘッダに接続されて液体を上方に噴射する複数の液体噴射ノズルとを備え、
前記ヘッダとして、前記2本の軌条の外方に設置される外ヘッダが設けられ、
前記外ヘッダには、前記複数の液体噴射ノズルの一部として、液体の噴射方向に垂直な2方向のうち第1の方向の拡散が第2の方向の拡散より大きくなるように液体を噴射する複数の扇型拡散ノズルが接続され、
前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、前記第1の方向が前記軌条と略平行な方向を向き、かつ、前記台車カバーと前記台車との間の空間の奥まで液体が届くように配置され
前記ヘッダとして、2本の前記外ヘッダと、前記2本の軌条の内方に設置される2本の内ヘッダとが設けられている、
ことを特徴とする鉄道車両用融雪装置。
【請求項3】
前記内ヘッダには、前記複数の液体噴射ノズルの一部として、前記液体の噴射方向に垂直な2方向のうち第1の方向の拡散が第2の方向の拡散より大きくなるように液体を噴射する複数の扇型拡散ノズルが接続され、
前記内ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルの何れかは、前記第1の方向が前記軌条と平行な方向を向き、他の何れは、前記第1の方向が前記軌条と交差する方向を向く、
ことを特徴とする請求項記載の鉄道車両用融雪装置。
【請求項4】
前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、液体が前記台車カバーの内側面に噴射されるように傾斜して配置されている、
ことを特徴とする請求項記載の鉄道車両用融雪装置。
【請求項5】
前記複数の液体噴射ノズルは、液体の噴射パターンが異なる少なくとも2種類の液体噴射ノズルを含み、前記台車の部品配置に対応する位置および向きで、前記ヘッダに接続されている、
ことを特徴とする請求項記載の鉄道車両用融雪装置。
【請求項6】
台車と前記台車の側方を覆う台車カバーとを有する鉄道車両に対して、液体を噴射し、前記台車に着いた雪を除去する鉄道車両用融雪装置であって、
前記台車の下方、かつ、前記鉄道車両が通過する2本の軌条に沿って設置され、液体が供給されるヘッダと、
前記ヘッダに接続されて液体を上方に噴射する複数の液体噴射ノズルとを備え、
前記ヘッダとして、前記2本の軌条の外方に設置される外ヘッダが設けられ、
前記外ヘッダには、前記複数の液体噴射ノズルの一部として、液体の噴射方向に垂直な2方向のうち第1の方向の拡散が第2の方向の拡散より大きくなるように液体を噴射する複数の扇型拡散ノズルが接続され、
前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、前記第1の方向が前記軌条と略平行な方向を向き、かつ、前記台車カバーと前記台車との間の空間の奥まで液体が届くように配置され
前記複数の液体噴射ノズルの各々は、
液体を噴射する噴射口と、
液体を前記噴射口へ流す液体通路と、
前記液体通路の一部に設けられ、前記液体の流れにより負圧を生じる負圧室と、
空気を導入する空気導入口から、空気を前記負圧室へ導出する空気導出口まで、空気を流す空気通路と、
を備え、
前記空気導出口における前記空気通路の方向は、当該方向に沿って伸ばした仮想直線が、前記負圧室に隣接する前記液体通路の中心線に対してねじれの位置にあるように設定され、
前記空気通路は、前記空気導出口の上流から前記空気導出口にかけて前記液体通路の中心線に近づくように傾斜している、
ことを特徴とする鉄道車両用融雪装置。
【請求項7】
前記扇型拡散ノズルは、
液体を通す3つ以上の孔が、噴射端へ近づくにしたがって広がるように、同一の仮想平面上に放射状に並んで、或いは、スリット状に、前記噴射口が構成され、前記液体の噴射方向に垂直な2方向のうち、第1の方向の拡散が、第2の方向の拡散より、大きくなるように液体を噴射する、
ことを特徴とする請求項記載の鉄道車両用融雪装置。
【請求項8】
前記複数の液体噴射ノズルの何れかは、
噴射方向に見て略等方的に液体を噴射する直進ノズルである、
ことを特徴とする請求項または請求項に記載の鉄道車両用融雪装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射して鉄道車両の台車に着いた雪を除去する鉄道車両用融雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪地を走る鉄道車両は、台車のメンテナンスの際に、台車に着いた雪を除去する必要がある。従来、鉄道車両の台車に着いた雪を除去する融雪装置は、台車の側方にカバーのない車両を対象としていたため、台車の横方向から台車の上部に温水等の液体を噴射して雪を除去するのが一般的であった(例えば特許文献1を参照)。このような融雪装置は、液体噴射ノズルを使用して液体の噴射を行う。
また、従来、液体噴射ノズルについての様々な開発が行われている。例えば、特許文献2では、半田付けのフラックスを塗布するためのノズルにおいて、フラックスの通路の内壁に沿って空気をらせん状に噴出させることで、フラックスを平行流として噴射させる提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−068686号公報
【特許文献2】特開2015−032641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、鉄道車両の高速化に伴う騒音対策などにより、台車の側方を台車カバーで覆った鉄道車両が登場している。このような鉄道車両の融雪を行う場合、台車カバーが邪魔となり、台車の横方向から液体を噴射して、台車の雪を除去することは難しい。
また、鉄道車両の台車に着いた雪を除去する融雪装置においては、使用する温水量に対して効率的に雪の除去を行うことが求められる。積雪地では雪を除去する必要のある鉄道車両が多く、温水の生成に大きなエネルギーを要するからである。
本発明は、台車カバーを有する鉄道車両に着いた雪を、効率的に除去することのできる鉄道車両用融雪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の鉄道車両用融雪装置は、上記目的を達成するために、
台車と前記台車の側方を覆う台車カバーとを有する鉄道車両に対して、液体を噴射し、前記台車に着いた雪を除去する鉄道車両用融雪装置であって、
前記台車の下方、かつ、前記鉄道車両が通過する2本の軌条に沿って設置され、液体が供給されるヘッダと、
前記ヘッダに接続されて液体を上方に噴射する複数の液体噴射ノズルとを備え、
前記ヘッダとして、前記2本の軌条の外方に設置される外ヘッダが設けられ、
前記外ヘッダには、前記複数の液体噴射ノズルの一部として、液体の噴射方向に垂直な2方向のうち第1の方向の拡散が第2の方向の拡散より大きくなるように液体を噴射する複数の扇型拡散ノズルが接続され、
前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、前記第1の方向が前記軌条と略平行な方向を向き、かつ、前記台車カバーと前記台車との間の空間の奥まで液体が届くように配置されている。
この構成によれば、台車と台車カバーとの間に溜まった雪を、軌条と平行な方向に大きく拡散する液体の噴射により、効率的に除去することができる。よって、台車カバーを有する鉄道車両に着いた雪を効率的に除去することができる。
【0006】
好ましくは、前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、液体が前記台車カバーの内側面に噴射されるように傾斜して配置されているとよい。
この構成によれば、台車と台車カバーとの間に溜まった雪ダマリを、全て溶かして除去するのではなく、主に、雪ダマリの台車カバーに沿った部分を溶かし、残りの部分をそぎ落とすように雪を除去することができる。よって、台車カバーを有する鉄道車両に着いた雪を効率的に除去することができる。
また好ましくは、前記外ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルは、前記台車カバーと前記台車との間の空間のうち前記台車側に液体が噴射されるように配置されているとよい。
この構成によれば、台車と台車カバーとの間に溜まった雪ダマリを、全て溶かして除去するのではなく、主に、雪ダマリの台車に沿った部分を溶かし、残りの部分をそぎ落とすように雪を除去することができる。よって、台車カバーを有する鉄道車両に着いた雪を効率的に除去することができる。
【0007】
さらに好ましくは、前記複数の液体噴射ノズルは、液体の噴射パターンが異なる少なくとも2種類の液体噴射ノズルを含み、前記台車の部品配置に対応する位置および向きで、前記ヘッダに接続されているとよい。
この構成によれば、台車の下部において部品配置により異なる着き方をした雪を、少なくとも2種類の液体噴射ノズルにより下方から液体を噴射して、効率的に除去することができる。
また好ましくは、前記ヘッダとして、2本の前記外ヘッダと、前記2本の軌条の内方に設置される2本の内ヘッダとが設けられているとよい。
この構成によれば、台車カバーを有する鉄道車両の台車に溜まる雪を除去するのに、効率的な液体噴射ノズルの配置を実現できる。
【0008】
さらに好ましくは、前記内ヘッダには、前記複数の液体噴射ノズルの一部として、前記液体の噴射方向に垂直な2方向のうち第1の方向の拡散が第2の方向の拡散より大きくなるように液体を噴射する複数の扇型拡散ノズルが接続され、
前記内ヘッダに接続された前記複数の扇型拡散ノズルの何れかは、前記第1の方向が前記軌条と平行な方向を向き、他の何れは、前記第1の方向が前記軌条と交差する方向を向くように構成されているとよい。
この構成によれば、台車カバーを有する鉄道車両において台車の中央寄りに溜まる雪黙りを、部品配置に応じてそぎ落とすように除去することができる。よって、効率的に雪を除去できる。
【0009】
さらに好ましくは、
前記複数の液体噴射ノズルの各々は、
液体を噴射する噴射口と、
液体を前記噴射口へ流す液体通路と、
前記液体通路の一部に設けられ、前記液体の流れにより負圧を生じる負圧室と、
空気を導入する空気導入口から、空気を前記負圧室へ導出する空気導出口まで、空気を流す空気通路と、
を備え、
前記導出口における前記空気通路の方向は、当該方向に沿って伸ばした仮想直線が、前記負圧室に隣接する前記液体通路の中心線に対してねじれの位置にあるように設定され、
前記空気通路は、前記導出口の上流から前記導出口にかけて前記液体通路の中心線に近づくように傾斜しているとよい。
この構成によれば、液体噴射ノズルから噴射される液体の圧力を少ない液量で高め、かつ、液体の噴射方向または噴射範囲を搖動できる。これにより、効率的に鉄道車両の台車に着いた雪を除去できる。
【0010】
また好ましくは、前記扇型拡散ノズルは、
液体を通す3つ以上の孔が、噴射端へ近づくにしたがって広がるように、同一の仮想平面上に放射状に並んで、或いは、スリット状に、前記噴射口が構成され、前記液体の噴射方向に垂直な2方向のうち、第1の方向の拡散が、第2の方向の拡散より、大きくなるように液体を噴射する構成とするとよい。
この構成によれば、扇型拡散ノズルにより、第1の方向に広がった液体の噴射ができるので、雪ダマリの片側を溶かして、残りの雪をそぎ落とす場合に、効率的に液体を噴射できる。
また好ましくは、前記複数の液体噴射ノズルの何れかは、
噴射方向に見て略等方的に液体を噴射する直進ノズルであるとよい。
この構成によれば、直進ノズルにより、雪ダマリの一部を溶かす場合に、効率的に液体を噴射できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、台車カバーを有する鉄道車両に着いた雪を、効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る鉄道車両用融雪装置を示す構成図である。
図2】ノズルユニットの配置を示す平面図である。
図3】外ノズルユニットを示すもので、(a)は平面図、(b)はノズル先端の拡大図、(c)は側面図である。
図4】内ノズルユニットを示すもので、(a)は平面図、(b)はノズル先端の拡大図、(c)は側面図である。
図5】扇型拡散ノズルの詳細を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は切断面を90度異ならせた先端部分の縦断面図、(c)は(a)のA−A線の位置の横断面図である。
図6】直進ノズルの詳細を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A線の位置の横断面図である。
図7】融雪処理中の台車と内ノズルユニットおよび外ノズルユニットと示す平面図である。
図8】融雪処理中の台車と内ノズルユニットおよび外ノズルユニットとを示す正面図である。
図9】(a)は融雪処理中の台車と外ノズルユニットとを示す側面図、(b)は融雪処理中の台車と内ノズルユニットとを示す側面図である。
図10】外ノズルユニットの扇型拡散ノズルの作用を説明する図である。
図11】外ノズルユニットの扇型拡散ノズルの配置の第1変形例と作用とを説明する図である。
図12】外ノズルユニットの扇型拡散ノズルの配置の第2変形例と作用とを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る鉄道車両用融雪装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る鉄道車両用融雪装置を示す構成図である。
本実施の形態の鉄道車両用融雪装置1は、温水を噴射する複数のノズルユニット2と、温水を溜めてノズルユニット2へ送る温水供給設備3と、を有する。
温水供給設備3は、特に制限されるものでないが、温水槽51、ポンプ52、ボイラ53、第1ろ過装置54、油水分離槽55、第2ろ過装置56、ろ過水槽57、排水桝58、受け桝59、および、ポンプ61,62,63を備えている。
【0014】
温水槽51は、ノズルユニット2へ供給される温水を溜める容器である。ポンプ52は、温水を温水槽51からノズルユニット2へ圧送する装置である。ボイラ53は、蒸気を温水槽51へ供給して温水槽51の水を温める装置である。第1ろ過装置54は、工業用水をろ過して温水槽51へ水を供給するための装置である。油水分離槽55と第2ろ過装置56とろ過水槽57とは、融雪に使用した後の水を油と分離しかつろ過することで再利用可能な水を生成するための設備である。受け桝59は、ノズルユニット2の近傍で融雪に使用して水を溜める容器である。排水桝58は、油水分離槽55の排水を溜めて排出する容器である。ポンプ61,62,63は、各部の水を圧送するための装置である。
【0015】
なお、温水槽51は、必要量の温水をノズルユニット2へ圧送できる構成であれば、どのような構成としてもよい。
図2は、ノズルユニットの配置を示す平面図である。図3は、外ノズルユニットを示すもので、(a)は平面図、(b)はノズル先端の拡大図、(c)は側面図である。図4は、内ノズルユニットを示すもので、(a)は平面図、(b)はノズル先端の拡大図、(c)は側面図である。
図2に示すように、ノズルユニット2は、鉄道車両の台車が通過する2本の軌条Sの内方と外方とに、軌条Sと略平行に配置される。以下、2本の軌条Sの外方に配置されるノズルユニット2を、外ノズルユニット2Aと記し、2本の軌条Sの内方に配置されるノズルユニット2を、内ノズルユニット2Bと記す。2本の外ノズルユニット2Aは、2本の軌条Sの左外方と右外方とに、それぞれ設置される。2本の内ノズルユニット2Bは、2本の軌条Sの内方、かつ、2本の軌条Sの中央より左方と右方とに、それぞれ配置される。ここで、左右とは、鉄道車両を正面に見たときの左右を意味している。
1台の鉄道車両に台車に対して、2本の外ノズルユニット2Aと2本の内ノズルユニット2Bとが、1組となって融雪処理を行う。鉄道車両用融雪装置1には、複数組の2本の外ノズルユニット2Aと2本の内ノズルユニット2Bとが設けられていてもよい。
【0016】
図3(a)−(c)に示すように、外ノズルユニット2Aは、外ヘッダ11と、複数の扇型拡散ノズル14と、複数の直進ノズル15とを備えている。扇型拡散ノズル14と直進ノズル15とは、本発明に係る液体噴射ノズルの一例に相当する。
外ヘッダ11は、一方に長い配管であり、温水供給設備3から圧送された温水が内部に供給され、扇型拡散ノズル14と直進ノズル15とに温水を送る。
扇型拡散ノズル14は、温水の噴射方向に直交する2方向のうち第1方向の拡散が第2方向の拡散より大きい扇型の噴射パターンで温水の噴射を行う。拡散が最も大きい方向を第1の方向とし、拡散が最も少ない方向を第2の方向と呼んでいる。図3(b)に示すように、扇型拡散ノズル14の先端には、一方向に噴射の拡散範囲が大きくなるように、複数の孔が一列に並んだ或いはスリット状の噴射口146を有している。扇型拡散ノズル14の先端を正面に見たときの噴射口146の長手方向が、噴射の拡散が大きくなる第1の方向に相当する。
【0017】
扇型拡散ノズル14は、温水に空気を混入して噴射する構造を有する。これにより少ない温水を高い圧力で噴射でき、また、温水の噴射方向および噴射範囲を搖動させることができる。扇型拡散ノズル14の詳細な構造については後述する。
外ヘッダ11の複数の扇型拡散ノズル14は、図3(c)に示すように、外ヘッダ11の長手方向の複数の箇所に間隔を開けて固定されている。図3(b)に示すように、外ヘッダの扇型拡散ノズル14は、噴射口146の長手方向が、軌条と略平行になる向きに固定されている。
【0018】
さらに、外ヘッダの複数の扇型拡散ノズル14は、図3(a)に示すように、傾斜して固定されている。左方の外ヘッダ11の扇型拡散ノズル14は、上部が左方に倒れる方向に傾斜する。右方の外ヘッダ11の扇型拡散ノズル14は、上部が右方に倒れる方向に傾斜する。左右は、鉄道車両を正面に見たときの左右を意味する。これらの傾斜は、本実施の形態においては、扇型拡散ノズル14による温水の噴射方向が、台車カバーの内側面へ向くように調整されている。
直進ノズル15は、噴射方向に見て、略等方的に温水が拡散するような噴射パターンで温水を噴射する。この噴射パターンには、例えば、一直線に温水を噴射するパターン、等方的に温水が広がる噴射パターン、または、温水の噴射方向が回転方向に変化するなど等方的に変化するパターン(図6を参照)などが含まれる。直進ノズル15の詳細な構造については後述する。
【0019】
外ヘッダ11の複数の直進ノズル15は、図3(c)に示すように、外ヘッダ11の前端寄りの部分と、後端寄りの部分とに、それぞれ設けられている。ここで、前後は、鉄道車両の正面に見たときの前後を意味する。
外ヘッダ11の複数の直進ノズル15は、図3(a)および図3(c)に示すように、傾斜して固定されている。左方の外ヘッダ11の前端寄りの直進ノズル15は、上部が左方かつ前方に倒れる方向に傾斜している。左方の外ヘッダ11の後端寄りの直進ノズル15は、上部が左方かつ後方に倒れる方向に傾斜している。また、右方の外ヘッダ11の前端寄りの直進ノズル15は、上部が右方かつ前方に倒れる方向に傾斜している。右方の外ヘッダ11の後端寄りの直進ノズル15は、上部が右方かつ後方に倒れる方向に傾斜している。これらの傾斜は、直進ノズル15による温水の噴射方向が、台車の四隅の内面側を向くように調整されている。
【0020】
図4(a)−(c)に示すように、内ノズルユニット2Bは、内ヘッダ12と、複数の扇型拡散ノズル14と、1個の直進ノズル15とを備えている。なお、直進ノズル15は、複数設けられていてもよい。
内ヘッダ12は、一方に長い配管であり、温水供給設備3から圧送された温水が内部に供給され、扇型拡散ノズル14と直進ノズル15とに温水を送る。
内ヘッダ12に接続される扇型拡散ノズル14は、外ヘッダ11の扇型拡散ノズル14と同一形態であり、同一の拡散パターンで温水の噴射を行う。なお、内ヘッダ12と外ヘッダ11とで、別形態の扇型拡散ノズル14を設け、例えば温水の拡散の大きさを互いに異ならせてもよい。
【0021】
内ヘッダ12の複数の扇型拡散ノズル14は、内ヘッダ12の長手方向の複数の箇所に固定されている。また、図4(b)に示すように、内ヘッダ12の複数の扇型拡散ノズル14の何れかは、噴射口146の長手方向が軌条と略平行になる向きに固定され、他の何れかは、噴射口146の長手方向が軌条と交差(略直交)する向きに固定される。また、図4(a)に示すように、内ヘッダ12の扇型拡散ノズル14の何れかは、傾斜して固定されてもよい。図4の例では、2個の扇型拡散ノズル14が、傾斜して固定されている。扇型拡散ノズル14の固定される箇所、向きおよび傾斜角度は、台車の部品配置に応じて設定される。例えば、台車の部品配置に応じて雪が溜まりやすい箇所に対して、雪ダマリの側方に温水を噴射して、残りの雪をそぎ落とすように、扇型拡散ノズル14の固定される箇所、向き、および、傾斜角度を設定するとよい。あるいは、メンテナンスのために雪をより多く除去する必要のある箇所に直接に温水がかかるように、扇型拡散ノズル14の固定される箇所、向き、および、傾斜角度を設定してもよい。
【0022】
内ヘッダ12に接続される直進ノズル15は、外ヘッダ11の直進ノズル15と同一形態であり、同一の拡散パターンで温水の噴射を行う。なお、内ヘッダ12と外ヘッダ11とで別形態の直進ノズル15を設け、例えば温水の拡散の大きさを互いに異ならせてもよい。
内ヘッダの直進ノズル15は、内ヘッダ12の長手方向の中央の箇所に固定されている。内ヘッダ12の直進ノズル15は、傾斜せずに固定されている。内ヘッダの直進ノズル15は、例えば、台車100の空気バネ装置102(図7を参照)の箇所に着く雪ダマリに、直接に温水がかかるように、固定位置と傾斜角度とが設定されている。
【0023】
<扇型拡散ノズル>
図5は、扇型拡散ノズルの詳細を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は切断面を90度異ならせた先端部分の縦断面図、(c)は(a)のA−A線の位置の横断面図である。
扇型拡散ノズル14は、図5に示すように、温水導入通路141と、負圧室142と、空気通路143と、噴射前通路145と、噴射口146とを備えている。
温水導入通路141は、外ヘッダ11または内ヘッダ12に圧送された温水が通過する通路である。温水導入通路141は、例えば、断面円形で略同一径の真っ直ぐな通路とすればよい。温水導入通路141の下流端には、負圧室142が連通される。ここで、上流と下流とは、温水の流れに沿った上流と下流とを意味する。
【0024】
負圧室142は、中央を温水が通り、温水の周囲に負圧を生成する空間である。負圧室142の上流側は、温水導入通路141より広い幅を有し、空気通路143の一端が連通している。負圧室142は、例えば断面が略円形であり、空気通路143の一端は負圧室142の上流端に設けるとよい。負圧室142の下流側は、温水導入通路141の径より僅かに大きい径の通路を有し、空気と温水とを混合して導出する。負圧室142の下流端は噴射前通路145に連通する。
【0025】
空気通路143は、扇型拡散ノズル14の外部から負圧室142へ空気を導く通路である。空気通路143の一端は、扇型拡散ノズル14の外部に開口して空気導入口143aを構成する。空気通路143の他端は、負圧室142に開口して空気導出口143bを構成する。空気導出口143bにおける空気通路143の方向は、この方向に伸ばした仮想直線と、流れる温水の中心線とがねじれの位置にあるよう設定される(図5(c)を参照)。加えて、空気通路143は、空気導出口143bの上流から空気導出口143bに近づくにしたがって、流れる温水に近づくように傾斜して構成される。さらに、空気通路143は、空気導出口143bの空気の流れ方向と、温水の流れ方向との成す角度が、鋭角になるように構成されるとよい。このような構成により、負圧室142に導入される空気は、負圧室142で螺旋状に流れて、温水と混合する際に、温水に回転方向の動きを生じさせる。
【0026】
噴射前通路145は、負圧室142の下流端の幅より広い幅を有し、大きな抵抗を付加することなく温水と空気との混合体を噴射口146まで通す。
噴射口146は、図5(a)と図5(b)とに示すように、5個の孔が、放射端に進むほど広がるように、図5(b)の平面上で放射状に設けられている。なお、噴射口146は、一方向に長いスリット状としてもよい。
このような扇型拡散ノズル14によれば、高圧の温水を温水導入通路141に供給することで、噴射方向に垂直な2つの方向V1、V2のうち、方向V2の拡散が、方向V1の拡散より大きくなるように、扇状の噴射パターンで温水が噴射される。
【0027】
さらに、空気通路143による螺旋状に導入される空気により、まず、負圧室142から導出される温水と空気との混合体には、回転方向の動きが生じる。そして、回転方向に動く混合体が噴射口146を介して噴射されることで、図5(a)に示すように、方向V1に搖動する混合体の噴射が得られる。さらに、温水と空気との混合体の回転方向の動きにより、図5(b)に示すように、方向V2の温水の拡散を増大できる。
【0028】
<直進ノズル>
図6は、直進ノズルを示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A線の位置の横断面図である。
直進ノズル15は、温水導入通路151と、負圧室152と、第1の空気通路153と、第2の空気通路154と、噴射前通路155と、噴射口156とを有する。
温水導入通路151と負圧室152と第1の空気通路153とは、扇型拡散ノズル14の温水導入通路141と負圧室142と空気通路143と、同様の構成である。
噴射前通路155は、負圧室142の下流端の幅より広い幅を有し、大きな抵抗を付加することなく温水と空気との混合体を噴射口156まで通す。噴射前通路155には、第2の空気通路154が連通している。
【0029】
このような直進ノズル15によれば、扇型拡散ノズル14と同様に、負圧室152から導出された温水と空気との混合体には、回転方向の動きが生じる。さらに、噴射前通路155において、さらに空気が混合されて高圧になった混合体が噴射口156から噴射される。これにより、図6(a)に示すように、直進ノズル15からは、円錐の側面に沿って回転方向V3に回転するような温水と空気との混合体の噴射が得られる。横方向からは、温水と空気との混合体が搖動して噴射しているように見える。
【0030】
<融雪処理>
図7は、融雪処理中の台車と内ノズルユニットおよび外ノズルユニットと示す平面図である。図8は、融雪処理中の台車と内ノズルユニットおよび外ノズルユニットとを示す正面図である。図9(a)は、融雪処理中の台車と外ノズルユニットとを示す側面図、図9(b)は融雪処理中の台車と内ノズルユニットとを示す側面図である。図10は、外ノズルユニットの扇型拡散ノズルの作用を説明する図である。
【0031】
図7図9(a)に示すように、積雪地を走る鉄道車両の台車100においては、台車100の四隅101と、空気バネ装置102の周辺とに、着雪して、雪ダマリF1、F2が生じやすい。台車100は、軌条S(図8)にガイドされる車輪104と、鉄道車両の車体の振動を吸収する空気バネ装置102とを備えている。空気バネ装置102は、鉄道車両の前後方向の中央、かつ、鉄道車両の幅方向の端寄りに設けられている。
【0032】
さらに、台車カバー103を有する台車100は、図8に示すように、台車100と台車カバー103との間に、着雪し、雪ダマリF3が生じやすい。さらに、図9(b)に示すように、台車100の下部全面、または、台車100の上部全面に着雪して、雪ダマリF4、F5が生じることがある。
四隅の雪ダマリF1に対しては、主に、左右の外ノズルユニット2Aの前端側および後端側に配置された4つの直進ノズル15が対処する。これらの直進ノズル15は、回転方向に搖動する温水を、直接に雪ダマリF1の全体に当てて雪ダマリF1を除去する。あるいは、これらの直進ノズル15は、台車100の四隅101の内側面、或いは、雪ダマリF1の周囲に温水を当てて、雪ダマリF1をそぎ落してもよい。
【0033】
空気バネ装置102の周辺の雪ダマリF2に対しては、主に、左右の内ノズルユニット2Bの中央の直進ノズル15が対処する。これらの直進ノズル15は、回転方向に搖動する温水を、直接に雪ダマリF2に当てて雪ダマリF2を除去する。あるいは、直進ノズル15は、雪ダマリF2の片側に温水を当てて、温水を台車100の上部まで通し、そこから温水が横方向に移動することで、雪ダマリF2の上部に温水を流して、雪ダマリF2をそぎ落とすように除去してもよい。
【0034】
台車100と台車カバー103との間の雪ダマリF3に対しては、主に、左右の外ノズルユニット2Aに含まれる複数の扇型拡散ノズル14が対処する。図10の黒線矢印に示すように、これらの扇型拡散ノズル14は、軌条Sに平行な方向に大きく拡散した温水を、台車カバー103の内側面に沿うように流すことができる。台車カバー103の下方が内側に傾斜している場合でも、扇型拡散ノズル14の傾斜により、扇型拡散ノズル14は、台車カバー103の内側面に沿うように温水を噴射することができる。これにより、雪ダマリF3の台車カバー103側が解け、かつ、雪ダマリF3が水分を吸収し、重くなることで、雪ダマリF3がそぎ落とされる。
【0035】
台車100の下部全面または上部全面の雪ダマリF4、F5に対しては、主に、左右の内ノズルユニット2Bに含まれる複数の扇型拡散ノズル14が対処する。これらの扇型拡散ノズル14は、軌条Sに平行な方向に大きく拡散した温水と、軌条Sに交差する方向に大きく拡散した温水とによって、雪ダマリF4、F5に縦横に切れ目を入れるように、雪ダマリF4、F5を部分的に溶かす。さらに、これらの扇型拡散ノズル14は、雪ダマリF4、F5に水分を含ませて重くして、雪ダマリF4、F5をそぎ落とす。さらに、これらの扇型拡散ノズル14は、温水を台車100の上部まで通し、そこから温水が横方向に移動することで、雪ダマリF5の上部に温水を流して雪ダマリF4、F5をそぎ落すようにしてもよい。
【0036】
<第1変形例>
次に、外ノズルユニット2Aの複数の扇型拡散ノズル14の配置と作用との変形例を説明する。
図11は、外ノズルユニットの扇型拡散ノズルの配置の第1変形例と作用とを説明する図である。
第1変形例は、外ノズルユニット2Aの扇型拡散ノズル14を傾斜なく固定し、かつ、台車100と台車カバー103との間の空間のうち、台車側の縁に沿って温水を噴射するように配置した例である。第1変形例の外ノズルユニット2Aの扇型拡散ノズル14は、上記の実施の形態と同様に、拡散が大きくなる第1方向が軌条と平行な方向を向いている。
【0037】
扇型拡散ノズル14は、このような配置により、台車100と台車カバー103の間の空間に着雪した雪ダマリF3に対して、軌条Sに平行な方向に大きく拡散した温水を、雪ダマリF3の台車100の側の側部に沿うように流すことができる。図11に黒線矢印により温水の流れを示している。これにより、雪ダマリF3の台車100の側を溶かし、温水を台車100の上部まで通し、そこから、温水が台車カバー103の横方向へ移動することで、雪ダマリF3の上部に温水を流して、雪ダマリF3をそぎ落とすことができる。
【0038】
<第2変形例>
図12は、外ノズルユニットの扇型拡散ノズルの配置の第2変形例と作用とを説明する図である。
第2変形例は、外ノズルユニット2Aの扇型拡散ノズル14を、台車100と台車カバー103との間の空間の奥まで温水が届くように配置した例である。ここで、空間の奥とは、台車100と台車カバー103の間の空間E1において、台車カバー103の下端L0から台車の天井L1までの高さの半分より上方の部分を意味する。
このような配置によれば、図12に示すように、台車100と台車カバー103の間の空間に着雪した雪ダマリF3に対して、軌条Sに平行な方向に大きく拡散した温水を、雪ダマリF3に多く当てて、雪ダマリF3を効率的に除去することができる。例えば台車100と台車カバー103との間の空間が狭くて、雪ダマリF3の全体を溶かす必要がある場合に、この構成は有用である。
【0039】
以上のように、上記の実施の形態の鉄道車両用融雪装置1によれば、台車100と台車カバー103との間に溜まった雪ダマリF3を、軌条と平行な方向に大きく拡散する温水の噴射により、効率的に除去することができる。よって、台車カバー103を有する鉄道車両に着いた雪を効率的に除去することができる。
また、上記の実施の形態の鉄道車両用融雪装置1によれば、2本の外ノズルユニット2Aと2本の内ノズルユニット2Bとを有している。加えて、台車の部品配置に対応して、2種類のノズル(扇型拡散ノズル14および直進ノズル15)が、外ノズルユニット2Aと内ノズルユニット2Bとに配置されている。これらによって、台車100の部品配置によって着雪しやすい部分の雪ダマリを効率的に除去することができる。
【0040】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、噴射する液体は、温水に制限されない。また、扇型拡散ノズル14と直進ノズル15として、空気を螺旋状に混入させる形式のノズルを例にとって説明したが、螺旋状でなく、流れる温水に向けて空気が混入される形態としたり、等方的に空気が混入される形態としたり、或いは、空気の混入のない形態としたりしてもよい。その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 鉄道車両用融雪装置
2 ノズルユニット
2A 外ノズルユニット
2B 内ノズルユニット
3 温水供給設備
11 外ヘッダ
12 内ヘッダ
14 扇型拡散ノズル
15 直進ノズル
100 鉄道車両の台車
102 空気バネ装置
103 台車カバー
141 温水導入通路
142 負圧室
143 空気通路
146 噴射孔
151 温水導入通路
152 負圧室
153 第1空気通路
154 第2空気通路
156 噴射孔
F1〜F5 雪ダマリ
S 軌条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12