【実施例】
【0071】
<化合物の実施例>
[比較例2の合成]
(工程1)
【化11】
【0072】
機械的撹拌機、凝縮器、および熱伝対を備えた1000 mLの3つ口フラスコに、THF中2.0 Mのリチウムジイソプピルアミド(LDA)を入れた。
【0073】
この溶液を-75℃に冷却した。ついで、200 mLの無水THF中に溶解させた1,3-ジブロモベンゼン(39.3 g、0.167 mol)を、LDAの冷却した溶液に、0.5時間かけて滴下により添加した。内温を、-75℃(±5℃)にて2時間保持した。ついで、50 mLの無水THFに溶解させたジメチルホルムアミド(30.8 g、0.4 mol)を、冷却した反応混合物に、0.5時間かけて滴下により添加した。内温を-75℃(±5℃)にて2時間保持した。この反応混合物の反応を、5%硫酸100 mLを滴下により添加することによって停止させた。冷却浴を取り外し、反応混合物を室温に戻るようにさせた。有機相を分離し、水性相をジエチルエーテル1 x 100 mLおよび酢酸エチル1 x 50 mLで抽出した。有機相をあわせ、塩水1 x 100 mLで洗浄した。有機抽出物を、ついで、硫酸ナトリウムで無水にし、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をヘキサンから再結晶させて、21.6 gの生成物を得た(収率49%)。
(工程2)
【化12】
【0074】
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド(34.3 g、0.10 mol)を500 mLの3つ口フラスコに、75 mLのTHFと共に入れた。この溶液を-78℃に冷却し、次いで、THF中1.0 Mのリチウムビス(トリメチルシリル)アミド100 mL(0.1 mol)を、滴下により添加した。添加時間は約20分間であり、内温は-78℃〜-70℃に保持した。次いで、この冷却浴を取り外し、反応混合物を0〜3℃に戻るようにさせた。次いで、この反応混合物を再び-78℃に冷却した。次いで、75 mLのTHFに溶解させた2,6-ジブロモベンズアルデヒド(22.8 g、0.086 mol)を、冷却した反応混合物に、20分間かけて滴下により添加した。内温は、-78℃〜-70℃に保持した。次いで、反応混合物を室温に徐々に戻るようにさせた。この反応混合物の反応を、塩化アンモニウム水溶液を滴下することによって停止させ、酢酸エチル3 x 300 mLで抽出した。有機抽出物を合わせ、200 mLの10% LiCl溶液で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで無水にした。次いで、抽出物を、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を真空下で除去した。この粗生成物を真空蒸留によって精製して、薄い橙色オイルとして生成物22.5 gを得た(収率90%)。
【0075】
(工程3)
【化13】
【0076】
70 mLの濃HClを、110 mLの水を入れた500 mLの丸底フラスコに徐々に添加した。0-メチル2,6-ジブロモフェニルアセトアルデヒド(22.5 g、0.077 mol)を、70 mLの1,4-ジオキサンに溶解させ、この溶液を、先の500 mLの丸底フラスコに、一度に入れた。この反応混合物を撹拌し、穏やかに還流する温度にて18時間加熱した。この反応混合物を、室温に冷却し、酢酸エチル2 x 400mLで抽出した。抽出液をあわせ、10% LiCl水溶液1 x 100 mLで洗浄した。次いで、抽出液を、硫酸ナトリウムで無水にし、ろ過し、真空下で溶媒を除去した。この2,6-ジブロモフェニルアセトアルデヒドを、シリカゲルクロマトグラフィーを用い、溶出液として15%/75%塩化メチレン/へキサンを使用して精製した。17.1 gの白色固体が、生成物として得られた(収率80%)。
【0077】
(工程4)
【化14】
【0078】
200 mLの丸底フラスコに、3.75 g(0.0013mol)の2,6-ジブルモフェニルアセトアルデヒド、30 mLの塩化メチレン、および60 mLの1,4-ジオキサンを添加した。次いで、2.32 g(0.014 mol)の臭素を、30 mLの塩化メチレンに溶解させ、反応混合物に、室温で10分間かけて滴下により添加した。撹拌を、室温で2時間継続させた。追加の臭素(0.23 g、0.001 mol)を、反応混合物に添加した。この混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を、真空下で濃縮した。次いで、粗生成物を、50 mLのジエチルエーテルに溶解させ、重硫酸ナトリウム水溶液1 x 50 mLおよび10%塩化リチウム水溶液1 x 50 mLで洗浄した。エーテル抽出液を硫酸ナトリウムで無水にした後、ろ過し、真空下で溶媒を除去して、4.2 gの黄色の粘性のあるオイルを生成物として得た(収率90%)。これを直ちに次の工程に用いた。
【0079】
(工程5)
【化15】
【0080】
1 Lの3つ口フラスコに、19 g(0.11 mol)の2-ブロモアニリン、27.7 g(0.12 mol)の2-シアノフェニルボロン酸ピナコールエステル、74.5 g(0.32 mol)の三塩基性リン酸カリウム一水和物、および1.8 g(0.002 mol)の1,1-ビス[(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ-パラジウム(II)の塩化メチレンとの錯体(1:1)を添加した。この混合物を、脱気し、窒素で再び満たした。次いで、水(13 mL)および350 mLの1,4-ジオキサンを、この反応混合物に添加し、脱気操作を繰り返した。反応混合物を撹拌し、窒素下で18時間加熱還流させた。冷却後、反応混合物を350 mLの水で希釈いた。この反応混合物を、3 x 250 mLの酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせ、硫酸マグネシウムで無水にした。抽出液をろ過し、溶媒を真空下で除去した。粗生成物をヘキサン/酢酸エチル混合物で結晶化して取り出した。灰白色固体がろ過によって単離された。
【0081】
(工程6)
【化16】
【0082】
200 mLの丸底フラスコに、0.77 g(0.004 mol)の6-アミノフェナントリジンおよび50 mLの無水2-プロパノールを装填した。この混合物に、1.42 g(0.004 mol)のα-ブロモ-2,6-ジブロモフェニルアセトアルデヒドを一度に添加した。次いで、この混合物を、24時間加熱還流させた。次いで、反応混合物を、60℃に冷却し、0.67 (0.008 mol)gの重炭酸ナトリウムを一度に添加した。次いで、この混合物を24時間加熱還流させた。反応混合物を室温に冷却し、300 mLの水で希釈した後、酢酸エチル3 x 200 mLで抽出した。有機抽出液を合わせ、10% LiCl水溶液1 x 100 mLで洗浄し、硫酸ナトリウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1〜7%の酢酸エチル/塩化メチレン)によって精製して、1 gの灰白色固体を得た(収率55%)。
【0083】
(工程7)
【化17】
【0084】
200 mLの丸底フラスコに、工程6からのジブロマイド(2.34 g、5.175 mmol)、イソプロピルボロン酸ピナコールエステル(10.44 g、62.1 mmol)、酢酸パラジウム(II)(0.17 g、0.76 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(0.62 g、1.52 mmol)、三塩基性リン酸カリウム一水和物(5.96 g、25.88 mmol)、122 mLのトルエン、および122 mLの水を添加した。反応混合物を、凍結融解ポンプ技術によって十分に脱気した。この反応混合物を、加熱還流させ、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。トルエン相を分離し、水性相を75 mLのトルエンで1回抽出した。トルエン抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーを用い、1〜8%の酢酸エチル/塩化メチレンを溶出液として使用して精製して、生成物1.7 gを得た(収率87%)。
【0085】
(工程8)
【化18】
【0086】
2,6-ジイソプロペニルイミダゾフェナントリジン(1.7 g、4.6 mmol)を、75 mLのトルエンに溶解させた。この溶液を、N
2でパージされ、1.5 gのクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)が入ったパーの水素添加容器に添加した。この容器を、パーの水素添加装置に設置し、容器に水素を充填し、脱気した(合計3回繰り返した)。次いで、この容器を45 psiの水素で満たした。この混合物を、振とうしながら21時間反応させた。溶媒を、真空下、反応混合物から除去した。粗生成物を、シリカゲルカラムを用い、1〜8%の酢酸エチル/塩化メチレンを溶出液として使用してクロマトグラフを行って精製して、生成物1.65 gを得た。
【0087】
(工程9)
【化19】
【0088】
50 mLのシュレンク管に、工程8からの配位子(1.47 g、3.88 mmol)、Ir(acac)
3(0.38 g、0.78 mmol)、およびトリデカン(50滴)を添加した。この混合物を脱気し、窒素下で撹拌しながら、砂浴中、240℃〜250℃で66時間加熱した。冷却後、反応混合物を溶媒混合物(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)に溶解させ、1 : 1のCH
2Cl
2:ヘキサンを溶出液として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた。カラムクロマトグラフィー後の固体を、CH
2Cl
2とメタノールとの混合液から再結晶させて生成物0.65 gを得た(65%)。
【0089】
[化合物1の合成]
【化20】
【0090】
工程1:200 mLのフラスコに、ジブロマイド(1.0 g, 2.2 mmol)、イソブチルボロン酸(2.7 g、26.5 mmol)、Pd
2(dba)
3 (0.15 g, 0.16 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル (0.27 g, 0.65 mmol)、三塩基性リン酸カリウム一水和物 (8.7 g, 37.58 mmol)、および100 mLのトルエンを添加した。この反応混合物を、凍結融解ポンプ技術によって十分に脱気した。この反応混合物を、加熱還流させ、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。トルエン相を分離し、水性相を75 mLのトルエンで1回抽出した。トルエン抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーを用い、1〜8%の酢酸エチル/塩化メチレンを溶出液として使用して精製して、生成物0.76 gを得た(収率84%)。
【0091】
【化21】
【0092】
工程2:50 mLのシュレンク管に、上記配位子(2.8 g、6.89 mmol)、Ir(acac)
3(0.68 g、1.38 mmol)、およびトリデカン(50滴)を添加した。この混合物を脱気し、窒素下で撹拌しながら、砂浴中、240℃〜250℃で73時間加熱した。冷却後、反応混合物を溶媒混合物(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)に溶解させ、1 : 1のCH
2Cl
2:ヘキサンを溶出液として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた。カラムクロマトグラフィー後の固体を、CH
2Cl
2とメタノールとの混合液から再結晶させて生成物1.69 gを得た(87%)。
【0093】
[化合物2の合成]
【化22】
【0094】
工程1:200 mLのフラスコに、ジブロマイド(4 g, 8.84 mmol)、1-シクロヘキセンボロン酸ピナコールエステル(18.37 g, 88.27 mmol)、Pd(OAc)
2(1.98 g, 2.9 mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル(2.4 g , 5.83 mmol)、三塩基性リン酸カリウム一水和物(10.18 g, 44.23 mmol)、100 mLのトルエン、および100 mLの水を添加した。この反応混合物を、凍結融解ポンプ技術によって十分に脱気した。この反応混合物を、加熱還流させて窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。トルエン相を濾液から分離した。水性相を75 mLのトルエンで抽出した。トルエン抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーを用い、1〜4%の酢酸エチル/塩化メチレンを溶出液として使用して精製して、生成物3.2 gを得た。
【0095】
【化23】
【0096】
工程2:3.2 g(0.007 mol)のシクロヘキセニル化合物を150 mLのトルエンに溶解させた。この溶液を、窒素でパージされ、活性炭素上の10%パラジウム2.8 gおよび1.4 gの白金(湿潤活性炭素上、(乾燥ベースで)5質量%、DegussaタイプF101)が入ったパーの水素添加容器に添加した。この不均一な混合物を、パーの水素添加装置で72時間振とうした。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。このトルエンの濾液を真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーを用い、1〜5%の酢酸エチル/塩化メチレンを溶出液として使用して精製して、生成物3.1 gを得た。
【0097】
【化24】
【0098】
工程3:50 mLのシュレンク管に、上記配位子(2.3 g、5.08 mmol)、Ir(acac)
3(0.5 g、1.01 mmol)、およびトリデカン(50滴)を添加した。この混合物を脱気し、窒素下で撹拌しながら、砂浴中で73時間加熱した。冷却後、反応混合物を溶媒混合物(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)に溶解させ、1 : 1のCH
2Cl
2:ヘキサンを溶出液として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた。カラムクロマトグラフィー後の固体を、CH
2Cl
2とメタノールとの混合液から再結晶させて、生成物0.93 gを得た(58%)。
【0099】
[化合物3の合成]
【化25】
【0100】
工程1:500 mLの三つ口フラスコに、ジイソプロピルアミン(9.9 g, 0.098 mol)および100 mLのTHFを装填した。この溶液を-78℃に冷却し、この冷却した混合物中に、ヘキサン中1.6 Mのn-BuLi 45.6 mL(0.073 mol)をシリンジから添加した。この混合物を-78℃にて0.5時間撹拌した後、この冷却した混合物に、シクロヘプタノン(6.0 g, 0.054 mol)の30 mL THF溶液を滴下により添加した。この溶液を-78℃にて2時間撹拌した。この冷却した混合物に、N-フェニル-ビス-トリフルオロメタンスルホイミド(21.2 g, 0.059 mol)のTHF溶液を、滴下により添加した。次いで、混合物を、徐々に室温に戻すようにさせ、一晩撹拌した。この混合物の反応を、塩化アンモニウム水溶液で停止させた後、酢酸エチル2 x 300 nmLで抽出した。次いで、抽出液を硫酸マグネシウムで無水にし、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、30〜40%の塩化メチレン/へキサンを溶出液とするクロマトグラフにかけて、生成物9.0 gを得た(収率69%)。
【0101】
【化26】
【0102】
工程2:PdCl
2(PPh
3)
2 (1.722 g、2.45 mmol)、PPh
3 (1.28 g、4.9 mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(90.76 g、357 mmol)、およびKOPh (16.2 g、122.7 mmol)を、フラスコに添加した。このフラスコに、窒素をフラッシュした後、トルエン(300 mL)およびトリフレート(20 g、1.8 mmol)を装填した。次いで、この混合物を、50℃にて16時間撹拌した。反応混合物を、200 mLの水で希釈した。トルエン相を分離した。水性相を200 mLのトルエンで抽出した。トルエン抽出液を合わせ、100 mLの10%塩化リチウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで無水にし、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、Kugelrohr蒸留装置を使用して蒸留した。容器温度を、85℃から開始し、115℃まで上げた。蒸留された混合物を、20〜25%の塩化メチレン/へキサンを用いるクロマトグラフにかけて、生成物9.85 gを得た(収率55%)。
【0103】
【化27】
【0104】
工程3:500 mLの丸底フラスコに、上記ジブロマイド(4.7 g, 0.01 mol)、上記ボロン酸ピナコールエステル(9.81 g, 0.0442 mol)、Pd(OAc)
2(0.75 g, 0.0033 mol)、ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル(2.73 g , 0.007 mol)、三塩基性リン酸カリウム一水和物(12.0 g, 0.052 mmol)、200 mLのトルエン、および75 mLの水を添加した。この反応混合物を、凍結融解ポンプ技術によって十分に脱気した。この反応混合物を、加熱還流させ、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。トルエン相を分離し、水性相を100 mLのトルエンで抽出した。トルエン部分を合わせ、硫酸マグネシウムで無水にした。次いで、無水にした有機混合物を、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。第一の精製は、1〜4%の酢酸エチル/塩化メチレンを使用してカラムを溶出させた。第二の精製は、2〜12%の酢酸エチル/塩化メチレンを使用してカラムを溶出させた。収量は4.1 gであった(82%)。
【0105】
【化28】
【0106】
工程4:工程3からのアルケニル生成物を、200 mLのトルエンに溶解させ、この溶液を、2.8 gの10% Pd/Cおよび1.4 gの5% Pt/C Degussa Type F101 RA/Wが入ったパーの水素添加ボトルに添加した。この混合物を、パーの水素添加装置に18時間置いた。反応混合物を、セライト層を通してろ過し、この層を200 mLのトルエンで洗浄した。このトルエンの濾液を真空下で濃縮した。組成生物を、5〜15%の酢酸エチル/へキサンを溶出液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。得られた生成物(3.6 g、0.0074 mol)をTHFに溶解させ、-78℃に冷却した。この冷却した溶液に、ヘキサン中1.6 Mのn-BuLi 6.3 mLを、シリンジを通して5分間かけて添加した。この反応混合物をさらに5分間撹拌した後、水50 mLを滴下により添加することによって反応を停止させた。この混合物を室温に戻した後、酢酸エチル2 x 150 mLで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。次いで、抽出液を中性アルミナ(6質量%の水の添加によって不活性化させたもの)カラムに、20〜70%の塩化メチレン/へキサンを用いて溶出させて通した。物質を、50 mLの塩化メチレンに溶解させ、0.8 gのSi-TAAcoHおよび0.8 gのSi-チオウレアと共に室温で18時間撹拌した。次いで、この混合物をろ過し、真空下で濃縮し、得られた物質をヘキサンから再結晶して、生成物2.93 gを得た(収率71%)。
【0107】
【化29】
【0108】
工程5:50 mLのシュレンク管に、上記配位子(2.93 g、6.03 mmol)、Ir(acac)
3(0.59 g、1.205 mmol)、およびトリデカン(50滴)を添加した。この混合物を脱気し、窒素下で撹拌しながら、砂浴中、73時間加熱した。冷却後、反応混合物を溶媒混合物(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)に溶解させ、1 : 1のCH
2Cl
2:ヘキサンを溶出液として用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた。カラムクロマトグラフィー後の固体を、CH
2Cl
2とメタノールとの混合液から再結晶させて、生成物1.18 gを得た。
【0109】
[化合物4の合成]
【化30】
【0110】
工程1:10.0 g (0.08 mol)の4,4-ジメチルシクロヘキサ-2-エノンを、150 mLのエタノールに溶解させた。この溶液を、窒素でパージし、活性炭素上の10%パラジウム0.5 gを装填したパーの水素添加容器に入れた。この不均一な混合物を、パーの水素添加装置で8時間振とうした。反応混合物を、セライトを通してろ過し、乾燥するまで蒸発させて、生成物7.9 gを得た。
【0111】
【化31】
【0112】
工程2:p-トルイルスルホニルヒドラジン(6.8 g, 36.7 mmol)、60 mLの無水エタノール、および上記ケトン(4.64 g, 36.76 mmol)の混合物を、100℃にて加熱還流させた。2時間加熱した後、反応混合物を、氷水浴を使用して冷却して、大部分のヒドラゾンを沈殿させた。得られた個体を、ろ過によって集め、氷冷エタノールで十分に洗浄した。1時間風乾させた後、7.67 gの所望のヒドラゾンを得た。
【0113】
【化32】
【0114】
工程3:磁気撹拌子とラバーセプタムとを備えた、乾燥した500 mL丸底フラスコに、ヒドラゾン(5 g, 17 mmol)、次いで100 mLの無水ヘキサンを添加した。この混合物に、100 mLの無水TMEDAを添加し、反応混合物を-78℃に冷却し、この温度に15分間保った。この後、60.6 mL (84.9 mmol)の2.5M sec-BuLiを、15分かけて添加した。次いで、この反応混合物を、-78℃にて1時間撹拌した後、室温に戻して1.5時間撹拌した。混合物を、-78℃に再び冷却して下げた後、15.8 g (84.9 mmol)のピナコールイソプロピルボレートを添加した。反応物をさらに3時間撹拌した。反応を、飽和NH
4Clを添加して停止させた後、エーテルで3回抽出した。合わせた有機抽出液を、無水MgSO
4で無水にし、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにかけ(ヘキサン中40%のCH
2Cl
2)、所望の生成物1.53 gを得た(38%)。
【0115】
【化33】
【0116】
工程4:200 mLのフラスコに、ジブロマイド(5 g, 11.06 mmol)、工程3からのボロン酸ピナコールエステル(11.26 g, 47.67 mmol)、Pd(OAc)
2(819 mg, 3.64 mmol)、ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル(2.9 g , 7.3 mmol)、三塩基性リン酸カリウム一水和物(12.73 g, 55.29 mmol)、150 mLのトルエン、および150 mLの水を添加した。この反応混合物を、凍結融解ポンプ技術によって十分に脱気した。この反応混合物を、加熱還流させ、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。トルエン相を濾液から分離した。水性相を75 mLのトルエンで抽出した。トルエン抽出液を合わせ、硫酸ナトリウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムに通した。カラムは、ヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出させて、生成物4.5 gを得た。
【0117】
【化34】
【0118】
工程5:工程4からのシクロヘキセニル生成物4.5 (8.81mol)を、150 mLのトルエンに溶解させた。この溶液を、窒素でパージされ、活性炭素上の10%Pd 3.2 gおよび2.8 gの白金(湿潤活性炭素上の5質量%(乾燥ベース)の白金;Degussa Type F101)が入ったパーの水素添加容器に添加した。この不均一な混合物を、パーの水素添加装置上で16時間振とうした。反応混合物を、セライト層を通してろ過した。このトルエンの濾液を真空下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに通した。カラムは、ヘキサン中10%の酢酸エチルで溶出させて、生成物4.24 gを得た。
【0119】
【化35】
【0120】
工程6:50 mLのシュレンク管に、配位子(2.57 g、5.03 mmol)、Ir(acac)
3(0.495 g、1.006 mmol)、およびトリデカン(50滴)を添加した。この混合物を脱気し、窒素下で撹拌しながら、砂浴中、73時間加熱した。冷却後、反応混合物を溶媒混合物(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)に溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)。カラムクロマトグラフィー後の固体を、CH
2Cl
2とメタノールとの混合液から再結晶させて、生成物0.8 gを得た。
【0121】
[化合物5の合成]
【化36】
【0122】
工程1:4-tert-ブチルシクロヘキサノン(26.5 g, 0.172 mol)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(31.74 g, 0.171 mol)、および450 mLの無水エタノールを、4時間加熱還流させた後、室温に冷却した。反応混合物を濾過し、真空下で乾燥させて35 gの生成物を得た。
【0123】
【化37】
【0124】
工程2:磁気撹拌子およびラバーセプタムを備えた、乾燥した500 mL丸底フラスコに、ヒドラゾン(7.5 g, 0.023 mol)を添加した後、70 mLの無水ヘキサンを添加した。この混合物に、70 mLの無水TMEDAを添加し、反応混合物を-78℃に冷却し、この温度で15分間保持した後、ヘキサン中2.5Mのn-BuLi 37 mL (0.092 mol)を15分間かけて添加した。次いで、この反応混合物を、-78℃にて1時間撹拌した後、室温に戻し、3.5時間撹拌した。この混合物を、再び-78℃に冷却し、17 g (0.092 mol)のピナコールイソプロピルボレートを添加した。反応物をさらに1時間-78℃にて撹拌した後、室温に戻し、一晩撹拌した。反応を、飽和NH
4Clを添加して停止させた後、200 mLのエーテルを加えて分離させた。この不均一な混合物を、セライト層に通した。エーテル相を分離し、水性相をエーテル300 mLで抽出した。合わせた有機抽出液を、無水MgSO
4で無水にし、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムに通し(20〜40%の塩化メチレン/ヘキサン)、生成物4.4 gを得た(72%)。
【0125】
【化38】
【0126】
工程3:1 Lの丸底フラスコに、ジブロマイド(5 g, 0.011 mol)、工程2からのボロン酸ピナコールエステル(7.3 g, 0.0276 mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0) (0.2 g, 0.22 mmol)、ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル(0.36 g , 0.88 mmol)、三塩基性リン酸カリウム一水和物(14.0 g, 0.066 mmol)、300 mLのトルエン、および80 mLの水を添加した。この反応混合物を、脱気し、窒素で置換した。この反応混合物を、加熱還流させ、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。この不均一な反応混合物を、セライト層を通してろ過した。トルエン相を分離し、水性相を100 mLのトルエンで抽出した。トルエン部分を合わせ、硫酸マグネシウムで無水にした。次いで、無水にした有機混合物を、ろ過し、真空下で濃縮した。生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。カラムは、1〜4%の酢酸エチル/塩化メチレンを使用して溶出させた。5 gの生成物が得られた(80%)。
【0127】
【化39】
【0128】
工程4:工程3からのアルケニル生成物(5.0 g、0.0088 mol)を、200 mLのトルエンに溶解させ、この溶液を、3.8 gの10% Pd/Cおよび3.0 gの5% Pt/C Degussa Type F101 RA/Wが入ったパーの水素添加ボトルに添加した。この混合物を、パーの水素添加装置に58時間置いた。反応混合物を、セライト層を通してろ過し、この層を200 mLのトルエンで洗浄した。このトルエンの濾液を真空下で濃縮して、3.6 gの粗生成物を得た、この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。カラムは、1〜5%の酢酸エチル/塩化メチレンを使用して溶出させた。次いで、カラムから得られた生成物を、50 mLの塩化メチレンに溶解させ、1.1 gのSi-TAAcoHおよび1.1 gのSi-チオウレアと共に室温で18時間撹拌した。これは、残存パラジウムを除去するためである。得られた生成物(3.9 g, 0.0068 mol)を、THFに溶解させ、-78℃に冷却した。この冷却した溶液に、ヘキサン中1.6 Mのn-BuLi 5.8 mLを、シリンジを使用して5分間かけて添加した。この反応混合物を、さらに5分間撹拌した後、50 mLの水を滴下により添加することによって反応を停止させた。この混合物を室温に戻した後、酢酸エチル2 X 150 mLで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで無水にした後、ろ過し、真空下で濃縮した。次いで、この抽出物を中性アルミナ(6質量%の水を添加することによって不活性化したもの)のカラムに通し、30〜60%の塩化メチレン/ヘキサンで溶出させて、生成物3.6 gを得た。中性アルミナのカラムから得られた生成物を、ヘキサン/酢酸エチルから再結晶させて、2.90 gの生成物を得た。
【0129】
【化40】
【0130】
工程5:50 mLのシュレンク管に、配位子(2.78 g、4.86 mmol)、Ir(acac)
3(0.478 g、0.97 mmol)、およびトリデカン(50滴)を添加した。この混合物を脱気し、窒素下で撹拌しながら、砂浴中、70時間加熱した。冷却後、反応混合物を溶媒混合物(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)に溶解させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーにかけた(CH
2Cl
2:ヘキサン= 1 : 1)。カラムクロマトグラフィー後の固体を、CH
2Cl
2とメタノールとの混合液から再結晶させて、生成物1.0 gを得た。
【0131】
<デバイス例>
全てのデバイス例は、高真空(<10
-7 Torr)の熱蒸着によって作製した。アノード電極は1200Åのインジウム錫オキシド(ITO)である。カソードは10ÅのLiFとそれに続く1000ÅのAl(アルミニウム)からなる。全てのデバイスは作製後直ちに窒素グローブボックス(< 1 ppmのH
2O及びO
2)内でエポキシ樹脂を用いて封止したガラス蓋に密封し、吸湿剤をそのパッケージ内に組み込んだ。
【0132】
表2のデバイス例1および2の有機積層体は、ITO表面から順に、正孔注入層(HIL)として10 nmのH3またはH4、正孔輸送層(HTL)として30 nmの4,4’-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(α-NPD)、発光層(EML)として9%の発光ドーパント(本発明の化合物1〜2)でドープした30 nmのH2、ETL2として5 nmのH2、及びETL1として40 nmのAlq
3(トリス-8-ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなる。
【0133】
発光ドーパントとしてE1、E2、またはE3を用い、EML中のホストおよびETL2材料としてH1を用いたことを除いて、上記デバイス例と同様に、比較例1〜3を作製した。
【0134】
本明細書において、以下の化合物は下記の構造を有する。
【化41】
【0135】
OLEDの発光層のための具体的な発光ドーパントを提供する。これは特に良好な特性を有するデバイスをもたらしうる。デバイスの構造およびデバイス試験の結果を、表2に示す。化合物1および2を発光ドーパントとして用いる発光層を有するデバイスは、改良されたデバイス効率および安定性と共に、改良された色を示し、これらの置換イミダソフェナントリジン化合物が有用であることを示している。
【0136】
固体状態の光発光量子収率(PL %)を、光学的に不活性なポリマーマトリックスであるポリメチルメタクリレート(PMMA)中の1質量%のドーパントから測定した。試料は、ドーパントおよびPMMAを、100 mgの固体(90 mgのPMMAおよび10 mgのドーパント)に対して1 mLのトルエンに溶解させることによって調製した。試料をろ過し、予め洗浄した石英基材に滴下によりキャストした。溶媒を蒸発させた後、PL量子収率を、Hamamatsu Absolute PL Quantum Yield Measurement Systemを使用して測定した。この装置は、積分球、キセノン光源、モノクロメータ、およびマルチチャンネルCCDスペクトロメータからなり、酸素による消光を避けるために、不活性雰囲気のグローブボックス内に収容されている。励起波長は、342 nmである。
【0137】
【表2】
【0138】
デバイス例1および2から、デバイス効率が、固体状態のPL量子効率との相関を示すことが分かる。比較例1は、比較例2と比較してより高いPL効率を示す。比較例1で用いたE1に存在するアルキル置換基が、自己消光を阻害して、より高いPLおよびEL効率をもたらすと考えられる。比較例2は、ねじれた2,6-ジメチルアリール基および比較的低いPL量子効率を有するE2を用いている。これらの例では、2,6-アルキル置換基は、自己消光を阻止するために十分に嵩高くはない。さらに、比較例3は、配位子の他の環上に置換した嵩高いネオペンチル基を有するE3を用いているが、このことによっては大幅にはPL量子効率が改良されない。ねじれたアリール基に嵩高いアルキル基が置換した化合物1および2は、より高いPL量子効率を有し、したがって高められたデバイス効率を有することが明らかとなった。アルキル基は、最小化された赤方偏移をもたらすため、特に有用である。嵩高いアルキル基(すなわち、4個以上の原子を有するアルキル基)を使用することは、化合物を修飾して自己消光を阻害するための新たな方法であると考えられる。これらの嵩高い置換化合物は、比較例1において用いたE1について観察されるような、4-イミダゾール位に置換したアルキル基を有する化合物の寿命に関する制限を受けない。
【0139】
イミダゾフェナントリジンの2位にメチル基を結合させると、比較例1のE1について明らかなとおり、ドーパントの個体状態の量子効率が高まり、高いデバイス効率がもたらされた。しかし、いくつかの例により、この位置にアルキル置換基を加えると、短い寿命を有するデバイスがもたらされる場合があることが実証された(例えば、2000 nitsで100時間未満)。一方、嵩高いアルキル基(すなわち、4個以上の原子を有するアルキル基)を結合させることによって、光発光効率およびデバイス効率が高まることが明らかになった。例えば、化合物1および2は、比較例1と同様の高い効率、ならびに比較例2および3より高い効率を有する。嵩高いアルキル置換基と、その置換位置(すなわち、ねじれたアリール基の2位および/またはn位)との両方を選択することが、高められた効率を得るために重要であり得る。例えば、比較例3で用いたE3は、イミダゾールから離れて置換した嵩高いネオペンチル基を有するが、この化合物は、40%という比較的低いPL効率を有する。注目すべきことに、本明細書において提供する化合物は、顕著に長いデバイス寿命を有することが実証されている。例えば、本発明の化合物1および2のデバイス寿命は、比較例1と比較して3〜4倍長い。ねじれたアリール上の嵩高いアルキル置換基によって、デバイスの加工性も高められる。例えば、化合物1は、イソブチル置換基を有し、265℃の昇華温度を有するが、この昇華温度は、イミダゾ[1,2-F]フェナントリジンイリジウム錯体のファミリーにおいて今日までに観測された最も低い温度である。
【0140】
本明細書に記載した様々な態様は例示のみを目的としており、本発明の範囲を制限することを意図していないことが理解される。例えば、本明細書に記載した物質及び構造の多くは、別の物質及び構造と、本発明の精神から離れることなく置き換えることができる。特許請求の範囲に係る本発明は、したがって、本明細書に記載した具体例及び好ましい態様からの変形を含むことができ、このことは当業者には明らかであろう。本発明が何故機能するかについての様々な理論は限定されることを意図していないことが理解される。