(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)1枚のグリーンシート又は積層された複数のグリーンシートを有し、第1開口及び該第1開口とは反対側の第2開口を有するスルーホールが形成されたグリーン構造体を用意する工程と、
(b)前記スルーホールの内周面を絶縁性ペーストで被覆して未焼成絶縁層を形成する工程であって、前記スルーホールの中心軸に沿った断面視で、前記中心軸に垂直な方向を高さ方向とし、前記スルーホール内の前記軸方向の中央から前記第1開口側を第1領域,前記第2開口側を第2領域とし、前記第1領域内の前記未焼成絶縁層と前記中心軸との前記高さ方向の最短距離を距離D1とし、前記第2領域内の前記未焼成絶縁層と前記中心軸との前記高さ方向の最短距離を距離D2としたときに、距離D1<距離D2となるように前記被覆を行う工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記スルーホール内に前記第1開口側から導電性ペーストを充填して未焼成導電体を形成する工程と、
(d)前記工程(c)の後、前記グリーン構造体を焼成して、前記未焼成絶縁層が絶縁層となり前記未焼成導電体が導電体となった構造体を有するセンサ素子を得る工程と、
を含むセンサ素子の製造方法。
前記工程(b)では、前記絶縁性ペーストを前記第1開口側から前記内周面に流入させる第1処理と、前記絶縁性ペーストを前記第2開口側から前記内周面に流入させる第2処理と、をそれぞれ1回以上行い、且つ前記第2処理では前記第1処理と比べて粘度の高い前記絶縁性ペーストを用いる、
請求項1に記載のセンサ素子の製造方法。
前記工程(b)では、前記スルーホール内を前記第2開口側から吸引しつつ前記絶縁性ペーストを前記第1開口側から前記内周面に流入させる第1処理と、前記スルーホール内を前記第1開口側から吸引しつつ前記絶縁性ペーストを前記第2開口側から前記内周面に流入させる第2処理と、をそれぞれ1回以上行い、且つ前記第2処理では前記第1処理と比べて前記吸引の力を弱くする、
請求項1又は2に記載のセンサ素子の製造方法。
前記工程(b)では、前記絶縁性ペーストを前記第1開口側から前記内周面に流入させる第1処理を0回以上行い、前記絶縁性ペーストを前記第2開口側から前記内周面に流入させる第2処理を1回以上行い、且つ該第2処理で前記内周面を被覆する絶縁性ペーストの総量を該第1処理で前記内周面を被覆する絶縁性ペーストの総量よりも多くする、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサ素子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるガスセンサ100の縦断面図である。
図2は、センサ素子101の断面模式図である。
図3は、センサ素子101のスルーホール73周辺の拡大断面模式図である。なお、センサ素子101は長尺な直方体形状をしており、このセンサ素子101の長手方向(
図2の左右方向)を前後方向とし、センサ素子101の厚み方向(
図2の上下方向)を上下方向とする。また、センサ素子101の幅方向(前後方向及び上下方向に垂直な方向)を左右方向とする。また、
図1に示したようなガスセンサ100の構造は公知であり、例えば特開2012−210637号公報に記載されている。
【0020】
ガスセンサ100は、センサ素子101と、センサ素子101の長手方向の一端側である前端側(
図1の下端側)を覆って保護する保護カバー110と、センサ素子101を封入固定する素子封止体120(本発明の固定部に相当)と、素子封止体120に取り付けられたナット130と、を備えている。このガスセンサ100は、図示するように例えば車両の排ガス管などの配管140に取り付けられて、被測定ガスとしての排気ガスに含まれるNOxやO
2等の特定ガスの濃度を測定するために用いられる。本実施形態では、ガスセンサ100は特定ガス濃度としてNOx濃度を測定するものとした。
【0021】
保護カバー110は、センサ素子101の一端を覆う有底筒状の内側保護カバー111と、この内側保護カバー111を覆う有底筒状の外側保護カバー112とを備えている。内側保護カバー111及び外側保護カバー112には、被測定ガスを保護カバー110内に流通させるための複数の孔が形成されている。センサ素子101の一端は、内側保護カバー111で囲まれた空間内に配置されている。
【0022】
素子封止体120は、円筒状の主体金具122と、主体金具122の内側の貫通孔内に封入されたセラミックス製のサポーター124と、主体金具122の内側の貫通孔内に封入されタルクなどのセラミックス粉末を成形した圧粉体126と、を備えている。センサ素子101は素子封止体120の中心軸上に位置しており、素子封止体120を前後方向に貫通している。圧粉体126は主体金具122とセンサ素子101との間で圧縮されている。これにより、圧粉体126が主体金具122内の貫通孔を封止すると共にセンサ素子101を固定している。
【0023】
ナット130は、主体金具122と同軸に固定されており、外周面に雄ネジ部が形成されている。ナット130の雄ネジ部は、配管140に溶接され内周面に雌ネジ部が設けられた取付用部材141内に挿入されている。これにより、ガスセンサ100は、センサ素子101の一端や保護カバー1100の部分が配管140内に突出した状態で、配管140に固定できるようになっている。
【0024】
図2に示すように、センサ素子101は、それぞれがジルコニア(ZrO
2)等の酸素イオン伝導性固体電解質層からなる第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6との6つの層が、図面視で下側からこの順に積層された構造を有する素子である。また、これら6つの層を形成する固体電解質は緻密な気密のものである。係るセンサ素子101は、例えば、各層に対応するセラミックスグリーンシートに所定の加工および回路パターンの印刷などを行った後にそれらを積層し、さらに、焼成して一体化させることによって製造される。
【0025】
センサ素子101の一先端部(前方向の端部)であって、第2固体電解質層6の下面と第1固体電解質層4の上面との間には、ガス導入口10と、第1拡散律速部11と、緩衝空間12と、第2拡散律速部13と、第1内部空所20と、第3拡散律速部30と、第2内部空所40とが、この順に連通する態様にて隣接形成されてなる。
【0026】
ガス導入口10と、緩衝空間12と、第1内部空所20と、第2内部空所40とは、スペーサ層5をくり抜いた態様にて設けられた上部を第2固体電解質層6の下面で、下部を第1固体電解質層4の上面で、側部をスペーサ層5の側面で区画されたセンサ素子101内部の空間である。
【0027】
第1拡散律速部11と、第2拡散律速部13と、第3拡散律速部30とはいずれも、2本の横長の(図面に垂直な方向に開口が長手方向を有する)スリットとして設けられる。なお、ガス導入口10から第2内部空所40に至る部位をガス流通部とも称する。
【0028】
また、ガス流通部よりも先端側から遠い位置には、第3基板層3の上面と、スペーサ層5の下面との間であって、側部を第1固体電解質層4の側面で区画される位置に基準ガス導入空間43が設けられている。基準ガス導入空間43には、NOx濃度の測定を行う際の基準ガスとして、例えば大気が導入される。
【0029】
大気導入層48は、多孔質セラミックスからなる層であって、大気導入層48には基準ガス導入空間43を通じて基準ガスが導入されるようになっている。また、大気導入層48は、基準電極42を被覆するように形成されている。
【0030】
基準電極42は、第3基板層3の上面と第1固体電解質層4とに挟まれる態様にて形成される電極であり、上述のように、その周囲には、基準ガス導入空間43につながる大気導入層48が設けられている。また、後述するように、基準電極42を用いて第1内部空所20内や第2内部空所40内の酸素濃度(酸素分圧)を測定することが可能となっている。
【0031】
ガス流通部において、ガス導入口10は、外部空間に対して開口してなる部位であり、該ガス導入口10を通じて外部空間からセンサ素子101内に被測定ガスが取り込まれるようになっている。第1拡散律速部11は、ガス導入口10から取り込まれた被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。緩衝空間12は、第1拡散律速部11より導入された被測定ガスを第2拡散律速部13へと導くために設けられた空間である。第2拡散律速部13は、緩衝空間12から第1内部空所20に導入される被測定ガスに対して、所定の拡散抵抗を付与する部位である。被測定ガスが、センサ素子101外部から第1内部空所20内まで導入されるにあたって、外部空間における被測定ガスの圧力変動(被測定ガスが自動車の排気ガスの場合であれば排気圧の脈動)によってガス導入口10からセンサ素子101内部に急激に取り込まれた被測定ガスは、直接第1内部空所20へ導入されるのではなく、第1拡散律速部11、緩衝空間12、第2拡散律速部13を通じて被測定ガスの濃度変動が打ち消された後、第1内部空所20へ導入されるようになっている。これによって、第1内部空所20へ導入される被測定ガスの濃度変動はほとんど無視できる程度のものとなる。第1内部空所20は、第2拡散律速部13を通じて導入された被測定ガス中の酸素分圧を調整するための空間として設けられている。係る酸素分圧は、主ポンプセル21が作動することによって調整される。
【0032】
主ポンプセル21は、第1内部空所20に面する第2固体電解質層6の下面のほぼ全面に設けられた天井電極部22aを有する内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6の上面の天井電極部22aと対応する領域に外部空間に露出する態様にて設けられた外側ポンプ電極23と、これらの電極に挟まれた第2固体電解質層6とによって構成されてなる電気化学的ポンプセルである。
【0033】
内側ポンプ電極22は、第1内部空所20を区画する上下の固体電解質層(第2固体電解質層6および第1固体電解質層4)、および、側壁を与えるスペーサ層5にまたがって形成されている。具体的には、第1内部空所20の天井面を与える第2固体電解質層6の下面には天井電極部22aが形成され、また、底面を与える第1固体電解質層4の上面には底部電極部22bが形成され、そして、それら天井電極部22aと底部電極部22bとを接続するように、側部電極部(図示省略)が第1内部空所20の両側壁部を構成するスペーサ層5の側壁面(内面)に形成されて、該側部電極部の配設部位においてトンネル形態とされた構造において配設されている。
【0034】
内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23とは、多孔質サーメット電極(例えば、Auを1%含むPtとZrO
2とのサーメット電極)として形成される。なお、被測定ガスに接触する内側ポンプ電極22は、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0035】
主ポンプセル21においては、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に所望のポンプ電圧Vp0を印加して、内側ポンプ電極22と外側ポンプ電極23との間に正方向あるいは負方向にポンプ電流Ip0を流すことにより、第1内部空所20内の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間の酸素を第1内部空所20に汲み入れることが可能となっている。
【0036】
また、第1内部空所20における雰囲気中の酸素濃度(酸素分圧)を検出するために、内側ポンプ電極22と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、基準電極42によって、電気化学的なセンサセル、すなわち、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80が構成されている。
【0037】
主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80における起電力V0を測定することで第1内部空所20内の酸素濃度(酸素分圧)がわかるようになっている。さらに、起電力V0が一定となるように可変電源25のポンプ電圧Vp0をフィードバック制御することでポンプ電流Ip0が制御されている。これによって、第1内部空所内20内の酸素濃度は所定の一定値に保つことができる。
【0038】
第3拡散律速部30は、第1内部空所20で主ポンプセル21の動作により酸素濃度(酸素分圧)が制御された被測定ガスに所定の拡散抵抗を付与して、該被測定ガスを第2内部空所40に導く部位である。
【0039】
第2内部空所40は、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガス中の窒素酸化物(NOx)濃度の測定に係る処理を行うための空間として設けられている。NOx濃度の測定は、主として、補助ポンプセル50により酸素濃度が調整された第2内部空所40において、さらに、測定用ポンプセル41の動作によりNOx濃度が測定される。
【0040】
第2内部空所40では、あらかじめ第1内部空所20において酸素濃度(酸素分圧)が調整された後、第3拡散律速部30を通じて導入された被測定ガスに対して、さらに補助ポンプセル50による酸素分圧の調整が行われるようになっている。これにより、第2内部空所40内の酸素濃度を高精度に一定に保つことができるため、係るガスセンサ100においては精度の高いNOx濃度測定が可能となる。
【0041】
補助ポンプセル50は、第2内部空所40に面する第2固体電解質層6の下面の略全体に設けられた天井電極部51aを有する補助ポンプ電極51と、外側ポンプ電極23(外側ポンプ電極23に限られるものではなく、センサ素子101と外側の適当な電極であれば足りる)と、第2固体電解質層6とによって構成される、補助的な電気化学的ポンプセルである。
【0042】
係る補助ポンプ電極51は、先の第1内部空所20内に設けられた内側ポンプ電極22と同様なトンネル形態とされた構造において、第2内部空所40内に配設されている。つまり、第2内部空所40の天井面を与える第2固体電解質層6に対して天井電極部51aが形成され、また、第2内部空所40の底面を与える第2固体電解質層4には、底部電極部51bが形成され、そして、それらの天井電極部51aと底部電極部51bとを連結する側部電極部(図示省略)が、第2内部空所40の側壁を与えるスペーサ層5の両壁面にそれぞれ形成されたトンネル形態の構造となっている。なお、補助ポンプ電極51についても、内側ポンプ電極22と同様に、被測定ガス中のNOx成分に対する還元能力を弱めた材料を用いて形成される。
【0043】
補助ポンプセル50においては、補助ポンプ電極51と外側ポンプ電極23との間に所望の電圧Vp1を印加することにより、第2内部空所40内の雰囲気中の酸素を外部空間に汲み出し、あるいは、外部空間から第2内部空所40内に汲み入れることが可能となっている。
【0044】
また、第2内部空所40内における雰囲気中の酸素分圧を制御するために、補助ポンプ電極51と、基準電極42と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81が構成されている。
【0045】
なお、この補助ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル81にて検出される起電力V1に基づいて電圧制御される可変電源52にて、補助ポンプセル50がポンピングを行う。これにより第2内部空所40内の雰囲気中の酸素分圧は、NOxの測定に実質的に影響がない低い分圧にまで制御されるようになっている。
【0046】
また、これとともに、そのポンプ電流Ip1が、主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80の起電力の制御に用いられるようになっている。具体的には、ポンプ電流Ip1は、制御信号として主ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル80に入力され、その起電力V0が制御されることにより、第3拡散律速部30から第2内部空所40内に導入される被測定ガス中の酸素分圧の勾配が常に一定となるように制御されている。NOxセンサとして使用する際は、主ポンプセル21と補助ポンプセル50との働きによって、第2内部空所40内での酸素濃度は約0.001ppm程度の一定の値に保たれる。
【0047】
測定用ポンプセル41は、第2内部空所40内において、被測定ガス中のNOx濃度の測定を行う。測定用ポンプセル41は、第2内部空所40に面する第1固体電解質層4の上面であって第3拡散律速部30から離間した位置に設けられた測定電極44と、外側ポンプ電極23と、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4とによって構成された電気化学的ポンプセルである。
【0048】
測定電極44は、多孔質サーメット電極である。測定電極44は、第2内部空所40内の雰囲気中に存在するNOxを還元するNOx還元触媒としても機能する。さらに、測定電極44は、第4拡散律速部45によって被覆されてなる。
【0049】
第4拡散律速部45は、セラミックス多孔体にて構成される膜である。第4拡散律速部45は、測定電極44に流入するNOxの量を制限する役割を担うとともに、測定電極44の保護膜としても機能する。測定用ポンプセル41においては、測定電極44の周囲の雰囲気中における窒素酸化物の分解によって生じた酸素を汲み出して、その発生量をポンプ電流Ip2として検出することができる。
【0050】
また、測定電極44の周囲の酸素分圧を検出するために、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、測定電極44と、基準電極42とによって電気化学的なセンサセル、すなわち、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82が構成されている。測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された起電力V2に基づいて可変電源46が制御される。
【0051】
第2内部空所40内に導かれた被測定ガスは、酸素分圧が制御された状況下で第4拡散律速部45を通じて測定電極44に到達することとなる。測定電極44の周囲の被測定ガス中の窒素酸化物は還元されて(2NO→N
2+O
2)酸素を発生する。そして、この発生した酸素は測定用ポンプセル41によってポンピングされることとなるが、その際、測定用ポンプ制御用酸素分圧検出センサセル82にて検出された制御電圧V2が一定となるように可変電源46の電圧Vp2が制御される。測定電極44の周囲において発生する酸素の量は、被測定ガス中の窒素酸化物の濃度に比例するものであるから、測定用ポンプセル41におけるポンプ電流Ip2を用いて被測定ガス中の窒素酸化物濃度が算出されることとなる。
【0052】
また、測定電極44と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と基準電極42を組み合わせて、電気化学的センサセルとして酸素分圧検出手段を構成するようにすれば、測定電極44の周りの雰囲気中のNOx成分の還元によって発生した酸素の量と基準大気に含まれる酸素の量との差に応じた起電力を検出することができ、これによって被測定ガス中のNOx成分の濃度を求めることも可能である。
【0053】
また、第2固体電解質層6と、スペーサ層5と、第1固体電解質層4と、第3基板層3と、外側ポンプ電極23と、基準電極42とから電気化学的なセンサセル83が構成されており、このセンサセル83によって得られる起電力Vrefによりセンサ外部の被測定ガス中の酸素分圧を検出可能となっている。
【0054】
このような構成を有するガスセンサ100においては、主ポンプセル21と補助ポンプセル50とを作動させることによって酸素分圧が常に一定の低い値(NOxの測定に実質的に影響がない値)に保たれた被測定ガスが測定用ポンプセル41に与えられる。したがって、被測定ガス中のNOxの濃度に略比例して、NOxの還元によって発生する酸素が測定用ポンプセル41より汲み出されることによって流れるポンプ電流Ip2に基づいて、被測定ガス中のNOx濃度を知ることができるようになっている。
【0055】
さらに、センサ素子101は、固体電解質の酸素イオン伝導性を高めるために、センサ素子101を加熱して保温する温度調整の役割を担うヒータ部70を備えている。ヒータ部70は、ヒータコネクタ電極71と、ヒータ72と、ヒータ用リード線76と、スルーホール73と、ホール内絶縁層96(本発明の絶縁層に相当)と、ホール内導電体97(本発明の導電体に相当)と、ヒータ絶縁層74と、下部絶縁層69と、圧力放散孔75と、を備えている。
【0056】
ヒータ72は、第2基板層2と第3基板層3とに上下から挟まれた態様にて形成される電気抵抗体である。スルーホール73は、第1基板層1及び第2基板層2を上下に貫通する貫通孔である。特にこれに限定するものではないが、スルーホール73の内径は例えば0.3mm〜0.8mmである。ホール内導電体97は、スルーホール73内に充填された導電体である。ヒータコネクタ電極71は、第1基板層1の下面に配設された下部絶縁層69の下面に配設された電極である。下部絶縁層69は、第1基板層1とヒータコネクタ電極71とを絶縁している。ヒータ72は、ヒータ用リード線76及びホール内導電体97を介して、ヒータコネクタ電極71と接続されている。ヒータ72は、ヒータコネクタ電極71を通して外部より給電されることにより発熱し、センサ素子101を形成する固体電解質の加熱と保温を行う。ホール内導電体97は、例えば、白金等の貴金属又はタングステン、モリブデン等の高融点金属などの材質からなる。
【0057】
また、ヒータ72は、第1内部空所20から第2内部空所40の全域に渡って埋設されており、センサ素子101全体を上記固体電解質が活性化する温度に調整することが可能となっている。
【0058】
ヒータ絶縁層74は、ヒータ72の上下面に、アルミナ等の絶縁体によって形成されてなる絶縁層である。ヒータ絶縁層74は、第2基板層2とヒータ72との間の電気的絶縁性、および、第3基板層3とヒータ72との間の電気的絶縁性を得る目的で形成されている。
【0059】
圧力放散孔75は、第3基板層3を貫通し、基準ガス導入空間43に連通するように設けられてなる部位であり、ヒータ絶縁層74内の温度上昇に伴う内圧上昇を緩和する目的で形成されてなる。
【0060】
ホール内絶縁層96は、スルーホール73の内周面を被覆し、内周面とホール内導電体97との間に配設されている。ホール内導電体97は、スルーホール73の内周面を被覆するホール内絶縁層96で囲まれており、ホール内導電体97とスルーホール73の内周面とがホール内絶縁層96によって絶縁されている。ホール内絶縁層96及び下部絶縁層69は、ヒータ絶縁層74と同様に、アルミナ等の絶縁体によって形成されている。特にこれに限定するものではないが、ホール内絶縁層96の厚さは例えば10μm〜30μmである。
【0061】
なお、センサ素子101のうち第1基板層1と、第2基板層2と、ホール内絶縁層96と、ホール内導電体97と、を含む部分を、構造体105と称する(
図2,3参照)。
【0062】
ここで、ホール内絶縁層96とホール内導電体97との境界の形状(
図3参照)について説明する。
図4は、距離D4の説明図である。
図4では、説明の便宜上、ホール内絶縁層96とホール内導電体97との境界の起伏を極端な形状にして示している。
図4に示すように、スルーホール73の中心軸73cに沿った断面視で、中心軸73cに垂直な方向(
図4の左右方向)を高さ方向としたときに、ホール内絶縁層96の高さ方向の最高点と最低点との差を差D4と定義する。この差D4が小さいほど、ホール内絶縁層96とホール内導電体97との境界が平坦な形状であることを意味する。この距離D4の値は0μm以上5.0μm未満であることが好ましく、3.0μm以下であることがより好ましい。なお、距離D4の値は、センサ素子101を中心軸73cに沿って切断し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察して得られた画像(SEM画像)を用いて測定する。
【0063】
次に、こうしたガスセンサ100の製造方法について説明する。最初に、センサ素子101を製造する方法について説明する。まず、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質をセラミックス成分として含む6枚の未焼成のセラミックスグリーンシートを用意する。このグリーンシートには、印刷時や積層時の位置決めに用いるシート穴や必要なスルーホール等を予め複数形成しておく。そして、第1基板層1と、第2基板層2と、第3基板層3と、第1固体電解質層4と、スペーサ層5と、第2固体電解質層6のそれぞれに対応して、各セラミックスグリーンシートに種々のパターンを形成するパターン印刷・乾燥処理を行う。形成するパターンは、具体的には、例えば上述した各電極や各絶縁層、ヒータ部70などのパターンである。パターン印刷は、それぞれの形成対象に要求される特性に応じて用意したパターン形成用ペーストを、公知のスクリーン印刷技術を利用してグリーンシート上に塗布することにより行う。なお、このときにホール内絶縁層96となる未焼成絶縁層96の形成や、ホール内導電体97となる未焼成導電体97の形成を行うが、これについては後述する。乾燥処理についても、公知の乾燥手段を用いて行う。パターン印刷・乾燥が終わると、各層に対応するグリーンシート同士を積層・接着するための接着用ペーストの印刷・乾燥処理を行う。そして、接着用ペーストを形成したグリーンシートをシート穴により位置決めしつつ所定の順序に積層して、所定の温度・圧力条件を加えることで圧着させ、一つの積層体とする圧着処理を行う。こうして得られた積層体は、複数個のセンサ素子101を包含したものである。その積層体を切断してセンサ素子101の大きさに切り分ける。そして、切り分けた積層体を所定の焼成温度で焼成し、センサ素子101を得る。
【0064】
ここで、上述したセンサ素子101の製造方法のうち、特にホール内絶縁層96及びホール内導電体97の形成に関する工程(a)〜(d)について詳細に説明する。
図5は、未焼成絶縁層96c及び未焼成導電体97aを形成する様子を示す説明図である。
【0065】
まず、工程(a)では、
図5(a)に示すように、複数のグリーンシート1a,2aを有し、第1開口73a及び第1開口73aとは反対側の第2開口73bを有するスルーホール73が形成されたグリーン構造体105aを用意する。工程(a)では、予め作製されたグリーン構造体105aを用意してもよいし、グリーン構造体105aを作製することで用意してもよい。グリーン構造体105aを作製する場合には、まず、焼成後に第1基板層1,第2基板層2となる2枚のグリーンシート1a,2a(上述した6枚のセラミックスグリーンシートのうちの2枚)を用意する。続いて、例えばプレス機のパンチを用いた打ち抜き処理により、スルーホール73となる貫通孔をグリーンシート1a,2aのそれぞれに形成する。次に、グリーンシート1a,2aを接着層を介して厚さ方向に接合する。これにより、スルーホール73が形成されたグリーン構造体105aが得られる。なお、本実施形態では、スルーホール73のグリーンシート1a側(
図5の下側)の開口を第1開口73aとし、スルーホール73のグリーンシート2a側(
図5の上側)の開口を第2開口73bとする。また、スルーホール73は、グリーンシート1a,2aを接合してから形成してもよい。
【0066】
続いて、工程(b)では、スルーホール73の内周面を絶縁性ペーストで被覆して未焼成絶縁層96cを形成する。本実施形態では、スルーホール73の内周面に絶縁性ペーストを塗布する処理を2回行うことで、未焼成絶縁層96cを形成する。まず、
図5(b)に示すように、絶縁性ペースト96aを第1開口73a側からスルーホール73の内周面に流入させる処理(第1処理と称する)を行う。なお、
図5(b)の白抜き矢印は、絶縁性ペースト96aの流入方向を示している。この第1処理では、まず、グリーン構造体105aの下面の第1開口73a付近に絶縁性ペースト96aを供給する。続いて、第2開口73b側の空間を負圧にすることで、スルーホール73内を第2開口73b側から吸引しつつ絶縁性ペースト96aを第1開口73a側からスルーホール73の内周面に流入させる。これにより、スルーホール73の内周面には絶縁性ペースト96aが塗布される。なお、第1処理では、グリーンシート1aの下面に絶縁性ペースト96aが付着しないように、グリーンシート1aの下面のうち第1開口73a以外の部分をマスクしておいてもよい。この場合、マスク上に絶縁性ペースト96aを供給すればよい。
【0067】
続いて、
図5(c)に示すように、絶縁性ペースト96bを第2開口73b側からスルーホール73の内周面に流入させる処理(第2処理と称する)を行う。なお、
図5(c)の白抜き矢印は、絶縁性ペースト96bの流入方向を示している。この第2処理では、まず、グリーン構造体105aの上面の第2開口73b付近に絶縁性ペースト96bを供給する。続いて、第1開口73a側の空間を負圧にすることで、スルーホール73内を第1開口73a側から吸引しつつ絶縁性ペースト96bを第2開口73a側からスルーホール73の内周面に流入させる。これにより、スルーホール73の内周面には絶縁性ペースト96aに重なるように絶縁性ペースト96bが塗布され、絶縁性ペースト96a,96bを備えた未焼成絶縁層96cが形成される。なお、第1処理と同様に、第2処理ではグリーンシート2aの上面のうち第2開口73b以外の部分をマスクしておいてもよい。
【0068】
工程(b)では、このようにして未焼成絶縁層96cを形成するにあたり、距離D1<距離D2となるように絶縁性ペースト96a,96bによるスルーホール73の内周面の被覆を行う。以下、距離D1及び距離D2について説明する。
図5(c)に示すように、スルーホール73の中心軸73cに沿った断面視で、中心軸73cに垂直な方向(
図5の左右方向)を高さ方向とし、スルーホール73内の軸方向73cの中央から第1開口73a側を第1領域73d,第2開口73b側を第2領域73eとする。そして、第1領域73d内の未焼成絶縁層96cと中心軸73cとの高さ方向の最短距離を距離D1とする。また、第2領域73e内の未焼成絶縁層96cと中心軸73cとの高さ方向の最短距離を距離D2とする。
図5(c)からもわかるように、距離D1は、第1領域73d内の未焼成絶縁層96cの最も盛り上がった部分の高さが高いほど(中心軸73cに近いほど)、小さい値となる。同様に、距離D2は、第2領域73e内の未焼成絶縁層96cの最も盛り上がった部分の高さが高いほど(中心軸73cに近いほど)、小さい値となる。
図5(c)では、第1領域73d内の未焼成絶縁層96cが第2領域73e内の未焼成絶縁層96cと比べてスルーホール73の径方向内側に盛り上がった盛り上がり部を有しており、距離D1<距離D2となっている。なお、距離D1,距離D2の値は、工程(b)を行った後のグリーン構造体105を中心軸73cに沿って切断し、距離D4と同様に断面のSEM画像を用いて測定した値とする。
【0069】
なお、工程(b)で距離D1<距離D2となるよう未焼成絶縁層96cを形成する方法としては、例えば、第2処理において第1処理と比べて粘度の高い絶縁性ペーストを用いることが挙げられる。ここで、第1処理を行う場合は絶縁性ペースト96aは第2領域73e側が盛り上がりやすく(
図5(b)参照)、第2処理を行う場合は絶縁性ペースト96bは第1領域73d側が盛り上がりやすい(
図5(c)参照)。そして、第1処理と比べて第2処理で粘度の高い絶縁性ペーストを用いることで、第1領域73dの未焼成絶縁層96cの盛り上がり部の高さが高くなりやすくなる。なお、絶縁性ペーストは、例えば常温時の粘度を10[Pa・s]〜70[Pa・s]の範囲内で調整してもよい。また、第1処理及び第2処理を行う際には、吸引の力が強すぎると、スルーホール内を通過してしまう絶縁性ペーストの量が多くなり、盛り上がり部の高さが低くなる場合がある。そのため、第2処理では第1処理と比べて吸引の力を弱くしてもよい。なお、例えば吸引する側の空間の気圧を0.2MPa〜0.8MPaの範囲内で調整することで、吸引の力を調整してもよい。また、第1処理及び第2処理を行う際には、スルーホール73内に流入して内周面を被覆する絶縁性ペーストの量が多いほど、盛り上がり部の高さが高くなりやすい。そのため、第2処理でスルーホール73の内周面を被覆する絶縁性ペースト96bの量を、第1処理でスルーホール73の内周面を被覆する絶縁性ペースト96aの量よりも多くしてもよい。このように、絶縁性ペーストの粘度,吸引の力,絶縁性ペーストの量の少なくとも1以上を第1処理と第2処理とで異ならせることで、距離D1<距離D2を満たす未焼成絶縁層96cを比較的容易に形成できる。
【0070】
なお、工程(b)では、距離D1<距離D2すなわち距離D3(=距離D2−距離D1)>0となるように未焼成絶縁層96cを形成すればよいが、距離D3≧3.0μmとなるように未焼成絶縁層96cを形成することがより好ましい。なお、距離D3の上限は、ホール内絶縁層96の絶縁性能やホール内導電体97による導通が十分になるような値として、スルーホール73の径,形成するホール内導電体97の径(太さ),形成するホール内絶縁層96の厚さなどに基づいて定まる。距離D3は5.0μm以下としてもよい。また、第1領域73d内の未焼成絶縁層96cのうち中心軸73cに最も近い部分である最接近部96d(
図5(c)では第1領域73d内の未焼成絶縁層96cの盛り上がり部の頂点)は、第1領域73dの軸方向の中央から第1開口73aまでの領域(スルーホール73内の軸方向で第1開口73aに近い1/4の領域)に位置することが好ましい。
【0071】
工程(c)では、工程(b)の後、スルーホール73内に第1開口73a側から導電性ペーストを充填して未焼成導電体97aを形成する(
図5(d))。なお、
図5(d)の白抜き矢印は、導電性ペーストの充填方向を示している。導電性ペーストは、例えば常温時の粘度が4000[Pa・s]〜8000[Pa・s]の範囲内となるように調整してもよい。この工程(c)は、例えば以下のように行う。まず、貫通孔を有する図示しないメタルマスクを用意する。続いて、メタルマスクの貫通孔とスルーホール73の第1開口73aとを位置合わせして両者を固定する。次に、メタルマスク上の貫通孔付近に導電性ペーストを供給し、スキージを例えば前後方向に移動させることで、メタルマスク上に供給された導電性ペーストをスルーホール73内に流入させて充填し、未焼成導電体97aとする。なお、その後に積層プレス機によりグリーン構造体105aを上下方向から均等に押圧して、スルーホール73内の導電性ペースト(未焼成導電体97a)の充填をより確実にしてもよい。
【0072】
ここで、工程(c)で第1開口73a側から導電性ペーストを充填する際には、第2領域73eと比べて第1領域73dの未焼成絶縁層96cが導電性ペーストの移動に伴って第2開口73b側に流されやすい。しかし、本実施形態では、第2開口73b側に流される分を考慮して未焼成絶縁層96cを意図的に距離D1<距離D2となるようにしている。すなわち、未焼成絶縁層96cは、第1領域73dに第2領域73eよりもスルーホール73の径方向内側に盛り上がった盛り上がり部が形成されている。その結果、予めこのような盛り上がり部を形成しておかなかった場合(距離D1≧距離D2となる場合)と比べて、工程(c)の後の未焼成絶縁層96cと未焼成導電体97aとの境界は、
図5(d)に示すように比較的平坦な形状になる。
【0073】
工程(b),(c)を行ってスルーホール73内に未焼成絶縁層96c及び未焼成導電体97aを形成すると、工程(d)では、グリーン構造体105aを焼成して、未焼成絶縁層96cがホール内絶縁層96(本発明の絶縁層に相当)となり未焼成導電体97aがホール内導電体96(本発明の導電体に相当)となった構造体105を有するセンサ素子101を得る。なお、工程(d)を行う前に、グリーン構造体105aや各層3〜6のそれぞれに対応するグリーンシートに上述したパターン印刷・乾燥処理を適宜行っておく。そして、これらを圧着させてグリーン構造体105aを含む一つの積層体を形成し、複数個のセンサ素子101に切り分ける。その後に、工程(d)の焼成を行って、センサ素子101を得る。
【0074】
こうして製造されたセンサ素子101では、上述した未焼成絶縁層96cと未焼成導電体97aとの境界と同様に、ホール内絶縁層96とホール内導電体97との境界が比較的平坦な形状になっている。また、こうした製造方法では、
図4で説明した距離D4の値を0μm以上5.0μm未満としやすい。
【0075】
センサ素子101を得ると、用意したサポーター124,厚粉体126内にこのセンサ素子101を貫通させ、
図1の上側から主体金具122の内側の貫通孔内にこれらを挿入して、センサ素子101を素子封止体120で固定する。そして、ナット130や保護カバー110などを取り付けることで、ガスセンサ100が得られる。なお、このようなガスセンサの製造方法は公知であり、例えば国際公開2013/005491号に記載されている。
【0076】
以上説明した本実施形態のセンサ素子101の製造方法では、スルーホール73の内周面を絶縁性ペースト96a,96bで被覆して未焼成絶縁層96cを形成するにあたり、距離D1<距離D2となるようにする。その後、スルーホール73内に第1開口73a側から導電性ペーストを充填して未焼成導電体97aを形成する。こうすることで、導電性ペーストの充填及び焼成後のホール内絶縁層96とホール内導電体97との境界は、比較的平坦な形状になる。そのため、スルーホール73内のホール内絶縁層96の厚さが不十分な箇所が生じにくくなる。したがって、スルーホール73内のホール内絶縁層96によるホール内導電体97の絶縁が部分的に不十分になることを抑制できる。
【0077】
また、第1処理と比べて第2処理で粘度の高い絶縁性ペースト96bを用いることで、比較的容易に距離D1<距離D2を満たす未焼成絶縁層96cを形成できる。第1処理と比べて第2処理での吸引の力を弱くすることで、比較的容易に距離D1<距離D2を満たす未焼成絶縁層96cを形成できる。第1処理と比べて第2処理でスルーホール73の内周面に流入させる絶縁性ペースト96bの総量を多くすることで、比較的容易に距離D1<距離D2を満たす未焼成絶縁層96cを形成できる。
【0078】
さらに、距離D3(=距離D2−距離D1)≧3.0μmとなるように工程(b)での被覆を行うことで、第1領域73dの未焼成絶縁層96cの盛り上がり部の高さをより高くなり、スルーホール73内のホール内絶縁層96によるホール内導電体97の絶縁が部分的に不十分になることを抑制する効果がより確実に得られる。
【0079】
さらにまた、本実施形態のセンサ素子101において、差D4が0μm以上5.0μm未満となっていることで、スルーホール73内のホール内絶縁層96によるホール内導電体97の絶縁が部分的に不十分になることを抑制できている。
【0080】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0081】
例えば、上述した実施形態では、工程(b)において第1処理を行ってから第2処理を行ったが、先に第2処理を行ってもよい。
図6は、この場合の変形例の未焼成絶縁層96cを形成する様子を示す説明図である。図示するように、工程(b)において、先に第2処理を行ってスルーホール73の内周面に絶縁性ペースト96bを塗布し(
図6(a))、その後に第1処理を行ってスルーホール73の内周面に絶縁性ペースト96aを塗布して(
図6(b))、未焼成絶縁層96cを形成してもよい。この場合も、距離D1<距離D2となるように未焼成絶縁層96cを形成すれば、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【0082】
上述した実施形態では、工程(b)において第1処理と第2処理とを1回ずつ行ったが、これに限らず第1処理を1回以上行い第2処理を1回以上行ってもよい。この場合も、例えば絶縁性ペーストの粘度,吸引の力,絶縁性ペーストの総量の少なくとも1以上を第1処理と第2処理とで異ならせることで、距離D1<距離D2を満たすように未焼成絶縁層96cを形成すればよい。なお、絶縁性ペーストの総量を第1処理と第2処理とで異ならせる場合、第2処理を行う回数を第1処理を行う回数よりも多くすることで、第2処理で内周面を被覆する絶縁性ペースト96bの総量を第1処理で内周面を被覆する絶縁性ペースト96aの総量よりも多くしてもよい。こうすれば、第1処理と第2処理とで1回の処理に用いる絶縁性ペーストの量を変える必要がないため、処理が行いやすい。
【0083】
上述した実施形態では、工程(b)において第1処理と第2処理とを1回ずつ行ったが、工程(b)において第2処理を1回以上行えば、第1処理は行わなくてもよい。
図7は、この場合の変形例の未焼成絶縁層96cを形成する様子を示す説明図である。図示するように、工程(b)において、第2処理を2回行ってスルーホール73の内周面に絶縁性ペースト96b1,96b2をこの順に重ねて塗布して、絶縁性ペースト96b1,96b2からなる未焼成絶縁層96cを形成してもよい。このように第1処理を省略することで、第2処理で内周面を被覆する絶縁性ペーストの総量は第1処理で内周面を被覆する絶縁性ペーストの総量(=0)よりも多くなるため、比較的容易に距離D1<距離D2を満たす未焼成絶縁層96cを形成できる。ただし、第2領域73e(特に第2開口73b側の端部)の絶縁が不十分になることをより抑制できるため、第1処理は1回以上行うことが好ましい。
【0084】
上述した実施形態の工程(a)において、第1開口73aの縁と第2開口73bの縁との少なくとも一方に面取り部が形成されたグリーン構造体105を用意してもよい。
図8は、面取り部73f,73gが形成された変形例のグリーン構造体105の説明図である。なお、
図8は、工程(a)で変形例のグリーン構造体105を用意し、
図7と同様の工程(b)を行った後の状態を示している。
図7(b)と
図8との比較からわかるように、第1開口73aの縁に面取り部73fが形成されていることで、未焼成絶縁層96cの第1開口73a側の端部(
図8の下端)が厚くなりやすくなる。そのため、スルーホール73内の第1開口73a側の端部でのホール内絶縁層96によるホール内導電体97の絶縁が不十分になることを抑制できる。同様に、第2開口73bの縁の面取り部73gが形成されていることで、未焼成絶縁層96cの第2開口73b側の端部(
図8の上端)が厚くなりやすくなる。そのため、スルーホール73内の第2開口73b側の端部でのホール内絶縁層96によるホール内導電体97の絶縁が不十分になることを抑制できる。なお、面取り部73f,73gはC面取りにより形成されているが、R面取りにより形成されていてもよいし、他の面取りにより形成してもよい。面取りの寸法は、例えば5μm〜50μm(C面取りであればC5μm〜C50μm)としてもよい。また、面取り部73f,73gはスルーホール73と同時に形成してもよいし、スルーホール73の形成後に形成してもよい。
【0085】
上述した実施形態では、工程(b)で距離D1<距離D2を満たす未焼成絶縁層96cを形成する方法として、絶縁性ペーストの粘度,吸引の力,絶縁性ペーストの総量の少なくとも1以上を第1処理と第2処理とで異ならせることを例示したが、これに限られない。工程(b)は、距離D1<距離D2を満たすように未焼成絶縁層96cを形成できれば、どのような工程としてもよい。また、工程(b)で形成される未焼成絶縁層96cは、距離D1<距離D2を満たしていればどのような形状であってもよい。例えば、
図5(c),
図7(b)で示したように、未焼成絶縁層96cの形状が、第1領域73d内の盛り上がり部の頂点から離れるほど中心軸73cとの高さ方向の距離が大きくなる傾向の形状(盛り上がりのピークが1つである形状)であってもよい。あるいは、
図6(b)で示したように、未焼成絶縁層96cの形状が、盛り上がりのピークを複数有する形状(例えば、第1領域73d内と第2領域73e内との各々に1以上の盛り上がりのピークが存在する形状)であってもよい。また、未焼成絶縁層96cの形状がその他の形状であってもよい。例えば、
図5(c),
図6(b),
図7(b),
図8では、未焼成絶縁層96cの盛り上がり部の頂点は第1領域73d内に位置しており、頂点が最接近部96dになっているが、頂点が第1領域73外(図で第1開口73aよりも下側)に位置していてもよい。この場合、最接近部96dは第1領域73d内の未焼成絶縁層96cの形状に基づいて定まるため、盛り上がり部の頂点と最接近部96dとが別々に定まることになる。
【0086】
上述した実施形態では、スルーホール73は第1基板層1及び第2基板層2を上下に貫通する貫通孔としたが、これに限られない。各層1〜6のいずれか1以上の層を貫通する任意のスルーホールについても、上述した実施形態の工程(a)〜(d)を適用することで、同様の効果が得られる。
【0087】
上述した実施形態では、工程(b)において未焼成絶縁層96cを形成したが、このときにヒータ絶縁層74や下部絶縁層69となる未焼成絶縁層を併せて形成してもよい。例えば、第1処理を行う際に、第1開口73a付近に絶縁性ペースト96aを供給すると共に、下部絶縁層69となる未焼成絶縁層を例えばスクリーン印刷によりグリーンシート1aの下面に形成してもよい。同様に、第2処理を行う際に、第2開口73b付近に絶縁性ペースト96bを供給すると共に、ヒータ絶縁層74となる未焼成絶縁層を例えばスクリーン印刷によりグリーンシート2aの上面に形成してもよい。なお、これに限らず、ヒータ絶縁層74や下部絶縁層69となる未焼成絶縁層は工程(b)の前後や工程(c)の後などのタイミングで形成してもよい。
【0088】
上述した実施形態では、工程(c)において第1開口73a(スルーホール73の下側開口)から導電性ペーストを充填したが、第2開口73b(スルーホール73の上側開口)から充填してもよい。この場合、第1開口73aが本発明の第2開口に相当し、第2開口73bが本発明の第1開口に相当し、工程(b)は上述した実施形態とは上下を反転させた態様で行えばよい。
【実施例】
【0089】
以下には、センサ素子を具体的に作製した例を実施例として説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0090】
[実施例1]
上述した実施形態のセンサ素子101の製造方法に従って、
図2,3に示したセンサ素子101を作成して実施例1とした。まず、工程(a)として、
図5(a)に示したグリーン構造体105を作製した。グリーン構造体105は、前後方向の長さが70mm、左右方向の幅が6mm、上下方向の厚さ(=スルーホール73の軸方向長さ)が300μmとした。スルーホール73の内径は0.6mmとした。なお、グリーン構造体105を作製するにあたり、グリーンシート1a,2aは、安定化剤のイットリアを4mol%添加したジルコニア粒子と有機バインダーと有機溶剤とを混合し、テープ成形により成形した。
【0091】
続いて、工程(b)として、上述した実施形態と同様に第1処理と第2処理とをこの順で1回ずつ行って(
図5(b),(c))、未焼成絶縁層96cを形成した。なお、第1処理で用いた絶縁性ペースト96aは、アルミナ粉末とバインダー溶液とを1:2の重量割合で混合して、常温時の粘度が20[Pa・s]となるように調整した。第2処理で用いた絶縁性ペースト96bは、アルミナ粉末とバインダー溶液とを2:3の重量割合で混合して、常温時の粘度が絶縁性ペースト96aよりも高い40[Pa・s]となるように調整した。第1処理及び第2処理では、吸引の力は同じとし、いずれも吸引する側の空間の気圧を0.6MPaとした。また、第1処理及び第2処理で用いる絶縁性ペースト96a,96bの量は同じとした。実施例1の工程(b)を行った後のグリーン構造体105の距離D3(=距離D2−距離D1)を測定したところ、3.0μmであった。
【0092】
次に、工程(c)として、上述した実施形態と同様にしてスルーホール73内に第1開口73a側から導電性ペーストを充填して、未焼成導電体97aを形成した(
図5(d))。なお、導電性ペースト97aは、白金粉末とバインダー溶液とを25:1の重量割合で混合して、常温時の粘度が6000[Pa・s]となるように調整した。
【0093】
工程(c)の後、グリーン構造体105aや各層3〜6のそれぞれに対応するグリーンシートにパターン印刷・乾燥処理を行い、これらを圧着させてグリーン構造体105aを含む一つの積層体を形成し、複数個のセンサ素子101に切り分けた。その後に、工程(d)の焼成を行って、実施例1のセンサ素子101を得た。実施例1のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、3.0μmであった。
【0094】
この実施例1のセンサ素子101において、ヒータ部70のリーク検査を行った。具体的には、ヒータコネクタ電極71を介してヒータ72に通電して温度を800℃とし、センサ素子101を加熱した。加熱後にヒータ72と外側ポンプ電極23との間に20Vの電圧を印加後、スルーホール73の周辺を観察して、第1基板層1,第2基板層2のいずれにも黒化した部分がない場合に良好と判定し、いずれかに黒化した部分がある場合に不良と判定した。なお、スルーホール73内のホール内絶縁層96によるホール内導電体97の絶縁が不十分な箇所があると、第1基板層1や第2基板層2に電圧が印加されてこれらが黒化する。実施例1のリーク検査の結果は良好であった。
【0095】
[比較例1]
工程(c)においてスルーホール73内に第2開口73b側から導電性ペーストを充填した点以外は、実施例1と同様にしてセンサ素子101を製造し、比較例1とした。比較例1のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、5.0μmであった。比較例1のリーク検査の結果は不良であった。
【0096】
[実施例2]
工程(b)において、第1処理と第2処理とで絶縁性ペースト96a,96bの常温時の粘度は同じ(30[Pa・s])とし、第2処理では第1処理と比べて吸引の力を弱くした点以外は、実施例1と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例2とした。なお、第1処理では吸引する側の空間の気圧を0.8MPaとし、第2処理では吸引する側の空間の気圧を0.2MPaとした。実施例2における距離D3は3.0μmであり、距離D4は3.0μmであった。実施例2のリーク検査の結果は良好であった。
【0097】
[比較例2]
工程(c)においてスルーホール73内に第2開口73b側から導電性ペーストを充填した点以外は、実施例2と同様にしてセンサ素子101を製造し、比較例2とした。比較例2のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、10.0μmであった。比較例2のリーク検査の結果は不良であった。
【0098】
[実施例3]
工程(b)において第1処理と第2処理との順序を逆にした(第2処理→第1処理)点以外は、実施例1と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例3とした。実施例3における距離D3は1.0μmであり、距離D4は2.0μmであった。実施例3のリーク検査の結果は良好であった。
【0099】
[比較例3]
工程(c)においてスルーホール73内に第2開口73b側から導電性ペーストを充填した点以外は、実施例3と同様にしてセンサ素子101を製造し、比較例3とした。比較例3のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、11.0μmであった。比較例3のリーク検査の結果は不良であった。
【0100】
[実施例4]
工程(b)において第1処理と第2処理との順序を逆にした(第2処理→第1処理)点以外は、実施例2と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例4とした。実施例4における距離D3は1.0μmであり、距離D4は2.0μmであった。実施例4のリーク検査の結果は良好であった。
【0101】
[比較例4]
工程(c)においてスルーホール73内に第2開口73b側から導電性ペーストを充填した点以外は、実施例4と同様にしてセンサ素子101を製造し、比較例4とした。比較例4のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、11.0μmであった。比較例4のリーク検査の結果は不良であった。
【0102】
[実施例5]
工程(b)において、
図7と同様に第1処理を行わず第2処理を2回行った点以外は、実施例2と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例5とした。実施例5における距離D3は4.0μmであり、距離D4は2.5μmであった。実施例5のリーク検査の結果は良好であった。
【0103】
[比較例5]
工程(c)においてスルーホール73内に第2開口73b側から導電性ペーストを充填した点以外は、実施例5と同様にしてセンサ素子101を製造し、比較例5とした。比較例5のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、10.5μmであった。比較例5のリーク検査の結果は不良であった。
【0104】
[実施例6]
工程(a)において、
図8と同様にスルーホール73に面取り部73f,73gが形成されたグリーン構造体105aを用意した点以外は、実施例5と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例6とした。面取り部73f,73gの寸法は、C5.0μmとした。実施例6における距離D3は4.0μmであり、距離D4は2.5μmであった。実施例6のリーク検査の結果は良好であった。ホール内絶縁層96のうち、スルーホール73の面取り部73f,73g以外の内周面に形成された部分の平均膜厚は20μmであった。ホール内絶縁層96のうち、第1開口73a側の端部の膜厚は、この平均膜厚よりも厚い25μmであった。ホール内絶縁層96のうち、第2開口73b側の端部の膜厚は、この平均膜厚よりも厚い23μmであった。
【0105】
[比較例6]
工程(c)においてスルーホール73内に第2開口73b側から導電性ペーストを充填した点以外は、実施例6と同様にしてセンサ素子101を製造し、比較例6とした。比較例5のセンサ素子101の距離D4を測定したところ、10.8μmであった。比較例6のリーク検査の結果は不良であった。
【0106】
[不良率の測定]
実施例1〜6及び比較例1〜6について、それぞれセンサ素子を50本作製して、リーク検査の不良率を測定した。実施例1〜6及び比較例1〜6の、距離D3,D4及びリーク検査の不良率を表1に示す。表1に示す通り、実施例1〜6はいずれも不良率が0%であった。また、距離D4が5μm以上である比較例1〜6はいずれも複数本の少なくとも一部で不良が発生しており、距離D3,D4が大きい比較例ほど、不良率が高い傾向にあった。
【0107】
【表1】
【0108】
[実施例7〜10]
導電性ペーストの常温時の粘度を6000[Pa・s]から種々変更した点以外は、実施例1と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例7〜10とした。具体的には、導電性ペーストの常温時の粘度を実施例7では4000[Pa・s]とし、実施例8では8000[Pa・s]とし、実施例9では2000[Pa・s]とし、実施例10では10000[Pa・s]とした。実施例7〜10のセンサ素子をそれぞれ50本作製して、リーク検査の不良率を測定した。実施例7〜10の、導電性ペーストの粘度、距離D3,D4及びリーク検査の不良率を表2に示す。表2には、実施例1の結果も併せて示した。なお、導電性ペーストの粘度を2000[Pa・s]とした実施例9では、乾燥後の導電性ペーストの収縮量が大きいため引け(へこみ)が発生し、スルーホール73内の焼成後のホール内導電体96の量が不足する傾向にあった。そのため、製造したセンサ素子101のうち16%は製造不良であった。残りの84%については、引けが発生したものの、いずれもリーク検査の結果は良好であった(不良率0%)。また、導電性ペーストの粘度を10000[Pa・s]とした実施例10では、製造を試みたセンサ素子101のうち20%については、そもそも導電性ペーストをスルーホール73内に充填することができなかった。残りの80%については、導電性ペーストがスルーホール73内に適切に充填されており、いずれもリーク検査の結果は良好であった(不良率0%)。以上の結果及び表2から、実施例7〜10のいずれもリーク検査は良好な結果が得られるが、製造上の観点から導電性ペーストの常温時の粘度は2000[Pa・s]超過が好ましく、4000[Pa・s]以上がより好ましいと考えられる。また、導電性ペーストの常温時の粘度は10000[Pa・s]未満が好ましく、8000[Pa・s]以下がより好ましいと考えられる。
【0109】
【表2】
【0110】
[実施例11,比較例7]
スルーホール73の内径を0.6mmから種々変更した点以外は、実施例1と同様にしてセンサ素子101を製造し、実施例11,比較例7とした。具体的には、スルーホール73の内径を実施例11では0.5mmとし、比較例7では0.4mmとした。実施例11のセンサ素子を50本作製して、リーク検査の不良率を測定したところ、不良率は0%であった。また、比較例7では、スルーホール73の径が小さいことで導電性ペーストを充填することができず、センサ素子を作製できなかった。実施例11及び比較例7の、導電性ペーストの粘度、スルーホールの内径、距離D3,D4及びリーク検査の不良率を表3に示す。表3には、実施例1の結果も併せて示した。以上の結果及び表3から、導電性ペーストが充填しやすくなるためスルーホール73の内径は0.4mm超過が好ましく、0.5mm以上がより好ましいと考えられる。なお、例えば導電性ペーストの粘度を6000[Pa・s]より小さい値に調整するなど、充填時の条件を適正化することにより、スルーホールの73の内径が0.4mm以下であっても導電性ペーストを充填できる場合もある。
【0111】
【表3】
【0112】
[粘度の測定方法]
なお、上述した実施例及び比較例において、絶縁性ペースト及び導電性ペーストの粘度は、いずれもE型粘度計(AntonPaar製のMCR-102)を用いて測定した。より具体的には、絶縁性ペーストの粘度は、コーンの回転速度を30[1/秒]として30秒処理し、続いてコーンの回転速度を10[1/秒]として60秒処理し、次にコーンの回転速度を1[1/秒]として90秒処理する測定シーケンスを実行し、最後の5秒間での平均値として測定した。導電性ペーストの粘度は、コーンの回転速度を10[1/秒]として180秒処理し、続いてコーンの回転速度を1[1/秒]として240秒処理する測定シーケンスを実行し、最後の5秒間での平均値として測定した。