特許第6586124号(P6586124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッドの特許一覧

特許6586124オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物
<>
  • 特許6586124-オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物 図000039
  • 特許6586124-オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物 図000040
  • 特許6586124-オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物 図000041
  • 特許6586124-オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物 図000042
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586124
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】オーバーコートされたフォトレジストと共に用いるためのコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20190919BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20190919BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20190919BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20190919BHJP
   B32B 27/26 20060101ALI20190919BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20190919BHJP
   G03F 7/38 20060101ALI20190919BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20190919BHJP
   C08G 59/18 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   C09D163/00
   C09D5/00 D
   C09D7/12
   B32B27/26
   B32B27/38
   G03F7/11 502
   G03F7/38 501
   H01L21/30 574
   C08G59/18
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2017-62956(P2017-62956)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-187764(P2017-187764A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年4月4日
(31)【優先権主張番号】15/088,091
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−ワン・シム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ−ワン・リー
(72)【発明者】
【氏名】ウネ・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・キュ・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ホン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ユイ・ヒュン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェ−ボン・リム
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−129938(JP,A)
【文献】 特開2010−139822(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0018150(US,A1)
【文献】 特開2012−247777(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/090640(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/077748(WO,A1)
【文献】 特開2007−140461(JP,A)
【文献】 特表2005−535740(JP,A)
【文献】 特開平11−060735(JP,A)
【文献】 特開2003−177547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0215713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジストレリーフ像を形成するための方法であって、
a)基材上に、
1)シアヌレート基を含む1つ以上のエポキシ反応基を含む第1の樹脂と、
2)前記第1の樹脂とは異なり、かつエポキシ基を含む架橋剤樹脂と、を含むコーティング組成物の層を塗布することと、
b)前記コーティング組成物層上にフォトレジスト組成物の層を塗布することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の樹脂のエポキシ反応基が、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、及び/もしくはチオ部分、ならびに/または前記コーティング組成物の熱処理の間に前記架橋剤樹脂のエポキシ基と反応することができる、求核酸素、窒素、もしくは硫黄基を含む他の求核基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記架橋剤樹脂の全重量に基づいて、前記架橋剤樹脂の15重量パーセント未満の樹脂反復単位が1つ以上のエポキシ反応基を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の樹脂の全重量に基づいて、前記第1の樹脂の15重量パーセント未満の樹脂反復単位が1つ以上のエポキシ基を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記架橋剤樹脂が、アクリレートエポキシ樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の樹脂及び/または架橋剤樹脂が、任意に置換されたフェニル基、任意に置換されたナフチル基、または任意に置換されたアントラセニル基を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋剤樹脂が、以下の式(1)の1つ以上の反復単位を含み、
【化1】
式中、
が、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたシクロアルキルを含む任意に置換されたアルキルから選択され、
が、−C(=O)−O−、−O−、−(CH−O−、−O−(CH−(式中、nが正整数である)、−(CH−(式中、nが正整数である)、−(任意に置換された炭素環式アリール)−O−、−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−O−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−O−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−、−O−(任意に置換されたヘテロアリール)−、から選択される結合基であり、
2’が、任意に置換されたC〜C12直鎖、分岐、または環状アルキル、任意に置換されたC〜C15アリールから選択され、任意にヘテロ原子を含有し、2’が少なくとも1つのエポキシ基を含むか、
あるいは、R及びR2’が一緒になって、ペンダントエポキシ基または縮合エポキシ基を含む炭素脂環式環を形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の樹脂が、以下の式(2)の単位を含み、
【化2】
式(2)中、Rが、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたシクロアルキルを含む任意に置換されたアルキルから選択され、
が、−C(=O)−O−、−O−、−(CH−O−、−O−(CH−(式中、nが正整数である)、−(CH−(式中、nが非負整数である)、−(任意に置換された炭素環式アリール)−O−、−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−O−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−O−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−、−O−(任意に置換されたヘテロアリール)−から選択される結合基であり、
が、水素、ハロゲン、シアノ、及び任意に置換されたアルキルから選択され、
が、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換された炭素環式アリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
が、任意に置換されたアルキル、任意に置換された環状アルキル、任意に置換された炭素環式アリール、及び任意に置換されたヘテロアリールであり、Rが、求核酸素、窒素、または硫黄基を含む、少なくとも1つの官能基を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の樹脂が、以下の式(3)の単位をさらに含み、
【化3】
式(3)中、
が、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたシクロアルキルを含む任意に置換されたアルキルから選択され、
が、−C(=O)−O−、−O−、−(CH−O−、−O−(CH−(式中、nが正整数である)、−(CH−(式中、nが非負整数である)、−(任意に置換された炭素環式アリール)−O−、−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−O−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−O−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−、−O−(任意に置換されたヘテロアリール)−から選択される結合基であり、
が、水素、ハロゲン、シアノ、及び任意に置換されたアルキルから選択され、
及びRが、独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換された炭素環式アリール、または任意に置換されたヘテロアリールから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の樹脂が、
以下の式(4)の単位を含み、
【化4】
式中、R、R、R、及びRが、各々独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル基、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたシクロアルケニル基、任意に置換されたC〜C20ヘテロシクロアルキル、任意に置換されたC〜C20ヘテロシクロアルケニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキニル基、任意に炭素環式アリール、または任意に置換されたヘテロアリールから選択され、
、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの求核酸素、窒素、または硫黄基を含む少なくとも1つの官能基を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の樹脂が、1)シアヌレート基、任意に2)疎水基、及び任意に3)芳香族基を含むモノマーの縮合によって調製されるポリエステルであり、
a)シアヌレート基を含むモノマーが、以下の式(5)の構造を含み、
【化5】
式(5)中、
、R、Rが、独立して、水素であるか、または任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニルもしくはアルキニル、任意に置換された環状アルキル、任意に置換された炭素環式アリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキルエステル、及び任意に置換されたアルキルエーテルから選択される非水素置換基であり、R、R、Rのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、またはチオ部分を含む官能基を有し、
b)疎水基を含むモノマーが、以下の式(6)の構造を含み、
【化6】
、Rが、式(5)で定義されるものと同じであり、式中、R、Rのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、またはチオ部分を含む官能基を有し、Rが、任意に置換されたアルキル、2〜10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニルもしくはアルキニル、または任意にハロゲン化されたアルキルであり、
c)芳香族基を含むモノマーが、以下の式(7)の構造を含み、
【化7】
、Rが、式(5)で定義されるものと同じであり、式中、R、Rのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、またはチオ部分を含む官能基を有し、芳香族基が、任意に置換されたアルカリールであるか、任意に置換された炭素環式アリールであるか、または任意に置換されたヘテロ芳香族基である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング組成物が熱酸発生剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
コーティングされた基材であって、
1)
i)シアヌレート基を含む1つ以上のエポキシ反応基を含む第1の樹脂と、
ii)前記第1の樹脂とは異なり、かつエポキシ基を含む架橋剤樹脂と、を含むコーティング組成物の層を有する基材と、
2)前記コーティング組成物層上のフォトレジスト組成物層と、を含む、コーティングされた基材。
【請求項14】
オーバーコートされたフォトレジスト組成物と共に用いるためのコーティング組成物であって、
i)シアヌレート基を含む1つ以上のエポキシ反応基を含む第1の樹脂と、
ii)前記第1の樹脂とは異なり、かつエポキシ基を含む架橋剤樹脂と、を含む、コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、組成物、具体的にはマイクロエレクトロニクス用途に用いるための反射防止コーティング組成物に関し、本発明の組成物は、2つ以上の樹脂の配合物を含み、1つの樹脂は、ペンダントであるか、またはポリマー骨格ポリマー架橋剤成分に縮合されたエポキシ基を有する。本発明の好ましい組成物は、オーバーコートされたフォトレジスト組成物と共に用いられ、これらは、下部反射防止組成物または「BARC」と称され得る。
【0002】
フォトレジストは、基材への像の転写のために用いられる感光フィルムである。フォトレジストのコーティング層が基材上に形成され、その後、フォトレジスト層がフォトマスクを介して活性化放射線源に露光される。露光後、フォトレジストが現像されて、基材の選択的加工を可能にするレリーフ像を提供する。
【0003】
フォトレジストを露光するために用いられる活性化放射線の反射は、多くの場合フォトレジスト層にパターニングされる像の解像度に限度をもたらす。基材/フォトレジスト界面からの放射線の反射は、フォトレジストにおける放射強度に空間的変動を引き起こす場合があり、結果的に現像時の非均一のフォトレジスト線幅を生じさせる。放射線は、基材/フォトレジスト界面から露光が意図されないフォトレジストの領域内に散乱する可能性もあり、この場合もやはり結果的に線幅変動を生じさせる。
【0004】
反射放射線の問題を低減するために用いられる1つの手法は、基材表面とフォトレジストコーティング層との間に介在する放射線吸収層の使用である。欧州特許第EP2000852B1号、韓国特許第KR1362661B1号、米国特許第5,677,112A号、米国特許第6,818,381B2号、米国特許第8,338,078B2号、米国特許第8,181,247B2号、米国特許第2008/0102649A1号、韓国特許第2010074607A号、米国特許第9,181,426B2号、国際公開第2009/035290A2号、国際公開第WO2013/023124A2号を参照されたい。
【0005】
多くの高性能リソグラフィ用途に関して、最適な吸収特性及びコーティング特性などの所望の性能特性を提供するために、特定の反射防止組成物が利用される。例えば、上述の特許文献を参照されたい。しかしながら、電子デバイス製造業者は、反射防止コーティング層上にパターニングされたフォトレジスト像の増大した解像度を求め続け、同様に反射防止組成物の増大し続ける性能を要求する。
【0006】
それ故に、オーバーコートされたフォトレジストと共に使用するための新規の反射防止組成物を有することが望ましい。増強された性能を示し、オーバーコートされたフォトレジストにパターニングされる像の増大した解像度を提供し得る新規の反射防止組成物を有することが特に望ましい。
【発明の概要】
【0007】
我々はここで、オーバーコートされたフォトレジスト組成物と共に使用され得る新たなコーティング組成物を提供する。好ましい態様では、本発明のコーティング組成物は、オーバーコートされたレジスト層のための効果的な反射防止層として機能することができる。
【0008】
好ましい態様では、有機コーティング組成物、具体的にはオーバーコートされたフォトレジストと共に用いるための反射防止組成物であって、2つ以上の別個の樹脂の配合物を含み、1つの樹脂がペンダントであるか、またはポリマー骨格と縮合するエポキシ基を有する、反射防止組成物が提供される。
【0009】
好ましいコーティング組成物としては、1)1つ以上のエポキシ反応基を含む第1の樹脂、及び2)第1の樹脂とは異なり、かつエポキシ基を含む架橋剤樹脂が挙げられる。エポキシ反応基としては、例えば求核置換反応を介して、エポキシ部分を含有する置換基と反応することができる官能基が挙げられる。例示的なエポキシ反応基は、アルコール、フェノキシ、またはカルボキシ;第1級アミン、第2級アミン、または第3級アミン;硫化物、スルホキシ、及びスルホノ(sulfono)部分;などのヒドロキシ、ならびにエポキシと反応することができるアミドまたはカルバメートなどの、かかる部分の保護形態を含む、ヒドロキシル、アミン、及び/もしくはチオ部分などの、上昇した温度においてを含む、エポキシ基との反応が可能である、1個以上の求核酸素、窒素、または硫黄原子を含む基(例えば、30秒または60秒間以上、200℃以上で加熱したエポキシ反応基を有する樹脂を有する組成物のスピンコートした層)を含み得る。かかる保護形態は、上昇した温度においてを含む、エポキシ基との反応が可能である、1個以上の求核酸素、窒素、または硫黄原子(例えば、30秒または60秒間以上、200℃以上で加熱したエポキシ反応基を有する樹脂を用いてスピンコートした組成物の層)を含むであろう。ある特定の態様では、エポキシ反応基はカルボキシを含まない。
【0010】
好ましくは、コーティング組成物の第1の樹脂は、1)もう1つのエポキシ反応基を含み、2)実質的に、基本的にまたは完全にいかなるエポキシ部分も含まない。この樹脂は、少なくとも実質的にエポキシ基を有さず、樹脂反復単位の15、13、12、11、10、9、8、7、6、または5重量パーセント未満(この樹脂の全重量に基づいて)は、1つ以上のエポキシ基を含む。この樹脂は、少なくとも基本的にはエポキシ基を有さず、樹脂反復単位の4、3、2、1、または0.5重量パーセント未満(この樹脂の全重量に基づいて)は、1つ以上のエポキシ基を含む。
【0011】
好ましくは、コーティング組成物の第2の樹脂は、1)もう1つのエポキシ部分を含み、2)実質的に、基本的にはまたは完全にいかなるエポキシ反応基部分も含まない。この樹脂は、少なくとも実質的にエポキシ反応基を有さず、樹脂反復単位の15、13、12、11、10、9、8、7、6、または5重量パーセント未満(この樹脂の全重量に基づいて)は、1つ以上のエポキシ反応基を含む。この樹脂は、少なくとも基本的にはエポキシ基を有さず、樹脂反復単位の4、3、2、1、または0.5重量パーセント未満(この樹脂の全重量に基づいて)は、1つ以上のエポキシ反応基を含む。
【0012】
本発明のコーティング組成物の特に好適な架橋剤樹脂(第2の樹脂)は、以下の式(1)のうちの1つ以上の反復単位を含み得、
【0013】
【化1】
【0014】
式(1)中、
が、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたシクロアルキルを含む任意に置換されたアルキルから選択され、
が、−C(=O)−O−、−O−、−(CH−O−、−O−(CH−(式中、nが1〜6などの正整数である)、−(CH−、(式中、nが1〜6などの正整数である)、−(任意に置換された炭素環式アリール)−O−、−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−O−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−O−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−、−O−(任意に置換されたヘテロアリール)−から選択される結合基であり、
2’が、任意に置換されたC〜C12直鎖、分岐、または環状アルキル、任意に置換されたC〜C15アリールから選択され、任意にヘテロ原子を含有し、R2’が少なくとも1つのエポキシ基を含むか、または、
及びR2’が、一緒になって、ペンダントエポキシ基または縮合エポキシ基を含む炭素脂環式環を形成する。
【0015】
本発明のコーティング組成物の特に好適なエポキシ反応性樹脂(第1の樹脂)は、(1)任意に、以下の式(2)のうちの1つ以上の反復単位を含み得、
【0016】
【化2】
【0017】
式(2)中、
が、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたシクロアルキルを含む任意に置換されたアルキルから選択され、
が、−C(=O)−O−、−O−、−(CH−O−、−O−(CH−(式中、nが正整数である)、−(CH−(式中、nが非負整数である)、−(任意に置換された炭素環式アリール)−O−、−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−O−(任意に置換された炭素環式アリール)−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−O−、−(任意に置換されたヘテロアリール)−、−O−(任意に置換されたヘテロアリール)−から選択される結合基であり、
が、水素、ハロゲン、シアノ、及び任意に置換されたアルキルから選択され、
及びRが、独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換された炭素環式アリール、または任意に置換されたヘテロアリールから選択されるか、
またはR及びRが、一緒になって、ペンダントエポキシ基または縮合エポキシ基を含む炭素脂環式環を形成し、
(2)以下の式(3)の単位を含み得、
【0018】
【化3】
【0019】
式(3)中、R、R、R、及びRが、上記の式(2)で定義されるものと同じであり、
が、任意に置換されたアルキル、任意に置換された環状アルキル、任意に置換された炭素環式アリール、及び任意に置換されたヘテロアリールであり、Rが、ヒドロキシル、アミン、もしくはチオ部分またはそれらの保護形態などの、求核酸素、窒素、または硫黄を含む、少なくとも1つの官能基を有する。
【0020】
本発明のコーティング組成物の好ましいエポキシ反応性樹脂(第1の樹脂)としては、以下の式(4)の単位を含むものも挙げられ、
【0021】
【化4】
【0022】
式(4)中、R、R、R、及びRが、各々独立して、水素、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル基、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたシクロアルケニル基、任意に置換されたC〜C20ヘテロシクロアルキル、任意に置換されたC〜C20ヘテロシクロアルケニル、任意に置換されたヘテロシクロアルキニル基、任意に炭素環式アリールまたは任意に置換されたヘテロアリールから選択され、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、アミン、もしくはチオ部分またはそれらの保護形態などの、求核酸素、窒素、または硫黄を含む少なくとも1つの官能基を含み有する。
【0023】
本発明のコーティング組成物の好ましいエポキシ反応性樹脂(第1の樹脂)としては、1)シアヌレート基、及び任意に2)疎水基、3)芳香族基を含むモノマーの縮合によって調製されるポリエステルなどの、ポリエステル結合を含む物質が挙げられる。
【0024】
ある特定の態様では、好ましいエポキシ反応性樹脂(第1の樹脂)は、シアヌレート基を含む。かかる好ましいエポキシ反応性樹脂は、ポリエステルであり得るか、または他の骨格結合を有し得る。
【0025】
反応して、本発明のコーティング組成物の樹脂(エポキシ反応性樹脂または第1の樹脂など)を形成し得る好適なシアヌレートモノマーとしては、以下の式(5)のものが挙げられ、
【0026】
【化5】
【0027】
式(5)中、
、R、及びRが、各々独立して、水素であるか、あるいは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、または任意に置換されたアルキニル、任意に置換された環状アルキル、及び任意に置換された炭素環式アリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたアルキルエステル、任意に置換されたアルキルエーテルなどの非水素置換基であり、R、R、Rのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、アミン、もしくはチオ部分、またはそれらの保護形態などの、求核酸素、窒素、または硫黄を含む官能基を有する。
【0028】
反応して、本発明のコーティング組成物の樹脂(エポキシ反応性樹脂または第1の樹脂など)を形成し得る好適な疎水性モノマーとしては、以下の式(6)のものが挙げられ、
【0029】
【化6】
【0030】
式(6)中、
及びRが、式(5)で定義されるものと同じであり、R、Rのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、またはチオ部分などの、酸素、窒素、または硫黄を含む求核基を含む官能基を有し、Rが、任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1−10アルキル)、アリルなどの好ましくは2〜約10個の炭素原子を有する、任意に置換されたアルケニルまたは任意に置換されたアルキニル、または任意にハロゲン化されたアルキルである。
【0031】
反応して、本発明のコーティング組成物の樹脂(エポキシ反応性樹脂または第1の樹脂など)を形成し得る好適な芳香族(炭素環式アリールを含む)モノマーとしては、以下の式(7)のものが挙げられ、
【0032】
【化7】
【0033】
式(7)中、
及びRが、式(5)で定義されるものと同じであり、式中、R及びRのうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、またはチオ部分などの、酸素、窒素、または硫黄を含む求核基を含む官能基を有し、芳香族基が、任意に置換されたベンジルなどの任意に置換されたアルカリールであるか、任意に置換されたフェニル、ナフチル、アンスラチル(anthrathyl)、アセナフチルなどの任意に置換された炭素環式アリールであるか、またはメチルフタルイミド、N−メチル−1,8−フタルイミドなどの任意に置換されたヘテロ芳香族基である。
【0034】
反射防止用途について、本発明の下地組成物はまた、オーバーコートされたレジスト層を露光するのに用いられる望ましくない放射線を吸収することができる発色団基を含む成分を含有するのが好ましく、レジスト層に反射して戻るのを防ぐ。樹脂または架橋剤が、かかる発色団基を含み得るか、またはコーティング組成物が、好適な発色団基を含むさらなる成分を含み得る。
【0035】
好ましい第1の樹脂はフッ素化され得、すなわち、フッ素化アルコールによる置換を含む、フッ素置換を有する1個以上の原子を含む。好ましい第2の樹脂はフッ素化され得、すなわち、フッ素化アルコールによる置換を含む、フッ素置換を有する1個以上の原子を含む。好ましいコーティング組成物としては、第1の樹脂がフッ素化されたものが挙げられるが、第2の樹脂はいかなるフッ素置換も含まない。好ましいコーティング組成物としては、第2の樹脂がフッ素化されたものが挙げられるが、第1の樹脂はいかなるフッ素置換も含まない。好ましいコーティング組成物としてはまた、第1の樹脂及び第2の樹脂の両方がフッ素化されたものも挙げられる。
【0036】
オーバーコートされたフォトレジストとの使用において、コーティング組成物は、その上に1つ以上の有機または無機コーティング層を有し得る半導体ウエハ等の基材上に塗布され得る。塗布されたコーティング層は、フォトレジスト層でオーバーコートされる前に、任意に熱処理され得る。かかる熱処理は、コーティング組成物層の架橋を含む硬化を引き起こし得る。かかる架橋は、1つ以上の組成物成分の間での硬化及び/または共有結合形成反応を含み得、コーティング組成物層の水接触角を調節することができる。
【0037】
その後、フォトレジスト組成物は、コーティング組成物層上に塗布されてもよく、続いて塗布されたフォトレジスト組成物層をパターニングされた活性化放射線で像形成し、像形成されたフォトレジスト組成物層が現像されて、フォトレジストレリーフ像を提供する。
【0038】
多種多様なフォトレジストを、本発明のコーティング組成物と組み合わせて(すなわち、オーバーコートして)用い得る。本発明の下地コーティング組成物と共に用いるための好ましいフォトレジストは化学的に増幅されたレジストであり、特に1つ以上の光活性化合物を含有するネガ型フォトレジスト及び光生成された酸の存在下で非ブロック化または開裂反応を受ける単位を含有する樹脂成分である。
【0039】
好ましい態様では、フォトレジスト組成物は、現像プロセス後に露光領域が残るネガ型レジストのために設計されるが、ポジ型現像もまた、フォトレジスト層の露光部分を除去するために使用することができる。
【0040】
本発明はさらに、フォトレジストレリーフ像の形成方法、及び本発明のコーティング組成物を単独でまたはフォトレジスト組成物と組み合わせてコーティングした基材(マイクロエレクトロニクスウエハ基材等)を含む新規の製品を提供する。
【0041】
本発明の他の態様が、以下に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】以下の実施例15の結果を示す。図1Aは比較実施例6の処理された組成物のSEMである。
図1B】以下の実施例15の結果を示す。図1Bは実施例7の処理された組成物のSEMである。
図2A】以下の実施例16の結果を示す。図2Aは比較実施例6の処理された組成物のSEMである。
図2B】以下の実施例16の結果を示す。図2Bは実施例8の処理された組成物のSEMである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
上で論じたように、有機コーティング組成物、具体的にはオーバーコートされたフォトレジストと共に用いるための反射防止組成物であって、2つの異なる樹脂:1)1つ以上のエポキシ反応基を含む第1の樹脂、及び2)第1の樹脂とは異なり、かつエポキシ基を含む架橋剤樹脂の配合物を含む反射防止組成物が提供される。
【0044】
樹脂配合物は、この樹脂を含む組成物への任意の熱処理または架橋の前に、好適に異なるか、別個である(例えば、2つ以上の樹脂は共有結合されない)。樹脂配合物は、好適には同じ種類であり得るか(例えば、配合物の構成員が各々アクリレートまたは各々ポリエステルである)、または樹脂配合物は、異なり得る(例えば、エポキシ反応基を含む第1の樹脂がアクリレートであり、エポキシ基を含む第2の異なる樹脂がポリエステルなどのアクリレート以外であるか、または第1の樹脂がポリエステルであり及び/またはシアヌレート基を含み、第2の樹脂がシアヌレート基及び/またはポリエステル結合を含まない)。
【0045】
より機能的な回路を設計するための努力により、形状サイズがより小さくなり、基板トポグラフィーがより複雑になるため、高度に反射性である基材からの光の反射により引き起こされる限界寸法(CD)における変動を制御すること、複層の薄フィルムの干渉、及びフォトレジスト焦点深度(DOF)がより重要になる。かかる用途のため、BARC及び間隙充填材料が、比較的大きなトポグラフィーの基材上に塗布され得る。
【0046】
トポグラフィーのかかる領域のため、BARC材料は、レジストより高いエッチ速度を有し、基本的には空隙を有さず、基本的にはレジストとの混合を含まない、単離されたビア領域と歯状ビア領域との間の低減された厚さバイアスのコーティングを提供するべきであることを見出した。しかしながら、先行のBARC材料は空隙、具体的には、例えば10nm以下の寸法を有する内側の穴及び溝パターンを生成し得る。空隙は、BARC頂部の厚さ、光学特性、ビア充填パーセンテージ、及びプラズマエッチ速度における変動を含む多くの性能問題を引き起こし得る。
【0047】
ここで我々は、本発明の好ましい下地コーティング組成物が、小さい寸法の穴及び溝パターンを含む、著しく改善された間隙充填性能を呈し得ることを見出した。好ましい態様では、本発明のコーティング組成物は、空隙を検出することなく(SEM分析)、溝をコーティングすることができ、この溝は40、30、20、または10nm以下の寸法を有し、80、90、100、110、または120nm以上のピッチを有する。
【0048】
理論に束縛されることなく、本発明の好ましいコーティング組成物はポリマー熱流及び有効性を制御し、それによって間隙充填性能に確実に影響を与える架橋反応性及び効率性を有すると考えられる。具体的には、本発明の好ましいコーティング組成物は、底面を介して流れるのに十分な時間を、組成物ポリマーに提供することができると考えられる比較的高い架橋温度を有する。
【0049】
本発明の好ましいコーティング組成物はまた、先行の組成物と比べて低減されたフィルム収縮も呈し得る。具体的には、好ましいコーティング組成物は、いかなる実質的な副生成物(例えば、開裂反応生成物)も産生せず、そのため架橋の間に組成物コーティングフィルムの収縮が相当量で生じる。フィルム厚の損失の低減はまた、性能及びレジスト解像度も増強することができる。
【0050】
もう1つのエポキシ反応基を含む、例示的な好ましい第1の樹脂はまた、以下の式(8)のポリマーなどのイソシアヌアレート(isocyanuarate)も含み得、
【0051】
【化8】
【0052】
式(8)中、R及びRは、各々独立して、水素であるか、あるいは任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1−10アルキル);アリルなどの、好ましくは2〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルケニルまたはアルキニル;好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルカノイル;メトキシ、プロポキシ、ブトキシなどの、好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルコキシ(エポキシを含む);好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルチオ;好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルフィニル;好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルホニル;好ましくは1〜約10個の炭素原子を有する任意に置換されたカルボキシ(−COOR′などの基を含み、式中、R′がHまたはC1−8アルキルであり、光酸と実質的に非反応性であるエステルを含む);任意に置換されたベンジルなどの任意に置換されたアルカリール;任意に置換されたフェニル、ナフチル、アセナフチルなどの任意に置換された炭素環式アリール;またはメチルフタルイミド、N−メチル−1,8−フタルイミドなどの任意に置換されたヘテロ脂環式もしくはヘテロ芳香族基などの非水素置換基であり、
少なくとも1つまたはR及びRは、ヒドロキシル、アミン、もしくはチオ部分またはそれらの保護形態などの、求核酸素、窒素または硫黄を含む。
【0053】
及びRは、任意に置換されたアルキレン、例えば、式中、nが1〜6の整数である−(CH−などの、同じか異なるリンカーであり、
各m、n、及びlは、同じであるかまたは異なり、0または正整数であり、典型的には0、1、2、3、4、または5である。
【0054】
エポキシ反応基及びイソシアヌレート基を含み得る本組成物の例示的な好ましいポリマーとしては、以下のものが挙げられる。
【0055】
【化9-1】
【0056】
【化9-2】
【0057】
【化9-3】
【0058】
もう1つのエポキシ反応基を含む、さらに好ましい第1の樹脂としては、以下に記載するような構造(反復単位)から基本的にはなる、またはその構造からなるものを含む樹脂などの、1つ以上のエポキシ反応基環置換基を有する炭素脂環式、ヘテロ脂環式、またはヘテロ芳香族基を含む、アクリレート樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、及び他の樹脂が挙げられる。以下の構造において、値x、y、及びzは、樹脂におけるパーセントとしての特定の反復単位のモルパーセンテージを示す。以下の構造におけるx、y、zの典型的な値は、0〜90パーセントの範囲であり、エポキシ反応基を含有する少なくとも1つの単位が、樹脂中に存在するであろう(したがって、例えば、エポキシ反応基を含有する樹脂単位は、0を超える所定のx、y、またはzの値を有するであろう)。以下の構造におけるnの好適な値としては、0及び正整数、典型的には0、1、2、3、4、5、または6、より典型的には1、2、3、4、5、または6が挙げられる。
【0059】
【化10-1】
【0060】
【化10-2】
【0061】
【化10-3】
【0062】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、直鎖、分岐、もしくは環状部分を有する、飽和一価炭化水素ラジカル(縮合及び架橋された二環式ならびにスピロ環式部分を含む)、または1個以上のヘテロ原子によって妨害され得る前述の部分の組み合わせを含む。好適なアルキル基は、1〜30個以上の炭素原子を有し得る。アルキル基が環状部分を有するために、この基は少なくとも3個の炭素原子を有し得る。アルキルエステルまたはアルキルエーテルなどの用語は、両方の官能基を含む基を指定するために周知であり、すなわち、アルキルエーテルが、エーテル基(またアルコキシ基も)と共に本明細書で特定されるようなアルキル基である。
【0063】
「アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、−CHCHCHCH−によって例示されるような、アルキル由来の2価ラジカルを含む。
【0064】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するアルキル部分を含み、アルキルは上で定義された通りであり、該アルケニル部分のE及びZアイソマーを含む。
【0065】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有するアルキル部分を含み、アルキルは上で定義された通りである。
【0066】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、直鎖、分岐、もしくは環状部分を有する、飽和一価炭化水素ラジカル(縮合及び架橋された二環式ならびにスピロ環式部分を含む)、または1個以上のヘテロ原子によって妨害され得る前述の部分の組み合わせを含む。アルキル基が環状部分を有するために、この基は少なくとも3個の炭素原子を有し得る。
【0067】
「アルキレン」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、−CHCHCHCH−によって例示されるような、アルキル由来の2価ラジカルを含む。
【0068】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するアルキル部分を含み、アルキルは上で定義された通りであり、該アルケニル部分のE及びZアイソマーを含む。ヘテロアルケニルは、1個以上のN、O、またはS原子を含むアルケニル基である。
【0069】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有するアルキル部分を含み、アルキルは上で定義された通りである。ヘテロアルキニルは、1個以上のN、O、またはS原子を含むアルキニル基である。
【0070】
「アルコール」という用語は、−OH基を指す。それは、例えばアルキル基の置換基、または他の部分であり得る。「アミン」という用語は、−N(R)(R1)基(式中、R及びR1が各々独立して、水素または非水素置換基である)を指し、それは第1級、第2級、または第3級アミンであり得、例えば、アルキル基の置換基であり得る。「チオ」という用語は、−SHなどの硫黄を含有する基を指し、例えば、アルキル基の置換基であり得る。
【0071】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、アルキルが上で定義された通りである、O−アルキル基を含む。
【0072】
「アルキルアミン」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、1つ以上の置換基を有する窒素基を含み、それらのうちの少なくとも1つが上で定義されたアルキルである。
【0073】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、アルキルが上で定義された通りである、S−アルキル基を含む。「アルキルスルフィニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、アルキルが上で定義された通りである、S(O)−アルキル基を含む。「アルキルスルホニル」という用語は、本明細書で使用される場合、別段指示がない限り、アルキルが上で定義された通りである、S(O)−アルキル基を含む。
【0074】
本明細書において言及されるように、好適なヘテロアルキルとしては、任意に置換されたC1−20アルコキシ、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルチオ、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルフィニル、好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルスルホニル、及び好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する任意に置換されたアルキルアミンが挙げられる。
【0075】
本明細書において言及されるように、「炭素脂環式基」という用語は、非芳香族基の各環員が炭素であることを意味する。炭素脂環式基は、環が芳香族でない限り、1つ以上の環内炭素−炭素二重または三重結合を有することができる。任意に置換された「シクロアルキル基」という用語は、非芳香族基の各環員が炭素であり、炭素環がいかなる環内炭素−炭素二重結合も有しないことを意味する。例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、及びアダマンチルは、シクロアルキル基及び炭素脂環式基である。炭素脂環式基及びシクロアルキル基は、1つの環または複数の(例えば、2、3、4、もしくはそれ以上の)架橋された、縮合された、またはそうでなければ共有結合された環を含み得る。理解されるように、シクロアルケニルまたはシクロアキニル(cycloakynyl)基は、それぞれ少なくとも1つの環内二重または三重炭素−炭素結合を含むであろう。
【0076】
「ヘテロシクロアルキル」という用語、または他の同様な用語は、少なくとも1個の環状原子が炭素ではなく、N、O、またはSであることを除いて、シクロアルキルに関して上で特定したものと同じ非芳香族基である。ヘテロシクロアキル(heterocycloakyl)基は、環が芳香族でない限り、1つ以上の環内炭素−炭素二重結合を有することができる。ヘテロシクロアルキル基は、1つの環もしくは複数の(例えば、2、3、4、もしくはそれ以上の)架橋された、縮合された、またはそうでなければ共有結合された環を含み得る。理解されるように、ヘテロシクロアルケニルまたはヘテロシクロアルキニル基は、それぞれ少なくとも1つの環内二重または三重炭素−炭素結合を含むであろう。非芳香族ヘテロシクロアルキルまたは複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、及びインドリニルである。
【0077】
炭素環式アリールという用語は、芳香族環の構成員が、全てフェニル、ナフチル、及びアントラセニルなどの炭素である芳香族基を指す。
【0078】
本明細書において言及されるように、「ヘテロアリール」または他の同様な用語の基としては、単環であれば1〜3個のヘテロ原子を、二環であれば1〜6個のヘテロ原子を、または三環であれば1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族5〜8員環単環系、8〜12員環二環系、または11〜14員環三環系が挙げられ、該ヘテロ原子はO、N、またはS(例えば、単環、二環、または三環であれば、それぞれ炭素原子及びN、O、またはSの1〜3、1〜6、もしくは1〜9個のヘテロ原子)より選択され、各環の0、1、2、3、または4個の原子は置換基で置換され得る。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル等が挙げられる。
【0079】
「任意に置換された」、様々な材料及び置換基(上述の様々な式(1)〜(8)の置換基を含む)は、1つ以上の使用可能な位置で、例えば、ハロゲン(F、Cl、Br、I);ニトロ;ヒドロキシ;アミノ;C1−8アルキルなどのアルキル;C2−8アルケニルなどのアルケニル;C1−8アルキルアミノなどのアルキルアミノ;フェニル、ナフチル、アントラセニルなどの炭素環式アリール;などによって好適に置換され得る。
【0080】
概して好ましい態様では、熱処理前の、コーティング組成物の第1の樹脂及び第2の樹脂成分は、異なる別個の材料であり、すなわち、樹脂成分及び架橋剤成分が共有結合されていない。特定の他の実施形態では、架橋剤成分は樹脂成分と結合し得、例えばペンダント基として共有結合的に連結される。
【0081】
論じたように、多種多様な樹脂が下地コーティング組成物の樹脂成分として作用し得る。
【0082】
本発明のコーティング組成物の特に好ましい樹脂は、ポリエステル結合を含み得る。ポリエステル樹脂は、1つ以上のポリオール試薬と1つ以上のカルボキシ基含有(カルボン酸、エステル、無水物等)化合物との反応によって容易に調製可能である。好適なポリオール試薬としては、ジオール、グリセロール、及びトリオール、例えばジオール等のジオール類はエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、シクロブチルジオール、シクロペンチルジオール、シクロヘキシルジオール、ジメチルオルシクロヘキサン(dimethylolcyclohexane)であり、及びグリセロール、トリメチルオルエタン、トリメチルオルプロパン等のトリオール類が挙げられる。
【0083】
本発明の反射防止組成物で使用するために好ましいポリエステル樹脂はまた、米国特許第8,501,383号、米国出願公開第2011/0033801号、及び米国特許第7,163,751号に開示されている。これらの特許文献に開示されるように、エステル反復単位を含有する樹脂(ポリエステル)は、カルボキシ含有化合物(例えば、カルボン酸、エステル、無水物等)及びヒドロキシ含有化合物、好ましくは複数のヒドロキシ基を有する化合物、例えば、エチレングリコールまたはプロピレングリコール等のグリコール、またはグリセロール、または他のジオール、トリオール、テトラオール等との重合により適切に提供され得る。特定の態様では、好ましくは、エステル官能基は、ペンダントまたは側鎖単位としてではなく、ポリマー骨格の成分として、または骨格内に存在する。エステル部分はまたペンダント基としても存在し得るが、好ましくは、ポリマーはポリマー骨格に沿ったエステル官能基も含有する。エステル繰り返し単位が芳香族置換、例えば任意に置換された炭素環式アリール基、例えば、任意に置換されたフェニル、ナフチルまたはアントラセニル置換を、側鎖として、またはさらに好ましくはポリマー骨格に沿ってのいずれかとして含むことも好ましい。
【0084】
本発明のコーティング組成物の樹脂は、米国特許第6,852,421号及び同第8,501,383号に開示されるシアヌレート基等の多種多様な追加基を含み得る。
【0085】
論じたように、本発明のコーティング組成物の、特に好ましい第1及び/または第2の(エポキシ架橋剤)樹脂は、1つ以上の1つ以上のシアヌレート基及びポリエステル結合を含み得る。
【0086】
論じたように、反射防止用途について、樹脂を形成するために反応される1つ以上の化合物は、オーバーコートされたフォトレジストコーティング層を露光するために使用された放射線を吸収するための発色団として機能することができる部分を好適に含む。例えば、フタル酸化合物(例えば、フタル酸またはフタル酸ジアルキル(すなわち、1〜6個の炭素原子を有する各エステル、好ましくはジメチルまたはフタル酸エチル等のジエステル)を芳香族または非芳香族ポリオール、及び任意に他の反応化合物と重合して、193nm等の200nm未満の波長で像形成されたフォトレジストを有して使用されるコーティング組成物で特に有用なポリエステルを提供し得る。イソシアヌレート化合物もまた1つ以上のポリオールと重合されて、本下地コーティング組成物に有用な樹脂を提供し得る。248nmまたは193nm等の300nm未満の波長または200nm未満の波長で像形成されたオーバーコートされたフォトレジストを有する組成物に用いられる樹脂であるナフチル化合物を重合してもよく、例えばジアルキル、具体的にはジ−C1−6アルキルナフタレンジカルボキシレートの1つまたは2つ以上のカルボキシル置換基を含有するナフチル化合物を重合し得る。反応性アントラセン化合物、例えば、1つ以上のメチルエステルもしくはエチルエステル基等の1つ以上のカルボキシまたはエステル基を有するアントラセン化合物もまた、好ましい。
【0087】
発色団単位を含有する化合物はまた、1つまたは好ましくは2つ以上のヒドロキシ基を含有し、カルボキシル含有化合物とも反応し得る。例えば、1つ、2つ、またはそれ以上のヒドロキシル基を有するフェニル化合物もしくはアントラセン化合物は、カルボキシル含有化合物と反応し得る。
【0088】
追加で、反射防止目的で使用される下地コーティング組成物は、水接触角調節を提供する樹脂成分とは別個の発色団単位を含有する材料(例えば、光酸不安定基及び/または塩基反応性基を含有する樹脂)を含有し得る。例えば、コーティング組成物は、フェニル、アントラセン、ナフチル等の単位を含有するポリマーまたは非ポリマー化合物を含み得る。多くの場合で好ましいが、水接触角変調を提供する1つ以上の樹脂は発色団部分も含有する。
【0089】
エポキシ基を含む好ましい第2の樹脂としては、以下の単位のうちの1つ以上を含むポリマーなどのアクリレートポリマーが挙げられる。以下の構造において、値x、y、及びzは、樹脂におけるパーセントとしての特定の反復単位のモルパーセンテージを示す。以下の構造における各nの好適な値としては、0及び正整数、典型的には0、1、2、3、4、5、または6、より典型的には1、2、3、4、5、または6が挙げられる。
【0090】
【化11-1】
【0091】
【化11-2】
【0092】
好ましくは、本発明の下地コーティング組成物の樹脂は、約1,000〜約1,000,000ダルトン、より典型的には約2,000〜約50,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を、及び約500〜約1,000,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有する。本発明の組成物の樹脂の分子量(MwまたはMnのいずれか)は、ゲル浸透クロマトグラフィによって好適に求められる。
【0093】
下地コーティング組成物は、可変量で第1及び第2の樹脂を含み得る。典型的には、樹脂の各種類(すなわち、第1及び/または第2の各々(架橋剤樹脂))は、組成物の全固体(溶剤担体を除く全ての材料)の重量に基づいて少なくとも5重量パーセントの量で、コーティング組成物中に存在し、より典型的には樹脂の各種類は、組成物の全固体の重量に基づいて、少なくとも10、15、または20重量パーセントの量で、コーティング組成物中に存在する。
【0094】
多くの好ましい実施形態において、樹脂成分は、下地コーティング組成物の主要な固体成分となる。例えば、樹脂は好適に、コーティング組成物の全固形分に基づいて50〜99.9重量パーセント、より典型的にはコーティング組成物の全固形分に基づいて80〜95重量パーセントで存在し得る。本明細書において言及されるように、コーティング組成物の固形分は、溶剤担体を除いたコーティング組成物の全ての材料を指す。
【0095】
ある特定の実施形態では、本発明のコーティング組成物は、エポキシ樹脂(第2の樹脂)に加えて架橋剤を含み得る。例えば、コーティング組成物は、例えば、Cytec Industriesによって製造され、Cymel 300、301、303、350、370、380、1116、及び1130の商品名で販売されるメラミン樹脂を含むメラミン材料等のアミン系架橋剤、Cytec Industriesより入手可能なグリコールウリルを含むグリコールウリル、ならびにCytec IndustriesからCymel 1123及び1125の名称で入手可能なベンゾクアナミン(benzoquanamine)樹脂等の樹脂を含むベンゾクアナミン及び尿素系材料、ならびにCytec IndustriesからPowderlink 1174及び1196の名称で入手可能な尿素樹脂を含み得る。市販されていることに加えて、かかるアミン系樹脂は、例えばアクリルアミドまたはメタクリルアミドコポリマーをホルムアルデヒドとアルコール含有溶液内で反応させること、あるいはN−アルコキシメチルアクリルアミドまたはメタクリルアミドを他の好適なモノマーと共重合させることによって調製し得る。
【0096】
特に好ましい本発明のコーティング組成物はまた、組成物成分の硬化または架橋を促進するように機能し得る酸遊離酸及び/または酸発生剤も含有し得る。酸発生剤の活性化によるコーティング組成物の熱誘起架橋が一般的に好まれる。
【0097】
遊離酸の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロピルスルホン酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びトリフルオロメチルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
好適な酸発生剤としては、熱酸発生剤(TAG)、光酸発生剤(PAG)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0099】
コーティング組成物中で使用するために好適な熱酸発生剤組成物としては、イオン性または実質的に中性の熱酸発生剤が挙げられる。好適な非イオン性の熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp−トルエンスルホネート、メチルp−トルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、樟脳スルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、炭素環式アリール(例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニルなど)、及びヘテロアリール(例えば、チエニル)スルホネート塩、脂肪族スルホネート塩、ベンゼンスルホネート塩、及びトリフリック酸のベンジルピリジニウム及びベンジルアニリニウム塩を含むアンモニウムトリフレート塩などの、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p−トルエンスルホン酸アンモニウム塩、スルホネート塩が挙げられる。活性化に際してスルホン酸またはトリフリック酸を産生する組成物が、一般的に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p−トルエンスルホン酸アンモニウム塩、アンモニウムトリフラート塩が挙げられる。ある特定の光酸発生剤は、活性化放射線または熱への曝露に際して酸を産生する熱酸発生剤としても機能することができる。以下の組成物は、例えば、PAGまたはTAGとして機能することができる。
【0100】
【化12】
【0101】
TAGとして使用されるとき、これらの組成物は、アンモニウム塩と比較して比較的緩徐な架橋(高い架橋開始温度)を提供し、そのため高いΔTo−gが実現され得る。
【0102】
典型的に、1つ以上の熱酸発生剤は、組成物の全乾燥成分(溶剤担体を除く全ての成分)の約0.1〜10重量パーセントの濃度、より好ましくは全乾燥成分の約0.5〜2重量パーセントで、コーティング組成物に存在する。
【0103】
本発明の、特に反射制御用途のためのコーティング組成物は、オーバーコートされたフォトレジスト層を露光するために用いられる放射線を吸収する追加の染料化合物も含有し得る。他の任意の添加剤としては、表面レベリング剤、例えば、商品名Silwet7604で入手可能なレベリング剤、または3M Companyより入手可能な界面活性剤FC171もしくはFC431が挙げられる。
【0104】
本発明の下地コーティング組成物もまた、オーバーコートされたフォトレジスト組成物と用いるものとして論じたような光酸発生剤を含む光酸発生剤等の他の材料を含み得る。反射防止組成物中の光酸発生剤のかかる使用の論議については、米国特許第6,261,743号を参照されたい。
【0105】
本発明の液体コーティング組成物を作製するには、コーティング組成物の成分は、例えば、1つ以上のオキシイソ酪酸エステル、具体的にはメチル−2−ヒドロキシイソブチレート、乳酸エチル、または2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等の1つ以上のグリコールエーテル、メトキシブタノール、エトキシブタノール、メトキシプロパノール、及びエトキシプロパノール等、エーテル及びヒドロキシ部分の両方を有する溶剤、メチル2−ヒドロキシイソブチレート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル、ならびに二塩基エステル、プロピレンカルボネート、及びガンマブチロラクトン等の他の溶剤等、好適な溶剤に溶解される。溶剤中の乾燥成分の濃度は、塗布方法等いくつかの要因に依存する。一般的に、下地コーティング組成物の固形分はコーティング組成物の全重量の約0.5〜20重量パーセントで変動し、好ましくは、固形分はコーティング組成物の全重量の約0.5〜10重量パーセントで変動する。
【0106】
例示的なフォトレジスト系
下地コーティング組成物と用いるためのフォトレジストは、典型的にポリマーと1つ以上の酸発生剤とを含む。一般的に好ましいものはポジ型レジストであり、レジストポリマーはレジスト組成物にアルカリ性の水溶解性を与える官能基を有する。例えば、好まれるのは、ヒドロキシルまたはカルボキシレート等の極性官能基、またはリソグラフィ加工の際に、かかる極性部分を遊離させることができる酸不安定基を含むポリマーである。好ましくは、このポリマーは、水性アルカリ溶液で現像可能なレジストを行うのに十分な量でレジスト組成物に用いられる。
【0107】
酸発生剤もまた、フェノールを含む任意に置換されたフェニル、任意に置換されたナフチル、及び任意に置換されたアントラセン等の、芳香族基を含有する繰り返し単位を含むポリマーと好適に用いられる。ポリマーを含有する任意に置換されたフェニル(フェノールを含む)は、EUV及び電子線(e−beam)放射で像形成されるものを含む多くのレジスト系に特に好適である。ポジ型レジストについては、ポリマーはまた、酸不安定基を含む1つ以上の繰り返し単位を好ましく含有する。例えば、任意に置換されたフェニルまたは他の芳香族基を含有するポリマーの場合では、ポリマーは、アクリレートまたはメタクリレート化合物のモノマーを酸不安定エステルと重合することで形成されるポリマー(例えば、t−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート)等、1つ以上の酸不安定部分を含有する繰り返し単位を含み得る。かかるモノマーは、任意にフェニル等の芳香族基を含む1つ以上の他のモノマー、例えばスチレンまたはビニルフェノールモノマーで共重合され得る。
【0108】
かかるポリマーの形成に用いられる好ましいモノマーとしては、以下の式(V)を有する酸不安定モノマー、以下の式(VI)のラクトン含有モノマー、アルカリ現像液中の溶解率を調整するための以下の式(VII)の塩基可溶性モノマー、及び以下の式(VIII)の酸発生モノマー、または少なくとも1つの上記のモノマーを含む組み合わせ、が挙げられ、
【0109】
【化13】
【0110】
式中、各Rは独立して、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。式(V)の酸脱保護モノマーでは、Rは独立して、C1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、各Rは、別々であるか、または少なくとも1つのRが隣接するRと結合して、環状構造を形成する。式(VI)のラクトン含有モノマーでは、Lは単環、多環、または縮環多環のC4−20ラクトン含有基である。式(VII)の塩基可溶性モノマーでは、Wは12以下のpKaを有する、ハロゲン化または非ハロゲン化、芳香族または非芳香族のC2−50ヒドロキシル含有有機基である。式(VIII)の酸発生モノマーでは、Qはエステル含有または非エステル含有及びフッ素化または非フッ素化であり、C1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキル基であり、Aはエステル含有または非エステル含有及びフッ素化または非フッ素化であり、C1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、Zはカルボン酸塩、スルホン酸塩、スルホンアミドのアニオン、またはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン性部分であり、Gはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0111】
例示的な酸脱保護モノマーは以下を含むがこれらに限定されず、
【0112】
【化14】
【0113】
または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、RはH、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0114】
好適なラクトンモノマーは以下の式(IX)のものであってもよく、
【0115】
【化15】
【0116】
式中、RはH、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、RはC1−10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、wは0〜5の整数である。式(IX)では、Rはラクトン環と直接接続するかラクトン環及び/または1つ以上のR基に共有して接続しており、エステル部分はラクトン環に直接、またはRを介して間接的に接続される。
【0117】
例示的なラクトン含有モノマーは、
【0118】
【化16】
【0119】
または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、RはH、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルである。
【0120】
好適な塩基可溶性モノマーは以下の式(X)のものであり得、
【0121】
【化17】
【0122】
式中、各Rは独立して、H、F、−CN、C1−10アルキル、またはC1−10フルオロアルキルであり、Aはヒドロキシル含有または非ヒドロキシル含有、エステル含有または非エステル含有、フッ素化または非フッ素化のC1−20アルキレン、C3−20シクロアルキレン、C6−20アリーレン、またはC7−20アラルキレンであり、xは0〜4の整数であり、xが0であるとき、Aはヒドロキシ含有C6−20アリーレンである。
【0123】
例示的な塩基可溶性モノマーは以下の構造を有するもの:
【0124】
【化18】
【0125】
または前述のモノマーのうちの少なくとも1つを含む組み合わせを含み、式中、RはH、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルである。
【0126】
好ましい酸発生モノマーは、式(XI)または(XII)のものを含み、
【0127】
【化19】
【0128】
式中、各Rは独立して、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、Aはフッ素置換されたC1−30アルキレン基、フッ素置換されたC3−30シクロアルキレン基、フッ素置換されたC6−30アリーレン基、またはフッ素置換されたC7−30アルキレン−アリーレン基であり、Gはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0129】
好ましくは、式(XI)及び(XII)では、Aは−[(C(RC(=O)O]−C((R(CF−基、またはo−、m−、もしくはp−置換された−C−基であり、各R及びRは各々独立して、H、F、−CN、C1−6フルオロアルキル、またはC1−6アルキルであり、bは0または1であり、xは1〜10の整数であり、y及びzは独立して、0〜10の整数であり、y+zの合計は少なくとも1である。
【0130】
例示的な好ましい酸発生モノマーとしては、
【0131】
【化20】
【0132】
または上記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられ、各Rは独立して、H、F、−CN、C1−6アルキル、またはC1−6フルオロアルキルであり、kは好適に0〜5の整数であり、Gはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。本明細書に様々な式を通して言及されるGは本明細書に開示される酸発生剤であってもよく、オキソ−ジオキソラン部分及び/またはオキソ−ジオキサン部分を含み得る。
【0133】
好ましい酸発生モノマーはスルホニウムまたはヨードニウムを含み得る。好ましくは、式(IV)では、Gは式(XIII)のものであり、
【0134】
【化21】
【0135】
式中、XはSまたはIであり、各Rはハロゲン化または非ハロゲン化であり、独立して、C1−30アルキル基、多環または単環のC3−30シクロアルキル基、多環または単環のC4−30アリール基、もしくは上記の少なくとも1つを含む組み合わせであり、XがSであるときに、1つのR基は任意に1つの隣接するR基と単結合で接続され、aは2または3であり、XがIであるときに、aは2である、またはXがSであるときに、aは3である。
【0136】
例示的な酸発生モノマーは、以下の式を有するものを含む。
【0137】
【化22】
【0138】
本発明のポジ型の化学的に増幅されたフォトレジストに使用するための酸不安定脱ブロック基を有する具体的な好適なポリマーは、欧州特許出願第0829766A2号(アセタール及びケタールポリマーを有するポリマー)及び欧州特許出願第EP0783136A2号に開示されている、1)スチレン、2)ヒドロキシスチレン、及び3)酸不安定基、具体的にはアルキルアクリレート酸不安定基の単位を含むターポリマーならびに他のコポリマーである。
【0139】
193nm等、200nm未満で像形成されるフォトレジストに用いる追加の好ましい樹脂は、以下の一般的な式(I)、(II)、及び(III)の単位を含み、
193nm等、200nm未満で像形成されるフォトレジストに用いられる好ましい樹脂は、以下の一般的な式(I)、(II)、及び(III)の単位を含み、
【0140】
【化23】
【0141】
式中、Rは(C−C)アルキル基であり、Rは(C−C3)アルキレン基であり、Lはラクトン基であり、nは1または2である。
【0142】
本発明のフォトレジストに用いるポリマーは、分子量及び多分散度において好適に大きく変動し得る。好適なポリマーとしては、約1,000〜約50,000、より典型的には約2,000〜約30,000のMを有し、約3以下の分子量分布、より典型的には約2以下の分子量分布を有するものが挙げられる。
【0143】
本発明の好ましいネガ型組成物は、酸への曝露により硬化する、架橋する、または固まる材料の混合物、及び本明細書に開示される2つ以上の酸発生剤を含む。好ましいネガ型組成物は、フェノール性または非芳香族のポリマー等のポリマーバインダ、架橋剤成分、及び本発明の光活性成分を含む。かかる組成物及びその使用は、欧州特許出願第0164248号、及びThackeray等への米国特許第5,128,232号に開示されている。ポリマーバインダ成分として用いるのに好ましいフェノール性ポリマーとしては、ノボラック類及び上で論じたもの等のポリ(ビニルフェノール)類が挙げられる。好ましい架橋剤としては、メラミン、グリコルリル、ベンゾグアナミン系材料、及び尿素系材料を含むアミン系材料が挙げられる。メラミンホルムアルデヒドポリマーが、多くの場合特に好適である。かかる架橋剤、例えばメラミンポリマー、グリコルリルポリマー、尿素系ポリマー、及びベンゾグアナミンポリマーは市販されており、例えば、CytecによってCymel301、303、1170、1171、1172、1123、及び1125、ならびにBeetle60、65、及び80の商品名で販売されるものが挙げられる。
【0144】
本発明の特に好ましいフォトレジストは液浸リソグラフィ用途に用いられ得る。例えば、好ましい液浸リソグラフィフォトレジスト及び方法の論議については、Rohm and Haas Electronic Materialsへの米国特許第7,968,268号を参照されたい。
【0145】
本発明のフォトレジストはまた、単一の酸発生剤または異なる酸発生剤の混合物、典型的には2つまたは3つの異なる酸発生剤の混合物、より典型的には合計で2つの異なる酸発生剤からなる混合物を含み得る。フォトレジスト組成物は、組成物のコーティング層に活性化放射線への露光後に潜像を生成するのに十分な量で使用される酸発生剤を含む。例えば、酸発生剤は、フォトレジスト組成物の全固形分に基づいて1〜20重量%の量で好適に存在するであろう。
【0146】
好適な酸発生剤は、化学的に増幅されたフォトレジストの技術分野において知られており、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート等のオニウム塩、2−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、2,6−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート、及び2,4−ジニトロベンジル−p−トルエンスルホネート等のニトロベンジル誘導体、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、及び1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、及びビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、ならびに2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、及び2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0147】
本明細書において言及されるように、酸発生剤は、EUV放射線、電子線放射線、193nm波長放射線、または他の放射源等の活性化放射線に曝露されると、酸を生成することができる。本明細書において言及される酸発生剤化合物は、光酸発生剤化合物とも称され得る。
【0148】
本発明のフォトレジストはまた、他の材料を含有し得る。例えば、他の任意の添加剤としては、化学及び造影剤、抗ストリエーション(anti−striation)剤、可塑剤、加速剤、及び増感剤が挙げられる。かかる任意の添加剤は、フォトレジスト組成物中に微量濃度で典型的に存在するであろう。
【0149】
あるいは、または追加で、他の添加剤は、例えば、水酸化物、カルボン酸塩、アミン、イミン、及びアミドに基づくもの等、非光分解性塩基である消光剤を含み得る。好ましくは、かかる消光剤としては、C1−30有機アミン類、イミン類、またはアミド類が挙げられ、または強塩基(例えば、水酸化物またはアルコキシド)もしくは弱塩基(例えば、カルボン酸塩)のC1−30第4級アンモニウム塩であり得る。例示的な消光剤としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のアミン類、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール、及び2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のアリールアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)またはジアザビシクロノネン(DBN)等のヒンダードアミン、またはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテート等の第4級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤が挙げられる。
【0150】
界面活性剤としてはフッ素化及び非フッ素化界面活性剤が挙げられ、好ましくは非イオン性である。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、3M Corporationより入手可能なFC−4430及びFC−4432界面活性剤等のパーフルオロC界面活性剤、ならびにOmnovaからのPOLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656、及びPF−6520フルオロ界面活性剤等のフルオロジオールが挙げられる。
【0151】
フォトレジストはさらに、フォトレジストに用いられる成分を溶解、分配、及びコーティングするのに一般的に好適な溶剤を含む。例示的な溶剤としては、アニソール、乳酸エチル、1−メトキシ−2−プロパノール、及び1−エトキシ−2プロパノールを含むアルコール、n−ブチルラクテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシエトキシプロピオネートを含むエステル類、シクロヘキサノン及び2−ヘプタノンを含むケトン、ならびに上記溶剤の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0152】
リソグラフィ処理
使用において、本発明のコーティング組成物は、スピンコーティング等の多種多様な方法の任意のものによって、コーティング層として基材に塗布される。一般的にコーティング組成物は基材上に、約0.02〜0.5μmの乾燥層の厚さ、好ましくは約0.04〜0.20μmの乾燥層の厚さで塗布される。基材は好適に、フォトレジストを伴う処理に用いられる任意の基材である。例えば、基材は、ケイ素、二酸化ケイ素、またはアルミニウム−酸化アルミニウムマイクロ電子ウエハであり得る。ガリウムヒ素、炭化ケイ素、セラミック、石英、または銅基材もまた使用され得る。液晶ディスプレイまたは他のフラットパネルディスプレイ用途のための基材、例えばガラス基材、インジウムスズ酸化物でコーティングされた基材等も、好適に使用される。光学及び光学電子デバイス(例えば、導波管)のための基材もまた、使用可能である。
【0153】
好ましくは、塗布されたコーティング層は、フォトレジスト組成物が下地コーティング組成物の上に塗布される前に硬化される。硬化条件は下地コーティング組成物の成分によって変化する。特に硬化温度はコーティング組成物に使用される特定の酸または酸(熱)発生剤に依存する。典型的な硬化条件は約80℃〜225℃で約0.5〜5分間である。硬化条件は、好ましくはコーティング組成物コーティング層を、使用されるフォトレジスト溶剤及び現像液に対して実質的に不溶にする。
【0154】
かかる硬化後に、フォトレジストは、塗布されたコーティング組成物の表面上に塗布される。底部コーティング組成物層の塗布と同様に、オーバーコートされたフォトレジストは、スピニング、ディッピング、メニスカス、またはローラーコーティング等のいかなる標準的な手段によっても塗布可能である。塗布後、フォトレジストコーティング層は、好ましくはレジスト層が不粘着となるまで、典型的に加熱することで乾燥される。最適には、基本的に底部組成物層とオーバーコートされたフォトレジスト層との混合は発生するべきでない。
【0155】
レジスト層は次いで、従来の様態でマスクを通して、248nm、193nm、またはEUV放射線等の活性化放射線で像形成される。露光エネルギーは、レジスト系の光活性成分を効果的に活性化してレジストコーティング層にパターニングされた像を生成するのに十分なものである。典型的には、露光エネルギーは約3〜300mJ/cmの範囲内であり、部分的には露光ツール及び使用される特定のレジストならびにレジスト処理に依存する。露光されたレジスト層は、コーティング層の露光と非露光領域の間の溶解度の差を作るか増強することを望む場合は、露光後ベークに供され得る。例えば、ネガ型硬化フォトレジストは典型的に、酸で促進された架橋反応を誘起するために露光後加熱を必要とし、多くの化学的に増幅されたポジ型レジストは酸促進された脱保護反応を誘起するために露光後加熱を必要とする。典型的な露光後ベーク条件としては、約50℃以上の温度、より具体的には約50℃〜約160℃の温度が挙げられる。
【0156】
フォトレジスト層はまた、液浸リソグラフィ系、すなわち、露光ツール(特に映写レンズ)とフォトレジストでコーティングされた基材との間の空間が水または強化された屈折率を有する液体を提供することのできる硫酸セシウム等の1つ以上の添加剤と混合された水等の浸漬液によって占有される部分で露光され得る。好ましくは、浸漬液(例えば、水)は気泡の発生を回避するように処理されており、例えば、水はナノバブルの発生を回避するために脱ガスされ得る。
【0157】
本明細書中の「液浸露光」または他の類似表現への言及は、露光が、かかる露光ツールとコーティングされたフォトレジスト組成物層との間に介在する液体層(例えば、水または添加剤を有する水)を用いて行われることを示す。
【0158】
露光されたフォトレジスト層は次いで、膜の一部を選択的に除去してフォトレジストパターンを形成することができる好適な現像液で処理される。ネガ型現像プロセスでは、フォトレジスト層の非露光領域は、好適な非極性溶剤で処理することによって選択的に除去することができる。ネガ型現像の好適な手順については、米国特許出願第2011/0294069号を参照されたい。ネガ型現像のための典型的な非極性溶剤は、ケトン、エステル、炭化水素、及びそれらの混合物から選択される溶剤などの有機現像液であり、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、メチルアセテート、ブチルアセテート、及びテトラヒドロフランである。NTDプロセスで用いられるフォトレジスト材料は、好ましくは、有機溶剤現像液でネガ型像を、またはテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液等の水性塩基現像液でポジ型像を形成することができる、フォトレジスト層を形成する。好ましくは、NTDフォトレジストは、脱保護されると、カルボン酸基及び/またはヒドロキシル基を形成する酸感応性(脱保護可能)基を有するポリマーに基づく。
【0159】
あるいは、露光されたフォトレジスト層の現像は、露光された層を膜の露光部分(フォトレジストがポジ型である部分)を選択的に除去するか、または膜の非露光部分(フォトレジストが露光領域において架橋可能な部分、すなわちネガ型)を除去することのできる好適な現像液で処理することによって実現され得る。好ましくは、フォトレジストは脱保護されるとカルボン酸基を形成する酸感応性(脱保護可能)基を有するポリマーに基づいてポジ型であり、現像液は好ましくは金属イオンを含まないテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば、水性の0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。パターンは現像によって形成される。
【0160】
現像された基材は次いで、フォトレジストがむき出しの基材の領域上で、例えば、従来周知の手順に従ってフォトレジストがむき出しの基材領域を化学的にエッチングするまたはめっきすることで選択的に処理され得る。好適なエッチング剤としては、フッ素水素酸エッチング溶液及び酵素プラズマエッチング等のプラズマガスエッチングが挙げられる。プラズマガスエッチングは下地コーティング層を除去する。
【0161】
以下の非限定的な実施例は本発明を図示する。
【0162】
概評
直下の構造を有する以下のポリマーの指名される記号表示は、(例えば、直下の記号表示「ポリマー1」はその構造である)以下の例を指す。
【0163】
【化24】
【0164】
実施例1〜5:ポリマー合成
実施例1:ポリマー1の合成(THEIC−TCEIC−DBNDC)
250mLの丸底フラスコを、39.8gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、17.5のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、0.73gのパラ−トルエンスルホン酸一水和物、32.1gのジブチルナタレンジカルボキシレート、67gのアニソール、及び100gの1−ブタノールで充填した。次いで混合物を140〜160℃に加熱し、内容物を勢いよく撹拌した。アニソールと共にブタノールを、反応フラスコから緩徐に蒸留した。蒸留物の量を制御することによって、ポリマーを変化させMwを合成した。次いでポリマー溶液を、THFを100g添加することによって希釈した。混合物を、MTBE/IPA(50/50)から沈殿させた。上に示されたポリマーを収集し、40〜60℃で一晩、真空下で乾燥させた。GPC重量平均Mwは、1.30の多分散で3000であった。
【0165】
実施例2:ポリマー2の合成(THEIC−TCEIC−DBNDC−DD)
250mLの丸底フラスコを、37.8gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、16.6gのトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、0.71gのパラ−トルエンスルホン酸一水和物、30.5gのジブチルナタレンジカルボキシレート、14.9gの1,10−デカンジオール、80gのアニソール、及び100gの1−ブタノールで充填した。次いで混合物を140〜160℃に加熱し、内容物を勢いよく撹拌した。アニソールと共にブタノールを、反応フラスコから緩徐に蒸留した。蒸留物の量を制御することによって、ポリマーを変化させMwを合成した。次いでポリマー溶液を、THFを100g添加することによって希釈した。混合物をIPAから沈殿させた。上に示されたポリマーを収集し、40〜60℃で一晩、真空下で乾燥させた。GPC重量平均Mwは、1.60の多分散で6570であった。
【0166】
実施例3:ポリマー3(THEIC−TCEIC−DBNDC−OFHD)の合成
250mLの丸底フラスコを、49.2gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、21.6のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、0.92gのパラ−トルエンスルホン酸一水和物、29.12gの2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオール、100gのアニソール、及び100gの1−ブタノールで充填した。次いで混合物を140〜150℃に加熱し、内容物を勢いよく撹拌した。アニソールと共にブタノールを、反応フラスコから緩徐に蒸留した。蒸留物の量を制御することによって、ポリマーを変化させMwを合成した。次いでポリマー溶液を、THFを100g添加することによって希釈した。混合物をIPAから沈殿させた。上に示されたポリマーを収集し、40〜60℃で一晩、真空下で乾燥させた。GPC重量平均Mwは、1.70の多分散で4560であった。
【0167】
実施例4:ポリマー4の合成(THEIC−DMT)
250mLの丸底フラスコを、46.09gのトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、21.6のトリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、1.35gのパラ−トルエンスルホン酸一水和物、31.15gのジメチルテレフタレート、52gのアニソールで充填した。次いで混合物を140〜150℃に加熱し、内容物を勢いよく撹拌した。アニソールと共にメタノールを、反応フラスコから緩徐に蒸留した。蒸留物の量を制御することによって、ポリマーを変化させMwを合成した。次いでポリマー溶液を、HBMを100g添加することによって希釈した。混合物をIPAから沈殿させた。上に示されたポリマーを収集し、40〜60℃で一晩、真空下で乾燥させた。GPC重量平均Mwは、1.4の多分散で3000であった。
【0168】
実施例5:ポリマー7の合成(MMA−HEMA−VA)
31.81gの2−ヒドロキシエチルメタクリレート、24.47gのメチルメタクリレート、及び43.72gのビニルアニソールを、オーバーヘッド撹拌、コンデンサ、及び窒素入口を装備した250mlの3口丸底中で、150gのプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させた。反応溶液を、20分間窒素流を用いて脱ガスし、100℃に加熱した。4.98gのV−67開始剤を、4時間に渡って反応溶液に添加した。反応溶液を8時間100℃に維持し、室温に冷却した。次いでポリマー溶液を、HBMを100g添加することによって希釈した。混合物を、IPE中に沈殿させた。ポリマーを真空濾過によって収集し、60℃で24時間真空乾燥させた。GPC重量平均Mwは、1.98の多分散で11400であった。
【0169】
実施例6〜12:反射防止コーティング組成物
実施例6:BARC組成物1(比較用)
3.198gのエステル型ポリマー1、架橋剤として0.570gのテトラメトキシメチルグリコールウリル、0.030gのアンモニウムp−トルエンスルホネート塩、及びレベリング剤として0.002gのpolyfox 656を、96.2gの混合物溶液(HBM/GBL 90/10wt/wt)に溶解させて、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを205℃で、1分間ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.74の屈折率n及び0.18の光減衰係数kを示した。
【0170】
実施例7:BARC組成物2
2.186gのエステル型ポリマー1、1.457gのポリグリシジルメタクリレート(ポリマー10)、0.056gのN−ベンジル−N,N−ジメチルベンゼンアミニウムトリフルオロメタンスルホネート塩、レベリング剤として0.002gのpolyfox 656を、96.3gの混合物溶液(HBM/PGMEA 70/30wt/wt)に溶解させて、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを205℃で、1分間ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.71の屈折率n及び0.16の光減衰係数kを示した。
【0171】
実施例8:BARC組成物3
2.186gのエステル型ポリマー2、1.457gのポリグリシジルメタクリレート(ポリマー10)、0.056gのN−ベンジル−N,N−ジメチルベンゼンアミニウムトリフルオロメタンスルホネート塩、及びレベリング剤として0.002gのpolyfox 656を、96.3gの混合物溶液(HBM/PGMEA/GBL 60/30/10wt/wt)に溶解させて、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを205℃で、1分間ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.72の屈折率n及び0.18の光減衰係数kを示した。
【0172】
実施例9:BARC組成物4
4.018gのビニル型ポリマー5、1.339gのポリグリシジルメタクリレート(ポリマー10)、及びレベリング剤として0.003gのpolyfox 656を、94.6gの混合物溶液(HBM/PGMEA 70/30wt/wt)に溶解させ、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを215℃で1分間、ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.79の屈折率n及び0.01の光減衰係数kを示した。
【0173】
実施例10:BARC組成物5
3.148gのビニル型ポリマー6、1.349gのポリグリシジルメタクリレート(ポリマー10)、及びレベリング剤として0.002gのpolyfox 656を、95.5gのPGMEAに溶解させ、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを215℃で1分間、ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.77の屈折率n及び0.04の光減衰係数kを示した。
【0174】
実施例11:BARC組成物6
2.215gのメタクリレート型ポリマー7、2.215gのポリグリシジルメタクリレート(ポリマー10)、0.068gのN−ベンジル−N,N−ジメチルベンゼンアミニウムトリフルオロメタンスルホネート塩、及びレベリング剤として0.002gのpolyfox 656を、95.5gのPGMEAに溶解させ、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを215℃で1分間、ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.65の屈折率n及び0.002の光減衰係数kを示した。
【0175】
実施例12:BARC組成物7
2.249gのノボラック型ポリマー9、2.249gのポリグリシジルメタクリレート(ポリマー10)、及びレベリング剤として0.002gのpolyfox 656を、95.5gのPGMEAに溶解させ、溶液を得た。全ての調製した溶液を、超高分子量ポリエチレン膜フィルターを通して濾過した。溶液を、スピナを使用してシリコンウエハ上にコーティングし、ウエハを215℃で1分間、ホットプレート上で加熱し、反射防止コーティングを形成した。分光エリプソメータによる反射防止コーティングの測定は、248nmで1.82の屈折率n及び0.05の光減衰係数kを示した。
【0176】
実施例13:コーティング組成物の溶媒耐性試験による架橋温度分析
比較実施例6及び実施例7ならびに8で得たBARC形成組成物の溶液を、それぞれ、スピナ方法によってシリコンウエハ基材上にコーティングした。コーティングしたシリコンウエハ基材を、60℃〜215℃の範囲の温度で60秒間ベークした。次いで試料の厚さを測定した。70%のプロピレングリコールメチルエーテル(PGME)及び30%のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)の混合溶媒を、UL材料をコーティングしたシリコンウエハ上に分注し、次いで90秒間保持し、その後1500rpmで15秒間、及び5000rpmで30秒間スピン乾燥させ、溶媒を除去した。次いでフィルムを、110℃で60秒間、ホットプレート上でベークした。フィルムの厚さを再度測定した。揮散の量を、初期の厚さと最終的な厚さとの間の差異であるように決定した。
【0177】
実施例14:フィルム収縮分析
比較実施例6及び実施例7ならびに8で得たBARC形成組成物の溶液を、それぞれ、スピナ方法によってシリコンウエハ基材上にコーティングした。次いで試料の厚さを硬化前に測定した。コーティングしたシリコンウエハ基材を、205℃または215℃で60秒間ベークし、次いでフィルムの厚さを再度測定した。
【0178】
【表1】
【0179】
実施例15.リソグラフィ
比較実施例6及び実施例7のBARC組成物を、1500rpmで150mmのシリコンウエハ上にスピンコートし、次いでTEL Mark8ウエハコーティング追跡機を使用して、205℃で60秒間ベークする。ベーク後のBARCコーティング厚は、好適には約1200Åである。DowUV(商標)1610DUVフォトレジストを、BARCコーティングの頂部にスピンコートし、100℃で60秒間ベークした。次に、フォトレジスト層を、0.65NAで248nmのKrFウエハステッパーを使用して標的マスクを通して露光した。次に、フォトレジスト層を120℃で60秒間、露光後ベークし、続いて、標準の60秒間のシングルパドルプロセスにおいてDow MF(商標)CD−26 TMAH現像機を使用して現像する。走査電子顕微鏡法(SEM)を、図1A(比較実施例6の組成物を示す)及び図1B(実施例7の組成物を示す)に示される、結果として得られるSEM顕微鏡写真を用いて、80,000倍率でフォトレジストのパターンプロファイル(120nmの線及び240nmの間隔のパターン)の品質を試験するために行った。実施例6及び7の両方の組成物が、架橋剤樹脂との差異のない良好なリソグラフィ性能を示した。
【0180】
実施例16.間隙充填処理
シリコンウエハ上の、12インチにパターニングされた、100nmの高さのLPCVD TiNを得た。パターンは、40nmの間隔及び120nmのピッチを有する溝を含む。比較実施例6及び実施例8のBARC組成物を、それぞれのウエハのパターニングされた表面上に渡って、1500rpmで各々スピンコートし、約100nmのフィルム厚を得た。組成物を、215℃で1分間、ホットプレート上で加熱し、架橋を促進した。架橋後の溝パターンを、図2A〜BのSEM顕微鏡写真に示す。溝を、比較実施例6の組成物(図2Aに示されるSEM)が空隙を示す一方で、実施例8の組成物によって空隙の形成なく充填した(図2Bに示されるSEM)。
図1A
図1B
図2A
図2B