【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、ブロー成形タンクの内部に付器を固定するためのプロセスであって、前記タンクが、パリソンから製造されたプラスチック壁を有し、付器が、本体から径方向に突出する少なくとも1つの取付部分を有する本体を備える、プロセスを提案することによって、これら上述した問題を解決することである。プロセスは、
a) 付器がパリソンによって取り囲まれるように付器及び溶融状態のパリソンを金型内に導入するステップであって、前記金型が、キャビティを備え、少なくとも1つのキャビティが、前記取付部分上に溶融パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるように構成された少なくとも1つの可動インサートを備える、ステップと、
b) パリソンを前記取付部分と接触させるステップと、
c) インサートを前方に移動させ、前記取付部分上に溶融パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるステップと、
d) 最終閉鎖位置へ金型キャビティを移動させることによって金型を閉じ、且つ前記ブロー成形タンクを形成するためにパリソンを膨張させるステップと、
e) インサートを後方に移動させるステップと、
f) 金型を開くステップと、
を備える。
【0006】
従って、付器は、機械的取付によってタンクの内部に固定される。この機械的取付は、タンクの製造時間中に形成される。言い換えると、機械的取付は、溶融プラスチックパリソンの成形中に形成される。
【0007】
可動インサートは、機械的取付具を形成するために使用される。各可動インサートは、付器の取付部分上に溶融パリソンのいくらかを折り重ねるために作動され、このため、取付部分は、溶融パリソンによって部分的又は全体的にオーバーモールドされる(すなわち取り囲まれる)。このようなオーバーモールドは、タンクの内面への付器の確実且つ永久的な取付を可能にする。有利には、折り重ねられた溶融パリソンは、溶融パリソンの残りに取り付けられたままである。タンク壁は、一体的且つ不浸透性を有したままである。インサートは、並進もしくは回転又は双方の組み合わせによって移動することができる。有利には、各インサートの移動と、付器へのその取付位置でパリソンに働く圧力と、は、制御可能である。特別な一実施形態では、インサートの移動は、液圧式システムによって制御することができる。別の特別な実施形態では、インサートの移動は、空気圧式システムによって制御することができる。さらに別の特別な実施形態では、インサートの移動は、電気アクチュエータによって制御することができる。
【0008】
付器の取付部分は、付器の本体から径方向に突出するように構成されている。特別な一実施形態では、取付部分は、付器の本体から外側に略垂直に(又は若干傾斜して)延在している。取付部分は、溶融パリソンを折り重ねることができる自由端を有するのであればどのような形状を有してもよい。特別な一実施形態では、付器は、付器の本体から径方向に突出する1つ以上のフィン又はリブ(すなわち取付部分)を備えることができる。特別な一実施形態では、付器の取付部分は、付器の本体と一体的であってもよい(すなわち本体及び取付部分が単一部品を形成する)。別の特別な実施形態では、付器の取付部分は、任意の適切な固定手段によって付器の本体に固定することができる。これら手段の例は、クリップ結合、ネジ締結、溶接などである。特別な一実施形態では、取付部分は、プラスチックから作られる。好ましくは、取付部分は、パリソンを形成するもの(従ってパリソンから形成されるタンク)と同じプラスチックを基にしている。
【0009】
用語“パリソン”は、通常押し出され且つ略チューブ状形状の単一部品のプリフォームであって、成形後、すなわち、タンクを得るために金型を使用して溶融状態(融解状態)のパリソンを所望の形状及び寸法に形成する動作後にタンクの壁を形成するよう意図される、プリフォームを意味すると理解される。本発明によるプロセスは、好ましくは、押し出されたパリソンを使用する。
【0010】
本発明によるプロセスのステップa)では、パリソン及び付器は、金型内に配置され(すなわち導入され)、付器は、(好ましくは拡張された)パリソンによって取り囲まれる。通常、これは、適切なデバイスによって別々に保持されたパリソン内に付器を導入すること、又は押出機を退出させることに関連するパリソンの運動に続くデバイスによりパリソンを分離させる間に付器の周囲にパリソンを押し出すことのどちらかによって行われる。従って、どちらの変形例が使用されたとしても、本発明によるプロセスは、好ましくは、パリソンを拡張させる(パリソンを開いた状態を保つ)ことを可能にするツールを使用する。このツールは、パリソンの縁部を把持して縁部を離して保つことができるクランプ又はジャッキからなる。
【0011】
特別な一実施形態では、付器は、付器をパリソン内に配置する前に事前加熱することができ、前記事前加熱は、好ましくは、少なくともパリソンに付器を取り付けるよう意図された範囲内で行われる。
【0012】
本発明によるプロセスでは、付器は、好ましくは、付器をパリソン内に配置する前に支持体上に搭載される。通常、この搭載は自動化される(ロボット又はカルーセルタイプのデバイスによって実行される)。特別な一実施形態では、この支持体は、ロッドのタイプである。別の特別な実施形態では、この支持体は、少なくとも事前ブロー成形ステップ中にパリソン内に加圧ガス(好ましくは空気)を導入するために使用されるブローピンである。好ましくは、付器のためのこの支持体は、別の役割を果たさず、タンクの最終ブロー成形のために金型を閉じる前に引き抜かれる。
【0013】
有利には、本発明によるプロセスのステップb)の前に、パリソンは、好ましくは金型キャビティと接触することなく、シンプルに事前ブロー成形/膨張される。従って、パリソンの事前ブロー成形は、前記パリソンの膨張からなり、このため、(金型キャビティの間でクランプされ、且つブロー成形後にタンクを形成するよう意図された)パリソンの“アクティブ”部分は、タンクと略同じサイズ(内部体積)を取得し、最終ブロー成形ステップ(d)は、主にパリソンにその最終起伏/形状を与えることに役立つ。
【0014】
特別な一実施形態では、付器のための支持体は、内側ブロック内にスライド可能に取り付けられている。パリソンの事前ブロー成形を開始する前に、2つの挟持プレート(すなわち外側移動プレート)は、内側ブロック上にパリソンの下端部の一部分をクランプするために前方に移動する。結果的に、この一部分は、溶接されないが漏れのない方式でシールされる。パリソンの事前ブロー成形中に、2つの挟持プレートは、この閉鎖位置で維持される。2つの挟持プレートは、金型が開くとき(ステップf)に開放位置へ後方に移動する。
【0015】
本発明によるプロセスのステップe)では、各インサートは、それが折り重ねられたパリソンの一部分と係合解除するように格納される(すなわち、その初期位置へ後方に移動させられる)。本発明によるプロセスのステップf)では、金型は開かれ、タンクは金型から取り除かれる。金型を開く前に、成形されたパリソンは、好ましくは、1つ以上のブロー成形ニードルを通じて冷却ガスを循環させることによって全体として冷却したままとする。そして、金型キャビティは、好ましくは、ダクトのネットワーク内での流体の循環によって同様に冷却される。
【0016】
金型は、キャビティ、すなわちある程度中空のハーフシェルを備え、キャビティの周囲は、同一であり、キャビティの内面は、タンクの外部形状に対応する起伏を備え、タンクは、例えばブローピンによりパリソン内に噴射される加圧ガスを使用して、この表面に対してパリソンを押し付けることによって成形される。
【0017】
本発明によるタンクは、プラスチック壁を有して作られる。
【0018】
用語“プラスチック”は、少なくとも1つの合成ポリマー樹脂を含む任意の材料を意味すると理解される。
【0019】
任意のタイプのプラスチックが適している。好ましくは、適しているプラスチックは、熱可塑性物質のカテゴリーに属する。
【0020】
用語“熱可塑性物質”は、熱可塑性エラストマー及びその混合物を含む任意の熱可塑性ポリマーを意味すると理解される。用語“ポリマー”は、ホモポリマー及びコポリマー(特に二元又は三元コポリマー)双方を意味すると理解される。このようなコポリマーの例は、非限定的に:ランダムコポリマー、リニアブロックコポリマー、他のブロックコポリマー及びグラフトコポリマーである。
【0021】
任意のタイプの熱可塑性ポリマー又はコポリマーが適しており、このポリマーの融点は熱分解温度以下である。少なくとも10℃を超えて広がる溶融範囲を有する合成熱可塑性物質は、特に適している。このような材料の例は、それらの分子量において多分散を示すものを含む。
【0022】
特に、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミド及びそのコポリマーを使用することが可能である。ポリマー又はコポリマーの混合物は、同様に使用され、ポリマー材料と、無機、有機及び/又は天然フィラーと、の混合物を使用することが可能であり、これらフィラーは、例えば、非限定的に:炭素、塩及び他の無機誘導体、天然もしくはポリマー繊維である。上述したポリマー又はコポリマーの少なくとも1つを含む、積み重ねられるか又は連結された層からなる多層構造体を使用することも可能である。
【0023】
多くの場合使用される1つのポリマーは、ポリエチレンである。優れた結果が、高密度ポリエチレン(HDPE)により得られた。
【0024】
特別な一実施形態では、タンクは燃料タンクである。好ましくは、このような燃料タンクは、少なくとも1つの熱可塑性物質層及び少なくとも1つの追加層を備える多層構造体を有し、有利には、追加層は、液体及び/気体に対してバリアとなる材料から形成されてもよい。好ましくは、バリア層の性質及び厚さは、タンクの壁と接触する液体及び気体の浸透性を最小化するように選択される。好ましくは、この層は、バリア材料、すなわち燃料が不浸透の樹脂、例えばEVOH(部分的に加水分解されたエチレン/ビニルアセテートコポリマー)に基づいている。あるいは、タンクは、層を燃料に対して不浸透とさせるために表面処理(フッ素化又はスルホン化)を受ける。
【0025】
用語“付器”は、本発明の状況では、例えば換気するため、液体を保管するため、液体を輸送するため、液体レベルを測定するため、波にリンクされるノイズを低減させるなどのために、タンク内でアクティブな役割(すなわち有利な機能を行う)を有する構成要素又は構成要素のセット(又はモジュール)を意味すると理解される。特別な一実施形態では、付器は、スワールポットである。スワールポットのアクティブな役割は、車両が回転、坂道で駆動するなどの場合に、燃料保存部(すなわちポジティブなポンプ保存部)を構成することである。本発明によるプロセスの1つの利点は、多くの容量のスワールポットを有するタンクを提供することを可能にすることである。スワールポットは、すでに述べたような事前形成折り重ね動作を行うことによってタンクの内部に固定されている。
【0026】
有利な一実施形態では、付器は、直径方向に対向した一対の取付部分を備え、キャビティは、直径方向に対向した取付部分の前記対の一方の取付部分上に溶融パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるようにそれぞれ構成された2つの可動インサートを備えている。結果的に、付器は、平衡方式で(すなわち、動作中に応力集中が回避されることを保証するように)タンクに永久的に取り付けられる。有利な一実施形態では、2つの可動インサートは、ダブテール形状の取付具を形成するようなサイズとされて成形される。ダブテール形状の取付具を形成する実施形態では、付器の取付部分は、ダブテール内に溶接される。
【0027】
特別な一実施形態では、各インサートは、(取付部分の周りに嵌合できる)湾曲接触面を有している。結果的に、折り重ね動作は、シンプルである。特別な一実施形態では、各インサートは、フック状の断面を有している。
【0028】
有利な一実施形態では、キャビティは、インサートが運動可能に取り付けられた可動取付構造体を備えている。特別な一実施形態では、取付構造体の移動は、液圧式システムによって制御することができる。
【0029】
有利には、取付構造体の移動は、金型の閉鎖移動と同期させられ、このため、ステップb)及びc)の間に、取付構造体が、前記キャビティから外側に突出し、ステップd)の間に、取付構造体が、前記キャビティの内部に格納されるように、移動しない。
【0030】
本発明によるプロセスのステップd)の間に、金型キャビティは、取付構造体が前記取付部分に対してパリソンを押し付ける中間閉鎖位置に移動させられる。この中間閉鎖位置では、金型キャビティは、互いに対して押し付けられない。ステップc)の間に、金型キャビティは、前記中間閉鎖位置に維持される。本発明によるプロセスのステップd)では、金型は、閉じられ、すなわち、金型キャビティは、互いに対して押し付けられ、それらの周囲の間にパリソンをクランプする(これは、タンクの周囲の周りに分割線を画成する)。
【0031】
本発明の一側面によれば、上述したプロセスで使用するための金型が提供される。
【0032】
本発明は、添付の
図1から
図12を参照して以下の例によって非限定的な方式で説明される。