(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成とは異なるが、このような照明器具の一つの先行技術として、
図6及び
図7に示す形態のものがある。それは、下面開口の金属製本体101の周縁部に溝103が形成され、上面開口の透光性グローブ102の周縁部が溝103に嵌合する状態で、金属製本体101の下面開口を塞ぐように透光性グローブ102を取り付けている。金属製本体101内には、本体101内の取り付け部104に、左右側部を取り付けねじ105で固定された金属製放熱板106が配置され、放熱板106のグローブ102側の面、即ち、放熱板106の下面には、LED素子107を下面に配置した発光基板108と、LED素子107を覆うレンズ部109Aを形成したレンズ板109が密着して重なり合う状態に、ねじ110で固定されている。
【0005】
LED照明器具100は、路面への効果ある照明を行うために、前後方向に長い形状をなす。このため、
図6に示すように、放熱板106は矩形状などの前後方向に長い形状をなし、前後方向に長い矩形状の発光基板108に、複数のLED素子107が所定間隔で前後方向に一列状態に配置され、前後方向に長い矩形状のレンズ板109が発光基板108に重なり合う状態で、ねじ110で固定されている。
【0006】
また、放熱板106のグローブ102側の反対面、即ち、放熱板106の上面には、LED素子107の発光制御を行うための電力供給回路部111が取り付けられている。電力供給回路部111は、回路部品112が取り付けられた回路基板113を有し、この回路基板113が合成樹脂製のスペーサ114を介して放熱板106の上面にねじ115で固定される。
【0007】
上記のように、発光基板108とレンズ板109が重なり合う状態で、ねじ110によって放熱板106の下面に固定されている。この構成によって、発光基板108の上面が放熱板106に密接し、発光基板108の下面にレンズ板109が密接している。LED素子107は発光によって発熱し、その熱が放熱板106に伝達され、取り付け部104を介して金属製本体101へ伝達され、LED照明器具100の周囲へ放熱される。
【0008】
しかし、LED素子107の発光による発熱は、レンズ板109を加熱する。LED素子107の数が多くなればなるほどこの発熱量は多くなり、レンズ板109はそれによって加熱される。レンズ板109はLED素子107の発光を効果的にグローブ102を通して透過させるために、通常は所定厚さの透明なアクリル樹脂で形成される。このため、経年変化によって、レンズ板109はLED素子107の発光による発熱によって変形し、レンズ部109A側へ膨らむ、即ち、下方へ湾曲するように変形する。この現象は、
図7に示すように、発光基板108が前後方向に長く、それに伴ってレンズ板109も前後方向に長くなるほど大きくなる。
【0009】
このようにレンズ板109が下方へ湾曲するように変形すれば、LED素子107の発光が、レンズ部109Aによって所期の方向へ照射されなくなり、LED照明器具100による効果ある照明を行うことができなくなる。
【0010】
レンズ板109の変形を阻止すべく取り付けねじ110による固定箇所を多数にすることも考慮されるが、放熱板106、発光基板108、及びレンズ板109における取り付けねじ110による固定箇所の加工工数が多くなり、且つ取り付けねじ110による取り付け作業工数が多くなり、コストアップと作業能率が悪くなる欠点がある。
【0011】
本発明は、これらの点に鑑み、LED素子107が多数となり、レンズ板109の長さが長い場合、取り付けねじによる支持箇所が少なくても、LED素子107の発光による発熱によるレンズ板の変形が抑制できる技術を提供するものである。
【0012】
また本発明は、LED発光部を構成する複数のLED素子を実装した発光基板と、前記LED発光部ごとのレンズ部を形成したレンズ板と、LED素子の発光制御を行うための回路部品が取り付けられた回路基板が、放熱板に対して、LED素子の発光による発熱の放熱と、この発熱によるレンズ板の変形の抑制と、前記回路基板を前記発熱から遠ざけると共に前記回路基板のアースが確保できる取り付け技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のLED照明器具は、下面開口の金属製本体と、この本体の下面開口を塞ぐように組み合わされる透光性グローブを備え、前記本体と前記グローブによって形成される内部空間に前記本体に伝熱的に取り付けられた放熱板と、LED発光部を構成する複数のLED素子を実装し前記放熱板の下面に配置する発光基板と、前記LED発光部ごとのレンズ部を形成し前記発光基板の下面に所定間隔を存して重なり合うレンズ板とを備え、前記レンズ板を締め付けることなく前記発光基板を前記放熱板の下面に取り付ける第1ねじと、頭部とネジ部との間に形成した鍔部が前記レンズ板を遊嵌状態で貫通し前記ネジ部が前記放熱板に螺合した正規状態において前記所定間隔を維持する状態に前記頭部が前記レンズ板の下面を支
える第2ねじを備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のLED照明器具は、上記のいずれかの構成において、前記LED素子の発光制御を行う回路部品が取り付けられた回路基板が、前記放熱板の上面と間隔を存して配置され、前記回路基板は前記放熱板の切り起こし部にアース接続される状態でねじ止めされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、発光基板は放熱板の下面に固定され、レンズ板と発光基板との間にレンズ板の端部に通じる放熱隙間が形成される組み合わせであるため、放熱隙間によって、レンズ板と発光基板との間に空気対流が生じ、LED素子の発光によって生じる発熱は、レンズ板の端部からLED照明器具の内部空間へ放散される。このため、LED素子の発光によって生じる発熱によってレンズ板が反ることが抑制される。
【0017】
また、本発明では、レンズ板を締め付けることなく発光基板を放熱板の下面に取り付ける第1ねじと、頭部がレンズ板の下面を支えレンズ板と発光基板を貫通して放熱板に螺合する第2ねじによって、レンズ板と発光基板を放熱板の下面に保持する。このため、放熱板の下面への発光基板の固定と、発光基板とレンズ板との間に放熱隙間の形成が容易となり、この放熱隙間によって、レンズ板と発光基板との間に空気流通通路が形成され、LED素子の発光によって生じる発熱は、レンズ板の端部からLED照明器具の内部空間へ放散される。このため、LED素子の発光によって生じる発熱によってレンズ板が反ることが抑制される。
【0018】
また、本発明では、放熱板のグローブ側の反対面、即ち、放熱板の上面には、LED素子の発光制御を行うための回路部品が取り付けられた回路基板が、放熱板の左右両側縁部に放熱板を一部に切り起こし形成した取り付け部に金属性のねじで固定される。このため、回路基板は放熱板と間隔を存した保持状態となり、回路部品を放熱板の熱から遠ざけることができると共に、回路基板のアース部と放熱板を電気的にアース接続するため、回路基板の取り付けとアースの確保が容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のLED照明器具1は、下面開口の金属製本体2と、この本体2の下面開口を塞ぐように組み合わされる透光性グローブ3を備え、本体2とグローブ3によって形成される内部空間4に本体2に伝熱的に取り付けられた放熱板5と、LED発光部6を構成する複数のLED素子7を実装し放熱板5の下面に配置する発光基板8と、LED発光部6ごとのレンズ部9を形成し発光基板8の下面に所定間隔を存して重なり合うレンズ板10とを備え、レンズ板10を締め付けることなく発光基板8を放熱板10の下面に取り付ける第1ねじと、頭部とネジ部との間に形成した鍔部がレンズ板10を遊嵌状態で貫通しネジ部が放熱板10に螺合した正規状態において前記所定間隔を維持する状態に頭部がレンズ板10の下面を支える第2ねじを備え、レンズ板10は発光基板8との間にレンズ板10の端部に通じる前記所定間隔が形成する放熱隙間Gが形成される組み合わせである。
【0021】
以下、本発明の実施形態に係わるLED照明器具1について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係わるLED照明器具1の取り付け状態の説明図、
図2は
図1の要部断面部の説明図、
図3は本発明に係わるLED照明器具1の放熱板5に発光基板8とレンズ板10を取り付けた状態を説明する斜視図、
図4は本発明に係わるLED照明器具1の放熱板5、発光基板8及びレンズ板10の取り付け状態を説明する断面図、
図5は本発明に係るLED照明器具の発光基板とレンズ板との間の放熱隙間の状態を説明する断面図である。
【0022】
図1に示すように、本発明に係わるLED照明器具1は、LED照明器具1の本体2から後方へ延出する支持アーム12が、取り付け部13によって屋外のポールや電柱などの支柱14に取付けられ、LED発光部6の発光によって、街路や道路等の路面を照明する。
【0023】
以下、
図2乃至
図4に基づき本発明に係わるLED照明器具1の構成を説明する。
LED照明器具1は、下面開口のアルミニウムなどの金属製本体2と、この本体2の下面開口を塞ぐように組み合わされる透光性グローブ3を備え、前後方向に長い形態をなす。本体2とグローブ3によって形成される前後方向に長い内部空間4に、本体2に伝熱的に取り付けられた放熱板5と、LED発光部6を構成する複数のLED素子7を実装し放熱板5の下面に配置する発光基板8と、LED発光部6ごとのレンズ部9を形成し発光基板8の下面に重なり合うレンズ板10とを備え、レンズ板10を締め付けることなく発光基板8を放熱板5の下面に取り付ける第1ねじN1と、頭部N21がレンズ板10の下面を支えレンズ板10と発光基板8を貫通して放熱板5に螺合する第2ねじN2を備え、レンズ板10と発光基板8との間にレンズ板10の端部に通じる放熱隙間Gが形成される組み合わせである。
【0024】
この構成を更に詳細に説明する。LED照明器具1は、前後方向に長い形態をなし、放熱板5は本体2の内部形状に沿った形状をなし、
図3に示すように、後部に比して前部の幅が小さく前後方向に長い短冊状の平板形態である。発光基板8は前後方向に長い短冊状の平板形態である。LED発光部6は、発光基板8に取り付けたLED素子7を黄色等の蛍光材が混入された透明合成樹脂製封止材6Aによって覆われた構成であり、発光基板8の下面に実装される。発光基板8の左右間の略中心部には、前後方向に延びる軸線JL上に、複数のLED発光部6が所定間隔を存して直線状に配列されている。短冊状とは、前後方向に長い板状であり、前後方向に長い矩形状は勿論のこと、前後方向に長い方形、前後方向に長い四辺形、四隅が直角でなくても前後方向に長い四辺形状、更にこれらに類似の前後方向に長い形状のいずれも含むものである。
【0025】
レンズ板10は、発光基板8と略同じ形態の短冊状の平板形態であり、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のように透明な合成樹脂製である。図示の形態のレンズ板10は、発光基板8と略同じ大きさに形成している。レンズ板10は、その左右間の略中心部を前後方向に延びる軸線JL上に、所定間隔を存して平板部から略ドーム状に盛り上がった複数の透明なレンズ部9を一体形成している。LED照明器具1は、その真下の照明と共に左右方向、即ち、道路の長さ方向への照明が達成できる略長円形状の配光特性を得る構成である。このため、各レンズ部9は、前記前後方向に延びる軸線JL上に、上方に向けて窪み湾曲した凹レンズ部9Bと、その左右両側に下側へ前後方向形状が略球面状に突出した凸レンズ部9Aが連続形成された形態であり、凹レンズ部9Bに対応する裏側中央部に、LED発光部6に対応する収容凹部9Cを形成する。短冊状とは、前後方向に長い板状であり、前後方向に長い矩形状は勿論のこと、前後方向に長い方形、前後方向に長い四辺形、四隅が直角でなくても前後方向に長い四辺形状、更にこれらに類似の前後方向に長い形状のいずれも含むものである。
【0026】
このため、凹レンズ部9Bから真下方向の配光が得られ、左右の凸レンズ部9Aから道路の長さ方向に沿った左右方向の配光が得られ、道路の長さ方向に沿って広範囲の照明が達成できる。この配光を効果的にするために、レンズ板10を成形する金型面のうち、レンズ部9と収容凹部9Cに相当する箇所を除く部分にシボ加工を施すことにより、レンズ部9と収容凹部9Cを除くレンズ板10の上面となる裏側面、及び/又はレンズ板10の下面となる表側面に、シボ加工によって多数の光の拡散面が形成される。これによって、LED発光部6からの光が、レンズ部9以外の部分ではこの拡散面によって拡散され、LED照明器具1の下方向を照射する効果が得られる。
【0027】
下面開口の金属製本体2の周縁部に溝20が形成され、上面開口の透光性グローブ3の周縁部のフランジ3Fが溝20に嵌合する状態で、金属製本体2の下面開口を塞ぐように透光性グローブ3を取り付けている。金属製本体2内の左右側部と後部に、取り付けボス形態の取り付け部21が本体2と一体形成されている。放熱板5は、略短冊状の平板形態であり、アルミニウム等の金属製である。放熱板106の左右側部と後部は、取り付けねじN3によって取り付け部21に取り付けられ固定される。放熱板5のグローブ3側の面、即ち、放熱板5の下面には、LED発光部6を下面に配置した発光基板8と、発光基板8に下面に重なり合うように、LED発光部6を覆うレンズ部9を形成したレンズ板10が取り付けられる。
【0028】
放熱板5の左右間の略中心部を前後方向に延びる軸線JLと、発光基板8の軸線JLが略一致する状態で、発光基板8は、放熱板5の下面に伝熱状態で当接するように、第1ねじN1によって固定状態に取り付けられる。第1ねじN1は、発光基板8の左右縁部の前後の対角位置をそれぞれ一か所で放熱板5に固定している。第1ねじN1はレンズ板10を締め付けることがないように、レンズ板10には、第1ねじN1の頭部N12が遊嵌状態となる孔または切り欠き22を形成している。
【0029】
レンズ板10を発光基板8の下側に支持する第2ねじN2が、第1ねじN1の対角位置と略対称配置に設けられ、この第2ねじN2は、レンズ板10の左右縁部の前後の対角位置となる一か所ずつで放熱板5に所定の状態で螺合する。このため、レンズ板10の軸線JLと発光基板8の軸線JLが略一致する状態で、レンズ板10が発光基板8の下側に配置され、第2ねじN2がレンズ板10の下方側からレンズ板10の左右縁部の前後の対角位置となる一か所ずつで放熱板5に螺合する。
【0030】
図5に示すように、第2ねじN2は、レンズ板10を拘束することのないように、放熱板5に螺合するねじ部N23の直径に比して大径であり、且つ頭部N21の直径に比して小径の円柱状の鍔部N22を形成している。鍔部N22の長さN24はレンズ板10の厚さ10tよりも僅かt1だけ長い。レンズ板10には鍔部N22の直径よりも若干大きい孔23を有し、鍔部N22が遊嵌状態で孔23を貫通する。
【0031】
この構成において、第2ねじN2のねじ部N23が放熱板5に螺合した正規の状態において、第2ねじN2の鍔部N22が発光基板8を押圧しつつ放熱板5の下面に押圧固定する。この固定状態において、鍔部N22はレンズ板10の孔23に遊嵌状態で貫通し、第2ねじN2の頭部N21はレンズ板10を締め付けることなく、頭部N21がレンズ板10の下面を支える状態となる。
【0032】
この状態で、レンズ板10は、発光基板8に対しt1の寸法で離間し、第2ねじN2のねじ部N23が放熱板5のねじ孔に螺合した正規の状態で、
図5に示すように、レンズ板10は、第2ねじN2の頭部N21に受け止め支持され、発光基板8との間に、t1に相当する隙間が形成される。この隙間は、各収容凹部9Cからレンズ板10の左右端部に至り、LED素子7の発光によって生じる発熱の逃げ道となるため、このt1に相当する隙間は放熱隙間Gを形成することとなる。
【0033】
第2ねじN2のねじ部N23が放熱板5のねじ孔に螺合した正規の状態で、発光基板8は、第1ねじN1と第2ねじN2によって、放熱板5の下面に押圧固定される状態となり、発光基板8の放熱板5への取り付けが安定する。発光基板8が放熱板5へ伝熱的に密着することによって、LED発光部6の発熱が、発光基板8から放熱板5へ伝達され、LED発光部6及び発光基板8の放熱が良好となる。
【0034】
このように、レンズ板10を締め付けることなく発光基板8を放熱板5の下面に取り付ける第1ねじN1と、頭部N21がレンズ板10の下面を支えレンズ板10と発光基板8を貫通して放熱板5に螺合する第2ねじN2によって、レンズ板10と発光基板8を放熱板5の下面に保持する。このため、LED照明器具1の正規の取り付け状態において、
図5に示すように、鍔部N22の長さN24とレンズ板10の厚さ10tとの差t1に相当する放熱隙間Gが、レンズ板10と発光基板8との間に形成される。
このように、レンズ板10を第2ねじN2によって支えることによって、発光基板8とレンズ板10との間に放熱隙間Gの形成が容易となり、この放熱隙間Gによって、レンズ板10と発光基板8との間に空気流通通路が形成される。
【0035】
上記の構成によって、LED素子7の発光によって生じる発熱は、その熱が放熱板5に伝達され、取り付け部21を介して金属製本体2へ伝達され、LED照明器具1の周囲へ放熱される。一方、LED素子7の発光によって生じる発熱は、レンズ板10にも伝達されるが、レンズ板10と発光基板8との間には放熱隙間Gが形成されるため、レンズ板10と発光基板8との間に空気対流が生じ、LED素子7の発光によって生じる発熱は、レンズ板10の端部から内部空間4へ放散され、LED素子7の発光によって生じる発熱によってレンズ板10が反ることが抑制される。万一、レンズ板10が若干反る状態になっても、レンズ板10の反りは、第2ねじN2の頭部N21によって制限されるため、レンズ板10の反りを抑制できる。
【0036】
また、レンズ板10は合成樹脂製であるため、金型で成形することによって多少の歪が生じる場合がある。また、照明器具の形態によって、レンズ板10が前後方向に長尺になる場合や、レンズ板10が前後方向と幅方向に長くなる場合がある。このような場合、レンズ板10と発光基板8との間の隙間を略均一に保つことが、所期の放熱効果を達成するためには好ましい。このため、所定の寸法t1の厚さに放熱隙間Gが維持されるために、レンズ板10と発光基板8との間に間隔保持部30を設ける。
【0037】
この間隔保持部30は、レンズ板10と発光基板8との間に介在させた間隔子であってもよいが、その配置位置を保持するためには、レンズ板10と発光基板8のいずれかに一方または両方から突出する突起であればよい。本発明の実施形態では、レンズ板10から発光基板8に向けて突出する間隔保持突起30をレンズ板10に一体成形している。これによって、第2ねじN2のねじ部N23が放熱板5に螺合した正規の状態において、頭部N21がレンズ板10の下面に当接すると共に、間隔保持突起30が発光基板8に当接するため、所期の厚さの放熱隙間Gを形成することができる。
【0038】
所期の放熱隙間Gを形成するためには、鍔部N22の直径に比して孔23の直径は、0.1〜1.0mm位大きく形成し、鍔部N22の長さN24はレンズ板10の厚さ10tよりも0.1〜1.0mm位大きく形成すれば、放熱隙間G=t1は0.1〜1mmとなり、所期の目的を達成できる。この場合の一つの実施形態として、レンズ板10の左右幅が40〜50mmで、前後の長さが130〜150mmの構成とし、発光基板8も同様の大きさとし、レンズ板10の厚さ10t≒2mmとする場合、t1=0.5mmとする構成によって、LED素子7の発光によって生じる発熱の良好な放熱が達成され、レンズ板10の反りが生じない状態が得られた。
【0039】
このように、レンズ板10の反りを抑制できるため、発光部6の発光がレンズ部9によって所期の方向へ照射できることとなり、LED照明器具1による効果ある照明を行うことができることとなる。このため、レンズ板10と発光基板8が前後方向に長い短冊状であっても、
図3に示すように、第1ねじN1と第2ねじN2を対角状で前後位置に配置することにより、少ないねじ数によって、発光基板8の放熱板5への固定が安定し、且つレンズ板10を所期の放熱隙間Gを形成する状態に安定支持できるものとなる。この場合の一つの実施形態として、レンズ板10の左右幅が40〜50mmで、前後の長さが130〜150mmの構成とし、発光基板8も同様の大きさとし、レンズ板10の厚さ10t≒2mmとする場合、
図3に示すように、第1ねじN1と第2ねじN2を対角状で前後位置に1個ずつ配置することにより、発光基板8の放熱板5への固定が安定し、且つ所期の放熱隙間Gを形成する状態にレンズ板10を安定支持できる状態となった。
【0040】
なお、発光基板8の放熱板5への固定が第1ねじN1で安定であれば、発光基板8には孔23と同様に、鍔部N22が遊嵌状態で貫通する孔を形成し、第2ねじN2の鍔部N22が発光基板8を押圧することなく放熱板5に当接する長さに形成することができる。これによって、頭部N21はレンズ板10を締め付けることなく、頭部N21がレンズ板10の下面を支える状態となる。この構成でも、上記同様にレンズ板10と発光基板8との間には放熱隙間Gが形成されるため、レンズ板10と発光基板8との間に空気対流が生じ、LED素子7の発光によって生じる発熱は、レンズ板10の端部から内部空間4へ放散され、本LED照明器具1の周囲へ放熱される。このため、LED素子7の発光によって生じる発熱によってレンズ板10が反ることを抑制できる。
【0041】
図示の形態は、前後方向に延びる軸線JL上に、複数のLED発光部6が所定間隔を存して直線状に配列される構成であるが、これに限定されない。例えば、照明効果アップ等のために、
図3において二本の軸線JLが存在するようにLED発光部6が形成される大きさの発光基板8とレンズ板10の形態とする場合、前後方向に延びる略平行な二本の軸線JL上に、それぞれ複数のLED発光部6が所定間隔を存して直線状に配列され、発光基板8は図示の形態のものの略2倍の表面積をなし、レンズ板10も前後方向に延びる略平行な二本の軸線JL上に、それぞれ複数のLED発光部6を覆うレンズ部9が形成された大きさとなり、
図3の形態のものの略2倍の表面積をなす状態となる。
【0042】
この場合、発光基板8を放熱板5に安定した取り付けとするために、例えば、前部は二本の軸線JLの外側位置となる左右部において、また後部は二本の軸線JLの間の一か所に第1ネジN1を配置し、第2ネジN2は、二本の軸線JLの外側位置となる後部の左右部に配置し、二本の軸線JLの間となる前部の一か所に配置する。また、これに限定されず、できるだけ取り付けが安定する状態で、ネジ数は少ない方法を選択すればよい。
【0043】
また、放熱板5のグローブ3側の反対面、即ち、放熱板5の上面には、LED素子7の発光制御を行うための電力供給回路部25が取り付けられている。電力供給回路部25は、回路部品26が取り付けられた回路基板27を有し、放熱板5の後部領域に対応して配置される。この回路基板27は、放熱板5の左右両側縁部に放熱板5を一部に切り起こし形成した取り付け部28に金属性のねじN4で固定される。これによって、回路基板27は放熱板5と間隔を存した状態となり、回路部品26を放熱板5の熱から遠ざけることができる。 また、ねじN4は、回路基板27のアース部と放熱板5を電気的に接続するため、回路基板27のアースが確保できる取り付けとなる。
【0044】
上記のように、本発明は、LED発光部6を構成する複数のLED素子7を実装した発光基板8と、LED発光部6ごとのレンズ部9を形成したレンズ板10と、LED素子7の発光制御を行うための回路部品26が取り付けられた回路基板27が、放熱板5に対して、LED素子7の発光による発熱の放熱と、この発熱によるレンズ板10の変形の抑制と、回路基板27を前記発熱から遠ざけると共に回路基板27のアースが確保できる取り付け技術を提供できることとなる。
【0045】
図6に示す先行技術のように、ねじによってレンズ板10と発光基板8を放熱板5に密着固定する方式では、少なくともレンズ板10と発光基板8のいずれか一方に、各収容凹部9Cからレンズ板10の左右端部に至るような放熱溝を窪み形成する方法も考えられる。この場合、この放熱溝は、LED発光部6が発する発熱を十分に行うためには、十分大きな溝幅や深さに形成する必要があるが、レンズ板10が反らないようにするためには、この放熱溝の形態が制限される。また、この放熱溝によってLED発光部6が発する光が拡散し、LED発光部6による所期の好ましい配光特性が得られない場合がある。これに対して本発明では、このような放熱溝を形成することなく、平板状のレンズ板10と発光基板8によって所期の配光特性を得ることができる点で望ましい。
【0046】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、本発明の範囲における種種の変更を包含するものであり、LED照明器具の形態も上記に限定されることなく、種種の形態のLED照明器具に適用可能である。
【0047】
次に、LED照明器具1において、LED素子7の発光による眩しさ(グレア)を制限するための好ましい手段を
図8に基づき説明する。
図8は、LED照明器具1において、LED素子7からの発光の眩しさ制限手段を設けた要部断面部の説明図であり、
図8に示すLED照明器具1は、上記
図1乃至
図5に記したものと同様の構成をなす。このため、各符号は上記
図1乃至
図5に記したものと同様である。
【0048】
図8に示すLED照明器具1は、上記
図1乃至
図5に記したものと同様の構成をなし、LED照明器具本体は、下面開口のアルミニウムなどの金属製本体2で構成され、光不透過性である。そして、この本体2の下面開口を塞ぐように組み合わされる透光性グローブ3を備え、前後方向に長い形態をなす。下面開口の金属製本体2の周縁部に下向き開口の溝20が形成され、上面開口の透光性グローブ3の周縁部のフランジ3Fが溝20に嵌合する状態で、金属製本体2の下面開口を塞ぐように透光性グローブ3を取り付けている。
【0049】
図2の構成と異なるところは、LED素子7の発光による眩しさを制限するために、LED素子7を含むLED発光部6からの出射光のうち、道路方向となる左右側方への出射光を所定の角度範囲に制限するものである。以下、具体的構成を説明する。発光基板8のLED発光部6を実装した面、即ち、発光基板8の下側面が、本体2の下端開口端部2Tのレベルに近接した本体2内の位置であって、本体2の下端開口端部2Tのレベルよりも若干上方位置となるように、発光基板8が本体2に取り付けられる。実施形態では、発光基板8は、取り付け部21に取り付けられた放熱板5の下側面に、第一ネジN1、または第一ネジN1と第二ネジN2によって伝熱的に取り付けられている。
【0050】
具体的には、LED発光部6の光出射面の中心が、本体2の下端開口端部2Tのレベルよりも5度以内となるように、発光基板8が本体2に取り付けられる。即ち、
図8に示すように、LED発光部6の光出射面の中心と本体2の下端開口端部2Tとを結ぶラインSLと、本体2の下端開口端部2Tのうち左右の下端開口端部2Tを結ぶラインと平行なLED発光部6の光出射面の中心を通るラインHLとの間の角度が、5度以内となるように、発光基板8が本体2内に取り付けられる。このため、LED発光部6からの出射光のうち、LED発光部6の光出射面の中心をLED照明器具1の上下方向に通る光軸VLに対して、それぞれ左右の角度が85度のラインSL以上の範囲の出射光を遮るように、即ち、LED発光部6の光軸VLに対して、左右の角度が85度以上に照射される出射光を遮るように、発光基板8が本体2内に取り付けられ、本体2の下端開口端部2TとLED発光素子7の配置関係が制限されている。
【0051】
これによって、LED発光部6から左右方向へ出射される光のうち、LED発光部6の光出射面の中心光軸VLに対する左右85度以上の出射光が、本体2の下端開口端部2Tによって遮られることとなり、この85度以上の出射光による眩しさ(グレア)が制限される。このため、左右85度以上に出射される光の制限によって、道路の長さ方向である左右方向へ出射される光による円方向への照射距離の長い配光が得られることとなり、路面の照射効率が向上する。
【0052】
このように、LED発光部6から出射される光であって、道路の長さ方向である左右方向へ出射される光のうち、所定角度範囲以上の出射光を遮って、歩行者への眩しさ(グレア)を制限する技術として、特別な遮光部材をLED照明器具1内に取り付けることなく、本体2に対する発光基板8の取り付け位置によってそれが達成できることとなり、部品点数の削減、組み立て工数の削減等によって、低コスト化が達成でき、また照射効率のよいLED照明器具1を提供できることとなる。
【0053】
このような眩しさ(グレア)を制限するためには、上記
図1乃至
図5に示す構成に限定されず、例えば、
図6に示すように、ねじによってレンズ板10と発光基板8を放熱板5に密着固定する方式であっても、LED発光部6の光出射面の中心光軸VLに対する左右角が85度以上の出射光が、本体2の下端開口端部2Tによって遮られる構成とすることによって、所期の目的を達成できる。このため、発明の範囲内における種種の変更が可能であり、LED照明器具の形態も上記に限定されることなく、種種の形態のLED照明器具に適用可能である。