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特許6586257無人航空機制御システム、無人航空機制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6586257
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】無人航空機制御システム、無人航空機制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/20 20060101AFI20190919BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B64C13/20 Z
   B64C39/02
【請求項の数】19
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2019-528774(P2019-528774)
(86)(22)【出願日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】JP2018030447
【審査請求日】2019年5月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 順次
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 順
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−074826(JP,A)
【文献】 特開2017−141010(JP,A)
【文献】 特開2017−111790(JP,A)
【文献】 特開2018−030409(JP,A)
【文献】 特開2004−359071(JP,A)
【文献】 特開平10−108984(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0300493(US,A1)
【文献】 特開2018−165066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/20
B64C 39/02
B64D 45/00
B64D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段と、
所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する手段と、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段と、
前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合、又は、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合に、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態への切り替えを制限し、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定され、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替手段と、
を含むことを特徴とする無人航空機制御システム。
【請求項2】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段と、
所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する手段と、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段と、
前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されず、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段と、
を含むことを特徴とする無人航空機制御システム。
【請求項3】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段と、
前記無人航空機及び第2操縦者の少なくとも一方の撮影手段により撮影された画像に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段と、
を含むことを特徴とする無人航空機制御システム。
【請求項4】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段と、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段と、
を含み、
前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方により、指向性のある電波又は音波が出力され、
前記判定手段は、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方の検出手段により検出された前記電波又は前記音波に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、
ことを特徴とする無人航空機制御システム。
【請求項5】
前記切替手段は、
前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを制限し、
前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、
ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項6】
前記無人航空機制御システムは、前記第1状態から前記第2状態に切り替わる場合に、前記第2操縦者に所定の通知を行う通知手段、
を更に含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項7】
前記無人航空機制御システムは、前記第2操縦者による切替指示を受け付ける受付手段を更に含み、
前記切替手段は、前記切替指示が受け付けられた場合に、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項8】
前記無人航空機制御システムは、所定の切替領域内に前記無人航空機がいるかを判定する手段を更に含み、
前記切替手段は、前記切替領域内に前記無人航空機がいると判定された場合に、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項9】
前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方により、所定パターンの光が出力され、
前記判定手段は、前記画像に基づいて、前記所定パターンの光が検出されたかを判定することによって、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、
ことを特徴とする請求項に記載の無人航空機制御システム。
【請求項10】
前記無人航空機制御システムは、
前記無人航空機の位置に関する無人航空機位置情報を取得する手段と、
前記第2操縦者の位置に関する操縦者位置情報を取得する手段と、
を更に含み、
前記判定手段は、前記操縦者位置情報と、前記無人航空機位置情報と、に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、
ことを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項11】
前記判定手段は、前記第2操縦者の操作に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、
ことを特徴とする請求項1〜1の何れかに記載の無人航空機制御システム。
【請求項12】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御ステップと、
所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定するステップと、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定ステップと、
前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合、又は、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合に、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態への切り替えを制限し、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定され、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替ステップと、
を含むことを特徴とする無人航空機制御方法。
【請求項13】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御ステップと、
所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定するステップと、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定ステップと、
前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されず、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替ステップと、
を含むことを特徴とする無人航空機制御方法。
【請求項14】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御ステップと、
前記無人航空機及び第2操縦者の少なくとも一方の撮影手段により撮影された画像に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替ステップと、
を含むことを特徴とする無人航空機制御方法。
【請求項15】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御ステップと、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替ステップと、
を含み、
前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方により、指向性のある電波又は音波が出力され、
前記判定ステップは、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方の検出ステップにより検出された前記電波又は前記音波に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、
ことを特徴とする無人航空機制御方法。
【請求項16】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段、
所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する手段、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段、
前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合、又は、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合に、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態への切り替えを制限し、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定され、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える切替手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項17】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段、
所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する手段、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段、
前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されず、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項18】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段、
前記無人航空機及び第2操縦者の少なくとも一方の撮影手段により撮影された画像に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項19】
第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段、
所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段、
前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方により、指向性のある電波又は音波が出力され、
前記判定手段は、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方の検出手段により検出された前記電波又は前記音波に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機制御システム、無人航空機制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機を飛行させる技術が知られている。例えば、非特許文献1には、無人航空機が無線操縦機からの制御信号を受信しないロスト状態になった場合に、無人航空機をホームポイント(例えば、操縦者がいる場所)に帰還させる技術が記載されている。
【0003】
また例えば、特許文献1には、無人航空機と操縦者との距離に基づいて、操縦者の視認可能な範囲内を無人航空機が飛行中であるかを判定する技術が記載されている。特許文献1の技術では、操縦者の視認可能な範囲内を無人航空機が飛行中ではないと判定されると、無人航空機は、その場でホバリングする。
【0004】
また例えば、特許文献2には、無人航空機のカメラで撮影した画像等に基づいて、操縦者の視認可能な範囲内を無人航空機が飛行中であるかを判定する技術が記載されている。特許文献2の技術では、操縦者の視認可能な範囲内を無人航空機が飛行中ではないと判定されると、無人航空機は、自律飛行に切り替わったり、その場でホバリングしたりする。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://dl.djicdn.com/downloads/phantom_3_standard/en/Phantom_3_Standard_User_Manual__V1.4.pdf
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/037988号公報
【特許文献2】国際公開第2017/170148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような技術では、複数の操縦者の各々が操縦を担当する範囲を分けて、第1操縦者から第2操縦者に操縦権を引き渡すことがある。この場合、第2操縦者が無人航空機を視認している状態で操縦権を引き渡さなければ、操縦権の引き渡し時に、無人航空機の飛行を安定させることが困難となる。この点、上記各文献には、操縦権の引き渡し時の制御について何ら記載はなく、従来の技術では、操縦権の引き渡し時に無人航空機の飛行を安定させることは困難であった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、無人航空機の安定性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人航空機制御システムは、第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段と、所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る無人航空機制御方法は、第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御ステップと、所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機の飛行を制御する飛行制御手段、所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する判定手段、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第1状態から、前記第2操縦者の指示により前記無人航空機が飛行する第2状態に切り替える切替手段、としてコンピュータを機能させる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記切替手段は、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを制限し、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、所定の判定方法に基づいて、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する手段を更に含み、前記切替手段は、当該手段の判定結果に更に基づいて、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記切替手段は、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合、又は、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されない場合に、前記第1状態から前記第2状態への切り替えを制限し、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定され、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記切替手段は、前記第1操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定されず、かつ、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されていると判定された場合に、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、前記第1状態から前記第2状態に切り替わる場合に、前記第2操縦者に所定の通知を行う通知手段、を更に含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、前記第2操縦者による切替指示を受け付ける受付手段を更に含み、前記切替手段は、前記切替指示が受け付けられた場合に、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、所定の切替領域内に前記無人航空機がいるかを判定する手段を更に含み、前記切替手段は、前記切替領域内に前記無人航空機がいると判定された場合に、前記判定手段の判定結果に基づいて、前記第1状態から前記第2状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記判定手段は、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方の撮影手段により撮影された画像に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方により、所定パターンの光が出力され、前記判定手段は、前記画像に基づいて、前記所定パターンの光が検出されたかを判定することによって、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方により、指向性のある電波又は音波が出力され、前記判定手段は、前記無人航空機及び前記第2操縦者の少なくとも一方の検出手段により検出された前記電波又は前記音波に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記無人航空機制御システムは、前記無人航空機の位置に関する無人航空機位置情報を取得する手段と、前記第2操縦者の位置に関する操縦者位置情報を取得する手段と、を更に含み、前記判定手段は、前記操縦者位置情報と、前記無人航空機位置情報と、に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、ことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記判定手段は、前記第2操縦者の操作に基づいて、前記第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、無人航空機の安定性を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。
図2】無人航空機が飛行する様子を示す図である。
図3】第2操縦者が無人航空機を視認している場合を示す図である。
図4】第2操縦者が無人航空機を視認していない場合を示す図である。
図5】無人航空機制御システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図6】操縦権データのデータ格納例を示す図である。
図7】発光パターンデータのデータ格納例を示す図である。
図8】無人航空機制御システムにおいて実行される処理の一例を示すフロー図である。
図9】変形例の機能ブロック図である。
図10】第1操縦者が無人航空機を視認できなくなり、第2操縦者が無人航空機を視認している場合を示す図である。
図11】変形例(5−1)における無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。
図12】変形例(5−2)における無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。
図13】変形例(6−1)における無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。
図14】変形例(6−2)における無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[1.無人航空機制御システムの全体構成]
以下、本発明に関わる無人航空機制御システムの実施形態の例を説明する。図1は、無人航空機制御システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、無人航空機制御システム1は、無人航空機10、第1無線操縦機20A、第2無線操縦機20B、第1撮影装置30A、及び第2撮影装置30Bを含む。
【0027】
本実施形態では、第1無線操縦機20Aと第2無線操縦機20Bとを特に区別する必要のないときは、単に、無線操縦機20と記載する。同様に、第1撮影装置30Aと第2撮影装置30Bとを特に区別する必要のないときは、単に、撮影装置30と記載する。
【0028】
また、本実施形態では、1台の無人航空機10が無人航空機制御システム1に含まれる場合を説明するが、無人航空機制御システム1には、複数台の無人航空機10が含まれていてもよい。また、本実施形態では、2台の無線操縦機20及び撮影装置30が無人航空機制御システム1に含まれる場合を説明するが、無人航空機制御システム1には、3台以上の無線操縦機20及び撮影装置30が含まれていてもよい。
【0029】
無人航空機10は、人が搭乗しない航空機であり、例えば、バッテリーで駆動する無人航空機(いわゆるドローン)やエンジンで駆動する無人航空機である。例えば、無人航空機は、商品や郵便物などの荷物を搭載可能であってよく、配送先に飛行して荷物を配送したり、集荷先に飛行して荷物を集荷したりする。なお、無人航空機10は、種々の目的で飛行してよく、荷物の運搬以外にも、例えば、撮影、気象情報の検出、警備、又は農薬散布等の目的で飛行してもよい。
【0030】
無人航空機10は、制御部11、記憶部12、通信部13、発光部14、撮影部15、及びセンサ部16を含む。なお、無人航空機10は、プロペラ、モータ、バッテリー、及びアンテナなども含むが、ここでは説明を省略する。
【0031】
制御部11は、例えば、少なくとも1つのマイクロプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。記憶部12は、主記憶部及び補助記憶部を含む。例えば、主記憶部はRAMなどの揮発性メモリであり、補助記憶部は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。
【0032】
通信部13は、有線通信又は無線通信用の通信インタフェースを含む。通信部13は、所定の通信プロトコルのもとで通信を行う。なお、通信部13は、送信機と受信機の両方を含んでもよいし、特に送信機は含まずに受信機だけを含んでもよい。
【0033】
通信部13が有する通信インタフェースは1系統(1チャンネル)だけであってもよいが、本実施形態では、通信部13は、複数系統(複数チャンネル)の通信インタフェースを有する場合を説明する。例えば、通信部13は、第1無線通信部130Aと、第2無線通信部130Bと、を含む。
【0034】
なお、本実施形態では、第1無線通信部130Aと、第2無線通信部130Bと、を特に区別する必要のないときは、単に、無線通信部130と記載する。また、本実施形態では、2つの無線通信部130が無人航空機10に含まれる場合を説明するが、無人航空機10には、無線通信部130が1つだけ含まれていてもよいし、3つ以上の無線通信部130が含まれていてもよい。
【0035】
例えば、無線通信部130は、互いに混線しないように、使用する周波数帯域(例えば、2.4GHz帯又は5.0GHz帯の中での周波数)が互いに異なる。例えば、第1無線通信部130Aは第1の周波数帯域(第1のチャンネル)を使用し、第2無線通信部130Bは第2の周波数帯域(第2のチャンネル)を使用する。第1の周波数帯域と第2の周波数帯域とは、少なくとも中心周波数が異なるものとするが、重複部分が存在してはならないわけではなく、帯域の一部が重複していてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、FASST、FHSS、DMSS、又はAFHSSといった特定機器(例えば、いわゆるラジコン)用の無線通信方式を説明するが、無線通信方式自体は、公知の種々の方式を適用可能であり、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、iBeacon(登録商標)、又はWi−Fi Direct(登録商標)といった汎用機器用の方式であってもよい。更に、無線通信としては、近距離無線通信、中距離無線通信、又は遠距離無線通信の何れであってもよい。なお、通信部23は、インターネットなどのネットワークに接続可能であってもよい。
【0037】
発光部14は、少なくとも1つの光源を含む。光源自体は、種々のライトを適用可能であり、例えば、LEDライト、白熱ランプ(例えば、ハロゲンランプ)、又は放電ランプ(例えば、蛍光灯)を利用してもよい。発光部14は、少なくとも1つの色の光を発光する。例えば、発光部14がLEDライトを含む場合、発光部14は、赤色、青色、及び緑色のうちの少なくとも1つの色を発光してもよいし、これらの色を混合させた色を発光してもよい。また例えば、発光部14が白熱ランプ又は放電ランプを含む場合、発光部14は、白色系の色を発光してもよい。発光部14は、制御部11からの指示に基づいて、発光のオン/オフを切り替える。
【0038】
発光部14は、無人航空機10の任意の位置に配置可能であり、無人航空機10は、任意の方向に発光可能である。例えば、無人航空機10の正面方向(ロール軸方向)に発光部14を配置し、無人航空機10は、正面方向に発光してもよい。また例えば、無人航空機10の横方向(ピッチ軸方向)に発光部14を配置し、無人航空機10は、横方向に発光してもよい。また例えば、無人航空機10の下方向(ヨー軸方向)に発光部14を配置して、無人航空機10は、下方向に発光してもよい。また例えば、無人航空機10の側面に発光部14のLEDライト等を並べて配置し、無人航空機10は、周囲に発光してもよい。この場合、無人航空機10は、周囲の360°に対して万遍なく発光してもよいし、特定の範囲(例えば、90°以上360°未満の任意の角度)に対してのみ発光してもよい。
【0039】
撮影部15は、少なくとも1台のカメラを含む。例えば、撮影部15は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を含み、当該撮像素子が撮影した画像をデジタルデータとして記録する。画像は、静止画であってもよいし、所定のフレームレートで連続的に撮影された動画であってもよい。
【0040】
センサ部16は、少なくとも1つのセンサを含み、例えば、GPSセンサ16Aを含む。GPSセンサ16Aは、衛星からの信号を受信する受信機を含み、例えば、受信機が受信した信号に基づいて位置情報を検出する。位置情報は、例えば、緯度経度情報又は座標情報である。
【0041】
なお、無人航空機10には、任意のセンサが搭載されてよく、センサ部16は、加速度センサ、ジャイロセンサ、風センサ、地磁気センサ、高度センサ、変位センサ、感圧センサ、又は温度センサ等の任意のセンサを含むようにしてもよい。
【0042】
無線操縦機20は、無人航空機10を操縦するための機器であり、例えば、プロポ(プロポーショナル式の略)又はコントローラと呼ばれるものである。無線操縦機20は、無人航空機10と直接的又は間接的に通信可能なものであればよく、例えば、スマートフォン(携帯電話)、タブレット型端末、又はパーソナルコンピュータ等であってもよい。なお、直接的な通信とは、サーバコンピュータなどの他のコンピュータを介さずに通信することであり、間接的な通信とは、他のコンピュータ又はインターネットなどのネットワークを介して通信することである。
【0043】
本実施形態では、第1無線操縦機20Aと第2無線操縦機20Bとが互いに同じ構成である場合を説明するが、これらの構成は異なっていてもよい。以降では、制御部21A,21Bを特に区別する必要のないときは、単に制御部21と記載する。同様に、記憶部22A,22B、通信部23A,23B、操作部24A,24B、及び表示部25A,25Bを単に記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25と記載することがある。
【0044】
図1に示すように、無線操縦機20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、及び表示部25を含む。制御部21、記憶部22、及び通信部23のハードウェア構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様なので説明を省略する。なお、無線操縦機20は、アンテナ・バッテリーなども含むが、ここでは説明を省略する。
【0045】
例えば、通信部23は、送信機と受信機の両方を含み、無人航空機10と無線操縦機20との間で双方向の通信を可能としてもよいし、特に受信機は含まずに送信機だけを含み、無線操縦機20から無人航空機10への一方向の通信だけを可能としてもよい。通信部23が利用する周波数帯域は予め調整されているものとする。即ち、通信部23がどのチャンネルを用いるかは、予め調整されているものとする。
【0046】
また例えば、第1無線操縦機20Aの通信部23Aは、第1周波数帯域を使用し、無人航空機10の第1無線通信部130Aと通信する。また例えば、第2無線操縦機20Bの通信部23Bは、第2周波数帯域を使用し、無人航空機10の第2無線通信部130Bと通信する。なお、通信部23は、インターネットなどのネットワークに接続可能であってもよい。
【0047】
操作部24は、無人航空機10を操縦するための少なくとも1つの操作部材を含む。操作部材としては、操縦者の入力を受け付け可能な部材であればよく、例えば、ボタン、スティック、スイッチ、レバー、タッチパネル、キーボード、又はマウス等を含んでいてもよい。表示部25は、液晶表示部又は有機EL表示部等を含む。表示部25は、制御部21の指示に従って画面を表示する。
【0048】
例えば、無線操縦機20は、電源がオンになると、通信部23を介して周囲に指示情報を送信する。指示情報は、操縦者の指示を示す情報であり、予め定められたデータフォーマットの情報である。別の言い方をすれば、指示情報は、操作部24に含まれる各操作部材の操作状態を示す情報であり、無人航空機10に対する無線制御信号である。
【0049】
例えば、指示情報は、スティック又はレバーが倒された方向及び角度、ボタン又はスイッチのオン/オフといった情報を含む。また例えば、指示情報は、操縦者がタッチパネル、キーボード、又はマウスから入力した指示内容を含んでもよい。また例えば、無線操縦機20の姿勢を無人航空機10の操縦に利用する場合には、無線操縦機20の姿勢が指示情報に含まれていてもよい。また例えば、操縦者の音声を無人航空機10の操縦に利用する場合には、音声の検出結果が指示情報に含まれていてもよい。また例えば、操縦者が指示した移動方向及び移動速度の少なくとも一方が指示情報に含まれていてもよい。
【0050】
本実施形態では、操作部24の何れかの操作部材に対し、無人航空機10の操縦権を要求する機能が対応付けられており、操縦者が当該操作部材を操作すると、無人航空機10に対し、操縦権を要求することができる。
【0051】
操縦権は、無人航空機10を操縦する権利であり、無人航空機10を制御する権利である。本実施形態では、操縦権が与えられる無線操縦機20が1台だけである場合を説明するが、複数の無線操縦機20に同時に操縦権が与えられてもよい。操縦権が与えられた無線操縦機20は、無人航空機10を自身の制御下に置くことができる。例えば、操縦権が与えられると指示情報が有効になり、操縦権が与えられていないと指示情報は無効となる。別の言い方をすれば、操縦権が与えられた無線操縦機20は、無人航空機10の飛行制御に影響を与えることができ、操縦権が与えられていない無線操縦機20は、無人航空機10の飛行制御に影響を与えない。
【0052】
本実施形態では、操作部24の特定のボタンに対し、操縦権を要求する機能が対応付けられているものとする。当該ボタンは、操縦権の切り替えを指示するためのボタンなので、以降では、切替指示ボタンと記載する。なお、操縦権を要求する機能は、切替指示ボタン以外の操作部材に対応付けられていてもよく、例えば、スティック、スイッチ、又はレバーに対応付けられていてもよい。また例えば、タッチパネル、キーボード、又はマウスから所定の操作が行われた場合に、操縦権が要求されるようにしてもよい。他にも例えば、端末の姿勢や操縦者の音声により、操縦権が要求されるようにしてもよい。
【0053】
例えば、無人航空機10が無線操縦機20の通信範囲に含まれる場合、無線操縦機20から無人航空機10に対し、指示情報が送信される。なお、無人航空機10は、所定の通信プロトコルのもとで、無線操縦機20との通信を確立したうえで指示情報を受信してもよいし、特に通信確立の処理が行われることなく、指示情報を受信してもよい。
【0054】
なお、無線操縦機20は、定期的に指示情報を送信してもよいし、操縦者が何らかの操作をした場合にのみ(即ち、不定期的に)指示情報を送信してもよい。また、指示情報は、全ての操作部材の操作状態を含む必要はなく、一部の操作部材の操作状態だけ(例えば、押下されたボタンを識別する情報だけ)を含んでもよい。
【0055】
撮影装置30は、少なくとも1台のカメラを含む。例えば、撮影装置30は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を含み、当該撮像素子が撮影した画像をデジタルデータとして記録する。画像は、静止画であってもよいし、所定のフレームレートで連続的に撮影された動画であってもよい。なお、本実施形態では、第1撮影装置30Aと第2撮影装置30Bとが互いに同じ構成である場合を説明するが、これらの構成は異なっていてもよい。
【0056】
例えば、撮影装置30は、有線通信又は無線通信用の通信インタフェースを含む。撮影装置30は、有線又は無線によって無線操縦機20と接続され、無線操縦機20に画像を送信する。通信自体は、任意の通信プロトコルを利用可能であり、例えば、イーサネット(登録商標)、USB、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、iBeacon(登録商標)、又はWi−Fi Direct(登録商標)といった方式であってもよい。
【0057】
例えば、撮影装置30は、無線操縦機20を操作する操縦者の付近に配置される。本実施形態では、撮影装置30は、操縦者のヘルメットに配置され、操縦者の顔が向いている方向を撮影する。なお、撮影装置30は、操縦者の眼鏡に配置されてもよいし、操縦者のヘッドマウントディスプレイに配置されてもよい。また例えば、撮影装置30は、操縦者の体に直接装着されていてもよいし、無線操縦機20と一体になっていてもよい。他にも例えば、撮影装置30は、地上に配置されていてもよいし、車やバイクなどの乗物に配置されていてもよい。
【0058】
なお、無人航空機10、無線操縦機20、及び撮影装置30のハードウェア構成は、図1の例に限られず、種々のハードウェアを適用可能である。例えば、無人航空機10は、タッチパネルやボタンなどの操作部を含んでいてもよいし、液晶表示部又は有機EL表示部などの表示部を含んでいてもよい。
【0059】
また例えば、無線操縦機20は、GPSセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、電波検出センサ、又は音検出センサ等のセンサ類を含んでもよい。この場合、無線操縦機20の位置や姿勢を無人航空機10に対する指示に利用してもよい。また例えば、無線操縦機20は、スピーカやイヤホンジャックなどの音声出力部、LEDライトなどの発光部、又はバイブレータ等を含んでもよい。
【0060】
また例えば、無人航空機10、無線操縦機20、及び撮影装置30の各々は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、メモリカードスロットや光ディスクドライブ)を含んでもよいし、外部機器と通信するための入出力部(例えば、USBポート)を含んでいてもよい。また例えば、各装置に記憶されるものとして説明するプログラム及びデータは、読取部又は入出力部を介して供給されるようにしてもよいし、ネットワークを介して供給されるようにしてもよい。
【0061】
[2.無人航空機制御システムの概要]
図2は、無人航空機10が飛行する様子を示す図である。図2に示すように、例えば、無人航空機10は、出発地点Pから目的地点Qまで荷物を運搬する。本実施形態では、無人航空機10は、少なくとも1人の操縦者が目視可能な範囲を、当該操縦者が操作する無線操縦機20と通信可能な状態で飛行する。
【0062】
図2の例では、出発地点Pと目的地点Qとの間に、第1操縦者Aと第2操縦者Bとの2人の操縦者が配置されている。これら2人の操縦者により、無人航空機10の操縦が分担される。例えば、第1操縦者Aは、第1無線操縦機20Aを操作し、出発地点P付近の飛行を担当する。また例えば、第2操縦者Bは、第2無線操縦機20Bを操作し、目的地点Q付近の飛行を担当する。なお、操縦者は、2人に限られず、3人以上であってもよい。無線操縦機20は、操縦者の数に応じた台数を用意すればよい。
【0063】
無人航空機10は、出発地点Pと目的地点Qとの間を、任意の飛行モードで飛行可能である。例えば、無人航空機10は、予め定められた経路を自律的に飛行する自律飛行モード、又は、操縦者が指示した方向及び速度に基づいて飛行する手動飛行モードの何れかで飛行する。例えば、操縦者は、無線操縦機20を操作して、飛行モードを切り替えてもよい。無人航空機10は、操縦者が視認していない状態で飛行してもよいが、本実施形態では、原則として、操縦者が視認している状態で飛行する。このため、無人航空機10は、自律飛行モードであったとしても、操縦者が視認している状態で飛行する。
【0064】
例えば、出発地点Pにおいて、荷物を積んだ無人航空機10が第1無線通信部130Aを介して第1無線操縦機20Aと通信可能な状態になると、無人航空機10は、離陸して目的地点Qに向けての飛行を開始する。出発直後においては、無人航空機10は、第1無線操縦機20Aの制御下にあり、第1操縦者Aが操縦可能な状態になる。即ち、第1無線操縦機20Aに操縦権が与えられる。なお、第1操縦者Aは、特に移動せずにその場で無人航空機10を目視してもよいし、無人航空機10を追いかけるように移動してもよい。この点は、第2操縦者Bも同じである。
【0065】
無人航空機10は、目的地点Qに向けてある程度飛行すると、第2無線操縦機20Bの通信範囲に入り、第2無線通信部130Bを介して第2無線操縦機20Bと通信可能な状態になる。この場合、無人航空機10は、第1無線操縦機20A及び第2無線操縦機20Bの2台と同時に通信可能な状態となる。ただし、この時点では、無人航空機10は、操縦権が第1無線操縦機20Aにあるので、第1操縦者Aの指示に基づいて飛行し、第2操縦者Bの指示は無視する。
【0066】
例えば、操縦権が第1無線操縦機20Aにある状態で、第2操縦者Bが第2無線操縦機20Bから切替指示ボタンを押すと、第2無線操縦機20Bに操縦権を移すことができる。即ち、第2操縦者Bが第2無線操縦機20Bから切替指示ボタンを押すと、無人航空機10を、第1無線操縦機20Aの制御下にある状態から、第2無線操縦機20Bの制御下にある状態に切り替えることができる。
【0067】
この点、無人航空機10が第2無線操縦機20Bの通信範囲に入ったとしても、例えば、無人航空機10と第2無線操縦機20Bとの間に障害物があったり、第2操縦者Bがよそ見をしていたりして、第2操縦者Bが無人航空機10を視認していないことがある。この場合に、第2操縦者Bが誤って切替指示ボタンを押したとすると、第2操縦者Bが無人航空機10を視認していないにも関わらず操縦権が移るので、無人航空機10の飛行の安定性を確保できない可能性がある。
【0068】
そこで、本実施形態の無人航空機制御システム1は、第2撮影装置30Bにより撮影された画像に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。例えば、無人航空機10は、第2無線操縦機20Bの通信範囲に入ると、発光部14から所定パターンの光を出力する。第2無線操縦機20Bは、第2撮影装置30Bにより撮影された画像を解析し、所定パターンの光を検出したかを判定することによって、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0069】
図3は、第2操縦者Bが無人航空機10を視認している場合を示す図である。図3に示すように、第2操縦者Bと無人航空機10との間に、建物や木などの障害物Oが配置されていない場合、無人航空機10が発した光Lが第2操縦者Bに到達する。このため、第2操縦者Bが無人航空機10の方を向いていれば、第2撮影装置30Bは、光Lを撮影することができる。
【0070】
第2撮影装置30Bは、連続的に撮影を行い、第2無線操縦機20Bに画像を送信する。第2無線操縦機20Bは、第2撮影装置30Bから取得した画像を解析し、所定パターンの光を検出したかを判定する。第2無線操縦機20Bは、所定パターンの光を検出した場合に、切替指示ボタンを有効化する。第2無線操縦機20Bは、切替指示ボタンが押下されると、無人航空機10に、切替指示ボタンが押下されたことを示す指示情報を送信する。
【0071】
無人航空機10は、当該指示情報を受信すると、第2無線操縦機20Bに操縦権を移す。操縦権が第2無線操縦機20Bに移ると、第2操縦者Bが無人航空機10を操縦可能な状態となり、無人航空機10は、第2無線操縦機20Bの制御下に置かれる。即ち、第2無線操縦機20Bの指示情報が有効化され、無人航空機10は、第2操縦者Bの指示に基づいて飛行し、第1操縦者Aの指示は無視する。
【0072】
その後、第2操縦者Bは、無人航空機10を操縦して目的地点Qに到着させる。無人航空機10は、目的地点Qに到着すると、荷物を配置する。着陸及び荷物の配置は、第2操縦者Bの操縦によって行われてもよいし、無人航空機10が自動的に行ってもよい。
【0073】
上記のように、第2操縦者Bが無人航空機10を視認していれば、第2無線操縦機20Bの切替指示ボタンが有効化される。一方、第2操縦者Bが無人航空機10を視認していなければ、第2無線操縦機20Bの切替指示ボタンが無効化される。このため、第2操縦者Bが、誤って切替指示ボタンを押したとしても、第2無線操縦機20Bに操縦権は移らない。
【0074】
図4は、第2操縦者Bが無人航空機10を視認していない場合を示す図である。図4に示すように、第2操縦者Bと無人航空機10との間に障害物Oが配置されている場合、無人航空機10が発した光が第2操縦者Bに到達しないので、第2撮影装置30Bは、当該光を撮影することができない。この場合、第2無線操縦機20Bの切替指示ボタンは、有効化されない。第2操縦者B及び無人航空機10の少なくとも一方が移動して、第2操縦者Bが無人航空機10を視認している状態になると、第2無線操縦機20Bの切替指示ボタンが有効化される。
【0075】
なお、無人航空機10が、目的地点Qで荷物を配置した後に、出発地点Pに戻る場合には、第2操縦者Bがある程度操縦した後に、第1操縦者Aに操縦権を移してもよい。この場合、第2操縦者Bに操縦権を移すための処理と同様の処理が実行される。即ち、第1無線操縦機20Aは、第1撮影装置30Aから取得した画像を解析し、所定パターンの光を検出したかを判定する。第1無線操縦機20Aは、所定パターンの光を検出した場合に、切替指示ボタンを有効化する。その後、第1操縦者Aが切替指示ボタンを押すと、操縦権が第1無線操縦機20Aに移る。無人航空機10は、出発地点Pに到着するまでは、第1無線操縦機20Aの制御下に置かれる。
【0076】
以上のように、本実施形態の無人航空機制御システム1は、操縦権を受け取る側の操縦者により無人航空機10が視認されていることを条件として、当該操縦者に操縦権を移すことで、無人航空機10の飛行の安定性を確保するようにしている。以降、当該技術の詳細について説明する。
【0077】
[3.無人航空機制御システムにおいて実現される機能]
図5は、無人航空機制御システム1で実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。ここでは、無人航空機10で実現される機能と、第2無線操縦機20Bで実現される機能と、について説明する。
【0078】
[3−1.無人航空機において実現される機能]
図5に示すように、無人航空機10では、データ記憶部100、飛行制御部101、及び切替部102が実現される。
【0079】
[データ記憶部]
データ記憶部100は、記憶部12を主として実現される。データ記憶部100は、無人航空機10を制御するためのデータを記憶する。例えば、データ記憶部100は、操縦権データと、発光パターンデータと、を記憶する。
【0080】
図6は、操縦権データのデータ格納例を示す図である。図6に示すように、操縦権データは、操縦権を識別するためのデータである。別の言い方をすれば、操縦権データは、例えば、操縦権がある無線操縦機20を識別するためのデータ、又は、操縦権がある無線操縦機20と通信する無線通信部130を識別するためのデータである。
【0081】
例えば、操縦権データは、無線通信部130の識別情報と、操縦権フラグと、が関連付けられている。無線通信部130の識別情報は、無線通信部130を識別可能な情報であればよく、例えば、無線通信部130の名称、個体識別番号、又はMACアドレス等である。
【0082】
操縦権フラグは、操縦権の有無を識別するための情報であり、例えば、オン(値が1)であれば操縦権があることを意味し、オフであれば(値が0)であれば操縦権がないことを意味する。本実施形態では、同時に複数の無線操縦機20に操縦権が与えられることはないので、何れか1つの無線通信部130の操縦権フラグがオンとなる。
【0083】
図6のデータ格納例であれば、第1無線通信部130Aの操縦権フラグがオンであり、第2無線通信部130Bの操縦権フラグがオフなので、第1無線通信部130Aと通信する第1無線操縦機20Aに操縦権がある。この状態で、例えば、第2無線操縦機20Bに操縦権が移されると、第2無線通信部130Bの操縦権フラグがオフになり、第1無線通信部130Aの操縦権フラグがオンになる。
【0084】
図7は、発光パターンデータのデータ格納例を示す図である。図7に示すように、発光パターンデータは、発光部14の発光パターンを示す。発光パターンとは、無人航空機10の存在を伝えるための発光の仕方であり、例えば、光の色と、発光と消灯のタイミングと、の少なくとも一方を示す。発光パターンは、光の色だけを示してもよいし、発光と消灯のタイミングだけを示してもよいし、これらの両方を示してもよい。
【0085】
例えば、発光パターンデータは、発光部14を発光又は消灯させる時間(期間)を示す。更に、発光パターンデータは、発光部14を発光させる時間における光の色を示す。図7のデータ格納例であれば、「赤色を0.5秒発光」、「消灯を0.5秒」、「青色を0.5秒発光」、「消灯を0.5秒」、「緑色を0.5秒発光」、「消灯を0.5秒」が発光パターンとして示されている。図7の発光パターンでは、3秒間が1サイクルとなる。発光部14は、発光パターンデータが示す発光パターンを繰り返してもよいし、当該発光パターンで1回だけ発光してもよい。
【0086】
なお、データ記憶部100が記憶するデータは、上記の例に限られない。データ記憶部100は、無人航空機10を制御するためのデータを記憶すればよい。例えば、データ記憶部100は、自律飛行モードで飛行する場合の飛行経路を示すデータを記憶してもよいし、出発地点P及び目的地点Qの位置情報を記憶してもよい。
【0087】
[飛行制御部]
飛行制御部101は、制御部11を主として実現される。飛行制御部101は、操縦者の指示に基づいて、無人航空機10の飛行を制御する。即ち、飛行制御部101は、無線操縦機20から送信された指示情報を受信し、当該指示情報に基づいて、無人航空機10の飛行を制御する。
【0088】
本実施形態では、無人航空機10が出発地点Pから出発した直後は、第1無線操縦機20Aに操縦権があるので、飛行制御部101は、第1操縦者Aの指示に基づいて、無人航空機10の飛行を制御する。即ち、飛行制御部101は、第1無線操縦機20Aから送信された指示情報を受信し、当該指示情報に基づいて、無人航空機10の飛行を制御する。
【0089】
飛行を制御するとは、無人航空機10の移動方向と移動速度の少なくとも一方を決定することである。別の言い方をすれば、飛行を制御するとは、無人航空機10のモータへの電力を決定すること、無人航空機10のプロペラの回転数を決定すること、又は無人航空機10の飛行モードを決定することである。なお、無人航空機10を目的地点Qに向けて飛行させること、無人航空機10をその場でホバリングさせること、又は、無人航空機10を所定の場所(例えば、出発地点P又は操縦者の位置)に帰還させることが、飛行を制御することに相当してもよい。
【0090】
例えば、無線操縦機20から飛行モードを指示可能とする場合、飛行制御部101は、指示情報が示す飛行モードに基づいて、飛行を制御する。例えば、飛行制御部101は、無人航空機10を自律飛行モードで飛行させる場合、予め定められた飛行経路に基づいて飛行を制御する。自律飛行自体は、種々の自律飛行アルゴリズムを適用可能であり、例えば、飛行制御部101は、GPSセンサ16Aにより検出された位置情報に基づいて、無人航空機10の現在位置を特定し、飛行経路上を移動するように飛行を制御する。
【0091】
また例えば、飛行制御部101は、無人航空機10を自律飛行モードで飛行させる場合、撮影部15により撮影された画像に基づいて飛行を制御してもよい。飛行制御部101は、画像に基づいて飛行を制御する場合、画像内の特定の被写体に近づくように無人航空機10を飛行させたり、画像内の特定の被写体と所定の位置関係を保つように無人航空機10を飛行させたりする。
【0092】
また例えば、飛行制御部101は、無人航空機10を手動飛行モードで飛行させる場合、指示情報に基づいて、移動方向を決定する。指示情報に、操作部24の操作状態が示されている場合、飛行制御部101は、当該操作状態に基づいて移動方向を決定する。一方、無線操縦機20が、操作部24の操作状態に基づいて移動方向を決定し、指示情報に、移動方向が示されている場合、飛行制御部101は、指示情報を参照して移動方向を決定する。
【0093】
例えば、無人航空機10が水平方向に移動する場合、プロペラの回転数が相対的に少ない方向に移動するので、飛行制御部101は、移動方向側にあるプロペラの回転数が、逆側にあるプロペラの回転数よりも少なくなるように、各プロペラの回転数を決定する。また例えば、無人航空機10が垂直方向に移動する場合、飛行制御部101は、プロペラの回転数を閾値より多くして上方向に移動させたり、プロペラの回転数を閾値より少なくして下方向に移動させたりする。
【0094】
また例えば、飛行制御部101は、無人航空機10を手動飛行モードで飛行させる場合、指示情報に基づいて、移動速度を決定する。指示情報に、操作部24の操作状態が示されている場合、飛行制御部101は、当該操作状態に基づいて移動速度を決定する。一方、無線操縦機20が、操作部24の操作状態に基づいて移動速度を決定し、指示情報に、移動速度が示されている場合、飛行制御部101は、指示情報を参照して移動速度を決定する。例えば、飛行制御部101は、指示情報が示す移動速度が速いほど、各プロペラの回転数を多くし、指示情報が示す移動速度が遅いほど、各プロペラの回数を少なくする。
【0095】
[切替部]
切替部102は、制御部11を主として実現される。切替部102は、ある操縦者の指示により無人航空機10が飛行する状態から、他の操縦者の指示により無人航空機10が飛行する状態に切り替える。
【0096】
本実施形態では、無人航空機10が出発地点Pから出発した直後は、第1操縦者Aが無人航空機10を操縦するので、切替部102は、判定部202Bの判定結果に基づいて、第1操縦者Aの指示により無人航空機10が飛行する第1状態から、第2操縦者Bの指示により無人航空機が飛行する第2状態に切り替える。
【0097】
第1状態は、第1無線操縦機20Aからの指示情報が有効な状態、当該指示情報に基づいて飛行が制御される状態、当該指示情報が飛行結果に影響すること、当該指示情報が飛行制御のアルゴリズムの引数(入力)となること、第1無線操縦機20Aに操作権がある状態、又は、第1無線操縦機20Aと通信する第1無線通信部130Aの操作権フラグがオンの状態である。
【0098】
第2状態は、第2無線操縦機20Bからの指示情報が有効な状態、当該指示情報に基づいて飛行が制御される状態、当該指示情報が飛行結果に影響すること、当該指示情報が飛行制御のアルゴリズムの引数(入力)となること、第2無線操縦機20Bに操作権がある状態、又は、第2無線操縦機20Bと通信する第2無線通信部130Bの操作権フラグがオンの状態である。
【0099】
切り替えとは、無人航空機10の制御方法を変えることである。別の言い方をすれば、切り替えとは、飛行を制御するために参照する情報(情報の参照元)を変えることである。例えば、第1無線操縦機20Aからの指示情報を参照する状態から、第2無線操縦機20Bからの指示情報を参照する状態に変えることが、切り替えに相当する。本実施形態では、操縦権データの操縦権フラグの値を変えることによって、切り替えが行われる。
【0100】
切替部102は、判定部202Bの判定結果を取得し、当該判定結果が所定の結果である場合に、第1状態から第2状態に切り替える。本実施形態では、切替部102は、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定されない場合に、第1状態から第2状態への切り替えを制限し、切替部102は、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替える。即ち、切替部102は、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態への切り替えを許可する。
【0101】
制限とは、第2状態への切り替えを禁止すること、又は、第2状態への切り替えを抑制することを意味する。
【0102】
禁止とは、第2状態にさせないことである。別の言い方をすれば、禁止は、第2無線操縦機20Bからの指示情報が完全に無効な状態、当該指示情報に基づいて飛行が制御されないこと、当該指示情報が飛行結果に影響しないこと、当該指示情報が飛行制御のアルゴリズムの引数(入力)とはならないこと、又は、第2無線操縦機20Bに操作権がないことである。
【0103】
抑制とは、第1状態と第2状態を混在させ、完全には第2状態にさせないことである。別の言い方をすれば、抑制は、第2無線操縦機20Bからの指示情報が完全には有効とはならない状態、当該指示情報に基づいて完全には飛行が制御されないこと、当該指示情報が飛行結果に完全には影響しないこと、当該指示情報が飛行制御のアルゴリズムの引数(入力)になるが係数が低いこと、又は、第2無線操縦機20Bに操作権があるが第1無線操縦機20Aと持分が共有されることである。
【0104】
特に切替指示が行われることなく、第1状態から第2状態に切り替えられてもよいが、本実施形態では、第2無線操縦機20Bにより切替指示が受け付けられるので、切替部102は、切替指示が受け付けられた場合に、判定部202Bの判定結果に基づいて、第1状態から第2状態に切り替える。
【0105】
切替指示が受け付けられた場合とは、切替指示が受け付けられた時点、又は、当該時点から所定時間だけ前後した時点である。なお、後述する判定部202Bは、切替指示が受け付けられた場合にだけ判定処理を実行してもよいし、定期的に判定処理を実行してもよい。判定部202Bが定期的に判定処理を実行する場合には、切替部102は、切替指示が受け付けられた場合の判定結果に基づいて、第1状態から第2状態に切り替える。
【0106】
例えば、切替部102は、判定部202Bの判定結果が所定の結果であり、かつ、切替指示が受け付けられた場合に、第1状態から第2状態に切り替える。別の言い方をすれば、切替部102は、判定部202Bの判定結果だけでなく、切替指示が受け付けられることを条件として、第1状態から第2状態に切り替える。
【0107】
[3−2.第2無線操縦機において実現される機能]
図5に示すように、第2無線操縦機20Bでは、データ記憶部200B、受付部201B、及び判定部202Bが実現される。
【0108】
[データ記憶部]
データ記憶部200Bは、記憶部22Bを主として実現される。データ記憶部200Bは、無人航空機10に指示情報を送信するためのデータを記憶する。ここでは、データ記憶部200Bが発光パターンデータを記憶する場合を説明する。発光パターンデータは、図7と同様であり、説明を省略する。
【0109】
なお、データ記憶部200Bが記憶するデータは、上記の例に限られない。データ記憶部200Bは、判定部202Bの処理にテンプレート画像が必要であれば、テンプレート画像を記憶してもよい。
【0110】
[受付部]
受付部201Bは、制御部21Bを主として実現される。受付部201Bは、操作部24Bの検出信号に基づいて、第2操縦者Bによる各種指示を受け付ける。例えば、受付部201Bは、第2操縦者Bによる切替指示を受け付ける。なお、受付部201Bは、他の指示を受け付けてもよく、例えば、移動方向の指示、移動速度の指示、ホバリングの指示、所定の地点への帰還指示、又は、飛行モードの指示といった指示を受け付けてもよい。
【0111】
切替指示は、操縦権を要求するための指示であり、操縦権を切り替えるための指示である。別の言い方をすれば、切替指示は、第1状態から第2状態への切り替えるための指示である。切替指示は、操作部24Bから操作可能な操作であれば、任意の種類の操作であってよい。例えば、切替指示は、操作部24Bの特定の操作部材に対する操作であり、本実施形態では、切替指示ボタンを押下することである。
【0112】
[判定部]
判定部202Bは、制御部21Bを主として実現される。判定部202Bは、所定の判定方法に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0113】
所定の判定方法は、予め定められた判定方法であればよく、本実施形態では、画像を利用する方法を説明するが、後述する変形例のように、電波又は音波を利用する方法であってもよいし、位置情報を利用する方法であってもよい。例えば、所定の判定方法は、画像、電波、音波、及び位置情報のうちの少なくとも1つを利用する方法であってよい。
【0114】
視認とは、視覚的に認識することである。別の言い方をすれば、視認は、無人航空機10が視野内にあること、無人航空機10の存在を操縦者が知覚していることである。なお、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているとは、実際に視認していることだけでなく、視認していると推定されることも含む意味である。
【0115】
本実施形態では、判定部202Bは、第2操縦者Bの撮影部により撮影された画像に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0116】
操縦者の撮影部とは、操縦者の付近にある撮影部である。別の言い方をすれば、操縦者の撮影部は、操縦者が無人航空機10を視認しているかを判定するための撮影部である。例えば、操縦者が装着する撮影部、操縦者が把持する撮影部、操縦者の端末内の撮影部、又は操縦者の端末に接続された撮影部は、操縦者の撮影部である。他にも例えば、操縦者の撮影部は、地上に配置されていたり、車やバイクなどの乗物に配置されていたりしてもよい。
【0117】
なお、操縦者の付近とは、操縦者から所定距離(例えば、0センチ〜10メートル)以内である。装着とは、操縦者の体に付着していること、操縦者が身に着ける物(例えば、ヘルメット、眼鏡、ヘッドマウントディスプレイ、又は衣料品)に付着していることである。把持とは、手で持つことである。操縦者の端末とは、操縦者が操作する端末であり、例えば、無線操縦機20であってもよいし、他の端末であってもよい。他の端末としては、例えば、スマートフォン(携帯電話)、タブレット型端末、又はパーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0118】
操縦者の撮影部の向きは、操縦者の向きと一致又は略一致する。撮影部の向きとは、撮影方向(視線方向)であり、撮影部から見て焦点の方向である。操縦者の向きとは、目、顔、頭、又は胴体の向きである。一致とは、向きが完全に同じこと、ずれが全くない(交差角が0°)のことである。略一致とは、向きが同じとみなせること、ずれが微小(例えば、交差角が0°以上30°未満)なことである。
【0119】
本実施形態では、操縦者の撮影部の一例として、第2撮影装置30Bを説明する。このため、判定部202Bは、第2撮影装置30Bにより撮影された画像に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。判定部202Bは、1枚の画像(例えば、静止画)に基づいて判定してもよいし、連続的に撮影された複数の画像に基づいて判定してもよい。複数の画像は、動画に含まれる画像であってもよいし、特に動画ではなく、繰り返し撮影された複数の静止画であってもよい。
【0120】
本実施形態では、無人航空機10により、所定パターンの光が出力されるので、判定部202Bは、画像に基づいて、所定パターンの光が検出されたかを判定することによって、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0121】
例えば、判定部202Bは、画像内の各画素の画素値を参照し、発光パターンデータが示す光の色の領域があるかを判定する。当該領域があると判定された場合、判定部202Bは、当該領域の色の変化を監視する。判定部202Bは、当該領域の色の変化が、発光パターンデータが示す光の色の変化であるかを判定する。発光パターンデータが示す光の色の変化であると判定された場合、判定部202Bは、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定する。
【0122】
なお、発光部14が、所定の発光パターンで発光するのではなく、単色の光を発光し続ける場合には、判定部202Bは、画像に基づいて、当該単色の光が検出されたかを判定することによって、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定してもよい。この場合、判定部202Bは、判定部202Bは、画像内の各画素の画素値を参照し、光の色の領域があるかを判定する。光の色の領域があると判定された場合、判定部202Bは、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定する。
【0123】
また、画像を利用する方法は、光を利用した方法に限られない。例えば、判定部202Bは、画像に基づいて、無人航空機10が撮影されているかを判定してもよい。この場合、判定部202Bは、物体検出アルゴリズムに基づいて、無人航空機10が撮影されているかを判定する。物体検出アルゴリズム自体は、種々の手法を適用可能であり、例えば、パターンマッチング法を利用してもよいし、機械学習アルゴリズムを利用してもよい。
【0124】
他にも例えば、無人航空機10に所定パターンの動きをさせ、判定部202Bは、画像に基づいて、所定パターンの動きを検出したかを判定してもよい。この動きは、任意の動きであってよく、例えば、円を描くように旋回する動きであってもよいし、左右にジグザグと動くような動きであってもよい。判定部202Bは、物体検出アルゴリズムに基づいて、画像から検出された物体を追尾し、所定パターンの動きをしているかを判定する。
【0125】
[4.無人航空機制御システムにおいて実行される処理]
図8は、無人航空機制御システム1において実行される処理の一例を示すフロー図である。本実施形態では、無人航空機10、第1無線操縦機20A、及び第2無線操縦機20Bによって、図8に示す処理が実行される場合を説明する。図8に示す処理は、制御部11が記憶部12に記憶されたプログラムに従って動作し、制御部21Aが記憶部22Aに記憶されたプログラムに従って動作し、制御部21Bが記憶部22Bに記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。
【0126】
なお、下記の処理は、図5に示す機能ブロックにより実現される処理の一例である。また、操縦権データの初期値として、操縦権フラグは全てオフになっているものとする。また、第2撮影装置30Bは、連続的に撮影を行い、画像を第2無線操縦機20Bに送信しているものとする。また、第2無線操縦機20Bの切替指示ボタンは、予め無効化されているものとする。
【0127】
図8に示すように、まず、第1無線操縦機20Aにおいては、制御部21Aは、操作部24Aの検出信号に基づいて、無人航空機10に指示情報を送信する(S100)。S100においては、制御部21Aは、操作部24Aの各操作部材の操作状態を示す指示情報を生成し、通信部23Aを介して当該指示情報を送信する。
【0128】
制御部21は、第1無線操縦機20Aの電源がオフにされたか否かを判定する(S101)。第1無線操縦機20Aの電源がオフにされたと判定された場合(S101;Y)、本処理は終了する。一方、第1無線操縦機20Aの電源がオフにされたと判定されない場合(S101;N)、S100の処理に戻る。即ち、第1無線操縦機20Aは、電源がオフになるまで、指示情報の送信を繰り返す。
【0129】
無人航空機10においては、制御部11は、何れかの無線通信部130を介して、無線操縦機20から指示情報を受信したか否かを判定する(S200)。指示情報は、所定のフォーマットで送信されるので、S200においては、制御部11は、当該フォーマットの情報を受信したか否かを判定する。本実施形態では、第1操縦者Aが出発地点P付近にいるので、制御部11は、第1無線操縦機20Aからの指示情報を受信したか否かを判定する。
【0130】
何れかの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定されない場合(S200;N)、再びS200の処理に戻る。この場合、無人航空機10は、どの無線操縦機20とも通信可能となっていないので、目的地点Qに向けての飛行を開始しない。
【0131】
一方、何れかの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定された場合(S200;Y)、制御部11は、当該無線通信部130の操縦権フラグをオンにする(S201)。S201においては、制御部11は、操縦権データのうち、指示情報を受信した無線通信部130の識別情報が格納されているレコードの操縦権フラグをオンにする。これにより、当該無線通信部130を介して受信する指示情報が有効となり、当該指示情報を送信する無線操縦機20に操縦権が与えられる。本実施形態では、第1無線操縦機20Aの指示情報が受信されるので、第1無線通信部130Aの操縦権フラグがオンになる。
【0132】
制御部11は、操縦権フラグがオンの無線通信部130を介して受信した指示情報に基づいて、無人航空機10の飛行を制御する(S202)。S202においては、制御部11は、指示情報に含まれる各項目の値に基づいて、無人航空機10を制御する。例えば、指示情報が自律飛行モードを示していれば、無人航空機10は、自律飛行モードで飛行する。この場合、制御部11は、GPSセンサ15により検出された位置情報が所定の経路上をたどるように、各モータへの出力を決定する。なお、自律飛行モードにおける経路を示す情報は、予め記憶部12に記憶されていてもよいし、通信部13を介して他のコンピュータから取得されてもよい。
【0133】
制御部11は、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して指示情報を受信したか否かを判定する(S203)。S203においては、S200と同様に、制御部11は、所定のフォーマットの情報を受信したか否かを判定する。本実施形態では、制御部11は、第2無線通信部130Bを介して、第2無線操縦機20Bからの指示情報を受信したか否かを判定する。
【0134】
操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定されない場合(S203;N)、S208の処理に移行する。この場合、第1無線操縦機20Aに操縦権が与えられた状態が維持される。
【0135】
一方、操縦権フラグがオフの無線通信部130を介して指示情報を受信したと判定された場合(S203;Y)、制御部11は、発光パターンデータに基づいて、発光部14から所定パターンの光を出力する(S204)。S204においては、制御部11は、発光パターンデータに基づいて、発光すべきタイミング、発光すべき色、及び消灯すべきタイミングを特定し、発光部14への電力を制御する。
【0136】
第2無線操縦機20Bにおいては、制御部21Bは、第2撮影装置30Bから画像を取得する(S300)。第2無線操縦機20Bと第2撮影装置30Bとは、予め接続されており、S205においては、第2撮影装置30Bが撮影した画像を取得する。例えば、第2撮影装置30Bは、所定のフレームレートに基づいて、繰り返し撮影処理を実行し、第2無線操縦機20Bに画像を送信する。
【0137】
制御部21Bは、S300で取得した画像に基づいて、所定パターンの光が検出されたか否かを判定する(S301)。S301においては、制御部21Bは、記憶部22Bに記憶された発光パターンデータに基づいて、画像内に所定の色の光を検出したかを判定する。
【0138】
所定パターンの光が検出されたと判定された場合(S301;Y)、制御部21Bは、切替指示ボタンを有効化する(S302)。例えば、切替指示ボタンが有効であるか否かを示すフラグを記憶部22Bに記憶させておき、S302においては、制御部21Bは、当該フラグをオンにすることによって、切替指示ボタンを有効化する。
【0139】
制御部21Bは、操作部24Bの検出信号に基づいて、切替指示ボタンが押下されたか否かを判定する(S303)。切替指示ボタンが押下されたと判定された場合(S303;Y)、制御部21は、無人航空機10に、切替指示を含む指示情報を送信する(S304)。S304においては、制御部21Bは、切替指示ボタンがオンであることを示す指示情報を生成し、通信部23Bを介して当該指示情報を送信する。
【0140】
一方、切替指示ボタンが押下されたと判定されない場合(S303;N)、制御部21Bは、切替指示を含まない指示情報を送信する(S305)。S305においては、制御部21Bは、無人航空機10に、切替指示ボタンがオフであることを示す指示情報を生成し、通信部23Bを介して当該指示情報を送信する。
【0141】
制御部21Bは、第1無線操縦機20Aの電源がオフにされたか否かを判定する(S306)。第1無線操縦機20Aの電源がオフにされたと判定された場合(S306;Y)、本処理は終了する。一方、第1無線操縦機20Aの電源がオフにされたと判定されない場合(S306;N)、S300の処理に戻る。
【0142】
無人航空機10においては、制御部11は、受信した指示情報を参照し、操縦権を切り替えるための切替指示が行われたか否かを判定する(S205)。S205においては、制御部11は、指示情報が示す切替指示ボタンの操作状態を参照することで、切替指示が行われたか否かを判定する。切替指示が行われたと判定されない場合(S205;N)、後述するS208の処理に移行する。この場合、S206の処理が実行されないので、操縦権は移らない。
【0143】
一方、切替指示が行われたと判定された場合(S205;Y)、制御部11は、制御部11は、切替指示をした無線操縦機20と通信する無線通信部130(S203で指示情報を受信した無線通信部130)の操縦権フラグをオンにする(S206)。S206においては、制御部11は、操縦権データのうち、指示情報を受信した無線通信部130の識別情報が格納されているレコードの操縦権フラグをオンに変更し、それまでオンだった操縦権フラグをオフに変更する。これにより、当該無線通信部130を介して受信する指示情報が有効となり、それまで有効だった指示情報が無効となる。ここでは、第1無線操縦機20Aから第2無線操縦機20Bに操縦権が移る。
【0144】
制御部11は、発光部14からの発光を停止する(S207)。S207においては、制御部11は、発光部14に対する電力を遮断する。なお、S207の処理を省略し、発光部14から発光させ続けてもよい。
【0145】
制御部11は、所定の終了条件が満たされたか否かを判定する(S208)。終了条件は、本処理を終了するために定められた条件であればよく、例えば、無人航空機10が目的地点Q又は出発地点Pに到着することであってもよいし、無人航空機10が着陸することであってもよい。終了条件が満たされたと判定されない場合(S208;N)、S202の処理に戻る。終了条件が満たされたと判定された場合(S208;Y)、本処理は終了する。
【0146】
以上説明した無人航空機制御システム1によれば、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定し、第2操縦者Bが無人航空機10を視認している状態で操縦権を切り替えることで、無人航空機10の安定性を確保することができる。即ち、第2操縦者Bが無人航空機10を視認していないにも関わらず操縦権が移ってしまい、無人航空機10が不安定になっても第2操縦者Bが対処できないといったことを防止することができる。
【0147】
また、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定されない場合に、第1状態から第2状態への切り替えが制限され、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替えることで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0148】
また、第2操縦者Bによる切替指示が受け付けられた場合に、第1状態から第2状態に切り替えることで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。即ち、第2操縦者Bが操縦権を受け取る意志を示したうえで操縦権が移るので、第2操縦者Bに予め心構えをさせることができ、無人航空機10が不安定になっても第2操縦者Bが対処できないといったことをより確実に防止することができる。
【0149】
また、画像に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定することで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。更に、第2操縦者B側に撮影装置20を設ける場合には、無人航空機10の撮影部15を省略することができ、無人航空機10を軽量化することができる。
【0150】
また、所定パターンの光が検出されたかを判定することによって、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定することで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。更に、無人航空機10が所定パターンの光を発光し続けるのではなく、第2無線操縦機20Bからの信号を受信した場合に発光させる場合には、無駄な発光を防止し、無人航空機10の消費電力を押さえることができる。
【0151】
[5.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0152】
図9は、変形例の機能ブロック図である。図9に示すように、以降説明する変形例では、実施形態で説明した機能に加え、領域判定部103、第1取得部104、データ記憶部200A、第1判定部202A、通知部203B、及び第2取得部204Bが実現される。なお、以降説明する変形例では、実施形態で説明した判定部202Bを、第2判定部202Bと記載する。また、データ記憶部200Aは、記憶部22Aを主として実現され、データ記憶部200Bと同様であってよい。
【0153】
(1)例えば、第1無線操縦機20Aに操縦権がある場合に、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されているかを判定してもよい。この場合、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていないと判定された場合に、無人航空機10を所定の地点に帰還させてもよいし、無人航空機10をホバリング又は着陸させてもよい。更に、第1操縦者Aと第2操縦者Bの両方により無人航空機10が視認されていることを条件として、第1無線操縦機20Aから第2無線操縦機20Bに操縦権を移してもよい。
【0154】
変形例(1)の無人航空機制御システム1では、第1無線操縦機20Aにおいて第1判定部202Aが実現される。第1判定部202Aは、制御部21Aを主として実現される。第1判定部202Aは、所定の判定方法に基づいて、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0155】
所定の判定方法の意味は、実施形態で説明した通りである。第1判定部202Aの判定方法は、第2判定部202Bの判定方法と同様であってよい。第1判定部202Aの処理は、第2判定部202Bの説明で第2操縦者B及び第2撮影装置30Bと記載した箇所を、それぞれ第1操縦者A及び第1撮影装置30Aと読み替えるようにすればよい。
【0156】
本変形例では、第1判定部202Aは、第1操縦者Aの撮影部により撮影された画像に基づいて、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されているかを判定する。操縦者の撮影部の意味は、実施形態で説明した通りである。画像を利用して視認を判定する方法は、第2判定部202Bで説明した方法と同様であってよい。例えば、第1判定部202Aは、画像に基づいて、所定パターンの光が検出されたかを判定することによって、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0157】
切替部102は、第1判定部202Aの判定結果に更に基づいて、第1状態から第2状態に切り替える。即ち、切替部102は、第1判定部202Aの判定結果と、第2判定部202Bの判定結果と、に基づいて、第1状態から第2状態に切り替える。切替部102は、第1判定部202Aの判定結果と、第2判定部202Bの判定結果と、が所定の結果である場合に、第1状態から第2状態に切り替える。
【0158】
例えば、切替部102は、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていると判定されない場合、又は、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定されない場合に、第1状態から第2状態への切り替えを制限する。即ち、切替部102は、第1操縦者A及び第2操縦者Bの両方により無人航空機10が視認されていると判定されない場合に、第1状態から第2状態への切替を制限する。
【0159】
また例えば、切替部102は、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていると判定され、かつ、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替える。即ち、切替部102は、第1操縦者A及び第2操縦者Bの両方により無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替える。
【0160】
変形例(1)によれば、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されているかを判定し、第1操縦者Aが無人航空機10を視認している状態で操縦権を切り替えることで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。即ち、操縦権が移る前において、無人航空機10を誰も視認しておらず、無人航空機10が不安定になっても誰も対処できないといったことを防止することができる。
【0161】
また、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていると判定され、かつ、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替えることで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0162】
(2)また例えば、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されなくなったとしても、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていれば、強制的に、第1無線操縦機20Aから第2無線操縦機20Bに操縦権を移してもよい。
【0163】
図10は、第1操縦者Aが無人航空機10を視認できなくなり、第2操縦者Bが無人航空機10を視認している場合を示す図である。図10に示すように、第1操縦者Aと無人航空機10との間に障害物Oが配置されている場合、無人航空機10が発した光Lが第1操縦者Aに到達しないので、第1撮影装置30Aは、当該光Lを撮影することができない。
【0164】
一方、第2操縦者Bと無人航空機10との間には、障害物Oが配置されていないので、無人航空機10が発した光Lが第2操縦者Bに到達する。このため、第2操縦者Bが無人航空機10の方を向いていれば、第2撮影装置30Bは、光Lを撮影することができる。本変形例では、図10の状態になった場合に、無人航空機10を帰還等させるのではなく、第1無線操縦機20Aから第2無線操縦機20Bに操縦権が移る。
【0165】
変形例(2)の切替部102は、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていると判定されず、かつ、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替える。実施形態と同様に、切替指示が行われてもよいが、本変形例では、特に切替指示が行われることなく、第1状態から第2状態に切り替わる場合を説明する。このため、切替部102は、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていると判定されず、かつ、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、強制的に、第1状態から第2状態に切り替える。
【0166】
変形例(2)によれば、第1操縦者Aにより無人航空機10が視認されていると判定されず、かつ、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替えることで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。即ち、第1操縦者Aが無人航空機10を視認できず、無人航空機10が不安定になった場合に第1操縦者Aが対処できなくなったとしても、第2操縦者Bに対処させることができる。
【0167】
(3)また例えば、第1無線操縦機20Aから第2無線操縦機20Bに操縦権を移す場合に、操縦権が移ることを第2操縦者Bに認識させるために、第2無線操縦機20Bにおいて、所定の通知がなされるようにしてもよい。
【0168】
変形例(3)の無人航空機制御システム1では、第2無線操縦機20Bにおいて通知部203Bが実現される。通知部203Bは、制御部21を主として実現される。通知部203Bは、第1状態から第2状態に切り替わる場合に、第2操縦者Bに所定の通知を行う。
【0169】
所定の通知とは、予め定められた通知であればよく、例えば、視覚、聴覚、又は触覚を利用した通知であればよい。例えば、所定の通知は、所定の画像を表示させること、所定の発光部を発光させること、所定の音声を出力すること、又は、所定パターンの振動を発生させることである。
【0170】
なお、データ記憶部200Bに、通知をするためのデータが記憶されていてもよい。例えば、視覚的な通知をする場合、通知部203Bは、データ記憶部200Bに記憶された画像データに基づいて、所定の画像を表示させる。また例えば、聴覚的な通知をする場合、通知部203Bは、データ記憶部200Bに記憶された音声データに基づいて、所定の音声を出力させる。また例えば、触覚的な通知をする場合、通知部203Bは、データ記憶部200Bに記憶された振動パターンデータに基づいて、所定パターンの振動を発生させる。
【0171】
変形例(3)によれば、第1状態から第2状態に切り替わる場合に、第2操縦者Bに所定の通知が行われることで、第2操縦者Bに予め心構えをさせることができ、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0172】
(4)また例えば、第1無線操縦機20Aから第2無線操縦機20Bに操縦権を移すための領域は、特に定められていなくてもよいし、予め定められていてもよい。当該領域は、第1状態から第2状態に切り替えるための領域なので、以降では、切替領域と記載する。本変形例では、切替領域が予め定められており、ある特定の場所で操縦権が移る場合を説明する。
【0173】
変形例(4)の無人航空機制御システム1では、無人航空機10において領域判定部103が実現される。領域判定部103は、制御部11を主として実現される。領域判定部103は、所定の切替領域内に無人航空機10がいるかを判定する。
【0174】
切替領域は、任意の領域であればよく、第2操縦者Bが第1操縦者Aから操縦を引き継ぐための領域である。例えば、切替領域は、出発地点Pと目的地点Qの間に設けられた領域である。切替領域は、出発地点Pと目的地点Qの中間地点に設けられてもよいし、中間地点よりも出発地点P又は目的地点Qよりの位置に設けられてもよい。
【0175】
本変形例のデータ記憶部100は、切替領域を示すデータを記憶する。このデータには、切替領域の位置が示されており、例えば、切替領域の緯度経度情報又は座標情報が示されてもよいし、切替領域に対応する基地局情報又はアクセスポイント情報が示されてもよい。
【0176】
領域判定部103は、無人航空機10の位置情報に基づいて、切替領域内に無人航空機10がいるかを判定する。位置情報の取得方法自体は、種々の方法を適用可能であり、例えば、GPSセンサ16Aにより検出された緯度経度情報又は座標情報であってもよいし、通信部13により取得された基地局情報又はアクセスポイント情報であってもよい。
【0177】
例えば、位置情報が緯度経度情報又は座標情報である場合、領域判定部103は、無人航空機10の位置を示す緯度経度情報又は座標情報が、切替領域内に含まれるかを判定する。領域判定部103は、緯度経度情報又は座標情報が切替領域内に含まれる場合に、切替領域内に無人航空機10がいると判定し、緯度経度情報又は座標情報が切替領域内に含まれない場合に、切替領域内に無人航空機10がいないと判定する。
【0178】
また例えば、位置情報が基地局情報又はアクセスポイント情報である場合、領域判定部103は、無人航空機10の位置を示す基地局情報又はアクセスポイント情報と、切替領域の位置を示す基地局情報又はアクセスポイント情報と、が一致するかを判定する。領域判定部103は、これらが一致する場合に、切替領域内に無人航空機10がいると判定し、これらが一致しない場合に、切替領域内に無人航空機10がいないと判定する。
【0179】
なお、領域判定部103の判定方法は、位置情報を利用した方法に限られない。例えば、領域判定部103は、撮影部15により撮影された画像に基づいて、切替領域内に無人航空機10がいるかを判定してもよい。この場合、データ記憶部100には、切替領域内にある被写体を示すデータが記憶されているものとする。領域判定部103は、画像に当該被写体が撮影されているかを判定する。領域判定部103は、画像に当該被写体が撮影されている場合に、切替領域内に無人航空機10がいると判定し、画像に当該被写体が撮影されていない場合に、切替領域内に無人航空機10がいないと判定する。
【0180】
切替部102は、切替領域内に無人航空機10がいると判定された場合に、判定部の判定結果に基づいて、第1状態から第2状態に切り替える。
【0181】
切替領域内に無人航空機10がいると判定された場合とは、切替領域内に無人航空機10がいると判定された時点、又は、当該時点から所定時間だけ前後した時点である。なお、第2判定部202Bは、切替領域内に無人航空機10がいると判定された場合にだけ判定処理を実行してもよいし、定期的に判定処理を実行してもよい。第2判定部202Bが定期的に判定処理を実行する場合には、切替部102は、切替領域内に無人航空機10がいると判定された場合の判定結果に基づいて、第1状態から第2状態に切り替える。
【0182】
なお、無人航空機10は、切替領域内に無人航空機10がいないと判定された場合には、発光部14からの発光をせずに、切替領域内に無人航空機10がいると判定された場合に、発光部14からの発光を開始してもよい。即ち、切替領域内に無人航空機10がいると判定されることを条件として、発光部14からの発光を開始してもよい。このようにすることで、無人航空機10の消費電力を低減することができる。
【0183】
変形例(4)によれば、切替領域内に無人航空機10がいると判定された場合に、第1状態から第2状態に切り替えることで、無人航空機10を視認しやすい場所で操縦権を切り替えることができ、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0184】
(5)また例えば、実施形態で説明したように、無人航空機10が視認されているかを判定する方法は、画像を利用する方法に限られない。
【0185】
(5−1)例えば、電波又は音波を利用して、無人航空機10が視認されているかを判定してもよい。ただし、電波又は音波が障害物Oを回り込むと、操縦者により無人航空機10が視認されていなくても、電波又は音波が到達する可能性があるため、本変形例では、指向性のある電波又は音波を利用する。指向性のある電波又は音波とは、方向によって強度が異なる電波又は音波である。
【0186】
図11は、変形例(5−1)における無人航空機制御システム1の全体構成を示す図である。図11に示すように、無人航空機10は、出力部17を含む。出力部17は、指向性のある電波を出力する送信アンテナと、指向性のある音波を出力する指向性スピーカと、の少なくとも一方を含む。
【0187】
出力部17は、無人航空機10の任意の位置に配置可能であり、無人航空機10は、任意の方向に電波又は音波を出力可能である。例えば、無人航空機10の正面方向(ロール軸方向)に出力部17を配置し、無人航空機10は、正面方向に電波又は音波を出力してもよい。また例えば、無人航空機10の横方向(ピッチ軸方向)に出力部17を配置し、無人航空機10は、横方向に電波又は音波を出力してもよい。また例えば、無人航空機10の下方向(ヨー軸方向)に出力部17を配置して、無人航空機10は、下方向に電波又は音波を出力してもよい。また例えば、無人航空機10の側面に出力部17を並べて配置し、無人航空機10は、周囲に電波又は音波を出力してもよい。この場合、無人航空機10は、周囲の360°に対して万遍なく電波又は音波を出力してもよいし、特定の範囲(例えば、90°以上360°未満の任意の角度)に対してのみ電波又は音波を出力してもよい。
【0188】
無線操縦機20は、検出部26を含む。検出部26は、指向性のある電波を受信する受信アンテナと、指向性のある音波を受信する音センサと、の少なくとも一方を含む。
【0189】
本変形例では、無人航空機10により、指向性のある電波又は音波が出力される。無人航空機10は、出力部17から定期的に電波又は音波を出力してもよいし、第2無線操縦機20Bからの指示情報を受信したり、切替領域に到達したりした場合に、出力部17から電波又は音波の出力を開始してもよい。例えば、データ記憶部100は、電波又は音波のパターンを示すデータを記憶してもよい。出力部17は、当該データが示すパターンの電波又は音波を出力する。
【0190】
判定部は、第2操縦者Bの検出部26Bにより検出された電波又は音波に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。
【0191】
操縦者の検出部とは、操縦者の付近にある検出部である。別の言い方をすれば、操縦者の検出部は、操縦者が無人航空機10を視認しているかを判定するための検出部である。例えば、操縦者が装着する検出部、操縦者が把持する検出部、操縦者の端末内の検出部、又は操縦者の端末に接続された検出部は、操縦者の検出部である。他にも例えば、操縦者の検出部は、地上に配置されていたり、車やバイクなどの乗物に配置されていたりしてもよい。
【0192】
本変形例では、操縦者の検出部の一例として、第2無線操縦機20B内の検出部26Bを説明する。このため、第2判定部202Bは、検出部26Bの検出信号に基づいて、電波又は音波が検出されたかを判定する。
【0193】
例えば、第2判定部202Bは、検出部26Bにより検出された電波又は音波の強度が閾値以上になった場合に、電波又は音波が検出されたと判定する。第2判定部202Bは、電波又は音波を検出した場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、電波又は音波を検出しなかった場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0194】
また例えば、データ記憶部200Bに、電波又は音波のパターンを示すデータを記憶してもよい。この場合、第2判定部202Bは、検出部26Bの検出信号に基づいて、当該データが示すパターンの電波又は音波を検出したかを判定する。第2判定部202Bは、当該パターンの電波又は音波を検出した場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、当該パターンの電波又は音波を検出しなかった場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0195】
変形例(5−1)によれば、指向性のある電波又は音波に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定することで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0196】
(5−2)また例えば、位置情報を利用して、無人航空機10が視認されているかを判定してもよい。
【0197】
図12は、変形例(5−2)における無人航空機制御システム1の全体構成を示す図である。図12に示すように、無線操縦機20は、GPSセンサ27を含む。GPSセンサ27は、GPSセンサ16Aと同様のため、説明を省略する。
【0198】
変形例(5−2)の無人航空機制御システム1では、無人航空機10において第1取得部104が実現され、第2無線操縦機20Bにおいて第2取得部204Bが実現される。
【0199】
第1取得部104は、制御部11を主として実現される。第1取得部104は、無人航空機10の位置に関する無人航空機位置情報を取得する。無人航空機位置情報は、無人航空機10の位置を識別可能な情報であればよく、例えば、緯度経度情報、座標情報、基地局情報、又はアクセスポイント情報である。
【0200】
本変形例では、第1取得部104は、GPSセンサ16Aにより検出された緯度経度情報又は座標情報を、無人航空機位置情報として取得する。他にも例えば、第1取得部104は、通信部13により取得された基地局情報又はアクセスポイント情報を、無人航空機位置情報として取得してもよい。
【0201】
第2取得部204Bは、制御部21Bを主として実現される。第2取得部204Bは、第2操縦者Bの位置に関する操縦者位置情報を取得する。操縦者位置情報は、第2操縦者Bの位置を識別可能な情報であればよく、例えば、緯度経度情報、座標情報、基地局情報、又はアクセスポイント情報である。
【0202】
本変形例では、第2取得部204Bは、GPSセンサ27Bにより検出された緯度経度情報又は座標情報を、操縦者位置情報として取得する。他にも例えば、第2取得部204Bは、通信部23Bにより取得された基地局情報又はアクセスポイント情報を、無人航空機位置情報として取得してもよい。
【0203】
なお、第2取得部204Bは、第2無線操縦機20B以外の端末により検出された位置情報を、操縦者位置情報として取得してもよい。例えば、第2取得部204Bは、第2操縦者Bの端末により検出された位置情報を、操縦者位置情報として取得してもよい。また例えば、第2操縦者BにGPSセンサ27Bを装着させ、第2取得部204Bは、第2操縦者Bに装着されたGPSセンサ27Bにより検出された緯度経度情報又は座標情報を、操縦者位置情報として取得してもよい。
【0204】
第2判定部202Bは、操縦者位置情報と、無人航空機位置情報と、に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。ここでは、第1取得部104が無人航空機10により実現され、第2判定部202Bが第2無線操縦機20Bにより実現されるので、第2判定部202Bは、無人航空機10から無人航空機位置情報を取得し、判定処理を実行する。
【0205】
例えば、第2判定部202Bは、操縦者位置情報が示す位置と、無人航空機位置情報が示す位置と、の距離に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。第2判定部202Bは、距離が閾値未満であれば、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、距離が閾値以上であれば、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0206】
なお、第2判定部202Bの判定方法は、距離を利用した方法に限られない。例えば、第2判定部202Bは、無人航空機10と、第2無線操縦機20Bと、の各々が切替領域にいるかを判定してもよい。この場合、第2判定部202Bは、無人航空機10と第2無線操縦機20Bとの両方が切替領域にいる場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、無人航空機10と第2無線操縦機20Bとの少なくとも一方が切替領域にいない場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0207】
また例えば、データ記憶部200Bに地図データを記憶させ、第2判定部202Bは、地図データに基づいて判定してもよい。地図データには、障害物Oの位置に関する地形情報が示されていてもよい。例えば、第2判定部202Bは、操縦者位置情報が示す位置と、無人航空機位置情報が示す位置と、の間に障害物Oが配置されているかを判定する。第2判定部202Bは、これらの間に障害物Oが配置されていない場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、これらの間に障害物Oが配置されている場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0208】
また例えば、位置情報が基地局情報又はアクセスポイント情報を示す場合
第2判定部202Bは、操縦者位置情報が示す基地局情報又はアクセスポイント情報と、無人航空機位置情報が示す基地局情報又はアクセスポイント情報と、が一致するかを判定する。第2判定部202Bは、これらが一致する場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、これらが一致しない場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0209】
変形例(5−2)によれば、無人航空機位置情報と操縦者位置情報とに基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定することで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0210】
(5−3)また例えば、第2操縦者Bが無人航空機10を視認している場合に、所定の操作をさせ、当該操作が行われたことを示す指示情報を受信した場合に、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されたと判定されるようにしてもよい。
【0211】
本変形例の第2判定部202Bは、第2操縦者Bの操作に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定する。当該操作は、予め定められた操作であってもよいし、無人航空機10から所定の視覚情報を出力させ、当該視覚情報に応じた操作であってもよい。
【0212】
第2判定部202Bは、操作部24Bの検出信号に基づいて、所定の操作が行われたかを判定する。第2判定部202Bは、所定の操作が行われた場合、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていると判定し、所定の操作が行われない場合、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されていないと判定する。
【0213】
変形例(5−3)によれば、第2操縦者Bの操作に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定することで、無人航空機10の安定性をより確実に確保することができる。
【0214】
(6)また例えば、実施形態及び上記変形例では、第2判定部202B(実施形態では判定部202B)が第2無線操縦機20Bで実現される場合を説明したが、第2判定部202Bは、無人航空機10において実現されてもよい。この場合、第2判定部202Bは、制御部11を主として実現される。
【0215】
(6−1)例えば、第2判定部202Bは、無人航空機10の撮影部15により撮影された画像に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定してもよい。第2判定部202Bの処理は、無人航空機10の撮影部15により撮影された画像が利用されるという点で、実施形態で説明した処理と異なるだけであり、処理内容自体は、実施形態で説明した内容と同じである。
【0216】
図13は、変形例(6−1)における無人航空機制御システム1の全体構成を示す図である。図13に示すように、無線操縦機20は、発光部28を含む。発光部28は、発光部14と同様のため、説明を省略する。
【0217】
例えば、第2操縦者Bにより、所定パターンの光が出力される。即ち、第2操縦者Bの発光部により、所定パターンの光が出力される。
【0218】
操縦者の発光部とは、操縦者の付近にある発光部である。別の言い方をすれば、操縦者の発光部は、操縦者が無人航空機10を視認しているかを判定するための発光部である。例えば、操縦者が装着する発光部、操縦者が把持する発光部、操縦者の端末内の発光部、又は操縦者の端末に接続された発光部は、操縦者の発光部である。他にも例えば、操縦者の発光部は、地上に配置されていたり、車やバイクなどの乗物に配置されていたりしてもよい。例えば、操縦者の発光部の向きは、操縦者の向きと一致又は略一致する。発光部の向きとは、光の照射方向である。
【0219】
例えば、発光部28は、データ記憶部200Bに記憶された発光パターンデータに基づいて、所定パターンの光を発光する。発光パターンデータに基づいて発行させる方法は、実施形態で説明した通りである。
【0220】
第2判定部202Bは、無人航空機10の撮影部15により撮影された画像に基づいて、所定パターンの光が検出されたかを判定する。この判定方法自体は、実施形態で説明した通りである。
【0221】
なお、画像を利用する方法は、光を利用した方法に限られない。例えば、第2判定部202Bは、画像に基づいて、第2操縦者Bが撮影されているかを判定してもよい。この場合、第2判定部202Bは、物体検出アルゴリズム又は生体認証アルゴリズムに基づいて、第2操縦者Bが撮影されているかを判定する。生体認証自体は、種々の手法を適用可能であり、例えば、顔認証や網膜認証を利用してもよい。
【0222】
他にも例えば、第2操縦者Bに所定の動作をさせ、第2判定部202Bは、画像に基づいて、所定の動作を検出したかを判定してもよい。この動作は、任意の動作であってよく、例えば、手を振る動作であってもよいし、所定のジェスチャー又はポーズを取るといった動作であってもよい。第2判定部202Bは、動作検出アルゴリズムに基づいて、画像から検出された動作が、所定の動作であるかを判定する。
【0223】
なお、第2判定部202Bは、無人航空機10及び第2操縦者Bの少なくとも一方の撮影部により撮影された画像に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定すればよく、これらの両方の撮影部により撮影された画像を利用してもよい。また、無人航空機10及び第2操縦者Bの少なくとも一方により、所定パターンの光が出力されるようにすればよく、これらの両方により、所定パターンの光が出力されてもよい。
【0224】
(6−2)また例えば、第2操縦者Bにより、指向性のある電波又は音波が出力されてもよい。この場合、無人航空機10の第2判定部202Bは、第2操縦者Bにより出力された電波又は音波が検出されたかを判定する。第2判定部202Bの処理は、第2操縦者Bにより出力された電波又は音波が利用されるという点で、実施形態で説明した処理と異なるだけであり、処理内容自体は、実施形態で説明した内容と同じである。
【0225】
図14は、変形例(6−2)における無人航空機制御システム1の全体構成を示す図である。図14に示すように、無人航空機10は、検出部18を含み、無線操縦機20は、出力部29を含む。検出部18は、検出部26と同様であり、出力部29は、出力部17と同様のため、説明を省略する。
【0226】
例えば、第2操縦者Bにより、指向性のある電波又は音波が出力される。即ち、第2操縦者Bの出力部29Bにより、指向性のある電波又は音波が出力される。
【0227】
操縦者の出力部とは、操縦者の付近にある出力部である。別の言い方をすれば、操縦者の出力部は、操縦者が無人航空機10を視認しているかを判定するための出力部である。例えば、操縦者が装着する出力部、操縦者が把持する出力部、操縦者の端末内の出力部、又は操縦者の端末に接続された出力部は、操縦者の出力部である。他にも例えば、操縦者の出力部は、地上に配置されていたり、車やバイクなどの乗物に配置されていたりしてもよい。例えば、操縦者の出力部の向きは、操縦者の向きと一致又は略一致する。出力部の向きとは、電波又は音波の出力方向である。
【0228】
なお、無人航空機10及び第2操縦者Bの少なくとも一方により、指向性のある電波又は音波が出力されるようにすればよく、これらの両方により電波又は音波が出力されてもよい。また、第2判定部202Bは、無人航空機10及び第2操縦者Bの少なくとも一方のセンサにより検出された電波又は音波に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定すればよく、これらの両方のセンサにより検出された電波又は音波に基づいて、第2操縦者Bにより無人航空機10が視認されているかを判定してもよい。
【0229】
(7)また例えば、上記変形例(1)〜(6)の何れか2つ以上を組み合わせるようにしてもよい。
【0230】
また例えば、1つの無線通信部130が1台の無線操縦機20と通信する場合を説明したが、無線通信部130は、複数台の無線操縦機20と通信してもよい。この場合、無線操縦機20は、自身の識別情報(例えば、無線操縦機20の名称やIDなど)を送信することによって、無人航空機10は、どの無線操縦機20から指示情報を取得したかを特定してもよい。
【0231】
また例えば、無人航空機制御システム1は、他のコンピュータ(例えば、サーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ)を含んでいてもよく、当該コンピュータによって各無人航空機10の飛行制御が実行されてもよい。この場合、無人航空機10及び無線操縦機20は、インターネットなどのネットワークを介して当該コンピュータと通信可能であってもよい。例えば、データ記憶部100は、無人航空機制御システム1内のデータベースサーバにより実現されてもよいし、無人航空機制御システム1外のデータベースサーバにより実現されてもよい。
【0232】
また例えば、上記説明した各機能は、無人航空機制御システム1の何れかのコンピュータで実現されるようにすればよく、無人航空機10、無線操縦機20、又はサーバなどの他のコンピュータで各機能が分担されていてもよい。例えば、飛行制御部101が無線操縦機20又はサーバで実現され、無人航空機10は、無線操縦機20又はサーバの飛行制御部101から制御内容を取得し、モータの回転を制御してもよい。
【0233】
また例えば、切替部102は、無線操縦機20又はサーバで実現され、無人航空機10は、切替部102からの切替指示を受信した場合に、第1状態から第2状態に切り替えてもよい。また例えば、第1判定部201Aは、無人航空機10又はサーバで実現されてもよい。また例えば、第2判定部202Bは、無人航空機10又はサーバで実現されてもよい。
【要約】
無人航空機の安定性を確保する。無人航空機制御システム(1)の飛行制御手段(101)は、第1操縦者の指示に基づいて、無人航空機(10)の飛行を制御する。判定手段(201B)は、所定の判定方法に基づいて、第2操縦者により前記無人航空機が視認されているかを判定する。切替手段(102)は、判定手段(201B)の判定結果に基づいて、第1操縦者の指示により無人航空機(10)が飛行する第1状態から、第2操縦者の指示により無人航空機(10)が飛行する第2状態に切り替える。
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