(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6586489
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ショートカットタッチジェスチャに触覚フィードバックを提供する方法及びコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0488 20130101AFI20190919BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20190919BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
G06F3/0488 130
G06F3/01 560
H04M1/00 R
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-122140(P2018-122140)
(22)【出願日】2018年6月27日
(62)【分割の表示】特願2013-113655(P2013-113655)の分割
【原出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-170034(P2018-170034A)
(43)【公開日】2018年11月1日
【審査請求日】2018年6月28日
(31)【優先権主張番号】13/539,230
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】オリバー,ヒューズ−アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ティモーネ,エルヴェ トゥー
【審査官】
田内 幸治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−303207(JP,A)
【文献】
特開2012−8772(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/031575(WO,A2)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0154268(US,A1)
【文献】
特表2010−541071(JP,A)
【文献】
特表2002−504722(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0034208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0488
G06F 3/01
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショートカットジェスチャに基づいて動作を開始する方法であって、
電子装置のユーザインタフェースの表面において、前記表面における連続的な動きを含むタッチジェスチャを受信する受信工程と、
前記受信工程中に前記タッチジェスチャの認識レベルを決定する決定工程であって、前記認識レベルは、前記タッチジェスチャとアプリケーション動作に関連付けられた規定のショートカットタッチジェスチャとの間の類似性に基づく、決定工程と、
前記受信工程中に、前記認識レベルに基づいて前記ユーザインタフェースにおいて触覚効果を生成する生成工程と、
前記認識レベルが閾値を超えた場合に、前記タッチジェスチャが受信されている間に前記タッチジェスチャに関連付けられたアプリケーション動作を開始する開始工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記タッチジェスチャの前記認識レベルを決定する前記決定工程が、前記タッチジェスチャが受信されている間に前記表面におけるポイント軌跡を前記アプリケーション動作に関連付けられた記号と比較する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポイント軌跡と前記記号とを比較する工程が、前記表面において前記タッチジェスチャが受信されるタッチジェスチャ方向を検出する工程と、当該タッチジェスチャ方向を規定のショートカットジェスチャ方向と比較する工程とを備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポイント軌跡と前記記号とを比較する工程が、前記表面において前記タッチジェスチャが受信されるタッチジェスチャ速度を検出する工程と、当該タッチジェスチャ速度を規定のショートカットジェスチャ速度と比較する工程とを備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポイント軌跡と前記記号とを比較する工程が、前記表面において前記タッチジェスチャが受信されるタッチジェスチャ圧力を検出する工程と、当該タッチジェスチャ圧力を規定のショートカットジェスチャ圧力と比較する工程とを備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ポイント軌跡と前記記号とを比較する工程が、時間ウィンドウ内に受信されたポイントを比較する工程を備え、前記時間ウィンドウから外れて検出された動きは、前記ポイント軌跡に含まれないことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記触覚効果は前記タッチジェスチャと前記規定のショートカットタッチジェスチャとの間の類似性が増大していることを反映するように変化することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記タッチジェスチャが2本の指による同時の動きを反映することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記規定のショートカットタッチジェスチャは第1の規定のショートカットタッチジェスチャであり、前記タッチジェスチャは前記第1の規定のショートカットタッチジェスチャ及び第2の規定のショートカットタッチジェスチャと一致し、前記方法はさらに、
前記タッチジェスチャと、前記第1の規定のショートカットタッチジェスチャと前記第2の規定のショートカットタッチジェスチャのうちの一方との間の最も高い一致度にしたがって前記タッチジェスチャの前記認識レベルを決定する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項の方法を実行するための命令を含むコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートカットタッチジェスチャに触覚フィードバックを提供する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電話等の一部の携帯装置においては、タッチスクリーンを利用して電話番号をダイヤルすることができる。ユーザは、電話アプリケーションを立ち上げた後に、画面に表示されたキーパッドの番号キーにタッチして、その操作を電話番号の入力完了まで繰り返し、その番号での通話を開始するために画面上のボタンにタッチしなければならないこともある。ユーザは、キーパッドに表示されたスピードダイヤルボタン等のショートカットキーにタッチして、そのスピードダイヤルボタンに関連付けられた電話番号のダイヤルを開始することができる場合もある。しかしながら、キーパッドが小さい場合や、ユーザが画面から目をそらしている場合には、誤った電話番号をダイヤルしてしまうこともある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様によって、ユーザインタフェース、触覚装置、及びコントローラを備える電子装置が提供される。前記ユーザインタフェースは、その表面へのタッチジェスチャを受信するように構成されてもよい。前記タッチジェスチャは、前記表面における連続的な動きを含む。前記触覚装置は、前記ユーザインタフェースにおける触覚効果を生成するように構成されてもよい。前記コントローラは、前記ユーザインタフェース及び前記触覚装置と信号通信可能であってもよい。前記コントローラは、前記タッチジェスチャが前記ユーザインタフェースにおいて受信されている間に、前記タッチジェスチャの認識レベル(recognition level)を決定するように構成されてもよく、また、前記タッチジェスチャが前記ユーザインタフェースにおいて受信されている間に、前記触覚装置に触覚効果を生成させてもよい。前記触覚効果は、前記認識レベルに基づくものであってもよい。前記コントローラは、前記認識レベルが閾値を超えた場合に前記タッチジェスチャに関連付けられたアプリケーション動作を引き起こすように構成されてもよい。
【0004】
本発明の一態様によれば、前記コントローラは、前記タッチジェスチャが受信されている間に前記表面におけるポイント軌跡と前記アプリケーション動作に関連付けられた記号とを比較することにより、前記タッチジェスチャの前記認識レベルを決定するように構成されてもよい。
【0005】
本発明の一態様によれば、前記ポイント軌跡と前記記号との比較は、前記表面において受信される前記タッチジェスチャの方向を検出することを含んでもよい。
【0006】
本発明の一態様によれば、前記ポイント軌跡と前記記号との比較は、前記表面において受信される前記タッチジェスチャの速度を決定することを含んでもよい。
【0007】
本発明の一態様によれば、前記記号は、線、チェックマーク、十字、円、三角、及び四角から成る群より選択されてもよい。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記タッチジェスチャに関連付けられた前記アプリケーション動作は、前記記号に関連付けられた通信動作を含んでも良い。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記コントローラは、前記タッチジェスチャの前記認識レベ
ルが低い場合には前記触覚装置に摩擦係数をシミュレートする触覚効果を生成させてもよく、前記タッチジェスチャの前記認識レベルが高い場合には触感(texture)をシミュレートする第2の触覚効果を生成させてもよい。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記コントローラは、前記触覚装置に、前記タッチジェスチャが受信されている第1の時間間隔の間に前記第1の触覚効果を生成させ、前記タッチジェスチャが受信されている第2の時間間隔の間に前記第2の触覚効果を生成させてもよい。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記第1の触覚効果は、前記第2の触覚効果よりも高い周波数(frequency)と前記第2の触覚効果よりも小さい振幅(magnitude)の少なくとも一方を有する。
【0012】
本発明の上記及び上記以外の目的、特徴、及び性質、並びに、関連する構成要素の動作方法及び機能、そして製造における各部分の組み合わせと経済性については、添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明と添付の特許請求の範囲を検討することによってさらに明らかになる。これらはいずれも本明細書の一部を構成する。本明細書において、同様の参照符号は種々の図における対応部分を表している。添付図面は例示及び説明のためのものであり、本発明の発明特定事項の定義として用いることは意図されていない。本明細書及び特許請求の範囲における用法によれば、単数形の“a”、“an”及び“the”には複数のものへの言及が含まれる。ただし、文脈によって別に解すべきことが明白な場合はこの限りでない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に従った装置を模式的に示す。
【
図2A】
図1の装置のための既定のショートカットタッチジェスチャを表す記号を模式的に示す。
【
図2B】
図1の装置に適用されるタッチジェスチャを模式的に示す。
【
図3】本発明の一実施形態に従った方法を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、タッチジェスチャに基づいてアプリケーション動作を開始させることができる電子装置100の実施形態を示す。ユーザは、例えば、メニューボタンにタッチしてアプリケーションのメニューにアクセスし、続いて当該メニューの選択肢にタッチして動作を開始させることを選択し、続いてコマンドボタンにタッチすることにより選択した動作を開始させる場合のように、複数回のタッチ入力によってアプリケーション動作を開始させずとも、タッチジェスチャをショートカットとして利用し、当該動作を開始させることができる。ユーザのタッチジェスチャは、一又は複数の既定のショートカットタッチジェスチャに対応付けられても良い。このショーカットタッチジェスチャは、装置の製造者又はユーザによって設定される。
【0015】
また、ユーザによるタッチジェスチャが一又は複数の既定のショートカットジェスチャに類似しているか否かを当該ユーザに知らせるために触覚効果が生成されてもよい。既定のショートカットタッチジェスチャの各々は、アプリケーション動作に対応付けられ、そのショートカットジェスチャを用いることによって、当該関連付けられた動作が開始されてもよい。ユーザのタッチジェスチャが既定のショートカットタッチジェスチャと一致しつつあるときには、触覚効果は、例えばユーザのタッチジェスチャと既定のショートカットタッチジェスチャとの類似性が増大していることを反映するように変化してもよい。ユーザは、その触覚効果を通じて、自らのタッチジェスチャが装置100によって認識されるか否かを判断することができる。
【0016】
一実施形態において、装置100は、
図1に示されているように、タッチスクリーン110又はこれ以外のタッチ式インタフェース、触覚装置120、及びコントローラ130を備える。タッチスクリーン110は、画面におけるタッチ入力及び当該タッチ入力が受信された一又は複数の画面上の位置を検出するように構成され得る。タッチスクリーンは、指、スタイラス、又はこれらの任意の組み合わせからのタッチ入力を検出するように構成され得る。一実施形態において、タッチ入力は、タッチジェスチャであってもよい。タッチジェスチャは、例えば、スクリーン110上での一又は複数の連続的な動きを作るタッチ入力であってもよい。タッチジェスチャがスクリーン110における複数の連続する動きを含む場合には、当該複数の動きは、順次作られてもよく、同時に作られても良い。同時の動きは、例えば、スクリーン110上を動く2本の指によって作られ得る。一実施形態において、装置100は、タッチスクリーンに代えて又はタッチスクリーンに加えて、タッチパッドを備えてもよい。
【0017】
装置100の触覚装置120は、タッチスクリーン110の表面又は装置100の前記以外の任意の位置において触覚効果を生成するように構成され得る。以下で説明するように、触覚装置120によって生成される触覚効果は、スクリーン110において受信されるタッチジェスチャに基づくものであってもよい。触覚装置120は、圧電材料、モータ、音声コイル、静電装置、ソレノイド、電気活性ポリマー(EAP)、超音波エネルギーアクチュエータ、偏心質量体アクチュエータ、又はこれらの任意の組み合わせを備えてもよい。
【0018】
装置100のコントローラ130は、タッチスクリーン110及び触覚装置に動作可能に接続され、触覚装置に触覚効果を生成させるように構成されてもよい。触覚装置120によって生成される触覚効果は、コントローラ130がユーザのタッチジェスチャを認識するレベルに基づくものであってもよく、ユーザのタッチジェスチャが一又は複数の既定のショートカットタッチジェスチャとどの程度類似しているかに基づくものであってもよい。一実施形態において、この認識レベルは、コントローラ130内に実装されるジェスチャ認識エンジン131によって決定されてもよい。より多くのタッチジェスチャが受信されるにつれて、タッチジェスチャは既定のショートカットタッチジェスチャとの一致度が増すので、認識レベルが増加することがある。タッチジェスチャが、全体として又は部分的に一又は複数の既定のタッチジェスチャと一致する場合には、認識レベルは、当該タッチジェスチャと最も類似する既定のタッチジェスチャに基づくものとされてもよい。認識レベルの変化は、コントローラ130によって、スクリーン110に生成される触覚効果を触覚装置をして変化させるために用いられる。触覚効果の変化によって、ユーザに対して、自らのジェスチャが装置100の既定のショートカットタッチジェスチャの一つと一致しつつあることを示すことができる。コントローラ130は、マイクロプロセッサ、ロジック回路、又はこれら以外の任意のコンピュータ回路を含むことができる。
【0019】
既定のショートカットタッチジェスチャは記号で表されてもよい。
図2Aにおいては、装置100のタッチスクリーン110の例示的な図の中に、幾つかの記号が示されている。
図2Aは、各々が既定のショートカットタッチジェスチャーを表すことができる複数の記号を示す。この記号には、十字、四角形、円、三角形、水平線、及びチェックマークが含まれてもよい。これ以外の記号には、垂直線、斜線、5角形、長方形、又は前記以外の任意の幾何学図形(例えば、多項式によって生成される図形)又は形状が含まれる。一実施形態において、ユーザは、自らの指をスクリーン110上で移動させることにより新しい記号を形成することができる。以下でさらに詳細に説明するが、既定のショートカットタッチジェスチャは、記号が生成される方向、速度、又は寸法によって表され得る。例えば、時計方向に形成された円形の記号は、反時計方向に形成された円形の記号とは異なる既定のショートカットタッチジェスチャを表すことができる。ある速度で形成された円形
の記号は、例えばより速い速度で形成された円形の記号とは異なる既定のショートカットタッチジェスチャを表すことができる。一実施形態において、既定のショートカットタッチジェスチャは、タッチジェスチャをしたときの加圧量に関連付けられてもよい。例えば、あるレベルの圧力を加えて線状の記号を形成することは、より高い圧力を加えて線状の記号を形成する場合と異なるショートカットを表すことができる。
【0020】
ユーザは、スクリーン110上でその表現記号を形成することにより既定のショートカットを用いることができる。
図2Bは、記号140がスクリーン110上で形成された例を示す。以下でさらに詳細に説明するが、既定のショートカットタッチジェスチャが関連付けられているアプリケーション動作には、所望の受け手に電話をかけることが含まれる。既定のショートカットタッチジェスチャは、キーパッドを必要とせずに、電話をかけることを可能にする。
図2Bの図示において、記号140で表されている既定のショートカットタッチジェスチャを使用することにより、その既定のショートカットタッチジェスチャに関連付けられているErinに電話がかけられる。
【0021】
アプリケーション動作を開始させるためのより多くのダイアルが
図3に示されている。
図3は、タッチジェスチャに基づいてアプリケーション動作を開始させる方法200を示す。この方法は、既定のショートカットタッチジェスチャに関連付けられたアプリケーション動作を開始させるためのより速くより便利な方法を提供する。ユーザが既定のショートカットタッチジェスチャと認識されるタッチジェスチャを使用する場合、当該既定のショートカットタッチジェスチャに関連付けられたアプリケーション動作が開始される。
【0022】
工程210において、ユーザのタッチジェスチャは、電子装置のユーザインタフェースの表面で受信される。このユーザインタフェースは、装置100のタッチスクリーン110であってもよく、それ以外の任意のユーザインタフェースであってもよい。タッチジェスチャには、指、スタイラス、又はユーザインタフェースの表面における他の物体の一又は複数の連続的な動きが含まれる。この動きは、表面がにおいてタッチされた又はタッチされているポイント軌跡(loci of points)として表すことができる。例えば、
図2Bに示されているタッチジェスチャは、円形の動きを示すポイント軌跡として表すことができる。当該ポイント軌跡は、コントローラ130のジェスチャ認識エンジン131又はそれ以外の任意のコンピュータ装置によって追跡されてもよい。ジェスチャ認識エンジン131は、例えば、スクリーン110がタッチされている現在位置についてスクリーン110をサンプリングし、ポイント軌跡をその現在位置を用いて更新することができる。タッチジェスチャの動きの高い精度が必要とされる場合には高サンプリングレート(例えば100Hz)を選択し、一方、電力消費を削減するためには低サンプリングレート(例えば10Hz)を選択してもよい。タッチジェスチャの動きの方向や速度を追跡するために、タイムスタンプが各ポイントに関連付けられてもよい。
【0023】
タッチジェスチャには、指、スタイラス、又はユーザインタフェースの表面における他の物体との間の接触が一次的に中止されることを含んでもよい。例えば、
図2Aに示されているように十字の記号で表されるタッチジェスチャを用いる場合の動きを作るには、ユーザは、当該記号の第1の線と第2の線を形成する間に一次的に指を持ち上げることが必要になる。工程210は、接触の中止がタッチジェスチャの一部なのか、タッチジェスチャが完了したことを示すのかを区別することができる。一実施形態において、工程210は、接触の中止がどの程度長く続くか決定することを含んでもよい。接触の中止が閾値、例えば数百ミリ秒又は1秒以下しか続かなければ、その接触の中止は、タッチジェスチャの一部として決定され得る。
【0024】
タッチジェスチャが工程210において受信されると、そのタッチジェスチャの認識レベルが工程220で決定され得る。認識レベルは、ジェスチャ認識エンジン131又はそ
れ以外の任意のコンピュータ装置によって決定されてもよい。一実施形態において、認識レベルは、ユーザから受信されたタッチジェスチャと一又は複数の既定のショートカットタッチジェスチャとの一致レベルを示すことができる。当該一又は複数の既定のショートカットタッチジェスチャが一又は複数の記号で表される場合には、認識レベルの決定は、タッチジェスチャと一又は複数の記号との比較に基づくものであってもよい。より具体的には、当該一又は複数の記号は、タッチジェスチャの動きを表すポイント軌跡と比較されてもよい。例えば、
図2Aに図示されている記号の各々が、
図2Bに図示されたタッチジェスチャによって形成されるポイント軌跡と比較されてもよい。認識レベルは、タッチジェスチャがどの程度多く受信されたかに基づいて変化するものであってもよい。
図2Bに図示されたタッチジェスチャに関しては、ジェスチャの動きの第1の部分におけるポイント軌跡が4分の1円弧を形成し、一方、当該ジェスチャの動きの後段の部分におけるポイント軌跡が半円弧を形成していてもよい。認識レベルは、Erinに電話をかける既定のショートカットタッチジェスチャを表す円形の記号とポイント軌跡が一致するレベルが高くなることを反映するために、ジェスチャの動きの間中、増加してもよい。
【0025】
他の例においては、タッチジェスチャの動きは、線を形成するポイント軌跡を作ることができる。ここで、認識レベルは、Jennyに電話をかける既定のショートカットタッチジェスチャを表す記号とポイント軌跡との類似度が増加するので、ジェスチャの動きの間中、増加してもよい。しかしながら、例えば垂直方向へ移動することによってタッチジェスチャの動きを継続すると、この動きをしている間のポイント軌跡はJennyとの通話に関連する記号との類似度が低いので、認識レベルは下がる。しかしながら、その動きが、Steveとの通話用の既定のショートカットタッチジェスチャを表す正方形を作るように継続すれば、認識レベルは低い状態から増加することができる。正方形を作ったのちもさらに動きが継続すると、認識レベルは再び低下する。認識レベルは、ポイント軌跡が正方形の記号からどれだけそれたかに比例して減少してもよいし、このポイント軌跡はもはや
図2Aに示されたどのシンボルとも一致することはないため、認識レベルは直接最低レベルにまで減少してもよい。
【0026】
工程220における認識レベルの決定は、一実施形態において、受信されるタッチジェスチャの動きの方向、動きの速度、タッチジェスチャの大きさ、又はこれらの任意の組み合わせに基づくものであってもよい。例えば、既定のショートカットタッチジェスチャが時計回り方向の円記号によって表される場合、反時計回りのタッチジェスチャは最大認識レベルへは到達することができない。他の例において、既定のショートカットタッチジェスチャが水平方向の線の後に垂直方法の線を形成する十字形の記号で表される場合には、水平方向に動く前に垂直方向に動くタッチジェスチャは、最大認識レベルに到達することができない。
【0027】
認識レベルの決定が動きの速度に基づく場合には、速度が一又は複数の範囲内に入っているか否かが調べられる。認識レベルの決定がタッチジェスチャの大きさに基づく場合には、大きさが一又は複数の範囲内に入っているか否かが調べられる。タッチジェスチャの大きさは、そのタッチジェスチャの動きのポイント軌跡に占められる座標の範囲に基づくものであってもよい。
【0028】
一実施形態において、ショートカットタッチジェスチャは、最大経過時間内に作られなければならない。例えば、認識レベルの決定は、時間ウィンドウ内に受信されたポイント軌跡のみに基づいて決定されてもよい。時間ウィンドウから外れて検出された動きは、別個の既定ショートカットタッチジェスチャの一部として考慮されてもよい。ショートカットタッチジェスチャを作ることができる経過時間を制限することにより、誤認識の可能性を減少させることができる。例えば、ユーザの手がタッチスクリーン110に偶然触れてしまった場合でも、その触れている間の手の動きによって作られるポイント軌跡は、かな
り後の時間にユーザが意図して作るタッチジェスチャを認識するために用いられるポイント軌跡から除外されることになる。このように、もしユーザが軽く触れる動きが不完全で認識できない円形で、最大経過時間内に追加的な入力がない場合には、タッチジェスチャを認識するための試みはリセットされ、その軽く触れる動きによるポイント軌跡は、将来におけるタッチジェスチャを認識する際には考慮されない。
【0029】
認識レベルが決定されると、当該認識レベルに基づいて工程230において触覚効果が生成される。触覚効果には、振動、熱効果、静電効果、又はこれら以外の任意の触覚効果が含まれる。一実施形態においては、認識レベルが更新されるにつれて、触覚効果も更新されてもよい。例えば、当初、タッチジェスチャの受信開始直後で認識レベルが最小値の場合には、触覚効果は適用されない。認識レベルが増加するにつれて、触覚効果は、ユーザインタフェースの本来の摩擦とは別に、ユーザインタフェースにおける摩擦をシミュレートするように構成されてもよい。すなわち、触覚効果は、ユーザインタフェース表面における一又は複数の摩擦係数をシミュレートすることができる。認識レベルが増加し続ける場合、触覚効果は、ユーザインタフェースの本来の触感とは異なる触感のシミュレーションに移行する。認識レベルが減少する場合、例えばタッチジェスチャの動きのポイント軌跡が既定ショートカットタッチジェスチャの全てからそれる場合には、触覚効果は例えば静電効果や熱効果へ移行することができる。
【0030】
一実施形態において、摩擦や触感のシミュレーションは、触覚効果の周波数(frequency)や振幅(magnitude)を変化させることに基づいてもよい。例えば、摩擦係数をシミュレートする触覚効果は、触感をシミュレートする触覚効果よりも高い周波数と小さい振幅を有する。より具体的な例において、摩擦係数は、500Hzの周波数と最大振幅の20%の振幅の振動触覚効果でシミュレートされ得る。触感は、100Hzの周波数と最大振幅でシミュレートされ得る。両方の触覚効果に関して、振動は、例えば4秒間の間をおいて、一気に加えられる。
【0031】
タッチジェスチャが受信されている間に、又は、タッチジェスチャが受信された後に、工程240での決定のように認識レベルが閾値を超えている場合、工程250において、当該タッチジェスチャに関連付けられたアプリケーション動作が開始される。認識レベルが閾値を超えない場合には、タッチジェスチャは、既定のショートカットタッチジェスチャと十分に一致しないほど不完全であるか、又は、既定のショートカットタッチジェスチャの全てから外れすぎている可能性がある。この場合、方法200は、工程210において、タッチジェスチャの受信を継続することができる。既定のショートカットタッチジェスチャが記号によって表される場合、例示的な閾値は、ユーザのタッチジェスチャが記号の一つだけと一致し、その一致度が十分に高い(例えば、タッチジェスチャが記号の少なくとも90%以上を形成しなければならない)ことを要求するものである。一部の場合、閾値レベルは、ユーザによってカスタマイズされてもよい。
【0032】
開始されるアプリケーション動作には、オペレーティングシステムによってアプリケーションを起動すること、音声命令モードをアクティベートすること、所定のタイトル、アーティストもしくはアルバムの楽曲を再生すること、又は、
図2Aから
図2Bに示されているように、既定のショートカットタッチジェスチャに関連付けられている受信者との電話接続を開始することが含まれる。電話接続を開始することには、受信者の電話番号にダイヤルすること、宛先フィールドに受信者の電話番号を有するテキストメッセージインタフェースを提示すること、宛先フィールドに受信者のコンタクト情報を有する電子メールもしくはソーシャルメディアインタフェースを提示することが含まれる。
【0033】
上述した実施形態において、装置100は、携帯電話、リモコン装置、タブレット、デスクトップもしくはラップトップコンピュータ、電子ディスプレイ、又はこれら以外の任
意の電子装置であってもよい。コントローラ130は、マイクロプロセッサ、ロジック回路、又はこれら以外の任意のコンピュータ回路を含むことができる。方法200の工程は、任意の順序で実行することができ、又は、同時に実行することもできる。
【0034】
現時点で最も実用的であり好ましいと考えられる態様に基づいて、本発明を例示のために詳細に説明したが、このような詳細な説明は例示のみを目的としたものである。本発明は開示された実施形態に限定されるものではなく、むしろ添付された特許請求の範囲の趣旨及び範囲に入る変形や均等な配置も本発明に含められることが意図されている。例えば、本発明においては、あらゆる実施形態の一又は複数の特徴を他の実施形態の一又は複数の特徴と可能な限り結合することができる。