(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6586259
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ウエハ支持台
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20190919BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 R
H05H1/46 M
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-541365(P2019-541365)
(86)(22)【出願日】2019年4月9日
(86)【国際出願番号】JP2019015385
【審査請求日】2019年7月30日
(31)【優先権主張番号】特願2018-86780(P2018-86780)
(32)【優先日】2018年4月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋大
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−130609(JP,A)
【文献】
特開平11−162698(JP,A)
【文献】
特開2008−182129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/205
21/302
21/3065
21/31
21/365
21/461
21/469
21/67−21/683
21/86
H05H1/00−1/54
C23C16/00−16/56
C30B1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ載置面を有し、RF電極とヒータ電極とが前記ウエハ載置面側からこの順に埋設されたセラミック基体と、
前記セラミック基体のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面から前記RF電極に向けて設けられた穴と、
前記穴の底面に露出した前記RF電極又は前記RF電極と接続している導電性部材と接合され、高周波電力を前記RF電極へ供給するNi製又はコバール製のロッドと、
前記ロッドの外周面のうち前記ロッドの基端部から前記穴に挿入されていない所定位置までの領域に設けられた銅族元素薄膜と、
を備えたウエハ支持台。
【請求項2】
前記銅族元素薄膜は、厚さが3μm以上6μm以下である、
請求項1に記載のウエハ支持台。
【請求項3】
前記所定位置は、前記銅族元素薄膜が設けられた前記ロッドの代わりに前記銅族元素薄膜が設けられていない前記ロッドを用い、前記ヒータ電極の温度をTs[℃](但し、Tsは前記ロッドの材質のキュリー点を超える)、前記ロッドの長さをL[cm]、前記ロッドの両端部の温度差をΔT[℃]、前記ロッドの先端部から前記所定位置までの長さをx[cm]、前記ロッドの前記所定位置における温度をT(x)[℃]としたとき、
T(x)=Ts−(ΔT/L)*x
で表されるT(x)が前記ロッドの材質のキュリー点以下になるように定められている、
請求項1又は2に記載のウエハ支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハ支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハにプラズマCVDによる成膜処理やプラズマエッチング処理等を行う際に用いられるウエハ支持台としては、セラミック基体に高周波電極(RF電極)が埋設され、このRF電極を利用してプラズマを発生させるものが知られている。例えば、特許文献1に開示されたウエハ支持台では、セラミックスプレートの裏面に、RF電極に電力を導くNi製のロッドを挿入するための穴がRF電極に向けて形成されている。この穴の底面に、RF電極と接続している金属製の導電性部材が露出していて、これと穴に挿入されたロッドとがろう付けにより導通可能に接合されている。そして、このロッドに高周波電源が接続されてRF電極に電力が供給される。また、セラミック基体にはウエハを加熱するためのヒータ電極も埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−130609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のウエハ支持台では、ヒータ電極に通電してウエハの温度を予め設定された温度(例えば450℃〜550℃)に加熱する場合、ウエハのうちRF電極に接続されたロッドの直上部分の温度が特異的に高温になることがあった。このようにウエハにおいて特異的に高温になる部分が存在すると、ウエハに施されるプラズマ処理にムラが生じるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、ウエハのうちRF電極に接続されたロッドの直上部分の温度が特異的に高温になるのを低コストで防止することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のウエハ支持台は、
ウエハ載置面を有し、RF電極とヒータ電極とが前記ウエハ載置面側からこの順に埋設されたセラミック基体と、
前記セラミック基体のうち前記ウエハ載置面とは反対側の面から前記RF電極に向けて設けられた穴と、
前記穴の底面に露出した前記RF電極又は前記RF電極と接続している導電性部材と接合され、高周波電力を前記RF電極へ供給するNi製又はコバール製のロッドと、
前記ロッドの外周面のうち前記ロッドの基端部から前記穴に挿入されていない所定位置までの領域に設けられた銅族元素薄膜と、
を備えたものである。
【0007】
このウエハ支持台では、高周波電力をRF電極へ供給するためにNi製又はコバール製のロッドを用いている。こうしたロッドに高周波電力を印加すると、キュリー点(Niは約354℃、コバールは約435℃)未満ではインピーダンスが大きいため高温になるが、キュリー点以上ではインピーダンスが小さいため高温になりにくい。上述したようにウエハのうちロッドの直上部分の温度が特異的に高くなるのは、ロッドの全体が高温になるため、セラミック基体からロッドを介して逃げる熱が想定よりも少なくなるからと考えられる。本発明のウエハ支持台では、ロッドの外周面のうちロッドの基端部から穴に挿入されていない所定位置までの領域つまりセラミック基体から遠い領域に、銅族元素薄膜を設けている。この場合、銅族元素(Cu,Ag又はAu)はインピーダンスが低いこと、また、表皮効果により高周波は銅族元素薄膜を通過することから、銅族元素薄膜が設けられた部分(セラミック基体から遠い部分)は高温になりにくく、セラミック基体の熱を逃がすのを妨げない。一方、ロッドのうち穴に挿入されている部分は、ヒータ電極に近く高温になっているため、そもそもセラミック基体の熱を逃がすのにほとんど寄与しない。そのため、この部分に銅族元素薄膜を設けるのは、経済的に不利になる。したがって、本発明のウエハ支持台によれば、ウエハのうちRF電極に接続されたロッドの直上部分の温度が特異的に高温になるのを低コストで防止することができる。
【0008】
本発明のウエハ支持台において、前記銅族元素薄膜は、厚さが3μm以上6μm以下であることが好ましい。銅族元素薄膜の厚さが3μm以上であれば、ロッドに高周波電力を印加したときのインピーダンスを十分小さくすることができる。一方、金属膜の厚さが6μmを超えても、ロッドに高周波電力を印加したときのインピーダンスは厚さが6μmのときとほとんど変わらないため、経済性を考慮すると、6μm以下が好ましい。
【0009】
本発明のウエハ支持台において、前記所定位置は、前記銅族元素薄膜が設けられた前記ロッドの代わりに前記銅族元素薄膜が設けられていない前記ロッドを用い、前記ヒータ電極の温度をTs[℃](但し、Tsは前記ロッドの材質のキュリー点を超える)、前記ロッドの長さをL[cm]、前記ロッドの両端部の温度差をΔT[℃]、前記ロッドの先端部から前記所定位置までの長さをx[cm]、前記ロッドの前記所定位置における温度をT(x)[℃]としたとき、T(x)=Ts−(ΔT/L)*xで表されるT(x)が前記ロッドの材質のキュリー点以下になるように定められていてもよい。このように定めた所定位置とロッドの基端部との間の領域は、ロッドのインピーダンスが高いため高温になりやすい。そのため、こうした領域に銅族元素薄膜を設ける意義が高く、これ以外の領域に銅族元素薄膜を設ける意義は低い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】プラズマ発生装置10の概略構成を示す斜視図。
【
図5】めっき厚とインピーダンスとの関係を示すグラフ。
【
図6】RF端子130を備えたウエハ支持台120の断面図。
【
図7】スリーブ25を備えたロッド接合部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。
図1はプラズマ発生装置10の斜視図、
図2は
図1のA−A断面図、
図3は
図1のB−B断面図である。
【0012】
プラズマ発生装置10は、
図1に示すように、ウエハ支持台20と、上部電極50とを備えている。
【0013】
ウエハ支持台20は、プラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うウエハWを支持して加熱するために用いられるものであり、図示しない半導体プロセス用のチャンバの内部に取り付けられる。このウエハ支持台20は、セラミック基体21と、中空のセラミックシャフト29とを備えている。
【0014】
セラミック基体21は、セラミック製(ここでは窒化アルミニウム製)の円板状部材である。このセラミック基体21は、ウエハWを載置可能なウエハ載置面21aを備えている。セラミック基体21のウエハ載置面21aとは反対側の面(裏面)21bの中央には、セラミックシャフト29が接合されている。セラミック基体21には、
図2に示すように、RF電極22とヒータ電極27とが、それぞれ離間した状態で埋設されている。RF電極22とヒータ電極27は、ウエハ載置面21aと平行(実質的に平行な場合を含む、以下同じ)であり、ウエハ載置面21aに近い方からこの順に埋設されている。セラミック基体21は、裏面21bからRF電極22に向けて設けられた穴21cを有している。穴21cの底面には、RF電極22と接続された導電性部材であるタブレット23が露出している。
【0015】
RF電極22は、セラミック基体21よりもやや小径の円盤状の薄層電極であり、Moを主成分とする細い金属線を網状に編み込んでシート状にしたメッシュで形成されている。RF電極22の中央付近には、円盤状のタブレット23が電気的に接続されている。タブレット23は、セラミック基体21の裏面21bに開けられた穴21cの底面に露出している。タブレット23の材質は、RF電極22と同じくMoである。
【0016】
ヒータ電極27は、Moを主成分とするコイルをセラミック基体21の全面にわたって一筆書きの要領で配線したものである。このヒータ電極27の両端部27a,27b(
図3参照)には、それぞれヒータ端子棒(図示せず)が接続されている。これらのヒータ端子棒は、セラミックシャフト29の中空内部を通って外部電源(図示せず)に接続されている。
【0017】
RF電極22、タブレット23及びヒータ電極27の材質をMoとしたのは、セラミック基体21の材質(ここではAlN)と熱膨張係数が近く、セラミック基体21の製造時にクラックが生じにくいからである。RF電極22、タブレット23及びヒータ電極27は、Mo以外の材質であっても、AlNと熱膨張係数が近い導電性材料であれば使用することができる。なお、セラミック基体21の裏面21bのうちセラミックシャフト29に囲まれた領域には、セラミック基体21の温度を検出する熱電対(図示せず)が差し込まれている。
【0018】
セラミックシャフト29は、セラミック基体21と同じセラミックからなる円筒状部材である。セラミックシャフト29の上部端面は、セラミック基体21の裏面21bに拡散接合やTCB(Thermal compression bonding)により接合されている。TCBとは、接合対象の2つの部材の間に金属接合材を挟み込み、金属接合材の固相線温度以下の温度に加熱した状態で2つの部材を加圧接合する公知の方法をいう。
【0019】
RF端子30は、Ni製のロッド32の外周面の一部にAu薄膜34を設けたものである。具体的には、Au薄膜34は、ロッド32の外周面のうちロッド32の基端部32aから穴に挿入されていない所定位置32cまでの領域(被覆領域)に設けられている。そのため、ロッド32の先端部32bから所定位置32cまでの領域(非被覆領域)にはAu薄膜34は設けられていない。所定位置32cの設定方法については、後述する。RF端子30の先端部(つまりロッド32の先端部32b)は、RF電極22のタブレット23にろう接合部24を介して接合されている。RF端子30の基端部は、RF電源40に接続されている。なお、Niのキュリー点は約354℃である。RF電源40の高周波電力は、RF端子30を介してRF電極22へ供給される。
【0020】
上部電極50は、
図1に示すように、セラミック基体21のウエハ載置面21aと対向する上方位置(例えば図示しないチャンバの天井面)に固定されている。この上部電極50は、グランドに接続されている。
【0021】
ここで、所定位置32cは、以下のようにして定める。すなわち、
図4に示すように、ウエハ支持台20において、Au薄膜34が設けられたロッド32の代わりにAu薄膜34が設けられていない裸のロッド32を取り付ける。そして、ヒータ電極27の温度をTs[℃](但し、Tsは、ロッド32の材質のキュリー点を超える温度)、ロッド32の長さをL[cm]、ロッド32の先端部32bの温度Tbと基端部32aの温度Taとの差をΔT(=Tb−Ta)[℃]、ロッド32の先端部32b(RF電極22との接続部)から所定位置32cまでの長さをx[cm]、ロッド32の所定位置32cにおける温度をT(x)[℃]としたとき、下記式(1)で表されるT(x)がロッド32の材質のキュリー点以下になるように、x[cm]を定める。なお、ロッド32の先端部32bの温度Tbは、ヒータ電極27の温度Tsと実質的に同じとみなすことができる。
T(x)=Ts−(ΔT/L)*x …(1)
【0022】
次に、プラズマ発生装置10の使用例について説明する。図示しないチャンバ内にプラズマ発生装置10を配置し、ウエハ載置面21aにウエハWを載置する。そして、RF電極22にRF電源40から高周波電力を供給する。こうすることにより、上部電極50とセラミック基体21に埋設されたRF電極22とからなる平行平板電極間にプラズマが発生し、そのプラズマを利用してウエハWにCVD成膜を施したりエッチングを施したりする。また、図示しない熱電対の検出信号に基づいてウエハWの温度を求め、その温度が設定温度(例えば450℃とか500℃とか550℃)になるようにヒータ電極27へ印加する電圧を制御する。
【0023】
以上詳述したウエハ支持台20では、高周波電力をRF電極22へ供給するためにNi製のロッドを用いている。こうしたロッドに高周波電力を印加すると、キュリー点未満ではインピーダンスが大きいため高温になるが、キュリー点以上ではインピーダンスが小さいため高温になりにくい。[発明が解決しようとする課題]の欄で述べたようにウエハWのうちロッド32の直上部分の温度が特異的に高くなるのは、ロッド32の全体が高温になるため、セラミック基体21からロッド32を介して逃げる熱が想定していたよりも少なくなるからと考えられる。ウエハ支持台20では、ロッド32の外周面のうちロッド32の基端部32aから所定位置32cまでの領域(つまりセラミック基体21から遠い領域)に、Au薄膜34を設けている。この場合、Auはインピーダンスが低いこと、また、表皮効果により高周波はAu薄膜34を通過することから、RF端子30のうちAu薄膜34が設けられた部分(セラミック基体21から遠い部分)は高温になりにくく、セラミック基体21の熱を逃がすのを妨げない。一方、ロッド32のうち穴21cに挿入されている部分は、ヒータ電極27に近く高温になっているため、そもそもセラミック基体21の熱を逃がすのにほとんど寄与しない。そのため、この部分にAu薄膜34を設けるのは、経済的に不利になる。したがって、ウエハ支持台20によれば、ウエハWのうちRF電極22に接続されたロッド32の直上部分の温度が特異的に高温になるのを低コストで防止することができる。
【0024】
また、Au薄膜34は、上述したようにロッド32の基端部32aから所定位置32cまでの領域に設けられ、これ以外の領域には設けられていない。そのため、高価なAuの使用量を抑制しつつ、ウエハWのうちRF電極22に接続されたロッド32の直上部分の温度が特異的に高温になるのを防止することができる。特に、ロッド32の先端部32bから所定位置32cまでの長さx[cm]を上述した式(1)に基づいて設定した。このように設定した所定位置32cとロッド32の基端部32aとの間の領域は、ロッド32のインピーダンスが高いため高温になりやすい。そのため、こうした領域にAu薄膜34を設ける意義が高く、これ以外の領域にAu薄膜34を設ける意義は低い。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0026】
例えば、上述した実施形態において、Au薄膜34は、厚さが3μm以上であることが好ましい。Au薄膜34の厚さが3μm以上であれば、ロッド32に高周波電力を印加したときのインピーダンスを十分小さくすることができる。一方、Au薄膜34の厚さが6μmを超えても、ロッド32に高周波電力を印加したときのインピーダンスはほとんど変わらないため、経済性を考慮すると、6μm以下が好ましい。この点について更に説明する。上述した実施形態において、めっきによりAu薄膜34の厚さがそれぞれ0μm、1μm、6μm、12μmとなるように作製したRF端子30を用いて、RF端子30に高周波電力(周波数13.56MHz)を供給したときのインピーダンスZを測定した。その結果を
図5に示す。
図5では、Au薄膜34の厚さが3μmの場合のインピーダンスは、Au薄膜34のない(厚さゼロ)場合に比べて5%低下していることがわかる。また、
図5から、Au薄膜34の厚さが6μmまでは厚さが増加するにしたがってインピーダンスZは低下した。これは、厚さが増加するのに伴って表面抵抗が減少したためと考えられる。一方、Au薄膜34の厚さが6μmを超えてもインピーダンスはほとんど変化しなかった。これは、厚さが厚くなりすぎると、Au薄膜34の表面の凹凸が大きくなり、表面を流れる電流の経路が長くなったためと考えられる。こうしたことから、Au薄膜34は、厚さが3μm以上6μm以下であることが好ましい。但し、経済性をあまり考慮する必要がないならば、厚さの上限を8μmとか10μmとか12μmに設定してもよい。
【0027】
上述した実施形態では、ロッド32の基端部32aから所定位置32cまでAu薄膜34を設けたが、これに代えて以下のようにAu薄膜を設けてもよい。すなわち、
図6に示すウエハ支持台120のRF端子130のように、ロッド32のうちセラミック基体21の内部に配置されている領域にはAu薄膜134を設けず、それ以外の領域にAu薄膜134を設けてもよい。なお、
図6中、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。このようにしても、ウエハWのうちRF電極22に接続されたロッド32の直上部分の温度が特異的に高温になるのを防止することができる。但し、Auの使用量をできるだけ抑制して低コストにすることを考慮すると、上述した実施形態の方が好ましい。
【0028】
上述した実施形態では、RF端子30のロッド32の先端部32bを、穴21cの底面に露出したタブレット23と接合したが、特にこれに限定されない。例えば、タブレット23を設けずに穴21cの底面にRF電極22を露出させ、その露出したRF電極22とロッド32の先端部32bとを接合してもよい。あるいは、
図7に示すように、穴21cの内周面にねじ溝を設け、ロッド32と同じ材料からなり外周面にねじ山を備えたスリーブ25をその穴21cにねじ込むと共にろう接合し、スリーブ25にロッドの先端部32bを挿入してタブレット23及びスリーブ25の内周面とろう接合してもよい。
【0029】
上述した実施形態は、Ni製のロッドを用いたが、コバール(FeとNiとCoの合金)製のロッドを用いてもよい。コバールのキュリー点は約435℃である。コバール製のロッドを用いた場合でも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0030】
上述した実施形態では、RF電極22の形状をメッシュとしたが、その他の形状であってもよい。例えば、コイル状や平面状であってもよいし、パンチングメタルであってもよい。
【0031】
上述した実施形態では、セラミック材料としてAlNを採用したが、特にこれに限定されるものではなく、例えばアルミナなどを採用してもよい。その場合、RF電極22、タブレット23及びヒータ電極27の材質はそのセラミックの熱膨張係数に近いものを使用するのが好ましい。
【0032】
上述した実施形態において、RF電極22に電圧を印加することによりウエハWをウエハ載置面21aに吸引するようにしてもよい。また、セラミック基体21に更に静電電極を埋設し、その静電電極に電圧を印加することによりウエハWをウエハ載置面21aに吸引してもよい。
【0033】
上述した実施形態では、Ni製のロッド32の外周面の一部にAu薄膜34を設けたが、Au薄膜34の代わりにCu薄膜やAg薄膜を用いてもよい。
【0034】
本出願は、2018年4月27日に出願された日本国特許出願第2018−086780号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ウエハにプラズマCVDによる成膜処理やプラズマエッチング処理等を行う際に利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 プラズマ発生装置、20,120 ウエハ支持台、21 セラミック基体、21a ウエハ載置面、21b 裏面、21c 穴、22 RF電極、23 タブレット、24 ろう接合部、25 スリーブ、27 ヒータ電極、27a,27b 端部、29 セラミックシャフト、30,130 RF端子、32 ロッド、32a 基端部、32b 先端部、32c 所定位置、34,134 Au薄膜、40 RF電源、50 上部電極。
【要約】
ウエハ支持台20は、セラミック基体21とロッド32とを備えている。セラミック基体21は、ウエハ載置面21aを有し、RF電極22とヒータ電極27とがウエハ載置面21a側からこの順に埋設されている。セラミック基体21には、裏面21bからRF電極22に向けて穴21cが設けられている。ロッド32は、Ni製又はコバール製であり、穴21cの底面に露出したタブレット23と接合され、高周波電力をRF電極22へ供給する。ロッド32の外周面のうち基端部32aから所定位置32cまでの領域にはAu薄膜34が設けられている。