特許第6585964号(P6585964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6585964-リチウムイオン電池の製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585964
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20190919BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20190919BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20190919BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M4/62 Z
   H01M4/66 A
   H01M2/02 K
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-164951(P2015-164951)
(22)【出願日】2015年8月24日
(65)【公開番号】特開2017-45530(P2017-45530A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098028
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊之
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄介
(72)【発明者】
【氏名】川北 健一
(72)【発明者】
【氏名】都藤 靖泰
(72)【発明者】
【氏名】進藤 康裕
(72)【発明者】
【氏名】大澤 康彦
(72)【発明者】
【氏名】草地 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一
(72)【発明者】
【氏名】赤間 弘
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
【審査官】 立木 林
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−118816(JP,A)
【文献】 特開2012−204182(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/041185(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01M 4/13− 4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極集電体の表面に正極電極組成物層が形成された正極と、負極集電体の表面に負極電極組成物層が形成された負極とをパレータを介して積層してなるリチウム二次単電池を、隣り合う一対の前記リチウム二次単電池の前記正極集電体と前記負極集電体とが隣接するように直列に積層して積層型電池モジュールを形成する工程と、
前記積層型電池モジュールを、可撓性を有する容器内に収納する工程と、
前記積層型電池モジュールを収納した容器の内部を脱気した後、この容器を封止する工程と
を含み、
前記正極集電体及び前記負極集電体はいずれも樹脂集電体からなり、
前記正極電極組成物層は正極活物質と電解液とからなるスラリー状正極電極組成物層であり、
前記負極電極組成物層は負極活物質と電解液とからなるスラリー状負極電極組成物層である
ことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
【請求項2】
前記容器はラミネートフィルムからなることを特徴とする請求項に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
【請求項3】
前記正極活物質及び前記負極活物質の少なくとも一方が、導電助剤と高分子とを含んでなる層で被覆されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のリチウムイオン電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電池モジュールを、可撓性を有する容器内に収納してなるリチウムイオン電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン(二次)電池は、高容量で小型軽量な二次電池として、近年様々な用途に多用されている。一般的なリチウムイオン電池は、正極及び負極を構成する略平板状の集電体の一面に正極活物質及び負極活物質をそれぞれ設けた後で熱処理してこれら正極活物質及び負極活物質を乾燥させ、正極活物質と負極活物質との間に必要であればセパレータを挾んでこれら正極活物質と負極活物質を積層することで略平板状のリチウム二次単電池を製造し、この単電池を複数層積層して構成していた(特許文献1参照)。
【0003】
このような、単電池を複数層積層してなるリチウムイオン電池において、集電体に樹脂集電体を用いたものが提案されている(特許文献2参照)。単電池に樹脂集電体を用いた場合、樹脂集電体は金属集電体に比較して電子流動性が低いために導電率が低い。このため、単電池を複数層積層する際に、上下に隣り合う単電池の上下面に位置する樹脂集電体を互いに密着させることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−135265号公報
【特許文献2】特開2010−62081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、上下に隣り合うリチウム二次単電池の樹脂集電体を互いに密着させた状態で複数層積層する構成について開示はなかった。
【0006】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体を互いに密着させることの可能なリチウムイオン電池の製造方法の提供を、その目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、正極集電体の表面に正極電極組成物層が形成された正極と、負極集電体の表面に負極電極組成物層が形成された負極とがセパレータを介して積層してなるリチウム二次単電池を、隣り合う一対のリチウム二次単電池の正極集電体と負極集電体とが隣接するように直列に積層して積層型電池モジュールを形成する工程と、積層型電池モジュールを、可撓性を有する容器内に収納する工程と、積層型電池モジュールを収納した容器の内部を脱気した後、この容器を封止する工程とを含み、正極集電体及び負極集電体はいずれも樹脂集電体からなり、正極電極組成物層は正極活物質と電解液とからなるスラリー状正極電極組成物層であり、負極電極組成物層は負極活物質と電解液とからなるスラリー状負極電極組成物層であるリチウムイオン電池の製造方法により、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
【0008】
ここで、本発明においてリチウム二次単電池とは、正極電極活物質と電解液とを含む正極電極組成物層を正極集電体の表面に形成した正極と、負極電極活物質と電解液とを含む負極電極組成物層を負極集電体の表面に形成した負極とを有し、正極電極組成物と負極電極組成物とがセパレータを介して積層された構造を有し、電池容器、端子配置及び電子制御装置等を備えていない電池である(参考:日本工業規格JIS C8715-2「産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム」)。なお、リチウム二次単電池は単電池と略する場合がある。
【0009】
ここで容器はラミネートフィルムからなることが好ましい。なお、ラミネートフィルムとは金属層の両面に高分子フィルムを配置した構造を有する複合フィルムである。さらに、正極活物質及び負極活物質の少なくとも一方が、導電助剤と高分子とを含んでなる層で被覆されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上下に隣り合う単電池の樹脂集電体を互いに密着させることの可能なリチウムイオン電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態であるリチウムイオン電池の製造方法により製造されたリチウムイオン電池を示す断面図である。
図2】一実施形態のリチウムイオン電池を示す斜視図である。
図3】一実施形態のリチウムイオン電池の作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(一実施形態)
図1図3を参照して、本発明の一実施形態であるリチウムイオン電池の製造方法について説明する。図1は、本発明の一実施形態であるリチウムイオン電池の製造法により製造されたリチウムイオン電池を示す断面図、図2は一実施形態のリチウムイオン電池を示す斜視図、図3は一実施形態のリチウムイオン電池の作用を示す断面図である。
【0013】
これら図において、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法により製造されたリチウムイオン電池Lは、リチウムイオン電池Lの外殻をなす、可撓性を有する容器20内に外形略平板状の単電池1が直列に複数積層された積層型電池モジュール21が収納されて構成されている。
【0014】
積層型リチウムイオン電池Lは、容器20の内部を脱気した後にこの容器を封止してあることによって、リチウムイオン電池Lに対して容器の外部から均一に大気の圧力が作用し、積層した単電池1が互いに気泡を含むことなく均一に互いに密着し、電池特性の向上と安定化を図ることが出来る。また、積層した単電池1が互いに均一に密着すること等によって、リチウムイオン電池L全体の歪みが無くなり、剛性が高まり、安定性が向上する。
【0015】
単電池1は、図1に詳細を示すように、略平板状の樹脂集電体である正極集電体7の表面に正極電極活物質と電解液とを含む略平板状の正極電極組成物層5が形成された正極2と、同様に略平板状の樹脂集電体である負極集電体8の表面に負極電極活物質と電解液とを含む略平板状の負極電極組成物層6が形成された負極3とが、同様に略平板状のセパレータ4を介して積層されて構成され、全体として略平板状に形成されている。これにより、対向する正極集電体7及び負極集電体8を図中上面及び下面にそれぞれ有する単電池1が構成される。
【0016】
正極電極組成物層5及び負極電極組成物層6は、正極活物質又は負極活物質粒子と電解液とを含むスラリー状の正極電極組成物及び負極電極組成物である。なお、正極、負極活物質粒子と電解液とを混合した正極電極組成物層5及び負極電極組成物層6は、通常スラリー状であるが、正極、負極活物質粒子と電解液との重量比によってはゲル状物質や粉体に近い物質になることもある。
【0017】
図1に最もよく示されるように、正極集電体7及び負極集電体8は、単電池1の端部に形成されたシール部材9により所定間隔をもって対向するように位置決めされている。また、セパレータ4の端部がこのシール部材9内に埋め込まれることで、このセパレータ4が支持されるとともに、セパレータ4と正極集電体7及び負極集電体8との位置関係が定められている。
【0018】
正極集電体7とセパレータ4との間の間隔、及び、負極集電体8とセパレータ4との間の間隔はリチウムイオン電池Lの容量に応じて調整され、これら正極集電体7、負極集電体8及びセパレータ4の位置関係は必要な間隔が得られるように定められている。
【0019】
図1に示す単電池1は、隣り合う単電池1の正極集電体7の上面と負極集電体8の下面とが隣接するように直列に積層されて積層型電池モジュール21が形成され、そして、この積層型電池モジュール21が容器20に減圧封止されて収納されて、図1に示す本実施形態のリチウムイオン電池Lが構成されている。
【0020】
本実施形態のリチウムイオン電池Lを構成する容器20は、図1に詳細を示すように、上容器20a及び下容器20bに分割されて構成されている。上容器20a及び下容器20bは略同一の形状に形成されており、上面が開口した上容器本体20c及び下容器本体20dと、これら上容器本体20c及び下容器本体20dの図1において左右の端部から側方に突出する一対の上容器縁部20e及び下容器縁部20fとを備える。
【0021】
そして、上容器20a及び下容器20bが相対向して配置されることで形成される内部空間に積層型電池モジュール21が収納され、この内部空間が減圧された状態で、上容器縁部20e及び下容器縁部20fが図略のシール部材により封止されることで、本実施形態のリチウムイオン電池Lが構成される。
【0022】
ここで、図1に示すように、上容器20a及び下容器20bと積層型電池モジュール21との間には電極端子10、11がそれぞれ介在されており、この電極端子10、11の一部10a、11aは上容器縁部20e及び下容器縁部20fを通ってリチウムイオン電池Lの外方にまで延出している。
【0023】
正極電極活物質は正極活物質粒子を含んでなり、正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMnO2及びLiMn24)、遷移金属酸化物(例えばMnO2及びV25)、遷移金属硫化物(例えばMoS2及びTiS2)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられる。
【0024】
また、負極電極活物質は負極活物質粒子からなり、負極活物質粒子としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリキノリン等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLi4Ti512等)等が挙げられる。
【0025】
単電池1においては、正極、負極活物質粒子は、表面の少なくとも一部が被覆用樹脂及び導電助剤を含む被覆剤で被覆されてなる被覆活物質粒子であることが好ましい。
【0026】
被覆剤は被覆用樹脂を含んでおり、正極活物質粒子の周囲が被覆剤で被覆されていると、電極の体積変化が緩和され、電極の膨脹を抑制することができる。被覆用樹脂の例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。これらの中ではビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹脂が好ましい。
【0027】
導電助剤としては、導電性を有する材料から選択される。
【0028】
具体的には、金属[アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック、単層カーボンナノチューブ及び多層カーボンナノチューブ等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0029】
これらの導電助剤は1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物が用いられてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤とは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をメッキ等でコーティングしたものでもよい。
【0030】
導電助剤として導電性繊維を用いることも可能である。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。
【0031】
被覆活物質粒子は、例えば、活物質粒子を万能混合機に入れて30〜500rpmで撹拌した状態で、被覆用樹脂を含む樹脂溶液を1〜90分かけて滴下混合し、さらに導電助剤を混合し、撹拌したまま50〜200℃に昇温し、0.007〜0.04MPaまで減圧した後に10〜150分保持することにより得ることができる。
【0032】
活物質粒子を含むスラリー状物質は、電解液を含む電解液スラリーであることが好ましい。
【0033】
電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する電解液を使用することができる。
【0034】
電解質としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiAsF6及びLiClO4等の無機酸のリチウム塩、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22及びLiC(CF3SO23等の有機酸のリチウム塩等が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPF6である。
【0035】
非水溶媒としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
【0036】
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、より好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、さらに好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。特に好ましいのはプロピレンカーボネート(PC)、またはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
【0038】
スラリー状物質は、活物質粒子並びに導電助剤を電解液又は非水溶媒の重量に基づいて10〜60重量%の濃度で分散してスラリー化することにより調製することが好ましい。
【0039】
セパレータ4としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等、ポリオレフィン製の微多孔膜フィルム、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等が挙げられる。
【0040】
樹脂集電体である正極集電体7、負極集電体8を構成する高分子材料は、導電性高分子であってもよいし、導電性を有さない高分子であってもよい。
【0041】
高分子材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0042】
電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
【0043】
また、樹脂集電体は、導電性の高分子材料を含む樹脂集電体の導電性を向上させる目的、あるいは、導電性を有さない高分子材料を含む樹脂集電体に導電性を付与する目的から、導電性フィラーを含んでいると好ましい。導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、集電体内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが好ましい。具体的には、カーボン材料、アルミニウム、金、銀、銅、鉄、白金、クロム、スズ、インジウム、アンチモン、チタン、ニッケルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、ステンレス(SUS)等のこれらの合金材が用いられてもよい。耐食性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン材料、ニッケル、より好ましくはカーボン材料である。また、これらの導電性フィラーは、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに、上記で示される金属をメッキ等でコーティングしたものであってもよい。
【0044】
樹脂集電体の具体例としては、ポリプロピレンに導電性フィラーとしてアセチレンブラックを5〜20部分散させた後、熱プレス機で圧延したものが挙げられる。また、その厚みも特に制限されず、公知のものと同様、あるいは適宜変更して適用することができる。
【0045】
シール部材9を構成する材料としては、正極、負極集電体7、8との接着性を有し、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、高分子材料、特に熱硬化性樹脂が好ましい。具体的には、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
【0046】
容器20を構成する材料は、容器20内に積層型電池モジュール21を収納しうる材料であれば、任意の材料が好適に適用可能である。但し、単電池1と容器20とが接触する可能性があることを考慮して、容器20を構成する材料は絶縁性を有する材料であることが好ましい。加えて、容器20は、積層型電池モジュール21を内部に収納した状態で減圧封止することから、容器20を構成する材料は可撓性及び気密性を有する材料であることが好ましい。このような材料としては、ラミネートフィルムが好ましい。ラミネートフィルムの一例としては、アルミニウム又はニッケル等の金属層の両面を高分子フィルムで覆ったフィルムが挙げられ、金属層の両面に配置される高分子フィルムのうち、容器の内面となる高分子フィルムがポリエチレン及びポリプロピレン等の熱融着性樹脂からなる高分子フィルムであるラミネートフィルムが挙げられる。
【0047】
次に、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法について説明する。
【0048】
まず、正極集電体7及び負極集電体8のそれぞれの表面に、正極電極活物質と電解液とを含む正極電極組成物5、及び負極電極活物質と電解液とを含む負極電極組成物6を形成して正極2及び負極3を形成する。正極2及び負極3を形成する手法は任意であり、正極集電体7及び負極集電体8のそれぞれの表面に正極電極組成物5及び負極電極組成物6を塗布する、正極集電体7及び負極集電体8のそれぞれの表面に、ノズル等を介して正極電極組成物5及び負極電極組成物6を載置した後に所定厚になるようにヘラ等で均す、など、種々の手法が挙げられる。その後、セパレータ4を介して正極2及び負極3を積層し、正極集電体7及び負極集電体8の端部、さらにセパレータ4の端部をシール部材9により封止することで単電池1を製造することができる。
【0049】
次いで、上述の工程により製造された単電池1を、隣り合う単電池1の正極集電体7の上面と負極集電体8の下面とが隣接するように直列に積層して積層型電池モジュール21を形成し、さらに、この積層型電池モジュール21及び電極端子10、11を容器20内に収納し、容器20内を脱気した後にシール部材で封止することで、本実施形態のリチウムイオン電池Lを製造することができる。
【0050】
以上説明した、本実施形態のリチウムイオン電池の製造方法により製造されたリチウムイオン電池Lは、積層型電池モジュール21を収容する、可撓性を有する容器20内部が脱気された後に封止されているので、図3に示すように、容器20外部から大気圧Pが均一に積層型電池モジュール21に作用する。これにより、積層型電池モジュール21を構成する単電池1において、隣り合う単電池1の樹脂集電体である正極集電体7と負極集電体8とが互いに均一に密着する。これにより、金属集電体に比較して導電率が低い樹脂集電体を正極集電体7及び負極集電体8に用いても、積層型電池モジュール21全体の特性の向上と安定化を図ることができる。
【0051】
加えて、容器20外部から大気圧Pが均一に積層型電池モジュール21に作用することにより、リチウムイオン電池L全体の歪みを少なくすることができると共に、リチウムイオン電池Lの剛性を高めることができ、この面からも、積層型電池モジュール21全体の特性の安定化を図ることができる。
【0052】
特に、本実施形態では、正極電極組成物層5及び負極電極組成物層6が、正極活物質又は負極活物質粒子と電解液とを含むスラリー状の正極電極組成物及び負極電極組成物である。従って、これら正極電極組成物層5及び負極電極組成物層6を備える単電池1全体が柔軟性を備える構成になる。このような、柔軟性を有する単電池1により積層型電池モジュール21が構成され、この積層型電池モジュール21が容器20内に減圧封止されて収納されているので、隣り合う単電池1の樹脂集電体である正極集電体7と負極集電体8とが互いにより均一に密着し、結果として、積層型電池モジュール21全体の特性の安定化をさらに図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
L リチウムイオン電池
1 単電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 正極電極組成物
6 負極電極組成物
7 正極集電体
8 負極集電体
9 シール部材
20 容器
21 積層型電池モジュール
図1
図2
図3