【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明にかかる排ガス処理システムの特徴構成は、
燃焼設備から排出された排ガスを処理する排ガス処理システムであって、
前記排ガスに含まれる有機ケイ素化合物を低減又は除去する前処理部と、
前記排ガスに含まれる一酸化炭素を酸化する酸化触媒及び/又は前記排ガスに含まれる窒素酸化物を還元する脱硝触媒を有する本処理部とを備え、
前記前処理部は、使用済みの酸化触媒及び/又は脱硝触媒を有することにある。
【0008】
本構成の排ガス処理システムによれば、前処理部によって排ガスに含まれる有機ケイ素化合物を予め低減又は除去した状態で、本処理部によって排ガスに含まれる一酸化炭素及び/又は窒素酸化物を低減又は除去することができる。従って、本処理部における酸化触媒及び/又は脱硝触媒の表面に有機ケイ素化合物が実質的に付着せず、酸化触媒及び/又は脱硝触媒の触媒機能を長期に亘って維持することができる。また、有機ケイ素化合物を低減又は除去する前処理部の触媒として、使用済みの酸化触媒及び/又は脱硝触媒を使用することで、本処理部としては使用できない酸化触媒及び/又は脱硝触媒を有効利用することができる。本処理部としては使用できない酸化触媒及び/又は脱硝触媒であっても、触媒機能はある程度残留していることから、このような使用済みの触媒を使用することにより、安全且つ低コストでありながら、前処理部としては必要十分な効果を達成することができる。
【0009】
本発明にかかる排ガス処理システムにおいて、
前記本処理部は、前記酸化触媒及び/又は前記脱硝触媒を形成する触媒エレメントが前記排ガスの通流方向に複数直列配置された触媒ユニットとして構成され、
前記触媒ユニットのうち、最上流側の触媒エレメントの触媒機能が低下した場合、当該最上流側の触媒エレメントを前記触媒ユニットから切り離して前記前処理部に移動させるとともに、最下流側の触媒エレメントの直後に未使用の触媒エレメントを接続し、新たな本処理部の触媒ユニットとして機能するように構成してあることが好ましい。
【0010】
本構成の排ガス処理システムによれば、本処理部を複数の触媒エレメントが直列配置された触媒ユニットとして構成しているため、複数の触媒エレメントのうち触媒機能が低下した触媒エレメントのみを交換するだけで、触媒ユニット全体としての触媒機能を一定以上に維持することができる。例えば、本処理部の触媒ユニットのうち、最上流側の触媒エレメントの触媒機能が規定値未満となった場合、当該最上流側の触媒エレメントを触媒ユニットから切り離して前処理部に移動させるとともに、最下流側の触媒エレメントの直後に未使用の触媒エレメントを接続することで、本処理部の触媒ユニットを構成する触媒エレメントの連続的な交換サイクルが成立する。これにより、本処理部の触媒ユニットの触媒機能の変動が少なくなり、安定して連続運用可能な排ガス処理システムを実現することができる。
【0011】
本発明にかかる排ガス処理システムにおいて、
前記前処理部は、前記使用済みの酸化触媒及び/又は前記使用済みの脱硝触媒を形成する触媒エレメントが前記排ガスの通流方向に複数直列配置された触媒ユニットとして構成され、
前記本処理部の触媒ユニットから切り離された触媒機能が低下した触媒エレメントが前記前処理部の触媒ユニットの最下流側の触媒エレメントの直後に接続されるとともに、前記前処理部の最上流側の触媒エレメントを前記前処理部の触媒ユニットから切り離し、新たな前処理部の触媒ユニットとして機能するように構成してあることが好ましい。
【0012】
本構成の排ガス処理システムによれば、前処理部を複数の触媒エレメントが直列配置された触媒ユニットとして構成しているため、複数の触媒エレメントのうち触媒機能を果たさなくなった触媒エレメントのみを交換するだけで、触媒ユニット全体としての触媒機能を一定以上に維持することができる。例えば、前処理部の触媒ユニットのうち、最上流側の触媒エレメントの触媒機能がほとんど喪失した場合、当該最上流側の触媒エレメントを触媒ユニットから切り離すとともに、最下流側の触媒エレメントの直後に本処理部の触媒ユニットから切り離した本処理部としては機能が低下した触媒エレメントを接続することで、前処理部の触媒ユニットを構成する触媒エレメントの連続的な交換サイクルが成立する。これにより、前処理部の触媒ユニットの触媒機能の変動が少なくなり、安定して連続運用可能な排ガス処理システムを実現することができる。
【0013】
本発明にかかる排ガス処理システムにおいて、
前記前処理部の前段に、前記燃焼設備から排出された排ガスを加熱する再加熱部を設けてあることが好ましい。
【0014】
本構成の排ガス処理システムによれば、燃焼設備から排出された排ガスは徐々に温度が低下するが、再加熱部で加熱することで排ガスが高温状態を維持したまま前処理部及び本処理部に流入し、排ガスと各触媒との触媒反応を進行させることができる。
【0015】
本発明にかかる排ガス処理システムにおいて、
前記再加熱部は、前記排ガスの加熱温度が160℃以上に設定されていることが好ましい。
【0016】
本構成の排ガス処理システムによれば、再加熱部における排ガスの加熱温度を160℃以上に設定すれば、排ガスと各触媒との触媒反応が活発なものとなり、排ガスに含まれる一酸化炭素及び/又は窒素酸化物、並びに有機ケイ素化合物を十分に低減又は除去することができる。
【0017】
上記課題を解決するための本発明にかかる排ガス処理システムの特徴構成は、
燃焼設備から排出された排ガスを処理する排ガス処理システムであって、
機能が低下した酸化触媒及び/又は脱硝触媒を有する第一処理部と、
機能が低下していない酸化触媒及び/又は脱硝触媒を有する第二処理部と、
前記第一処理部と前記第二処理部との間で前記排ガスの通流方向を切替可能な切替流路とを備え、
前記第二処理部の触媒機能が規定値以上である場合は、前記第一処理部から前記第二処理部に前記排ガスが通流するように前記切替流路を切り替え、
前記第二処理部の触媒機能が規定値未満となった場合は、前記第一処理部の機能が低下した酸化触媒及び/又は脱硝触媒を機能が低下していない酸化触媒及び/又は脱硝触媒に交換し、前記第二処理部から前記第一処理部に前記排ガスが通流するように前記切替流路を切り替えることにある。
【0018】
本構成の排ガス処理システムによれば、第一処理部と第二処理部との間で排ガスの通流方向を切替可能な切替流路を備えることで、第一処理部及び第二処理部の一方の酸化触媒及び/又は脱硝触媒の触媒機能が大きく低下した場合に、当該酸化触媒及び/又は脱硝触媒を触媒機能が低下していない新たな酸化触媒及び/又は脱硝触媒に交換し、その後、切替流路によって排ガスの通流方向を切り替えるのみで、排ガス処理を再開することができる。このように、本構成の排ガス処理システムによれば、排ガス処理システムの運用を中断する期間を短縮することができ、効率的な排ガス処理が可能となる。
【0019】
本発明にかかる排ガス処理システムにおいて、
処理後の排ガスを植物栽培施設に供給する供給部を備えることが好ましい。
【0020】
本構成の排ガス処理システムによれば、植物栽培施設に植物生育ガスを供給する用途として好適に利用することができる。