(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)本実施の形態によるエレベータの構成
図1において、1は全体として本実施の形態によるエレベータを示す。このエレベータ1は、建物に設置された昇降路9内において、各階層にそれぞれ設けられた乗場11間を乗りかご2が昇降運転するものである。
【0016】
乗りかご2は、後述する乗場扉13と一体に開閉するかご扉を有する筐体であり、各階層とそれぞれ対応付けられた複数の行先階釦4Aを有するかご内操作盤4がその内部の所定位置に設置されている。また乗りかご2の床下には、乗りかご2内の荷重を検知するための荷重センサ3が設けられている。
【0017】
この乗りかご2は、一端側に釣合錘5が取り付けられた主ロープ8の他端側に取り付けられている。また主ロープ8は、巻上機6に巻き付けられている。巻上機6は、乗りかご2を釣瓶式に昇降駆動する昇降機構であり、昇降路9の上部に設けられた機械室に、乗りかご2の昇降運転を制御する制御装置7と共に設置される。
【0018】
制御装置7は、エレベータ1の運転を制御するコンピュータ装置であり、乗りかご2に設けられたかご内操作盤4や乗場11に設けられた乗場操作盤12に対する乗客の操作に応じて乗りかご2を昇降させるよう巻上機6を制御する。
【0019】
また制御装置7は、乗りかご2とテールコード10で接続されており、荷重センサ3が検知した乗りかご2内の荷重を表す情報や、かご内操作盤4に対する乗客の操作内容を表す情報等を、テールコード10を介して取得する。
【0020】
一方、各階層の乗場11には、
図2に示すように、乗場操作盤12及び乗場扉13が設置されている。乗場操作盤12には、上昇する乗りかご2を呼ぶための上階指定釦12Aと、降下する乗りかご2を呼ぶための下階指定釦12B(以下、これらをまとめて呼び釦12Cと呼ぶ)とが配設されている。なお最上階の乗場操作盤12には上階指定釦12Aが配設されず、最下階の乗場操作盤12には下階指定釦12Bが配設されない。
【0021】
乗場扉13は、乗りかご2への乗降口に設けられた両開き型の扉装置であり、乗場11から見て左方向に位置する左側開閉扉13Aと、乗場11から見て右方向に位置する右側開閉扉13Bから構成される。
【0022】
そして左側開閉扉13Aの右端中央部には、左側降車客表示部15Aが設けられている。この左側降車客表示部15Aは、例えば、ガラスや強化プラスチック等からなる半透明のカバー部材の内部に発光体が配設されて構成される。この場合、乗場側から見たカバー部材の表面は、左側開閉扉13Aの他の表面部分と面一に形成されている。また発光体としては、例えばLED(Light Emitting Diode)等の赤色及び青色の2色をそれぞれ独立して発光可能な発光体又はそれぞれ赤色又は青色を発光する一対の発光体が適用される。
【0023】
また左側開閉扉13Aにおける左側降車客表示部15Aの上側には、左上側待ち時間表示部16Aが設けられている。この左上側待ち時間表示部16Aは、強化プラスチック等からなる透明のカバー部材16AA内に、上下方向(乗りかご2の昇降方向)と平行に複数の円形状の発光部16ABが配設されて構成されている。また発光部16ABは、半透明の内部カバーの内側に例えば青色LED等の発光体が配設されて構成される。この場合、乗場側から見たカバー部材16AAの表面も、左側開閉扉13Aの他の表面部分と面一に形成されている。
【0024】
さらに左側開閉扉13Aにおける左側降車客表示部15Aの下側には、左下側待ち時間表示部18Aが設けられている。この左下側待ち時間表示部18Aは、左上側待ち時間表示部16Aと同様に、強化プラスチック等からなる透明のカバー部材18AA内に、上下方向と平行に複数(
図2においては4つ)の円形状の発光部18ABが配設されて構成されている。また発光部18ABは、半透明の内部カバーの内側に例えば青色LED等の発光体が配設されて構成される。この場合、乗場側から見たカバー部材18AAの表面も、左側開閉扉13Aの他の表面部分と面一に形成されている。
【0025】
一方、右側開閉扉13Bの左端中央部には、左側開閉扉13Aの左側降車客表示部15Aと左右対称の構造を有する右側降車客表示部15Bが設けられている。この右側降車客表示部15Bは、左側降車客表示部15Aと同じ高さ位置に形成されており、これにより乗場扉13が閉じた状態において、左側降車客表示部15A及び右側降車客表示部15Bによって長方形状の降車客表示部15が形成される。
【0026】
後述のように、この降車客表示部15(左側降車客表示部15A及び右側降車客表示部15B)は、乗場11で乗りかご2の到着を待つ乗客に対して、到着した乗りかご2からその乗場11に降車する乗客(以下、これを降車客と呼ぶ)がいるか否かを発光色によって表示することにより、その乗場11の乗客が乗りかご2に乗車する際に乗りかご2から降車する降車客と衝突しないように注意を促すための表示装置として利用される。
【0027】
また右側開閉扉13Bにおける右側降車客表示部15Bの上側には、左上側待ち時間表示部16Aと左右対称の構造を有する右上側待ち時間表示部16Bが設けられている。実際上、右上側待ち時間表示部16Bは、強化プラスチック等からなる透明のカバー部材16BA内に、乗りかご2の上下方向と平行に複数の円形状の発光部16BBが配設されて構成されている。また発光部16BBは、半透明の内部カバーの内側に例えば青色LED等の発光体が配設されて構成される。この場合、乗場側から見たカバー部材16BAの表面は、右側開閉扉13Bの他の表面部分と面一に形成されている。
【0028】
この右上側待ち時間表示部16Bは、左上側待ち時間表示部16Aと同じ高さ位置に形成されており、これにより乗場扉13が閉じた状態において、左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16Bによって半トラック形状の上側待ち時間表示部16が形成される。
【0029】
さらに右側開閉扉13Bにおける右側降車客表示部15Bの下側には、左下側待ち時間表示部18Aと左右対称の構造を有する右下側待ち時間表示部18Bが設けられている。実際上、右下側待ち時間表示部18Bは、強化プラスチック等からなる透明のカバー部材18BA内に、乗りかご2の上下方向と平行に複数の円形状の発光部18BBが配設されて構成されている。また発光部18BBは、半透明の内部カバーの内側に例えば青色LED等の発光体が配設されて構成される。この場合、乗場側から見たカバー部材18BAの表面も、右側開閉扉13Bの他の表面部分と面一に形成されている。
【0030】
この右下側待ち時間表示部18Bは、左下側待ち時間表示部18Aと同じ高さ位置に形成されており、これにより乗場扉13が閉じた状態において、左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18Bによって半トラック形状の下側待ち時間表示部18が形成される。
【0031】
後述のように、これら上側待ち時間表示部16(左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16B)と、下側待ち時間表示部18(左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18B)とは、そのエレベータ1の乗りかご2の進行方向及びその乗りかご2がその乗場11に到着するまでの時間を表示するために利用される。
【0032】
図3は、制御装置7の概略構成を示す。制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)20及びメモリ21等の情報処理資源を備えて構成される。そしてメモリ21には、荷重検出部23、行先階検出部24、乗場呼び検出部25、待ち時間演算部26、待ち時間表示制御部27、降車客表示制御部28及び駆動制御部29を機能部として備える乗場案内装置制御プログラム22が格納されている。
【0033】
荷重検出部23は、乗りかご2の床下に配設された上述の荷重センサ3から出力されたセンサ情報に基づいて、その乗りかご2内の荷重を検出する機能を有する機能部である。また行先階検出部24は、乗りかご2内の乗客によるかご内操作盤4の行先階釦4Aの押圧操作に応じて、その乗客により指定された行先階を検出する機能を有する機能部である。
【0034】
乗場呼び検出部25は、乗場11にいる乗客による乗場操作盤12の上階指定釦12A又は下階指定釦12Bの押圧操作に応じて、その乗客により上昇する乗りかご2や下降する乗りかご2が呼ばれたことを検出する機能を有する機能部である。
【0035】
また待ち時間演算部26は、呼び釦12Cが押圧操作された乗場11に、要求された進行方向の乗りかご2が到着するまでの待ち時間を算出する機能を有する機能部である。
【0036】
一方、待ち時間表示制御部27は、待ち時間演算部26により算出された待ち時間と、乗りかご2の進行方向とを、対応する階層の乗場11における対応するエレベータ1の乗場扉13に設けられた上述の上側待ち時間表示部16又は下側待ち時間表示部18に表示させる機能を有する機能部である。
【0037】
実際上、待ち時間表示制御部27は、その乗場11に停車する乗りかご2が下降しながらその乗場11に近づいている場合、上側待ち時間表示部16(左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16B)の各内部カバー内の発光体を、上側に配置されたものから下側に配置されたものに向けて順番に、かつその乗場11におけるその乗りかご2の待ち時間に応じた位置の発光体のみを発光させるように、左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16Bの各内部カバー内の発光体の発光状態を制御する。
【0038】
また待ち時間表示制御部27は、その乗場11に停車する乗りかご2が上昇しながらその乗場11に近づいている場合、下側待ち時間表示部18(左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18B)の発光部18AB,18BBを、下側に配置されたものから上側に配置されたものに向けて順番に、かつその乗場11におけるその乗りかご2の待ち時間に応じた位置の発光体のみを発光させるように、左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18Bの各内部カバー内の発光体の発光状態を制御する。
【0039】
また降車客表示制御部28は、乗場11に乗りかご2が到着したエレベータの乗場扉13が開く際に、降車客の有無を降車客表示部15に表示させる機能を有する機能部である。
【0040】
実際上、降車客表示制御部28は、この乗りかご2が停車先の乗場11の1つ手前の乗場11を通過するタイミングで荷重検出部23が検出した乗りかご2内の荷重及び行先階検出部24が検出した当該乗りかご2内の乗客により指定された行先階に基づいて、降車客表示部15の左側降車客表示部15A内及び右側降車客表示部15B内の各発光体を青色にそれぞれ点滅発光させ、降車客がいると判定した場合には、これら左側降車客表示部15A内及び右側降車客表示部15B内の各発光体をそれぞれ赤色に点滅発光させる。なお荷重検出部23が検出した荷重に基づいた表示を行うことにより、降車客表示制御部28は、いたずらや誤操作によって、乗りかご2内に乗客がいないにもかかわらず降車客表示部15が赤色に点滅発光するといった誤表示を防止するためである。
【0041】
駆動制御部29は、いずれかの階層の乗場11において乗場操作盤12の上階指定釦12A又は下階指定釦12Bが押圧操作されたことを乗場呼び検出部25が検出したときに、その乗場11にどのエレベータ1の乗りかご2を割り当てるかを決定し、決定結果に基づいて巻上機6を制御することにより、その乗場11までそのエレベータ1の乗りかご2を移動させる機能を有する機能部である。
【0042】
(2)乗場案内装置制御処理
次に、上述した乗場案内装置制御機能に関連して本制御装置7において実行される乗場案内装置制御処理について説明する。なお、以下においては、各種処理の処理主体を乗場案内装置制御プログラム22の機能部として説明するが、実際上は、CPU20が乗場案内装置制御プログラム22に基づいてその処理を実行することは言うまでもない。また以下においては、建物内に複数のエレベータ1が設置されているものとして説明する。
【0043】
図4は、乗場案内装置制御プログラム22の機能部により実行される乗場案内装置制御処理の処理の流れを示す。この乗場案内装置制御処理は、いずれかの階層の乗場11において乗場操作盤12の上階指定釦12A又は下階指定釦12Bが押圧操作されたことを乗場呼び検出部25が検出すると開始される。そして、乗場呼び検出部25は、かかる押圧操作を検出すると、駆動制御部29を呼び出す。
【0044】
駆動制御部29は、乗場呼び検出部25により呼び出されると、乗場操作盤12の上階指定釦12A又は下階指定釦12Bが押圧操作された乗場(以下、これを対象乗場と呼ぶ)11に乗りかご2を配車するエレベータ(以下、これを対象エレベータと呼ぶ)1を1つ決定する(S1)。また駆動制御部29は、この後、待ち時間演算部26を呼び出し、その対象エレベータ1の識別番号及びその対象エレベータ1の乗りかご2の進行方向を待ち時間演算部26に通知する。
【0045】
待ち時間演算部26は、駆動制御部29に呼び出されると、駆動制御部29から識別番号が通知された対象エレベータ1の乗りかご2が対象乗場11に到着するまでの時間を、その対象乗場11で乗りかご2の到着を待つ乗客の待ち時間の初期値として算出する(S2)。
【0046】
また待ち時間演算部26は、対象エレベータ1の乗りかご2内の荷重を荷重検出部23に問い合わせ、荷重検出部23がその乗りかご2内の荷重を検出しているか否かを判定する(S3)。そして待ち時間演算部26は、この判定で否定結果を得るとステップS6に進む。
【0047】
これに対して待ち時間演算部26は、ステップS3の判定で肯定結果を得ると、そのときその乗りかご2内の乗客が指定している行先階を行先階検出部24に問合せ、その乗りかご2内の乗客が、その乗りかご2の現在位置から対象乗場11の階層まで(経路内の)のいずれかの階層を行先階として指定しているか否か判定する(S4)。そして待ち時間演算部26は、この判定で否定結果を得るとステップS6に進む。
【0048】
これに対して待ち時間演算部26は、ステップS4の判定で肯定結果を得ると、対象エレベータ1の乗りかご2が現在位置から対象乗場11の階層に到達するまでの間に他の必要な階層にそれぞれ停車するために必要となる時間(以下、これを必要停車時間と呼ぶ)をも加味して、対象乗場11の乗客の待ち時間を再計算する(S5)。
【0049】
具体的に、待ち時間演算部26は、ステップS4で取得した対象エレベータ1の乗りかご2内の乗客の行先階のうち、当該乗りかご2の現在位置から対象乗場11の階層までに存在する行先階の数(以下、これを行先階数と呼ぶ)を算出する。また待ち時間演算部26は、算出した行先階数に、1つの階層に停車するために余分に発生する乗りかご2の運行時間を乗算するようにして上述の必要停車時間を算出し、算出した必要停車時間をステップS2で算出した待ち時間の初期値に加算するようにして、必要停車時間をも加味した対象乗場11の乗客の待ち時間を算出する。
【0050】
この後、待ち時間演算部26は、待ち時間表示制御部27を呼び出し、待ち時間表示制御部27に、そのときまでに算出した待ち時間(ステップS2又はステップS5で算出した待ち時間)と、ステップS1で駆動制御部29から通知された対象エレベータ1の識別番号及びその乗りかご2の進行方向とを通知する。かくして、待ち時間演算部26に呼び出された待ち時間表示制御部27は、そのとき通知されたこれらの情報に基づいて、対象乗場11における対象エレベータ1の乗場扉13に配設された対応する上側待ち時間表示部16又は下側待ち時間表示部18に、そのとき待ち時間演算部26から通知された待ち時間を表示させる(S6)。
【0051】
具体的に、待ち時間表示制御部27は、対象とするエレベータ1の乗りかご2の進行方向が下方向である場合には、上側待ち時間表示部16(左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16B)の各発光体16AB,16BBのうち、そのとき待ち時間演算部26から通知された待ち時間に応じた位置の発光体16AB,16BBを点滅発光させるよう左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16Bを制御する。
【0052】
また待ち時間表示制御部27は、対象とするエレベータ1の乗りかご2の進行方向が上方向である場合には、下側待ち時間表示部18(左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18B)の各発光体18AB,18BBのうち、そのとき待ち時間演算部26から通知された待ち時間に応じた位置の発光体18AB,18BBを点滅発光させるよう左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18Bを制御する。
【0053】
そして待ち時間演算部26は、この後、対象エレベータ1の乗りかご2の現在位置を駆動制御部29に問い合わせ、当該乗りかご2が対象乗場11の階層の1つ手前の階層の乗場11を通過したか否かを判定する(S7)。そして待ち時間演算部26は、この判定で否定結果を得るとステップS3へ戻り、この後、ステップS3〜ステップS7の処理を繰り返す。
【0054】
そして待ち時間演算部26は、やがて対象エレベータ1の乗りかご2が対象乗場11の1つ手前の階層の乗場11を通過することによりステップS7で肯定結果を得ると、対象エレベータ1の乗りかご2内の乗客の中に対象乗場11において降車する乗客がいるか否かを判定する(S8)。
【0055】
具体的には、待ち時間演算部26は、対象エレベータ1の乗りかご2内の荷重を荷重検出部23に問い合わせる。また待ち時間演算部26は、そのときその乗りかご2内の乗客が指定している行先階を行先階検出部24に問合せる。そして待ち時間演算部26は、当該乗りかご2におけるかご内操作盤4の行先階釦4Aにおいて、対象乗場が行先階として押圧操作されており、かつ、荷重センサ3が荷重を検知しているか否かに基づいて降車客がいるか否かを判定する。
【0056】
そして待ち時間演算部26は、この判定で肯定結果を得ると、降車客表示制御部28を呼び出し、呼び出した降車客表示制御部28に対象乗場11での降車客がいることを通知する。かくして、このとき降車客表示制御部28は、降車客表示部15を赤色に点滅発光させる(S9)。
【0057】
これに対して、待ち時間演算部26は、ステップS7で否定結果を得ると、降車客表示制御部28を呼び出し、呼び出した降車客表示制御部28に対象乗場11での降車客がいいないことを通知する。かくして、このとき降車客表示制御部28は、降車客表示部15を青色に点滅発光させる(S10)。
【0058】
そして上述のステップS9又はステップS10の処理が完了すると、この本乗場案内装置制御処理が終了する。
【0059】
なお、乗場扉13が開き始めてから(つまり左側開閉扉13A及び右側開閉扉13Bが相反する方向にスライドを開始し始めてから)、乗場扉13が開き終わるまで(つまり左側開閉扉13A及び右側開閉扉13Bがそれぞれ左側又は右側の戸袋に収納され終わるまで)の間は、待ち時間表示制御部27や降車客表示制御部28が上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18や降車客表示部15を点滅発光させるようにしても良い。このようにすることにより、乗りかご2に乗車する乗客に対して戸袋に手を挟まれないように注意を促すことができる。
【0060】
なお、扉の開く方向を開方向、閉じる方向を閉方向とする。左側開閉扉13Aの場合には左方向が開方向、右方向が閉方向となり、右側開閉扉13Bの場合には右方向が開方向、左方向が閉方向となる。
【0061】
またこの際、待ち時間表示制御部27が上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18のすべての発光体16AB,16BB,18AB,18BBを点滅発光させるようにしてもよく、このようにすることによって、より強く注意を促すことができる。
【0062】
さらに、この後、乗場扉13が閉じる際にも待ち時間表示制御部27や降車客表示制御部28が上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18や降車客表示部15を点滅発光させるようにしてもよく、このようにすることにより、乗りかご2に乗車する乗客に対して左側開閉扉13A及び右側開閉扉13Bに手を挟まれないように注意を促すことができる。
【0063】
(3)本実施の形態の効果
以上のように、本実施の形態のエレベータ1では、乗場11の上階指定釦12A又は下階指定釦12Bが押圧操作された場合に、その乗場11に停車する乗りかご2が下降しながら当該乗場11に近づいてくるときには、上側待ち時間表示部16の各発光部16AB,16BBのうち、その乗りかご2が当該乗場11に到着するまでの時間に応じた発光部16AB,16BBのみが点滅発光し、その点滅発光する発光部16AB,16BBが降車客表示部15に近づいていく。またその乗場11に停車する乗りかご2が上昇しながら当該乗場11に近づいてくるときには、下側待ち時間表示部18の各発光部18AB,18BBのうち、その乗りかご2が当該乗場11に到着するまでの時間に応じた発光部18AB,18BBのみが点滅発光し、その点滅発光する発光部18AB,18BBが降車客表示部15に近づいていく。
【0064】
そして乗りかご2がその乗場11の1つ手前の階層を通過した段階で、その乗りかご2からその乗場11への降車客がいない場合には降車客表示部15が青色に点滅発光し、降車客がいる場合には降車客表示部15が赤色に点滅発光する。
【0065】
従って、本エレベータ1によれば、乗場11で乗りかご2の到着を待つ乗客は、乗場扉30の左右方向の中央に配置されたエレベータ乗場案内装置14の発光状態に基づいて、待ち時間及び乗りかご2の進行方向並びに降車客の有無を、視線を動かすことなく一括してかつ直感的に把握することができる。
【0066】
また本実施の形態のエレベータ1によれば、かかる上側待ち時間表示部16を構成する左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16Bや、かかる下側待ち時間表示部18を構成する左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18B、並びに降車客表示部15を構成する左側降車客表示部15A及び右側降車客表示部15Bが乗場扉13の左側開閉扉13Aの右端部及び右側開閉扉13Bの左端部に設けられているため、乗場扉13が開く際に戸袋に手を引き込まれないよう乗客に注意を促したり、乗場扉13が閉じる際に左側開閉扉13A及び右側開閉扉13Bに手を挟まれないよう乗客に注意を促すことができ、その分エレベータ1の安全性を向上させることもできる。
【0067】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、両開きである乗場扉13における乗りかご2の上下方向の中央に左右対称にエレベータ乗場案内装置14を設けた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々のエレベータに広く適用することができる。
【0068】
例えば、
図5に示すような左側開閉扉30A及び右側開閉扉30Bを有する右方向に開く片開きの乗場扉30について本発明を適用しても良い。左側開閉扉30Aは右側降車客表示部15B、右上側待ち時間表示部16B及び右下側待ち時間表示部18Bを右側開閉扉13Bと同様に備える。また左方向に開く片開きの乗場扉に適用した場合には、右側開閉扉は、左側降車客表示部15A、左上側待ち時間表示部16A及び左下側待ち時間表示部18Aを左側開閉扉13Aと同様に備える。
【0069】
さらに上述の実施の形態においては、降車客表示部15の上下にそれぞれ上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、最上階の階層の乗場扉13には、
図6(A)に示すように、降車客表示部15(左側降車客表示部15A及び右側降車客表示部15B)と、下側待ち時間表示部18(左下側待ち時間表示部18A及び右下側待ち時間表示部18B)とのみが配設されて上側待ち時間表示部16(左上側待ち時間表示部16A及び右上側待ち時間表示部16B)は配設されず、最下階の階層の乗場扉13には、
図6(B)に示すように、降車客表示部15及び上側待ち時間表示部16のみが配設されて下側待ち時間表示部18は配設されないようにしても良い。
【0070】
さらに上述の実施の形態においては、経路内のいずれかの階層を行先階として指定しているか否かを判定し、必要となる時間を待ち時間に加味する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、呼び釦12Cの押圧操作の数に応じた時間を待ち時間にさらに加味しても良い。
【0071】
具体的には、経路内の乗場11において、対象エレベータ1の乗りかご2の進行方向と同じ呼び釦12Cの押圧操作によって停車が必要となった階であって、かつ、対象エレベータ1の乗りかご2において経路内の行先階に指定されていない階の数に応じた時間を待ち時間にさらに加味しても良い。
【0072】
さらに上述の実施の形態においては、上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18の発光部16AB,16BB,18AB,18BBを円形状に形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
図6(C)に示すように、上側待ち時間表示部41及び下側待ち時間表示部43の発光部41AB,41BB,43AB,43BBを三角形状や矢印といった乗りかご2の進行方向を表す形状に形成するようにしても良い。これにより乗場11にいる乗客に乗りかご2の進行方向をより直感的に把握させることができる。
【0073】
さらに上述の実施の形態においては、降車客表示部15が乗場11での降車客の有無によって点滅表示の色の種類を変える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、
図6(D)の左側降車客表示部45A及び右側降車客表示部45Bから構成される降車客表示部45に示すように、人型マーク45Cをカバー部材に表示しておき、降車客がいる場合は点滅表示に加えて、人型マーク45Cを浮かび上がらせるように表示させても良い。
【0074】
また
図6(E)の左側降車客表示部46A及び右側降車客表示部46Bから構成される降車客表示部46に示すように、文字列46Cとして「降車客有」と文字をカバー部材に表示しおき、降車客がいる場合は点滅表示に加えて、文字列46Cを浮かび上がらせるように表示させても良い。このようにすることによって、乗場11にいる乗客により強く注意を促すことができる。
【0075】
さらに上述の実施の形態においては、エレベータ乗場案内装置14を乗場扉13の左右方向の中央に対して、左側降車客表示部15A、左上側待ち時間表示部16A及び左下側待ち時間表示部18Aと右側降車客表示部15B、右上側待ち時間表示部16B及び右下側待ち時間表示部18Bとで同一の表示を行う場合について述べたが、本発明はこれに限らず、片側(例えば左側降車客表示部15A、左上側待ち時間表示部16A及び左下側待ち時間表示部18A)のみ点灯又は点滅表示として他方(例えば右側降車客表示部15B、右上側待ち時間表示部16B及び右下側待ち時間表示部18B)は消灯表示としても良い。
【0076】
さらに上述の実施の形態においては、上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18の発光部16AB,16BB,18AB,18BBの点灯箇所を待ち時間の経過に応じて変える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上側待ち時間表示部16及び下側待ち時間表示部18の発光部16AB,16BB,18AB,18BBの点灯数を待ち時間の経過に応じて変えるようにしても良い。
【0077】
さらに上述の実施の形態においては、待ち時間演算部26が対象乗場11の直前の乗場11を乗りかご2が通過した時点で乗客の有無を判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、待ち時間演算部26がかご内操作盤4の当該乗場11に対応する行先階の行先階釦4Aが押圧操作された時点で乗客がいると判定しても良い。
【0078】
本発明は、上述の待ち時間や降車客の有無の表示方法に限らず、種々の表示方法を広く適用することができる。