(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検査に係る反応が行われ、外部から識別可能な予め定めた異なる位置に設けられた、複数の反応スポットを有する、反応スポット配列子が、複数設けられた反応スポット配列体と、
前記各反応スポット配列子に対応して、各々少なくとも1個の受光素子を有し前記各反応スポットでの反応により生じ得る光学的状態に基づいて得られる光を受光する複数の受光領域が設けられた受光面を有する受光素子アレイと、
前記反応スポット配列子に対応して設けられ、1の前記反応スポットに近接もしくは接触しまたは近接可能もしくは接触可能に設けられた測定端、および前記受光領域に近接もしくは接触して設けた接続端を各々有する複数の導光路と、
前記受光領域に対応する前記受光素子から順次所定周期で得られる複数個の画領域データをディジタルデータに順次変換して前記受光領域ごとに複数個のディジタルデータを得るディジタルデータ変換部と、
該ディジタルデータを順次格納する格納手段と、
前記ディジタルデータに基づいて、各反応スポット配列子ごとの光学的状態の時間的変化を解析して各反応スポット配列子ごとに検査を並行して行う解析手段と、を有する導光集積検査装置。
前記各反応スポット配列子は2以上の反応スポットを有し、複数の前記測定端を前記反応スポット配列子の配列に応じた配列で支持する測定端支持体と、該測定端支持体を前記反応スポット配列体に対して相対的に移動可能とすることによって前記測定端を、前記各反応スポット配列子の対応する前記反応スポットに一斉に近接もしくは接触させることができる測定端移動機構とをさらに有する請求項1に記載の導光集積検査装置。
前記各反応スポット配列子は、2以上の反応スポットが相互に合同に配列され、該各反応スポット配列子は相互に並進対称性を持つように配列され、前記測定端支持体は、前記各反応スポット配列子に対応して設けられた前記各測定端が、前記反応スポット配列子間で対応する2以上の前記反応スポットに対し一斉に順次近接または接触可能とするように配列された請求項2に記載の導光集積検査装置。
前記受光素子アレイの受光面は、前記反応スポット配列子に対応して設けられた前記各受光領域が、前記反応スポット配列子の配列に応じて所定の間隔を開けて格子状に設定されている請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の導光集積検査装置。
前記反応スポット配列体または前記反応スポット配列子は、外部から識別可能な予め定めた位置にある複数の異なる反応スポットに前記検査に関連する予め定めた種類の検査用物質が各々固定された2以上の検査用担体を有する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の導光集積検査装置。
外部から識別可能な予め定められた異なる位置に設けられた、複数の反応スポットを有する、反応スポット配列子が複数設けられた、反応スポット配列体の前記反応スポットにおいて検査に係る反応が行われる反応工程と、
前記各反応スポットでの反応によって生じる光学的状態に基づく光を、各反応スポット配列子に対応し、各反応スポットに近接可能若しくは接触可能に設けられ、または近接もしくは接触して設けられた測定端、および接続端を有する複数の導光路を通して、前記各反応スポット配列子に対応して、各々少なくとも1の受光素子を有し前記接続端に近接もしくは接触して設けられた受光素子アレイの受光面の受光領域にまで導く導光工程と、
該受光素子アレイの前記受光領域に対応する前記受光素子から順次所定周期で得られる画領域データをディジタルデータに順次変換して前記受光領域ごとに複数個のディジタルデータを得る変換工程と、
変換された前記ディジタルデータを順次格納する格納工程と、
前記ディジタルデータに基づいて、前記各反応スポット配列子ごとの光学的状態の時間的変化を解析して各反応スポット配列子ごとに検査を並行して行う解析工程と、を有する導光集積検査方法。
前記導光工程は、前記各反応スポット配列子が2以上の反応スポットを有する場合には、複数の前記測定端が前記反応スポットの配列に応じた配列で支持された測定端支持体を前記反応スポット配列体に対して相対的に移動することによって、前記測定端を前記各反応スポット配列子の対応する前記反応スポットに一斉に近接もしくは接近させる測定端移動工程を有する請求項7に記載の導光集積検査方法。
前記導光工程は、2以上の反応スポットが相互に合同に配列された複数の反応スポット配列子が相互に並進対称性を持つように配列されている場合には、前記測定端支持体によって、前記各反応スポット配列子に対応して設けられた前記各測定端が、対応する該反応スポット配列子に設けられた2以上の対応する前記反応スポットに対して一斉に順次近接または接触可能とするように移動して、前記受光領域にまで、前記光学的状態に基づく光を導光する請求項8に記載の導光集積検査方法。
前記反応スポット配列子は、外部から識別可能な予め定めた位置にある複数の異なる反応スポットに前記検査に関連する予め定めた種類の検査用物質が各々固定された検査用担体を有し、前記反応工程は、前記検査用担体に対して溶液を分注することで検査に係る反応が行われる請求項7に記載の導光集積検査方法。
前記各反応スポット配列子は、液体の吸引吐出が可能な2以上の透光性を有する分注要素内に封入され、該分注要素は、液収容部が配列された収容部群に対して相対的に移動可能に設けられ、前記分注要素の先端は、該収容部群の前記各液収容部に一斉に挿入可能に設けられ、前記反応工程は、前記分注要素を前記各液収容部に一斉に挿入して前記各液収容部に収容された液体の吸引吐出を行うことによって、前記反応スポット配列子について検査に係る反応が行われる請求項10に記載の導光集積検査方法。
前記導光工程は、前記反応スポット配列子にある1の反応スポットには、前記検査に関連する予め定めた種類の溶液を収容可能な1の液収容部が設けられ、該各液収容部の導光可能部に近接もしくは接触して設けられた測定端から、前記各反応スポットでの光学的状態を複数の導光路の接続端を通して前記各反応スポットに対応して設けた少なくとも1個の受光素子を有する前記受光領域にまで、前記光学的状態に基づく光を導く請求項7に記載の導光集積検査方法。
前記導光工程は、前記測定端が近接もしくは接触した前記反応スポットに所定試薬が接触しまたは該反応スポットを収容する部分に所定試薬が分注される場合には、前記測定端と前記接続端とを結ぶ導光路を導光状態とし、それ以外の場合には該導光路を遮光状態とする工程を有する請求項7に記載の導光集積検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、DNAチップやストリング状等の担体の各固定位置または各ウェルに一端が固定された多数の光ファイバを用いて導光するようにしているために、検査に使用される固定位置やウェル数が増加すると、高価なPMTの個数が増加したり、光ファイバの本数が増加したり、また走査を行って測定を行う場合には、順次切替えながら、PMTに導光する必要があり処理に時間がかかったり、切替機構が必要となり、種々の理由から装置規模が増大しまたは高価になるおそれがあるという問題点を有していた。
【0007】
特に、多数の固定位置がある担体やウェルについて一斉に測定を行おうとすると、測定段階に達するまでであっても、各サンプルの抽出処理、標識化処理等の前記担体との反応処理等の前処理についての段階から同時に行われる必要があり、処理手順や装置構造が複雑化するおそれがあるという問題点を有していた。
【0008】
そこで、本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は、多数または複数のプローブアレイや反応容器が設けられている場合について、一括して処理および測定を行うことによって迅速且つ時間的に効率的に検査を行うことができる導光集積検査装置及びその検査方法を提供することである。第2の目的は、検査対象の目的物質とプローブアレイまたは各種溶液との反応から測定までを一貫して並行して行うことができる導光集積検査装置及びその検査方法を提供することである。第3の目的は、多数または複数のプローブアレイや反応容器が設けられている場合について、導光路を用いて集積化して受光することでコンパクトな装置構造をもち、空間的に効率的に検査を行うことができる導光集積検査装置及びその検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、検査に係る反応が行われ、外部から識別可能な予め定めた異なる位置に設けられた少なくとも1の反応スポットを有する複数の反応スポット配列子からなる反応スポット配列体と、前記各反応スポット配列子に対応して、各々少なくとも1個の受光素子を有し前記各反応スポットでの反応による光学的状態に基づいて得られる光を受光する複数の受光領域が設けられた受光面を有する受光素子アレイと、前記反応スポット配列子に対応して設けられ、1の前記反応スポットに近接もしくは接触しまたは近接可能もしくは接触可能に設けられた測定端、および前記受光領域に近接もしくは接触するように設けた接続端を各々有する複数の導光路と、前記受光領域に対応する前記受光素子から得られる画領域データを所定周期で変換して前記受光領域ごとにディジタルデータを得るディジタルデータ変換部と、該ディジタルデータを順次格納する格納手段と、を有する導光集積検査装置である。
【0010】
ここで、「反応スポット」とは、反応が行われる場所であって、例えば、検査に係る反応に用いられる各種検査用溶液を収容し又は収容可能な液収容部、または検査に係る反応に用いられる各種検査用物質が固定された検査用担体上の固定位置である。なお、「検査用担体」とは、所定の化学構造を持つ複数種類の検査用物質を所定間隔で配置した各固定位置に固定され、各化学構造とその各固定位置とが対応づけられた担体である。「反応スポット配列子」とは、前記反応スポット配列体を少なくとも1の反応スポットを各々有するように分けた領域であって、別体に形成される場合の他、一体として形成されている場合を含む。例えば、反応スポット配列子は、1の液収容部(容器)であったり、別体に形成された検査用担体である場合を含む。「接触」には、密着、接着または連結を含む。「液収容部」には、温度制御が可能な反応容器も含む。
【0011】
反応スポットが液収容部の場合には、該反応スポット配列体は、例えば、複数の液収容部であるウェルが2次元的に配列されたマイクロプレートや1次元的に配列されたカートリッジ容器もしくは前記マイクロプレートが高さ方向にも間隔を開けて積層されて3次元的に配列されている場合を
も含む。
【0012】
反応スポットが検査用担体上の場合には、該反応スポット配列体は、例えば、前記固定位置が1次元的に配列された棒状、針状、短冊状、紐状、糸状、テープ状の担体、または2次元的に配列された板状、棒状、短冊状、テープ状、紐状の担体、さらには、前記検査用担体が立体形状を持ちその立体の表面に反応スポットが固定される場合には、3次元的に配列されているといえる。また、検査用担体が複数の粒子状担体(粒子)からなる場合には、各粒子が固定位置に相当する。この場合には、前記反応スポット配列子は、例えば、1以上の検査用担体の場合がありうる。
【0013】
検査用物質としては、例えば、検査対象の目的生体物質に対して、結合性を有する核酸等の遺伝物質、タンパク質、糖、糖鎖、ペプチド等の生体物質又はその溶液を含む。これらの検査用物質を用いる検査において、その他、検査に関連する物質または溶液として、例えば、化学発光に関連するものがある。例えば、化学発光反応に用いる物質として、1) ルミノールまたはイソルミノール誘導体/過酸化水素、2) アクリジニウムエステル誘導体/過酸化水素、3) アクリジニウムアシルスルホンアミド誘導体等がある。その場合、トリガー試薬としては、アクリジニウム誘導体ではアルカリ性で過酸化水素を、イソルミノール誘導体は過酸化水素およびマイクロペルオキシダーゼ(m-POD)を用いて直接標識に用いて化学発光検出するCLIA法と、酵素を標識した後、標識酵素の活性の測定を化学発光検出するCLEIA法とがある。酵素を標識に用いているので、B/F分離の際に酵素活性を失活しない方法が必要である。例えば、酵素として西洋ワサビペルオキシダーゼを用いた場合には、ルミノール/過酸化水素を基質として検出に用いる。その他、グルコースオキシダーゼを酵素として用いた場合には、グルコース/TCPO/ANSを基質として用いる。グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)の測定はグルコース-6-リン酸を基質として、補酵素にNADPを用いれば酵素反応によりNADPHを生成するので、NADPHの化学発光反応で検出できる。
【0014】
「受光素子アレイ」とは、複数または多数の受光素子の受光部分が、例えば、列状または平面状に配列されて受光面を有するセンサをいう。高感度な受光素子の例としては、浜松ホトニクス製の APD(アバランシェ・フォトダイオード)アレイがある。受光素子の配列の密度が高い特別な場合として、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の「撮像センサ」を含有する。例えば、ビットラン BU-50LM(ICX415AL) 6.4ラ4.8mmで、772ラ580ピクセルである。受光素子アレイの各受光領域に属する受光素子によって得られた画領域データ(アナログ信号)を処理することによって、各受光領域ごとに対応するディジタル信号が得られる。これらは集積回路(IC)で形成されている。「画領域データ」とは、前記受光領域に対応する受光素子から、その受光素子の配列を考慮して得られたデータの集合であって、前記受光領域に1個の受光素子のみがある場合には、画素データであり、複数または前述した個数程度(772ラ580ピクセル)のような多数の受光素子がある場合には画像データに相当する。
【0015】
「受光素子」とは、光電効果を利用した電子素子であって、フォトダイオード、フォトトランジスタ等である。さらに、前記APDのような増倍効果を有するフォトンカウンティングセンサ等の場合も含む。「所定周期」とは、各反応スポットに対して、検査に必要な程度の十分な受光を行うことができる時間であって、測定すべき光学的状態の内容、発光の種類(例えば、蛍光物質の種類、化学発光物質の種類)、発光で用いる試薬(試薬の種類、試薬の量も含む)、1の反応スポット当たりの受光回数、発光の態様(例えば、瞬時発光、プラトー状の発光、発光の寿命、安定的受光可能時間等)、受光位置から次の受光位置までの移動態様(前記測定端が前記反応スポット配列子の反応スポット間を走査する場合、間欠動作、連続動作、走査速度、移動距離、移動時間、停止時間、移動経路等)、反応スポットの大きさ、反応スポットの配置若しくは個数等、導光部の大きさ、反応スポット間の距離、露光時間、および前記反応スポットにおける反応時間等のグループの中から選択された1または2以上の要素からなる光測定態様に応じて定める。また、データの転送もしくはデータの読み出し時間(CCDを用いる場合)等を考慮することもある。例えば、蛍光の場合のように光の量が大きい場合には、所定周期は短く、光の量が小さくなるに従って所定周期を長くする。例えば、化学発光のエンドポイントを測定する場合には、該所定周期は、例えば、1秒〜10秒程度であり、蛍光等の光量が大きい場合には、より短く、例えば、0.01秒から0.1秒程度である。測定端が反応スポット間を走査する場合であって、プラトー状の化学発光の場合には、該プラトーが維持される安定的受光可能時間(T)および反応スポット数(m)、反応スポット当たりの受光回数(r)、間欠動作からなる光測定態様を選択すると、所定周期は、T/(m・r) となり、この周期内に、受光位置から次の受光位置までの移動時間と、その受光位置での前記ディジタルデータ変換のための時間が含まれることになる。なお、前記「ディジタルデータ変換部」としては、例えば、CCDイメージセンサの場合には、ゲートコントロール可能なシフトレジスタ、アンプおよびAD変換器を有し、受光素子が受光した光の強度または輝度に応じた個数のフォトンを発生させるPMTフォトンカウンティングセンサや半導体を用いたフォトンカウンティングセンサの場合には、フォトン計 数器としてのゲートコントロール可能なパルスカウンタを有し、受光素子アレイと同様にIC回路で形成される。これらは、後述する測定制御部からの指示によって前記光測定態様に基づいて得られた前記所定周期で動作する。
【0016】
生成されたディジタルデータは、DRAM等の半導体記憶素子の格納手段に格納し、演算処理によって、前記各反応スポット配列子に対応する各受光領域に属する1または2以上の受光素子の画領域データを所定周期で変換したディジタルデータに基づき光学的状態の輝度の時間変化を導き出して解析する。「所定周期」は、例えば、該周期でパルス信号を発生させる駆動部またはCPU,プログラム及びメモリを有する情報処理部に設けられた測定制御部に基づいて出力されるパルス信号等の指示信号に基づいて設定される。
【0017】
「少なくとも1個の受光素子を有する」としたのは、受光素子が高感度の場合には、少なくとも1個あれば、単色の光学的状態を検知することができるからである。なお少なくとも3個の受光素子を有する場合には、各受光素子ごとに、カラーフィルタ(RGB)を通して受光された光に基づいてカラー受光を可能にすることができる。なお、前記各受光領域の大きさ、形状または範囲は、前記受光素子の大きさまたは感度、前記導光路の接続端の大きさや形状、接続端間の間隔、接続端と受光面との間の間隔、接続端の形状または光学的状態の態様に依存する。
【0018】
前記「ディジタルデータ」は、CPU等の情報処理装置によって処理可能な、例えば、数値を表すデータである。該データは、例えば、各受光領域に対応する受光素子が多い場合には、圧縮や画領域データの間引き等によって格納手段に格納することも可能である。格納手段とは、データを記録するメモリであって、半導体メモリ、ハードディスク、CD、DVD、SSD、ブルーレイディスク等である。
【0019】
「導光路」は、例えば、空洞、レンズ等の光学系要素、光ファイバ等を含有する。光ファイバとしては、例えば、外径500μmの可視光に対応可能なプラスチック製光ファイバである。光ファイバには、複数の光ファイバを束にした光ファイバ束をも含有する。
【0020】
「光学的状態」としては、蛍光や化学発光による発光、呈色、変光、変色等がある。光学的状態が「蛍光」である場合には、前記反応スポットに励起光を照射するための導光路であって、前記反応スポット配列体の1の前記反応スポットに近接もしくは接触しまたは近接もしくは接触可能に設けられた照射端、および前記励起光光源の光源面に近接もしくは接触するように設けられた接続端を有する第2の導光路を有することが好ましい。また、光学的状態が「呈色」である場合には、前記各反応スポットに参照光を照射するための導波路であって、前記反応スポット配列体の1の前記反応スポットに近接もしくは接触しまたは近接もしくは接触可能に設けられた照射端、および前記参照光光源の光源面に近接もしくは接触するように設けられた接続端を有する第3の導光路を有することが好ましい。これらの場合には、前記測定端は該照射端と先端を揃えて束ねられて測定端として取り扱われることが好ましい。
【0021】
「受光面」とは、前記受光素子の受光部分が配列されて形成される面であり、撮像センサの場合には緻密でADPアレイの場合には粗い。なお、格納されたディジタルデータはCPU等からなる情報処理部の解析手段によって読み出されて演算解析されて、目的生体物質の検査が行われることになる。
【0022】
第2の発明は、前記反応スポット配列子は2以上の反応スポットを有し、複数の前記測定端を前記反応スポット配列子の配列に応じた配列で支持する測定端支持体と、該測定端支持体を前記反応スポット配列体に対して相対的に移動可能とし前記測定端を、前記各反応スポット配列子の対応する前記反応スポットに一斉に近接もしくは接触させることが可能な測定端移動機構をさらに有する導光集積検査装置である。
【0023】
ここで、該「測定端移動機構」は、前記測定端支持体を前記スポット配列体に対して相対的に移動可能であるので、該測定端支持体を移動する場合と、反応スポット配列体を移動させる場合と、それらを組み合わせた場合がありうることになる。また、前記測定端支持体を前記反応スポット配列体に対して相対的に移動することによって、対応する各反応スポットに接近または接触させた後、さらに移動して、各反応スポット配列子内で次の対応する反応スポットに接近または接触するようにして前記反応スポット間を順次走査するよう移動させる場合をも含む。この場合、必ずしも前記反応スポット配列子間の各反応スポットの配列は合同である必要はない。例えば、他の反応スポット配列子における反応スポットの配列が相似形(配列パターンは同じであるが、その大きさの倍率が1ではない場合、倍率が1の場合は「合同」に相当する。)の場合、反応スポット配列子の対応する位置に反応スポットが一部設定されていない部分がある反応スポット配列子の場合等である。例えば、複数の粒子状担体からなる反応スポット配列子である場合に、その粒子の個数、粒子の大きさ、形状が同一、配列の態様(例えば、隙間を開けずに1列状等に配列する)が同一の場合には、合同であり、例えば、粒子の大きさのみが倍率1ではない場合には、相似形となる。前記「所定周期」は、前記各反応スポット配列子にある反応スポットに一斉に近接もしくは接触可能とする測定端移動機構による測定端の移動速度および反応スポット間の距離に応じて定まる各反応スポット間の移動時間等に応じて定めることが好ましい。したがって、前記画領域データのディジタルデータへの変換は、前記測定端移動機構と同期して行うことが好ましい。なお、前記粒子の素材は、例えば、セラミックス、樹脂等である。
【0024】
第3の発明は、前記各反応スポット配列子は、2以上の反応スポットが相互に合同に配列され、該各反応スポット配列子は相互に並進対称性を持つように配列され、前記測定端支持体は、前記各反応スポット配列子に対応して設けられた前記各測定端が、前記反応スポット配列子間で対応する2以上の前記反応スポットに対し一斉に順次接近または接触可能とするように配列された導光集積検査装置である。
【0025】
ここで、「2以上の反応スポットが相互に合同に配列」されているのであるから、各反応スポット配列子そのものの担体の形状は問われない。例えば、該反応スポット配列子が別体に形成されている場合、同じ担体上に連続して形成されているかは問われない。「前記反応スポット配列子を並進対称性を持つように配列する」ためには、前記各反応スポット配列子が相互に平行移動によって移動可能となるように配列されていることが必要である。並進対称性は、1軸方向、2軸方向または3軸方向に対して持つように配列することによって、より多数の反応スポットを、装置全体としては、コンパクトに配列することができることになる。
【0026】
第4の発明は、前記受光素子アレイの受光面は、前記反応スポット配列子に対応して設けられた前記各受光領域が、前記反応スポット配列子の配列に応じて所定の間隔を開けて格子状に設定されている導光集積検査装置である。
【0027】
ここで、「格子」自体を構成する領域は、所定の幅を持つ境界領域であって、該境界領域によって前記各受光領域が区切られていることが好ましい。これによって、受光領域間の相互の干渉を防止することができる。
【0028】
【0029】
第5の発明は、前記反応スポット配列子には、1の反応スポットが設けられ、該反応スポットには、前記検査に関連する予め定めた種類の溶液を収容可能な1の液収容部が設けられ、前記各測定端は該液収容部の導光可能部に近接もしくは接触して設けられた導光集積検査装置である。
【0030】
ここで、「液収容部の導光可能部」とは、液収容部内の光学的状態をその外部に導光することが可能な部分であって、例えば、液収容部の開口部、透光性のある素材で形成された液収容部の全壁面、または透光性を有する底部もしくは透光性を有する側面、またはこれらの一部領域である。一部領域は、前記測定端の大きさ、形状もしくは位置(測定端の液収容部からの距離、高さを含む)、液収容部の容量、または液収容部内に収容される液量等に基づいて定められる。なお、「液収容部」には、温度制御が可能な「反応容器」も含む。
【0031】
第6の発明は、前記各反応スポット配列子に対応して設けられ液体の吸引吐出が可能な2以上の分注要素が設けられた処理用ヘッドをさらに有し、前記各反応スポット配列子に対応して設けられた複数の収容部が配列された収容部群に対して相対的に移動可能に設けられ、前記分注要素の先端は、該液収容部群の前記各液収容部に一斉に挿入可能に設けられ、前記反応スポット配列子に対して、該分注要素により前記各液収容部に収容された液体の吸引吐出が行われる導光集積検査装置である。
【0032】
ここで、「分注要素」とは、液体の吸引及び吐出が可能な器具であって、例えば、処理用ヘッドに設けられた気体の吸引吐出機構と連通する分注ノズルに装着された分注チップ、または処理用ヘッドに設けられた可動部材により一斉に変形可能な変形式分注チップである。
【0033】
前記処理用ヘッドは、例えば、サンプル溶液、種々の試薬溶液、および種々の洗浄液を収容した複数の液収容部からなる前記収容部群を少なくとも有する収容部群領域に対して、相対的に移動可能に設けることが好ましい。また、前記分注要素が分注チップの場合には、着脱可能に装着される分注チップを収容するチップ収容部が前記収容部群領域に設けられていることが好ましい。
【0034】
第7の発明は、前記反応スポット配列子は検査用担体であって前記分注要素内に封入され、該検査用担体に対して該分注要素によって液体の吸引吐出が行われ、該検査用担体は該分注要素外部から各固定位置が識別可能に設けられ、前記測定端は、少なくとも前記測定端移動機構によって該分注要素に相対的に移動可能に設けることによって、該分注要素に近接または接触して反応スポットの配列にしたがって移動可能に設けられた導光集積検査装置である。
【0035】
したがって、該分注要素は、透光性を有する必要がある。「封入」によって、前記検査用担体は、該分注要素が吸引する液体と接触し、分注要素の液体の吐出によっては前記検査用担体が該分注要素から流出しないように保持する封入部を必要とする。この場合、前記測定端移動機構は、例えば、該分注要素が設けられた前記処理用ヘッドではなく、収容部群領域に設け、前記処理用ヘッドの移動を利用して測定端を前記分注要素に接触または近接させた後、前記測定端移動機構によって反応スポットの配列にしたがって移動させることで各反応スポットに近接させることによって測定端移動機構の構造を簡略化することができる。すなわち、前記反応スポット配列子の反応スポットの配列方向にのみ移動させることで足りる。すると、1の反応スポット配列子に属する反応スポットの配列に応じて走査することによって、他の全反応スポット配列子に対して一斉に接触または近接することができることになる。前記測定端は、前記収容部群が設けられた収容部群領域の内の前記分注要素の移動経路の終点で該分注要素と接触可能または近接可能となり、かつその位置で前記分注要素の先端が前記収容部群の端に配列された配列端液収容部に挿入可能となるように位置させることが好ましい。該配列端液収容部は、温度制御可能な反応容器であって、発光に係る物質を収容可能であることが好ましい。これによって、抽出から測定までの一連の処理を円滑かつ合理的、効率的に実行することができる。
【0036】
第8の発明は、前記測定端が近接若しくは接触した前記反応スポットまたは該反応スポットを収容する部分に所定試薬が接触しまたは分注される場合には、該測定端と前記接続端とを結ぶ前記導光路を導光状態とし、それ以外の場合には、該導光路を遮光状態とするシャッター機構をさらに有する導光集積検査装置である。
【0037】
ここで、「前記反応スポットまたは該反応スポットを収容する部分」とは、例えば、前記反応スポット自体である検査用担体上の固定位置、液収容部や、または該反応スポットが設けられた検査用担体を収容している皿等の収容部や分注要素である。「所定試薬」とは、例えば、化学発光の場合のトリガー液や基質であったり、発光の際に使用される試薬である。測定に関係する光学系等の部分は暗箱等に収容されて遮光されていることが前提である。また、液収容部も開口部等の導光可能部を除いて遮光されていることが好ましい。導光路についても測定端と接続端を除いて外部から遮光されていることが好ましい。複数の液収容部が一斉に所定試薬を分注される場合には、対応する複数の導光路を一斉に遮光状態とする一括シャッター機構を有することが好ましい。該シャッター機構または一括シャッター機構は、前記分注要素の分注動作に連動して前記導光路を導光状態として、それ以外の場合には、前記導光路を遮光状態とすることが光の漏れを確実に防止することができる。
【0038】
第9の発明は、外部から識別可能な予め定められた異なる位置に設けられた少なくとも1の反応スポットを有する複数の反応スポット配列子からなる反応スポット配列体の前記反応スポットにおいて検査に係る反応が行われる反応工程と、前記各反応スポットでの反応によって生じる光学的状態に基づく光を、前記反応スポット配列子に対応し、各反応スポットに近接可能若しくは接触可能に設けられ、または近接もしくは接触して設けられた測定端、および接続端を有する複数の導光路を通して、前記各反応スポット配列子に対応して、各々少なくとも1の受光素子を有し前記接続端に近接もしくは接触して設けられた受光素子アレイの受光面の受光領域にまで導く導光工程と、該受光素子アレイの前記受光領域に対応する前記受光素子から得られる画領域データを所定周期で前記受光領域ごとにディジタルデータに変換する変換工程と、変換された前記ディジタルデータを順次格納する格納工程とを有する導光集積検査方法である。格納されたディジタルデータは、CPU等からなる情報処理部にある解析手段により読み出されて、演算解析されることになる。
【0039】
第10の発明は、前記導光工程は、前記各反応スポット配列子が2以上の反応スポットを有する場合には、複数の前記測定端が前記反応スポットの配列に応じた配列で支持された測定端支持体を前記反応スポット配列体に対して相対的に移動することによって、前記測定端を前記各反応スポット配列子の対応する前記反応スポットに一斉に近接もしくは接近させる測定端移動工程を有する導光集積検査方法である。
【0040】
第11の発明は、前記導光工程は、2以上の反応スポットが相互に合同に配列された複数の前記反応スポット配列子が相互に並進対称性を持つように配列されている場合には、前記測定端支持体によって、前記各スポット配列子に対応して設けられた前記各測定端が、対応する該反応スポット配列子に設けられた2以上の対応する前記反応スポットに対して一斉に順次近接または接触可能とするように移動して、前記受光領域にまで、前記光学的状態に基づく光を導光する導光集積検査法である。
【0041】
ここで、前記並進対称性は、1軸方向、2軸方向または3軸方向にもつようにとることができる。軸数が増えるように、反応スポットを配列することで、装置の形状をコンパクトに形成することができる。また、1の反応スポット配列子に属する反応スポットの配列にしたがって走査すれば、対応するほかの反応スポット配列子に対して自動的に同時に処理が行われることになる。
【0042】
第12の発明は、前記反応スポット配列子は、外部から識別可能な予め定めた位置にある複数の異なる反応スポットに前記検査に関連する予め定めた種類の検査用物質が各々固定された1の検査用担体を有し、前記反応工程は、前記検査用担体に対して溶液を分注することで検査に係る反応が行われる導光集積検査方法である。
【0043】
第13の発明は、前記各反応スポット配列子は、液体の吸引吐出が可能な 2以上の透光性を有する分注要素内に封入され、該分注要素は、液収容部が配列された収容部群に対して相対的に移動可能に設けられ、前記分注要素の先端は、該収容部群の前記各収容部に一斉に挿入可能に設けられ、前記反応工程は、前記分注要素を前記各液収容部に一斉に挿入して前記各液収容部に収容された液体の吸引吐出を行うことによって、前記反応スポット配列子について検査に係る反応が行われる導光集積検査方法である。
【0044】
第14の発明は、前記導光工程は、前記反応スポット配列子にある1の反応スポットには、前記検査に関連する予め定めた種類の溶液を収容可能な1の液収容部が設けられ、該各液収容部の導光可能部に近接もしくは接触して設けられた測定端から、前記各反応スポットでの光学的状態を複数の導光路の接続端を通して前記各反応スポットに対応して設けた少なくとも1個の受光素子を有する前記受光領域にまで、前記光学的状態に基づく光を導く導光集積検査方法である。
【0045】
第15の発明は、前記導光工程は、前記測定端が近接もしくは接触した前記反応スポットに所定試薬が接触しまたは該反応スポットを収容する部分に所定試薬が分注される場合には、前記測定端と前記接続端とを結ぶ導光路を導光状態とし、それ以外の場合には、該導光路を遮光状態とする工程を有する導光集積検査方法である。
【発明の効果】
【0046】
第1の発明または
第9の発明によれば、少なくとも1の反応スポットを有する複数の反応スポット配列子が配列された反応スポット配列体に対して、各反応スポット配列子ごとに対応して設けられた導光路を用いて、各反応スポット配列子に対応して設けられ、前記スポット配列体の反応スポットの配列面積よりも十分小さい配列面積を持つ各々少なくとも1個の受光素子を有する受光面に設けた受光領域に、各反応スポット配列子で生じた光学的状態に基づく光を導いて集積化し、光電変換して得られた画領域データを所定周期でディジタルデータとして各反応スポット配列子ごとに順次一斉に変換することで解析可能としている。したがって、反応スポットの個数に比べて一層少ない個数の反応スポット配列子ごとに、1の反応スポットの光学的状態の時間的変化または複数の反応スポットの光学的状態の空間的および時間的な変化を受光素子アレイで受光することで時間的かつ空間的に集積化することができるので、装置規模の拡大を抑制するだけでなく、信頼性の高い処理を、迅速かつ効率良く行うことができる。
【0047】
各反応スポット配列子内で反応スポットが2以上あって、反応スポット間での切替えが必要である場合であっても(切り換えには、反応スポット間の移動または走査を含む)、反応スポット配列子間では切替えを行う必要がないので、切替えの必要性を各反応スポット配列子内の反応スポット数にまで引き下げることができて、切替え機構に基づく装置構造を単純化し、装置規模の拡大を防止し、かつ処理の手間を削減することができる。
【0048】
各反応スポット配列子間を独立かつ並行して処理や測定を行うことができるので、反応スポットを反応スポット配列体全体として取り扱う場合に比較して、反応スポット配列子間を物理的に離し、または各反応スポット配列子間を遮光することによって、隣接する反応スポット配列子間の光学的影響を排除してより信頼性の高い処理を行うとともに、同時並行処理によって効率的かつ迅速に処理を行うことができる。
【0049】
第2の発明または
第10の発明によると、各々2以上の反応スポットを有する各反応スポット配列子ごとに導光路、受光領域を設ければ良く、導光路の本数、受光素子の個数または受光領域数を削減して、装置規模の拡大を防止し、装置の製造費用を削減することができる。また、各反応スポット配列子に対応して設けた測定端を前記反応スポット配列子内の各反応スポット間で一斉に移動可能とすることによって、各反応スポット配列子ごとに独立して移動機構を設ける必要がないので、装置規模の拡大を抑制する。また、各反応スポット配列子内に配列された各反応スポットの空間的な変化を、所定周期ごとのディジタルデータに変更することで、時間的な変化に変換して処理を簡単化かつ可視化して信頼性の高い処理を行うことができることになる。
【0050】
第3の発明または
第11の発明によると、反応スポット配列体が、相互に合同に配列された2以上の反応スポット配列子を有しており、かつ各反応スポット配列子が相互に並進対象性を持つように配列されており、前記測定端支持体は、該各反応スポット配列子に対応して設けられた各測定端が、順次対応する反応スポットに対して一斉に近接または接触可能となるように設けられている。したがって、多数の反応スポットに対して、比較的少数の導光路および受光領域を用いて、装置規模を拡大したり、処理の手数を増大することなく、あたかも、1つの反応スポット配列子に対して処理を行うように、簡単な制御で、効率的、かつ迅速に検査を行うことができることになる。
【0051】
さらに、反応スポット配列子を反応スポットの個数の増加に応じて、1軸方向、2軸方向、または3軸方向に対して並進対象性を持つように分散して配列することによって、装置全体としての規模をまとまりの良いコンパクトな形状に形成することができる。また、測定端支持体の形状および測定端の配列を単純化または画一化して装置構造を単純化するとともに、多数の反応スポットに対して、比較的少数の導光路および単純な形状および配置の受光領域を用いて、装置規模の拡大や、処理の手数の増大を抑制し、あたかも1の反応スポット配列子があるごとく制御を簡単化し、空間的および時間的に効率的、かつ迅速に測定を行うことができることになる。
【0052】
第4の発明によれば、前記受光素子アレイの受光面は、前記反応スポット配列子に対応して設けられ、かつ、その配列に応じて所定の間隔を開けて格子状に設定されているため、前述した利点の他、測定端と接続端を有する導光路の敷設が容易かつ確実であり、また、管理がし易く、信頼性の高い装置を製造することができる。
【0053】
第5の発明または
第12の発明によれば、前記反応スポット配列体または反応スポット配列子は、検査用担体であり、各反応スポットを集積化して配列することができるので、多数の反応スポットを取り扱う場合に、作業空間を節約して装置規模の増大を防止し、コンパクトで効率的な装置を形成することができる。
【0054】
第5の発明または
第14の発明によれば、前記反応スポット配列子には、前記検査に関連する予め定めた種類の溶液を収容可能な1の液収容部が設けられ、前記各液収容部の導光可能部に前記導光路の測定端が設けられている。したがって、各液収容部ごとに異なる検査対象について、クロスコンタミネーションを確実に防止した処理を行うことができることになる。また、各液収容部ごとに導光路を固定して設けることができるために、測定端の走査等の切り換え機構を要することなく、複数の液収容部に関して並行した処理を前記受光素子アレイの受光面に複数の受光領域を設定することで、簡単な装置構造で、信頼性の高い検査を行うことができる。
【0055】
第6の発明によれば、液体の吸引吐出が可能であって、先端が平面状液収容体の各液収容部に一斉に挿入可能に設けられた2以上の分注要素が設けられた処理用ヘッドを設け、平面状液収容体に対して相対的に移動可能に設けることによって、前記反応スポット配列子に対して、該分注要素により前記各液収容部に収容された液体の吸引吐出を行うことで、反応から測定までの処理、さらには抽出から測定までの処理を1つの装置を用いて一貫して行うことができるので、光学的状態の測定のタイミングを、反応の段階から最適なものに設定することができるので、処理の迅速性および効率性が高い。
【0056】
第7の発明または
第13の発明によれば、前記反応スポット配列子は、検査用担体であって、前記分注要素内に封入されている。したがって、各反応スポットに対して、前記分注要素について液体の吸引吐出を一斉に行うことができるとともに、各検査用担体間が確実に隔てられているので、クロスコンタミネーションを確実に防止することができ、信頼性の高い検査を行うことができる。また、反応から測定までを1の装置で一貫して行うことができるとともに、さらに検査用担体が封入されていない分注要素を用いることで、抽出から測定までも1の装置で一貫して行うことができることになる。
【0057】
第8の発明または
第15の発明によれば、前記測定端が近接もしくは接触した前記反応スポット自体または該反応スポットを収容する収容部が所定試薬と接触しまたは所定試薬が分注される場合には、前記測定端と前記接続端とを結ぶ導光路の導光状態とし、それ以外の場合には遮光状態とすることによって、所定試薬に基づく発光等の光学的状態を確実に受光する一方、それ以外の場合に生じ得る雑光による高感度の受光素子アレイの破壊や破損を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る導光集積検査装置10について
図1乃至
図6に基づいて説明する。
図1は、該導光集積検査装置10を示すブロック図である。
該導光集積検査装置10は、大きくは、例えば、各種の溶液や、各種分注チップが収容された複数の収容部であってY軸方向に沿ってステージ上にn列分配列された収容部群3
1〜3
n(「n」は後述する反応スポット配列子の個数に相当)を有する収容部群領域3と、該収容部群領域3に対して水平方向、例えばY軸方向に沿って移動可能に設けられ、複数(この例ではn個)の分注要素に相当する透光性を有する分注チップ4
1〜4
nが前記各収容部に先端が挿入可能に設けられた処理用ヘッド52および該処理用ヘッド52自体をX軸方向に沿って移動可能とする処理用ヘッド移動機構53を有する配列体処理装置5と、該分注チップ4
1〜4
nの細管に封入され、検査に係る反応が行われ、外部から識別可能な予め定めた異なる位置に設けられた複数の反応スポットが配列された反応スポット配列体2を形成する複数(n個)の反応スポット配列子2
1〜2
nと、後述する受光領域に対応する前記受光素子から得られる画領域データを所定周期で変換して前記受光領域ごとにディジタルデータを得るディジタルデータ変換部75と、各種制御のための情報処理を行ういわゆる情報処理部としての、CPU+プログラム+メモリ9と、該CPU+プログラム+メモリ9に対するユーザの指示等の操作を行う操作パネル14と、を有する。
【0060】
前記収容部群領域3には、前記反応スポット配列子2
1〜2
nに対応して、各々少なくとも1個の受光素子を有し前記各反応スポットでの反応により生じ得る光学的状態に基づいて得られる光を受光する複数の受光領域72
1〜72
nが設けられた受光面72を有する受光素子アレイ7と、n本の該分注チップ4
1〜4
nの細管に接触可能若しくは近接可能、したがって、封入された前記反応スポット配列子2
1〜2
nに各々近接可能に設けられたn個の測定端62
1〜62
n、および前記受光面72の対応する前記受光領域72
1〜72
nに近接して設けられた接続端64
1〜64
nを各々有する導光路6
1〜6
nと、複数の前記測定端62
1〜62
nを前記反応スポット配列子2
1〜2
nの配列に応じた間隔を開けて配列させて支持する測定端支持体63と、該測定端支持体63を、前記処理用ヘッド52のY軸方向の移動により接近した前記分注チップ4
1〜4
nに対し、封入された反応スポット配列子2
1〜2
nの各反応スポット21に一斉に順次近接するように前記測定端62
1〜62
nをZ軸方向に移動可能とする測定端Z軸移動機構65とを有する。なお、前記測定端62
1〜62
nは、前記収容部群3
1〜3
nの内前記分注要素の移動経路の終点に相当する端に配列され、かつ、その位置で前記分注チップ4
1〜4
nの先端が挿入可能な配列端液収容部3cであって、該分注チップ4
1〜4
nがその位置にある場合に、該分注チップ4
1〜4
nに接触可能な位置に設けられるのが好ましい。
【0061】
前記反応スポット配列子2
1〜2
nは、各々検査用担体であって、例えば、後述するように複数(各反応スポット配列子において同一の個数)の同一形状の複数の粒子が前記細管内でZ軸方向に沿って一列状に配列されたものであって、各粒子には、所定の検査用物質が固定された反応スポットに対応する。したがって、2以上前記反応スポットが相互に合同に配列されていることになり、かつこれらの反応スポット配列子2
1〜2
nの各反応スポットは、相互にX軸方向およびZ軸方向に対して並進対称性を持つように配列されていることになる。前記粒子の径は、例えば、0.5mmから10mmであって、好ましくは、例えば、1mmである。
【0062】
該導光集積検査装置10の前記処理用ヘッド52には、前記分注要素である分注チップ4
1〜4
nに対して、液体の吸引及び吐出を行う吸引吐出機構43を有する。該分注チップ4
1〜4
nは、X軸方向に沿って、前記収容部群3
1〜3
nの配列に応じた間隔で分注チップ支持部材に配列かつ支持される。該分注チップ支持部材には、例えば、前記吸引吐出機構43と連通している各ノズルが配列され、前記分注チップは、そのノズルの下端部に装着されて支持されることになる。
【0063】
また、該処理用ヘッド52には、前記分注チップ4
1〜4
nを一斉にZ軸方向に移動させる分注要素Z軸移動機構42と、前記各分注チップ4
1〜4
nの前記反応スポット配列子2
1〜2
nが封入された細管の温度制御を行うための、温度昇降体8、該温度昇降体8を前記各分注チップ4
1〜4
nに近接しまたは接触させるために該温度昇降体8を前進させ又は後退させるための昇降体進退駆動機構82、および温度昇降体8の温度の上昇および下降を制御するための温度制御器83と、前記分注チップ4
1〜4
n内に磁力を印加するための磁力機構44とを有する。
【0064】
前記CPU+プログラム+メモリ9には、前記温度制御器83、昇降体進退駆動機構82、吸引吐出機構43、前記分注要素Z軸移動機構42、磁力機構44および前記処理用ヘッド移動機構53に対して抽出または反応の指示を行う抽出・反応制御部91と、前記測定端Z軸移動機構65、分注要素Z軸移動機構42、前記受光素子アレイ7、及び解析手段94に対して測定の指示を行う測定制御部92、および前記受光素子アレイ7の前記各受光領域72
1〜72
nからの画領域データを、前記測定制御部92に基づくパルス信号により設定された所定周期で変換されたディジタルデータを、順次前記反応スポット配列子2
1〜2
nに対応して格納する格納手段93と、該格納手段93に格納されている該ディジタルデータに基づいて演算により前記検査の解析を行う解析手段94を有する。
【0065】
続いて、
図2乃至
図5に基づいて、
図1で説明した本発明の第1の実施の形態に係る導光集積検査装置10をより具体的にした導光集積検査装置11を説明する。
図2に示すように、該導光集積検査装置11は、外部からの光の侵入を遮断可能な暗箱の機能をもつ筐体12に組み込まれており、前記操作パネル14に相当する、タッチ式タブレット141を有する。
【0066】
図2および
図3に示すように、前記収容部群領域31には、前記筐体12内の下側であって、該筐体12の底12aよりも容器の深さに応じた間隔を開けて取り付けられた水平板状のステージ13に設けられている。該収容部群領域31には、Y軸方向に沿って延びるカートリッジ状容器を有する収容部群31
1〜31
16(
図1におけるn=16の場合)がX軸方向に複数列(この例では16列)が配列されている。該各収容部群31
1〜31
16には、細管と太管からなる分注チップ41
1〜41
16の、太管に設けられた装着用開口部が上側に来るように収容され又は収容可能なチップ収容部群31aと、検体溶液、各種試薬溶液が収容された液収容部群31b、および測定に必要な試薬溶液が収容されかつ温度制御可能で容器の端部に設けられた前記配列端液収容部としての反応容器31cを有するカートリッジ状容器とを有している。これらの各収容部内の収容物は、前記分注チップ41
1〜41
16の移動経路であるY軸方向に沿って、処理順に収容されている。
【0067】
さらに、配列体処理装置51として、該収容部群領域31に対して、Y軸方向に移動可能に設けられ、複数(この例では16本)の透光性のある分注チップ41
1〜41
16が設けられた処理用ヘッド521を有する。該処理用ヘッド521は、該各分注チップ41
1〜41
16が、前記各収容部群31
1〜31
16に順次挿入可能となるように、Y軸方向に沿った移動経路に沿って移動し、反応容器31cにまで進み、測定が行われる。
【0068】
該配列体処理装置51には、前記処理用ヘッド521をY軸方向に駆動するため、例えば、ボール螺子やタイミングベルトをY軸方向に沿って前記筐体12に取り付けた処理用ヘッド移動機構53を有している。該処理用ヘッド521には、前記ボール螺子に螺合するナット部や前記タイミングベルトと連結し、該処理用ヘッド521全体をそこから吊るすように支持するY軸移動板52aおよび該Y軸移動板52aに取り付けられた垂直支持板52bとを有している。該Y軸移動板52aには、前記各分注チップ41
1〜41
16をZ軸方向に移動するための分注要素Z軸移動機構421が設けられている。
【0069】
該分注要素Z軸移動機構421は、前記Y軸移動板52aに取り付けられたモータ42aと、該モータ42aの回転軸と連結して、該Y軸移動板52aを貫通して該Y軸移動板52aの上側に位置するプーリ42bと、該Y軸移動板52aの下側で下方向に延びるように設けられたボール螺子42eと連結して、該Y軸移動板52aを貫通してその上側に位置するプーリ42dと、これらのプーリ42b、42d間に架け渡されたタイミングベルト42cを有する。
【0070】
前記処理用ヘッド521には、さらに前記分注要素である分注チップ41
1〜41
16に対して液体の吸引吐出を行うための吸引吐出機構431が設けられている。該吸引吐出機構431は、前記分注要素Z軸移動機構421の前記ボール螺子42eに螺合するナット部と連結してZ軸方向に移動可能に設けられたZ軸移動板43aと、該Z軸移動板43aの下側に取り付けられたモータ43bと、該モータ43bによって回転駆動されるボール螺子43hに螺合するナット部と連結して上下動するピストンロッド駆動板43gと、該駆動板43gによって16本のシリンダ43d内をZ軸方向に沿って一斉に摺動する16本のピストンロッド43cと、前記Z軸移動板43aに支持され該シリンダ43dが取り付けられて該シリンダ43dの下端に設けられている16個のノズルを支持するシリンダ支持部材43iと、該シリンダ43dの下側に突出するノズルが貫通可能な大きさをもつが、該ノズルに装着される前記分注チップ41
1〜41
16が貫通不能な大きさを持つ貫通孔が形成され、前記ピストンロッド駆動板43gに支持されて該ピストンロッド駆動板の所定距離以上の下降によって、脱着棒43jを押圧することによって下方向に移動可能に設けられたチップ脱着板43eと、を有している。該脱着棒43jはその下端が前記チップ脱着板43eに取り付けられ、その上側で前記シリンダ支持部材43iより上方に弾性的に付勢される状態で支持され、その上端は、前記ピストンロッド駆動板43gと前記所定距離離間した位置にある。ここで、符号43fは、該分注チップ41
1〜41
16内の前記圧力を検知する圧力センサが取り付けられる流管である。
【0071】
16本の前記分注チップ41
1〜41
16は前記シリンダ43dの下端で下方向に突出する16本の前記ノズルに、その装着用開口部が嵌合して装着されている。したがって、該分注チップ41
1〜41
16は、前記Z軸移動板43aとともにZ軸方向に沿って、前記処理用ヘッド521に対して上下動可能であり、その先端は、前記収容部群領域31に設けられた液収容部内に挿入可能であって、前記吸引吐出機構431によって液体の吸引及び吐出が可能である。すると該分注チップ41
1〜41
16内に封入されている各反応スポット配列子21
1〜21
16を構成する複数(この例では50個)の反応スポット22としての粒子と接触可能である(
図5参照)。
【0072】
図5に示すように、細管41aおよび該細管41aと連通し前記ノズルに着脱可能に装着される前記装着用開口部が設けられた太管41bからなる該分注チップ41
1〜41
16の細管41aには、検査に係る反応が行われ、外部から識別可能な予め定めた異なる位置に設けられた複数(この例では例えば、50個)の反応スポット22としての粒子が1列状にZ軸方向に沿って合同に配列された反応スポット配列体21を形成する複数(この例では16個)の反応スポット配列子21
1〜21
16が、封入されて相互にX軸方向に対しては並進対称性を持って配列されている。同様に、Z軸方向に対しても並進対称性を持って反応スポットが配列されていることになる。すなわち、本実施の形態に係る導光集積検査装置11にあっては、X軸方向およびZ軸方向の2軸方向について、該反応スポットが並進対称性を持って配列されていることになる。反応スポット配列子21
1〜21
16については、X軸方向に沿って並進対称性を持って配列されていることになる。
【0073】
図3に戻り、前記収容部群領域31には、さらに、前記ステージ13の下側にある前記筐体12の底12aに、複数(例えば、この例では16個)の受光素子が共通の受光面を形成するように配列された受光素子アレイ71を有し、該受光素子アレイ71は、前記反応スポット配列子21
1〜21
16に対応して、各々少なくとも1個の受光素子を有し、前記各反応スポットでの反応により生じ得る光学的状態に基づいて得られる光を前記受光する複数(この例では16個)の受光領域72
1〜72
16が設けられた受光面72が暗箱71a内に設けられている。
【0074】
前記受光素子アレイ71として、CCDイメージセンサを用いた場合について説明する。CCDイメージセンサとしては、例えば、6.4mmラ4.8mmの受光面を持ち772ラ580個の受光素子が配列されたものである。この場合には、該受光面は、例えば、
図6(a)に示すように4行ラ4列の格子状(行列状)に、16個の受光領域72
1〜72
16が設定されている。各受光領域には、各々193ラ145個の受光素子の内、境界を除く部分の受光素子が対応する。前記ディジタルデータ変換部75としては、ゲートコントロールによって電荷を順次転送するシフトレジスタ、電圧増幅を行うアンプおよび電荷量をディジタルデータに変換するAD変換器を有する。前記所定周期としては、例えば、前記操作パネル140からの指示またはCPU+プログラム+メモリ9の測定制御部による指示により指定された時間間隔に基づいて定めることができる。該所定周期は、発光の種類、試薬、発光の態様、露光、転送、読み出しに必要な時間、前記反応スポットにおける反応時間、光学的状態、またはその寿命等に基づいて定める。さらには、前記測定端Z軸移動機構65による、反応スポット間の走査速度、反応スポット間の距離またはその移動態様をも考慮した光測定態様に応じて定める。すなわち、前記測定端Z軸移動機構65による測定端の1の反応スポットに対する移動に同期した周期でディジタルデータ変換を行うのが好ましい。例えば、1mmの径をもつ50個の粒子に対して、測定端に設けられた径1mmの光ファイバを用いて、Z軸方向に沿って走査するように測定する。その場合、前記測定端を、相対的に、例えば、受光位置から次の受光位置までの距離が0.1mmであって、化学発光のプラトー状態を考慮して受光時間(フォトンカウンティングに必要な停止時間)として10msec の時間停止しながら間欠的に移動するようにして、1の粒子に関して、10回測定が行われるようにする。これは、粒子の位置が必ずしも固定されていないことに基づく不確定さや光ファイバの大きさ等を考慮したものである。これによって、1の粒子に対して、ガウス関数型の発光の輝度が得られ、それにより発光等の精密な測定を行うことができることになる。そのために、前記測定制御部96により、前記分注要素Z軸移動機構42および前記格納手段97に対してそのようなタイミングのパルス信号を発生させることで行う。すると、50個の粒子全体としては、移動時間を含めて約30秒から約50秒程度(化学発光のプラトー状態を考慮)間で500回の受光またはディジタルデータ変換が行われることになる。
【0075】
図3乃至
図5に示すように、該収容部群領域31には、さらに前記各分注チップ41
1〜41
16の細管に各々接触可能に設けられた各測定端62
1〜62
16、および前記受光面72の前記受光領域72
1〜72
16に近接して設けられた接続端を各々有する複数(この例では16個)の導光路61
1〜61
16を有する。該接続端は前記暗箱71a内に収容されている。前記測定端62
1〜62
16は、測定端支持体631に、前記反応スポット配列子21
1〜21
16の配列に応じた間隔でX軸方向に沿って配列されかつ支持されている。なお、
図3乃至
図5においては、前記導光路61
1〜61
16についてはその中間部分を描画上一部省略して、説明の都合上、装置を見やすくしている。
【0076】
また、前記収容部群領域31には、前記測定端支持体631を、したがって、複数(この例では16個)の前記測定端62
1〜62
16を前記分注チップ41
1〜41
16の軸方向であるZ軸方向に沿って移動可能とすることで、反応スポットを走査可能な測定端Z軸移動機構651が設けられている。該測定端62
1〜62
16は、前記各収容部群31
1〜31
16のY軸方向に沿った後端側に設けられた収容部30c、すなわち、測定処理を行うために吸引される試薬溶液が収容されている収容部30cの上方にくるように設けられている。
【0077】
該測定端Z軸移動機構651は、該測定端支持体631と連結したアーム部材65aと、該アーム部材65aを摺動可能に保持し、Y軸方向に沿って前記分注チップ41
1〜41
16に向けて前進させるように弾性的に常時付勢する弾性部材が設けられたアーム保持台65bと、該アーム保持台65bをZ軸方向に沿って該ボール螺子65hを上下動させるために該ボール螺子65hと螺合するナット部を回転駆動するモータ65cと、該モータ65cが取り付けられ前記ボール螺子65hが貫通する孔が設けられかつ前記ステージに固定された基部65dと、前記モータ65cによって回転駆動されるナット部と螺合し、上下方向に駆動されその先端が前記アーム保持台65bの下側に軸支されている前記ボール螺子65hと、該基部に下端が設けられ前記アーム保持台65bを貫通しその上端が取付け具65gに取り付けられているガイド柱65e,65fと、前記筐体12に取り付けられた前記取付け具65gとを有する。
【0078】
すると、前記処理用ヘッド521のY軸方向の処理を行いながら移動して、最終的に前記分注チップ41
1〜41
16を前記液収容部としての反応容器31cに到達すると、該分注チップ41
1〜41
16の各細管41aが測定端62
1〜62
16を押圧して、弾性的な反発を受けて接触することになる。
【0079】
したがって、前記測定端支持体631がZ軸方向に移動することで、前記反応スポット配列子21
1〜21
16の配列に応じて配列された測定端62
1〜62
1が、前記各配列子21
1〜21
16に対してZ軸方向に移動して、前記各反応スポット配列子21
1〜21
16に属する、反応スポット22に対応する粒子に対して一斉にかつ順次近接かつ離間して走査する。なお、前記ガイド柱65e,65fの長さは、反応スポット配列子21
1〜21
16のZ軸方向の長さよりも長く形成されている。
【0080】
該処理用ヘッド521には、さらに、加熱シートが一面に張られた温度昇降体81が設けられている。前記分注チップ41
1〜41
16に一斉に接近しまたは接触可能とするように温度昇降体81を進退動作可能とする昇降体進退駆動機構821を有する。該昇降体進退駆動機構821には、該各温度昇降体81を進退動作可能に動かすモータ82aを有する。該温度昇降体81は、Z軸方向には不動であり、前記測定端62
1〜62
16の移動範囲に対応した領域に位置するように設けられている。
【0081】
さらに、前記処理用ヘッド521には、前記ノズルに装着された分注チップ41
1〜41
16内に磁力を及ぼすための磁力機構441が設けられている。該磁力機構441は、前記分注チップ41
1〜41
16の配列に応じた間隔で配列された16個の永久磁石44aと、該16個の永久磁石44aを支持する磁石配列部材44bと、該磁石配列部材44bを、X軸方向に沿い前記分注チップ41
1〜41
16に対して進退動作を行うためのY軸方向に沿って設けられ、一端が前記磁石配列部材44bに軸支され他端がボール螺子軸支板44eに軸支されたボール螺子44dと、該ボール螺子44dと螺合するナット部を回転駆動するモータが内蔵され、前記Y軸移動板52aによって支持されて、該ボール螺子44dをY軸方向に沿って前後方向に移動させるアクチュエータ44cと、前記ボール螺子軸支板44eと前記磁石配列部材44bとを前記アクチュエータ44cを貫通して連結する2本の連結棒44fとを有する。
【0082】
続いて、第1の実施の形態に係る前記導光集積検査装置11を、16人の被検者のゲノムについて、所定の薬剤の効果に関連する特定のSNPsの検査を行って、その薬剤を使用するかどうかの妥当性を検査する場合の動作を説明する。
【0083】
前記チップ収容部群31aには、抽出用分注チップ、PCR用分注チップ、穿孔用チップおよび前記反応スポット配列子21
1〜21
16が封入された分注チップ41
1〜41
16が装着用開口部を上にして予め収容されている。前記液収容部群31bの各液収容部には、予め、順番に、被検者から採取した口腔粘膜等の検体、ゲノム抽出用試薬、磁性粒子懸濁液、PCR用試薬としてのプライマー含有液、制限酵素溶液等、ミネラルオイル及び洗浄液が収容され、一部の収容部は空である。また、温度制御可能なPCR容器等の反応容器を有している。前記分注チップ41
1〜41
16には、前記薬剤に関連する複数個所のSNPの多型の2種類ずつの塩基配列を持つプローブが適当なスペーサ用粒子を挟みながら各粒子に固定されているものとする。各粒子は、例えば球形状で、直径は、例えば1mmである。
【0084】
ステップS1で、前記処理用ヘッド521を前記処理用ヘッド移動機構53により、Y軸方向に移動させて未使用の抽出用分注チップが収容されているチップ収容部群31aの第1のチップ収容部の上方に位置させる。前記分注要素Z軸移動機構421により、該処理用ヘッド521に設けられた16個の前記ノズルを下降させることで、抽出用分注チップを装着し、再び上昇させて、分注チップの下端が前記チップ収容部の上方にまで来ると、Y軸方向に移動する。
【0085】
ステップS2で、前記処理用ヘッド521を、前記ゲノム抽出用試薬を収容する液収容部群31bに属する1の液収容部の位置にまで移動し、下降させることで該分注チップの先端を該液収容部に挿入して、前記吸引吐出機構430を用いて該当する前記抽出用試薬を一斉に吸引する。該分注チップを前記検体溶液が収容されている前記液収容部群31bの1の液収容部にまで移送して前記分注チップの下端を該液収容部内に挿入して吐出する。さらに、同様にして、該液収容部群31bの1の液収容部に収容され、目的物質としての各被検者のDNAを抽出するための磁性粒子懸濁液を前記分注チップ内に吸引して前記検体溶液が収容されている前記液収容部にまで移送して吐出するとともに、吸引吐出を繰り返すことで撹拌を行い、目的物質である各被検者のDNAを磁性粒子に結合させる。なお、必要ならば、夾雑物を除去するためにさらに洗浄液で吸引吐出を繰り返す。
【0086】
ステップS3で、前記磁力機構441の前記アクチュエータ44cを用いて、前記磁石配列部材44bを前記抽出用分注チップに接近させて磁石44aを該分注チップの細管に近接させることで細管内に磁場を及ぼし、各被検者のDNAを結合した前記磁性粒子を細管の内壁に吸着させて分離する。分離された該磁性粒子は、内壁に吸着させたまま、前記処理用ヘッド521によって前記液収容部群31bの乖離液が収容されている次の1の液収容部にまで移送され、磁力機構441によって磁石配列部材44bを該抽出用分注チップから離間させた状態で、乖離用溶液、必要ならばさらに洗浄液の吸引吐出を繰り返すことで目的物質の各被検者のDNAを乖離用溶液内に懸濁させ、前記磁力機構441により再度磁性粒子を内壁に吸着させたまま、該処理用ヘッド52を移動させてチップ収容部群31aにおいて、該抽出用分注チップを前記チップ脱着板43eを下降させることでノズルから脱着させて廃棄する。
【0087】
ステップS4で、前記チップ収容部群31aの1のチップ収容部に収容されていた未使用のPCR用分注チップを、前記処理用ヘッド521の前記分注要素Z軸移動機構421によって下降させることで該分注チップの装着用開口部に前記ノズルを嵌合させて装着させ、上昇してY軸方向に該処理用ヘッド521を移動させ、前記液収容部群31bの前記液収容部に収容されていた前記DNA溶液を前記吸引吐出機構431により吸引し、前記分注要素Z軸移動機構421によって分注チップを上昇させて、該液収容部群31bに設けられたPCR用の液収容部にまで移動して該DNA溶液を吐出する。同様に、各SNPを含有する塩基配列を増幅するための対応する塩基配列を有するプライマー等の試薬溶液を前記PCR用の反応容器に吐出して、PCR法に基づく所定の温度制御サイクルによって、該当する各SNPを含む塩基配列を有するDNA断片を増幅かつ生成する。
【0088】
ステップS5で、生成された各種SNPを含有するDNA断片溶液は、前記PCR用分注チップによって各DNA断片に特有な塩基配列と相補的な塩基配列を有するアダプタと連結された化学発光物質溶液を収容する前記液収容部群31bに設けられた1の液収容部内に分注され撹拌されて、該各種SNPを化学発光物質で標識化させる。ここで、化学発光物質としては酵素、西洋ワサビペルオキシダーゼを用い、基質としては、ルミノール/過酸化水素を用い、CLEIA法により検出を行う。
【0089】
ステップS6で、前記処理用ヘッド521を再度チップ収容部31aにまで戻し、空のチップ収容部内に、装着されていたPCR用分注チップを前記チップ脱着板43eにより脱着させて廃棄する。
【0090】
ステップS7で、該処理用ヘッド521を上昇させた後、再びY軸方向に移動して前記チップ収容部群31aにある1のチップ収容部であって、前記反応スポット配列子21
1〜21
16が封入されている分注チップ41
1〜41
16が収容されているチップ収容部の上方に位置させる。前記分注要素Z軸移動機構421によって前記ノズルを下降させることでその装着用開口部に嵌合させて該分注チップ41
1〜41
16をノズルに装着させる。
【0091】
ステップS8で、該分注チップ41
1〜41
16をY軸方向に移動させ、前記標識化された各種SNP断片が収容されている収容部群31
1〜31
16の前記液収容部群31bの前記液収容部の上方にまで移動させ、前記分注要素Z軸移動機構421を用いて該分注チップ41
1〜41
16の先端を該液収容部内に挿入させて、前記吸引吐出機構430によって吸引吐出を繰り返すことで前記粒子状担体を有する反応スポット配列子21
1〜21
16と前記溶液と接触反応させる。その際、前記抽出・反応制御部91の指示によって前記昇降体進退駆動機構82としてのモータ82aによって温度昇降体81が分注チップ41
1〜41
1にまで前進して密着して前記分注チップ41
1〜41
1内を所定温度に維持させる。
【0092】
ステップS9で、該分注チップ41
1〜41
16を前記処理用ヘッド移動機構55を用いてY軸方向に移動させて、前記液収容部群31bの洗浄液が収容されている1の液収容部にまで移動させ、前記温度昇降体81を前記分注チップ41
1〜41
16から離間させた状態で吸引吐出を繰り返すことで洗浄する。
図3は、この段階におけるステップS9における前記分注チップ41
1〜41
1および測定端62
1〜62
16、および温度昇降体81の位置を示す。
【0093】
ステップS10で、該分注チップ41
1〜41
16を、化学発光の前記基質を収容する反応容器31cにまで移動させ、該反応容器31c内に先端を挿入する。その際、該分注チップ41
1〜41
16の細管が前記測定端62
1〜62
16と接触した状態になる。また、前記昇降体進退駆動機構82としてのモータ82aによって温度昇降体81が分注チップ41
1〜41
1にまで前進して密着して前記分注チップ41
1〜41
1内を所定温度に維持させる。この段階での状態が
図4に相当する。
【0094】
ステップS11で、前記分注チップ41
1〜41
16によって前記反応容器31c内の溶液を吸引する。該反応容器31cには、すると、吸引された液体は、これらの分注チップ41
1〜41
16内に封入されている反応スポット配列子21
1〜21
16と反応することになる。
【0095】
その後、前記測定端Z軸移動機構65によって、前記測定端支持体63をZ軸方向に沿って移動させることで、前記反応スポット配列子21
1〜21
16に各々配列されている対応する反応スポットを一斉に逐次測定端62
1〜62
16から接続端64
1〜64
16まで、導光路61
1〜61
16を通して前記反応スポット配列子21
1〜21
16に対する受光面72に設けられた前記受光領域72
1〜72
16で導光されることになる。
【0096】
ステップS12で、各受光領域72
1〜72
16において各々50個に対応する光学的状態を前記測定端Z軸移動機構651による前記測定端62
1〜62
16のZ軸方向の移動に応じて順次受光する。すると、該測定端62
1〜62
16の相対的な移動、例えば、0.1mmの距離を10msecの停止時間(受光時間)を挟みながら移動することを間欠的に繰り返すような移動を行うことで、径1mmの1の粒子に対して10回受光することを可能とするような周期で、前記測定制御部92からの指示により、前記ディジタルデータ変換部75によって、各反応スポット配列子について受光した光の強度または輝度を対応するディジタルデータに変換して、前記格納手段93内に順次格納され、前記解析手段94によって読み出されて演算解析されて、検査対象の目的生体物質を検査することができる。ここで、「所定周期」は、例えば、前記測定端移動機構による測定端の相対的な移動に要する移動時間(例えば、隣接する反応スポット間について、例えば、50msec)、各反応スポットに対する受光回数(例えば、10回)、反応スポットの個数(例えば、50個)、および、化学発光を安定的に受光することができる安定的受光可能時間(発光のプラトー状態が維持される時間、例えば、30秒から50秒)からなる光測定態様に基づいて定められ、それによって、反応スポットに対する受光(ディジタルデータ変換)のための停止時間が、例えば、10msecと定められることになり、前記測定制御部92によって指示される。
【0097】
図6(a)は、前記分注チップ41
1〜41
16の細管内にZ軸方向に沿って配列された反応スポット配列子21
1〜21
16に対応する複数の反応スポット22としての粒子の配列例を示すものである。反応スポット22(図中、淡い色で示す)を挟むようにスペーサ23(図中、濃い色で示す)が設けられている。これらの粒子の径は例えば、1mmである。前記測定端支持体631が第1番目の粒子25から順次Z軸方向に移動して、各粒子の光学的状態に基づく光を導光路61
1〜61
16としての光ファイバを通して前記受光素子アレイ71の受光面721にまで導光する様子を模式的に示すものである。また、最下端の粒子24は該細管41a内に粒子を封入するために設けられた半径がやや大きく柔軟性のある素材で形成されている。また、最上端の粒子25は、例えば、マーカー用の粒子である。なお、前記反応スポット22が設けられている測定が行われる部分の全長は、例えば、40〜50mmである。
【0098】
図6(b)には、各反応スポット配列子21
1〜21
16に対応して受光素子アレイ71の受光面721上に格子状に設けられた受光領域72
1〜72
16を模式的に示すものである。各受光領域72
1〜72
16は、前記各ファイバ61
1〜61
16の接続端64
1〜64
16が近接して設けられている。これによって、反応スポット配列子21
1〜21
16が、高次元に広く配列されていたとしても、各反応スポット配列子に対応して受光領域を集積化して設けることができるので装置規模の拡大を抑制することができる。
【0099】
図6(c)には、前記格納手段97に格納されたディジタルデータをグラフ化した模式図を示す。この輝度を数値化して前記解析手段94が演算解析することで、各検体ごとに検査結果を解析して出力することができる。
【0100】
図7には、第2の実施の形態に係る導光集積検査装置100を示すブロック図である。
該導光集積検査装置100は、大きくは、各種の溶液や、各種分注チップや溶液が収容されまたは収容可能な複数の収容部であってY軸方向に沿ってステージ上にn列分、配列された収容部群30
1〜30
n(「n」は後述する反応スポット配列子の個数に相当)を有する収容部群領域30と、該収容部群領域30に対して水平方向、例えばY軸方向に沿って移動可能に設けられ、複数(この例ではn個)の分注要素に相当する分注チップ40
1〜40
nが前記各収容部内に先端が挿入可能に設けられた処理用ヘッド54および処理用ヘッド移動機構55を有する配列体処理装置50と、後述する受光領域に対応する前記受光素子から得られる画領域データを所定周期で変換して前記受光領域ごとにディジタルデータを得るディジタルデータ変換部76と、各種制御を行ういわゆる情報処理部としての、CPU+プログラム+メモリ90と、該CPU+プログラム+メモリ90に対するユーザの指示等の操作を行う操作パネル140とを有する。尚、前記配列体処理装置50と、前記収容部群領域30とは、暗箱内に形成されるのが好ましい。
【0101】
前記収容部群領域30には、前記各分注チップ40
1〜40
nの移動経路上に設けられた前記収容部群30
1〜30
nの一部として、該液収容部群の予め定めた各位置(この例では、各容器群の配列の端)に設けられ、検査に係る反応が行われ、反応スポット配列体20を構成する反応スポット配列子に属する各1の反応スポットに相当する前記配列端液収容部としての反応容器20
1〜20
nと、該反応スポット配列子に相当する該各反応容器20
1〜20
nに対応して、各々少なくとも1個の受光素子を有し前記反応スポットとして反応容器20
1〜20
nでの反応により生じ得る光学的状態に基づいて得られる光を受光する複数の受光領域74
1〜74
nが設けられた受光面74を有する受光素子アレイ70と、前記n個の反応容器20
1〜20
nの導光可能部に近接または接触して設けられたn個の測定端67
1〜67
nおよび前記受光面74の対応する前記受光領域74
1〜74
nに近接して設けられた接続端68
1〜68
nを各々有する導光路60
1〜60
nと、前記反応容器20
1〜20
nが前記分注チップ40
1〜40
nによって所定トリガー液を注入する場合には、前記導光路60
1〜60
nを導光状態とし、前記反応容器20
1〜20
nの前記注入を行わない場合には、該導光路60
1〜60
nを一斉に遮光状態とする一括シャッター機構66と、前記反応容器20
1〜20
nに収容された溶液の温度制御を行う温度昇降体80と、該温度昇降体80の温度の上昇および下降を制御するための温度制御器84とを有している。
【0102】
前記各反応スポット配列子には1の反応スポットとして各々1個の反応容器20
1〜20
nが設けられて、X軸方向に沿って一列状に配列されたものであり、各反応容器20
1〜20
nは、前記反応スポット配列子および反応スポットに対応することになる。本実施の形態では、前記第1の実施の形態とは異なり、前記分注チップ40
1〜40
n内には、反応スポットは設けられていない。
【0103】
該導光集積検査装置100の前記処理用ヘッド54には、前記分注要素である分注チップ40
1〜40
nに対して、液体の吸引及び吐出を行う吸引吐出機構43、磁力機構44、および分注要素Z軸移動機構42を有する点では、第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、さらに、前記反応容器20
1〜20
nへの前記所定試薬としてのトリガー液の分注時において、前記一括シャッター機構66を駆動して導光路60
1〜60
nを導光状態とし、それ以外の場合には遮光状態とするシャッター駆動部材45とを有する。
【0104】
前記CPU+プログラム+メモリ90には、前記温度制御器84、前記吸引吐出機構43、前記分注要素Z軸移動機構42、前記磁力機構44および前記処理用ヘッド移動機構55に対して抽出または反応の指示を行う抽出・反応制御部95と、前記分注要素Z軸移動機構42、温度制御器84、受光素子アレイ70および処理用ヘッド移動機構55に対して測定の指示を行う測定制御部96、および前記受光素子アレイ70の各受光領域74
1〜74
nからの画領域データを所定周期ごとに前記反応スポット配列子である前記反応容器20
1〜20
nに対応して変換されたディジタルデータを順次格納する格納手段97と、該格納手段97に格納されている該ディジタルデータに基づいて演算により前記検査の解析を行う解析手段98を有する。
【0105】
続いて、
図8および
図9に基づいて、
図7で説明した本発明の第2の実施の形態に係る導光集積検査装置100をより具体化した導光集積検査装置101を説明する。
図8に示すように、該導光集積検査装置101の主要部分は、暗箱の機能を有する筐体内に組み込まれ、該装置101に対するユーザからの指示はタッチ式タブレット等の操作パネル140によって行う。該導光集積検査装置101には、大きくは、前記収容部群32
1〜32
nを有する収容部群領域32と、該収容部群領域32に対してY軸方向に沿って移動可能に設けられた処理用ヘッド540および処理用ヘッド540をY軸方向に移動させる処理用ヘッド移動機構55を有する。
【0106】
図8および
図9に示すように、前記収容部群領域32には、前記筐体の底120aに載置された収容部群32
1〜32
8(
図7におけるn=8の場合)を有し、該収容部群32
1〜32
8は、Y軸方向に沿って延びるカートリッジ状容器がX軸方向に複数列(この例では8列)が配列されたものを有している。該各収容部群32
1〜32
8には、細管と太管からなる分注チップ46
1〜46
8の太管に設けられた装着用開口部が上側に来るように収容されまたは収容可能なチップ収容部群32aと、検体溶液、磁性粒子懸濁液、抽出用溶液、乖離用溶液、洗浄液、PCR用試薬、化学発光物質等の各種試薬溶液、および所定試薬としてのトリガー液が収容され、さらに温度制御可能な液収容部を有する液収容部群32bと、検査に係る反応が行われ、前記反応スポット配列子に相当し化学発光を測定するための温度制御可能な配列端液収容部としての反応容器20
1〜20
8と、該反応容器20
1〜20
8の温度の昇降を行う温度昇降体8とを有している。
【0107】
さらに、該収容部群領域32には、前記反応スポット配列子に相当する前記各反応容器20
1〜20
8に対応して、各々少なくとも1個の受光素子を有し前記反応スポットとしての反応容器20
1〜20
8での反応により生じ得る光学液状態に基づいて得られる光を受光する複数の受光領域74
1〜74
8が設けられた受光面74を有する受光素子アレイ700と、前記複数(この例では8個)の反応容器20
1〜20
8の導光可能部としての透光性のある壁面に近接して設けられた複数(この例では8個)の測定端67
1〜67
8および前記受光面74の対応する前記受光領域74
1〜74
8に近接して設けられた接続端68
1〜68
8を各々有する導光路69
1〜69
8と、前記反応容器20
1〜20
8が前記分注チップ46
1〜46
8によって所定トリガー液を注入する場合には、前記導光路を導光状態とし、前記液収容部への前記注入を行わない場合には、該導光路69
1〜69
nを遮光状態とする一括シャッター機構660とを有している。
【0108】
ここで、前記受光素子アレイ700としては、例えば、
図8の(b)(c)に示すように、暗箱700a内に設けられた基板740に配列された8個の高感度な受光素子を有する受光素子アレイ(例えば、浜松ホトニクス製のAPD(アバランシェ・フォトダイオード)アレイ)である。この場合には、前記各受光領域74
1〜74
8には1個の受光素子のみを有し、前記各受光素子の受光面が受光領域74
1〜74
8に相当することになり、前記導光路69
1〜69
8の光ファイバの接続端が該受光領域74
1〜74
8に接触するように密着または接着して、または近接するように設けられている。この場合、前記ディジタルデータ変換部76としては、所定周期で発生するパルス信号等に基づくゲートコントロールによって、前記受光素子が受光した光の量に応じて発生するフォトンの個数を計数するパルスカウンタである。
【0109】
前記所定周期としては、例えば、前記反応容器20
1〜20
8で用いる発光の種類、試薬、発光の態様等に基づいて前記測定制御部96で定められ、該当する周期を有するパルス信号を発生させて前記ディジタルデータ変換部76に送付する。なお、
図8および
図9において、前記導光路69
1〜69
8の一部導光路69
2〜69
8は描画を省略して、説明の都合上、装置を見やすくしている。
【0110】
該各反応スポット配列子には、1の反応スポットとして各々1個の反応容器20
1〜20
8が設けられて、X軸方向に沿って一列状に配列されたものであり、各反応容器20
1〜20
8は、前記反応スポット配列子に対応することになる。本実施の形態では、前記分注チップ45
1〜45
8には、第1の実施の形態とは異なり反応スポット配列子は封入されていない。
【0111】
前記導光集積検査装置101の前記処理用ヘッド540には、前記分注要素である分注チップ46
1〜46
8に対して、液体の吸引及び吐出を行う吸引吐出機構430、前記分注チップ46
1〜46
8の内部に磁力を及ぼすことができる磁力機構440、前記分注チップ46
1〜46
8をZ軸方向に移動することができる分注要素Z軸移動機構420を有する。さらに、前記反応容器20
1〜20
8への前記所定試薬としてのトリガー液の分注時から所定時間の間において、前記一括シャッター機構660を駆動して導光路69
1〜69
8を導光状態とし、それ以外の場合には遮光状態とするシャッター駆動部材451を有する。前記処理用ヘッド移動機構55は、例えば、Y軸方向に沿って設けたボール螺子、該ボール螺子を回転駆動するモータ、該ボール螺子に螺合するナット部を前記処理用ヘッド540に設けることによって実現することができる。なお、
図8の符号86は、前記反応容器群32cに属するほかの反応容器325の温度の昇降を行う温度昇降体である。
【0112】
続いて、
図8乃至
図10に基づいて、前記導光集積検査装置101をさらにより詳細に説明する。
【0113】
図8および
図9に示すように、前記一括シャッター機構660は、前記シャッター駆動部材451の下降によって一斉に下方向に移動可能であって、該駆動部材451の押圧解除によって元の基準位置に回復可能に設けられた8本のロッド66aと、外部からの光を遮断する遮光ケース66dと、該遮光ケース66dの側板から突出するように設けられた複数(この例では8本)の光ファイバとを有する。該光ファイバは、前記導光路69
1〜69
8の一部を形成する。
【0114】
尚、
図8においては、説明の都合上、見やすくするため前記一括シャッター機構660の前記遮光ケース66dの側板は外した状態で示されており、該遮光ケース66d内は、遮光状態で仕切られた複数(この例では8個)のコンパートメントを有し、各コンパートメントの各々に前記ロッド66aが設けられている。なお、符号66cは、前記遮光ケース66dの取り外された側板に設けられた光ファイバの留め具を表す。各ロッド66aは、前記遮光ケース66dの各コンパートメント内において、非透光性部材で形成されシャッター孔が設けられた開閉プレート66bと結合している。該開閉プレート66bは、前記ロッド66aが押圧されると下方向に移動し、ロッド66aの押圧解除によって元の基準位置に回復するように各コンパートメント内に設けたばね(図示せず)によって常に上方向に付勢されている。
【0115】
前記開閉プレート66bには、シャッター孔が設けられ、前記ロッド66cが基準位置にある場合には、前記測定端としてのロッドレンズ670
1〜670
8(
図10参照)と光ファイバとの間を遮光状態とし、前記ロッド66cの押圧によって、前記開閉プレート66bが下方向に移動して前記シャッター孔が前記留め具66Cの位置にまで降り前記光ファイバと前記反応容器20
1〜20
8とが導光状態となり、ロッド66aの押圧解除によって元の基準位置に回復して前記反応容器20
1〜20
8と光ファイバとが遮光状態となるように各コンパートメント内に設けた前記ばねによって常に上方向に付勢されている。
【0116】
図10は、前記収容部群領域32を詳細に示すものであり、前記開閉プレート66bには、シャッター孔が設けられ、前記ロッド66aが基準位置にある場合には、光ファイバと前記ロッドレンズとの間を遮光状態とし、前記ロッド66cの押圧によって、前記光ファイバ及びロッドレンズ690
1〜690
8が設けられている高さ位置にまで下降し、前記光ファイバと前記ロッドレンズ690
1〜690
8との間を導光状態とする。
【0117】
図10に示すように、前記各収容部群32
1〜32
8には、チップ収容部群32a,液収容部群32b、および前記反応スポット配列子に相当する反応容器群32cを有する。
前記チップ収容部群32aは、2本の分注チップを各々収容する2つのチップ収容部321,322を有する。前記液収容部群32bは、検体溶液収容部323、前記検体溶液から検査対象の目的物質を抽出するための磁性粒子を含有する磁性粒子懸濁溶液、洗浄液、乖離液、化学発光物質として、例えば、アクリジニウム標識抗体、トリガー試薬(例えば、H
2O
2)、および NaOH 溶液等を含む各種試薬を収容する液収容部、並びに、その他試薬の収容や、検体溶液と前記試薬等の混合を行うための液収容部群324を有する。前記反応容器群32Cには、反応容器325および測定用の反応容器20
1〜20
8を有する。
【0118】
図10に示すように、該液収容部群領域32には、さらに、前記反応容器325、反応容器20
1〜20
8の温度制御を各々行う、温度昇降体としての温度制御ブロック、並びに、ペルチェ素子、ファン及びフィンからなる温度制御器85,86が設けられている。また、符号A,Bに示すように、これらのロッドレンズ670
1〜670
8、光ファイバと各ユニットとの接続部は、ゴム等により遮光されていることが好ましい。
【0119】
続いて、
図8および
図9に基づいて、前記処理用ヘッド540について、詳細に説明する。
前記処理用ヘッド540に設けられた前記分注要素Z軸移動機構420は、前記Y軸移動機構に設けられたナット部に連結され、Y軸方向に移動可能なY軸移動枠54aと、該Y軸移動枠54aに設けられたモータ47aと、該モータ47aの回転軸と連結したプーリ47bと、該プーリ47bとタイミングベルト47cを介して連結されたプーリ47dと、該プーリ47dと回転可能に連結したボール螺子47eと、該ボール螺子47eと螺合するナット部が設けられたZ軸移動体47fとを有する。
【0120】
前記処理用ヘッド540には前記吸引吐出機構430を有し該吸引吐出機構430は、前記Z軸移動体47fに取り付けられたモータ48aおよび複数本(この例では8本)のシリンダ48dが取り付けられたシリンダ支持部材48bを有し、該Z軸移動体47fには、さらにZ軸方向に延びるボール螺子48gが回転可能に軸支され、前記モータ48aの回転軸と連結するプーリ48iおよびタイミングチャート48kを介して回転可能に連結したプーリ48lと回転可能に連結している。前記シリンダ48dと連通して該シリンダ48dの先端に着脱可能に装着された複数本(この例では8本)の分注チップ46
1〜46
8が設けられている。該吸引吐出機構430には、さらに、該シリンダ48d内を摺動する8本のピストンロッド48cと、8本の該ピストンロッド48cと係合する吸引吐出用プレート48hとを有する。
【0121】
該吸引吐出用プレート48hにはナット部が取り付けられて前記ボール螺子48gと螺合しており、前記モータ48aにより上下動することになる。該吸引吐出用プレート48hの下方であって前記ノズルの上方かつ前記シリンダ48dの下側には、該ノズルの外径よりも大きいが前記分注チップ46
1〜46
8の外径よりも小さい内径を持ち、前記ノズルが各々貫通するように設けた脱着用の孔が複数(この例では、8個)の穿設されたチップ脱着板48eが設けられ、前記吸引吐出用プレート48hを所定距離以上に下方向に下降駆動させることにより脱着棒48jを介して押圧して前記分注チップ46
1〜46
8を一斉に前記ノズルから脱着可能である。前記脱着棒48jは、その下端が前記チップ脱着板48eに取り付けられ、その上側で前記シリンダ支持部材48bにより上方に弾性的に付勢される状態で支持され、その上端は、前記吸引吐出用プレート48hと所定距離離間した位置にある。
【0122】
図9に示すように、前記チップ脱着板48eには、その下側には、下方向に突出するシャッター駆動部材451が設けられ、前記処理用ヘッド移動機構55および前記分注要素Z軸移動機構420を用いて、該処理用ヘッド540の前記分注チップ46
1〜46
8を前記反応容器20
1〜20
8の上方の位置にまで移動させた後、前記分注要素Z軸移動機構420を用いて前記Z軸移動体47fを下方向に移動させることで前記シャッター駆動部材451を下降させて前記8本のロッド66aを一斉に押圧することで、前記一括シャッター機構660を用いて前記導光路69
1〜69
8を導光状態とすることができる。
【0123】
図8および
図9に示すように、前記処理用ヘッド540の前記Y軸移動枠54aの下側には磁力機構支持板54bが設けられている。該磁力機構支持板54bの下側には、磁力機構440が設けられている。該磁力機構440は、複数(この例では、8個)の永久磁石44aがX軸方向に沿って、前記分注チップ46
1〜46
8と同じ間隔で1列状に磁石配列部材44bに配列され、該磁石配列部材44bは、該分注チップ46
1〜46
8に対してアクチュエータ44cによってY軸方向に沿って接近しかつ離間可能に設けられている。
【0124】
図8(b)(c)に示すように、前記受光素子アレイ700には、暗箱700aで覆われた受光素子アレイの基板740が設けられ、前記導光路69
1〜69
8の接続端が該基板740に格子状に配列され各受光領域74
1〜74
8に前記反応スポット配列子としての反応容器20
1〜20
8に対応する接続端が例えば密接しまたは接着して設けられている。
【0125】
続いて、第2の実施の形態に係る導光集積検査装置101の動作について説明する。
化学発光法の化合物としてアクリジウムエステル誘導体を用いて血清中の目的物質としての抗原物質または抗体物質を直接標識してイムノアッセイのトレーサーとする場合について説明する。すなわち、CLIA法により化学発光の検出を行う。
【0126】
ステップS101で、8人の被検者から採取した血清サンプル溶液を検体溶液収容部323に各々収容し、または採取した血清サンプル溶液を予め収容した検体溶液収容部323をカートリッジ容器のホールに設置する。
【0127】
ステップS102で、前記処理用ヘッド540の前記ノズルを前記Y軸移動機構によって前記チップ収容部群32aにあるチップ収容部321にまで移動させ、前記分注要素Z軸移動機構420によって、前記Z軸移動体47fを下降させることによって、前記ノズルに8本の分注チップ46
1〜46
8を装着する。該分注チップ46
1〜46
8を用いて、前記検体溶液収容部323から、例えば、血清溶液0.1mLを吸引して前記反応容器群32c内にある前記反応容器325に一斉に吐出する。
【0128】
ステップS103で、前記処理用ヘッド540を、Y軸方向に移動させて、検体で汚染された前記分注チップ46
1〜46
8を前記処理用ヘッド540に設けた前記モータ48aにより前記ピストンロッド48cを前記所定距離以上下降させることによって該ノズルの上方に位置した前記チップ脱着板48eによって8本の該分注チップを前記チップ収容部の元の位置に脱着する。該チップ収容部群32aのチップ収容部322に収容されていた新たな分注チップ46
1〜46
8を装着して、該処理用ヘッド540をY軸方向に移動させて、前記液収容部群32bのいずれかに収容したアクリジニウム標識抗体0.1mLを吸引して8個の前記反応容器325にまでY軸方向に移動して吐出し、室温で120分間インキュベーションする。
【0129】
ステップS104において、前記ノズルに装着されている該分注チップ46
1〜46
8を前記処理用ヘッド540をY軸方向に沿って移動させて、測定対象の血清中の前記抗原物質の有無を検査するために、該抗原物質と特異的に結合可能な抗体を表面に固定した磁性粒子が懸濁している磁性粒子懸濁液が収容されている前記液収容部群32bのいずれかの上方にまで移動させ、前記分注要素Z軸移動機構420を用いて下降させて前記液収容部内に前記分注チップ46
1〜46
8の先端を挿入し、収容されている前記磁性粒子懸濁液0.5mLを該分注チップ46
1〜46
8内に吸引して前記Z軸移動機構420を用いて上昇させ、前記Y軸移動機構によって前記反応容器325にまで移動し、前記Z軸移動機構420を用いて下降して、該懸濁液を前記反応容器325内に吐出するとともに、前記ピストンロッド48cを一斉に上下動させることで、吸引及び吐出を繰り返すことで撹拌させる。
【0130】
ステップS105において、前記反応容器内の懸濁液を室温で30分間インキュベーションさせることで、前記磁性粒子に前記検体溶液中の前記アクリジニウム標識抗体で標識化された目的物質としての抗原物質を結合させて固定する。
【0131】
ステップS106において、前記分注要素Z軸移動機構420によって前記分注チップ46
1〜46
8を所定の高さ位置に静止させ、前記磁力機構440を用いて、前記各分注チップ46
1〜46
8に対して磁石44aを一斉に接近させた状態で、前記吸引吐出用プレート48hを上下動させることで吸引吐出を繰り返して、前記分注チップ46
1〜46
8に磁石44aを接近させたまま、該処理用ヘッド540をY軸移動機構により移動させて、洗浄液が収容されている液収容部の上方にまで位置させ、前記分注要素Z軸移動機構420により該分注チップ46
1〜46
8を下降させ、前記磁石44aを離間した状態で吸引吐出を繰り返すことで洗浄し、B/F分離を行う。
【0132】
ステップS107において、再度磁力機構440の前記磁石44aを前記分注チップ46
1〜46
8に接近させることで内壁に吸着させた状態で、乖離液としての純水が、例えば、0.1mL収容されている前記反応容器群32cの前記反応容器20
1〜20
8にまでY軸移動機構により移動させて、前記分注要素Z軸移動機構420により前記分注チップ46
1〜46
8を前記反応容器20
1〜20
8内に挿入し、前記磁石44aを離間した状態で液中に再懸濁し、磁性粒子から前記標識化された目的物質を乖離し、該磁性粒子を除去する。
【0133】
ステップS108において、前記分注チップ46
1〜46
8をY軸方向に移動させて、トリガー試薬である、H
2O
2 を0.2mLと NaOH を0.2mLとを吸引して前記反応容器20
1〜20
8の上方にまで移送し、前記分注要素Z軸移動機構420によって、前記分注チップ46
1〜46
8をZ軸方向に所定高さにまで下降する際に前記トリガー液を該反応容器20
1〜20
8内に一斉に吐出すると同時に、該反応容器20
1〜20
8に隣接して設けられていた前記一括シャッター機構660の8本の前記ロッド66aを前記シャッター駆動部材451が、所定高さとなるまで押圧することによって、該一括シャッター機構660により前記ロッドレンズと前記光ファイバとの間を導光状態とすることによって、前記導光路69
1〜69
8の全体を導光状態とし、したがって、前記反応容器20
1〜20
8内から前記接続端までが導光状態となって、受光素子アレイ700の各受光領域74
1〜74
8の高感度の受光素子によって前記反応容器20
1〜20
8内の光学的状態に基づく光を受光可能となる。
【0134】
ステップS109において、前記分注チップ46
1〜46
8から吐出された前記トリガー液によって、前記反応容器内に前記アクリジニウム標識抗体で標識化された目的物質としての抗原物質が存在する場合には、化学発光が生じ、所定測定時間前記受光素子アレイ700により受光が行われることになる。したがって、前記各被検者の血清中の抗原の有無を化学発光の有無によって所定周期ごとに前記ディジタルデータ変換部76によって前記反応容器ごとに、受光した反応容器内の光の強度または輝度を対応するディジタルデータに所定周期で変換して出力して前記格納手段97に格納され前記解析手段98により演算解析されて、目的生体物質を検査することができる。この場合「所定周期」としては、例えば、前記発光等の安定的受光可能時間(または発光等の寿命、または指定した時間)内に、定められた回数(1回以上、好ましくは複数回)、ディジタル変換が行われるように測定制御部96によって制御される。所定周期で複数回の受光を行う場合には、得られた輝度データに基づき輝度の変化の時間依存性を前記解析手段により解析することができて、該輝度の描く時間の関数としての曲線のピーク値までの立ち上がりの時間や速度から、反応スピードや目的生体物質の反応性を求めたり、輝度の描く曲線の時間積分値によって、目的生体物質の反応量を測定することができる。なお、受光の回数が多いと精密な解析を行うことができるが、発光寿命、受光に必要な時間によって回数が制限される。例えば、発光の態様として、上述したような瞬時発光型の化学発光の場合には、発光寿命としては、前後に余裕を見て、例えば、約2秒とし、所定周期として受光時間(フォトンカウンティングに必要な時間、すなわちディジタルデータ変換時間)を、例えば、2msecとすると、1000回程度の受光およびディジタルデータ変換を各反応スポット配列子に対して一斉に繰り返すことができる。
【0135】
以上説明した各実施の形態は、本発明をより良く理解させる為に具体的に説明したものであって、別形態を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更しない範囲で変更可能である。例えば、以上の例では、反応スポット配列体は、2軸方向および1軸方向に並進対称性を有するように反応スポット配列子または反応スポットが配列された場合のみ説明したが、反応スポット配列子または反応スポットが3軸方向以上に配列される場合であっても良い。
【0136】
また、以上の例では、光学的状態として発光が行われる場合のみ説明したが、その他、呈色や変光であってもそれによって生じた光を受光することによって行うことができる。また、化学発光の試薬について前述したアクリジニウムエステル誘導体、西洋ワサビペルオキシダーゼ等に限定されるものではない。
【0137】
以上の例では、処理用ヘッドと組み合わせた場合についてのみ説明したが、処理用ヘッドを用いずに測定することも可能である。また、本発明の各実施の形態で説明した装置、これらの装置を形成する部品、またはこれらの部品を形成する装置や試薬等を適当に選んで適当な変更を加えて相互に組み合わせることができる。例えば、化学発光物質、反応スポット配列体、反応スポット配列子、反応スポット、受光素子アレイ、受光素子、導光路、ディジタルデータ変換部、分注要素、または測定制御部等、または、例えば、血清溶液中の検査を行う場合に、磁性粒子を用いて血清溶液を濃縮化し、各粒子に該当する抗体を固定して用いることによって、各被検者の抗原の有無を検査することができる。
なお、本出願内の、「X軸」、「Y軸」、「Z軸」、「上方」、「下方」、「内部」、「外部」、「上下」、「行」、「列」等のような空間的な表示は、図解のためのみであって、前記構造の特定の空間的な方向または配置に制限するものではない。
【0138】
以上の説明で用いた数値、回数、形状、個数、量等についてもこれらの場合に限定されるものではない。例えば、反応スポット配列子の個数は、16個または8個の場合のみ説明し、各反応スポット配列子に属する反応スポットの個数は50個または1個の場合のみについて説明したがこの場合に限られないことは言うまでもない。