特許第6585924号(P6585924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585924電流値送信機、電流値受信機及びこれらを備えた電流値検出ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585924
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電流値送信機、電流値受信機及びこれらを備えた電流値検出ユニット
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20190919BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20190919BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   G08C17/00 A
   G08C19/00 T
   G01D7/00 303A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-103255(P2015-103255)
(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公開番号】特開2016-218763(P2016-218763A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】591222153
【氏名又は名称】サンテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 基
(72)【発明者】
【氏名】大村 和弘
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−234990(JP,A)
【文献】 特開2005−174595(JP,A)
【文献】 特開2010−230670(JP,A)
【文献】 国際公開第02/086641(WO,A1)
【文献】 特開2000−062420(JP,A)
【文献】 特開2007−148064(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0076838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00−25/04
G01R 15/00−17/22
G01R 19/00−19/32
G01D 7/00− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と接続される第一端子と、
電気製品と接続される第二端子と、
前記第一端子と前記第二端子との間の電気の流れに起因する磁界の変化に基づき電流値を計測する電流計測部と、
前記電流計測部で計測した電流値をデジタル信号に変換して無線送信する送信部と、
前記送信部からの無線送信を制御する送信機制御部と、
を備え、
前記電流計測部、前記送信部及び前記送信機制御部は、樹脂で密封されていることを特徴とする、
電流値送信機。
【請求項2】
前記第一端子、前記第二端子及び前記電流計測部は、金属板を介して電気的に接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載の電流値送信機。
【請求項3】
前記第二端子は、複数であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電流値送信機。
【請求項4】
前記送信機制御部は、前記デジタル信号を無線送信する際、前記デジタル信号の送信間隔が、直前の前記デジタル信号の送信間隔と異なる間隔で無線送信するように前記送信部を制御することを特徴とする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電流値送信機。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電流値送信機から送信された前記デジタル信号を受信し、電流値に復号する受信部と、
前記受信部で受信した電流値を表示する表示部と、
周囲の明るさを検出する光検出部と、
前記光検出部で検出した明るさに基づいて前記表示部の光度を変更する受信機制御部と、
を備えたことを特徴とする、
電流値受信機。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の前記電流値送信機と、
請求項5に記載の前記電流値受信機と、
を備えたことを特徴とする、
電流値検出ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流値送信機、電流値受信機及びこれらを備えた電流値検出ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線通信を利用して計測した電流値及び電圧値を、計測場所から離れた位置に表示する車載バッテリーチェッカーが知られている。例えば、特許文献1には、車に搭載のバッテリーの電圧値及び電流値を計測する計測手段と、該計測手段が計測した計測データで搬送波信号を変調する変調手段と、該変調手段が変調した前記搬送波信号を無線送信する送信手段と、該送信手段が送信した前記搬送波信号を受信する受信手段と、該復調手段が復調して得られた前記計測データに基づいて前記電圧値及び電流値を表示する表示手段とを備えて構成することにより、たとえばスターターキーを操作しているスターター起動時の車に搭載中のバッテリーの電圧・電流計測を容易にした車載バッテリーチェッカーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−170615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした車載バッテリーチェッカーでは、電流値を計測する際にシャント抵抗を用いているため、計測装置が大型化するという課題がある。また、この電流値を計測する際に発熱するため、電流値が熱に影響される可能性があるという課題がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、熱の発生を抑え、離れた場所に電流値を報知することができる小型の電流値送信機を提供することを主目的とする。また、この電流値送信機から送信された電流値を受信する電流値受信機及びこれらを備えた電流値検出ユニットを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的の少なくとも1つを達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電流値送信機は、
蓄電池と接続される第一端子と、
電気製品と接続される第二端子と、
前記第一端子と前記第二端子との間の電気の流れに起因する磁界の変化に基づき電流値を計測する電流計測部と、
前記電流計測部で計測した電流値をデジタル信号に変換して無線送信する送信部と、
前記送信部からの無線送信を制御する送信機制御部と、
を備え、
前記電流計測部、前記送信部及び前記送信機制御部は、樹脂で密封されていることを特徴とするものである。
【0008】
この電流値送信機は、第一端子を蓄電池に、第二端子を電気製品にそれぞれ接続することで、第一端子と第二端子との間に流れる電気の流れに起因する磁界の変化に基づき電流計測部で電流値を計測し、送信部でデジタル信号に変換し、無線送信する。このように、磁界の変化に基づいて電流値を計測することで、シャント抵抗等を用いること無く電流値を計測することができるため、電流値を計測する際の測定装置を小型化することができる。また、この方式で電流値を計測することにより、電流計測部の発熱を未然に低減することができる。
【0009】
このとき、本発明の電流値送信機は、前記電流計測部、前記変換部、前記送信部及び前記送信機制御部は、樹脂で密封されていることを特徴とする。計測の際の発熱量を抑えることで、放熱機能を持たせる必要が無いため、樹脂で密封することができる。こうすることで、高い防水性を備え、外部からの水滴等により故障や誤作動する可能性を未然に低減することができる。
【0010】
更に、本発明の電流値送信機において、前記接続端子と前記電流計測部とは、金属板を介して電気的に接続されていることを特徴としてもよい。こうすることにより、接続部と電流計測部との間を流れる電流量を増大させることができるため、高電流が流れる際に生じる熱の発生を未然に低減することができる。このとき用いられる金属板としては、例えば、銅板や鉄板等、電気伝導性が高い板が好ましい。電気伝導性の高い板を用いることで、高電流が流れた場合であっても、発生する熱を低減することができる。
【0011】
更にまた、本発明の電流値送信機において、前記正極端子又は負極端子の少なくとも一方の端子は、複数であることを特徴としてもよい。こうすれば、蓄電池に複数の機器を接続する際、一つの接続端子に接続される接続線の数を低減することができる。付言すると、例えば、キャンピングカーに積載された蓄電池のように、複数の電機機器に接続して使用される蓄電池の電流値を計測する際、蓄電池の端子に接続される接続線の数を低減することができるため、利便性を向上することができる。
【0012】
そして、本発明の電流値送信機において、前記送信機制御部は、前記デジタル信号を無線送信する際、前記デジタル信号の送信間隔が、直前の前記デジタル信号の送信間隔と異なる間隔で無線送信するように前記送信部を制御することを特徴としてもよい。こうすれば、無線送信が可能な範囲内で複数の電流値送信機が使用された場合であっても、最初に無線送信を始めたタイミングによってデジタル信号の送信間隔が異なるため、無線電波が干渉する可能性を未然に低減することができる。加えて、仮に無線電波が干渉したとしても、最初に無線送信を始めたタイミングによってデジタル信号の送信間隔が異なるため、デジタル信号の送信のタイミングが変わることで、自動的に無線電波の干渉を解消することができる。
【0013】
本発明の電流値受信機は、
上述したいずれかに記載の電流値送信機から送信された前記デジタル信号を受信し、電流値に復号する受信部と、
前記複号部で復号した電流値を表示する表示部と、
周囲の明るさを検出する光検出部と、
前記光検出部で検出した明るさに基づいて前記表示部の光度を変更する受信機制御部と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
この電流値受信機は、上述したいずれかの電流値送信機から送信されたデジタル信号を受信して表示するため、上述したいずれかの電流値送信機の有する効果、例えば、発熱を抑え小型化することができるという効果を得ることができる。加えて、このデジタル電流値受信機は、周囲の明るさを検出する光検出部を備え、光検出部で検出した明るさに基づいて電流値を表示するため、電流値を視認しやすい。
【0015】
本発明の電流値検出ユニットは、
前記電流値送信機と、
前記電流値受信機と、
を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
この電流値受信機は、上述したいずれかの電流値送信機及び電流値受信機を備えているため、上述したいずれかの電流値送信機及び電流値受信機の有する効果、例えば、装置の小型化及び発熱量の低減という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、電流値検出ユニット10の構成の概略を示す模式図である。
図2図2は、電流値送信機20の電気的な接続の一例を示すブロック図である。
図3図3は、電流値受信機40の電気的な接続の一例を示すブロック図である。
図4図4は、電流値の検出の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、ROM52に記憶された待機時間テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施の形態の一例として、電流値検出ユニット10について詳しく説明する。以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号を付す。
【0019】
本発明の実施の形態の一例である電流値検出ユニット10は、図1に示すように、電流値送信機20と、電流値送信機20から送信された無線信号を受信可能な電流値受信機40と、からなる。このように電流値送信機20と電流値受信機40とを無線通信で通信可能とすることにより、電流値を測定した場所と電流値を表示する場所とを互いに有線で接続する必要が無い。言い換えると、例えば、キャンピングカーに積載されたバッテリーのように、移動可能なバッテリーを積載する場所と電流値を視認したい場所とを有線で接続する必要が無いため、有線を使用する場合と比較してより設置の際の労力を低減することができる。加えて、電流値受信機40を携帯可能なものとすることで、無線通信が可能な場所であれば、どこにでも自由に移動し、かつ、電流値を確認することができる。
【0020】
電流値送信機20は、図1及び図2に示すように、第一端子22a、第二端子22b及び第二端子22c(以下、「接続端子22」とも言う。)と、電流値検出部24で検出した電流値を含む情報を送信する無線送信部28と、電流値検出部24及び無線送信部28を制御する送信機制御部30と、を備えている。このとき、第一端子22aと電流値検出部24とは金属板26aで電気的に接続されており、第二端子22と電流値検出部24とは金属板26bで電気的に接続されている。この電流値送信機20は、第一端子22aを蓄電池に、第二端子22b又は第二端子22cを電気製品に繋ぐことで、蓄電池と電気製品との間を流れる電流値を計測し、この電流値を含む情報を無線送信部28で無線送信する。こうすることにより、電流値を含む情報を有線で接続されていない場所に送信することができる。また、電流値送信機20は、接続端子22を除く全体が樹脂でコーティングされている。こうすることにより、電流値送信機20内の水滴等が入り込んだり、内部に結露が発生したりする可能性を未然に低減し、故障や誤作動が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0021】
接続端子22は、公知のボルトとナットとの組み合わせからなる。ボルトとナットの組み合わせからなる接続端子は、多くのバッテリー配線の部品として採用されている端子の形状であるため、同様の手順で接続することができ、高い利便性を有する。
【0022】
電流値検出部24は、電流に起因する磁界の変化に基づき電流値を計測する素子を含む電流検出部であり、例えば、磁気トンネル接合素子(MJT素子)やトンネル磁気抵抗素子(TMR素子)等の磁気抵抗素子を用いて電流値を計測する電流値検出部である。このような電流検出部としては、例えば、LEM社製のHAL50等を使用することができる。このような電流値検出部を用いることにより、内部に抵抗を有する電流計を回路に直列に繋いで電流値を測定する場合と比較して、電流値を測定する際の消費電力を低減することができる。また、この電流値検出部24は、第一端子22aと金属板26aを介して、また第二端子22bと第二端子22cとは金属板26bを介して、それぞれ電気的に接続されており、金属板26a及び金属板26bと電流値検出部24との接続部は金属板26a及び金属板26bの表面に電気的に接続されている。こうすることにより、細い配線で接続する場合と比較して電気が流れる際の発熱量を低減することができる。
【0023】
無線送信部28は、電流値検出部24で検出した電流値をデジタル信号に変換し、315MHz帯を使用して無線送信する公知の送信アンテナである。このような送信アンテナを用いた場合には、例えば、無線LANで用いられる各種方式やBluetooth(登録商標)方式の通信方式を用いる場合と比較して、より消費電力を低減することができる。これらの方式を用いた場合には、送信側と受信側との認証が行われるため通信容量が大きくなり、電力をより多く消費するためである。なお、他の方式の送信アンテナを用いても良いし、Bluetooth(登録商標)方式の通信方式等の使用を排除するものではない。このような通信方式を用いた場合であっても、装置を小型化するという本発明の目的の一つを得ることができる。
【0024】
送信機制御部30は、図2に示すように、CPU31を中心とするマイクロコンピュータであり、後述する電流値測定処理ルーチンを含む各種制御プログラムを記憶するROM32と、電流値検出部24で検出した電流値等を一時的に記憶するRAM33と、電流値検出部24や無線送信部28等との通信を制御するインタフェース34(以下、「I/F34」と言う。)と、によって構成されており、バス35によりそれぞれが電気的に接続されている。なお、同様の処理が可能な集積回路やマイクロチップ等で構成されていても良い。
【0025】
電流値受信機40は、図1及び図3に示すように、無線送信部28で送信された信号を受信する無線受信部42と、無線受信部42で受信した電流値を表示する表示部46と、周囲の明るさを検知する光検出部44と、表示部46の表示を制御する受信機制御部50と、を備えている。この電流値受信機40は、無線受信部42で無線送信部28から送信された信号を受信すると、デジタル信号を複号し、デジタル信号に含まれる電流値を表示部46で表示する。こうすることにより、電流値検出部24で検出した電流値を表示部46に表示することができる。このとき、電流値送信機20と電流値受信機40とは、無線通信により情報を送信することができるため、電流値送信機20と電流値受信機40とを有線で繋ぐ必要が無い。このため、電流値受信機40を所望の場所に移動することが可能で有り、電流値検出部24で検出した値を所望の場所で表示することができる。
【0026】
無線受信部42は、無線信号を受信する公知の受信アンテナであり、無線送信部28で送信されたデジタル信号を受信し、複合することができる。
【0027】
光検出部44は、公知のフォトセンサであり、光検出部44で周囲の光量を検出し、受信機制御部50に周囲の明るさに関する情報を送信する。受信機制御部50は、光検出部44で検出した光量に基づいて表示部46の明るさを調節する。
【0028】
表示部46は、無線受信部42で受信したデジタル信号に含まれる電流値を表示するものであり、例えば、LEDが複数設けられているものであってもよい。複数のLEDのうち、所望の数字を形作るLEDのみを点灯することにより、無線受信部42で受信した電流値に基づいて電流値を表示することができる。このとき、表示部46で表示される電流値の明るさは、光検出部44で検出された光の光量に基づいて明るさが調節される。具体的には、光検出部44で検出された光の光量が所定の値より大きい場合には明るく表示し、所定の値より小さい場合には明るさを抑えて表示する。こうすることにより、野外等明るい場所であっても電流値を視認しやすく、暗い場所では明るさを抑えることで、省電力に資する。
【0029】
受信機制御部50は、図3に示すように、CPU51を中心とするマイクロコンピュータであり、後述する光表示部制御処理ルーチンを含む各種制御プログラムを記憶するROM52と、無線受信部42で受信した無線信号に含まれる電流値に関する情報等を一時的に記憶するRAM53と、無線受信部42や表示部46、光検出部44等との通信を制御するインタフェース54(以下、「I/F54」と言う。)と、によって構成されており、バス55によりそれぞれが電気的に接続されている。なお、同様の処理が可能な集積回路やマイクロチップ等で構成されていても良い。
【0030】
次に、電流値検出ユニット10を用いて電流値を検出する検出方法について、図4を用いて詳しく説明する。ここで図4は、電流値測定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。この電流値測定処理ルーチンは、電流値送信機20に電力が供給されると、CPU31によってROM52より読み出され、実行される。この電流値測定処理ルーチンが実行されると、図4に示すように、初期設定として変数iに値ゼロを設定し、RAM33に変数iが一時的に記憶される(ステップS110)。
【0031】
続いて、CPU31は、識別情報を取得し(ステップS120)、取得した識別情報に対応する待機時間をROM32に記憶された待機時間テーブル(図5参照)より読み出して(ステップS130)、読み出した待機時間だけ待機する(ステップS140)。具体的には、CPU31は、電流値送信機20に設けられた図示しない切り替えスイッチがONであるかOFFであるかを判定し、図示しない切り替えスイッチがONの場合には、図5に示す待機時間テーブルのONの行を参照し、変数iの値に対応する列に記憶された待機時間をROM52より読み出して、この待機時間だけ待機する。例えば、切り替えスイッチがONである場合であって、本ルーチンが最初に実行された場合には、変数iには初期値である値ゼロが設定されているため、対応する時間である1000msが読み出され、1000ms待機することになる。
【0032】
次に、CPU31は、電流値検出部24に電力を供給し、電流値検出部24を起動する(ステップS150)。このように、電流値を検出する直前に電流値検出部24に電力を供給することにより、常に電力を供給する場合と比較して、より省電力に資する。電流値検出部24に電力が供給されると、電流値検出部24は電流値の検出を開始し、検出した電流値を出力する(ステップS160)。
【0033】
続いて、CPU31が電流値検出部24から出力された電流値を受信すると、CPU31は無線送信部28を介して電流値を送信する(ステップS170)。具体的には、電流値が無線送信部28に入力されると、無線送信部28に設けられた図示しないA/Dコンバータによってデジタル信号に変換され、無線送信される。この無線送信された電流値が電流値受信機40に設けられた無線受信部42で受信されると、CPU41が表示部46に電流値を表示する。こうすることにより、電流値受信機40を持ち運ぶことで、所望の場所で電流値を確認することができる。
【0034】
さて、ステップS170で電流値を送信した後には、CPU31は、電流値検出部24への電力の供給を停止する(ステップS180)。このように、電流値の検出が終わった後に電流値検出部24への電力の供給を停止することで、より省電力に資する。
【0035】
続いて、CPU31は、変数iに値1を加算し(ステップS190)、変数iの値が値4よりも大きいか否かを判定し(ステップS200)、変数iの値が値4よりも大きいと判定した場合には、変数iの値から値5を減算して(ステップS210)、再びステップS130を実行する。こうすることにより、待機時間テーブルに5種類の待機時間を記憶することにより、5種類の待機時間を周期的に実行することができる。
【0036】
一方、ステップS200で変数iの値が値3以下であると判定した場合には、再びステップS130を実行する。このような場合には、変数iに対応する待機時間が待機時間テーブルに存在するため、ステップS220を実行する必要が無いためである。
【0037】
なお、ここでは、識別情報がONの場合を例に説明したが、識別情報がOFFの場合であっても、待機時間を読み出す待機時間テーブルの行が異なるのみで、同様に実行することができる。
【0038】
以上詳述した本実施の形態の電流値検出ユニット10は、蓄電池の電極を接続端子22にそれぞれ接続し、電流に起因する磁界の変化に基づいて電流値を電流値検出部24で検出し、無線送信部28でデジタル信号に変換して無線送信する。このように、磁界の変化に基づいて電流値を計測することで、シャント抵抗等を用いること無く電流値を計測することができるため、電流値を計測する際の消費電力量を抑えることができる。また、この方式の電流計測部を採用することにより、電流計測部による発熱を未然に低減することができるため、樹脂で密閉して耐水性を高めることができる。
【0039】
また、このように高い発熱を伴うこと無く電流値を計測することができるため、電流値送信機20は、接続端子22を除く全体が樹脂でコーティングすることができる。こうすることにより、電流値送信機20内の水滴等が入り込んだり、内部に結露が発生したりする可能性を未然に低減し、故障や誤作動が生じる可能性を未然に低減することができる。
【0040】
更に、接続端子22と電流値検出部24とを互いに金属板26a又は金属板26bを介して接続されているため、高電流が流れる際に生じる熱の発生を未然に低減することができる。言い換えると、自動車や船舶用のバッテリー等の高容量の蓄電池の電流値の測定に、特に適する。
【0041】
更にまた、接続端子22は、第二端子が二つ設けられているため、複数の機器を接続する際、一つの接続端子に接続される接続線の数を低減することができる。付言すると、例えば、キャンピングカーに積載された蓄電池のように、複数の電機機器に接続して使用される蓄電池の電流値を計測する際、蓄電池の端子に接続される接続線の数を低減することができるため、利便性を向上することができる。
【0042】
そして、電流値を検出する際の待機時間が同一では無いため、無線送信が可能な範囲内で複数の電流値送信機が使用された場合であっても、電源を入れたタイミングによってデジタル信号の送信間隔が異なるため、無線電波が干渉する可能性を未然に低減することができる。加えて、仮に無線電波が干渉したとしても、最初に無線送信を始めたタイミングによってデジタル信号の送信間隔が異なるため、デジタル信号の送信のタイミングが変わることで、自動的に無線電波の干渉を解消することができる。
【0043】
なお、本発明は上述した実施の形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した実施の形態では、第二端子を二つ設けるものとしたが、第二端子を3つ以上設けても良いし、1つにしてもよい。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0045】
上述した実施の形態では、電流値のみを検出するものとしたが、合わせて電圧値を検出し、電流値と合わせて無線送信してもよい。こうすれば、電流値と電圧値の両方を所望の場所で確認することができる。
【0046】
上述した実施の形態では、識別情報は図示しないスイッチのON及びOFFで判定したが、2種類に限定されるものではなく、3種類以上の変換スイッチを用いて3種類以上の識別情報を用いても良いし、予めROM32に識別情報を記憶しておいても良い。いずれの場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0047】
上述した実施の形態では、電流送信機20から送信された無線信号を電流値受信機40で受信するものとしたが電流値受信機40に変えて、携帯型情報端末等で受信するものとしてもよい。こうすれば、所定のアプリケーションを携帯型端末に導入することで、新たな電流値受信機40が無くとも、電流値を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上述した実施の形態で示すように、電気分野、特にバッテリーの電流値を測定する測定装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10…電流値検出ユニット、20…電流値送信機、22…接続端子、22a…第一端子、22b…第二端子、22c…第二端子、24…電流値検出部、26a…金属板、26b…金属板、28…無線送信部、30…送信機制御部、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…インタフェース、35…バス、40…電流値受信機、42…無線受信部、44…光検出部、46…表示部、50…受信機制御部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…インタフェース、55…バス。



図1
図2
図3
図4
図5