特許第6585997号(P6585997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6585997
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】蒸気システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20190919BHJP
   F22B 37/38 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   F22B35/00 G
   F22B37/38 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-226503(P2015-226503)
(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公開番号】特開2017-96519(P2017-96519A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 直弘
(72)【発明者】
【氏名】飛田 泰平
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−027199(JP,A)
【文献】 特開2002−089799(JP,A)
【文献】 特開2000−356404(JP,A)
【文献】 実開平06−065702(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 35/00
F22B 37/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を生成するボイラと、
前記ボイラから供給される蒸気を貯留するスチームヘッダと、
前記スチームヘッダに接続され、前記スチームヘッダに貯留された蒸気が流通する配管と、
前記配管を流通する蒸気の体積流量を調節するバルブと、
前記配管を流通する蒸気の体積流量を検出する体積流量計と、
前記バルブを制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記体積流量計により検出された蒸気の体積流量に基づいて前記バルブを制御することを特徴とする蒸気システム。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気システムにおいて、
前記制御部は、前記バルブが閉じた状態から前記バルブを開けるときに、前記体積流量計により検出された蒸気の体積流量に基づいて前記バルブの開度を調節することを特徴とする蒸気システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の蒸気システムにおいて、
前記制御部は、前記配管を流通する蒸気の体積流量が所定の目標体積流量となるように前記バルブを制御することを特徴とする蒸気システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の蒸気システムにおいて、
前記配管における前記バルブの下流側の圧力を検出する圧力計をさらに備え、
前記制御部は、前記圧力計により検出される圧力に基づいて、前記バルブを制御する際のバルブの開度の上限値を設定することを特徴とする蒸気システム。
【請求項5】
請求項4に記載の蒸気システムにおいて、
前記制御部は、前記圧力計により検出される圧力が高くなるに従って、前記上限値を大きくすることを特徴とする蒸気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、蒸気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボイラとスチームヘッダとを備えた蒸気システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された蒸気システムは、ボイラとスチームヘッダとを備え、ボイラから供給される蒸気をスチームヘッダに一時的に貯留し、スチームヘッダから負荷機器へ蒸気を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−224148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スチームヘッダに貯留された蒸気は、スチームヘッダに接続された配管を介してスチームヘッダから負荷機器に供給される。この配管にはバルブが設けられており、スチームヘッダから流出する蒸気の体積流量は、バルブによって調節される。
【0006】
このような蒸気が流通する配管においては、ウォータハンマが生じる虞がある。例えば、蒸気システムの運転を開始するような場合には、バルブが全閉にされた状態から開かれ、スチームヘッダからの蒸気が配管へ流出し始める。このときスチームヘッダには高圧の蒸気が貯留されているので、バルブの上流側と下流側とでは差圧が大きく、バルブを開弁したときに蒸気が急激に膨張しスチームヘッダから配管へ勢いよく流れ出す。配管内では蒸気が凝縮して、ドレンが発生し得る。ここへ蒸気が勢いよく流れてくると、ロールウェーブ現象によりドレンが蒸気に押されて、大きな塊となりながら配管内を移動していく。その結果、ウォータハンマが生じ得る。
【0007】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、配管におけるウォータハンマの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示された蒸気システムは、蒸気を生成するボイラと、前記ボイラから供給される蒸気を貯留するスチームヘッダと、前記スチームヘッダに接続され、前記スチームヘッダに貯留された蒸気が流通する配管と、前記配管を流通する蒸気の体積流量を調節するバルブと、前記配管を流通する蒸気の体積流量を検出する体積流量計と、前記バルブを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記体積流量計により検出された蒸気の体積流量に基づいて前記バルブを制御する。
【発明の効果】
【0009】
ここに開示された蒸気システムによれば、配管におけるウォータハンマの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、蒸気システム100のシステム図である。
図2図2は、バルブの開弁制御のフローチャートである。
図3図3は、開弁制御のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
《実施形態1》
図1は、蒸気システム100のシステム図である。
【0013】
蒸気システム100は、蒸気を生成するボイラ10と、蒸気を貯留するスチームヘッダ20と、ボイラ10とスチームヘッダ20とを接続する蒸気管31と、スチームヘッダ20に接続された配管32と、配管32に設けられたバルブ40と、配管32に設けられた体積流量計51と、配管32に設けられた圧力計52と、バルブ40を制御する制御部60とを備えている。
【0014】
スチームヘッダ20は、蒸気管31を介してボイラ10から供給される蒸気を一時的に貯留する。スチームヘッダ20に貯留された蒸気は、配管32を介して負荷機器(図示省略)に供給される。
【0015】
バルブ40は、開度を調節することによって配管32を流通する蒸気の体積流量を調節する。バルブ40は、制御部60からの指令に応じて開度が調節される。
【0016】
体積流量計51は、配管32を流通する蒸気の体積流量を検出する。体積流量計51は、バルブ40の下流側に設けられている。体積流量計51は、配管32におけるバルブ40の下流側の体積流量を検出する。
【0017】
圧力計52は、配管32内の圧力を検出する。圧力計52は、バルブ40の下流側に設けられている。圧力計52は、配管32におけるバルブ40の下流側の圧力を検出する。
【0018】
制御部60は、プロセッサを含んで構成されている。制御部60は、各信号の授受が可能な状態で、バルブ40、体積流量計51及び圧力計52に接続されている。制御部60は、体積流量計51の検出信号に応じてバルブ40の開度を調節する。具体的には、制御部60は、バルブ40の開度を調節することによって、配管32を流通する蒸気の体積流量を制御する。
【0019】
以下に、スチームヘッダ20から蒸気の流出を開始する際の制御部60によるバルブ制御(以下、「バルブの開弁制御」という)について、図2、3を参照しながら詳しく説明する。図2は、バルブの開弁制御のフローチャートである。図3は、開弁制御のタイミングチャートである。
【0020】
スチームヘッダ20から蒸気の流出を開始する前の段階では、バルブ40は全閉状態とされ、配管32には蒸気が流通していない。このとき、スチームヘッダ20にはボイラ10で生成された蒸気が貯留されており、スチームヘッダ20は、比較的高圧な状態となっている。一方、配管32は、大気圧等の比較的低圧な状態となっている。制御部60は、この状態からバルブ40を開弁するときに、配管32におけるウォータハンマの発生を抑制するようにバルブ40の開度を調節する。
【0021】
まず、バルブ40の開弁を開始するときに、制御部60は、バルブ40の開度Aの上限値として第1開度a1を設定する(ステップS1)。そして、制御部60は、バルブ40を開き始める(ステップS2)。制御部60は、配管32における蒸気の体積流量Qが目標体積流量qtとなるようにバルブ40の開度Aをフィードバック制御する。
【0022】
図3(ii)に示すように、開弁を開始するとき(時間T=0)は体積流量Qが略零であり、目標体積流量qtと体積流量Qとの偏差が大きいので、制御部60は、体積流量Qを増大させるべく開度Aを急激に増大させていく。ただし、開度Aの上限値が第1開度a1に設定されているので、開度Aは第1開度a1までしか増大しない。そのため、体積流量Qが目標体積流量qtに達していないものの、開度Aは第1開度a1に維持される。
【0023】
その後、制御部60は、圧力計52に基づいて配管32の圧力Pを監視し、圧力Pが所定の第1圧力p1以上となるか否かを判定する(ステップS3)。圧力Pが第1圧力p1に達するまで、制御部60は、ステップS3を繰り返す。
【0024】
やがて、圧力Pが第1圧力p1以上となると、制御部60は、ステップS4において、開度Aの上限値として第2開度a2を設定する(ステップS4)。第2開度a2は、第1開度a1よりも大きな開度である。
【0025】
図3の例では、(iii)に示すように、時間t1において、圧力Pが第1圧力p1に達する。体積流量Qは、(i)に示すように、時間t1においても目標体積流量qtに達していないので、制御部60は、(ii)に示すように、開度Aを第1開度a1から増大させる。ただし、開度Aの上限値が第2開度a2に設定されているので、開度Aは第2開度a2までしか増大しない。開度Aは、しばらくの間、第2開度a2に維持される。
【0026】
その後、制御部60は、圧力計52に基づいて配管32の圧力Pを監視し、圧力Pが所定の第2圧力p2以上となるか否かを判定する(ステップS5)。第2圧力p2は、第1圧力p1よりも高い圧力である。圧力Pが第2圧力p2に達するまで、制御部60は、ステップS5を繰り返す。
【0027】
やがて、圧力Pが第2圧力p2以上となると(図3(iii)参照)、制御部60は、ステップS6において、開度Aの上限値の設定を解除する(ステップS6)。これにより、制御部60は、体積流量Qが目標体積流量qtとなるように、開度Aを制限無く制御することができるようになる。その後、制御部60は、開弁制御を継続する(ステップS7)。
【0028】
図3の例では、(iii)に示すように、時間t2において、圧力Pが第2圧力p2に達する。体積流量Qは、(i)に示すように、時間t2においても目標体積流量qtに達していないので、制御部60は、(ii)に示すように、開度Aを第2開度a2から増大させる。このとき、開度Aの上限値が設定されていないので、制御部60は、体積流量Qが目標体積流量qtとなるように、開度Aを制限無く制御する。やがて、体積流量Qは目標体積流量qtとなる。
【0029】
ここで、圧力Pは、図3(iii)に示すように、スチームヘッダ20からの蒸気の流出に伴って上昇する。それに従って、バルブ40の上流側と下流側との差圧はしだいに小さくなるので、目標体積流量qtを実現するために必要な開度Aは、圧力Pの上昇に伴って大きくなる。そのため、体積流量Qが目標体積流量qtに達した後も、目標体積流量qtを維持するために、開度Aは、圧力Pの上昇に伴ってさらに開けられていく。図3の例では、圧力Pがスチームヘッダ20の圧力とバランスして一定の圧力p0に安定する前に開度Aが100%に達するので、開度Aが100%に達した後は圧力Pの上昇に応じて体積流量Qが低下していく。やがて、圧力Pは、圧力p0で安定し、体積流量Qは、圧力p0及び開度100%に対応する値に安定する。
【0030】
このように、配管30における蒸気の体積流量に基づいてバルブ40の開度を制御することによって、蒸気の体積流量の急激な増大を抑制することができる。その結果、スチームヘッダ20から蒸気の流出を開始する際のウォータハンマの発生を抑制することができる。
【0031】
その際に、バルブ40の開度に上限値を設けることによって、バルブ40の開度に対する蒸気の体積流量の応答遅れに起因する蒸気の体積流量の急激な増大を抑制することができる。つまり、バルブ40の開度を調節しても、それに対する蒸気の体積流量の変化にはタイムラグがあるため、蒸気の体積流量が目標体積流量に対してオーバーシュートする、即ち、蒸気の体積流量が過大になる虞がある。それに対し、バルブ40の開度に上限値を設けることによって、蒸気の体積流量にも上限が設けられるので、蒸気の体積流量が過大となることが防止される。そして、バルブ40の開度の上限値を徐々に大きくして、最終的には上限を解除することによって、蒸気の体積流量が過大となることを抑制しながら、蒸気の体積流量をしだいに増大させることができる。
【0032】
特に、バルブ40の上流側と下流側との差圧が大きい場合にはバルブ40の下流側で蒸気の体積流量が増大しやすいので、バルブ40の下流側の圧力が低いほど上限値を小さくすることによって、蒸気の体積流量の急激な増大を効果的に抑制することができる。
【0033】
以上のように、蒸気システム100は、蒸気を生成するボイラ10と、ボイラ10から供給される蒸気を貯留するスチームヘッダ20と、スチームヘッダ20に接続され、スチームヘッダ20に貯留された蒸気が流通する配管32と、配管32を流通する蒸気の体積流量を調節するバルブ40と、配管32を流通する蒸気の体積流量を検出する体積流量計51と、バルブ40を制御する制御部60とを備え、制御部60は、体積流量計51により検出された蒸気の体積流量に基づいてバルブ40を制御する。
【0034】
この構成によれば、配管30における蒸気の体積流量に基づいてバルブ40の開度を制御することによって、配管30でのウォータハンマの発生を抑制することができる。例えば、バルブ40の上流側と下流側との差圧が大きい場合には、バルブ40の下流側での蒸気の体積流量が増大しやすい。蒸気の体積流量が急激に増大すると、ウォータハンマが発生する虞がある。例えば、バルブ40の開度を蒸気の質量流量に基づいて制御する場合、蒸気の体積流量の急激な増大を把握することは難しく、ウォータハンマの発生を抑制することが難しい。それに対し、制御部60は、蒸気の体積流量に基づいてバルブ40の開度を制御するので、配管30でのウォータハンマの発生を抑制することができる。
【0035】
また、制御部60は、バルブ40が閉じた状態からバルブ40を開けるときに、体積流量計51により検出された蒸気の体積流量に基づいてバルブ40の開度を調節する。
【0036】
このように、バルブ40を閉じた状態から開く場合には、バルブ40の上流側と下流側との差圧が大きいので、バルブ40の下流側で蒸気の体積流量が急増しやすい。そのため、このような状況において、蒸気の体積流量に基づくバルブ40の開度の制御を行うことによって、ウォータハンマの発生を効果的に抑制することができる。
【0037】
具体的には、制御部60は、配管32を流通する蒸気の体積流量が所定の目標体積流量となるようにバルブ40を制御する。
【0038】
つまり、蒸気の体積流量の目標値が設定され、蒸気の体積流量がその目標値となるようにバルブ40の開度が制御されるので、蒸気の体積流量が過大となることが抑制される。
【0039】
さらに、蒸気システム100は、配管32におけるバルブ40の下流側の圧力を検出する圧力計52をさらに備え、制御部60は、圧力計52により検出される圧力に基づいて、バルブ40を制御する際のバルブ40の開度の上限値を設定する。
【0040】
この構成によれば、バルブ40の開度に上限値が設定されるので、バルブ40の開度に対する蒸気の体積流量の応答遅れに起因する蒸気の体積流量の急増を抑制することができる。さらに、蒸気の体積流量の増大のしやすさは、バルブ40の下流側の圧力に影響を受けるので、上限値をバルブ40の下流側の圧力に基づいて設定することによって、蒸気の体積流量の急増を効果的に抑制することができる。
【0041】
具体的には、制御部60は、バルブ40の下流側の圧力が所定の圧力(第2圧力p2)よりも小さいときには、バルブ40の開度に上限値を設定し、バルブ40の下流側の圧力が前記所定の圧力以上のときには、上限値の設定を解除する。
【0042】
つまり、バルブ40の下流側の圧力が小さいほど、蒸気の体積流量は増大しやすい。そのため、バルブ40の下流側の圧力が小さいときには、開度の上限値を設定して蒸気の体積流量の急増を抑制し、バルブ40の下流側の圧力が大きいときには、開度の制限を解除して蒸気の体積流量を目標体積流量に精度良く調節する。
【0043】
それに加えて、制御部60は、圧力計52により検出される圧力が高くなるに従って、開度の上限値を大きくする。例えば、制御部60は、圧力計52により検出される圧力が高くなるに従って、開度の上限値を段階的に大きくする。
【0044】
つまり、バルブ40の下流側の圧力が小さいほど、蒸気の体積流量は増大しやすいので、バルブ40の下流側の圧力が小さいほど上限値を小さくすることによって、蒸気の体積流量の急増をより効果的に抑制することができる。
【0045】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0046】
前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0047】
例えば、蒸気システム100の構成は、一例に過ぎず、これに限定されるものではない。例えば、配管32には、バルブ40とは別のメインバルブと、メインバルブをバイパスするバイパス管とが設けられており、バルブ40は、バイパス管に設けられていてもよい。このような構成の場合、スチームヘッダ20から蒸気の流出を開始する前の段階では、メインバルブ及びバルブ40の両方が全閉状態とされ、スチームヘッダ20から蒸気の流出を開始する際にはまずバルブ40だけが開弁される。この際のバルブ40の開度の制御は、前述の開弁制御が実行される。そして、バルブ40の開度が100%に達する等の、ウォータハンマが発生する可能性が低くなった所定のタイミングでメインバルブが開かれるようにしてもよい。この際のメインバルブの作動は、オペレータによる手動であってもよい。
【0048】
前記開弁制御はスチームヘッダ20から蒸気の流出を開始する際に実行されているが、それ以外のバルブ40の下流側で蒸気の体積流量が急増しやすい状況においても、蒸気の体積流量に基づいたバルブ40の開度制御を行ってもよい。
【0049】
また、前記開弁制御では、バルブ40の開度Aに上限値が設定されているが、必ずしも上限値を設定しなくてもよい。ただし、オーバーシュートに起因する蒸気の体積流量の増大を抑制する観点からは上限値を設定することが好ましい。
【0050】
さらに、バルブ40の開度Aの上限値は、2段階(第1開度a1、第2開度a2)に限られるものではない。例えば、上限値は、1段階であってもよいし、3段階以上であってもよいし、さらには、圧力Pに応じて線形的に変動してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、ここに開示された技術は、蒸気システムについて有用である。
【符号の説明】
【0052】
100 蒸気システム
10 ボイラ
20 スチームヘッダ
32 配管
40 バルブ
51 体積流量計
52 圧力計
60 制御部

図1
図2
図3