特許第6585925号(P6585925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6585925ブロー成形プラスチックタンク内に付器を固定するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585925
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ブロー成形プラスチックタンク内に付器を固定するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/20 20060101AFI20190919BHJP
   B29C 49/48 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B29C49/20
   B29C49/48
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-104413(P2015-104413)
(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公開番号】特開2015-223842(P2015-223842A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】14169732.6
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507383057
【氏名又は名称】イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ・コアン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ラコーム
【審査官】 北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−091923(JP,A)
【文献】 特表2010−540290(JP,A)
【文献】 特表2012−506340(JP,A)
【文献】 特開2013−136246(JP,A)
【文献】 米国特許第05445783(US,A)
【文献】 特表2009−525893(JP,A)
【文献】 特開2012−187754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロー成形タンクの内部に付属品を固定するためのプロセスであって、
前記ブロー成形タンクが、パリソンから製造されたプラスチック壁を有し、前記付属品が、本体から径方向に突出する少なくとも1つの取付部分を有する本体を備え、
前記プロセスが、
a) 前記付属品が前記パリソンによって取り囲まれるように前記付属品及び溶融状態の前記パリソンを金型内に導入するステップであって、前記金型が、金型キャビティを備え、少なくとも1つの前記金型キャビティが、前記取付部分上に前記パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるように構成された少なくとも1つの可動インサートであって、前記金型キャビティの内部に配置されている少なくとも1つの前記可動インサートを備える、ステップと、
b) 前記金型キャビティが互いに対して押し付けられず且つ前記パリソンが前記取付部分と接触する中間閉鎖位置へ、前記金型キャビティを移動させるステップと、
c) 前記可動インサートを前方に移動させ、前記取付部分上に前記パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるステップと、
d) 前記金型キャビティが互いに対して押し付けられる最終閉鎖位置へ前記金型キャビティを移動させることによって前記金型を閉じ、且つ前記ブロー成形タンクを形成するために前記パリソンを膨張させるステップと、
e) 前記可動インサートを後方に移動させるステップと、
f) 前記金型を開くステップと、
を備えることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記付属品が、直径方向に対向した一対の取付部分を備え、前記金型キャビティが、前記一対の一方の取付部分上に前記パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるようにそれぞれ構成された2つの可動インサートを備えていることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
可動インサートが、湾曲接触面を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記金型キャビティが、前記可動インサートが移動可能に取り付けられた可動取付構造体を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップb)の間に、可動取付構造体が、前記取付部分に対して前記パリソンを押し付け、ステップc)の間に、前記金型キャビティが、前記中間閉鎖位置に維持されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記可動取付構造体の移動が、前記金型の閉鎖移動と同期させられ、このため、ステップb)及びc)の間に、前記可動取付構造体が、前記金型キャビティから外側に突出し、ステップd)の間に、前記可動取付構造体が、前記金型キャビティの内部に格納されるように、移動しないことを特徴とする請求項4又は5に記載のプロセス。
【請求項7】
ステップb)の前に、加圧気体が、前記パリソンの事前ブロー成形を実行するために前記パリソンの内部に導入されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記付属品が、ステップc)の後及びステップd)の前に引き抜かれる支持体によって前記パリソン内で保持されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記ブロー成形タンクが燃料タンクであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記付属品がスワールポットであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のブロー成形タンクの内部に付属品を固定するためのプロセスで使用するための金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形タンクの内部に付器を固定するための方法に関する。より具体的に、本発明は、車両のための燃料システムの付器とプラスチック燃料タンクの内面との間の機械的取付に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形プロセス中に付器をプラスチック燃料タンクの内部に取り付けるためのさまざまな方法が存在する。一般的な固定方法は、溶接及びスナップ式リベット打ちを含む。ダブテール技術も公知である。特許文献1に一例が図示されており、特許文献1は、インターロックダブテール嵌合によって付器を燃料タンクの内面に機械的に取り付けることを教示する。このプロセスは、付器の取付面上にダブテール溝を必要とする。これは、付器の設計を複雑にする。さらに、液体及び/又は気体に対するバリア層を有する多層燃料タンクの場合には、このプロセスは、連続的なバリア層を損傷し、結果的に漏れのリスクを増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5445783号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を考慮して、燃料タンクの不浸透性を損なうことなく付器を燃料タンクの内部に固定することを可能にし且つ付器上のインターロック連結部(すなわちダブテール溝)の必要性を排除する改善された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、ブロー成形タンクの内部に付器を固定するためのプロセスであって、前記タンクが、パリソンから製造されたプラスチック壁を有し、付器が、本体から径方向に突出する少なくとも1つの取付部分を有する本体を備える、プロセスを提案することによって、これら上述した問題を解決することである。プロセスは、
a) 付器がパリソンによって取り囲まれるように付器及び溶融状態のパリソンを金型内に導入するステップであって、前記金型が、キャビティを備え、少なくとも1つのキャビティが、前記取付部分上に溶融パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるように構成された少なくとも1つの可動インサートを備える、ステップと、
b) パリソンを前記取付部分と接触させるステップと、
c) インサートを前方に移動させ、前記取付部分上に溶融パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるステップと、
d) 最終閉鎖位置へ金型キャビティを移動させることによって金型を閉じ、且つ前記ブロー成形タンクを形成するためにパリソンを膨張させるステップと、
e) インサートを後方に移動させるステップと、
f) 金型を開くステップと、
を備える。
【0006】
従って、付器は、機械的取付によってタンクの内部に固定される。この機械的取付は、タンクの製造時間中に形成される。言い換えると、機械的取付は、溶融プラスチックパリソンの成形中に形成される。
【0007】
可動インサートは、機械的取付具を形成するために使用される。各可動インサートは、付器の取付部分上に溶融パリソンのいくらかを折り重ねるために作動され、このため、取付部分は、溶融パリソンによって部分的又は全体的にオーバーモールドされる(すなわち取り囲まれる)。このようなオーバーモールドは、タンクの内面への付器の確実且つ永久的な取付を可能にする。有利には、折り重ねられた溶融パリソンは、溶融パリソンの残りに取り付けられたままである。タンク壁は、一体的且つ不浸透性を有したままである。インサートは、並進もしくは回転又は双方の組み合わせによって移動することができる。有利には、各インサートの移動と、付器へのその取付位置でパリソンに働く圧力と、は、制御可能である。特別な一実施形態では、インサートの移動は、液圧式システムによって制御することができる。別の特別な実施形態では、インサートの移動は、空気圧式システムによって制御することができる。さらに別の特別な実施形態では、インサートの移動は、電気アクチュエータによって制御することができる。
【0008】
付器の取付部分は、付器の本体から径方向に突出するように構成されている。特別な一実施形態では、取付部分は、付器の本体から外側に略垂直に(又は若干傾斜して)延在している。取付部分は、溶融パリソンを折り重ねることができる自由端を有するのであればどのような形状を有してもよい。特別な一実施形態では、付器は、付器の本体から径方向に突出する1つ以上のフィン又はリブ(すなわち取付部分)を備えることができる。特別な一実施形態では、付器の取付部分は、付器の本体と一体的であってもよい(すなわち本体及び取付部分が単一部品を形成する)。別の特別な実施形態では、付器の取付部分は、任意の適切な固定手段によって付器の本体に固定することができる。これら手段の例は、クリップ結合、ネジ締結、溶接などである。特別な一実施形態では、取付部分は、プラスチックから作られる。好ましくは、取付部分は、パリソンを形成するもの(従ってパリソンから形成されるタンク)と同じプラスチックを基にしている。
【0009】
用語“パリソン”は、通常押し出され且つ略チューブ状形状の単一部品のプリフォームであって、成形後、すなわち、タンクを得るために金型を使用して溶融状態(融解状態)のパリソンを所望の形状及び寸法に形成する動作後にタンクの壁を形成するよう意図される、プリフォームを意味すると理解される。本発明によるプロセスは、好ましくは、押し出されたパリソンを使用する。
【0010】
本発明によるプロセスのステップa)では、パリソン及び付器は、金型内に配置され(すなわち導入され)、付器は、(好ましくは拡張された)パリソンによって取り囲まれる。通常、これは、適切なデバイスによって別々に保持されたパリソン内に付器を導入すること、又は押出機を退出させることに関連するパリソンの運動に続くデバイスによりパリソンを分離させる間に付器の周囲にパリソンを押し出すことのどちらかによって行われる。従って、どちらの変形例が使用されたとしても、本発明によるプロセスは、好ましくは、パリソンを拡張させる(パリソンを開いた状態を保つ)ことを可能にするツールを使用する。このツールは、パリソンの縁部を把持して縁部を離して保つことができるクランプ又はジャッキからなる。
【0011】
特別な一実施形態では、付器は、付器をパリソン内に配置する前に事前加熱することができ、前記事前加熱は、好ましくは、少なくともパリソンに付器を取り付けるよう意図された範囲内で行われる。
【0012】
本発明によるプロセスでは、付器は、好ましくは、付器をパリソン内に配置する前に支持体上に搭載される。通常、この搭載は自動化される(ロボット又はカルーセルタイプのデバイスによって実行される)。特別な一実施形態では、この支持体は、ロッドのタイプである。別の特別な実施形態では、この支持体は、少なくとも事前ブロー成形ステップ中にパリソン内に加圧ガス(好ましくは空気)を導入するために使用されるブローピンである。好ましくは、付器のためのこの支持体は、別の役割を果たさず、タンクの最終ブロー成形のために金型を閉じる前に引き抜かれる。
【0013】
有利には、本発明によるプロセスのステップb)の前に、パリソンは、好ましくは金型キャビティと接触することなく、シンプルに事前ブロー成形/膨張される。従って、パリソンの事前ブロー成形は、前記パリソンの膨張からなり、このため、(金型キャビティの間でクランプされ、且つブロー成形後にタンクを形成するよう意図された)パリソンの“アクティブ”部分は、タンクと略同じサイズ(内部体積)を取得し、最終ブロー成形ステップ(d)は、主にパリソンにその最終起伏/形状を与えることに役立つ。
【0014】
特別な一実施形態では、付器のための支持体は、内側ブロック内にスライド可能に取り付けられている。パリソンの事前ブロー成形を開始する前に、2つの挟持プレート(すなわち外側移動プレート)は、内側ブロック上にパリソンの下端部の一部分をクランプするために前方に移動する。結果的に、この一部分は、溶接されないが漏れのない方式でシールされる。パリソンの事前ブロー成形中に、2つの挟持プレートは、この閉鎖位置で維持される。2つの挟持プレートは、金型が開くとき(ステップf)に開放位置へ後方に移動する。
【0015】
本発明によるプロセスのステップe)では、各インサートは、それが折り重ねられたパリソンの一部分と係合解除するように格納される(すなわち、その初期位置へ後方に移動させられる)。本発明によるプロセスのステップf)では、金型は開かれ、タンクは金型から取り除かれる。金型を開く前に、成形されたパリソンは、好ましくは、1つ以上のブロー成形ニードルを通じて冷却ガスを循環させることによって全体として冷却したままとする。そして、金型キャビティは、好ましくは、ダクトのネットワーク内での流体の循環によって同様に冷却される。
【0016】
金型は、キャビティ、すなわちある程度中空のハーフシェルを備え、キャビティの周囲は、同一であり、キャビティの内面は、タンクの外部形状に対応する起伏を備え、タンクは、例えばブローピンによりパリソン内に噴射される加圧ガスを使用して、この表面に対してパリソンを押し付けることによって成形される。
【0017】
本発明によるタンクは、プラスチック壁を有して作られる。
【0018】
用語“プラスチック”は、少なくとも1つの合成ポリマー樹脂を含む任意の材料を意味すると理解される。
【0019】
任意のタイプのプラスチックが適している。好ましくは、適しているプラスチックは、熱可塑性物質のカテゴリーに属する。
【0020】
用語“熱可塑性物質”は、熱可塑性エラストマー及びその混合物を含む任意の熱可塑性ポリマーを意味すると理解される。用語“ポリマー”は、ホモポリマー及びコポリマー(特に二元又は三元コポリマー)双方を意味すると理解される。このようなコポリマーの例は、非限定的に:ランダムコポリマー、リニアブロックコポリマー、他のブロックコポリマー及びグラフトコポリマーである。
【0021】
任意のタイプの熱可塑性ポリマー又はコポリマーが適しており、このポリマーの融点は熱分解温度以下である。少なくとも10℃を超えて広がる溶融範囲を有する合成熱可塑性物質は、特に適している。このような材料の例は、それらの分子量において多分散を示すものを含む。
【0022】
特に、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミド及びそのコポリマーを使用することが可能である。ポリマー又はコポリマーの混合物は、同様に使用され、ポリマー材料と、無機、有機及び/又は天然フィラーと、の混合物を使用することが可能であり、これらフィラーは、例えば、非限定的に:炭素、塩及び他の無機誘導体、天然もしくはポリマー繊維である。上述したポリマー又はコポリマーの少なくとも1つを含む、積み重ねられるか又は連結された層からなる多層構造体を使用することも可能である。
【0023】
多くの場合使用される1つのポリマーは、ポリエチレンである。優れた結果が、高密度ポリエチレン(HDPE)により得られた。
【0024】
特別な一実施形態では、タンクは燃料タンクである。好ましくは、このような燃料タンクは、少なくとも1つの熱可塑性物質層及び少なくとも1つの追加層を備える多層構造体を有し、有利には、追加層は、液体及び/気体に対してバリアとなる材料から形成されてもよい。好ましくは、バリア層の性質及び厚さは、タンクの壁と接触する液体及び気体の浸透性を最小化するように選択される。好ましくは、この層は、バリア材料、すなわち燃料が不浸透の樹脂、例えばEVOH(部分的に加水分解されたエチレン/ビニルアセテートコポリマー)に基づいている。あるいは、タンクは、層を燃料に対して不浸透とさせるために表面処理(フッ素化又はスルホン化)を受ける。
【0025】
用語“付器”は、本発明の状況では、例えば換気するため、液体を保管するため、液体を輸送するため、液体レベルを測定するため、波にリンクされるノイズを低減させるなどのために、タンク内でアクティブな役割(すなわち有利な機能を行う)を有する構成要素又は構成要素のセット(又はモジュール)を意味すると理解される。特別な一実施形態では、付器は、スワールポットである。スワールポットのアクティブな役割は、車両が回転、坂道で駆動するなどの場合に、燃料保存部(すなわちポジティブなポンプ保存部)を構成することである。本発明によるプロセスの1つの利点は、多くの容量のスワールポットを有するタンクを提供することを可能にすることである。スワールポットは、すでに述べたような事前形成折り重ね動作を行うことによってタンクの内部に固定されている。
【0026】
有利な一実施形態では、付器は、直径方向に対向した一対の取付部分を備え、キャビティは、直径方向に対向した取付部分の前記対の一方の取付部分上に溶融パリソンのいくらかを局所的に折り重ねるようにそれぞれ構成された2つの可動インサートを備えている。結果的に、付器は、平衡方式で(すなわち、動作中に応力集中が回避されることを保証するように)タンクに永久的に取り付けられる。有利な一実施形態では、2つの可動インサートは、ダブテール形状の取付具を形成するようなサイズとされて成形される。ダブテール形状の取付具を形成する実施形態では、付器の取付部分は、ダブテール内に溶接される。
【0027】
特別な一実施形態では、各インサートは、(取付部分の周りに嵌合できる)湾曲接触面を有している。結果的に、折り重ね動作は、シンプルである。特別な一実施形態では、各インサートは、フック状の断面を有している。
【0028】
有利な一実施形態では、キャビティは、インサートが運動可能に取り付けられた可動取付構造体を備えている。特別な一実施形態では、取付構造体の移動は、液圧式システムによって制御することができる。
【0029】
有利には、取付構造体の移動は、金型の閉鎖移動と同期させられ、このため、ステップb)及びc)の間に、取付構造体が、前記キャビティから外側に突出し、ステップd)の間に、取付構造体が、前記キャビティの内部に格納されるように、移動しない。
【0030】
本発明によるプロセスのステップd)の間に、金型キャビティは、取付構造体が前記取付部分に対してパリソンを押し付ける中間閉鎖位置に移動させられる。この中間閉鎖位置では、金型キャビティは、互いに対して押し付けられない。ステップc)の間に、金型キャビティは、前記中間閉鎖位置に維持される。本発明によるプロセスのステップd)では、金型は、閉じられ、すなわち、金型キャビティは、互いに対して押し付けられ、それらの周囲の間にパリソンをクランプする(これは、タンクの周囲の周りに分割線を画成する)。
【0031】
本発明の一側面によれば、上述したプロセスで使用するための金型が提供される。
【0032】
本発明は、添付の図1から図12を参照して以下の例によって非限定的な方式で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図2】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図3】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図4】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図5】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図6】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図7】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図8】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図9】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図10】本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示す。
図11】閉鎖ループ電気駆動部を示す。
図12】本発明の別の特別な実施形態による2つの可動インサートを備えた取付構造体を概略的に示している
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1から図10は、本発明の特別な一実施形態によるプロセスの原理を概略的に示している。
【0035】
図1では、開放位置(すなわち待機位置)にある金型(1)を見ることができる。金型キャビティ(1a,1b)が、成形されるタンクの外面に対応する内面を有している。金型キャビティ(1a)は凹所(12)を備え、取付構造体(3)及び液圧式システム(5,6)が凹所(12)内に位置決めされている。別の特別な実施形態では、液圧式システム(5,6)が空気圧式システム又は電気アクチュエータシステムによって置換することができる。
【0036】
取付構造体(3)は、1つの軸(図示せず)に沿って並進移動することができる。取付構造体(3)は、凹所(12)内に且つ凹所(12)から外に移動することができる。可動インサート(4a,4b)が、取付構造体(3)に運動可能に取り付けられている。可動インサート(4a,4b)は、軸(41a,41b)周りに回転運動することができる。挟持プレート(10)が開放位置にある。金型キャビティ(1b)は凹所(13)を備えている。
【0037】
図2に示されるように、スワールポット(7)が保持ロッド(8)上に搭載されている。スワールポット(7)は、本体(71)と、本体(71)から径方向外側に突出する2つの取付部分(72,73)と、を備えている。E−リング(11)が凹所(13)内に搭載されている。
【0038】
図3に示されるように、パリソン(2)が、スワールポット(7)を取り囲むように、押し出されて金型内に導入される。押し出されたパリソン(2)は溶融状態にある。押し出し動作中に、スワールポット(7)とパリソン(2)との間は接触しない。
【0039】
図4では、挟持プレート(10)は、閉鎖位置で見ることができ、閉鎖位置では、例えば押出ヘッド(図示せず)を使用して漏れのない方式で事前ブロー(すなわち事前ブロー成形)を実行するためにパリソンの下端部が内側ブロック(9)にクランプされ、押出ヘッドには、パリソンがいまだに取り付けられている。
【0040】
図5では、金型(1)は、中間閉鎖位置で見ることができ、中間位置では、取付構造体(3)が溶融パリソンを局所的に押して溶融パリソンをスワールポット(7)と局所的に接触させる。溶融パリソンは、取付部分(72,73)と接触させられる。取付部分(72,73)は、パリソンを形成するものと同じプラスチックで作られる。結果的に、取付部分(72,73)は、局所的に押されたパリソンと溶接される。図5に示されるように、金型キャビティ(1a,1b)は、一方のキャビティが他方のキャビティに向かって移動させられるが、離れたままである(すなわち接触していない)。事前ブローは、継続する。図5に示されるように、溶融パリソンは、金型キャビティと接触していない。
【0041】
図6では、可動インサート(4a,4b)がどのように取付部分(72,73)上に溶融パリソンのいくらかを折り重ねるかを見ることができる。示されるように、可動インサート(4a,4b)は、軸(41a,41b)周りに回転運動させられる。折り重ね動作は、取付部分(72,73)が溶融パリソンのいくらかによってオーバーモールドされ、これによりスワールポット(7)がパリソンの内面に強固に取り付けられることを保証するように行われる。可動インサート(4a,4b)は、ダブテール形状の取付具を形成するようなサイズとされて成形されている。折り重ね動作中に、金型(1)は中間閉鎖位置に維持され、且つ事前ブローは継続する。溶融パリソンが金型キャビティと接触せず、従って溶融状態のままである(すなわち、金型キャビティとの接触に起因するパリソンの冷却及び/又は結晶化がない)ので、折り重ね動作は容易であり且つ効率的であることに留意されたい。
【0042】
図7に示されるように、スワールポット(7)がパリソンの内面に固定されると、保持ロッド(8)が引き抜かれる(すなわち金型から外側に移動する)。この引き抜き動作中に、金型(1)は中間閉鎖位置に維持され、事前ブローは継続する。
【0043】
保持ロッド(8)が引き抜かれると、タンクの最終ブロー成形のために金型(1)を閉じることが可能になる。図8では、金型(1)は、最終閉鎖位置で見ることができ、最終閉鎖位置では、金型キャビティがそれらの周囲にわたって隣り合って配置される。金型閉鎖動作中に、取付構造体(3)は、凹所(12)の内部に格納する(取付構造体は絶対的に不動であり且つ溶接ポイントに圧力をかける状態を保つが)。取付構造体(3)の移動は、同期システムを使用して金型(1)の閉鎖移動に同期させられる。
【0044】
特別な一実施形態では、同期システムは、拡張テーブル上に位置付けられたストッパーの使用に基づくことができる。拡張テーブルは、パリソンを拡張するために従来使用され、1つ以上のピンを使用することによって円形から長円形又は平坦形状にパリソンの形状を変更する。有利には、長いビームが金型に対して平行に垂直に据え付けられる。このビームは、動かず、且つストッパーとして作用する。金型では、取付構造体(3)は、レバーシステムによりビームに接続する。このレバーシステムは、a)回転ポイントから取付構造体(3)軸及びb)取付構造体軸からプッシュピンへ1:1の比率を有するように構成される。このプッシュピンは、付器がパリソンと接触するときにビームと接触する。金型が閉じると、ピンはビームとの接触を保ち且つ結果的に取付構造体を格納する。
【0045】
別の特別な実施形態では、同期システムが、(図11に示される)閉鎖ループ電気駆動部の使用に基づくことができる。有利には、金型閉鎖ユニットからの線形トランスデューサ(又は閉鎖ストローク及び時間(すなわち速度)を読み取ることができる任意の追加的トランスデューサ)は、電気ユニットへデジタル信号を送り、電気駆動システムへ信号を変換して分配する。結果的に、金型の移動は、モータ/低減器/ネジシステムにより取付構造体に対して正確に再現される(すなわち伝達される)。
【0046】
特別な一実施形態では、最終ブロー成形動作は、ブロー成形ニードル(図示せず)を使用して実行することができる。
【0047】
図9に示されるように、タンクが冷却されると、可動インサート(4a,4b)は、折り重ねられたパリソンの一部と係合解除する。
【0048】
最終的に、図10で見ることができるように、金型(1)は開かれ、タンクは型から取り出される。スワールポット(7)は、溶接及びダブテール嵌合の組み合わせによってタンクの内面に確実且つ永久的に固定される。
【0049】
図12は、本発明の別の特別な実施形態による2つの可動インサート(122,123)を備えた取付構造体(121)を概略的に示している。可動インサート(122,123)は、矢印(124,125)によって示されるように前後に並進移動することができる。可動インサート(122,123)は、フック状の断面を有している。
【符号の説明】
【0050】
1: 2つのキャビティを備える金型、1a,1b:、キャビティ、2: パリソン、3: 取付構造体、4a: 第1可動インサート、4b: 第2可動インサート、5: 第1液圧式システム、6: 第2液圧式システム、7: スワールポット、71:本体、72,73:取付部分、8: 保持ロッド、9: 内側ブロック、10: 2つの挟持プレート、11: E−リング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12