【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 以下の展示会及び刊行物にて発表 1.展示日:平成27年12月8日 展示会名:2016年 春の新商品発表会 開催場所:グランフロント大阪towerB10階ナレッジキャピタル(大阪府大阪市北区大深町3−1) 2.展示日:平成27年12月9日乃至10日 展示会名:2016年 春の新商品発表会 開催場所:フクラシア品川 クリスタルスクエア2F(東京都港区港南1−6−41) 3.展示日:平成27年12月15日 展示会名:2016年 春の新商品発表会 開催場所:FFB HALL(福岡市博多区博多駅前2−10−19) 4.発行日:平成27年12月7日 刊行物名:マルカン2016年春の新商品事典, 26頁,37頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ペット用飲料を貯留する貯留タンクと、この貯留タンクの上方に設けられた飲料摂取部と、前記貯留タンクに貯留されるペット用飲料を前記飲料摂取部に供給する循環ポンプと、少なくとも一部が前記貯留タンク内に配置され前記飲料摂取部から排出されたペット用飲料が前記貯留タンクに戻る際に通過するフィルタ部と、前記貯留タンクに固定され、下端部が前記貯留タンク内に開口するとともに前記貯留タンクにペット用飲料を補給する補給タンクが取り付けられるタンク取付部とを備え、
前記フィルタ部は、ペット用飲料に含まれる異物を除去する異物除去層と、この異物除去層の下方にペット用飲料の特性を改善する特性改善層とを含み、
前記タンク取付部は、上下高さ位置について、前記異物除去層の上面位置と前記特性改善層の下面位置との間において開口していることを特徴とするペット用飲料供給装置。
前記タンク取付部は、下端部に下方に開口する筒状スリーブを有し、この筒状スリーブの下端開口面の法線は、垂直方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1記載のペット用飲料供給装置。
前記フィルタ部は、前記特性改善層の下方に特性改善層内の物質の流出を抑制する流出抑制層をさらに含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のペット用飲料供給装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態のペット用飲料供給装置は、ペット用飲料のうち水(飲料水)を犬に供給する犬用給水器として構成されているが、本発明の飲料供給装置は、水に限らず、水に栄養、味、香り等を添加したペット用清涼飲料水やミルクなど、ペットが摂取することができる液体であれば幅広く適用可能である。また、対象となるペットは、犬に限定されるものではなく、猫、ウサギ、ハムスター、フェレット等、ペット用飲料を摂取する動物が広く含まれる。
【0021】
図1は本実施形態のペット用飲料供給装置を示す斜視図であり、
図2はこの供給装置を分解して示す斜視図である。
図3は、
図1の縦断面図である。なお、以下、説明の便宜上、各図における+X方向を右方向、+Y方向を前方向、+Z方向を上方向として説明するが、これらの方向の表現については特に限定されるものではなく、単に本実施形態における相対的な位置関係を表したものである。
【0022】
本実施形態の犬用給水器1は、上方に開口する容器状に構成され内部に水を貯留する貯水タンク2(貯留タンクに対応)と、この貯水タンク2の上部開口部に配置されたフィルタトレイ3と、このフィルタトレイ3の上方に設けられた摂水部4(飲料摂取部に対応)と、貯水タンク2の内側底部に配置され貯水タンク2に貯留された水を摂水部4に供給する循環ポンプ5と、フィルタトレイ3内に配置され摂水部4から排出された水が貯水タンク2に戻る際に通過するフィルタカートリッジ6(フィルタ部に対応)と、貯水タンク2の内側周縁部に配置され下端が貯水タンク2内に開口したタンクスタンド7(タンク取付部に対応)と、このタンクスタンド7の上端部に取り付けられる補給タンク8とを備え、貯水タンク2の水を摂水部4に循環供給することにより主に摂水部4で犬が水を摂取できるようになされている。
【0023】
貯水タンク2は、上方に開口する容器であり、内部に水を貯留することができるように構成されている。本実施形態では、貯水タンク2は、タンク本体20と、このタンク本体20に取り付けられる補強ガイド部21とを備え、平面視で略円形の深皿状に構成されている。
【0024】
図4はこのタンク本体を示す平面図であり、
図5はタンク本体の縦断面図である。
【0025】
具体的には、タンク本体20は、合成樹脂の一体成形品であり、外殻壁部22と、外殻壁部22の上端に連設され外殻壁部22とともにタンク本体20の周壁部をなす内殻壁部23と、内殻壁部23の下端に配置された底壁部24とを備え、略円形の深皿状に構成されている。
【0026】
外殻壁部22は、下方に向かうにしたがって外方に傾斜して構成され、これにより載置安定性を高めるものとなされている。一方、内殻壁部23は上部において内側にクランク状に屈曲した状態に構成され、この屈曲による第1段部23aにフィルタトレイ3が載置可能に構成されている。底壁部24の中央部偏心位置には、循環ポンプ5が位置決めされる鉤状の一対のポンプ取付リブ24aが内角を内側に配した状態で長方形の対角上に配設され、このリブ24a内に循環ポンプ5が配置される。
【0027】
タンク本体20は、内殻壁部23の内側において水を貯留する平面視略円形の貯水空間2aと、周方向の一部において、外殻壁部22が径方向外側に膨出するとともに内殻壁部23の上部が径方向外側に段階的に膨出してタンクスタンド7が配置される取付空間2bとが設けられている。この取付空間2bに対応する外殻壁部22の上部、具体的には膨出した外殻壁部22の膨出方向先端部分における上部には、下部が上部に対して凹むことによりタンクスタンド7が係止される係止段部22aが設けられている。また、取付空間2bに対応する内殻壁部23が下側から段階的に径方向外側に膨出することにより、下側から順に、第2段部23b及び第3段部23cが形成されている。
【0028】
また、この取付空間2bにおける最底部を構成する内殻壁部23の第2段部23bは第1段部23aよりも下方に配置され、この取付空間2bに対応する部分の第1段部23aは省略されている。また、この第2段部23bよりも上方に設けられた第3段部23cには、補強ガイド部21が取り付けられるガイド取付孔23dが設けられ、この取付孔23dの内部空間は水密に構成され、貯水空間2a側に開放されて当該貯水空間2aに連通するものとなされている。この第3段部23cは、第1段部23aよりも上方に配置されている。なお、このガイド取付孔23dの側方における第3段部23cには、循環ポンプ5の配線コード(不図示)を外側に引き出すためのコード取出孔23eが設けられている。
【0029】
本実施形態では、この取付空間2bに補強ガイド部21が配置され、タンクスタンド7の取付強度を向上するようになされている。
【0030】
この補強ガイド部21は、
図2に示すように、平面視略三角形状を呈するとともに中央にタンクスタンド7が取り付けられる取付孔211aが設けられた天板211と、天板211の内側縁(図例では右側縁側)から第2段部23bに向かって下方に垂下するとともに下端縁から上方に延びるスリット212aを有する垂下片212と、天板211の取付孔211aの周縁部から下方に垂下するとともに下方に開口するガイドボス部213と、垂下片212のスリット212aとガイドボス部213とを連結する前後一対の連結片214とを備え、取付空間2b周りのタンク本体20を補強するものとなされている。なお、一対の連結片214間の空間によって、スリット212aとガイドボス部213の内部は連通するものとなされている。またガイドボス部213は、上下方向に延びる補強リブ213aが周方向に沿って複数本立設され、補強されている。
【0031】
フィルタトレイ3は、フィルタカートリッジ6を収納するものであり、平面視ドーナツ型の平皿形状を呈する。このフィルタトレイ3は、その外周縁が貯水タンク2の貯水空間2aに対応して構成され、周縁部が貯水タンク2における内殻壁部23の第1段部23a上に載置されている。
図6は、フィルタトレイを示す縦断面図である。
【0032】
具体的には、フィルタトレイ3は、中心部に円筒状ボス部31aが立設された平面視円形のトレイ本体31と、このトレイ本体31の外周壁上端に径方向外側に突出して設けられた環状の水受け部32と、この水受け部32の下面とトレイ本体31の外周壁側壁面とを周方向に沿って複数箇所で連結する受け補強リブ33とを有し、この水受け部32の下面外周縁部が第1段部23aに載置されている。
【0033】
トレイ本体31は、中心部に円筒状ボス部31aが立設された平面視略円形の平皿状部材である。このトレイ本体31の底壁部には、扇形の流通孔311が円筒状ボス部31aを中心に放射状に複数配置され、この流通孔311の間が桟状部312として構成されている。円筒状ボス部31aは内部に摂水部4の後述する給水スリーブ42が嵌合されるものであり、トレイ本体31の外周壁よりも高く設定されている。
【0034】
水受け部32は、摂水部4から排出されて落下した水を受ける部分であり、平面視において摂水部4の外周縁に重複するように配置されている。この水受け部32は、底部がトレイ本体31の外周壁部の上端よりも下方に配置されるとともに外周壁部が内周壁部よりも高く形成されている。これにより、水受け部32は、摂水部4から排出された水を一時貯留することが可能であるとともにこの水受け部32から溢れる水が内側に導かれるように構成されている。本実施形態では、この水受け部32が上方に向かうにしたがって拡開しており、摂水部4を排出された水を確実に受けるように工夫されている。
【0035】
受け補強リブ33は、本実施形態では桟状部312に対応して設けられた板状片として構成されている。この受け補強リブ33は、適宜省略することができる。
【0036】
次に摂水部4について説明する。
図7は、摂水部を示す縦断面図である。
【0037】
摂水部4は、循環ポンプ5によって貯水タンク2から供給された水を犬(ペット)が摂取する部分であり、フィルタトレイ3の上側に配置されている。摂水部4は、異形傘状に構成され中心部に循環ポンプ5から供給された水を吐出する吐水孔41aが設けられた摂水本体41と、この摂水本体41の下面中心部から下方に延び内部空間が吐水孔41aに連通する給水スリーブ42とを備え、吐水孔41aから吐出された水が摂水本体41の上面を伝って外縁に流出するように構成されている。
【0038】
摂水本体41は、平面視略円形状を呈し、上面が球面状に構成されている。この摂水本体41は、吐水孔41aを取り囲むように環状に設けられた貯水凹部41bが下方に凹んだ状態で設けられ、この貯水凹部41b内に水を一時貯留可能に構成されている。また摂水本体41の外周縁部には、周方向に沿って複数の円弧状切欠部41cが設けられ、フィルタトレイ3の水受け部32に溜まった水を犬が摂取し易いように工夫されている。
【0039】
給水スリーブ42は、上下方向に延びて、内部に水が流通する円筒状部材であり、フィルタトレイ3の円筒状ボス部31aに嵌合状態に取り付けられている。この給水スリーブ42は、外周面が上下方向中間部において下側部分が上側部分に対して縮径されて位置決め段部42aが設けられ、この位置決め段部42aが円筒状ボス部31aの頂面に突き当たって位置決めされるようになされている。また、給水スリーブ42の下端部は、さらに縮径されて循環ポンプ5の吐水管51に外嵌される取付パイプ部42bとして構成されている。
【0040】
循環ポンプ5は、電動式水中ポンプであり、貯水タンク2内の水を取り込んで、吐水管51を通じて摂水部4の給水スリーブ42に水を供給する。この循環ポンプ5は、タンク本体20の底壁部24における一対のポンプ取付リブ24a間に配置されている。この循環ポンプ5は、公知の水中ポンプであり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0041】
フィルタカートリッジ6は、水に含まれる毛や埃などの異物を補足するとともに、貯水タンク2内の水質を改善するものであり、内部空間を有するドーナツ型の板状体として構成されている。このフィルタカートリッジ6は、フィルタトレイ3のトレイ本体31内に収容され、摂水部4から排出された水が貯水タンク2に戻る前に流通する。このフィルタカートリッジ6は、貯水タンク2内に貯留されている水の基準水位(補給タンク8からの給水で維持される水位)から上部が露出するように、補給タンク8の開口との関係で配置位置が決定されている。この具体的な配置位置については後述し、ここではフィルタカートリッジ6の具体的構成について述べる。
図8は、フィルタカートリッジを分解した状態で示す縦断面図である。
【0042】
すなわち、フィルタカートリッジ6は、濾過材(不図示)を収容する収容トレイ61と、収容トレイ61の上面に接合された補足シート62とを備え、この補足シート62に対応する部分が水に含まれる異物を除去する異物除去層6aとして機能するとともに、収容トレイ61に対応する部分(具体的にはこの収容トレイ61の内部に収容された濾過材の層)が貯水タンク2内の水質を改善する水質改善層6b(特性改善層に対応)として機能する。
【0043】
収容トレイ61は、内部に濾過材(水質改善処理材)を収容するものであり、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂などの硬質合成樹脂から一体成形された平面視ドーナツ型の平皿形状を呈する。この収容トレイ61は、平面視略ドーナツ型のトレイ底板611と、このトレイ底板の外周縁から上方に延びるトレイ外周壁612と、トレイ底板611の内周縁から上方に延びるトレイボス部613と、このトレイボス部613を中心に放射状に延びて収容トレイ61内を仕切る複数の仕切壁614とを備え、仕切壁614によって仕切られた収納室615に所定の濾過材が収容されている。この濾過材としては、専ら化学濾過又は生物濾過を行うものが利用され、例えば活性炭(銀イオンなどの付着させたものを含む)、イオン交換樹脂、セラミックス、ゼオライト、アンスラサイトなどが用いられている。但し、この濾過材として、物理的濾過を排除するものではなく、不織布やポリウレタン発泡体なども含まれる。本実施形態では、4つの収納室615において、活性炭とイオン交換樹脂とが周方向に交互に収容されているが、収納室の数について特に限定するものではなく単一(この場合仕切壁は省略される)、複数、いずれであっても良く、また例えば各収納室615の全てに活性炭を収納しても良く、改善すべき特性等を考慮して適宜濾過材、その配置態様等を決定することができる。
【0044】
トレイ底板611は、トレイボス部613を中心に径方向外方に放射状に延びる細幅の流下貫通孔611aが周方向に複数本設けられ、この流下貫通孔611aを通じてペット用飲料である水が流通する。トレイ外周壁612、およびトレイボス部613の上端には径方向外側、または内側に延びるフランジ部612a、613aが設けられ、これらのフランジ部612a、613aの上面及び仕切壁614の上面が同一高さに設定され、これらの各面に補足シート62が溶着されるように構成されている。トレイボス部613は、その中心孔613bにフィルタトレイ3の円筒状ボス部31aが挿通されるものであり、この円筒状ボス部31aの外径に応じて適宜設定されている。仕切壁614は、具体的には、トレイ底板611に立設され、トレイ外周壁612とトレイボス部613とを連結し、これにより収容トレイ61内の空間を周方向に並ぶ複数の収納室615に区画している。
【0045】
補足シート62は、収容トレイ61の外形に対応する平面視ドーナツ型のシート状に構成されている。すなわち、この補足シート62は、外縁が円形の不織布シートの中心部に、トレイボス部613の中心孔613bに対応する挿通孔62aが設けられ、この挿通孔62aがトレイボス部613の中心孔613bに一致させた状態で、収容トレイ61の上面に溶着によって接合されている。補足シート62の厚みは、収容トレイ61の厚みに対して薄く形成されている。なお、補足シート62の材質として、本実施形態では不織布を用いているが、水に含まれる獣毛、食べ滓、埃等の異物を物理的に補足して除去できるものであれば特に限定するものではなく、種々の繊維の織布、ろ紙、網部材、焼結金属多孔板、連続気泡の発泡体など、透水可能な濾過材を好適に用いることができる。
【0046】
次に、タンクスタンド7について説明する。
図9は、タンク取付部を分解した状態で示す縦断面図である。
図10は、タンク取付部の後述する取付本体を示し、図(A)は平面図であり、図(B)は側面図である。
図11は、後述するキャップ本体を示し、図(A)は斜視図であり、図(B)は平面図である。
図12は、逆止弁を分解した状態で示す縦断面図である。
【0047】
タンクスタンド7は、貯水タンク2の取付空間2bに配置されるスタンド本体部71(取付本体部に対応)と、このスタンド本体部71に着脱自在に装着され補給タンク8の補給開口部8aに取り付けられるタンクキャップ72と、スタンド本体部71内に収納され当該スタンド本体部71とタンクキャップ72との間を緩衝する緩衝体73とを備え、タンクキャップ72が取り付けられた補給タンク8が起立状態にスタンド本体部71に装着されて当該補給タンク8を貯水タンク2に取り付けるためのアダプタとしての機能を果たす。
【0048】
スタンド本体部71は、タンクキャップ72が取り付けられた補給タンク8をその補給開口部8aを下に向けた起立状態で保持して、軸心に沿って補給タンク8からの水を流通させる合成樹脂成形品であり、全体視下方に向かって段階的に縮径した略筒状形状を呈する。このスタンド本体部71は、
図2及び
図9に示すように、タンクキャップ72を介して補給タンク8を保持するタンク保持筒部711と、このタンク保持筒部711の下部側面に設けられタンクスタンド7を貯水タンク2の周縁部に係止固定させるタンク係止片712と、タンク保持筒部711の下端に連設され貯水タンク2の取付孔211aに嵌合される嵌合筒部713と、この嵌合筒部713の下端に連設される吐出筒部714とを備え、タンク保持筒部711、嵌合筒部713及び吐出筒部714が軸心を一致させた状態で上下方向に一体に設けられ、嵌合筒部713と吐出筒部714とからなる筒状スリーブの開口部714a、715が貯水タンク2内に開口している。すなわち、嵌合筒部713と吐出筒部714とが本件発明の「筒状スリーブ」に対応する。
【0049】
タンク保持筒部711は、タンクキャップ72の基端部(
図9では上端部)が内嵌された状態で当該タンクキャップ72を保持するものであり、略円筒状に構成されている。このタンク保持筒部711は、周壁部711aにおける対向位置(図例では左右対向位置)に、上端から下部にかけて上下方向に延びる一対の弾性用スリット711bが設けられ(
図9(B)参照)、これら一対のスリット711b間における周壁部711aが上下に延びる一対のロック片711cとして構成されている。すなわち、各ロック片711cは、弾性用スリット711bによってタンク保持筒部711の径方向外方に弾性変形可能に構成されている。また、ロック片711cは、その上下方向中間部内側に内方に突出する係合突起部711dが設けられ、この係合突起部711dによってタンクキャップ72、具体的にはタンクキャップ72の上端縁部に係止するものとなされている。これらの一対のロック片711cのうち、タンク係止片712側、すなわちタンクスタンド7が貯水タンク2に取り付けられた状態での外側に配置されたロック片711cは、係合突起部711dよりも上側の部分が上方に向かうにしたがって径方向外方に傾倒するように構成され、当該外側のロック片711cを操作し易いようになされている。
【0050】
タンク係止片712は、この係止片712を含めたタンクスタンド7を貯水タンク2に着脱自在に取り付けるためのものであり、タンク保持筒部711の前記外側のロック片711cの下方に設けられている。このタンク係止片712は、概略、板状体をL字状に屈曲させた形状を呈する。具体的には、タンク係止片712は、タンク保持筒部711の周壁部711aの外面から側方に突出する突出片712aと、この突出片712aの先端から下方に垂下する垂下弾性片712bとを有し、突出片712aの先端部における幅方向中央部から垂下弾性片712bの上端部における幅方向中央部にかけて肉盗み孔712cが設けられ、これにより垂下弾性片712bが外側に弾性変形し易いように構成されている。垂下弾性片712bは、貯水タンク2の外殻壁部22の外面に沿うように幅方向に湾曲して形成されている。また、垂下弾性片712bは、肉盗み孔712cの下方周縁部に、内側に突出するタンク係合突条712dが設けられ、このタンク係合突条712dが貯水タンク2の係止段部22aに係合されることにより、タンクスタンド7が着脱自在に貯水タンク2に取り付けられる。
【0051】
嵌合筒部713は、タンク保持筒部711に対して縮径した筒状部分であり、貯水タンク2における補強ガイド部21の取付孔211aを通じてガイドボス部213に内嵌される。この嵌合筒部713の外周面の左右対向位置には、外周面が径方向内側に退入してキー状溝部713aが設けられている。このキー状溝部713aは嵌合筒部713の上下方向中央部(厳密には上下方向中央やや上寄り)から下端にまで延設され、底面が吐出筒部714の外周面に連続するものとなされている。
【0052】
この嵌合筒部713は、軸孔713bが上下方向に延び、上下方向中央部において内径が縮径するものとなされている。嵌合筒部713は、この縮径部において軸心を通り、内周面の左右を連結して軸孔713b内に架橋する架橋部713cが設けられている。この架橋部713cは、タンクキャップ72の後述する逆止弁76の弁棒762が当接してタンクキャップ72の取付操作に伴ってこの弁棒762を押し上げる機能を有する。したがって、架橋部713cは、
図9(A)に示すように、架設方向中央部が小幅に構成され、タンクキャップ72の先端部を差し込めるように構成されている。
【0053】
吐出筒部714は、嵌合筒部713に対して外径が縮径した筒状部材であり、嵌合筒部713の下端に連続して設けられ、下端開口部714aが貯水タンク2内に開口している。具体的には、この吐出筒部714の下面は、軸線方向に対して傾斜した状態で設けられ、このため下端開口部714aにおける開口面の法線は、垂直方向に対して傾斜して設けられている。この法線の傾斜角度は、特に限定するものではないが、この開口部714aを通じて補給タンク8に円滑に空気を取り入れ、また吐出筒部714の軸長の長さを可及的に抑えて組立時の利便性を向上させる観点から、15度から45度の範囲内に設定されるのが好ましい。したがって、この下端開口部714aは、吐出筒部714の周方向の各位置について開口位置の高さ(垂直方向の位置)が異なっている。この下端開口部714aのうちの最上位開口位置714bは、貯水タンク2(貯水空間2a)側に配置されるように設定されている。またこの下端開口部714aにはその最上位開口位置714bにおいて、吐出筒部714の周壁が上方に退入して、空気を取り入れるエアスリット715が設けられている。このエアスリット715は図示していないものの細幅に構成され、空気を少しずつ取り入れ可能に構成されている。このエアスリット715の幅は、特に限定するものではないが、空気を徐々に取り入れる観点から、吐出筒部714の内径に対して3分の1以下に設定されるのが好ましい。
【0054】
したがって、本実施形態では、筒状スリーブ(嵌合筒部713及び吐出筒部714)の下端開口部は、吐出筒部714の下端開口部714aとエアスリット715とを含んで構成され、上下高さ位置について、フィルタカートリッジ6の異物除去層6aの上面位置と水質改善層6bの下面位置との間において開口している。すなわち、筒状スリーブの下端開口部(下端開口部714a及びエアスリット715)において、貯水タンク2の水位が下がった時に最初に空気が取り入れられるのはエアスリット715の上端部ということになる。このため、本実施形態では、このエアスリット715の上端部がフィルタカートリッジ6の異物除去層6aの上面位置と水質改善層6bの下面位置との間において開口するように、フィルタトレイ3、フィルタカートリッジ6、及びタンクスタンド7等の各種部材の各種寸法が適宜設定されている。本実施形態では、
図3に示すように、このエアスリット715の上端部が垂直高さ位置(基準水位)Hについて、フィルタカートリッジ6における水質改善層6bの厚み方向中央部に位置するように設定されている。これにより、この犬用給水器1は、貯水タンク2の水位が垂直高さ位置Hよりも下がったときには、エアスリット715の上端部から空気が入り込んで、補給タンク8から貯水タンク2に水が補給され、水位が回復するように構成されている。
【0055】
タンクキャップ72は、
図2に示すように、段階的に縮径し上部において補給タンク8が取り付けられるキャップ本体75と、このキャップ本体75内に収容される逆止弁76と、キャップ本体75内に収容され補給タンク8との間をシールするシール部材77とを備え、補給タンク8が取り外された場合に逆止弁76によって補給タンク8内の水の漏出を抑制するものである。
【0056】
キャップ本体75は、内側に雌ネジ部751aが刻設された取付口部751と、この取付口部751の下端に連設され逆止弁76を支持する弁支持部752と、弁支持部752の下端に連設され逆止弁76の後述する弁棒762を保護する保護突出部753とを備え、雌ネジ部751aが補給タンク8の雄ネジ部8bに螺着されることにより当該補給タンク8の補給開口部8aに取り付けられる。
【0057】
取付口部751は、円筒状に構成され、内周面に補給タンク8の雄ネジ部8bと適合する雌ネジ部751aが刻設され、外周面の上部に上下方向に延びる滑り止め突条751bが周方向に沿って複数本、突出状態に設けられている。この取付口部751の内側底部には、逆止弁76の後述する弁本体761が閉状態の時に着座する弁座ボス部751cが軸方向に突出して設けられている。この弁座ボス部751cの周囲にはドーナツ型のシール部材77が配設され、雌ネジ部751aに螺着された補給タンク8の先端面が押圧されるものとなされている。
【0058】
弁支持部752は、軸心を取付口部751と一致する円筒状に構成され、逆止弁76の弁棒762を上下動可能に支持する内筒部752bを含む、二重円筒状に構成されている。すなわち、弁支持部752は、
図11(B)に明示するように、取付口部751に対して縮径した外筒部752aと、この外筒部752aの内側に配置された内筒部752bとを含み、この内外筒部752a、752bが外筒部752aの軸孔を跨ぐように配置された内筒支持部752cによって連結されている。
【0059】
保護突出部753は、逆止弁76の弁棒762の先端部を保護するものであり、弁支持部752から下方に延びている。この保護突出部753は、所定間隔を離間させた状態で相互に対向する一対(図例では前後一対)の壁部からなり、この壁部は平面視において弁支持部752と同一の曲率を有する湾曲状に構成されている。この保護突出部753は、スタンド本体部71の嵌合筒部713における軸孔713bに差し込まれるものである。すなわち、一対の保護突出部753の離間距離は、スタンド本体部71の架橋部713cの幅に対応して設定され、保護突出部753が軸孔713bに差し込まれた状態で架橋部713cによって弁棒762を押圧可能に構成されている。
【0060】
次に逆止弁76について説明する。この逆止弁76は、閉状態で弁座ボス部751cに着座する弁本体761と、この弁本体761に上端部が取り付けられる弁棒762と、この弁本体761及び弁棒762とを閉方向(弁座ボス部751c側)に付勢するつる巻きバネ763(付勢部材)とを備える。
図12は、逆止弁を分解した状態で示す縦断面図である。
【0061】
弁本体761は、弾性体によって下方に向かって凸状の碗状に構成され、中心部に弁棒762が緊密状態に挿入される取付挿入孔761aが設けられている。この弁本体761は、外径が弁座ボス部751cよりも大きく設定され、着座状態で弁座ボス部751cの開口を閉塞するものとなされている。
【0062】
弁棒762は、上下方向に軸心を有する棒状体であり、上端に弁本体761の取付挿入孔761aに挿入され先細り状に構成された取付用傘部762aを有し、その下側に取付用傘部762aの下端よりも縮径した弁取付軸部762bが設けられている。この弁取付軸部762bは、弁本体761を緊密状態に取り付けるため、弁本体761の取付挿入孔761aの径よりも若干大径に構成されている。また、弁棒762は、弁取付軸部762bの下端に連設され、この弁取付軸部762bに対して拡径した棒本体762cが設けられている。この棒本体762cは、つる巻きバネ763に挿入され、その下端部にこのつる巻きバネ763の移動を規制する規制フランジ部762dが径方向外側に突出した状態で設けられている。この規制フランジ部762dの下方には、先端(下端)が架橋部713cの上面に当接する当接突出部762eが設けられ、この当接突出部762eが架橋部713cに押し当てられることにより弁棒762が押し上げられるものとなされている。
【0063】
一方、つる巻きバネ763は、水に晒され、弁本体761を弁座ボス部751c側に付勢するなどその機能を発揮できるように、長さ、径、素材などの各種具体的構成が設定されている。
【0064】
上記構成のキャップ本体75、逆止弁76及びシール部材77は、例えば次のようにして組み付けてタンクキャップ72を形成する。
【0065】
まず、
図2に示すように、つる巻きバネ763を弁棒762に装着するとともに、シール部材77をキャップ本体75に配置する。具体的には、つる巻きバネ763の下方から弁棒762を差し込み、つる巻きバネ763の下端を規制フランジ部762dの上面に当接させる。一方、シール部材77をキャップ本体75の取付口部751内に差し入れ、シール部材77の中心孔に弁座ボス部751cを挿入し、この弁座ボス部751c周りに配置する。
【0066】
そして、この状態で、弁棒762をキャップ本体75の弁支持部752内に挿入して、弁棒762の弁取付軸部762bに弁本体761を装着する。すなわち、弁棒762を、キャップ本体75の下側から、その弁支持部752の内筒部752b内に挿入する。この挿入を、つる巻きバネ763の付勢力に抗して、弁棒762の弁取付軸部762bが内筒部752bの上方に露出するまで行い、弁取付軸部762bが内筒部752bの上方から露出した状態で、当該弁取付軸部762bに弁本体761を装着する。この装着にあたっては、弁本体761が下向きに凸状態になる体勢で、弁棒762の取付用傘部762aを弁本体761の取付挿入孔761aを押し広げながら挿入し、弁本体761を弁取付軸部762bにまで移動させることにより行う。
【0067】
このように組み立てられたタンクキャップ72においては、つる巻きバネ763の付勢力によって弁本体761が弁座ボス部751cに圧着された閉弁状態にあり、つる巻きバネ763の付勢力に抗して、弁棒762を上方に移動させることにより弁本体761が弁座ボス部751cから離間した開弁状態に移行する。また、逆止弁76がキャップ本体75に組み付けられた状態においては、弁棒762の当接突出部762eの先端と保護突出部753の先端とは同等の高さ位置ないしは保護突出部753の先端が下方に位置して弁棒762を保護するものとなされている。
【0068】
次に補給タンク8について簡単に説明する。本実施形態では、この補給タンク8は、汎用品としてのペットボトルであり、例えば飲料収納用の透明のペットボトルを利用している。この補給タンク8の容量は、適宜変更することができるが、犬用給水器1の設置安定性の観点から500ml程度のものを好適に利用することができる。なお、補給タンク8として透明の容器を用いることにより、補給タンク8内の水位を視認することができ、補給タンク8内の水が無くなる前に補給し易くなり、これにより循環ポンプ5のから運転を未然に防止することができる。
【0069】
以上の構成を有する犬用給水器1は、例えば次のようにして組み立て、使用前の準備を行う。
【0070】
まず、タンク本体20に循環ポンプ5を取り付ける。具体的には、タンク本体20の底壁部24における一対のポンプ取付リブ24a間に循環ポンプ5を載置し、この循環ポンプ5の配線コード(不図示)をコード取出孔23eを通じてタンク本体20内から外部に引き出す。
【0071】
次に、タンク本体20に補強ガイド部21を装着して貯水タンク2を組み立てる。具体的には、
図2に示すように、補強ガイド部21の垂下片212を内側に向けた状態で、タンク本体20の取付空間2bに設けられたガイド取付孔23dに、補強ガイド部21のガイドボス部213を差し込んで、補強ガイド部21の天板211をタンク本体20の第3段部23cに重ね合わせる。
【0072】
この状態で貯水タンク2に基準水位以上に注水する。具体的には、
図3の一点鎖線Hで示す垂直高さ位置(基準水位)を超えて水を充填する。この垂直高さ位置Hは、本実施形態では第1段部23aよりも僅かに下方位置に設定されている。なお、注水にあたっては、駆動時に隅々(例えば循環ポンプ5内)まで水が行き渡ることを考慮して、基準水位を上回って注水するのが好ましく、この注水水位については、タンク本体20の内殻壁部23に視覚によって判別可能な標識を設けても良い。
【0073】
そして、フィルタトレイ3及びフィルタカートリッジ6を貯水タンク2にセットする。具体的には、フィルタトレイ3を貯水タンク2の第1段部23a上に載置するとともにフィルタカートリッジ6をフィルタトレイ3のトレイ本体31内に収納する。この収納にあたっては、フィルタトレイ3の円筒状ボス部31aをフィルタカートリッジ6の中心孔(中心孔613b及び挿通孔62a)に挿通してフィルタカートリッジ6をトレイ本体31に載置することにより行う。
【0074】
続いて、摂水部4を装着する。具体的には、摂水部4の給水スリーブ42をフィルタトレイ3の円筒状ボス部31a内に挿入し、続けてこの給水スリーブ42の取付パイプ部42bを循環ポンプ5の吐水管51に緊密状態に外嵌する。そして、給水スリーブ42の位置決め段部42aがフィルタトレイ3の円筒状ボス部31aの頂面に当接するまで押し込んで、摂水部4を貯水タンク2に装着する。
【0075】
一方、タンクスタンド7のスタンド本体部71を貯水タンク2に装着する。具体的には、まずスタンド本体部71のタンク保持筒部711内に緩衝体73を挿入する。そして、スタンド本体部71の嵌合筒部713を、補強ガイド部21の取付孔211aを通じてガイドボス部213内に挿入する。この挿入に伴って、タンク係止片712は、そのタンク係合突条712dが貯水タンク2の外殻壁部22に当たって垂下弾性片712bが外方に弾性変形し、嵌合筒部713が奥まで挿入された状態で、そのタンク係合突条712dが貯水タンク2の係止段部22aに達して垂下弾性片712bが内側に弾性回復する。この弾性回復に伴って、タンク係合突条712dが係止段部22aに係止して、スタンド本体部71が貯水タンク2に固定される。
【0076】
なお、このスタンド本体部71を貯水タンク2から取り外す場合には、タンク係止片712の下端部を把持して、このタンク係止片712を外方に弾性変形させ、タンク係合突条712dと係止段部22aとの係止状態を解除しつつ、スタンド本体部71を上方に持ち上げることにより容易に取り外すことができる。
【0077】
次に、タンクキャップ72を補給タンク8に螺着して、この補給タンク8をタンクキャップ72とともにスタンド本体部71に装着する。
【0078】
具体的には、補給タンク8の補給開口部8aを上に向けた状態でその雄ネジ部8bに、タンクキャップ72の取付口部751における雌ネジ部751aをねじ込む。このねじ込みは、補給タンク8の補給開口部8aの先端にシール部材77が圧接される状態にまで行う。これにより、補給タンク8の補給開口部8aを下に向けた状態でも補給タンク8の漏水を防止することができる。
【0079】
続いて、このタンクキャップ72が取り付けられた補給タンク8をスタンド本体部71に取り付ける。具体的には、タンクキャップ72の先端部における一対の保護突出部753の間隙がスタンド本体部71の架橋部713cの真上になるように姿勢を調整し、この状態でタンクキャップ72を保護突出部753から順次スタンド本体部71内に差し込む。この差し込みに伴い、スタンド本体部71における一対のロック片711cの係合突起部711dが、キャップ本体75の取付口部751の外周面に当たって一対のロック片711cがそれぞれ外方に弾性変形し、取付口部751が緩衝体73に圧接された状態で、この係合突起部711dが取付口部751の上面に達して各ロック片711cが内側に弾性回復する。この弾性回復に伴って、係合突起部711dが取付口部751の上面に係合して、タンクキャップ72が補給タンク8とともにスタンド本体部71にロックされる。
【0080】
このとき、タンクスタンド7の筒状スリーブ(嵌合筒部713及び吐出筒部714)の下端開口部においては、エアスリット715の上端が最も高い位置で開口しており、このエアスリット715の上端部がフィルタカートリッジ6の異物除去層6aの上面位置と水質改善層6bの下面位置との間において開口した状態となっている。
【0081】
なお、このタンクキャップ72をスタンド本体部71から取り外す場合には、外側に配置されているロック片711cの傾倒上端部を把持して、このロック片711cを外方に弾性変形させ、一方の係合突起部711dと取付口部751の上面との係合状態を解除しつつ、補給タンク8を少し外側に傾けて他方の係合突起部711dと取付口部751の上面との係合状態を解除してこの補給タンク8を上方に持ち上げることにより容易に取り外すことができる。
【0082】
また、前記タンクキャップ72のロック動作と平行して、タンクキャップ72の差し込みに伴って、保護突出部753が架橋部713cに達する。このとき、保護突出部753の先端面が架橋部713cに突き当たって、それ以上の差し込みができない場合には軸心を中心にして補給タンク8を回転させることにより保護突出部753の間隙に架橋部713cが嵌り込み、これにより保護突出部753の差し込みが可能になる。
【0083】
保護突出部753が架橋部713cに差し掛かると、架橋部713cの上面に弁棒762の当接突出部762eが突き当たる。この状態で、更に補給タンク8をタンクキャップ72ごと押し込むと、弁棒762がつる巻きバネ763の付勢力に抗して押し込まれ、この押し込みに伴って弁本体761が弁座ボス部751cから離脱して開弁状態となる。
【0084】
以上のように構成された犬用給水器1の作用について、
図3を用いて説明する。
【0085】
まず循環ポンプ5を駆動させると、循環ポンプ5が貯水タンク2内の水を取り込んで吐水管51から吐出する。この吐出された水は、摂水部4の給水スリーブ42を通って吐水孔41aから吐出し、摂水本体41の上面を伝って流れ落ちる。このとき、流れ落ちる水は、摂水本体41の貯水凹部41bに一度貯留されてから、この貯水凹部41bから溢れ出て周縁部にまで達し、フィルタトレイ3の水受け部32に流れ落ちる。犬は、この摂水本体41の上面を流れる水や貯水凹部41bに溜まっている水、或いは水受け部32に溜まっている水を摂取する。
【0086】
そして、水受け部32に溜まった水は内側に溢れ出てフィルタカートリッジ6の異物除去層6aを通過して貯水タンク2内に戻る。このとき、循環する水に、獣毛や食べ滓、埃などの異物が混入している場合には、異物除去層6aに補足され、循環水から異物を除去することができる。この異物除去層6aに補足された異物は、異物除去層6aの上面が貯水タンク2内の水面から露出しているので、常時、水に浸かった状態になく、これらの異物そのものやその表面に付着した成分が貯留水に溶け込むことを可及的に抑制することができる。しかも、基準水位に達している限りにおいて、フィルタカートリッジ6の下部、すなわち水質改善層6bの少なくとも一部は水に浸かった状態にあるため、この水質改善層6bに含まれる濾過材によって貯水タンク2に溜まった貯留水の水質を常時改善することができる。すなわち、本実施形態の犬用給水器1によれば、貯水タンク2内の水を常に清潔な状態で維持することができ、その水質を効果的に改善することができる。
【0087】
ところで、犬が水を摂取して水位が下がっていき、基準水位Hを下回ると、タンクスタンド7、具体的には筒状スリーブ(嵌合筒部713および吐出筒部714)の下端開口部(下端開口部714a及びエアスリット715)のうちエアスリット715の上端部が水面から露出する。この露出に伴い、エアスリット715の上端部から空気が入り込んで、補給タンク8から貯水タンク2に水が補給され、水位が回復する。また、勢いよく水位が低下する場合には、エアスリット715に加えて吐出筒部714の下端開口部714aからも空気が入り込んで急速に水位を回復することができる。このように水位が基準水位Hに回復すれば、フィルタカートリッジ6の異物除去層6aの上面が水面から露出した状態が維持される一方、水質改善層6bが常時水に浸かった状態を長期間維持することができ、貯水タンク2内の水の汚染抑制効果及び特性改善効果を長い間維持することが可能であり、ペットに与える水を可及的長時間、清潔な状態に維持することができて衛生環境を向上させることができる。
【0088】
しかも、本実施形態の犬用給水器1は、補給タンク8として、汎用品のペットボトルを利用しているため、必要に応じて新しいボトルに簡易に交換することができ、補給タンク8の衛生面を向上させることができる。
【0089】
また、タンクスタンド7は、スタンド本体部71と、このスタンド本体部71に着脱自在に装着されたタンクキャップ72とを備え、このタンクキャップ72は、逆止弁76が内蔵され、スタンド本体部71に装着されることにより架橋部713cによって逆止弁76の弁棒762が押し込まれ、弁本体761が弁座ボス部751cから離脱して開弁するので、補給タンク8内の水が減った場合には、外側に配置されたロック片711cを操作してタンクキャップ72とともに補給タンク8を簡易に取り外すことができ、給水を容易に行うことができる。また、逆止弁76の作用により、補給タンク8を逆さにしても漏水を効果的に抑制することができ、取扱いの利便性を向上させることができる。
【0090】
なお、以上に説明した犬用給水器1は、本発明のペット用飲料供給装置の一実施形態であり、その具体的構成等については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、その変形例を説明する。
【0091】
(1)前記実施形態では、対象ペットとして犬を想定して、摂水部4についても貯水凹部41bを設けて水を一時的に貯留可能に構成されているが、対象ペットとして他の動物を想定しても良く、その場合には対象ペットの性質を考慮して、飲料摂取部の具体的構成を変更しても良い。例えば、対象ペットとして猫を想定する場合には、猫は流水を好むことから飲料摂取部(摂水部)として貯水凹部を省略しても良い。
【0092】
具体的には、
図13に示すように、他の実施形態に係る摂水部14は、傘状に構成され中心部に吐水孔141aが設けられた摂水本体141と、この摂水本体41の下面中心部から下方に延び内部空間が吐水孔141aに連通する給水スリーブ142と備える。この摂水本体141は、中心部から外周縁部にかけて滑らかな曲線によって構成され、前記実施形態と異なり、吐水孔141aから吐出した水は一時的に貯留されることなく絶えず流れている。
【0093】
このように、摂水本体141を中心部から外周縁部にかけて滑らかな曲線によて構成することによって、対象ペットである猫の好みに応じた流水状態とすることができ、ペットの飲料摂取を促進することができる。
【0094】
(2)前記実施形態では、フィルタカートリッジ6として収容トレイ61上に補足シート62を重ね合わせたものを用いているが、本発明のフィルタ部としてはこれに限定されるものではなく、異物除去層及び特性改善層を有しているものであれば広く適用可能である。
【0095】
例えば、フィルタカートリッジ16として、
図14に示すように、前記実施形態のフィルタカートリッジ6の下面に更に補足シートを接合するものであっても良い。
【0096】
具体的には、フィルタカートリッジ16は、濾過材(不図示)を収容する収容トレイ161と、収容トレイ161の上面に接合された第1補足シート162と、収容トレイ161の下面に接合された第2補足シート163とを備える。このフィルタカートリッジ16は、第1補足シート162に対応する部分が水に含まれる異物を除去する異物除去層16aとして機能し、収容トレイ161に対応する部分(具体的にはこの収容トレイ161の内部に収容された濾過材の層)が貯水タンク2内の水質を改善する水質改善層16bとして機能するとともに、第2補足シート163に対応する部分が収容トレイ161内に収容されている濾過材などの流出を抑制する流出抑制層16cとして機能する。なお、この他の実施形態に係る収容トレイ161及び第1補足シート162は、前記実施形態の収容トレイ61及び補足シート62と同様に構成されており、フィルタカートリッジ16も前記実施形態と同様に、中心部に円筒状ボス部31aが挿入される中心孔が設けられている。
【0097】
この流出抑制層16cを構成する第2補足シート163は、第1補足シート162と同様に構成されており、焼結金属多孔板、織布、ろ紙、不織布、網部材など、ペット用飲料(ここでは水)が透過可能な濾材を好適に使用することができる。
【0098】
この他の実施形態に係るフィルタカートリッジ16によれば、不測に収容トレイ161内の濾過材などが流出しそうになっても流出抑制層16cによってその濾過材を物理的に補足することができ、貯水タンク2の水を清潔に保つことができるという利点がある。
【0099】
また、例えば、フィルタ部として、収容トレイを用いることなく、不織布などの補足シートの間に、活性炭、イオン交換樹脂などの濾過材を挟み込んだものを用いるものであっても良く、この場合、下側の補足シートをトレイ状に成形するものであっても良い。
【0100】
(3)前記実施形態では、補給タンク8として汎用性のある飲料収容用のペットボトルを用いているが、本発明のペット用飲料供給装置についての専用品を用いるものであっても良い。この場合、例えばペット用飲料供給装置の載置安定性を固めるために、補給タンクを支持する支持脚部を設けたり、横断面を大きくしつつ上下方向の寸法を短く設定しても良い。
【0101】
(4)前記実施形態では、収容トレイ61が浅皿状に構成されることによりフィルタカートリッジ6が板状体として構成されているが、収容トレイを深皿状、例えばこの収容トレイの底部が循環ポンプ5の吐水管51の近傍位置に配設されているようなものであっても良い。このように収容トレイを深皿状に構成した場合には、特性改善層をより下側に配置することができ、ペット用飲料の特性を効果的に改善することができるという利点がある。
【0102】
(5)前記実施形態では、フィルタカートリッジ6において異物除去層6aと水質改善層6bとが積層状態に重ね合わされているが、これらの各層の間に空気層と他の層が積層されているものであっても良い。
【0103】
(6)前記実施形態では、筒状スリーブ(嵌合筒部713及び吐出筒部714)の下端開口は、吐出筒部714の下端開口部714aとエアスリット715とを含んで構成されているが、下端開口の具体的構造はこれに限定されるものではない。例えば、吐出筒部714の下端開口部714aを閉塞してエアスリット715のみで構成されるものであっても良いし、このエアスリット715を省略して吐出筒部714の下端開口部714aのみで構成されるもの等であっても良い。筒状スリーブの下端開口が、吐出筒部714の下端開口部714aのみで構成される場合には、貯水タンク2内の水位が低下した場合には、開口の上端縁、すなわち下端開口部714aの最上位開口位置714bから空気が取り込まれるので、この最上位開口位置714bが、上下高さ位置について、フィルタカートリッジ6の異物除去層6aの上面位置と水質改善層6bの下面位置との間に配置される。