特許第6585949号(P6585949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585949
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】トイレットペーパホルダ
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/40 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   A47K10/40 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-144766(P2015-144766)
(22)【出願日】2015年7月22日
(65)【公開番号】特開2017-23378(P2017-23378A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】生井 珠里
(72)【発明者】
【氏名】林 宏紀
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−073797(JP,U)
【文献】 実開平01−070748(JP,U)
【文献】 特開2004−073717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、該本体部内にあってトイレットペーパを回転自在に保持する一対の回動保持部と、前記本体部に軸支して繰り出した前記トイレットペーパの紙片を切断する切断板とを備えたトイレットペーパホルダであって、
前記回動保持部は、前記本体部に対して回動可能な軸体部と、該軸体部から直角方向に延在しトイレットペーパの芯材内に挿入する芯材保持部と、前記軸体部から前記芯材保持部と同方向に延在し前記軸体部の回動に抗して前記本体部に対して、付勢力が発生するばね条片とを有し、
前記軸体部の下端に前記芯材保持部を設け、前記軸体部の上端に前記ばね条片を設けたことを特徴とするトイレットペーパホルダ。
【請求項2】
前記ばね条片の一部が前記本体部に設けた係止部に係止し、前記軸体部の回動に応じて前記ばね条片は撓み、該ばね条片の変形によって前記付勢力が発生することを特徴とする請求項に記載のトイレットペーパホルダ。
【請求項3】
前記軸体部が鉛直方向又は水平方向に向くように前記回動保持部を前記本体部内に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトイレットペーパホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパの交換を容易に行い得るトイレットペーパホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には従来例のトイレットペーパホルダが開示されている。このトイレットペーパホルダでは、本体の両側に配置した保持腕部にそれぞれ保持部材を取り付け、これらの保持部材をトイレットペーパの芯材内に挿入し、保持部材は鉛直方向に力が作用すれば上方へ回動し、力が解除されれば自動的に水平に戻るようにされている。
【0003】
そして、このような機構として、特許文献1の図2においては、保持部材を水平状態になるように付勢する引っ張りバネを用い、図5においては弾発作用を有する弾性板を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−36892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1の図2におけるトイレットペーパホルダでは、金属製等の引っ張りバネを用いる必要があり、部品点数が増加しコスト高になるという問題がある。また、引っ張りバネが破損した場合には、破損した引っ張りバネを保持腕部から取り外し、交換しなければならないという煩わしさがある。
【0006】
この従来例のトイレットペーパホルダでは、弾性板は常に曲げている状態になっているので、長期の使用により劣化し、弾性力が弱くなり易い。弾性力が弱まると保持部材の戻りが悪くなり、トイレットペーパの装着が困難になるという問題がある。
【0007】
更に、このトイレットペーパホルダでは、引っ張りバネ、弾性板を保持腕部内に配置するために、保持腕部の厚みを薄くすることができず、全体として嵩張るという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、ばね部材の経年劣化がないトイレットペーパホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るトイレットペーパホルダは、本体部と、該本体部内にあってトイレットペーパを回転自在に保持する一対の回動保持部と、前記本体部に軸支して繰り出した前記トイレットペーパの紙片を切断する切断板とを備えたトイレットペーパホルダであって、前記回動保持部は、前記本体部に対して回動可能な軸体部と、該軸体部から直角方向に延在しトイレットペーパの芯材内に挿入する芯材保持部と、前記軸体部から前記芯材保持部と同方向に延在し前記軸体部の回動に抗して前記本体部に対して、付勢力が発生するばね条片とを有し、前記軸体部の下端に前記芯材保持部を設け、前記軸体部の上端に前記ばね条片を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るトイレットペーパホルダは、トイレットペーパの交換が容易で、ばね部材の経年劣化がない。また、保持板部を薄くすることができ、全体を軽量化することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トイレットペーパホルダの斜視図である。
図2】下方から見たトイレットペーパホルダの斜視図である。
図3】トイレットペーパを装着した状態のトイレットペーパホルダの斜視図である。
図4】切断板の断面図である。
図5】回動保持部の正面図である。
図6】回動保持部の斜視図である。
図7】ばね条片が規制部により復元ばね力を付与された状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1はトイレットペーパホルダの斜視図であり、図2はトイレットペーパホルダを下方から見た斜視図、図3はトイレットペーパを装着した状態の斜視図である。
【0013】
合成樹脂材から成るトイレットペーパホルダ10は、内部を空胴とした枠体から成る本体部20と、この本体部20内にあって、左右一対の回動保持部30a、30bと、引き出したトイレットペーパPを切断するための切断板40とを備えている。
【0014】
本体部20は左右両側に対向する一対の保持板部21a、21bを有し、本体部20の上部には上面板22が設けられ、本体部20の後面は背面板23により閉止されている。また、保持板部21a、21bのそれぞれの内側には回動保持部30a、30bを軸支する筒片部24a、24b(24bは図示せず)が設けられ、保持板部21a、21bの下方内側には、孔部を有する軸受部25a、25b(25bは図示せず)が突出されている。
【0015】
上面板22には、両側の筒片部24a、24b上に配置した凹部から成るばね受部26a、26bが形成され、ばね受部26a、26bにばねを係止するための板体部に切欠部を設けた係止部27a、27bが設けられている。
【0016】
また図4に示すように、上面板22の裏面には切断板40を係止するための爪部28が下方に突出されている。また、図2において背面板23の近傍の両保持板部21a、21bの内側には、切断板40の軸部を軸支する軸受孔29a、29b(29bは図示せず)が設けられている。
【0017】
図5はトイレットペーパPの芯部を保持するための回動保持部30a、30bの正面図、図6は斜視図である。この回動保持部30a、30bは合成樹脂により一体成型されており、本体部20の筒片部24a、24bに挿入される略円柱状の軸体部31が設けられている。この軸体部31の下端には、軸受部25a、25bの孔部に嵌合する下端軸部32と、直交方向に延在する芯材保持部33が設けられている。
【0018】
また、軸体部31の上端には、弾発性を有するばね条片34が芯材保持部33と同じ方向に向けて延在されており、このばね条片34は上面板22のばね受部26a、26b内に収容される。
【0019】
ばね条片34の中間部は係止部27a、27bの切欠部を通過することにより係止されている。更に、軸体部31の側面にあって、芯材保持部33とばね条片34の略中間位置には、回動保持部30a、30bの上昇を規制するための規制凸部35が設けられている。
【0020】
合成樹脂材から成る切断板40は、図1図4に示すように繰り出されたトイレットペーパPの紙片を切断するために設けられている。背面板23側の端辺の両側には、本体部20の軸受孔29a、29bに挿入する一対の軸部41が設けられ、切断板40の前方側の端辺は下方に湾曲され、端縁には鋸刃42が形成されている。また、切断板40の上面には、本体部20の爪部28に係合する係合部43が設けられている。
【0021】
切断板40を本体部20に対して取り付けるには、切断板40の一対の軸部41をそれぞれ軸受孔29a、29bに挿入することで、切断板40が上下方向に回動可能となる。
【0022】
次に、回動保持部30a、30bを本体部20に対して取り付けるには、回動保持部30a、30bの軸体部31をそれぞれ上端側から筒片部24a、24b内に挿入し、軸部32を軸受部25a、25bの取付孔部内に挿入する。また、回動保持部30a、30bのばね条片34はばね受部26a、26bの係止部27a、27bに挿入する。係止部27a、27bは、一対の板状体からなり、この板状体の間にばね条片34が配置されることになる。これにより、軸体部31は固定され、回動が加えられると、回動に抗してばね条片34に後述する水平方向に復元する付勢力が生ずる。
【0023】
トイレットペーパPをトイレットペーパホルダ10に装着する際には、切断板40を持ち上げて係合部43を本体部20の爪部28に係合して切断板40を上昇した状態にする。そして、トイレットペーパPの円筒状の芯材を水平にして、芯材保持部33を押し退けるようにして本体部20内に押し込む。すると、芯材保持部33は奥部方向に回動され、併せてばね条片34も変形する。
【0024】
このように、芯材保持部33がトイレットペーパPにより押されて回動すると、ばね受部26a、26b内のばね条片34の一部は、係止部27a、27bに係止されて図3の状態から図7の状態に変形する。このばね条片34は、回動に応じて撓み、ばね条片34の変形による付勢力が生じ、回動保持部30a、30bは、ばね条片34が湾曲した状態から元の図3の状態に戻ろうとして直線状になるように復元力が働く。
【0025】
芯材保持部33が所定の角度だけ後方に回動してトイレットペーパPの縁部から外れると、芯材保持部33はばね条片34の復元力により前方に回動して、トイレットペーパPの芯材内に嵌入する。これにより、トイレットペーパPを前後方向に移動させない限り、トイレットペーパPはトイレットペーパホルダ10から外れることなく、芯材保持部33を中心に回転自在に保持される。
【0026】
その後に、切断板40の係合部43による本体部20への係合を外し、切断板40をトイレットペーパP上に自重で載置して、トイレットペーパPの紙片が動かないようにする、トイレットペーパPが使用され続け、トイレットペーパPの径が小さくなると、切断板40はその径に追従して、常にトイレットペーパP上に位置する。
【0027】
トイレットペーパPの使用に際しては、トイレットペーパPを芯材保持部33を中心に回転させて、トイレットペーパPの紙片をトイレットペーパPの径に対する接線方向に繰り出して、必要な長さを切断板40の鋸刃42により切断すればよい。
【0028】
特に、ばね条片34は回動保持部30a、30bが回動する場合にのみばね力を発生させるので、通常の状態ではばねの経年劣化が生ずることはない。
【0029】
また本実施例では、軸体部31が鉛直方向が向くように回動保持部30a、30bを配置し、上面板22が上端となる構造のトイレットペーパホルダ10を説明した。しかし、保持板部21a、21bの水平方向に平行するように回動保持部30a、30bを配置して、背景技術で説明したトイレットペーパホルダと同じような構造にすることもできる。
【0030】
このように保持板部21a、21bの水平方向に配置した場合では、上面板22が壁等に接する壁面側に配置することになる。そして、トイレットペーパPは上下方向に取り付け・取り外すことになり、芯材保持部33も上下方向に回動することになる。
【0031】
また、実施例においては、上面板22の上部が露出するように図示しているが、実際にはこの上面板22の上に覆い板を取り付けているので、ばね条片34の湾曲時に上方側へ力が加わり、係止部27a、27bから外れてしまうことを防止している。同様に、保持板部21a、21bの水平方向に配置したトイレットペーパホルダも、壁面によってばね条片34が係止部27a、27bから外れてしまうことを防止している。
【符号の説明】
【0032】
10 トイレットペーパホルダ
20 本体部
21 保持板部
22 上面板
23 背面板
26 ばね受部
27 係止部
30 回動保持部
31 軸体部
32 軸部
33 芯材保持部
34 ばね条片
40 切断板
42 鋸刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7