(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の塗装フィルムの製造方法および塗装フィルムを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る塗装フィルムを示す断面図である。
図2および
図3は、それぞれ、
図1に示す塗装フィルムの用途を説明するための斜視図である。
図4は、
図1に示す塗装フィルムの製造工程を示すフローチャートである。
図5ないし
図8は、それぞれ、
図1に示す塗装フィルムの製造方法を説明するための断面図である。なお、以下では説明の都合上、各図中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0020】
≪塗装フィルム≫
図1に示す塗装フィルム1は、剥離シート2、粘着剤層3、基材4、下地層5、焼付塗装層である着色層6およびクリア層7がこの順で積層された構成となっている。すなわち、塗装フィルム1は、基材4の上面側に下地層5、着色層6およびクリア層7が積層され、基材4の下面側に粘着剤層3および剥離シート2が積層されている。このような塗装フィルム1は、特に、自動車のボディー(以下、単に「被着体」とも言う。)に貼り付けて用いられ、
図2に示すように、自動車へ意匠性を付与するための装飾用フィルムとして用いたり、
図3に示すように、自動車の傷を覆い隠す修復用フィルムとして用いたりすることができる。ただし、塗装フィルム1の用途や機能は、上述したものに限定されない。
【0021】
−剥離シート−
剥離シート2は、粘着剤層3からの水分の蒸発や粘着剤層3への埃、塵等の付着を防止し、粘着剤層3の粘着性を維持するために用いられるシートである。そのため、剥離シート2は、塗装フィルム1を被着体に貼り付ける際(直前)に剥離される。
【0022】
剥離シート2としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレンおよび延伸ナイロンのうちの少なくとも1種を主材料として構成されるプラスチックフィルム、上質紙、アート紙、コート紙、グラシン紙のような紙材、不織布等からなる基材の表面(一方の面)に、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、変性シリコーン系離型剤等で構成された離型層が形成されたものを用いることができる。
【0023】
−粘着剤層−
粘着剤層3は、塗装フィルム1を被着体に貼り付けるための層である。粘着剤層3を構成する粘着剤(粘着性組成物)としては、特に限定されず、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等いずれのものでもよいが、そのなかでもアクリル系粘着剤が特に好ましい。アクリル系粘着剤を用いることにより、耐候性に優れた粘着剤層3を得ることができる。
【0024】
粘着剤層3の厚さ(乾燥膜厚)は、特に限定されないが、例えば、1〜500μm程度であるのが好ましく、15〜50μm程度であるのがより好ましい。
【0025】
−基材4−
基材4は、下地層5、着色層6およびクリア層7を支持するためのシートである。このような基材4の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂のような樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、基材4の構成材料としては、抗張力および曲面追従性が優れている観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂が特に好ましい。特に、自動車のボディーは、複雑な曲面で構成されている。そのため、抗張力および曲面追従性に優れるポリ塩化ビニル系樹脂で基材4を構成することにより、被着体により貼着し易くなる。
【0026】
基材4の厚さは、特に限定されないが、例えば、10〜100μm程度であるのが好ましく、30〜70μm程度であるのがより好ましい。これにより、基材4の機械的強度を保ちつつ、基材4の薄型化を図ることができる。そのため、塗装フィルム1の曲面追従性が向上し、塗装フィルム1を被着体により貼着し易くなる。
【0027】
−下地層−
下地層5は、基材4と着色層6との密着性を向上させる機能を有している。このような下地層5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アセトン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、エチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、オルト−ジクロルベンゼン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソペンチル、酢酸エチル、酢酸ノルマル−ブチル、酢酸ノルマル−プロピル、酢酸ノルマル−ペンチル、酢酸メチル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン(別名アノン)、1,4−ジオキサン、ジクロルメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、スチレン、テトラクロルエチレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロルエタン、トルエン、ノルマルヘキサン、1−ブタノール、2−ブタノール、メタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノン等の各種溶剤が挙げられる。これらの中でも、特に、シクロヘキサノンおよびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)が好ましく、さらに、シクロ
ヘキサノンが好ましい。これにより、基材4および着色層6の密着性がより向上する。
【0028】
なお、下地層5は、製造工程中の焼付工程において、揮発等によって消失するが、その一部が残存していてもよい。
図1では、説明の便宜上、残存している場合について説明している。
【0029】
−着色層−
着色層6は、塗装フィルム1に装飾性を付与するための層である。このような着色層6は、後述する製造方法でも説明するように、焼付塗装により形成された焼付塗装層である。このように、着色層6を焼付塗装により形成することで、抗張力および曲面追従性に優れ、さらには、高い美感、質感を有する着色層6となる。
【0030】
特に、自動車のボディー塗装は、焼付塗装が一般的である。そのため、着色層6を焼付塗装により形成することで、着色層6を自動車のボディー塗装とほぼ同じ方法で形成することができる。よって、着色層6の質感をボディー塗装の質感とほぼ同じとすることができ、自動車のボディーに貼着した際のボディーとの調和性に優れ、より高い美感を発揮することができる。また、例えば、従来のような印刷インキでは表現できなかったメタリック感を容易にかつ高い次元で表現することができる。
【0031】
また、着色層6が自動車のボディー塗装とほぼ同じ方法で形成されていることから、着色層6の材料として、ボディー塗装に用いられる塗料と実質的に同じ成分の塗料を用いることができる。そのため、種々のボディー色をより高い精度で再現することができる。よって、例えば、あるボディーの一部に、それと同色の塗装フィルム1を貼着した場合、塗装フィルム1は、その周囲のボディー色に馴染んでほとんど目立たない。すなわち、塗装フィルム1が貼着されていることがほとんど分からない。したがって、このような塗装フィルム1によれば、例えば、擦り傷上にボディーと同色の塗装フィルム1を貼着して擦り傷を覆い隠すことで、より安価でかつ簡単に、さらには、高い精度で修復することが可能となる。ここで、従来からある装飾フィルムでは、その製造方法上、ボディーと同じ質感でかつ同じ色を再現するのは実質的に不可能であり、自動車のユーザーや修理工場がこのような修復方法を実施することが困難であった。このことから、塗装フィルム1は、修復方法の選択肢を広げることができ、この点において、従来技術に対して極めて大きいメリットを有している。
【0032】
このような着色層6の構成材料としては、特に限定されず、被着体によっても異なるが、例えば、自動車の塗装に用いられている各種塗料を用いることができる。このような塗料としては、特に限定されないが、例えば、メラミン樹脂塗料、エポキシ変性メラミン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等が挙げられる。上記塗料は、いずれも焼付塗装に用いられる一般的な塗料であり、このような塗料を用いることで、着色層6の形成が容易となる。なお、これら塗料には、所定の色や機能を発揮するために、顔料(着色顔料、金属粉顔料、マイカ、体質顔料、つや消し顔料等)、溶剤、助剤(可塑剤、乾燥剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、色分かれ防止剤、沈殿防止剤等)等が混合されている。
【0033】
着色層6の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、50〜150μm程度であるのが好ましく、60〜90μm程度であるのがより好ましい。このような厚さとすることで、着色層6としての機能を十分に発揮することができると共に、着色層6を十分に薄くすることができる。
【0034】
−クリア層−
クリア層7は、着色層6を保護するための層である。このようなクリア層7の構成材料としては、特に限定されず、例えば、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系、フッ素系樹脂等を用いることができる。
【0035】
クリア層7の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、10〜100μm程度であるのが好ましく、40〜60μm程度であるのがより好ましい。このような厚さとすることで、クリア層7としての機能を十分に発揮することができると共に、クリア層7を十分に薄くすることができる。
【0036】
≪塗装フィルムの製造方法≫
次に、上述した塗装フィルム1の製造方法について説明する。
図4に示すように、塗装フィルム1の製造方法は、フィルム状の基材4の一方の面上に下地層5を形成する下地層形成工程と、下地層5上に塗装によって着色層6を形成する着色層形成工程と、着色層6上にクリア層7を形成するクリア層形成工程と、着色層6およびクリア層7を焼き付ける焼付工程と、を有している。
【0037】
−下地層形成工程−
まず、
図5に示すように、所定の大きさにカットされた基材4を準備する。なお、基材4の下面(他方の面)上には、事前に、粘着剤層3および剥離シート2が積層されている。このように、事前に、基材4に粘着剤層3および剥離シート2を形成しておくことで、例えば、本工程よりも後に、基材4に粘着剤層3および剥離シート2を形成する場合と比較して、塗装フィルム1の製造が容易となる。
【0038】
次に、
図6に示すように、上述した各種溶剤を基材4の上面に塗布することで、下地層5を形成する。溶剤の塗布方法としては、特に限定されず、例えば、スクリーン印刷(シルク印刷)、噴霧等を用いることができる。また、作業者によって人為的に塗布してもよい。ここで、下地層5の構成材料としては、特に限定されないが、シクロヘキサノン(アノン)またはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を含んでいることが好ましく、シクロヘキサノンを含んでいることがより好ましい。これにより、基材4と着色層6の密着性がより向上する。
【0039】
下地層5の厚さとしては、特に限定されないが、10〜100μm程度であるのが好ましく、40〜80μm程度であるのがより好ましい。これにより、下地層5としての機能(基材4と着色層6の密着性の向上)を確実に発揮することができると共に、下地層5を十分に薄くすることができる。
【0040】
−着色層形成工程−
次に、
図7に示すように、下地層5が乾かないうちに、下地層5上に着色層6を形成する。すなわち、未乾燥である下地層5上に着色層6を形成する。着色層6の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、下地層5上に塗料を噴霧する(吹き付ける)ことで形成することが好ましい。これにより、均質で薄い着色層6を容易に形成することができる。また、自動車のボディー塗装も塗料を噴霧することで形成されるため、自動車のボディー塗装と同じ方法で着色層6を形成することで、自動車のボディー塗装と実質的に同じ質感の塗装フィルム1を製造することができる。
【0041】
本工程で用いる塗料は、焼付塗装に用いることができる塗料であればよく、例えば、メラミン樹脂塗料、エポキシ変性メラミン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等を用いることができる。
【0042】
着色層6の厚さとしては、特に限定されないが、50〜150μm程度であるのが好ましく、60〜90μm程度であるのがより好ましい。このような厚さとすることで、美的外観を損ねることなく、着色層6を十分に薄くすることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、着色層6が1層で形成されているが、着色層6は複数層で形成されていてもよい。例えば、中塗層とベース層の2層で形成されていてもよい。このような構成によれば、例えば、ベース層の発色をより優れたものとすることができる。
【0044】
−クリア層形成工程−
次に、
図8に示すように、着色層6上にクリア層7を形成する。着色層6の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、下地層5上に塗料を噴霧する(吹き付ける)ことで形成することが好ましい。これにより、均質で薄いクリア層7を容易に形成することができる。
【0045】
クリア層7の厚さとしては、特に限定されないが、10〜100μm程度であるのが好ましく、40〜60μm程度であるのがより好ましい。このような厚さとすることで、クリア層7としての機能を十分に発揮することができると共に、クリア層7を十分に薄くすることができる。
【0046】
−焼付工程−
次に、前述までの工程で得られたものを、加熱し、着色層6を焼き付ける。これにより、塗膜に重合反応が生じ、緻密で強度の高い着色層6が得られる。なお、加熱条件としては、特に限定されず、着色層6の種類や膜厚によっても異なるが、例えば、100℃〜130℃で、20分〜50分程度とすることができる。なお、下地層5は、本工程において、揮発等によって消失するが、その一部が残存していてもよい。
【0047】
以上により、塗装フィルム1が得られる。このような製造方法によれば、比較的簡単に、かつ、被着体(特に、塗装面)とほとんど同じ質感を有し、被着体に貼着した際の美的外観の低下を抑制することができる塗装フィルム1を製造することができる。
【0048】
以上、本発明の塗装フィルムの製造方法および塗装フィルムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0049】
また、前述した実施形態では、被着体として自動車のボディーを挙げたが、被着体としては、これに限定されず、例えば、オートバイ、自転車、船舶、列車車両、道路標識や各種表示板、ヘルメット、スキー板、スノーボード、サーフボード、ラケット、ゴルフクラブ等の各種運動用具、登山用具、ダイビング用具、各種照明器具、各種光学機器、建設機械、土木機械、建築構造物等が挙げられる。
【0050】
例えば、前述した実施形態では、所定のサイズにカットされた基材4上に各層を形成する方法について説明したが、塗装フィルムの製造方法としては、これに限定されず、例えば、粘着剤層3および剥離シート2が形成済みのロール状の基材4を巻き取りながら、その途中で、下地層形成工程、着色層形成工程、クリア層形成工程焼付工程を順に行う方法であってもよい。
【0051】
また、塗装フィルム1の使用方法としては、上述したような自動車のボディーに貼着する方法に限定されない。例えば、各種樹脂材料で構成されている板状の母材に塗装フィルム1を貼着し、次に、真空成型等の各種成形方法によって母材を成形することで、塗装フィルム1が貼着され、所定の形状をなす成形品が得られる。このような成形品は、例えば、自動車のバンパーや、サイドミラー等に好適に用いることができる。
【実施例】
【0052】
≪実施例1≫
まず、粘着剤層および剥離層が積層された基材を準備し、この基材を10cm×30cmの大きさにカットした。基材の厚さは50μmであり、粘着剤層の厚さは、25μmであった。次に、基材の上面(粘着剤層3と反対側の面)にシクロヘキサノン(商品名「アノン」:山一化学工業株式会社製)を塗布し下地層を形成した。下地層の厚さは、60μmであった。次に、下地層が乾かないうちに、下地層上に塗料を噴霧して着色層6を形成した。着色層6の厚さは、80μmであった。次に、着色層上にクリア剤を噴霧してクリア層を形成した。クリア層の厚さは、50μmであった。次に、基材を110°で40分加熱し、着色層6を焼き付けた。以上により、塗装フィルムを製造した。
【0053】
≪実施例2≫
下地層の材料をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)とした以外は、前述した実施例1と同様の方法で塗装フィルムを製造した。
【0054】
≪試験≫
1.密着性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、塗装面に対する密着性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、さらに、塗装フィルムにカッターで2mm×2mmの碁盤目を100マス形成し、そこにJIS Z1522に準拠したセロハンテープを貼着し、セロハンテープを勢いよく引き剥がすことで行った。判断基準は、100マス全てに剥離がない場合を「〇」とし、1マスでも剥離がある場合を「×」とした。
【0055】
2.耐食性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐食性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、さらに、塗装フィルムに塗装面まで達するスクラッチマーク(切り込み)を入れ、JIS Z2371に準拠した塩水噴霧中に500時間放置する。その後、水洗いし、標準状態で1時間放置した後、スクラッチマーク部分にJIS Z1522に準拠したセロハンテープを貼着し、30秒後にセロハンテープを勢いよく引き剥がすことで行った。判断基準は、塗装フィルムに膨れ、割れ、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
【0056】
3.耐熱性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐熱性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、80±2℃中に168時間放置する。その後、標準状態で24時間放置することで行った。判断基準は、塗装フィルムに外観上の劣化(目視)、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
【0057】
4.耐水性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐水性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、23±2℃の水に168時間浸漬する。そして水中から取り出した後、標準状態で24時間放置することで行った。判断基準は、塗装フィルムに膨潤、収縮、溶解、変退色、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
【0058】
5.耐溶剤性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐溶剤性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、MEK(メチルエチルケトン)を含ませたガーゼで表面を強く擦る(10往復)ことで行った。判断基準は、塗装フィルムに膨潤、収縮、溶解、変退色、剥がれ等の異常がない場合を「〇」とし、異常がある場合を「×」とした。
【0059】
6.耐摩耗性
各実施例1、2の塗装フィルムについて、耐溶剤性を試験した。なお、この試験は、塗装面に各実施例の塗装フィルムを貼着し、これをJIS L0849に準拠する摩擦試験機II形にセットする。そして、摩擦子の摩擦面に摩擦用白綿布(JIS L0803染色堅ろう度試験用添付白布の綿(3号))を2枚重ねて取り付ける。そして、下記表1の条件にて摩擦を繰り返す。判断基準は、汚染用グレースケール4等級以上であれば「〇」とし、3等級以下であれば「×」とした。
【0060】
【表1】
【0061】
≪評価≫
上記各試験の試験結果を下記の表2に示す。表2から分かるように、実施例1、2のいずれも各試験において優れた特性を発揮している。なお、この他にも、実施例1、2について、自動車のボディーに貼着することを特に考慮して、耐ワックス性、耐燃料油性(耐ガソリン性)、耐ウィンドウォッシャー液性、耐高圧洗車機性等の試験を行ったが、いずれの試験においても、高い特性が得られることを確認している。
【0062】
【表2】